以下に図面を用いて、本実施形態に係る診断システム1を詳細に説明する。
<<システム構成の概略>>
まず、診断システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る診断システムの概略図である。
図1に示されているように、本実施形態の診断システム1は、診断処理装置3、及び診断管理サーバ5によって構築されている。
また、診断システム1を構成する診断処理装置3、及び診断管理サーバ5は、通信ネットワーク100を介して通信することができる。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、3G(3rd Generation)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、診断処理装置3は、NFC(Near Field Communication)(登録商標)等の近距離通信技術によって通信可能である。
図1において、検査車両7に乗車して検査している検査者は、特殊チョークでひび割れ等の変状部分を上書きして変状部分を目立つようにしたり、ひび割れの幅が何センチであるか等を記載したりする。その際、検査者は変状の様子や判定結果を示すコメントを野帳等に記載しておく。一方、検査車両の下にいる補助者は、検査者が発したコメントを野帳等に記載したり、場合によっては全体の写真撮影を行なったりする。なお、検査者が被るヘルメットに小型マイクと小型カメラを備え、検査者が発するコメントを小型マイクで収録し、コメントした対象箇所をカメラで撮影してもよい。この場合、収録された音声情報を音声認識装置によって認識して電子化し、小型カメラで撮影された画像と共に自動的に野帳(この場合、タブレット型PC等)に記録しても良い。
その後、カメラを搭載した撮影車両9が、トンネル8内の入口から出口まで走行しながらトンネル8の壁を撮影することで、後述の図4に示されているトンネル展開画像210のデータを得ることができる。トンネル展開画像210には、検査者が特殊チョークで記載した部分が写し出されているため、後日、診断処理装置3の利用者はトンネル展開画像を見れば、変状部分の位置や形状を容易に把握することができる。
また、撮影車両9には、カメラ以外に、車両9の進行方向の移動距離を計測する第1の測距センサ、車両9とトンネル8の壁面との距離を計測する第2の測距センサ、車両9の角度(姿勢)や角速度(又は角加速度)を検出するジャイロセンサ等も搭載されている。第2の測距センサは、例えば、TOF(Time Of Flight)センサ、LIDAR(Light Detection and Ranging)センサである。撮影車両9のカメラにより得られたトンネル展開画像のデータ、及び撮影車両9の各センサ(第1及び第2の測距センサ、ジャイロセンサ等)から得られた各検出データは、診断処理装置3を介して、診断管理サーバ5に送信され、この診断管理サーバ5で管理される。
また、診断処理装置3は、後述の診断対象画像、診断領域、及び診断情報等の各種データ入力を行なうためのコンピュータ(情報処理装置)であり、描画用の専用アプリケーションプログラムがインストールされている。診断処理装置3の利用者は、補助者等が記載した野帳等のコメント、構造物の一例としてのトンネル8内の入口から出口まで撮影されたトンネル展開画像のデータ、及び各センサの検出データを診断処理装置3に入力する。なお、他の装置に入力後、他の装置から診断処理装置3にデータを転送してもよい。更に、診断処理装置3の利用者は、国等から入手したトンネル台帳のデータを、診断処理装置3に入力する。トンネル台帳には、トンネルの長さや高さ等が記載されている。この場合、診断処理装置3は、入力装置である。
更に、診断処理装置3には、ブラウザが搭載されており、診断処理装置3は、診断管理サーバから送られて来るトンネル展開画像を表示することができる。また、診断処理装置3の利用者は、トンネル展開画像上に表されているひび割れ等の変状部分の上から線等の描画を行うことで、画像である変状部分を位置座標で数値化する。
診断処理装置3の利用者は、診断管理サーバ5から、変状部分の描画を行うことで作成した変状展開図を含む提出書類のデータをダウンロードして、印刷した書類又は印刷しない状態のデータを、国等に対して提出する。
即ち、診断管理サーバ5の送受信部51は、通信ネットワーク100を介して診断処理装置3に対して、変状部分の描画を行うことで作成した変状展開図を含む提出書類のデータを送信する。これにより、診断処理装置3の送受信部31は、提出書類のデータを受信する。また、診断処理装置3の送受信部31は、通信ネットワーク100を介して、国等に提出書類のデータを送信する。または、診断処理装置3の送受信部31は、印刷装置に提出書類のデータを送信して印刷した後、診断処理装置3の利用者等が国等に提出書類である印刷用紙を提出する。または、診断処理装置3の記憶・送受信部31は、DVD−R等の記録メディアに提出書類のデータを記録した後、診断処理装置3の利用者等が国等に記録メディアを提出する。
なお、国等に提出書類(データ又は印刷用紙)を提出する際の送受信部31及び記憶・読出部39は、いずれも出力手段の一例である。この場合、診断処理装置3は出力装置である。また、国等への提出書類(電子データを含む)は信憑性を確実にする為、改竄防止処理を施されることが好ましい。
診断管理サーバ5は、トンネル展開画像、コメント、及びトンネル台帳等のデータの管理を行う。また、診断管理サーバ5は、診断処理装置3で描画されたひび割れ等の変状部分を数値化したデータの管理、及びトンネル展開画像における座標データの管理等を行う。
<<ハードウェア構成>>
続いて、図2を用いて、診断システム1を構築する診断処理装置又は診断管理サーバのハードウェア構成を説明する。
<診断処理装置のハードウェア構成>
図2は、診断処理装置、診断管理サーバのハードウェア構成図である。括弧内の符号は、診断管理サーバの構成を示している。
図2に示されているように、診断処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HD(Hard Disk)304、HDD(Hard Disk Drive)305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)ドライブ314、及び、バスライン310を備えている。
これらのうち、CPU301は、診断処理装置3全体の動作を制御する。ROM302は、CPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。HD304は、プログラム等の各種データを記憶する。HDD305は、CPU301の制御にしたがってHD304に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。メディアI/F307は、フラッシュメモリ等の記録メディア306に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。ディスプレイ308は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ネットワークI/F309は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。キーボード311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。マウス312は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。CD−RWドライブ314は、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
また、診断管理サーバ5は、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD505、記録メディア506、メディアI/F507、ディスプレイ508、ネットワークI/F509、キーボード511、マウス512、CD−RWドライブ514、及び、バスライン510を備えている。これらは、それぞれ上述の構成(CPU301、ROM302、RAM303、HD304、HDD305、記録メディア306、メディアI/F307、ディスプレイ308、ネットワークI/F309、キーボード311、マウス312、CD−RWドライブ314、及び、バスライン310)と同様の構成であるため、これらの説明を省略する。
なお、CD−RWドライブ314(514)ではなく、DVD−Rドライブ等であってもよい。また、診断処理装置3、及び診断管理サーバ5は、それぞれ単一のコンピュータによって構築されてもよいし、各部(機能、手段、又は記憶部)を分割して任意に割り当てられた複数のコンピュータによって構築されていてもよい。
<<診断システムの機能構成>>
続いて、図3乃至図6を用いて、本実施形態の機能構成について説明する。図3は、診断システムの機能ブロック図である。
<診断処理装置の機能構成>
図3に示されているように、診断処理装置3は、送受信部31、受付部32、描画部33、表示制御部34、判断部35、記憶・読出部39を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、HD304からRAM303上に展開されたプログラムに従ったCPU301からの命令によって動作することで実現される機能、又は機能する手段である。また、診断処理装置3は、図2に示されているRAM303及びHD304によって構築される記憶部3000を有している。
(診断処理装置の各機能構成)
次に、診断処理装置3の各構成要素について説明する。
送受信部31は、図2に示されているCPU301からの命令、並びにネットワークI/F305によって実現され、通信ネットワーク100を介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(または情報)の送受信を行う。
受付部32は、主に、図2に示されているCPU301からの命令によって実現され、利用者によって操作されたキーボード311又はマウス312から信号を受信することで、利用者の各種操作を受け付ける。
描画部33は、図2に示されているCPU301からの命令によって実現され、ディスプレイ308に表示されている画像上に、線や矩形等の描画を行なう。
表示制御部34は、図2に示されているCPU301からの命令によって実現され、ディスプレイ308に、各種画像や画面を表示させる。
判断部35は、図2に示されているCPU301からの命令によって実現され、後述の各種判断を行なう。
記憶・読出部39は、図2に示されているCPU301からの命令、並びに、HDD305、メディアI/F307、及びCD−RWドライブ314によって実行され、記憶部3000、記録メディア306、及びCD−RW313に各種データを記憶したり、記憶部3000、記録メディア306、及びCD−RW313から各種データを読み出したりする処理を行う。
<診断管理サーバの機能構成>
診断管理サーバ5は、送受信部51、作成部53、判断部55、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は機能する手段である。また、診断管理サーバ5は、図6に示されているHD504により構築される記憶部5000を有している。
(トンネル展開画像と座標)
図4は、トンネル展開画像のデータと座標データの関係を示した概念図である。記憶部5000には、図1に示されているように、コメント、トンネル展開画像のデータ、測距等の各センサの検出データ、及びトンネル台帳のデータが記憶される。座標データ201cは、診断管理サーバ5の送受信部51が診断処理装置3からトンネル展開画像及び各検出データを取得した後に、作成部53によって作成されたデータである。この作成方法は後述する。
トンネル展開画像201のデータは、撮影車両9のカメラから出力された状態では、単なる画像のデータであるため、トンネル展開画像201と、実際のトンネルとの位置関係が明確ではない。そこで、トンネル展開画像201と、実際のトンネルとの位置関係を明確にするため、トンネル展開画像201に対応する座標データが作成される。
図4では、実際のトンネルの入口から出口に向けて、1番目のスパン(「セントル」ともいう)から順に各スパンが表されている。このスパンは、実際のトンネルの入口から10m毎に区切られた領域を示しており、図4では、複数のスパンの画像によって構成されたトンネル展開画像201が示されている。スパン番号は、国等が提供するトンネル台帳に記載されている。これに対して、座標データでも、1番目のスパンがS001で示され、2番目のスパンがS002で示されているように、左から右に向けて、座標データ用のスパン番号が割り振られている。更に、各スパン内の特定の位置を示すために位置座標(xn,ym)が用いられる。例えば、座標データにおける任意の2点が同じ座標で示されていても、スパンが異なればトンネル内の異なる位置を示している。なお、スパンの無いトンネルに対応するため、スパン番号S001等を用いずに、トンネル展開画像内の特定の位置を位置座標だけで示すようにしてもよい。
(診断情報管理テーブル)
図5は、診断情報管理テーブルを示す概念図である。記憶部3000には、図5に示されているような診断情報管理テーブルによって構成されている診断情報管理DB5001が構築されている。この診断情報管理テーブルは、図4に示されている座標データが診断管理サーバ5で作成された後、利用者が診断処理装置3を用いてトンネル展開画像上に表されているひび割れ等の変状部分の上から線等を描画することによって特定された変状部分の位置座標等を管理している。この診断情報管理テーブルでは、診断領域番号、スパン番号(またはセントル番号)、診断領域のスパン内における位置座標、診断領域の高さ及び幅、写真番号、変状・異常の種類、判定結果、及びコメントが関連付けて管理される。これらのうち、診断領域番号は、後述の診断領域が含まれるグループを示す識別情報である。スパン番号は、図4に示されている座標データ201cにおける特定のスパン番号を示し、トンネルのスパンの番号を示した値である。
診断領域のスパン内における位置座標は、図4に示されている座標データ201cにおける特定の位置座標を示し、任意のスパン内の特定の位置を原点とした場合に、このスパン内における診断領域の特定点(始点)の位置座標を示している。
診断領域の高さ及び幅は、診断領域のスパン内における位置座標を原点として、高さ及び幅を示すことで、診断領域全体を特定するための値を示している。
写真番号は、写真台帳に添付される写真を識別するための識別情報である。
変状・異常の種類は、検査者が判断した診断対象の変状又は異常の種類を示す。
判定結果は、検査者が判断した診断対象の判定結果を示す。一般には、S,A,B,Cの順に、左に行くほど、診断対象の状態が悪いことを示す。
コメントは、図1において、検査者又は補助者が記録したコメントの内容である。
(診断対象要素管理テーブル)
図6は、診断対象要素管理テーブルを示す概念図である。記憶部3000には、図6に示されているような診断対象要素管理テーブルによって構成されている診断対象要素管理DB5001が構築されている。この診断対象要素管理テーブルでは、診断領域番号、スパン番号(セントル番号)、要素番号、診断対象画像要素の始点位置座標、診断対象画像要素の終点位置座標、及び診断対象要素の幅(mm)が関連付けて管理される。
これらのうち、診断領域番号及びスパン番号(セントル番号)は、診断情報管理テーブルと同じである。これら診断領域番号及びスパン番号(セントル番号)によって、診断情報管理テーブル及び診断対象要素管理テーブルは、関連付けられている。
要素番号は、診断対象画像の要素である診断対象画像要素を識別するための識別情報である。
診断対象要素画像の始点位置座標は、トンネル展開画像の任意のスパン内で診断対象要素画像が描画される場合の始点の位置座標を示している。例えば、図25では、診断対象画像要素e21の始点p21の位置座標を示している。
診断対象画像要素の終点位置座標は、トンネル展開画像の任意のスパン内で診断対象画像要素が描画される場合の終点の位置座標を示している。例えば、図25では、診断対象画像要素e21の終点p22の位置座標を示している。
なお、始点位置座標及び終点位置座標は、図4に示されている座標データ201cにおける特定の位置座標を示している。
診断対象要素の幅(mm)は、診断対象要素がひび割れの場合の幅を示している。例えば、図25では、利用者によって幅入力画面ws1に入力された値を示している。利用者が幅入力画面ws1に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図26に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.5」)を表示する。
(診断管理サーバの各機能構成)
次に、診断管理サーバ5の各機能構成について詳細に説明する。
なお、以下では、診断管理サーバ5の各機能構成を説明するにあたって、図2に示されている各構成要素のうち、診断管理サーバ5の各機能構成を実現させるための主な構成要素との関係も説明する。
図3に示されている診断管理サーバ5の送受信部51は、図2に示されているCPU501からの命令、及び図6に示されているネットワークI/F509によって実現され、通信ネットワーク100を介して診断処理装置等の他の装置(端末)と各種データ(または情報)の送受信を行う。
作成部53は、図2に示されているCPU501からの命令によって実現され、診断管理サーバ5の送受信部51が診断処理装置3から取得したトンネル展開画像201のデータ及び測距等の各検出データに基づいて、図4に示されているような座標データ201cを作成する。具体的には、作成部53は、上述のように撮影車両9に設置された各センサ(第1及び第2の測距センサ、ジャイロセンサ等)から診断処理装置3を介して取得された各検出データを用いて、トンネル展開画像201に対する座標データを作成する。撮影車両9がトンネル内を走行しながらトンネル壁を撮影する場合、撮影車両9は、トンネル内を常に一定速度で走行するとともにトンネル壁と常に一定距離を維持することは現実的には困難であり、しかも、トンネル内の路面に生じている凸凹で撮影車両9の姿勢も傾くことも多い。そのため、作成部53は、各センサの検出データを用いて、トンネル展開画像201に対する座標データを補正しながら作成する。なお、図4において、座標データ201cのS001の左上角の位置とトンネル展開画像201の1番目のスパンの左上角とを合わせれば起点が決まるため、作成部53は、決まった起点に基づいて、トンネル展開画像201に対する座標データを作成することができる。診断管理サーバ5の管理者が診断管理サーバを利用して手動で起点を設定してもよいし、作成部53が自動的に起点を設定してもよい。自動的に起点を設定する場合には、トンネルの入口(トンネル外とトンネル内の境界)では撮影画像の輝度値が急激に変化するため、作成部53は、撮影画像からトンネルの入口を特定しやすい。
また、作成部53は、診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002で管理されている各種データに基づいて、国等への提出書類(変状展開図、写真台帳、及びトンネル点検結果総括表)のデータを作成する。
判断部55は、図2に示されているCPU501からの命令によって実現され、作成部53が提出書類のデータを作成するにあたって必要な判断を行なう。
記憶・読出部59は、図2に示されているCPU501からの命令、及び図2に示されているHDD505によって実現され、記憶部5000に各種データを記憶したり、記憶部5000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
<<実施形態の処理または動作>>
以降、図7乃至図35を用いて、各実施形態の処理または動作について説明する。図7は、トンネル展開画像のデータ等のアップロードの処理を示したシーケンス図である。図8は、提出書類データの作成処理を示したシーケンス図である。図9は、本実施形態に係る提出書類の作成処理を示した概念図である。
まず、図9に示されているように、診断処理装置3は、利用者によって、国等から取得したトンネル台帳のデータを入力する(ステップS1)。また、診断処理装置3は、利用者によって、撮影車両9から取得した、トンネル展開画像のデータ、コメントのデータ、及び測距等の各センサの検出データを入力する(ステップS2)。
次に、診断処理装置3の送受信部31は、診断管理サーバ5に、ステップS1で入力されたトンネル台帳のデータ、ステップS2で入力された各データ(トンネル展開画像のデータ、コメントのデータ、及び測距等の各センサの検出データ)をアップロードする(ステップS3)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、トンネル台帳等のデータを受信する。そして、診断管理サーバ5では、作成部53が、トンネル展開画像のデータ及び検出データに基づいて、図4に示されているような座標データを作成する(ステップS4)。
次に、記憶・読出部59が、記憶部5000にステップS3で受信されたトンネル台帳等のデータ、及びステップS4で作成された座標データを関連付けて記憶する(ステップS5)。
続いて、利用者が診断対象画像を入力する場合、図8に示されているように、診断処理装置3の送受信部31は、利用者によって、診断管理サーバ5に対して、トンネル台帳等のデータの要求を行なう(ステップS11)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、トンネル台帳等のデータの要求を受信する。
次に、診断管理サーバ5では、記憶・読出部59が、記憶部5000にステップS5で記憶しておいたトンネル台帳等のデータを読み出す(ステップS12)。そして、送受信部51は、診断処理装置3へ、ステップS12で読み出されたトンネル台帳等のデータを送信する(ステップS13)。これにより、診断処理装置3のブラウザによって、トンネル展開画像が表示される。
次に、図9に示されているように、診断処理装置3は、利用者の操作により、後述のトンネル展開画像201の一部202に診断対象画像を描画したり、診断情報を入力したりする処理を行なう(ステップS14)。このステップS14の処理については、後ほど詳細に説明する。そして、送受信部31は、描画された診断対象要素画像のデータ、及び入力された診断情報のデータとともに、診断管理サーバ5へ、国等に提出すべき提出書類の作成要求を送信する(ステップS15)。これにより、診断管理サーバ5の送受信部51は、診断対象要素画像のデータ及び診断情報のデータとともに、提出書類の作成要求を受信する。
次に、診断管理サーバ5では、記憶・読出部59が、診断情報のデータ及び診断対象要素画像のデータを、それぞれ診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002に振り分けて一旦記憶する(ステップS16)。更に、提出書類を作成するために、記憶・読出部59が、診断情報管理DB5001及び診断対象要素管理DB5002で管理されている診断情報のデータ及び診断対象要素画像のデータを読み出すとともに、記憶部5000からトンネル台帳等のデータを読み出す(ステップS17)。そして、診断管理サーバ7の作成部55は、診断情報のデータ、診断対象要素画像のデータ、及びトンネル台帳等のデータを用いて、図9に示されているような提出書類(変状展開図、写真台帳、及びトンネル点検結果総括表)のデータを作成する(ステップS18)。
そして、送受信部51は、診断処理装置3へ提出書類のデータを送信する(ステップS19)。これにより、診断処理装置3の送受信部31は、提出書類のデータを受信する。
次に、図9に示されているように、診断処理装置3では、国等に提出するための提出書類のデータを印刷出力する(ステップS20)。これにより、検査業者は、役所に提出書類のデータを提出することができる。なお、国等の機関の規則により、検査業者は、印刷せずに、提出書類のデータのまま役所に提出してもよい。
<描画及び診断情報の入力の概略の処理>
続いて、図10、図14、図15を用いて、上記ステップS14の処理の概略について説明する。図10は、描画及び診断情報の入力の概略の処理を示すフローチャートである。図14は、ホーム画面を示す図である。図15は、診断位置入力画面において診断対象画像(面積)の入力モードの選択を示した画面例である。
まず、図10は、診断処理装置3の利用者の操作によって、表示制御部34がディスプレイ308上に、図14に示されているホーム画面SC1を表示させる(ステップS21)。このホーム画面SC1の中央部には、トンネル展開画像201が表示されている。ホーム画面SC1の右上側には、トンネル展開画像の全体像を示す全体像画面SC10が表示されている。また、ホーム画面SC1の左上側には、右から、診断対象画像(面積)の入力モードの選択ボタンb1、診断対象画像(直線)の入力モードの選択ボタンb2、診断領域の入力モードの選択ボタンb3、ホーム画面SC1に戻るためのホームボタンb4、トンネル展開画像201を縮小表示するための縮小ボタンb5、及びトンネル展開画像201を拡大表示するための拡大ボタンb6が表示されている。
ホーム画面SC1の下側中央部には、既に診断管理サーバ5にアップロードした診断領域のデータのリストをプルダウン表示させるための「RELOAD」ボタンb11が表示されている。同じく、ホーム画面SC1の下側中央部には、診断処理装置3で作成して一時的に保存しておいた診断情報のデータをまとめて診断管理サーバ5に送信することで、診断管理サーバ5で診断領域のデータを保存するための「SAVE」ボタンb12が表示されている。更に、ホーム画面SC1の下側中央部には、診断管理サーバ5からダウンロードした診断領域のデータの名称と、診断処理装置3側で作成して一時的に保存している診断領域のデータの名称を表示するための保存リスト110が表示されている。利用者が、ポインタpoで保存リスト110を選択すると、表示制御部34は、対応する診断領域が示される診断位置入力画面SC2を表示する。
また、ホーム画面SC1の右側中央部には、変状の種類を示すレイヤリストLL1が表示されている。レイヤリストLL1には、ひび割れ、漏水、石灰化等の変状の種類が表示される。各チェックボックスがチェックされると、チェックされた変状がトンネル展開画像201上に表示されるレイヤ構造になっている。ホーム画面SC1の右下部には、レイヤリストLL1をプルアップ表示するための「LAYER」ボタンb13が表示されている。
このホーム画面SC1において、利用者がマウス312の操作により、ポインタpoによって、描画及び診断情報を入力したい所望のスパンを選択すると、表示制御部34は、ディスプレイ308上に、図15に示されているような診断位置入力画面SC2を表示させる(ステップS22)。診断位置入力画面SC2には、トンネル展開画像201のうち、選択されたスパン部分であるトンネル展開画像の一部202が表示されている。また、診断位置入力画面SC2の右下部には、トンネル展開画像に対する視線方向を切り替えるための視線切替ボタンb1が表示されている。なお、視線方向の切り替えに関しては、図34及び図35を用いて後述する。
ここで、利用者がポインタpoで、各選択ボタンb1,b2,b3のうち、所望の選択ボタンを選択することで、受付部32は、入力モードの選択を受け付ける(ステップS23)。そして、利用者が、入力モードに応じて、描画や診断情報の入力を行なうことで、診断処理装置3は、描画及び診断情報の入力の処理を実行する(ステップS24)。この処理に関しては、入力モード毎に、後ほど詳細に説明する。
そして、利用者によるマウス312等の操作を受付部32が受け付けることによって、記憶・読出部39が、記憶部3000に対して、描画及び診断情報の入力により作成された診断領域のデータを一時的に保存する(ステップS25)この描画されたデータ及び入力された診断情報のデータは、上記ステップS8によって、診断処理装置3から診断管理サーバ5へ送信される。
<診断対象画像(面積)の入力モード>
続いて、図11、及び図15乃至図22を用いて、診断対象画像(面積)の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断対象画像(面積)の入力モードは、主に診断対象が石灰化や漏水の場合に用いられる。
図11は、診断対象画像(面積)の入力モードの処理を示すフローチャートである。図15は、診断位置入力画面において診断対象画像(面積)の入力モードの選択を示した画面例である。図16乃至図21は、診断位置入力画面において診断対象画像を入力する画面例である。図22は、診断位置入力画面の他の例を示した画面例である。
まず、ステップS23において、図15に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb1を選択した場合、表示制御部34は、診断対象画像(面積)の入力モードにする。そこで、図16に示されているように、利用者が、ポインタpoで最初の診断対象要素画像e11の始点p11を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11の入力を受け付ける(ステップS101)。これにより、表示制御部34は、始点p11の周囲に確定ボタンco11及びキャンセルボタンca11を表示させる(ステップS102)。確定ボタンco11は、診断対象要素画像の入力を終了して診断対象画像を確定するためのボタンである。キャンセルボタンca11は、特定した始点p11の特定を解除するためのボタンである。なお、その他の確定ボタン、及びその他のキャンセルボタンも、それぞれ、確定ボタンco11、及びキャンセルボタンca11と同様の役割を果たす。
次に、図17に示されているように、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e11の終点p12を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e11の終点p12の入力を受け付ける(ステップS103)。これにより、表示制御部34は、始点p11と終点p12の間に診断対象要素画像e11を表示させると共に、診断対象要素画像e11の中央辺りに確定ボタンco12及びキャンセルボタンca12を表示させる(ステップS104)。このように、利用者は、始点と終点を特定することで、診断対象要素画像を描画することができる。
次に、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する(ステップS105)。この時点では、診断対象要素画像が1つしか表示されていないため、判断部35は、複数でないと判断する(ステップS105;NO)。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS106)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けたと判断した場合には(ステップS106;YES)、後述のステップS110の処理に進む。一方、判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS106;NO)、上述のステップS103の処理に戻る。図18では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e12の終点p13を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e12の終点p13の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e12の始点は、診断対象要素画像e11の終点p12であるため、利用者は、診断対象要素画像e12の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS104によって、表示制御部34は、始点(終点p12)と終点p13の間に診断対象要素画像e12を表示させると共に、診断対象要素画像e11と診断対象要素画像e12の間に、確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13を表示させる。そして、ステップS105によって、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する。この時点では、診断対象要素画像が2つ表示されるため、判断部35は、複数であると判断する(ステップS105;YES)。そして、表示制御部34は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11と、この時点の最後の診断対象要素画像e12の終点p13との間で、新たに診断対象要素画像e013を自動的に表示させる(ステップS107)。更に、表示制御部34は、確定ボタンとキャンセルボタンの表示位置を変更する(ステップS108)。ここでは、表示制御部34は、図17に示されている確定ボタンco12及びキャンセルボタンca12から、図18に示されている確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13に変更する。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS109)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS106;NO)、上述のステップS103の処理に戻る。図19では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e13の終点p14を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e13の終点p14の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e13の始点は、診断対象要素画像e12の終点p13であるため、利用者は、診断対象要素画像e13の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS104によって、表示制御部34は、始点(終点p13)と終点p14の間に診断対象要素画像e13を表示させると共に、診断対象要素画像e11,e12,e13の間に、確定ボタンco14及びキャンセルボタンca14を表示させる。そして、ステップS105によって、判断部35は、ステップS104で表示された診断対象要素画像が複数かを判断する。この時点では、診断対象要素画像が3つ表示されるため、判断部35は、複数であると判断する(ステップS105;YES)。そして、ステップS107によって、表示制御部34は、最初の診断対象要素画像e11の始点p11と、この時点の最後の診断対象要素画像e13の終点p14との間で、新たに診断対象要素画像e14を自動的に表示させる。更に、ステップS108によって、表示制御部34は、確定ボタンとキャンセルボタンの表示位置を変更する。ここでは、表示制御部34は、図18に示されている確定ボタンco13及びキャンセルボタンca13から、図19に示されている確定ボタンco14及びキャンセルボタンca14に変更する。
次に、図20に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco14を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS109;YES)。そして、判断部35は、診断対象画像(面積)を確定し、図21に示されているように、表示制御部34は、確定された診断対象画像dt1を表示させる(ステップS110)。更に、表示制御部34は、診断対象画像dt1を含む矩形の診断領域da1を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS111)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。
診断情報入力画面SC3は、利用者が検査者や補助者が書いたコメント等を参考に、各診断情報を入力するための画面である。診断情報入力画面SC3には、既存の(診断)情報の連携する場合の選択ボタン、点検(診断)箇所を選択するためのプルダウンメニュー、点検(診断)部位を選択するためのプルダウンメニュー、変状・異常の種類を選択するためのプルダウンメニュー、判定結果を入力するための入力欄、及びコメントを入力するための入力欄が表示されている。なお、既存の(診断)情報の連携は、既に確定している診断領域内に新たな診断対象画像を含める場合ための処理である。この連携は、例えば、既に水漏れとしての診断対象画像が確定している場合に、これを含む診断領域内に新たにひび割れとしての診断対象画像を含める場合である。また、診断情報入力画面SC3には、入力された診断情報を確定するための「OK」ボタンと、入力された診断情報を取り消すための「CANCEL」ボタンが表示されている。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS112)。
更に、診断情報入力画面SC3には、診断情報入力画面SC3から図22に示されている診断情報入力画面SC4に切り替えるための入力切替ボタンbmが表示されている。この入力切替ボタンbmが押下されると、表示制御部34は、図22に示されている診断情報入力画面SC4に切り替える。診断情報入力画面SC4は、一つの診断領域に複数の診断対象画像を含めて、それぞれの診断対象画像の診断情報を入力するための画面である。例えば、1つの診断領域に3つの診断対象画像(ひび割れ、石灰化、漏水)を含め、まとめて管理する場合に利用される。この場合、後ほど、診断処理装置3から診断管理サーバ5へ診断情報のデータがアップロードされると、診断管理サーバ5では、図5に示されているように、同じ診断領域の番号「3」で、3つの診断対象画像(ひび割れ、石灰化、漏水)が管理されることになる。
また、診断情報入力画面SC4にも、診断情報入力画面SC3と同様に、入力された診断情報を確定するための「OK」ボタンと、入力された診断情報を取り消すための「CANCEL」ボタンが表示されている。更に、診断情報入力画面SC4にも、診断情報入力画面SC4から図21に示されている診断情報入力画面SC3に切り替えるための入力切替ボタンbsが表示されている。この入力切替ボタンbsが押下されると、表示制御部34は、図21に示されている診断情報入力画面SC3に切り替える。
以上の処理によって、診断対象画像(面積)の入力モードにおける診断対象画像dt1及び診断領域da1の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。
<診断対象画像(直線)の入力モード>
続いて、図12、及び図23乃至図28を用いて、診断対象画像(面積)の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断対象画像(直線)の入力モードは、主に診断対象がひび割れの場合に用いられる。
図12は、診断対象画像(直線)の入力モードの処理を示すフローチャートである。図23は、診断位置入力画面において診断対象画像(直線)の入力モードの選択を示した画面例である。図24乃至図28は、診断位置入力画面において診断対象画像を入力する画面例である。
まず、ステップS23において、図23に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb2を選択した場合、表示制御部34は、診断対象画像(直線)の入力モードにする。そこで、図24に示されているように、利用者が、ポインタpoで最初の診断対象要素画像e21の始点p21を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e21の始点p21の入力を受け付ける(ステップS201)。これにより、表示制御部34は、始点p21の周囲に確定ボタンco21及びキャンセルボタンca21を表示させる(ステップS202)。
次に、図25に示されているように、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e21の終点p22を特定すると、受付部32は、最初の診断対象要素画像e21の終点p22の入力を受け付ける(ステップS203)。これにより、表示制御部34は、始点p21と終点p22の間に診断対象要素画像e21及び幅入力画面ws1を表示させると共に、診断対象要素画像e21の中央辺りに確定ボタンco22及びキャンセルボタンca22を表示させる(ステップS204)。このように、利用者は、始点と終点を特定することで、診断対象要素画像を描画することができる。
なお、幅入力画面は、診断対象要素がひび割れの場合の直線の幅を入力するための画面である。幅入力画面は、始点p21と終点p22の間で、診断対象要素画像の付近に表示される。利用者は、トンネル展開画像201に示されている数値(特殊チョークで書かれた数値)や、コメントを参考に幅の値を入力する。利用者が幅入力画面ws1に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図26に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.5」)を表示する。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS205)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS205;NO)、上述のステップS203の処理に戻る。図26では、利用者がポインタpoで診断対象要素画像e22の終点p23を特定すると、受付部32は、診断対象要素画像e22の終点p23の入力を受け付ける。なお、診断対象要素画像e22の始点は、診断対象要素画像e21の終点p22であるため、利用者は、診断対象要素画像e22の始点の特定を省略することができる。これにより、ステップS204によって、表示制御部34は、始点(終点p22)と終点p23の間に診断対象要素画像e22及び幅入力画面ws2を表示させると共に、診断対象要素画像e21,e22の間に、確定ボタンco23及びキャンセルボタンca23を表示させる。利用者が幅入力画面ws2に数値を入力すると、受付部32が入力を受け付け、図27に示されているように、表示制御部34は、入力された数値(「0.7」)を表示する。
次に、図27に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco23を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS205;YES)。そして、判断部35は、診断対象(直線)を確定し、図28に示されているように、表示制御部34は、確定された診断対象画像dt2を表示させる(ステップS206)。更に、表示制御部34は、診断対象画像dt2を含む矩形の診断領域da2を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS207)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS208)。
以上の処理によって、診断対象画像(直線)の入力モードにおける診断対象画像dt2及び診断領域da2の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。
<診断領域の入力モード>
続いて、図13、及び図29乃至図33を用いて、診断領域の入力モードにおけるステップS24の処理を詳細に説明する。この診断領域の入力モードは、先に診断領域を特定した後に診断対象画像を特定する場合に用いられる。
図13は、診断領域の入力モードの処理を示すフローチャートである。図29は、診断位置入力画面において診断領域の入力モードの選択を示した画面例である。図30乃至図33は、診断位置入力画面において診断領域を入力する画面例である。
まず、ステップS23において、図29に示されているように、利用者がポインタpoで選択ボタンb3を選択した場合、表示制御部34は、診断領域の入力モードにする。そこで、図30に示されているように、利用者が、ポインタpoで仮診断領域da03の任意の頂点p31を特定すると、受付部32は、仮診断領域da03の任意の頂点p31の入力を受け付ける(ステップS301)。これにより、表示制御部34は、頂点p31の周囲に確定ボタンco31及びキャンセルボタンca31を表示させる(ステップS302)。
次に、図31に示されているように、利用者がポインタpoで仮診断領域da03の頂点p31の対角の頂点p32を特定すると、受付部32は、仮診断領域da03の頂点p31の対角の頂点p32の入力を受け付ける(ステップS303)。これにより、表示制御部34は、頂点p31と頂点p32を対角の頂点とする矩形の仮診断領域da03を表示させると共に、仮診断領域da03の中央辺りに確定ボタンco32及びキャンセルボタンca32を表示させる(ステップS304)。このように、利用者は、2つの対角となる頂点を特定することで、診断領域を描画することができる。
次に、判断部35は、受付部32によって確定ボタンの押下が受け付けられたかを判断する(ステップS305)。判断部35が確定ボタンの押下を受け付けないと判断した場合には(ステップS305;NO)、上述のステップS303の処理に戻る。この場合は、利用者が頂点p32を特定した後、更に仮診断領域da03の面積を拡大又は縮小するために、頂点p31又は頂点p32を変更する場合である。
一方、図32に示されているように、利用者がポインタpoで確定ボタンco32を押下すると、受付部32は押下を受け付け、判断部35が、確定ボタンが受け付けられたと判断する(ステップS305;YES)。そして、判断部35は、仮診断領域da03を確定する(ステップS306)。更に、表示制御部34は、確定された仮診断領域da03と同じ矩形の診断領域da3を表示すると共に、診断情報入力画面SC3を表示させる(ステップS307)。この場合、診断情報入力画面SC3を目立たせるため、表示制御部34は、診断情報入力画面SC3以外の部分をマスキングする。ここで、利用者が診断情報入力画面SC3に診断情報の選択及び入力を行ない、「OK」ボタンを押下すると、受付部32が、診断情報の選択及び入力を受け付ける(ステップS308)。
以上の処理によって、診断領域の入力モードにおける診断領域da3の描画、及び診断情報の選択及び入力が終了する。その後、利用者は、診断領域da3内に、診断対象画像(面積)の入力モード及び診断対象画像(直線)の入力ノードと同様に、診断対象画像を描画することができる。
<視線切り替え>
続いて、図34及び図35を用いて、トンネル展開画像201の視線切り替えの処理について説明する。図34(a)はトンネルと視点方向の関係を示した図、図34(b)は見上げ図の概念図、図34(c)は見下げ図の概念図である。図35は、視点方向を切り替えた診断対象入力画像を示し、(a)は見上げ図の一例を示した図、(b)は見下げ図の一例を示した概念図である。
トンネル展開図221は、図1に示されているように、トンネル8の内側から天井を見上げた状態で撮影されることにより得られた画像である。これは、「見上げ図」と呼ばれている。しかし、役所に提出しなければならない変状展開図は、図9に示されているように、トンネル8の外側(上空)から見下げた状態の画像である。これは、「見下げ図」と呼ばれている。
図34(a)に示されているように、トンネル8の内側81から視線方向sd1に見た場合の画像は見上げ図であり、図34(b)に示されるような画像となる。この場合、図34(a)の仮想矢印va1,va2の方向は、図34(b)では、それぞれ、左下から上向き、及び右上から下向きとなる。
また、トンネル8の外側82から視線方向sd2に見た場合の画像は見下げ図であり、図34(b)に示されるような画像となる。この場合、図34(a)の仮想矢印va1,va2の方向は、図34(c)では、それぞれ、左上から下向き、及び右下から上向きとなる。即ち、見上げ図と見下げ図は、天地が反転した図である。
表示制御部34は、展開画像の天地を反転して表示する場合に、記憶部3000に記憶されている診断対象要素画像の2次元の位置座標(X,Y)のうち、「Y」を「−Y」として、診断対象要素画像を表示する。
利用者は、図35(a)に示されている診断位置入力画面SC2において、「見下げ図へ切替」の視線切替ボタンbc1を押下すると、受付部32が押下を受け付け、表示制御部34が、図35(a)に示されている見上げ図242aから、図35(b)に示されている見下げ図242bに表示を変更(変換)する。また、利用者は、図35(b)に示されている診断位置入力画面SC2において、「見上げ図へ切替」の視線切替ボタンbc2を押下すると、受付部32が押下を受け付け、表示制御部34が、図35(b)に示されている見下げ図から、図35(a)に示されている見上げ図に表示を変更する。利用者は、どちらの図を使って、診断対象要素又は診断領域を描画してもよい。この場合、記憶部3000に記憶されている診断対象要素画像又は診断領域の座標位置が変更する訳ではなく、あくまで表示制御部34が、表示を変えているに過ぎない。
<写真台帳に添付画像を添付する処理>
続いて、図36及び図37を用いて、図8に示されている提出書類のデータの作成図処理のうち、特に写真台帳に添付画像を添付する処理について説明する。図36は、写真台帳に添付画像を添付する方法を示したフローチャートである。図37は、診断対象画像、診断領域、及び添付画像の関係を示した図である。
図36に示されているように、作成部53は、診断情報管理DB5001から読み出された診断領域の診断領域の位置座標並びに高さ及び幅のデータに基づいて、展開画像における診断領域を特定する(ステップS401)。
次に、作成部53は、前記添付画像の縦横比に従い、前記診断領域を内包する最大の大きさで前記添付画像を作成する(ステップS402)。例えば、図37に示されているように、図19のような診断対象画像dt1を含む診断領域da1の場合、作成部53は、診断領域da1の幅が、矩形の添付画像の対面の2辺を構成するように、添付画像at1を作成する。
次に、判断部55は、診断領域が展開画像の上半分の位置にあるか否かを判断する(ステップS403)。そして、判断部55によって展開画像の上半分の位置にあると判断された場合には、作成部53は、ステップS402によって作成した添付画像の天地を反転する(ステップS404)。即ち、作成部53は、添付画像が構造物を下から見た人の視線方向と天地を同じになるように、添付画像を変換する。例えば、図34に示されているように、展開画像の下半分の位置にある添付画像「P」の場合は、そのまま写真台帳に添付するが、展開画像の上半分の位置にある添付画像「G」の場合は、トンネル内の診断領域が反転して展開画像に表されているため、添付画像「G」の天地を反転する必要がある。そして、作成部53は、展開画像の所定位置に添付画像を添付する(ステップS405)。
一方、上記ステップS403で、判断部55によって展開画像の上半分の位置にない(下半分にある)と判断された場合には、上記ステップS405の処理が行われる。
以上により、写真台帳に添付画像を添付する処理が終了する。これにより、構造物の診断情報を示す写真台帳の作成に関し、従来に比べてミスを減少させるという効果を奏する。
<<実施形態の主な効果>>
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者は診断処理装置3で、トンネル等の構想物の展開画像上で、診断対象を示す診断対象画像を描画すると共に、診断対象の診断結果を含む診断情報を入力することができる。このように、利用者は展開画像上の診断対象に、直接、診断対象画像を描画して診断情報を入力するため、従来のように、あちらこちらと書類や画面を見ながら変状展開図等を作成する場合に比べて、ミスを少なくすることができる。
また、診断処理装置3で、診断領域の位置座標及び診断情報を関連付けて記憶することで、トンネル8等の構造物の診断情報を示す提出書類の作成に関し、従来に比べて手間が掛からないようにすることができる。
更に、写真台帳に添付する写真画像は、トンネル展開画像201のうち診断領域の部分を流用するため、従来のように変状写真を写真台帳に張り合わせたり、張り合わせる場所を間違えたりすることを防止することができる。
また、図35に示されているように、トンネル展開画像の一部202を、図35(a)の見上げ図242aと図35(b)の見下げ図242bとで切り替えて表示することができるため、利用者の好みに応じた(又は慣れた)トンネル展開画像の状態で、診断対象の描画や診断情報の入力を行なうことができるので、ミスを減少することができる。また、国等への提出する際には、診断処理装置3が、見下げ図の状態で出力するため、利用者が勘違いして、提出のミスを防止することができる。
更に、図9に示すように、変状展開図はトンネルの外側から見た「見下げ図」であるが、写真台帳に添付する添付画像はトンネルの内側から撮影して得られた「見上げ図」であることが国等の報告フォーマットとして要求されているため、提出書類を作成する検査業者の作成者は、混乱してしまう。しかも、上述のように、図34に示されているように、写真台帳に添付する添付画像の中には、天地を反転しなければならない画像が存在するため、作成者はますます混乱してしまう。これに対して、本実施形態では、診断管理サーバ5が自動的に提出書類を作成するため、作成ミスを防ぐことができるという効果を奏する。
<<補足>>
上記実施形態では、図21に示されているように、トンネルの展開画像上に、診断情報入力画面3が表示されているが、これに限るものではない。例えば、図38に示されているように、ディスプレイ308内であって、トンネルの展開画像外に診断情報入力画面SC5が表示されるようにしてもよい。または、ディスプレイ308とは別のディスプレイに診断情報入力画面SC5が表示されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、構造物の一例としてトンネルを説明したが、これに限るものではなく、構造物には、気体、液体、粉体、粒体物質の輸送に用いる配管も含まれる。また、構造物には、昇降機(エレベータ)が走行する縦穴状の鉄筋コンクリート構造等の昇降路(エレベータシャフト)も含まれる。
上記実施形態では、診断領域da1に診断対象画像dt1が含まれているが、これに限らず、診断領域da1が診断対象画像dt1と同じであってもよい。
また、上記実施形態では、受付部32が、利用者から診断対象の描画及び診断情報の入力を受け付けるが、これに限るものではない。例えば、診断処理装置3又は診断管理サーバに搭載された人工知能(Artificial Intelligence; AI)が、展開画像上の対象領域を検索し、自動的に診断対象の選択や、診断対象の幅の測定を行なってもよい。なお、診断対象の選択は、人工知能により実現された選択部が実行する。また、診断対象の幅の測定は、人工知能により実現された測定部が実行する。
更に、上記実施形態では、表示制御部34は、トンネル展開画像上に診断情報入力画面SC3を表示したが、これに限らず、トンネル展開画像と共に表示することができれば、トンネル展開画像を小さくして、このトンネル展開画像の周囲の一部に診断情報入力画面SC3を表示してもよい。