JP2019164009A - 表示機構、時計用ムーブメント及び機械式時計 - Google Patents

表示機構、時計用ムーブメント及び機械式時計 Download PDF

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祥太郎 神山
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【課題】機械美及び審美性が低下することを抑制しつつ、時計情報(例えばぜんまいの巻き上げ量に関する情報)を表示すること。【解決手段】第1時計部品60と、第1時計部品に対して組み合わされると共に、ぜんまいに蓄えられた動力が伝えられる第2時計部品28と、第1時計部品と第2時計部品との間に設けられ、動力に対応した外力が付与される表示体81とを備え、表示体は、ピエゾクロミズム材料を主成分とする材料により形成されている表示機構80を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、表示機構、時計用ムーブメント及び機械式時計に関する。
時計の情報を表示する表示方法としては、主に指針を利用した針表示と、円盤針を利用した円盤針表示とに大別される。
針表示による機械式時計としては、例えば下記特許文献1に示されるように、曜日等の情報を扇形状の目盛りで表示すると共に、この目盛りを指す指針が扇形状の中心軸周りに運針後、瞬間的に元の位置に戻る運針を繰り返す、いわゆるレトログラード表示を備えた時計が知られている。このような針表示による機械式時計の場合には、時間経過等に伴う状態変化を、文字板或いは目盛り等に表示される情報と指針との位相から読み取るものである。
円盤針表示の場合には、時間経過等に伴う状態変化を、例えば円盤に記される針の位相や模様の変化から読み取るものである。
特開2006−226990号公報
近年、文字板側、或いは文字板側及び裏蓋側の両方から時計内部のムーブメントの動きやムーブメントの骨格部分を視認することができる、いわゆるスケルトン時計が広く普及され始めている。スケルトン時計は、ムーブメントを構成する時計部品(例えば歯車等)の正確且つ繊細な動きや、これら時計部品及び骨格部分(例えば受等)を含めたムーブメント全体のデザイン等を視認できるので、機械美及び審美性に優れた時計として広く知られている。
この種のスケルトン時計において、上記従来の針表示を採用した場合には、ムーブメントを構成する時計部品と指針とを区別して認識することが難しい場合があり、時間経過等に伴う状態変化を指針に基づいて読み取ることが困難になり易かった。
また、針表示に代えて上記従来の円盤針表示を採用した場合には、円盤針が視界を妨げてしまうので、ムーブメントの内部の視認性が低下し易い。そのため、スケルトン時計の魅力である機械美及び審美性を低下させる要因となってしまう。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、機械美及び審美性が低下することを抑制しつつ、時計情報を表示することができる表示機構、時計用ムーブメント及び機械式時計を提供することである。
(1)本発明に係る表示機構は、第1時計部品と、前記第1時計部品に対して組み合わされると共に、ぜんまいに蓄えられた動力が伝えられる第2時計部品と、前記第1時計部品と前記第2時計部品との間に設けられ、前記動力に対応した外力が付与される表示体と、を備え、前記表示体は、ピエゾクロミズム材料を主成分とする材料により形成されていることを特徴とする。
本発明に係る表示機構によれば、ぜんまいに蓄えられた動力(トルク)に対応した外力(例えば圧縮応力或いは引張応力)を表示体に付与することができる。表示体は、ピエゾクロミズム材料を主成分とする材料に形成されているので、外力に応じて表示体の色を可逆的に変化させることができる。従って、使用者は、表示体の色の状態を視認することで、時計情報であるぜんまいの動力情報、すなわちぜんまいの巻き上げ量に関する情報を一目で把握することができる。
特に、表示体は第1時計部品と第2時計部品との間に設けられているので、表示体を変色させるための新たな機構を特別に付加する必要がなく、従来の時計構造を利用して表示体を変色させることが可能である。そのため、構成の簡略化及び低コスト化を図ることが可能である。さらに、従来の針表示や円盤針表示とは異なり、針を利用せずに時計情報である、ぜんまいの巻き上げ量に関する情報を表示できるので、スケルトン時計に好適に適用することができ、スケルトン時計の魅力である機械美及び審美性が低下することを抑制することができる。
(2)前記第1時計部品は、前記ぜんまいとされ、前記第2時計部品は、前記ぜんまいを径方向の外側から囲む周壁部を有し、内側に前記ぜんまいを収容する香箱車とされ、前記表示体は、所定の厚みを有すると共に前記周壁部に沿って延びるように形成され、前記周壁部の内側に配置されても良い。
この場合には、ぜんまいが時間経過に伴って徐々に巻き解かれて、香箱車の内部において拡径するように弾性変形すると、ぜんまいが香箱車の周壁部の内側に配置された表示体に対して径方向の内側から押し当たる。これにより、表示体を徐々に圧縮変形させるように、表示体に対して外力を付与することができ、表示体の色を変化させることができる。
特に、ぜんまいの巻き解きに伴う動力に対応した外力を、ぜんまいから表示体に対して直接付与することができるので、外力を効率良く且つロスなく表示体に付与することができ、表示体を反応良く変色させることができる。従って、表示体の色の状態を視認することで、より高精度に時計情報、すなわちぜんまいの巻き上げ量に関する情報を把握することができる。
(3)前記第1時計部品は、第1歯部を有し、前記第2時計部品は、前記第1歯部に噛み合う第2歯部を有すると共に、前記ぜんまいから前記動力が伝えられる動力伝達車とされ、前記表示体は、所定の厚みで形成されると共に、前記第1歯部及び前記第2歯部のうちの少なくとも一方の歯部に取り付けられても良い。
この場合には、表示体を介して第1歯部と第2歯部とを噛み合わせることができると共に、第1歯部と第2歯部との噛み合い力を、ぜんまいに蓄えられた動力に対応させることができる。従って、ぜんまいに蓄えられた動力に対応した外力を表示体に付与することができると共に、この外力に応じて第1歯部と第2歯部との間で表示体を圧縮変形させて、表示体の色を変化させることができる。そのため、例えば時間経過に伴ってぜんまいが徐々に巻き解かれ、ぜんまいの動力が低下すると、それに対応して表示体に付与される外力が低下するので、表示体の色を変化させることができる。これにより、表示体の色の状態を視認することで、時計情報、すなわちぜんまいの巻き上げ量に関する情報を把握することができる。
特に、互いに噛み合う第1歯部と第2歯部とを利用して表示体を取り付けるので、表示体に対して常時外力を付与することが可能となり、表示体の色の状態に基づいて、ぜんまいの巻き上げ量に関する情報を常時把握することが可能である。
(4)本発明に係る時計用ムーブメントは、上記表示機構を備えている。
(5)本発明に係る時計は、上記時計用ムーブメントを備えている。
この場合には、上述した表示機構を備えているので、機械美及び審美性が低下することを抑制しつつ、時計情報(ぜんまいの巻き上げ量に関する情報)を表示することができ、スケルトン時計に好適な時計用ムーブメント及び機械式時計とすることができる。
本発明によれば、機械美及び審美性が低下することを抑制しつつ、時計情報(ぜんまいの巻き上げ量に関する情報)を表示することができ、スケルトン時計に好適に適用することができる。
本発明に係る第1実施形態を示す図であって、機械式時計におけるムーブメントの平面図である。 図1に示す香箱車周辺の縦断面図である。 図2に示す香箱ケース及びぜんまいの上面図である。 図3に示す状態からぜんまいが巻き解かれ、ピエゾクロミズムフィルムの色が黄色から赤色に変化した状態を示す、香箱ケース及びぜんまいの上面図である。 図4に示すピエゾクロミズムフィルムの周辺を拡大した縦断面図である。 本発明に係る第2実施形態を示す図であって、香箱ケース及びぜんまいの上面図である。 図6に示すピエゾクロミズムフィルム及び押圧片の周辺を拡大した縦断面図である。 図7に示す状態からぜんまいが巻き解かれ、ピエゾクロミズムフィルムの色が変化した状態を示す図である。 本発明に係る第3実施形態を示す図であって、香箱車周辺の縦断面図である。 図9に示す角穴車及びこはぜの噛み合い部分を拡大した斜視図であって、黄色のピエゾクロミズムフィルムが部分的に赤色に変色している状態を示す図である。 図10に示す状態から、ピエゾクロミズムフィルムが全体にわたって黄色になった状態を示す図である。 第3実施形態の変形例を示す図であって、角穴車及びこはぜの両方に黄色のピエゾクロミズムフィルムが取り付けられた状態を示す、角穴車及びこはぜの斜視図である。 本発明に係る第4実施形態を示す図であって、香箱車及び二番車周辺の縦断面図である。 図13に示す香箱歯車及び二番かなの噛み合い部分を拡大した平面図であって、黄色のピエゾクロミズムフィルムが部分的に赤色に変色している状態を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお本実施形態では、文字板からケース裏蓋に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。
図1に示すように、本実施形態の機械式時計1は、ムーブメント(本発明に係る時計用ムーブメント)2、及びムーブメント2を収容する図示しない時計ケースを備えている。
時計ケースは、図示しないケース裏蓋及びガラスを備え、その内部には少なくとも時に関する情報を示す目盛りを有する図示しない文字板と、目盛りを指す図示しない指針(すなわち時を示す時針、分を示す分針、及び秒を示す秒針)が設けられている。
なお、文字板のうち時に関する情報を示す目盛り以外の部分は、該文字板を貫通する窓孔が適宜形成されている。これにより、ガラス及び窓孔を通じて、ムーブメント2の内部を文字板側から視認することが可能とされている。
さらに、ケース裏蓋は、少なくとも一部分が例えば透明或いは半透明の材料で形成されている。或いは、ケース裏蓋の少なくとも一部分には、透明或いは半透明の材料で形成された透明蓋が取り付けられている。これにより、文字板側からだけでなく、ケース裏蓋側からもムーブメント2の内部を視認することが可能とされている。
このように、本実施形態の機械式時計1は、ムーブメント2を外部から視認することができる、いわゆるスケルトン時計とされている。
ムーブメント2は、基板を構成する地板10と、地板10よりも表側に配置された香箱受11、輪列受12及びてんぷ受13と、を備えている。香箱受11、輪列受12及びてんぷ受13と、地板10との間には、表輪列14、表輪列14の回転を制御する脱進機15、及び脱進機15を調速する調速機16が主に配設されている。なお、地板10の裏側には、図示しない文字板が配置されている。
地板10には、巻真案内穴20が形成されており、巻真案内穴20に巻真21が回転可能に組み込まれている。巻真21は、おしどり22、かんぬき23、かんぬきばね24及び裏押さえ25を有する切換装置により、軸方向の位置が決められている。さらに巻真21の案内軸部には、図示しないきち車が回転可能に設けられている。
巻真21を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車が回転する。きち車が回転することにより、これと噛合う丸穴車26が回転する。丸穴車26が回転することにより、これと噛合う角穴車27が回転する。角穴車27が回転することにより、香箱車28に収容された動力源であるぜんまい60(図2参照)が巻き上げられる。
表輪列14は、上述した香箱車28、二番車30、三番車35、四番車36を主に備えている。二番車30、三番車35及び四番車36は、巻き上げられたぜんまい60の弾性復元力によって回転する香箱車28の回転に伴って順に回転する。
なお、秒針は、四番車36の回転に基づいて回転すると共に脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち1分間で1回転する。分針は、二番車30の回転、或いは二番車30の回転に伴って回転する図示しない分車の回転に基づいて回転すると共に脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。時針は、図示しない日の裏車を介して、二番車30の回転に伴って回転する図示しない筒車の回転に基づいて回転すると共に、脱進機15及び調速機16によって調速された回転速度、すなわち12時間或いは24時間で1回転する。
脱進機15は、四番車36に噛み合うと共にぜんまい60から伝達される動力によって回転するがんぎ車37と、がんぎ車37を脱進させて規則正しく回転させるアンクル38と、を備え、てんぷ39からの規則正しい振動で表輪列14を制御する。
調速機16は、主に図示しないひげぜんまいを動力源として、香箱車28の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)するてんぷ39を備えている。
図2に示すように、香箱車28は、地板10及び香箱受11によって第1軸線O1回りに回転可能に軸支された香箱真40と、香箱真40に対して第1軸線O1回りに相対回転可能に組み合わされ、内部にぜんまい60を収容する香箱ケース41と、を備えている。
なお、第1軸線O1方向から見た平面視において、第1軸線O1に交差する方向を径方向といい、第1軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
香箱真40は、下端部に形成された下ほぞ部40aが地板10に保持された軸受42のほぞ穴42aによって軸支され、上端部に形成された上ほぞ部40bが香箱受11に保持された軸受43のほぞ穴43aによって軸支されている。なお、軸受42としては、例えばルビー等で形成された穴石等が挙げられる。
図2及び図3に示すように、香箱ケース41は、有底筒状のケース本体45、及びケース本体45を上方から閉塞する香箱蓋46を備え、ケース本体45の内部にぜんまい60を収容している。
ケース本体45は、第1軸線O1を中心として円板状に形成された底壁部45aと、底壁部45aの外周縁部に沿って上方に向けて延びるように形成され、ぜんまい60を径方向外側から囲む周壁部45bと、を備えている。
底壁部45aの中央部分には、該底壁部45aを上下に貫通するように形成され、香箱真40に対して第1軸線O1回りに相対回転可能に嵌合する第1嵌合孔47が形成されている。底壁部45aの外周縁部には、径方向外側に向けて突出する香箱歯部48aが全周に亘って形成された香箱歯車48が形成されている。
香箱歯部48aは、図1に示すように、二番車30における二番かな31における歯部31aに噛合している。これにより、二番車30は、二番かな31及び香箱歯車48を介して、香箱車28の回転に伴って第2軸線O2回りに回転する。
図2に示すように、香箱蓋46は、第1軸線O1を中心として円板状に形成され、ケース本体45における周壁部45bの開口部を上方から閉塞している。香箱蓋46の外周縁部は、ケース本体45における周壁部45bの上端部に対して嵌合している。これにより、香箱蓋46及びケース本体45は、互いに一体に組み合わされている。香箱蓋46の中央部分には、該香箱蓋46を上下に貫通するように形成され、香箱真40に対して第1軸線O1回りに相対回転可能に嵌合する第2嵌合孔50が形成されている。
ケース本体45の第1嵌合孔47及び香箱蓋46の第2嵌合孔50が香箱真40に対して第1軸線O1回りにそれぞれ相対回転可能に嵌合することで、香箱ケース41の全体は香箱真40に対して第1軸線O1回りに相対回転可能に組み合わされている。
図2及び図3に示すように、ぜんまい60は、香箱真40に対して渦巻状に巻き付けられていると共に、周壁部45bの内側に配置された状態で香箱ケース41内に収容されている。ぜんまい60は、香箱真40の回転によって縮径するように弾性変形しながら巻き上げられると共に、巻き解ける際の弾性復元力により香箱ケース41を回転させて、二番車30を介して表輪列14に動力(回転トルク)を伝える。
ぜんまい60については、後に詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、角穴車27は、香箱ケース41と香箱受11との間に第1軸線O1と同軸に配置されていると共に、香箱真40に対して例えば圧入等によって固定されている。角穴車27は、丸穴車26に噛み合う角穴歯部55aが全周に亘って形成された角穴歯車55を有しており、丸穴車26の回転に伴って第1軸線O1回りに第1回転方向M1(図1参照)に香箱真40と一体に回転することが可能とされている。これにより、角穴車27の回転によって、香箱真40を介してぜんまい60を巻き上げることが可能とされている。
なお、角穴車27には、ぜんまい60が巻き解ける際の弾性復元力によって、第1回転方向M1とは反対の第2回転方向M2に向けて、ぜんまい60が蓄えている動力が作用する。
図1に示すように、角穴車27には、巻き上げたぜんまい60の巻き解けを防止するために、角穴車27の逆転を規制するこはぜ70が係合している。
こはぜ70は、角穴車27に対して上下方向に重ならない位置に配置されると共に、例えば第3軸線O3回りに揺動可能に香箱受11に軸支され、角穴歯部55aに係合する係合歯部70aを有している。こはぜ70は、角穴車27が第1回転方向M1に回転したときに、係合歯部70aが角穴歯部55aに対して係合する係合位置(図1に示す位置)から、第3軸線O3を中心として第3回転方向M3に回転して角穴歯部55aに対する係合歯部70aの係合が解除される解除位置に揺動可能とされている。
さらにこはぜ70は、図示しないこはぜばねからのばね力によって、上記解除位置から上記係合位置に向けて第3軸線O3回りに付勢されている。これにより、角穴車27は、こはぜ70の係合歯部70aに角穴歯部55aを1つずつ乗り越えさせるように、こはぜばねのばね力(弾性力)に抗しつつ第1回転方向M1に回転可能とされている。
さらにこはぜ70は、係合歯部70aが角穴歯部55aに対して係合する係合位置から、第3軸線O3を中心として第3回転方向M3とは反対の第4回転方向M4に回転することが規制されている。これにより、角穴車27は、第1回転方向M1への回転については許容されるが、その反対の第2回転方向M2への回転はこはぜ70によって規制されている。これにより、先に述べたように、角穴車27は逆転が防止され、第1回転方向M1のみの回転が許容されている。
上述したぜんまい60について詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態のぜんまい60は、スリッピングアタッチメント65を介して香箱ケース41に対して組み合わされている。
ぜんまい60は、所定の曲げ弾性を有する細長い帯状片とされ、渦巻き状に巻かれた状態で周壁部45bの内側に収容されている。ぜんまい60の内端部側には巻部61が形成され、巻部61を介して香箱真40に一体に連結されている。ぜんまい60のうち、外端部62を含む最も外周側の1巻部分、すなわち最外周部分63は、スリッピングアタッチメント65の外周面に例えば溶接、接着或いは加締め等によって一体に固着されている。
スリッピングアタッチメント65は、所定の厚みを有し、周壁部45bに沿って延びる帯状に形成され、図示の例では周方向の一部が分断された平面視C形状に形成されている。ただし、スリッピングアタッチメント65の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば環状(リング状)に形成しても構わない。この場合には、スリッピングアタッチメント65の内周面に、ぜんまい60の最外周部分63を固着すれば良い。
本実施形態では、ぜんまい60の最外周部分63は、周壁部45bとスリッピングアタッチメント65との間に挟まれた状態で配置されている。なお、ぜんまい60の外端部62は、スリッピングアタッチメント65における分断部分に位置している。さらに、ぜんまい60のうち最外周部分63以外の部分は、上記分断部分を通じて、スリッピングアタッチメント65の内側に入り込み、スリッピングアタッチメント65の内側で渦巻き状に巻回されている。
スリッピングアタッチメント65は、香箱ケース41における周壁部45bに対して、ぜんまい60の最外周部分63を間に挟んだ状態で所定の押圧力で接触している。
具体的には、ぜんまい60の巻き上げ時、ぜんまい60を介してスリッピングアタッチメント65に所定の回転トルクが伝わったとしても、スリッピングアタッチメント65は上記押圧力によって周壁部45bに対して相対回転することが防止されている。そのため、スリッピングアタッチメント65を回転させることなく、ぜんまい60の巻き上げを行うことが可能とされている。
これに対して、ぜんまい60の巻き上げ時、所定の回転トルクを超えるような(上記押圧力を超えるような)回転トルクがスリッピングアタッチメント65に伝わった場合には、周壁部45bに対してスリッピングアタッチメント65を相対回転させることができる。これにより、スリッピングアタッチメント65と共に、ぜんまい60を香箱真40と共に回転させることができるので、ぜんまい60が過度に巻き上げられてしまうことを防止することができる。
これにより、ぜんまい切れを防止しながら、ぜんまい60を適切に巻き上げることが可能とされている。
(表示機構)
上述のように構成されたムーブメント2は、時間経過等に伴う状態変化を含む時計情報、具体的には、ぜんまい60の動力情報、すなわちぜんまい60の巻き上げ量に関する情報(パワーリザーブ量)を表示する表示機構80を備えている。
図2及び図3に示すように、表示機構80は、上述したぜんまい(本発明に係る第1時計部品)60と、ぜんまい60に対して組み合わされ、ぜんまい60に蓄えられた動力が伝えられる上述した香箱車(本発明に係る第2時計部品)28と、ぜんまい60と香箱車28との間に設けられ、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応した外力が付与されるピエゾクロミズムフィルム(本発明に係る表示体)81と、を備えている。
ピエゾクロミズムフィルム81は、ピエゾクロミズム材料を主成分とする材料により形成され、所定の厚みで周壁部45bに沿って延びるように帯状に形成されている。ピエゾクロミズム材料とは、外部から圧力(圧縮応力或いは引張応力)が付与されることにより、可逆的に色が変化する材料をいう。
本実施形態のピエゾクロミズムフィルム81は、無負荷状態から外力が付与されることにより、例えば黄色から赤色に変色可能なように構成されている。この場合、ピエゾクロミズムを示す分子(クロミック分子)としては、例えばジアリールビベンゾフラノン(DABBF)構造を有する化合物が挙げられる。
ただし、ピエゾクロミズムフィルム81の色の変化は、上述した場合に限定されるものではなく、その他のクロミック分子を利用することで他の色による変化を生じさせることができる。例えば、ビアントロン構造を有する化合物を含むクロミック分子でピエゾクロミズムフィルム81を形成することで、負荷状態から外力が付与されることにより、黄色から緑色に変色させることが可能となる。
さらに、変色する際のピエゾクロミズムフィルム81の色の濃度は、例えば外力の大きさに対応させることが可能であり、また外力が大きいほど色濃く発色させることも可能である。
ピエゾクロミズムフィルム81は、スリッピングアタッチメント65の厚みと略同等の厚みとされていると共に、スリッピングアタッチメント65と同等の長さの平面視C形状に形成され、スリッピングアタッチメント65の内周面に例えば接着等により固定されている。
従って、図3に示すように、ぜんまい60が巻き上げられている状態では、ピエゾクロミズムフィルム81には外力が付与されず、ピエゾクロミズムフィルム81は無負荷状態とされている。これに対して、図4及び図5に示すようにぜんまい60が巻き解かれた状態では、ぜんまい60がピエゾクロミズムフィルム81に対して径方向内側から押し当たるので、ピエゾクロミズムフィルム81に対して外力を付与することができ、ピエゾクロミズムフィルム81の色を黄色から赤色に変化させることが可能とされている。
図1及び図2に示すように、香箱蓋46には、該香箱蓋46を上下に貫通する表示窓51が形成されている。図示の例では、表示窓51は、香箱蓋46のうちピエゾクロミズムフィルム81の上方に位置する部分に形成されていると共に、第1軸線O1を中心として周方向に延びる平面視円弧状に形成されている。さらに、表示窓51は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
これにより、表示窓51を通じて、機械式時計1の外部からピエゾクロミズムフィルム81を視認することが可能とされている。
ただし、表示窓51の形状は、上述した場合に限定されるものではなく、例えば平面視円形状、楕円状、多角形状に形状しても構わない。さらには、表示窓51に、透明或いは半透明の透明部材を嵌め込んでも構わない。
(機械式時計の作用)
次いで、上述のように構成された表示機構80を有する機械式時計1の作用について説明する。
図1〜図3に示すように、ぜんまい60が巻き上げられている状態では、ピエゾクロミズムフィルム81は無負荷状態であるので黄色となっている。巻き上げによってぜんまい60に蓄えられた動力は、スリッピングアタッチメント65を介して香箱ケース41に伝わると共に、香箱真40を介して角穴車27に伝わる。しかしながら角穴車27は、ぜんまい60からの動力によって、第1回転方向M1とは反対の第2回転方向M2に向けて回転しようとするが、こはぜ70によって第2回転方向M2への回転が規制されている。
従って、巻き上げられたぜんまい60は、時間経過に伴って弾性復元力により徐々に巻き解かれて、香箱車28の内部において拡径するように弾性変形する。これにより、香箱ケース41を第1軸線O1回りに回転させることができ、二番車30を介して表輪列14に動力を伝えることができる。
そして、さらに時間が経過すると、図4及び図5に示すように、ぜんまい60がスリッピングアタッチメント65の内周面に固定されたピエゾクロミズムフィルム81に対して径方向内側から押し当たる。これにより、ピエゾクロミズムフィルム81を徐々に圧縮変形させるように、ピエゾクロミズムフィルム81に対して外力を付与することができる。
これにより、ピエゾクロミズムフィルム81を、この外力によって黄色から赤色に変化させることができる。従って、使用者は、表示窓51を通じてピエゾクロミズムフィルム81が黄色から赤色に変化したことを視認することで、時計情報であるぜんまい60の巻き上げ量に関する情報(パワーリザーブ量)を一目で把握することができる。
つまり、ピエゾクロミズムフィルム81が赤色に変化したことで、ぜんまい60の巻き上げ量が低下したこと、すなわち残量がなくなってきたことを把握することができる。
なお、ぜんまい60が完全に巻き解けた場合には、ピエゾクロミズムフィルム81に最も強く外力が付与されるので、例えばピエゾクロミズムフィルム81を最も濃い赤色に変化させることも可能である。そのため、ぜんまい60の巻き上げ量が最小になったことを一目で把握することができる。
その後、使用者によってぜんまい60の巻き上げを行った場合には、図3に示すように、ぜんまい60が縮径するように弾性変形してピエゾクロミズムフィルム81から離間するので、ピエゾクロミズムフィルム81は再び無負荷状態となる。そのため、ピエゾクロミズムフィルム81を、赤色から黄色に変化させることができる。
従って、使用者は表示窓51を通じてピエゾクロミズムフィルム81が再び黄色に変化したことを視認することで、ぜんまい60が適切に巻き上げられて、巻き上げ量が増加したこと、すなわち十分に残量を有していることを把握することができる。
以上説明したように、本実施形態の機械式時計1によれば、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応した外力に応じてピエゾクロミズムフィルム81の色を可逆的に変化させることができるので、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を一目で把握することができる。
特に、ピエゾクロミズムフィルム81は、ぜんまい60と香箱車28との間に設けられているので、ピエゾクロミズムフィルム81を変色させるための新たな機構を特別に付加する必要がなく、従来の時計構造を利用してピエゾクロミズムフィルム81を変色させることが可能である。そのため、構成の簡略化及び低コスト化を図ることが可能である。
さらに、従来の針表示や円盤針表示とは異なり、針を利用せずにぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を表示できるので、スケルトン時計の魅力である機械美及び審美性が低下することを抑制することができる。
従って、本実施形態のムーブメント2及び機械式時計1によれば、上記表示機構80を具備しているので、スケルトン時計に好適なムーブメント及び時計とすることができる。
さらに、ピエゾクロミズムフィルム81をスリッピングアタッチメント65に固定しているので、ぜんまい60の巻き解きに伴う動力に対応した外力を、ぜんまい60からピエゾクロミズムフィルム81に対して直接付与することができる。従って、外力を効率良く且つロスなくピエゾクロミズムフィルム81に付与することができ、ピエゾクロミズムフィルム81を反応良く変色させることができる。
従って、ピエゾクロミズムフィルム81の色の状態を視認することで、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を精度良く把握することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81をスリッピングアタッチメント65の内周面に固定したが、本実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81を、スリッピングアタッチメント65と香箱ケース41の周壁部45bとの間に配置している。
図6及び図7に示すように、本実施形態の表示機構90では、ピエゾクロミズムフィルム81が環状(リング状)に形成され、周壁部45bの内周面に接触した状態で配置されている。さらに、ピエゾクロミズムフィルム81とぜんまい60の最外周部分63との間には、周壁部45bに沿って延びた押圧片91が配置されている。
押圧片91は、所定の厚みを有すると共に平面視円弧状に形成された板片であり、例えば周方向に間隔をあけて複数配置されている。押圧片91は、その下端部が香箱ケース41における底壁部45aに形成されたガイド溝92内に収納されている。ガイド溝92は、下方に向けて凹むと共に、押圧片91に対応して平面視円弧状に形成され、且つ押圧片91の数に対応して周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、複数の押圧片91は、下端部がガイド溝92内にそれぞれ収納されている。従って、複数の押圧片91は、周方向に位置決めされた状態で香箱ケース41内に配置されている。
さらに、ガイド溝92の径方向に沿った溝幅は、押圧片91の厚みよりも幅広に形成されている。これにより、押圧片91は、ガイド溝92内に下端部が収納された状態で、径方向にスライド移動可能とされている。
スリッピングアタッチメント65は、複数の押圧片91に対して、ぜんまい60の最外周部分63を間に挟んだ状態で所定の押圧力で接触している。さらに、香箱蓋46に形成された表示窓51は、第1実施形態よりも香箱蓋46の外周縁部寄りに形成されており、ピエゾクロミズムフィルム81の上方に位置するように形成されている。
(機械式時計の作用)
上述のように構成された表示機構90を具備する機械式時計1の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
すなわち、図6及び図7に示すように、ぜんまい60が巻き上げられている状態では、ピエゾクロミズムフィルム81は無負荷状態であるので黄色となっている。その後、巻き上げられたぜんまい60が時間経過に伴って徐々に巻き解かれると、拡径するように弾性変形するので、図8に示すように、スリッピングアタッチメント65に対して径方向内側から押し当たる。これにより、スリッピングアタッチメント65を介して押圧片91を径方向外側に向けて押し込むことができ、押圧片91をガイド溝92内で径方向外側にスライド移動させることができる。従って、押圧片91と周壁部45bとの間でピエゾクロミズムフィルム81を徐々に圧縮変形させるように、ピエゾクロミズムフィルム81に対して外力を付与することができる。
その結果、ピエゾクロミズムフィルム81を、外力によって黄色から赤色に変化させることができる。従って、使用者は、表示窓51を通じてピエゾクロミズムフィルム81が黄色から赤色に変化したことを視認することで、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を一目で把握することができ、ぜんまい60の巻き上げ量の残量がなくなってきたことを把握することができる。
なお、本実施形態の場合であっても、使用者によってぜんまい60の巻き上げを行った場合には、図6に示すように、ぜんまい60が縮径するように弾性変形するので、ピエゾクロミズムフィルム81は再び無負荷状態となる。そのため、ピエゾクロミズムフィルム81を、赤色から黄色に変化させることができる。従って、使用者は表示窓51を通じてピエゾクロミズムフィルム81が再び黄色に変化したことを視認することで、ぜんまい60が適切に巻き上げられて、巻き上げ量が増加したこと、すなわち十分に残量を有していることを把握することができる。
上述のように本実施形態の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。それに加え、本実施形態の場合には、ピエゾクロミズムフィルム81を環状に形成することができるので、ピエゾクロミズムフィルム81に対する表示窓51の周方向位置を位置合わせする必要がない。従って、表示機構90の組立性を向上することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、ぜんまい60と香箱車28との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けることで表示機構80を構成したが、本実施形態では、こはぜ70と角穴車27との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けることで表示機構を構成している。
図9及び図10に示すように、本実施形態の表示機構100は、こはぜ(本発明に係る第1時計部品)70と、ぜんまい60に蓄えられた動力が伝えられる角穴車(本発明に係る動力伝達車、第2時計部品)27と、こはぜ70と角穴車27との間に設けられたピエゾクロミズムフィルム81と、を備えている。
なお本実施形態の場合には、香箱車28の内部にぜんまい60及びスリッピングアタッチメント65のみが配置されている。
第1実施形態で説明したように、角穴車27は、角穴歯部(本発明に係る第2歯部)55aが全周に亘って形成された角穴歯車55を有しており、丸穴車26の回転に伴って第1軸線O1回りに第1回転方向M1に香箱真40と一体に回転することが可能とされている。さらに、角穴車27には、ぜんまい60が巻き解ける際の弾性復元力によって、第1回転方向M1とは反対の第2回転方向M2に向けて、ぜんまい60が蓄えている動力が作用する。
こはぜ70は、角穴歯部55aに係合する係合爪状の係合歯部(本発明に係る第1歯部)70aを有しており、係合歯部70aが角穴歯部55aに対して係合する係合位置から、第3軸線O3を中心として第3回転方向M3とは反対の第4回転方向M4に回転することが規制されている。これにより、角穴車27は、第1回転方向M1への回転については許容されるが、その反対の第2方向への回転はこはぜ70によって規制されている。これにより、角穴車27は逆転が防止され、第1回転方向M1のみの回転が許容されている。
従って、こはぜ70の係合歯部70aと角穴車27の角穴歯部55aとの噛み合い力は、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応している。
ピエゾクロミズムフィルム81は、所定の厚みを有する帯状に形成され、係合歯部70a及び角穴歯部55aのうちの少なくとも一方の歯部に取り付けられている。本実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81は、全ての角穴歯部55aの周面を覆うように(被覆するように)角穴歯車55側に例えば接着等により取り付けられている。これにより、こはぜ70の係合歯部70aと角穴車27の角穴歯部55aとは、ピエゾクロミズムフィルム81を介して互いに噛み合っている。
(機械式時計の作用)
上述のように構成された表示機構100を具備する機械式時計1の場合には、こはぜ70の係合歯部70aと角穴車27の角穴歯部55aとが、ピエゾクロミズムフィルム81を介して互いに噛み合っているので、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応した外力をピエゾクロミズムフィルム81に付与することができると共に、この外力に応じて係合歯部70aと角穴歯部55aとの間でピエゾクロミズムフィルム81を圧縮変形させて、ピエゾクロミズムフィルム81の色を変化させることができる。
具体的には、ぜんまい60が巻き上げられている状態では、ぜんまい60には高い動力が蓄えられている。そのため、こはぜ70の係合歯部70aと角穴車27の角穴歯部55aとは、この動力に対応した強い噛み合い力で噛み合っている。そのため、図10に示すように、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている係合歯部70aと角穴歯部55aとの間に位置する部分に外力を付与することができ、この部分を圧縮変形させて黄色から赤色に変化させることができる。つまり、ピエゾクロミズムフィルム81の色を、部分的に赤色に変色させることができる。
従って、使用者はピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている係合歯部70aと角穴歯部55aとの間に位置する部分が赤色に変化していることを確認することで、ぜんまい60が適切に巻き上げられて、巻き上げ量が十分であること、すなわち十分に残量を有していることを把握することができる。
その後、巻き上げられたぜんまい60が時間経過に伴って徐々に巻き解かれると、ぜんまい60が蓄えている動力が徐々に低下するので、これに対応して、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている係合歯部70aと角穴歯部55aとの間に位置する部分に付与される外力も低下する。
そのため、例えばぜんまい60が完全に巻き解かれた際、図11に示すように、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている係合歯部70aと角穴歯部55aとの間に位置する部分に付与する外力を十分に低下(例えば無負荷に近い状態まで低下)させることができ、赤色から黄色に変化させることができる。これにより、ピエゾクロミズムフィルム81の色を、全体に亘って黄色にすることができ、部分的な変色をなくすことができる。
従って、使用者はピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている係合歯部70aと角穴歯部55aとの間に位置する部分が黄色に変化していることを確認することで、ぜんまい60の巻き上げ量が低下したこと、すなわち残量がなくなってきたことを把握することができる。
上述のように、本実施形態の表示機構100の場合であっても、ピエゾクロミズムフィルム81の色の状態を視認することで、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を一目で把握することができる。
特に、互いに噛み合うこはぜ70の係合歯部70aと角穴車27の角穴歯部55aとを利用してピエゾクロミズムフィルム81を取り付けるので、ピエゾクロミズムフィルム81に対して、常時外力を付与することが可能である。従って、ピエゾクロミズムフィルム81の色の状態に基づいて、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を常時把握することができる。
なお、上述した第3実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81を角穴歯車55側に取り付けたが、この場合に限定されるものではなく、例えば図12に示すように、角穴歯車55側に加え、係合歯部70aの周面を覆うようにこはぜ70側にさらにピエゾクロミズムフィルム81を取り付けても構わない。なお、図12では、ピエゾクロミズムフィルム81がほぼ無負荷状態とされ、全体に亘って黄色とされている場合を示している。
さらには、角穴歯車55側に取り付けず、係合歯部70aの周面を覆うようにこはぜ70側にだけピエゾクロミズムフィルム81取り付けても構わない。
いずれの場合であっても、上述した第3実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態では、こはぜ70と角穴車27との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けることで表示機構100を構成したが、本実施形態では、二番車30と香箱車28との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けることで表示機構110を構成している。
図13及び図14に示すように、本実施形態の表示機構110は、二番車(本発明に係る第1時計部品)30と、ぜんまい60に蓄えられた動力が伝えられる香箱車(本発明に係る動力伝達車、第2時計部品)28と、二番車30と香箱車28との間に設けられたピエゾクロミズムフィルム81と、を備えている。
第1実施形態で説明したように、二番車30は、歯部(本発明に係る第2歯部)31aが全周に亘って形成された二番かな31を有しており、香箱車28の回転に伴って第2軸線O2回りに回転する。香箱車28は、二番かな31の歯部31aに噛み合う香箱歯部(本発明に係る第1歯部)48aが全周に亘って形成された香箱歯車48を有している。従って、二番かな31の歯部31aと香箱歯車48の香箱歯部48aとの噛み合い力は、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応している。
ピエゾクロミズムフィルム81は、所定の厚みを有する帯状に形成され、二番かな31の歯部31a及び香箱歯部48aのうちの少なくとも一方の歯部に取り付けられている。本実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81は、二番かな31の全ての歯部31aの周面を覆うように二番かな31側に例えば接着等により取り付けられている。これにより、二番かな31の歯部31aと香箱歯車48の香箱歯部48aとは、ピエゾクロミズムフィルム81を介して互いに噛み合っている。
(機械式時計の作用)
上述のように構成された表示機構110の場合には、第3実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
すなわち、二番かな31の歯部31aと香箱歯車48の香箱歯部48aとが、ピエゾクロミズムフィルム81を介して互いに噛み合っているので、ぜんまい60に蓄えられた動力に対応した外力をピエゾクロミズムフィルム81に付与することができると共に、この外力に応じて二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとの間でピエゾクロミズムフィルム81を圧縮変形させて、ピエゾクロミズムフィルム81の色を変化させることができる。
具体的には、ぜんまい60が巻き上げられている状態では、ぜんまい60には高い動力が蓄えられている。そのため、二番かな31の歯部31aと香箱歯車48の香箱歯部48aとは、この動力に対応した強い噛み合い力で噛み合っている。そのため、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとの間に位置する部分に外力を付与することができ、この部分を圧縮変形させて黄色から赤色に変化させることができる。つまり、ピエゾクロミズムフィルム81の色を、部分的に赤色に変色させることができる。
その後、巻き上げられたぜんまい60が時間経過に伴って徐々に巻き解かれると、ぜんまい60が蓄えている動力が徐々に低下するので、これに対応して、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとの間に位置する部分に付与される外力も低下する。
そのため、例えばぜんまい60が完全に巻き解かれた際、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとの間に位置する部分に付与する外力を十分に低下(例えば無負荷に近い状態まで低下)させることができ、赤色から黄色に変化させることができる。これにより、ピエゾクロミズムフィルム81の色を全体に亘って黄色にすることができ、部分的な変色をなくすことができる。
従って、本実施形態に場合であっても、第3実施形態と同様に、ピエゾクロミズムフィルム81のうち、互いに噛み合っている二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとの間に位置する部分の色の状態を視認することで、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を一目で把握することができる。
さらに、互いに噛み合う二番かな31の歯部31aと香箱歯部48aとを利用してピエゾクロミズムフィルム81を取り付けるので、ピエゾクロミズムフィルム81に対して、常時外力を付与することが可能である。従って、ピエゾクロミズムフィルム81の色の状態に基づいて、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報を常時把握することができる。
なお、上述した第4実施形態では、ピエゾクロミズムフィルム81を二番かな31側に取り付けたが、この場合に限定されるものではない。例えば、二番かな31側に加え、香箱歯部48aの周面を覆うように香箱歯車48側にさらにピエゾクロミズムフィルム81を取り付けても構わない。さらには、二番かな31側に取り付けず、香箱歯部48aの周面を覆うように香箱歯車48側にだけピエゾクロミズムフィルム81取り付けても構わない。
いずれの場合であっても、上述した第4実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記各実施形態では、香箱車28の内部にスリッピングアタッチメント65を具備する構成を例に挙げて説明したが、スリッピングアタッチメント65は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
この場合には、例えば香箱ケース41における周壁部45bの内周面に凹部を形成すると共に、ぜんまい60の外端部62に上記凹部に対して周方向から係止可能な係止部を固着させ、係止部を凹部に対して係止させる構成を採用すれば良い。これにより、ぜんまい60に蓄えられた動力を香箱ケース41に伝えることが可能となる。このように構成した場合において、例えば周壁部45bのうち上記凹部を除く部分の内周面に、ピエゾクロミズムフィルム81を接着等によって固定することで、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏功することか可能となる。
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態では、香箱蓋46を具備する香箱車28を例に挙げて説明したが、香箱蓋46は必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、ぜんまい60の動きを視認することができるので、さらに機械美及び審美性に優れたスケルトン時計として機械式時計1を構成することができる。
特に、表示窓51が形成された香箱蓋46を具備しないので、ピエゾクロミズムフィルム81の全体を視認することができる。従って、ピエゾクロミズムフィルム81の色の状態に基づいて、ぜんまい60の巻き上げ量に関する情報をより一層把握することができ、好ましい。
さらに上記第1実施形態及び第2実施形態において、香箱車28の底壁部45aにピエゾクロミズムフィルム81を視認するための表示窓51をさらに形成しても構わない。
さらに上記第3実施形態では、こはぜ70と角穴車27との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けた場合を説明し、第4実施形態では、二番車30と香箱車28との間にピエゾクロミズムフィルム81を設けた場合を説明したが、これらの場合に限定されるものではなく、他の時計部品同士の間にピエゾクロミズムフィルム81を設けても構わない。
例えば表輪列14のうち、二番車30よりも動力伝達方向の下流側に位置する第1時計部品と、この第1時計部品の第1歯部と噛み合う第2歯部を有し、ぜんまい60から動力が伝えられる動力伝達車である第2時計部品と、の間にピエゾクロミズムフィルム81を設けても構わない。この場合であっても、第3実施形態及び第4実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
1…機械式時計
2…ムーブメント(時計用ムーブメント)
27…角穴車(第2時計部品、動力伝達車)
28…香箱車(第2時計部品、動力伝達車)
30…二番車(第1時計部品)
31a…二番かなの歯部(第1歯部)
45b…香箱車の周壁部
48a…香箱歯部(第2歯部)
55a…角穴歯部(第2歯部)
60…ぜんまい(第1時計部品)
70…こはぜ(第1時計部品)
70a…係合歯部(第1歯部)
80、90、100、110…表示機構
81…ピエゾクロミズムフィルム(表示体)

Claims (5)

  1. 第1時計部品と、
    前記第1時計部品に対して組み合わされると共に、ぜんまいに蓄えられた動力が伝えられる第2時計部品と、
    前記第1時計部品と前記第2時計部品との間に設けられ、前記動力に対応した外力が付与される表示体と、を備え、
    前記表示体は、ピエゾクロミズム材料を主成分とする材料により形成されていることを特徴とする表示機構。
  2. 請求項1に記載の表示機構において、
    前記第1時計部品は、前記ぜんまいとされ、
    前記第2時計部品は、前記ぜんまいを径方向の外側から囲む周壁部を有し、内側に前記ぜんまいを収容する香箱車とされ、
    前記表示体は、所定の厚みを有すると共に前記周壁部に沿って延びるように形成され、前記周壁部の内側に配置されている、表示機構。
  3. 請求項1に記載の表示機構において、
    前記第1時計部品は、第1歯部を有し、
    前記第2時計部品は、前記第1歯部に噛み合う第2歯部を有すると共に、前記ぜんまいから前記動力が伝えられる動力伝達車とされ、
    前記表示体は、所定の厚みで形成されると共に、前記第1歯部及び前記第2歯部のうちの少なくとも一方の歯部に取り付けられている、表示機構。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の表示機構を備えている、時計用ムーブメント。
  5. 請求項4に記載の時計用ムーブメントを備えている、機械式時計。
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