JP2019163937A - 放射線検出器、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射層を設ける場合であっても感度特性とDQE特性を向上させることができる放射線検出器、及びその製造方法を提供することである。【解決手段】実施形態に係る放射線検出器は、基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換部と、を有するアレイ基板と、前記複数の光電変換部の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータと、少なくとも前記シンチレータの上面に設けられ、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層と、を備えている。前記発光物質は、前記放射線が入射すると蛍光を発生する。【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、放射線検出器、及びその製造方法に関する。
放射線検出器の一例にX線検出器がある。X線検出器には、X線を可視光すなわち蛍光に変換するシンチレータと、蛍光を信号電荷に変換する複数の光電変換部を有するアレイ基板と、が設けられている。また、蛍光の利用効率を高めるために、シンチレータの上に反射層を設ける場合がある。
一般的に、反射層は、高屈折率の材料(例えば、TiO2)を含む複数の粒子と、高屈折率の材料を含む複数の粒子を保持する樹脂とを含んでいる。高屈折率の材料を含む複数の粒子を用いれば反射率を高めることができるので、蛍光の利用効率を向上させることができる。
一般的に、反射層は、高屈折率の材料(例えば、TiO2)を含む複数の粒子と、高屈折率の材料を含む複数の粒子を保持する樹脂とを含んでいる。高屈折率の材料を含む複数の粒子を用いれば反射率を高めることができるので、蛍光の利用効率を向上させることができる。
ここで、反射層にはX線が入射するので、入射するX線の一部が高屈折率の材料を含む複数の粒子に吸収される。吸収されたX線は、シンチレータで生じる発光には全く寄与しないので、画像データ情報の一部が捨てられることになる。この場合、充分な反射率を確保するために反射層の厚みを厚くすると、シンチレータの上に設けられる粒子の数が多くなり、X線の吸収率がさらに増加することになる。X線の吸収率が増加すると、感度特性やDQE(Detective Quantum Efficiency)特性が低下するおそれがある。
そこで、反射層を設ける場合であっても感度特性とDQE特性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
そこで、反射層を設ける場合であっても感度特性とDQE特性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
本発明が解決しようとする課題は、反射層を設ける場合であっても感度特性とDQE特性を向上させることができる放射線検出器、及びその製造方法を提供することである。
実施形態に係る放射線検出器は、基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換部と、を有するアレイ基板と、前記複数の光電変換部の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータと、少なくとも前記シンチレータの上面に設けられ、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層と、を備えている。前記発光物質は、前記放射線が入射すると蛍光を発生する。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明の実施形態に係る放射線検出器は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
また、以下に例示をするX線検出器1は、放射線画像であるX線画像を検出するX線平面センサである。X線検出器1は、例えば、一般医療用途などに用いることができる。ただし、X線検出器1の用途は、一般医療用途に限定されるわけではない。
また、本発明の実施形態に係る放射線検出器は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
また、以下に例示をするX線検出器1は、放射線画像であるX線画像を検出するX線平面センサである。X線検出器1は、例えば、一般医療用途などに用いることができる。ただし、X線検出器1の用途は、一般医療用途に限定されるわけではない。
図1は、本実施の形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1においては、保護層2f、反射層6、防湿体7、接着層8などを省いて描いている。
図2は、X線検出器1の模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図2においては、信号処理部3、画像処理部4などを省いて描いている。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1においては、保護層2f、反射層6、防湿体7、接着層8などを省いて描いている。
図2は、X線検出器1の模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図2においては、信号処理部3、画像処理部4などを省いて描いている。
図1および図2に示すように、X線検出器1には、アレイ基板2、信号処理部3、画像処理部4、シンチレータ5、反射層6、防湿体7、および接着層8が設けられている。
アレイ基板2は、基板2a、光電変換部2b、制御ライン(又はゲートライン)2c1、データライン(又はシグナルライン)2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2および保護層2fを有する。
なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2の数などは例示をしたものに限定されるわけではない。
アレイ基板2は、基板2a、光電変換部2b、制御ライン(又はゲートライン)2c1、データライン(又はシグナルライン)2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2および保護層2fを有する。
なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2の数などは例示をしたものに限定されるわけではない。
基板2aは、板状を呈し、無アルカリガラスなどの透光性材料から形成されている。
光電変換部2bは、基板2aの一方の面に複数設けられている。光電変換部2bは、矩形状を呈し、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより画された領域に設けられている。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。なお、1つの光電変換部2bは、X線画像の1つの画素(pixel)に対応する。
光電変換部2bは、基板2aの一方の面に複数設けられている。光電変換部2bは、矩形状を呈し、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより画された領域に設けられている。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。なお、1つの光電変換部2bは、X線画像の1つの画素(pixel)に対応する。
複数の光電変換部2bのそれぞれには、光電変換素子2b1と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)2b2が設けられている。
また、光電変換素子2b1において変換した電荷が供給される蓄積キャパシタを設けることができる。蓄積キャパシタは、例えば、矩形平板状を呈し、薄膜トランジスタ2b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子2b1の容量によっては、光電変換素子2b1が蓄積キャパシタを兼ねることができる。
また、光電変換素子2b1において変換した電荷が供給される蓄積キャパシタを設けることができる。蓄積キャパシタは、例えば、矩形平板状を呈し、薄膜トランジスタ2b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子2b1の容量によっては、光電変換素子2b1が蓄積キャパシタを兼ねることができる。
光電変換素子2b1は、例えば、フォトダイオードなどとすることができる。
薄膜トランジスタ2b2は、蓄積キャパシタへの電荷の蓄積および放出のスイッチングを行う。薄膜トランジスタ2b2は、ゲート電極2b2a、ドレイン電極2b2b及びソース電極2b2cを有している。薄膜トランジスタ2b2のゲート電極2b2aは、対応する制御ライン2c1と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のドレイン電極2b2bは、対応するデータライン2c2と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のソース電極2b2cは、対応する光電変換素子2b1と蓄積キャパシタとに電気的に接続される。また、光電変換素子2b1のアノード側と蓄積キャパシタは、グランドに接続される。
薄膜トランジスタ2b2は、蓄積キャパシタへの電荷の蓄積および放出のスイッチングを行う。薄膜トランジスタ2b2は、ゲート電極2b2a、ドレイン電極2b2b及びソース電極2b2cを有している。薄膜トランジスタ2b2のゲート電極2b2aは、対応する制御ライン2c1と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のドレイン電極2b2bは、対応するデータライン2c2と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のソース電極2b2cは、対応する光電変換素子2b1と蓄積キャパシタとに電気的に接続される。また、光電変換素子2b1のアノード側と蓄積キャパシタは、グランドに接続される。
制御ライン2c1は、所定の間隔をあけて互いに平行に複数設けられている。制御ライン2c1は、例えば、行方向に延びている。1つの制御ライン2c1は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d1のうちの1つと電気的に接続されている。1つの配線パッド2d1には、フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた読み出し回路と電気的に接続されている。
データライン2c2は、所定の間隔をあけて互いに平行に複数設けられている。データライン2c2は、例えば、行方向に直交する列方向に延びている。1つのデータライン2c2は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d2のうちの1つと電気的に接続されている。1つの配線パッド2d2には、フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた信号検出回路と電気的に接続されている。
制御ライン2c1、およびデータライン2c2は、例えば、アルミニウムやクロムなどの低抵抗金属を用いて形成することができる。
制御ライン2c1、およびデータライン2c2は、例えば、アルミニウムやクロムなどの低抵抗金属を用いて形成することができる。
保護層2fは、第1層2f1および第2層2f2を有する。第1層2f1は、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2を覆っている。第2層2f2は、第1層2f1の上に設けられている。第1層2f1および第2層2f2は、絶縁性材料から形成することができる。絶縁性材料は、例えば、酸化物絶縁材料、窒化物絶縁材料、酸窒化物絶縁材料、および樹脂材料などとすることができる。
信号処理部3は、アレイ基板2の、シンチレータ5が設けられる側とは反対側に設けられている。信号処理部3は、アレイ基板2と電気的に接続されている。
信号処理部3には、読み出し回路と、信号検出回路とが設けられている。
読み出し回路は、薄膜トランジスタ2b2のオン状態とオフ状態を切り替える。読み出し回路には、画像処理部4などから制御信号S1が入力される。読み出し回路は、X線画像の走査方向に従って、制御ライン2c1に制御信号S1を入力する。例えば、読み出し回路は、フレキシブルプリント基板2e1を介して、制御信号S1を各制御ライン2c1毎に順次入力する。制御ライン2c1に入力された制御信号S1により薄膜トランジスタ2b2がオン状態となり、蓄積キャパシタからの電荷(画像データ信号S2)が受信できるようになる。
信号処理部3には、読み出し回路と、信号検出回路とが設けられている。
読み出し回路は、薄膜トランジスタ2b2のオン状態とオフ状態を切り替える。読み出し回路には、画像処理部4などから制御信号S1が入力される。読み出し回路は、X線画像の走査方向に従って、制御ライン2c1に制御信号S1を入力する。例えば、読み出し回路は、フレキシブルプリント基板2e1を介して、制御信号S1を各制御ライン2c1毎に順次入力する。制御ライン2c1に入力された制御信号S1により薄膜トランジスタ2b2がオン状態となり、蓄積キャパシタからの電荷(画像データ信号S2)が受信できるようになる。
信号検出回路は、複数の積分アンプ、複数の選択回路、および複数のADコンバータなどを有する。
1つの積分アンプは、1つのデータライン2c2と電気的に接続されている。積分アンプは、光電変換部2bからの画像データ信号S2を順次受信する。そして、積分アンプは、一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を選択回路へ出力する。この様にすれば、所定の時間内にデータライン2c2を流れる電流の値(電荷量)を電圧値に変換することが可能となる。すなわち、積分アンプは、シンチレータ5において発生した蛍光の強弱分布に対応した画像データ情報を、電位情報へと変換する。
1つの積分アンプは、1つのデータライン2c2と電気的に接続されている。積分アンプは、光電変換部2bからの画像データ信号S2を順次受信する。そして、積分アンプは、一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を選択回路へ出力する。この様にすれば、所定の時間内にデータライン2c2を流れる電流の値(電荷量)を電圧値に変換することが可能となる。すなわち、積分アンプは、シンチレータ5において発生した蛍光の強弱分布に対応した画像データ情報を、電位情報へと変換する。
選択回路は、読み出しを行う積分アンプを選択し、電位情報へと変換された画像データ信号S2を順次読み出す。
ADコンバータは、読み出された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。デジタル信号に変換された画像データ信号S2は、画像処理部4に入力される。
ADコンバータは、読み出された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。デジタル信号に変換された画像データ信号S2は、画像処理部4に入力される。
画像処理部4は、配線4aを介して、信号処理部3の信号検出回路と電気的に接続されている。なお、画像処理部4は、信号処理部3と一体化されていてもよい。画像処理部4は、デジタル信号に変換された画像データ信号S2に基づいてX線画像を構成する。構成されたX線画像のデータは、画像処理部4から外部の機器に向けて出力される。
シンチレータ5は、複数の光電変換部2bの上に設けられ、入射するX線を可視光すなわち蛍光に変換する。シンチレータ5は、基板2a上の複数の光電変換部2bが設けられた領域(有効画素領域A)を覆うように設けられている。
シンチレータ5は、入射したX線のエネルギーを吸収して発光する物質を含んでいる。発光物質は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)、臭化セシウム(CsBr):ユーロピウム(Eu)、GOS:Tb(Gd2O2S:Tb)、GOS:Eu(Gd2O2S:Eu)、ZnS:Cu,Cl、CdWO4、CaWO4、BaFCl、YTaO4などとすることができる。なお、発光物質は、例示をしたものに限定されるわけではない。発光物質は、X線が入射すると蛍光を発生する物質であればよい。
シンチレータ5は、入射したX線のエネルギーを吸収して発光する物質を含んでいる。発光物質は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)、臭化セシウム(CsBr):ユーロピウム(Eu)、GOS:Tb(Gd2O2S:Tb)、GOS:Eu(Gd2O2S:Eu)、ZnS:Cu,Cl、CdWO4、CaWO4、BaFCl、YTaO4などとすることができる。なお、発光物質は、例示をしたものに限定されるわけではない。発光物質は、X線が入射すると蛍光を発生する物質であればよい。
反射層6は、蛍光の利用効率を高めるために設けられている。すなわち、反射層6は、シンチレータ5において生じた蛍光のうち、光電変換部2bが設けられた側とは反対側に向かう光を反射させて、光電変換部2bに向かうようにする。反射層6は、シンチレータ5のX線の入射側を覆っている。反射層6は、少なくともシンチレータ5の上面5aに設けることができる。なお、反射層6は、シンチレータ5の側面5bにも設けることができる。
反射層6は、樹脂(バインダ樹脂)と、発光物質を含む複数の粒子とを含む。
なお、反射層6に関する詳細は後述する。
反射層6は、樹脂(バインダ樹脂)と、発光物質を含む複数の粒子とを含む。
なお、反射層6に関する詳細は後述する。
防湿体7は、空気中に含まれる水蒸気により、反射層6の特性やシンチレータ5の特性が劣化するのを抑制するために設けられている。
防湿体7は、ハット形状を呈し、シンチレータ5と反射層6とを覆っている。防湿体7は、表面部7a、周面部7b、および、つば部7cを有する。防湿体7は、表面部7a、周面部7b、および、つば部7cが一体成形されたものとすることができる。
防湿体7は、ハット形状を呈し、シンチレータ5と反射層6とを覆っている。防湿体7は、表面部7a、周面部7b、および、つば部7cを有する。防湿体7は、表面部7a、周面部7b、および、つば部7cが一体成形されたものとすることができる。
防湿体7は、透湿係数の小さい材料から形成することができる。例えば、防湿体7は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属、樹脂層と無機材料層(例えば、セラミック層など)とが積層された低透湿防湿材料などから形成することができる。例えば、防湿体7は、厚みが50μm〜100μm程度のアルミニウムの箔をプレス成形して形成することができる。
ハット形状の防湿体7とすれば、剛性を高めることができる。また、防湿体7をアレイ基板2に接着する際に、表面部7aおよび周面部7bからなる立体形状を利用して位置決めを行うことができる。そのため、防湿体7をアレイ基板2の表面に接着する際の作業性や接着精度を向上させることができる。
ハット形状の防湿体7とすれば、剛性を高めることができる。また、防湿体7をアレイ基板2に接着する際に、表面部7aおよび周面部7bからなる立体形状を利用して位置決めを行うことができる。そのため、防湿体7をアレイ基板2の表面に接着する際の作業性や接着精度を向上させることができる。
なお、防湿性能は低下するが、ポリパラキシリレンを含む膜でシンチレータ5と反射層6を覆うようにしてもよい。ポリパラキシリレンを含む膜は、例えば、熱CVD法などにより形成することができる。
接着層8は、防湿体7のつば部7cとアレイ基板2との間に設けられている。接着層8は、防湿体7とアレイ基板2とを接着している。接着層8は、例えば、紫外線硬化型接着剤、遅延硬化型接着剤(紫外線照射後に一定の時間をおいて硬化反応が顕在化する紫外線硬化型接着剤)、自然(常温)硬化型接着剤、および加熱硬化型接着剤のいずれかが硬化することで形成されたものとすることができる。また、接着層8の透湿係数を低くするために、無機材料からなるフィラーが添加された接着剤を用いることができる。例えば、エポキシ系の接着剤にタルク(滑石:Mg3Si4O10(OH)2)からなるフィラーを70重量%以上添加すれば、接着層8の透湿係数を大幅に低減させることができる。
次に、反射層6についてさらに説明する。
反射層は、光散乱性の高い粒子を含んでいることが好ましい。そのため、一般的な反射層は、TiO2を含む粒子と、TiO2を含む粒子を保持する樹脂を含んでいる。
ここで、反射層にはX線が入射するので、入射するX線の一部がTiO2を含む粒子に吸収される。吸収されたX線は、シンチレータ5で生じる発光には全く寄与しないので、画像データ情報の一部が捨てられることになる。
X線の吸収率は、X線のエネルギー、反射層に含まれている粒子や樹脂の量により変動するが、粒子の影響が支配的である。一般的な反射層はTiO2を含む粒子を有しているが、TiO2を含む粒子を用いれば、X線の吸収率が数%から十数%程度になる場合がある。また、充分な反射率を確保するために反射層の厚みを厚くすると、シンチレータ5の上に設けられる粒子と樹脂の量が多くなり、X線の吸収率がさらに増加することになる。X線の吸収率が増加すると、感度特性やDQE特性が低下するおそれがある。
反射層は、光散乱性の高い粒子を含んでいることが好ましい。そのため、一般的な反射層は、TiO2を含む粒子と、TiO2を含む粒子を保持する樹脂を含んでいる。
ここで、反射層にはX線が入射するので、入射するX線の一部がTiO2を含む粒子に吸収される。吸収されたX線は、シンチレータ5で生じる発光には全く寄与しないので、画像データ情報の一部が捨てられることになる。
X線の吸収率は、X線のエネルギー、反射層に含まれている粒子や樹脂の量により変動するが、粒子の影響が支配的である。一般的な反射層はTiO2を含む粒子を有しているが、TiO2を含む粒子を用いれば、X線の吸収率が数%から十数%程度になる場合がある。また、充分な反射率を確保するために反射層の厚みを厚くすると、シンチレータ5の上に設けられる粒子と樹脂の量が多くなり、X線の吸収率がさらに増加することになる。X線の吸収率が増加すると、感度特性やDQE特性が低下するおそれがある。
そこで、本実施の形態に係る反射層6は、発光物質を含む複数の粒子と、発光物質を含む複数の粒子を保持する樹脂を含んでいる。発光物質は、X線が入射すると蛍光を発生する物質とすることができる。発光物質は、例えば、シンチレータ5に含まれる発光物質とすることができる。この場合、反射層6に含まれる発光物質の種類は、シンチレータ5に含まれる発光物質の種類と同じとすることもできるし、シンチレータ5に含まれる発光物質の種類と異なるものとすることもできる。
ただし、GOS:TbとGOS:Euは、X線に対する発光効率が高く、50KeV程度のK吸収端(K-edge)がある。そのため、医療で用いられるX線のエネルギー領域においては、GOS:TbとGOS:Euを用いることが好ましい。GOS:TbとGOS:Euは、光電変換素子2b1として一般的に用いられるフォトダイオードの感度スペクトルとのマッチングも比較的高いため、高感度とすることが容易となる。また、GOS:TbとGOS:Euは、焼結蛍光体であるため、温度や湿度に対する安定性が高く、反射層6に含まれている樹脂との反応も生じ難いことから長期的な信頼性を確保することができる。
また、後述するように、反射層6は、塗布液をシンチレータ5の上に塗布し、これを乾燥させることで形成することができる。この場合、塗布液を乾燥させると体積収縮が生じ、これに伴い応力が発生する。発生した応力により、反射層6にクラックが生じたり、シンチレータ5とアレイ基板2(基板2a)に反りが生じたりする場合がある。
そのため、反射層6に含まれている樹脂は、乾燥時の靭性が高いものとすることが好ましい。また、シンチレータ5の上に塗布する塗布液に可塑剤を添加するようにしてもよい。
例えば、樹脂をブチラール系の樹脂とし、可塑剤としてエポキシ化亜麻仁油を添加することができる。
エポキシ化亜麻仁油の添加量は、20wt.%〜60wt.%程度とすることが好ましい。また、エポキシ化亜麻仁油の添加量は、40wt.%〜50wt.%程度とすることがより好ましい。
なお、クラックなどの発生や可塑剤に関する詳細は後述する。
そのため、反射層6に含まれている樹脂は、乾燥時の靭性が高いものとすることが好ましい。また、シンチレータ5の上に塗布する塗布液に可塑剤を添加するようにしてもよい。
例えば、樹脂をブチラール系の樹脂とし、可塑剤としてエポキシ化亜麻仁油を添加することができる。
エポキシ化亜麻仁油の添加量は、20wt.%〜60wt.%程度とすることが好ましい。また、エポキシ化亜麻仁油の添加量は、40wt.%〜50wt.%程度とすることがより好ましい。
なお、クラックなどの発生や可塑剤に関する詳細は後述する。
また、塗膜の乾燥速度が速いと膜面方向の収縮が大きくなり易いので、前述したクラックや剥がれが生じやすくなる。この場合、シクロヘキサノン(1気圧下の沸点:約156℃)などの高沸点の溶媒を用いれば、乾燥速度が速くなりすぎるのを抑制することができる。そのため、クラック発生や乾燥時の応力集中を抑えることが可能となる。
本発明者らの得た知見によれば、沸点が概ね100℃以上の溶媒を用いれば、クラックなどの発生を顕著に抑制することができる。
本発明者らの得た知見によれば、沸点が概ね100℃以上の溶媒を用いれば、クラックなどの発生を顕著に抑制することができる。
図3は、反射層6の作用を例示するための模式図である。
図3に示すように、X線が反射層6に入射すると、入射したX線の一部は、発光物質を含む複数の粒子に吸収されて蛍光が発生する。反射層6の内部において発生した蛍光の一部は、シンチレータ5を介してアレイ基板2に到達する。また、発光物質を含む複数の粒子に吸収されず反射層6を透過したX線は、シンチレータ5に入射する。シンチレータ5に入射したX線により蛍光が発生する。シンチレータ5の内部において発生した蛍光の一部は、アレイ基板2に到達する。シンチレータ5の内部において発生した蛍光の一部は、反射層6に入射する。
図3に示すように、X線が反射層6に入射すると、入射したX線の一部は、発光物質を含む複数の粒子に吸収されて蛍光が発生する。反射層6の内部において発生した蛍光の一部は、シンチレータ5を介してアレイ基板2に到達する。また、発光物質を含む複数の粒子に吸収されず反射層6を透過したX線は、シンチレータ5に入射する。シンチレータ5に入射したX線により蛍光が発生する。シンチレータ5の内部において発生した蛍光の一部は、アレイ基板2に到達する。シンチレータ5の内部において発生した蛍光の一部は、反射層6に入射する。
発光物質は無機材料であるため、発光物質の屈折率と反射層6に含まれている樹脂の屈折率との差が大きくなる。そのため、発光物質を含む複数の粒子と反射層6に含まれている樹脂の界面における反射率を大きくすることができる。すなわち、発光物質を含む複数の粒子は、光散乱性粒子としての機能を有する。そのため、シンチレータ5の内部において発生し、反射層6に入射した蛍光は、反射層6により反射されてアレイ基板2に到達する。
以上に説明したように、発光物質を含む複数の粒子を有する反射層6とすれば、アレイ基板2に到達する蛍光の量を増加させることができるので、感度特性を向上させることができる。また、蛍光に変換されるX線の総量を増加させることができるので、DQE特性を向上させることができる。
以上に説明したように、発光物質を含む複数の粒子を有する反射層6とすれば、アレイ基板2に到達する蛍光の量を増加させることができるので、感度特性を向上させることができる。また、蛍光に変換されるX線の総量を増加させることができるので、DQE特性を向上させることができる。
ここで、反射層6を設けることが、輝度(X線検出器としては感度に関係する)と解像度(X線検出器としてはMTF(Modulation Transfer Function)に関係する)にどのような影響を与えるのかを説明する。
図3に示すように、反射層6を設ければ、アレイ基板2側とは反対側に進む蛍光をアレイ基板2側に反射させることができるので、蛍光の利用効率を高めることができ、ひいては輝度を高めることができる。
図3に示すように、反射層6を設ければ、アレイ基板2側とは反対側に進む蛍光をアレイ基板2側に反射させることができるので、蛍光の利用効率を高めることができ、ひいては輝度を高めることができる。
ところが、反射層6により反射された蛍光は、シンチレータ5からアレイ基板2に向かう蛍光に比べて、光電変換素子2b1に到達するまでの距離が長くなる。そのため、解像度が若干低下することになる。この場合、反射層6の内部において蛍光の遠方への拡散があると、解像度がさらに低下するおそれがある。また、TiO2を含む粒子を有する一般的な反射層の場合には、TiO2を含む粒子が反射層に入射したX線の一部を吸収してしまうので、シンチレータ5に到達するX線、ひいてはX線の強弱による信号量が低減してしまう。
そこで、本実施の形態に係る反射層6は、発光物質を含む複数の粒子を有している。発光物質を含む複数の粒子が設けられていれば、発光物質を含む複数の粒子に入射したX線を蛍光に変換することができる。そのため、輝度、ひいては感度特性を向上させることができる。また、DQE特性を向上させることができる。
また、後述するように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率を所定の範囲内とすれば、発光物質を含む複数の粒子の周辺部に空乏部を形成することができる。また、屈折率が大きい発光物質を選定したり、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を小さくしたりすれば、輝度および解像度をさらに高めることができる。
次に、発光物質を含む複数の粒子の含有比率と、輝度特性および解像度(CTF)特性との関係について説明する。
ここで、X線検出器1を評価試験に用いると多大な費用と時間を要する。そのため、輝度特性および解像度特性の評価試験においては、ガラス製の基板上にCsI:Tlを含むシンチレータ5を形成し、シンチレータ5の上に評価対象となる反射層6を形成したものを用いた。
評価試験においては、X線を反射層6に入射させ、基板の、シンチレータ5側とは反対側からCCDカメラによる撮影を行った。撮影においては、シンチレータ5と基板との界面に焦点を合わせた。基板には、光電変換部2b、制御ライン2c1、データライン2c2などが形成されていないので、CCDカメラによる画像観察が容易となる。また、解像度特性もこの簡易的な方法で十分に評価可能である。X線質条件としては、70KVpでRQA−5相当条件とし、輝度は標準とする増感紙(富士フィルム株式会社HG−H2 Back)に対する相対輝度とし、解像度は解像度チャート像の2Lp/mmのCTF(Contrast Transfer Function)の値=CTF(2Lp/mm)%を画像処理により求めた。
ここで、X線検出器1を評価試験に用いると多大な費用と時間を要する。そのため、輝度特性および解像度特性の評価試験においては、ガラス製の基板上にCsI:Tlを含むシンチレータ5を形成し、シンチレータ5の上に評価対象となる反射層6を形成したものを用いた。
評価試験においては、X線を反射層6に入射させ、基板の、シンチレータ5側とは反対側からCCDカメラによる撮影を行った。撮影においては、シンチレータ5と基板との界面に焦点を合わせた。基板には、光電変換部2b、制御ライン2c1、データライン2c2などが形成されていないので、CCDカメラによる画像観察が容易となる。また、解像度特性もこの簡易的な方法で十分に評価可能である。X線質条件としては、70KVpでRQA−5相当条件とし、輝度は標準とする増感紙(富士フィルム株式会社HG−H2 Back)に対する相対輝度とし、解像度は解像度チャート像の2Lp/mmのCTF(Contrast Transfer Function)の値=CTF(2Lp/mm)%を画像処理により求めた。
図4は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率と輝度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
図5は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率と解像度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
この場合、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成されたCsI:Tlを含む層とし、その厚みは600μm程度としている。
反射層6に含まれている発光物質を含む複数の粒子は、Gd2O2S:Tbを含み、その平均粒子径は0.3μm程度としている。反射層6に含まれている樹脂は、ブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油を含んでいる。反射層6の厚みは、200μm程度としている。
X線照射条件は、加速電圧を70KVとし、厚みが22mmのALフィルターを用いている。
図5は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率と解像度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
この場合、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成されたCsI:Tlを含む層とし、その厚みは600μm程度としている。
反射層6に含まれている発光物質を含む複数の粒子は、Gd2O2S:Tbを含み、その平均粒子径は0.3μm程度としている。反射層6に含まれている樹脂は、ブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油を含んでいる。反射層6の厚みは、200μm程度としている。
X線照射条件は、加速電圧を70KVとし、厚みが22mmのALフィルターを用いている。
この場合、体積比率を用いて評価を行えば、発光物質を含む複数の粒子同士の間の平均距離、発光物質を含む複数の粒子の周辺に樹脂が存在しない空乏部が生じるか否か、或いはどの程度の空乏部が生じるのかを直接的に評価することができる。そのため、発光物質を含む複数の粒子の含有比率は体積比率としている。
図4から分かるように、「発光物質を含む複数の粒子の体積/反射層の体積≧4/6」となると、すなわち、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上となると、輝度特性が顕著に改善する。
図5から分かるように、「発光物質を含む複数の粒子の体積/反射層の体積≧4/6」となると、すなわち、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上となると、解像度特性が顕著に改善する。
すなわち、図4および図5から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上となると、輝度特性および解像度特性が顕著に改善する。
図5から分かるように、「発光物質を含む複数の粒子の体積/反射層の体積≧4/6」となると、すなわち、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上となると、解像度特性が顕著に改善する。
すなわち、図4および図5から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上となると、輝度特性および解像度特性が顕著に改善する。
ここで、反射層6の内部においては、発光物質を含む複数の粒子と、その周辺部にある物質との界面における蛍光の反射や屈折が繰り返される。そのため、反射層6の内部においては、蛍光の進行方向がランダムに変化する。すなわち、反射層6は、光散乱反射性の反射層となる。この場合、界面における反射が少なくなったり、屈折角が小さくなったりすると、蛍光が反射層6から出射するのに必要となる反射や屈折の回数が増加する。反射や屈折の回数が増加すると、蛍光が反射層6の内部を伝搬する距離が長くなる。そのため、蛍光が、面方向に拡がるように反射層6から出射するので、シンチレータ5の柱状結晶間のクロストークが増大する。その結果、解像度が低下するおそれがある。また、蛍光が反射層6の内部を伝搬する距離が長くなると、減衰量が多くなるので輝度が低下するおそれがある。
この場合、発光物質の屈折率と反射層6に含まれている樹脂の屈折率との差が小さくなると、界面における屈折角が小さくなるので、前述した問題(クロストークの増大、解像度の低下、輝度の低下)が生ずるおそれがある。
そこで、反射層6においては、発光物質を含む複数の粒子の少なくともいずれかの周辺部には樹脂が充填されていない空乏部を設けている。空乏部を設ければ、界面における屈折率の差を大きくすることができるので界面における屈折角を大きくすることができる。そのため、前述した問題の発生を抑制することができる。
例えば、発光物質であるGOS:Tbの屈折率(最大発光波長=545nmnm)は2.2程度、CdWO4の屈折率(最大発光波長=540nm)は2.3程度、ZnS:Cuの屈折率は2.3程度である。樹脂の屈折率は、樹脂の種類によりある程度異なるが、概ね1.5前後である。空乏部には空気が存在すると考えられるので、空乏部の屈折率は1.0程度となる。そのため、空乏部を設ければ、界面における屈折率の差を大きくすることができるので、前述した問題の発生を抑制することができる。
例えば、発光物質であるGOS:Tbの屈折率(最大発光波長=545nmnm)は2.2程度、CdWO4の屈折率(最大発光波長=540nm)は2.3程度、ZnS:Cuの屈折率は2.3程度である。樹脂の屈折率は、樹脂の種類によりある程度異なるが、概ね1.5前後である。空乏部には空気が存在すると考えられるので、空乏部の屈折率は1.0程度となる。そのため、空乏部を設ければ、界面における屈折率の差を大きくすることができるので、前述した問題の発生を抑制することができる。
図6(a)、(b)は、反射層6の顕微鏡写真である。
図6(a)は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が20vol%程度の場合である。
図6(b)は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が60vol%程度の場合である。
図6(a)から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が低ければ、発光物質を含む複数の粒子同士の間には樹脂が充填される。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が長くなる。
図6(b)から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高ければ、発光物質を含む複数の粒子の周辺部には樹脂が充填されていない空乏部が形成される。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が短くなる。蛍光の散乱(実質的には、発光物質を含む複数の粒子と周辺部との界面における光学屈折)は、発光物質を含む複数の粒子の屈折率と周辺部の屈折率との差が大きいほど顕著になる。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が短くなるほど蛍光の散乱は狭い領域で頻繁に発生するので、蛍光の散乱が顕著になる。
そのため、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高ければ、蛍光の散乱効率を高め、より狭い領域で拡散反射を生じさせることが可能になると考えられる。その結果、シンチレータ5から反射層6に入射した蛍光と、反射層6で生じた蛍光は、遠方まで拡散する事が抑えられるので、高い解像度特性が得られる。
図6(a)は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が20vol%程度の場合である。
図6(b)は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が60vol%程度の場合である。
図6(a)から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が低ければ、発光物質を含む複数の粒子同士の間には樹脂が充填される。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が長くなる。
図6(b)から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高ければ、発光物質を含む複数の粒子の周辺部には樹脂が充填されていない空乏部が形成される。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が短くなる。蛍光の散乱(実質的には、発光物質を含む複数の粒子と周辺部との界面における光学屈折)は、発光物質を含む複数の粒子の屈折率と周辺部の屈折率との差が大きいほど顕著になる。また、発光物質を含む複数の粒子同士の間の距離が短くなるほど蛍光の散乱は狭い領域で頻繁に発生するので、蛍光の散乱が顕著になる。
そのため、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高ければ、蛍光の散乱効率を高め、より狭い領域で拡散反射を生じさせることが可能になると考えられる。その結果、シンチレータ5から反射層6に入射した蛍光と、反射層6で生じた蛍光は、遠方まで拡散する事が抑えられるので、高い解像度特性が得られる。
輝度特性に関しては解像度特性ほど顕著ではないが、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高くなるほど輝度特性が向上する。発光物質を含む複数の粒子の含有比率が高くなるほど、シンチレータ5から反射層6に入射した蛍光と、反射層6で生じた蛍光は、遠方まで拡散することが抑えられる。そのため、蛍光が進んだ経路の長さに依存する蛍光の強度低下(反射層6における蛍光の吸収)が抑制され輝度特性が向上すると考えられる。
また、発光物質の屈折率は大きい方が好ましい。
図7は、発光物質の屈折率と、輝度特性および解像度特性との関係を例示するための表である。
図7から分かるように、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長において、発光物質の屈折率を1.8以上とすれば、輝度特性および解像度特性が顕著に改善する。
図7は、発光物質の屈折率と、輝度特性および解像度特性との関係を例示するための表である。
図7から分かるように、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長において、発光物質の屈折率を1.8以上とすれば、輝度特性および解像度特性が顕著に改善する。
発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が小さくなれば、単位体積当たりに存在する粒子の数は増大する。そのため、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が小さくなれば、シンチレータ5からの蛍光に対しても、反射層6において生じた蛍光に対しても、拡散効率が高くなる。その結果、反射層6の内部で蛍光が遠方まで拡散してしまうのを抑制することができるので、より近距離で効率の良い拡散反射を実現することができる。また、解像度特性の良好な反射層6とすることができる。
発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長に対して散乱効率が高くなる範囲とすることが好ましい。光電変換素子2b1の感度領域に対応させるために、シンチレータ5において生じる蛍光の波長は400nm〜650nm程度とされる。例えば、CsI:TlやGd2O2S:Tbを含むシンチレータ5の発光波長は530nm〜540nm程度である。
この場合、蛍光の散乱効率を考慮すると、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長の1/10〜10倍程度の範囲内とすることが好ましい。この場合、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長の1/3〜3倍程度の範囲内とすることがより好ましい。
この場合、蛍光の散乱効率を考慮すると、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長の1/10〜10倍程度の範囲内とすることが好ましい。この場合、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、シンチレータ5において生じた蛍光の最大波長の1/3〜3倍程度の範囲内とすることがより好ましい。
そのため、反射層6における蛍光の散乱は、ミー散乱となる場合がある。ミー散乱の場合、蛍光の波長と同程度の平均粒子径を有する粒子を用いれば反射効率を最大化することができる。
また、蛍光の波長の数倍から数分の1の範囲でも高い散乱効率が期待できる。
また、蛍光の波長の数倍から数分の1の範囲でも高い散乱効率が期待できる。
図8は、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径と輝度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
図9は、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径と解像度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
この場合、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成されたCsI:Tlを含む層とし、その厚みは600μm程度としている。主発光波長は、530nm程度である。
反射層6に含まれている発光物質を含む複数の粒子は、Gd2O2S:Tbを含んでいる。反射層6に含まれている樹脂は、ブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油を含んでいる。発光物質を含む複数の粒子の含有比率は60vol%としている。反射層6の厚みは、200μm程度としている。
X線照射条件は、加速電圧を70KVとし、厚みが22mmのALフィルターを用いている。
図9は、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径と解像度特性との関係を例示するためのグラフ図である。
この場合、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成されたCsI:Tlを含む層とし、その厚みは600μm程度としている。主発光波長は、530nm程度である。
反射層6に含まれている発光物質を含む複数の粒子は、Gd2O2S:Tbを含んでいる。反射層6に含まれている樹脂は、ブチラール系樹脂とエポキシ化亜麻仁油を含んでいる。発光物質を含む複数の粒子の含有比率は60vol%としている。反射層6の厚みは、200μm程度としている。
X線照射条件は、加速電圧を70KVとし、厚みが22mmのALフィルターを用いている。
図9から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が、シンチレータ5の発光波長(530nm)の概ね3倍以下(1.59μm以下)となれば解像度特性が顕著に改善する。
また、図8から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を1.59μm以下としても、輝度特性はそれほど悪くはならない。
なお、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を0.2μm未満とすると、二次凝集が顕著になる。そのため、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、0.2μm以上とすることが好ましい。
また、図8から分かるように、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を1.59μm以下としても、輝度特性はそれほど悪くはならない。
なお、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を0.2μm未満とすると、二次凝集が顕著になる。そのため、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、0.2μm以上とすることが好ましい。
図10は、反射層6の作用を例示するための模式図である。
図10は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上、発光物質の屈折率が1.8以上、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が蛍光の波長の3倍以下、の少なくともいずれかの場合である。
これらの条件の少なくともいずれかを満たせば、図10に示すように、蛍光が、面方向に拡がるように反射層6から出射するのを抑制することができる。そのため、解像度特性をより向上させることができる。
図10は、発光物質を含む複数の粒子の含有比率が40vol%以上、発光物質の屈折率が1.8以上、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が蛍光の波長の3倍以下、の少なくともいずれかの場合である。
これらの条件の少なくともいずれかを満たせば、図10に示すように、蛍光が、面方向に拡がるように反射層6から出射するのを抑制することができる。そのため、解像度特性をより向上させることができる。
ここで、反射層6の内部における蛍光の散乱は、単位体積当たりに存在する発光物質を含む複数の粒子の個数密度に依存する。この場合、個数密度が大きくなるほど蛍光の散乱頻度が増大するので、より狭い領域内に蛍光を出射させるのが可能となる。
本発明者らが行ったシミュレーションによれば、個数密度が反射層6の膜厚中に概ね10個程度であれば、シンチレータ5からの蛍光をほぼ完全に拡散反射してアレイ基板2側に照射することができる。
この場合、ほぼ100%に近い反射率を確保するのに必要となる反射層6の厚みと発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径との関係性は、以下の式で表すことができる。
「発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径/発光物質を含む複数の粒子の体積充填率≦0.1×反射層6の厚み」
また、発光物質は、粒状としやすいことや、シンチレータ5との接触環境や周辺環境において安定性が長期的に維持できることが重要である。
そのため、発光物質は、例えば、1000℃以上の温度で焼結した、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Eu、CdWO4、ZnS:Cu、などのセラミックス(焼結体)とすることが好ましい。
本発明者らが行ったシミュレーションによれば、個数密度が反射層6の膜厚中に概ね10個程度であれば、シンチレータ5からの蛍光をほぼ完全に拡散反射してアレイ基板2側に照射することができる。
この場合、ほぼ100%に近い反射率を確保するのに必要となる反射層6の厚みと発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径との関係性は、以下の式で表すことができる。
「発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径/発光物質を含む複数の粒子の体積充填率≦0.1×反射層6の厚み」
また、発光物質は、粒状としやすいことや、シンチレータ5との接触環境や周辺環境において安定性が長期的に維持できることが重要である。
そのため、発光物質は、例えば、1000℃以上の温度で焼結した、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Eu、CdWO4、ZnS:Cu、などのセラミックス(焼結体)とすることが好ましい。
反射層6に含まれている樹脂は、溶媒で溶解させることができ、且つ、乾燥させた際の靭性が高くクラックが生じ難いものとすることが好ましい。本発明者らの得た知見によれば、ブチラール系の樹脂とすればクラックや凹凸などの欠陥が少ない反射層6を得ることができる。
図11は、反射層6の表面に発生したクラックを例示するための顕微鏡写真である。
反射層6は、発光物質を含む複数の粒子、樹脂、および溶媒を混合し、これを塗布および乾燥(硬化)させることで形成することができる。そのため、乾燥時には体積収縮が生じるので、体積収縮により生じた応力により、図11に示すようなクラックが発生する場合がある。
反射層6の表面や内部にクラックが発生すると、輝度にむらが生じたり、解像度にむらが生じたりたりするおそれがある。
図11は、反射層6の表面に発生したクラックを例示するための顕微鏡写真である。
反射層6は、発光物質を含む複数の粒子、樹脂、および溶媒を混合し、これを塗布および乾燥(硬化)させることで形成することができる。そのため、乾燥時には体積収縮が生じるので、体積収縮により生じた応力により、図11に示すようなクラックが発生する場合がある。
反射層6の表面や内部にクラックが発生すると、輝度にむらが生じたり、解像度にむらが生じたりたりするおそれがある。
また、乾燥時に体積収縮が生じると、シンチレータ5に収縮応力が作用する。この収縮応力が大きいと、シンチレータ5がアレイ基板2から剥がれるおそれがある。シンチレータ5がアレイ基板2から剥がれると、X線検出器1の機能が大幅に低下することになる。 また、乾燥時に体積収縮が生じると、シンチレータ5に収縮応力が作用し、アレイ基板2(基板2a)に反りが発生するおそれがある。アレイ基板2に反りが発生すると、フレキシブルプリント基板2e1、2e2の接続や筐体の内部への組み込みが困難となるおそれがある。
この場合、樹脂に少なくとも1種類の可塑剤を添加すれば、樹脂の可とう性(柔軟性)を高めることができるので、乾燥の際にクラックなどが発生するのを抑制することができる。また、シンチレータ5がアレイ基板2から剥がれるのを抑制することができる。
本発明者らの得た知見によれば、可塑剤は、エポキシ化植物油、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステルなどとすることが好ましい。
本発明者らの得た知見によれば、可塑剤は、エポキシ化植物油、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステルなどとすることが好ましい。
以下においては、一例として、反射層6を形成する際に、ブチラール系の樹脂と、可塑剤であるエポキシ化亜麻仁油とを用いる場合を説明する。
図12は、可塑剤の添加比率と、乾燥時に発生するクラックとの関係を例示するためのグラフ図である。
図12から分かるように、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、クラックの発生が顕著に抑制される。
図12は、可塑剤の添加比率と、乾燥時に発生するクラックとの関係を例示するためのグラフ図である。
図12から分かるように、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、クラックの発生が顕著に抑制される。
図13は、可塑剤の添加比率と、乾燥時に発生するシンチレータ5の剥がれとの関係を例示するためのグラフ図である。
図13から分かるように、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、シンチレータ5の剥がれが顕著に抑制される。
図13から分かるように、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、シンチレータ5の剥がれが顕著に抑制される。
図14は、可塑剤の添加比率と、乾燥時に発生するアレイ基板2の反りとの関係を例示するためのグラフ図である。
図14から分かるように、可塑剤の添加比率が大きくなれば反り量は低減される。この場合、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、実用上問題の無い反り量とすることができる。
一方、可塑剤の添加比率が80wt.%を超えると、樹脂と発光物質を含む複数の粒子との結着が弱くなり、得られる反射層6の平滑性や透明度等の品質が低下するおそれがある。そのため、樹脂に占める可塑剤の添加比率は80wt.%以下とすることが好ましい。
図14から分かるように、可塑剤の添加比率が大きくなれば反り量は低減される。この場合、樹脂に占める可塑剤の添加比率を20wt.%以上とすれば、実用上問題の無い反り量とすることができる。
一方、可塑剤の添加比率が80wt.%を超えると、樹脂と発光物質を含む複数の粒子との結着が弱くなり、得られる反射層6の平滑性や透明度等の品質が低下するおそれがある。そのため、樹脂に占める可塑剤の添加比率は80wt.%以下とすることが好ましい。
ここで、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が小さいと、発光物質を含む複数の粒子の比表面積が増大するので、発光物質を含む複数の粒子と樹脂の単位体積当りの界面の密度が高くなって、乾燥時における樹脂の流動性への制約が大きくなる。そのため、乾燥後の応力が大きくなったり、クラックが生じ易くなったりするおそれがある。
この場合、可塑剤の添加比率を適切なものとすれば、樹脂が固化した状態でも十分な可とう性を生じさせることができる。そのため、応力が高まった箇所においては適度な伸びを生じさせることができるので、応力を緩和させることができる。
その結果、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を0.5μm程度としても、反射層6に過大な応力を生じさせたり、クラックを生じさせたりすることを抑制することができる。
この場合、可塑剤の添加比率を適切なものとすれば、樹脂が固化した状態でも十分な可とう性を生じさせることができる。そのため、応力が高まった箇所においては適度な伸びを生じさせることができるので、応力を緩和させることができる。
その結果、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を0.5μm程度としても、反射層6に過大な応力を生じさせたり、クラックを生じさせたりすることを抑制することができる。
発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径が大きい場合には、発光物質を含む複数の粒子の比表面積が小さくなるため、樹脂による固定力が弱くなる。そのため、冷熱衝撃、落下などによる衝撃、振動などが加わると、発光物質を含む複数の粒子と樹脂の界面で剥離が生ずるおそれがある。
この場合、可塑剤の添加比率を適切なものとすれば、樹脂が固化した状態でも十分な可とう性を生じさせることができる。そのため、冷熱衝撃や機械的な衝撃が加えられた場合であっても、樹脂により応力を吸収することができるので発光物質を含む複数の粒子と樹脂の界面で剥離が生ずるのを抑制することができる。
この場合、可塑剤の添加比率を適切なものとすれば、樹脂が固化した状態でも十分な可とう性を生じさせることができる。そのため、冷熱衝撃や機械的な衝撃が加えられた場合であっても、樹脂により応力を吸収することができるので発光物質を含む複数の粒子と樹脂の界面で剥離が生ずるのを抑制することができる。
次に、X線検出器1の製造方法について例示する。
まず、基板2aの上に、制御ライン2c1、データライン2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2、光電変換部2b、および保護層2fなどを順次形成してアレイ基板2を製造する。アレイ基板2は、例えば、半導体製造プロセスを用いて製造することができる。なお、アレイ基板2の製造には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
まず、基板2aの上に、制御ライン2c1、データライン2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2、光電変換部2b、および保護層2fなどを順次形成してアレイ基板2を製造する。アレイ基板2は、例えば、半導体製造プロセスを用いて製造することができる。なお、アレイ基板2の製造には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
次に、基板2a上の有効画素領域Aを覆うようにシンチレータ5を形成する。
例えば、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成することができる。真空蒸着法を用いてシンチレータ5を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5が形成される。例えば、CsIの粉体とTlIの粉体とを別々のるつぼに収納し、真空の雰囲気において、ぞれぞれを融点付近の温度に加熱することで柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5を形成することができる。CsIに対するTlIの添加割合は、シンチレータ5に求められる輝度、解像度、X線耐性などに応じて適宜変更することができる。例えば、TlIの添加割合は、例えば、0.1wt.%〜1.5wt.%程度とすることができる。シンチレータ5の厚みは、X線検出器1に求められるDQE特性、感度特性、解像度特性などに応じて適宜変更することができる。シンチレータ5の厚みは、例えば、600μm程度とすることができる。複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5の空孔率は、15%〜20%程度とすることができる。
例えば、シンチレータ5は、真空蒸着法を用いて形成することができる。真空蒸着法を用いてシンチレータ5を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5が形成される。例えば、CsIの粉体とTlIの粉体とを別々のるつぼに収納し、真空の雰囲気において、ぞれぞれを融点付近の温度に加熱することで柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5を形成することができる。CsIに対するTlIの添加割合は、シンチレータ5に求められる輝度、解像度、X線耐性などに応じて適宜変更することができる。例えば、TlIの添加割合は、例えば、0.1wt.%〜1.5wt.%程度とすることができる。シンチレータ5の厚みは、X線検出器1に求められるDQE特性、感度特性、解像度特性などに応じて適宜変更することができる。シンチレータ5の厚みは、例えば、600μm程度とすることができる。複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ5の空孔率は、15%〜20%程度とすることができる。
また、発光物質とバインダ材とを混合し、混合された材料を有効画素領域Aを覆うように塗布し、これを焼成し、焼成された材料にマトリクス状の溝部を形成して複数の光電変換部2bごとに四角柱状のシンチレータ5が設けられるようにしてもよい。
次に、シンチレータ5の上に反射層6を形成する。
例えば、反射層6は、発光物質を含む複数の粒子、樹脂、可塑剤、および溶媒を混合した塗布液をシンチレータ5上に塗布し、これを乾燥させることで形成することができる。
例えば、反射層6は、発光物質を含む複数の粒子、樹脂、可塑剤、および溶媒を混合した塗布液をシンチレータ5上に塗布し、これを乾燥させることで形成することができる。
例えば、発光物質をGOS:Tbとし、発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径を3μm〜4μm程度とすることができる。樹脂は、例えば、ポリビニルブチラール系の樹脂とすることができる。可塑剤は、例えば、エポキシ化亜麻仁油とすることができる。溶媒は、例えば、沸点が約156℃のシクロヘキサノンとすることができる。
この場合、混合比率(重量比)は以下のようにすることができる。
GOS:Tb : ポリビニルブチラール樹脂 : エポキシ化亜麻仁油 : シクロヘキサノン=51:3:3:43
この場合、乾燥時における組成比(重量比)は、例えば、以下のようになる。
発光物質を含む複数の粒子:バインダ樹脂(ポリビニルブチラール樹脂+エポキシ化亜麻仁油)=51:6
それぞれの比重から計算した体積比は、58:42となる。
すなわち、発光物質を含む複数の粒子の含有比率は、58vol,%となる。
GOS:Tb : ポリビニルブチラール樹脂 : エポキシ化亜麻仁油 : シクロヘキサノン=51:3:3:43
この場合、乾燥時における組成比(重量比)は、例えば、以下のようになる。
発光物質を含む複数の粒子:バインダ樹脂(ポリビニルブチラール樹脂+エポキシ化亜麻仁油)=51:6
それぞれの比重から計算した体積比は、58:42となる。
すなわち、発光物質を含む複数の粒子の含有比率は、58vol,%となる。
塗布液の作成は、例えば、以下のようにすることができる。
まず、樹脂と可塑剤を溶媒で溶解し、十分に混合する。次に、これに、発光物質を含む複数の粒子を加えて十分に混合する。
塗布液の塗布は、例えば、ディスペンサー装置などを用いて行うことができる。この場合、塗布液をライン状に塗布し、これを繰り返すことで面状の塗布膜を形成することができる。
まず、樹脂と可塑剤を溶媒で溶解し、十分に混合する。次に、これに、発光物質を含む複数の粒子を加えて十分に混合する。
塗布液の塗布は、例えば、ディスペンサー装置などを用いて行うことができる。この場合、塗布液をライン状に塗布し、これを繰り返すことで面状の塗布膜を形成することができる。
乾燥は、例えば、乾燥エアを流したデシケータ内で行うことができる。乾燥温度は、例えば、室温とすることができる。乾燥時間は、溶媒の比率、塗付した膜の厚み、乾燥条件などにより適宜変更することができる。例えば、乾燥温度を室温とし、乾燥エアを流したデシケータを用いる場合には、乾燥時間は、10時間以上とすることができる。
乾燥後の膜厚(反射層6の厚み)は、例えば、120μm程度とすることができる。
乾燥後の膜厚(反射層6の厚み)は、例えば、120μm程度とすることができる。
ここで、乾燥時間は、乾燥条件(温度、湿度など)や塗布膜の厚みなどにより決まる。この場合、乾燥速度が速すぎると、塗布膜表面のレベリング(平坦化)があまり進行せず、表面に凹凸が形成されるおそれがある。また、急速な乾燥は、塗布液の流動性を短時間で奪ってしまうため、乾燥後の膜中や膜表面にクラックが生じ易くなる。
この場合、例えば、シクロヘキサノン(1気圧下の沸点:約156℃)などの揮発性の低い溶媒を用いることが好ましい。沸点が100℃を超える様な低揮発性の溶媒を用いると、レベリング性(平坦化に関する品質)が高く、クラックの少ない反射層6を得ることができる。
この場合、例えば、シクロヘキサノン(1気圧下の沸点:約156℃)などの揮発性の低い溶媒を用いることが好ましい。沸点が100℃を超える様な低揮発性の溶媒を用いると、レベリング性(平坦化に関する品質)が高く、クラックの少ない反射層6を得ることができる。
次に、シンチレータ5と反射層6を覆う防湿体7を設ける。
ハット形状を呈する防湿体7の場合には、防湿体7を、シンチレータ5と反射層6に被せ、防湿体7のつば部をアレイ基板2に接着する。
膜状の防湿体7の場合には、例えば、熱CVD法などにより、シンチレータ5と反射層6を覆う膜状の防湿体7を形成する。
ハット形状を呈する防湿体7の場合には、防湿体7を、シンチレータ5と反射層6に被せ、防湿体7のつば部をアレイ基板2に接着する。
膜状の防湿体7の場合には、例えば、熱CVD法などにより、シンチレータ5と反射層6を覆う膜状の防湿体7を形成する。
次に、フレキシブルプリント基板2e1、2e2を介して、アレイ基板2と信号処理部3を電気的に接続する。
また、配線4aを介して、信号処理部3と画像処理部4を電気的に接続する。
その他、回路部品などを適宜実装する。
また、配線4aを介して、信号処理部3と画像処理部4を電気的に接続する。
その他、回路部品などを適宜実装する。
次に、図示しない筐体の内部にアレイ基板2、信号処理部3、画像処理部4などを格納する。
そして、必要に応じて、光電変換素子2b1の異常の有無や電気的な接続の異常の有無を確認する電気試験、X線画像試験などを行う。
以上のようにして、X線検出器1を製造することができる。
なお、製品の防湿信頼性や温度環境の変化に対する信頼性を確認するために、高温高湿試験、冷熱サイクル試験などを実施することもできる。
そして、必要に応じて、光電変換素子2b1の異常の有無や電気的な接続の異常の有無を確認する電気試験、X線画像試験などを行う。
以上のようにして、X線検出器1を製造することができる。
なお、製品の防湿信頼性や温度環境の変化に対する信頼性を確認するために、高温高湿試験、冷熱サイクル試験などを実施することもできる。
以上に説明したように、本実施の形態に係るX線検出器1の製造方法は以下の工程を備えることができる。
アレイ基板2に設けられた複数の光電変換部2bの上に、X線を蛍光に変換するシンチレータ5を設ける工程。
少なくともシンチレータ5の上面に、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層6を設ける工程。
この場合、発光物質は、X線が入射すると蛍光を発生するものとすることができる。
また、反射層を設ける工程において、樹脂と、樹脂を溶解する沸点が100℃以上の溶媒と、発光物質を含む複数の粒子と、を混合した塗布液を、シンチレータ5上に塗布した後に乾燥させることができる。
この場合、塗布液における、発光物質を含む複数の粒子の体積/樹脂の体積を4/6以上とすることで、発光物質を含む複数の粒子の少なくともいずれかの周辺部に、樹脂が充填されていない空乏部を形成することができる。
アレイ基板2に設けられた複数の光電変換部2bの上に、X線を蛍光に変換するシンチレータ5を設ける工程。
少なくともシンチレータ5の上面に、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層6を設ける工程。
この場合、発光物質は、X線が入射すると蛍光を発生するものとすることができる。
また、反射層を設ける工程において、樹脂と、樹脂を溶解する沸点が100℃以上の溶媒と、発光物質を含む複数の粒子と、を混合した塗布液を、シンチレータ5上に塗布した後に乾燥させることができる。
この場合、塗布液における、発光物質を含む複数の粒子の体積/樹脂の体積を4/6以上とすることで、発光物質を含む複数の粒子の少なくともいずれかの周辺部に、樹脂が充填されていない空乏部を形成することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 X線検出器、2 アレイ基板、2a 基板、2b 光電変換部、2b1 光電変換素子、3 信号処理部、4 画像処理部、5 シンチレータ、6 反射層
Claims (12)
- 基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換部と、を有するアレイ基板と、
前記複数の光電変換部の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータと、
少なくとも前記シンチレータの上面に設けられ、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層と、
を備え、
前記発光物質は、前記放射線が入射すると蛍光を発生する放射線検出器。 - 前記発光物質を含む複数の粒子の体積/前記樹脂の体積≧4/6であり、
前記発光物質を含む複数の粒子の少なくともいずれかの周辺部には、前記樹脂が充填されていない空乏部が設けられている請求項1記載の放射線検出器。 - 前記シンチレータにおいて生じた蛍光の最大波長において、前記発光物質の屈折率は1.8以上である請求項1または2に記載の放射線検出器。
- 前記発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径は、前記シンチレータにおいて生じた蛍光の最大波長の10倍以下である請求項1〜3のいずれか1つに記載の放射線検出器。
- 前記発光物質を含む複数の粒子の平均粒子径/前記発光物質を含む複数の粒子の体積充填率≦0.1×前記反射層の厚みである請求項1〜4のいずれか1つに記載の放射線検出器。
- 前記発光物質は、CsI:Tl、NaI:Tl、CsBr:Eu、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Eu、ZnS:Cu,Cl、CdWO4、CaWO4、BaFCl、YTaO4からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の放射線検出器。
- 前記樹脂は、ブチラール系樹脂を主成分として含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の放射線検出器。
- 前記樹脂は、少なくとも1種類の可塑剤を含む請求項1〜7のいずれか1つに記載の放射線検出器。
- 前記可塑剤は、エポキシ化植物油、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を主成分として含む請求項8記載の放射線検出器。
- 前記樹脂に占める前記可塑剤の添加比率は、20wt.%以上、80wt.%以下である請求項8または9に記載の放射線検出器。
- アレイ基板に設けられた複数の光電変換部の上に、放射線を蛍光に変換するシンチレータを設ける工程と、
少なくとも前記シンチレータの上面に、樹脂と、発光物質を含む複数の粒子と、を含む反射層を設ける工程と、
を備え、
前記発光物質は、前記放射線が入射すると蛍光を発生する放射線検出器の製造方法。 - 前記反射層を設ける工程において、
前記樹脂と、前記樹脂を溶解する沸点が100℃以上の溶媒と、前記発光物質を含む複数の粒子と、を混合した塗布液を、前記シンチレータ上に塗布した後に乾燥させ、
前記塗布液における、前記発光物質を含む複数の粒子の体積/前記樹脂の体積を4/6以上とすることで、前記発光物質を含む複数の粒子の少なくともいずれかの周辺部に、前記樹脂が充填されていない空乏部を形成する請求項11記載の放射線検出器の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2018050544A JP2019163937A (ja) | 2018-03-19 | 2018-03-19 | 放射線検出器、及びその製造方法 |
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-
2018
- 2018-03-19 JP JP2018050544A patent/JP2019163937A/ja active Pending
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