JP2019161861A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】渦電流損失を抑えることができる回転電機を提供する。【解決手段】回転電機1は、ハウジング2と、ステータ10と、ロータとを備えている。ハウジング2には冷媒流路が形成されている。ハウジング2の内部にステータ10が設けられている。ステータ10の内部にロータが設けられている。ハウジング2は渦電流分断部7を有する。渦電流分断部7は、ハウジング2の内周面5に形成され、ステータ10から流れる磁束による渦電流を分断する。【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機に関するものである。
回転電機のなかには、ステータコアの外周にウオータジャケット(以下、ハウジングという)を備え、ハウジングに冷媒流路が形成されたものがある。すなわち、このハウジングはウオータジャケットを兼ねている。冷媒流路に冷媒を流すことにより、冷媒でステータコア(すなわち、回転電機)を冷却する(例えば、特許文献1参照)。
ここで、回転電機を冷媒で冷却する際の熱伝導性を考慮して、ステータコアとハウジングとが互いに全面で密着されていることが好ましい。これにより、ステータコアを冷媒で効率よく冷却することが可能になる。
ここで、回転電機を冷媒で冷却する際の熱伝導性を考慮して、ステータコアとハウジングとが互いに全面で密着されていることが好ましい。これにより、ステータコアを冷媒で効率よく冷却することが可能になる。
ところで、回転電機のなかには、ハウジングが磁性材料で形成されるものがある。ハウジングを磁性材料で形成した場合、ステータコアからハウジングへ磁束が漏れることが考えられる。ハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番するため渦電流損失が発生し、回転電機のエネルギ効率に影響を与えることが考えられる。
ハウジングのなかにはアルミニウム製のものもあるが、アルミニウム材も軟磁性体なので渦電流損失が発生する。
ハウジングのなかにはアルミニウム製のものもあるが、アルミニウム材も軟磁性体なので渦電流損失が発生する。
この対策として、例えば、ステータコアのバックヨーク(リターンパス)の径方向寸法を大きくしたり、ステータコアとハウジングとの間に隙間をあけたりすることが考えられる。しかし、ステータコアのバックヨークの径方向寸法を大きくすると回転電機の形状が大きくなる。また、ステータコアとハウジングとの間に隙間をあけると回転電機の冷却効果が低くなることが考えられる。
そこで、この発明は、渦電流損失を抑えることができる回転電機を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明の回転電機(例えば、実施形態の回転電機1)は、冷媒流路(例えば、実施形態の冷媒流路4)が形成されたハウジング(例えば、実施形態のハウジング2,40,50,60,70)と、前記ハウジングの内部に設けられたステータ(例えば、実施形態のステータ10)と、
前記ステータの内部に設けられたロータ(例えば、実施形態のロータ20)と、を備え、前記ハウジングは、内面(例えば、実施形態の内周面5,71)に形成され、前記ステータから流れる磁束による渦電流を分断する渦電流分断部(例えば、実施形態の渦電流分断部7,42,52,62,74)を有することを特徴とする。
前記ステータの内部に設けられたロータ(例えば、実施形態のロータ20)と、を備え、前記ハウジングは、内面(例えば、実施形態の内周面5,71)に形成され、前記ステータから流れる磁束による渦電流を分断する渦電流分断部(例えば、実施形態の渦電流分断部7,42,52,62,74)を有することを特徴とする。
本発明によれば、ハウジングの内面に渦電流分断部を形成し、渦電流分断部でステータから漏れた磁束による渦電流を分断(遮断)するようにした。ステータからハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
請求項2に記載した発明は、前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向へ連続して形成されたスリット(例えば、実施形態のスリット7,43)であることを特徴とする。
ここで、ロータの磁石(N極)から発生する磁束の一部は、ステータコアのティース、バックヨークを経てハウジングに流れる。ハウジングに流れた磁束は、ハウジングの内面に沿って流れ、バックヨークを経てステータコアのティースを経てロータの磁石(S極)に流れる。
そこで、請求項2において、渦電流分断部をスリット(溝部)で形成し、スリットをハウジングの内面に周方向へ連続して形成するようにした。よって、ステータからの漏れ磁束による渦電流をスリットで分断することができる。これにより、ステータからハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面にスリットを形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面にスリットを形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
請求項3に記載した発明は、前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向へ間隔をおいて形成されたスリット(例えば、実施形態のスリット53)であることを特徴とする。
ここで、ロータの磁石(N極)から発生する磁束の一部は、ステータコアのティース、バックヨークを経てハウジングに流れる。ハウジングに流れた磁束は、ハウジングの内面に沿って流れ、ステータコアのバックヨーク、ティースを経てロータの磁石(S極)に流れる。よって、磁石とティースの位置により、バックヨークにおいて、磁束密度が高い部位と、磁束密度が低い部位が存在する。
そこで、請求項3において、渦電流分断部をスリットで形成し、スリットをハウジングの内面に周方向へ間隔をおいて形成するようにした。よって、バックヨークにおいて、磁束密度が高い部位にスリットを形成し、磁束密度が低い部位にスリットを形成しないようにできる。これにより、ステータからの漏れ磁束による渦電流をスリットで分断することにより、ステータからハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面にスリットを形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
さらに、磁束密度が低い部位にスリットを形成しないようにできるので、ハウジングの強度を一層良好に確保できる。
請求項4に記載した発明は、前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向に対して傾斜状に形成されたスリット(例えば、実施形態のスリット63)であることを特徴とする。
さらに、磁束密度が低い部位にスリットを形成しないようにできるので、ハウジングの強度を一層良好に確保できる。
請求項4に記載した発明は、前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向に対して傾斜状に形成されたスリット(例えば、実施形態のスリット63)であることを特徴とする。
このように、渦電流分断部をスリットで形成し、スリットをハウジングの内面において周方向に対して傾斜状に形成するようにした。これにより、ステータからの漏れ磁束による渦電流をスリットで分断することにより、ステータからハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面にスリットを形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
請求項5に記載した発明は、前記スリットは、冷媒を流す流路(例えば、実施形態の内周面冷媒流路48)を形成することを特徴とする。
このように、スリットで冷媒流路を形成するようにした。よって、スリットに冷却媒体(ATF)を流すことができる。これにより、回転電機の冷却性能を一層良好に確保できる。
請求項6に記載した発明は、前記ハウジングは、軸線(例えば、実施形態の軸線C)に対して交差する方向に分割された第1ハウジング(例えば、実施形態の第1ハウジング72)と第2ハウジング(例えば、実施形態の第2ハウジング73)とを備え、前記渦電流分断部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの重ね合せ部(例えば、実施形態の重ね合せ部81)に介在された絶縁部で形成されていることを特徴とする。
また、ハウジングの内面にスリットを形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
請求項5に記載した発明は、前記スリットは、冷媒を流す流路(例えば、実施形態の内周面冷媒流路48)を形成することを特徴とする。
このように、スリットで冷媒流路を形成するようにした。よって、スリットに冷却媒体(ATF)を流すことができる。これにより、回転電機の冷却性能を一層良好に確保できる。
請求項6に記載した発明は、前記ハウジングは、軸線(例えば、実施形態の軸線C)に対して交差する方向に分割された第1ハウジング(例えば、実施形態の第1ハウジング72)と第2ハウジング(例えば、実施形態の第2ハウジング73)とを備え、前記渦電流分断部は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの重ね合せ部(例えば、実施形態の重ね合せ部81)に介在された絶縁部で形成されていることを特徴とする。
このように、第1ハウジングと第2ハウジングとの重ね合せ部に絶縁部を介在し、絶縁部で渦電流分断部を形成するようにした。よって、渦電流分断部をハウジングの内面に周方向へ連続して形成することができる。これにより、ステータからの漏れ磁束による渦電流を渦電流分断部で分断することにより、ステータからハウジングに漏れた磁束がハウジングを交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面に渦電流分断部を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジングの内面に渦電流分断部を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
この発明によれば、ハウジングの内面に渦電流分断部を形成し、渦電流分断部でステータからの渦電流を分断するようにした。これにより、回転電機の渦電流損失を抑えることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、回転電機1として、ハイブリッド自動車や電気自動車のような車両用の駆動ユニットに採用するモータについて説明する。但し、本発明の構成は、車両用の駆動ユニットに採用するモータに限らず、発電用モータやその他の用途のモータ、または車両用以外の回転電機(発電機を含む)にも適用可能である。
[第1実施形態]
図1に示すように、回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のような車両に搭載される走行用モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ステータ10と、ロータ20(図2参照)と、シャフト(図示せず)とを備えている。ハウジング2は、ステータ10およびロータ20を収容するとともに、シャフトを回転可能に支持している。なお、ステータ10、ロータ20およびシャフトは、それぞれ軸線Cを共通軸線として配置されている。
以下、軸線Cの延びる方向を軸方向と称し、軸線Cに直交する方向を径方向と称し、軸線C回りに周回する方向を周方向と称して説明する。また、各図中において矢印Zは軸方向、矢印Rは径方向、矢印θは周方向をそれぞれ示している。
図1に示すように、回転電機1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車のような車両に搭載される走行用モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ステータ10と、ロータ20(図2参照)と、シャフト(図示せず)とを備えている。ハウジング2は、ステータ10およびロータ20を収容するとともに、シャフトを回転可能に支持している。なお、ステータ10、ロータ20およびシャフトは、それぞれ軸線Cを共通軸線として配置されている。
以下、軸線Cの延びる方向を軸方向と称し、軸線Cに直交する方向を径方向と称し、軸線C回りに周回する方向を周方向と称して説明する。また、各図中において矢印Zは軸方向、矢印Rは径方向、矢印θは周方向をそれぞれ示している。
図1〜図3に示すように、ハウジング2は、例えば、磁性材料によりステータ10を径方向の外側から取り囲む筒状に形成されている。ハウジング2は、ステータ10に沿って冷媒流路4が形成されている。すなわち、ハウジング2はウオータジャケットを兼ねている。冷媒流路4に冷媒を流すことにより、ステータコア11(すなわち、回転電機1)が冷媒により冷却される。
回転電機1を冷媒で冷却する際の熱伝導性を考慮して、ステータコア11の外周面11bとハウジング2の内周面(内面)5とが互いに全面で密着されている。これにより、ステータコア11(すなわち、回転電機1)を冷媒で効率よく冷却することが可能になる。
回転電機1を冷媒で冷却する際の熱伝導性を考慮して、ステータコア11の外周面11bとハウジング2の内周面(内面)5とが互いに全面で密着されている。これにより、ステータコア11(すなわち、回転電機1)を冷媒で効率よく冷却することが可能になる。
ここで、ハウジング2は、磁性材料で形成されている。よって、ステータコア11のバックヨーク15からハウジング2へ磁束が漏れることが考えられる。ハウジング2に磁束が漏れ、漏れた磁束がハウジング2を交番することにより渦電流損失が発生する。このため、回転電機1のエネルギ効率に影響を与えることが考えられる。そこで、ハウジング2の内周面5に渦電流分断部7を形成するようにした。
渦電流分断部7は、一例として、スリット(溝部)で形成されている。以下、第1実施形態において、渦電流分断部7を「スリット7」として説明する。スリット7は、ハウジング2の内周面5において周方向へ連続して環状に形成されている。スリット7は、ステータコア11のバックヨーク15からハウジング2に流れる磁束による渦電流を分断(遮断)するように形成されている。
ハウジング2の内部にステータ10が設けられている。
渦電流分断部7は、一例として、スリット(溝部)で形成されている。以下、第1実施形態において、渦電流分断部7を「スリット7」として説明する。スリット7は、ハウジング2の内周面5において周方向へ連続して環状に形成されている。スリット7は、ステータコア11のバックヨーク15からハウジング2に流れる磁束による渦電流を分断(遮断)するように形成されている。
ハウジング2の内部にステータ10が設けられている。
ステータ10は、ステータコア11と、ステータコア11に装着された複数層(例えば、U相、V相、W相)のコイル13とを備えている。
ステータコア11は、ロータ20を径方向の外側から取り囲む筒状に形成されている。ステータコア11は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成された環状のプレートが軸方向に積層されて構成されている。なお、ステータコア11は、いわゆる圧粉コアであっても構わない。
ステータコア11は、ロータ20を径方向の外側から取り囲む筒状に形成されている。ステータコア11は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成された環状のプレートが軸方向に積層されて構成されている。なお、ステータコア11は、いわゆる圧粉コアであっても構わない。
具体的には、ステータコア11は、バックヨーク15と、複数のティース16とを有している。バックヨーク15は、軸線Cと同軸上に配置された筒状に形成されている。
複数のティース16は、周方向に所定間隔をおいて形成され、バックヨーク15の内周面から径方向の内側に突出している。
周方向において隣り合うティース16間に、スロット17が所定間隔をおいて溝状に形成されている。すなわち、複数のスロット17は、複数のティース16に対して周方向へ交互に形成された状態でステータコア11に備えられている。
複数のスロット17にコイル13が配置され、コイル13が複数のティース16に取り付けられている。この状態において、ステータコア11にコイル13が装着されている。ステータ10は、コイル13に電流が流れることにより磁界を発生する。
ステータ10の内部にロータ20が設けられている。
複数のティース16は、周方向に所定間隔をおいて形成され、バックヨーク15の内周面から径方向の内側に突出している。
周方向において隣り合うティース16間に、スロット17が所定間隔をおいて溝状に形成されている。すなわち、複数のスロット17は、複数のティース16に対して周方向へ交互に形成された状態でステータコア11に備えられている。
複数のスロット17にコイル13が配置され、コイル13が複数のティース16に取り付けられている。この状態において、ステータコア11にコイル13が装着されている。ステータ10は、コイル13に電流が流れることにより磁界を発生する。
ステータ10の内部にロータ20が設けられている。
ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置されている。ロータ20は、ロータコア21と、ロータコア21に装着(埋設)された複数の磁石23と、ロータコア21の軸方向両端面に接して配置された端面板(図示せず)とを備えている。ロータコア21は、軸方向に一様に延在する円筒状に形成され、外周面21aがステータコア11の内周面11aに対向配置されている。ロータコア21は、例えば電磁鋼板を軸方向に複数枚積層することにより形成されている。ロータコア21の内側には、シャフト(図示せず)が挿入され、圧入などにより固定されている。
これにより、ロータコア21は、シャフトと一体となって、軸線C回りに回転可能になっている。ロータ20は、ステータ10において発生する磁界が磁石23と反発または吸引することにより回転駆動される。
これにより、ロータコア21は、シャフトと一体となって、軸線C回りに回転可能になっている。ロータ20は、ステータ10において発生する磁界が磁石23と反発または吸引することにより回転駆動される。
ロータ20の磁石23(N極)から発生する磁束Aは、ステータコア11のティース16、バックヨーク15を経てハウジング2に流れる。ハウジング2に流れた磁束Aは、ハウジング2を流れ、ステータコア11のバックヨーク15、ティース16を経てロータ20の磁石23(S極)に流れる。
ハウジング2の内周面5に沿って渦電流分断部7が形成されている。渦電流分断部7は、スリット(溝部)で形成されている。スリット7は、ハウジング2の内周面5に周方向へ連続して環状に形成されている。
ハウジング2の内周面5に沿って渦電流分断部7が形成されている。渦電流分断部7は、スリット(溝部)で形成されている。スリット7は、ハウジング2の内周面5に周方向へ連続して環状に形成されている。
ハウジング2の内周面5にスリット7が形成されることにより、ステータ10から流れる磁束による渦電流をスリット7で分断することができる。これにより、ステータ10からハウジング2に漏れた磁束Aがハウジング2を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング2の内周面5にスリット7を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、渦電流損失を抑えることができる。さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング2の内周面5にスリット7を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、渦電流損失を抑えることができる。さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
つぎに、第1実施形態の回転電機1の過電流損失を図4(a)、(b)に基づいて比較例と比べて説明する。図4(a)は、ハウジング100の内周面101にスリット7が形成されていない比較例の過電流損失を説明する展開図である。図4(a)に示す比較例の過電流損失Wは、
W=i2×R=V2/R=S×V2/(2ρ(a+b))
となる。
但し、
R=ρ×L/S=ρ×2(a+b)/S
i:渦電流
V:誘起電圧
R:抵抗
ρ:電気抵抗率(各材質固有の物性値)
L:渦電流の流れるループの長さ2(a+b)
S:渦電流が流れる部分の断面積
である。
W=i2×R=V2/R=S×V2/(2ρ(a+b))
となる。
但し、
R=ρ×L/S=ρ×2(a+b)/S
i:渦電流
V:誘起電圧
R:抵抗
ρ:電気抵抗率(各材質固有の物性値)
L:渦電流の流れるループの長さ2(a+b)
S:渦電流が流れる部分の断面積
である。
図4(b)は、ハウジング2の内周面5にスリット7が形成された第1実施形態の過電流損失を説明する展開図である。図4(b)に示すように、第1実施形態のハウジング2の内周面5において、例えば、ハウジング2の幅方向の中央にスリット7が形成されている。よって、渦電流の流れるループの長さは2(a/2+b)となる。
これにより、図4(b)に示す第1実施形態の過電流損失W1は、つぎのようになる。すなわち、
R1=ρ×2((a/2)+b)/S
=ρ×(a+2b)/S
V1=V/2
W1=V1 2/R1=V2/4R1
となる。
2ループあたりの損失は、
2W1=V2/2R1
となる。
R1/R>1/2であり、
W>2W1
となる。これにより、第1実施形態の過電流損失W1は、比較例の過電流損失Wより低減させることが可能である。
これにより、図4(b)に示す第1実施形態の過電流損失W1は、つぎのようになる。すなわち、
R1=ρ×2((a/2)+b)/S
=ρ×(a+2b)/S
V1=V/2
W1=V1 2/R1=V2/4R1
となる。
2ループあたりの損失は、
2W1=V2/2R1
となる。
R1/R>1/2であり、
W>2W1
となる。これにより、第1実施形態の過電流損失W1は、比較例の過電流損失Wより低減させることが可能である。
つぎに、ハウジング2の内周面5に形成したスリット7のスリット深さ寸法に対する過電流損失の減少効果を図3、図5に基づいて説明する。図5は、渦電流の流れるスリット深さ寸法と渦電流周波数の関係を示すグラフである。図5において縦軸はスリット深さ寸法D1を示し、横軸は過電流の周波数を示す。グラフGは過電流損失を示す。
図3、図5に示すように、ハウジング(導体)の電流密度Jは、スリット深さ寸法δに対して次のように減少する。
J=exp(−δ/d)
d=1/√(π・f・μ・σ)
但し、
μ:比透磁率
σ:導電率
f:周波数
である。
図3、図5に示すように、ハウジング(導体)の電流密度Jは、スリット深さ寸法δに対して次のように減少する。
J=exp(−δ/d)
d=1/√(π・f・μ・σ)
但し、
μ:比透磁率
σ:導電率
f:周波数
である。
ハウジング2として、比透磁率1000(H/m)、導電率0.056(S/m)の材質が使用されている。回転電機1の仕様はつぎのように設定されている。
回転電機1:4極対
:車速40Km/h以上で使用頻度が高く設定
:3000rpmで車速40Km/hとなるギア比
:キャリア周波数2kHz以上
回転電機1:4極対
:車速40Km/h以上で使用頻度が高く設定
:3000rpmで車速40Km/hとなるギア比
:キャリア周波数2kHz以上
ハウジング2は、内周面5にスリット深さ寸法D1=2mm以上のスリット7が形成されている。よって、回転電機1の基本周波数およびキャリア周波数による渦電流がスリット7で分断される(図4(b)参照)。これにより、回転電機1のキャリア周波数2kHz以上において、グラフGに示すように、深さ2mm以上のスリットにより回転電機1の基本周波数およびキャリア周波数により渦電流を分断でき、車両の走行時においてハウジング2(すなわち、回転電機1)の過電流損失を低減できる。
なお、第1実施形態においては、ハウジング2の内周面5に1本のスリット7を形成した例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、ハウジング2の内周面5に複数本のスリット7を形成することも可能である。
つぎに、ハウジング2の内周面5にスリット7を加工する例を図6、図7に基づいて説明する。
図6に示すように、旋盤31のチャックにハウジング2の片端部が同軸上に取り付けられる。ハウジング2の内周面5は切削工具(すなわち、バイト)32により加工されている。ハウジング2を旋盤31で回転させながら、ハウジング2の内周面5にスリット7を切削工具32で加工する。ハウジング2を回転させることにより、切削工具32によりハウジング2の内周面5に沿ってスリット7が環状に加工される。
図6に示すように、旋盤31のチャックにハウジング2の片端部が同軸上に取り付けられる。ハウジング2の内周面5は切削工具(すなわち、バイト)32により加工されている。ハウジング2を旋盤31で回転させながら、ハウジング2の内周面5にスリット7を切削工具32で加工する。ハウジング2を回転させることにより、切削工具32によりハウジング2の内周面5に沿ってスリット7が環状に加工される。
また、ハウジング2の内周面5が切削工具により加工されることにより、内周面5の精度が高められている。よって、ハウジング2の内周面5がステータコア11の外周面11b(図2参照)に密着性を高めた状態に取り付けられる。これにより、ステータコア11(すなわち、回転電機1)を冷媒で効率よく冷却することが可能になる。
図7に示すように、フライス盤35にハウジング2の片端部が取り付けられる。ハウジング2の内周面5は切削工具により加工されている。ハウジング2の内周面5に切削工具(すなわち、フライス)36によりスリット7が加工される。具体的には、フライス36が回転軸38に取り付けられ、フライス36を回転軸38で回転させながらハウジング2の内周面5に沿って円弧状に移動することにより、ハウジング2の内周面5にフライス36によりスリット7が環状に加工される。
つぎに、第2実施形態〜第5実施形態のハウジングを図8〜図11に基づいて説明する。なお、第2実施形態〜第5実施形態において第1実施形態のハウジング2と同一、類似構成部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
[第2実施形態]
図8に示すように、ハウジング40は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部42に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部42は、スリット43、入口スリット44、および出口スリット45を有する。
スリット43は、ハウジング2の内周面5において周方向へ連続して環状に形成されている。スリット43は、一端部43aと他端部43bとが内周面5の周方向に間隔をおいて配置されている。
図8に示すように、ハウジング40は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部42に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部42は、スリット43、入口スリット44、および出口スリット45を有する。
スリット43は、ハウジング2の内周面5において周方向へ連続して環状に形成されている。スリット43は、一端部43aと他端部43bとが内周面5の周方向に間隔をおいて配置されている。
スリット43の一端部43aに入口スリット44が連通されている。スリット43の他端部43bに出口スリット45が連通されている。ハウジング2の内周面5がステータコア11の外周面11b(図2参照)に密着性を高めた状態に取り付けられている。
スリット43、入口スリット44、および出口スリット45はステータコア11の外周面11bで流路状に形成されている。すなわち、スリット43、入口スリット44、および出口スリット45により、渦電流分断部42が内周面冷媒流路(流路)48に形成される。入口スリット44および出口スリット45は冷却媒体供給部(図示せず)に連通されている。
スリット43、入口スリット44、および出口スリット45はステータコア11の外周面11bで流路状に形成されている。すなわち、スリット43、入口スリット44、および出口スリット45により、渦電流分断部42が内周面冷媒流路(流路)48に形成される。入口スリット44および出口スリット45は冷却媒体供給部(図示せず)に連通されている。
冷却媒体供給部から入口スリット44に冷却媒体(ATF)を流し、入口スリット44に流れた冷却媒体をスリット43に流し、スリット43に流れた冷却媒体を出口スリット45から流す。これにより、ステータコア11から一層良好に熱引きでき、回転電機1の冷却性能を一層好適に確保できる。
また、第2実施形態のハウジング40によれば、内周面5にスリット43が形成されている。スリット43は、ハウジング40の内周面5において周方向へ連続して環状に形成されている。よって、ステータ10から流れる磁束による渦電流をスリット43で分断することができる。これにより、ステータ10からハウジング40に漏れた磁束Aがハウジング40を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング40の内周面5にスリット43を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、渦電流損失を抑えることができる。さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング40の内周面5にスリット43を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、渦電流損失を抑えることができる。さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
[第3実施形態]
図9に示すように、ハウジング50は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部52に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部52は、複数のスリット53を有する。複数のスリット53は、ハウジング50の内周面5において周方向へ間隔L1をおいて形成されている。
図9に示すように、ハウジング50は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部52に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部52は、複数のスリット53を有する。複数のスリット53は、ハウジング50の内周面5において周方向へ間隔L1をおいて形成されている。
ここで、ロータ20の磁石23(N極)から発生する磁束Aの一部は、ステータコア11のティース16、バックヨーク15を経てハウジング50に流れる。ハウジング50に流れた磁束Aは、ハウジング50の内周面5に沿って周方向に流れ、ステータコア11のバックヨーク15、ティース16を経てロータ20の磁石23(S極)に流れる。磁石23とティース16の位置により、バックヨーク15において、磁束密度が高い部位と、磁束密度が低い部位が存在する。
そこで、複数のスリット53をハウジング50の内周面5に周方向へ間隔をおいて形成するようにした。よって、バックヨーク15において、磁束密度が高い部位にスリット53を形成し、磁束密度が低い部位にスリット53を形成しないようにできる。これにより、ステータ10から流れる磁束による渦電流をスリット53で分断することにより、ステータ10からハウジング50に漏れた磁束Aがハウジング50を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング50の内周面5にスリット53を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
さらに、磁束密度が低い部位にスリット53を形成しないようにできるので、ハウジング50の強度を一層良好に確保できる。
さらに、磁束密度が低い部位にスリット53を形成しないようにできるので、ハウジング50の強度を一層良好に確保できる。
[第4実施形態]
図10に示すように、ハウジング60は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部62に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部62は、複数のスリット63を有する。複数のスリット63は、ハウジング60の内周面5において周方向に対して傾斜状に形成され、かつ、周方向に間隔をおいて配置されている。よって、ステータ10から流れる磁束による渦電流を複数のスリット63で分断することができる。これにより、ステータ10からハウジング60に漏れた磁束Aがハウジング60を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
図10に示すように、ハウジング60は、第1実施形態の渦電流分断部7を渦電流分断部62に代えたもので、その他の構成は第1実施形態のハウジング2と同様である。
渦電流分断部62は、複数のスリット63を有する。複数のスリット63は、ハウジング60の内周面5において周方向に対して傾斜状に形成され、かつ、周方向に間隔をおいて配置されている。よって、ステータ10から流れる磁束による渦電流を複数のスリット63で分断することができる。これにより、ステータ10からハウジング60に漏れた磁束Aがハウジング60を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング60の内周面5に複数のスリット63を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
[第5実施形態]
図11に示すように、ハウジング70は、第1ハウジング72と、第2ハウジング73と、渦電流分断部74とを備えている。ハウジング70は、第1ハウジング72と第2ハウジング73との2部材で、回転電機1の軸線Cに対して交差する方向に分割された状態に構成されている。第1ハウジング72と第2ハウジング73との間に渦電流分断部74が介在されている。
図11に示すように、ハウジング70は、第1ハウジング72と、第2ハウジング73と、渦電流分断部74とを備えている。ハウジング70は、第1ハウジング72と第2ハウジング73との2部材で、回転電機1の軸線Cに対して交差する方向に分割された状態に構成されている。第1ハウジング72と第2ハウジング73との間に渦電流分断部74が介在されている。
第1ハウジング72の第1合わせ面72aに、例えば絶縁材76が塗布されている。第2ハウジング73の第2合わせ面73aに、例えば絶縁材76が塗布されている。第1ハウジング72および第2ハウジング73は、例えば第1合わせ面72aおよび第2合わせ面73aがノックピン78で位置決めされた状態において、締結部材(例えば、ボルト、ナット)により一体に締結されている。
この状態において、第1合わせ面72aと第2合わせ面73aとが重ね合されている。第1合わせ面72aと第2合わせ面73aとの重ね合せ部81に絶縁材76が介在され、絶縁剤76,76により渦電流分断部74が形成されている。すなわち、渦電流分断部74は、絶縁剤76,76により形成された絶縁部である。渦電流分断部74は、ハウジング70の内周面(内面)71に周方向へ向けて連続して環状に形成されている。
この状態において、第1合わせ面72aと第2合わせ面73aとが重ね合されている。第1合わせ面72aと第2合わせ面73aとの重ね合せ部81に絶縁材76が介在され、絶縁剤76,76により渦電流分断部74が形成されている。すなわち、渦電流分断部74は、絶縁剤76,76により形成された絶縁部である。渦電流分断部74は、ハウジング70の内周面(内面)71に周方向へ向けて連続して環状に形成されている。
第1ハウジング72および第2ハウジング73が締結されたハウジング70にステータ10が焼き嵌めされている。第1ハウジング72および第2ハウジング73は、それぞれ独立したウオータジャケットを備えている。第1ハウジング72のウオータジャケットと、第2ハウジング73のウオータジャケットとは共通のウオータポンプ(図示せず)により直列または並列に冷媒(冷却水)を循環させることにより、ステータ10(すなわち、回転電機1)を冷却する。
第5実施形態のハウジング70によれば、渦電流分断部74がハウジング70の内周面71に周方向へ向けて連続して環状に形成されている。よって、ステータ10(ステータコア11)から流れる磁束による渦電流を渦電流分断部74で分断することにより、ステータコア11からハウジング70に漏れた磁束がハウジング70を交番することにより発生する渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング70の内周面71に渦電流分断部74を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
また、ハウジング70の内周面71に渦電流分断部74を形成するだけの簡素な構成で、渦電流損失を抑えることができる。これにより、回転電機1の形状を大きくすることなく、さらに、回転電機1の冷却効果を低くすることなく、渦電流損失を抑えることができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1 回転電機
2,40,50,60,70 ハウジング
4 冷媒流路
5,71 内周面(内面)
7,42,52,62,74 渦電流分断部(スリット、絶縁部)
10 ステータ
11 ステータコア
15 バックヨーク
16 ティース
20 ロータ
43,53,63 スリット
48 内周面冷媒流路(冷媒を流す流路)
72,73 第1、第2のハウジング
76 絶縁剤
81 重ね合せ部
C 軸線
L2 間隔
2,40,50,60,70 ハウジング
4 冷媒流路
5,71 内周面(内面)
7,42,52,62,74 渦電流分断部(スリット、絶縁部)
10 ステータ
11 ステータコア
15 バックヨーク
16 ティース
20 ロータ
43,53,63 スリット
48 内周面冷媒流路(冷媒を流す流路)
72,73 第1、第2のハウジング
76 絶縁剤
81 重ね合せ部
C 軸線
L2 間隔
つぎに、第1実施形態の回転電機1の渦電流損失を図4(a)、(b)に基づいて比較例と比べて説明する。図4(a)は、ハウジング100の内周面101にスリット7が形成されていない比較例の渦電流損失を説明する展開図である。図4(a)に示す比較例の渦電流損失Wは、
W=i2×R=V2/R=S×V2/(2ρ(a+b))
となる。
但し、
R=ρ×L/S=ρ×2(a+b)/S
i:渦電流
V:誘起電圧
R:抵抗
ρ:電気抵抗率(各材質固有の物性値)
L:渦電流の流れるループの長さ2(a+b)
S:渦電流が流れる部分の断面積
である。
W=i2×R=V2/R=S×V2/(2ρ(a+b))
となる。
但し、
R=ρ×L/S=ρ×2(a+b)/S
i:渦電流
V:誘起電圧
R:抵抗
ρ:電気抵抗率(各材質固有の物性値)
L:渦電流の流れるループの長さ2(a+b)
S:渦電流が流れる部分の断面積
である。
図4(b)は、ハウジング2の内周面5にスリット7が形成された第1実施形態の渦電流損失を説明する展開図である。図4(b)に示すように、第1実施形態のハウジング2の内周面5において、例えば、ハウジング2の幅方向の中央にスリット7が形成されている。よって、渦電流の流れるループの長さは2(a/2+b)となる。
これにより、図4(b)に示す第1実施形態の渦電流損失W1は、つぎのようになる。
すなわち、
R1=ρ×2((a/2)+b)/S
=ρ×(a+2b)/S
V1=V/2
W1=V1 2/R1=V2/4R1
となる。
2ループあたりの損失は、
2W1=V2/2R1
となる。
R1/R>1/2であり、
W>2W1
となる。これにより、第1実施形態の渦電流損失W1は、比較例の渦電流損失Wより低減させることが可能である。
これにより、図4(b)に示す第1実施形態の渦電流損失W1は、つぎのようになる。
すなわち、
R1=ρ×2((a/2)+b)/S
=ρ×(a+2b)/S
V1=V/2
W1=V1 2/R1=V2/4R1
となる。
2ループあたりの損失は、
2W1=V2/2R1
となる。
R1/R>1/2であり、
W>2W1
となる。これにより、第1実施形態の渦電流損失W1は、比較例の渦電流損失Wより低減させることが可能である。
つぎに、ハウジング2の内周面5に形成したスリット7のスリット深さ寸法に対する渦電流損失の減少効果を図3、図5に基づいて説明する。図5は、渦電流の流れるスリット深さ寸法と渦電流周波数の関係を示すグラフである。図5において縦軸はスリット深さ寸法D1を示し、横軸は渦電流の周波数を示す。グラフGは渦電流損失を示す。
図3、図5に示すように、ハウジング(導体)の電流密度Jは、スリット深さ寸法δに対して次のように減少する。
J=exp(−δ/d)
d=1/√(π・f・μ・σ)
但し、
μ:比透磁率
σ:導電率
f:周波数
である。
図3、図5に示すように、ハウジング(導体)の電流密度Jは、スリット深さ寸法δに対して次のように減少する。
J=exp(−δ/d)
d=1/√(π・f・μ・σ)
但し、
μ:比透磁率
σ:導電率
f:周波数
である。
ハウジング2は、内周面5にスリット深さ寸法D1=2mm以上のスリット7が形成されている。よって、回転電機1の基本周波数およびキャリア周波数による渦電流がスリット7で分断される(図4(b)参照)。これにより、回転電機1のキャリア周波数2kHz以上において、グラフGに示すように、深さ2mm以上のスリットにより回転電機1の基本周波数およびキャリア周波数により渦電流を分断でき、車両の走行時においてハウジング2(すなわち、回転電機1)の渦電流損失を低減できる。
Claims (6)
- 冷媒流路が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられたステータと、
前記ステータの内部に設けられたロータと、を備え、
前記ハウジングは、内面に形成され、前記ステータから流れる磁束による渦電流を分断する渦電流分断部を有することを特徴とする回転電機。 - 前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向へ連続して形成されたスリットであることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向へ間隔をおいて形成されたスリットであることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記渦電流分断部は、前記ハウジングの前記内面において周方向に対して傾斜状に形成されたスリットであることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記スリットは、冷媒を流す流路を形成することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の回転電機。
- 前記ハウジングは、
軸線に対して交差する方向に分割された第1ハウジングと第2ハウジングとを備え、
前記渦電流分断部は、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの重ね合せ部に介在された絶縁部で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
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JPH07284238A (ja) * | 1994-04-06 | 1995-10-27 | Aichi Emerson Electric Co Ltd | 磁石回転子 |
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EP2680408B1 (de) * | 2012-06-26 | 2014-12-17 | Etel S. A.. | Rahmen mit integrierter Kühlung für einen elektrischen Antrieb |
-
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- 2018-03-13 JP JP2018045838A patent/JP2019161861A/ja active Pending
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