JP2019158737A - 光検出装置、光検出方法および光学式測距センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】光学式測距センサにおける光検出を精度良く行い易くする。【解決手段】光検出装置(1)は、検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する。光検出装置は、複数の受光素子(10a〜10c)と、信号合成回路(13)と、検出回路(14)と、時間計測回路(4)と、タイミング抽出回路(3)とを備える。複数の受光素子は、光を受光して、受光結果を示す出力信号をそれぞれ生成する。信号合成回路は、各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号を生成する。検出回路は、合成信号が第1しきい値(V1)以上になるタイミングを検出して、検出信号を生成する。時間計測回路は、検出信号に基づいて、検出開始タイミングと検出されたタイミングとの間の測定期間を計測する。タイミング抽出回路は、検出されたタイミングを基準とする所定期間において、合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報(D3)を抽出する。【選択図】図3
Description
本開示は、光検出装置および光検出方法、並びに光検出装置を備えた光学式測距センサに関する。
光の飛行時間(TOF)を利用する光学式測距センサが知られている。光学式測距センサは、光を物体に照射し、物体で反射した光を検出することで、物体までを往復する光の飛行時間に対応する距離を測定する。光学式測距センサでは、SPAD(単一光子アバランシェフォトダイオード)を光検出に用いる技術が提案されている(例えば特許文献1,2)。
特許文献1は、光学測距装置において複数のSPADを備えた光検出器を開示している。特許文献1の光検出器は、複数のSPADから出力される矩形パルスを加算し、加算した出力値と所定の基準値とを比較して、比較結果に応じてトリガ信号を出力している。
特許文献2は、受光部において複数のSPADを備えた測距装置を開示している。特許文献2の測距装置は、複数のSPADから出力される電気パルスの合計を示す合計信号が所定のしきい値を超え、且つ合計信号の立ち上がりの傾きが所定の傾斜しきい値を超える場合に、測定パルスが検出されたと判定している。
特許文献1等の従来技術では、複数のSPADで同時に検出される光子の合計数を知る目的から、複数のSPADによる1回の光検出当たりに1つのタイミングが検出対象になっている。光子に対するSPADの反応は確率的なことから、例えば統計処理を用いて精度良く光検出を行うためには、複数のSPADを同時に受光させる際に複数のタイミングを得ることが望ましい。
本開示の目的は、光学式測距センサにおける光検出を精度良く行い易くすることができる光検出装置、光検出方法および光学式測距センサを提供することにある。
本開示に係る光検出装置は、検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する。光検出装置は、複数の受光素子と、信号合成回路と、検出回路と、時間計測回路と、タイミング抽出回路とを備える。複数の受光素子は、光を受光して、受光結果を示す出力信号をそれぞれ生成する。信号合成回路は、各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号を生成する。検出回路は、合成信号が第1しきい値以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号を生成する。時間計測回路は、検出信号に基づいて、検出開始タイミングと検出されたタイミングとの間の測定期間を計測する。タイミング抽出回路は、検出されたタイミングを基準とする所定期間において、合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報を抽出する。
本開示に係る光検出方法は、光検出装置が検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する方法を提供する。
本開示に係る光学式測距センサは、光を投光する投光部と、光検出装置とを備える。光検出装置の時間計測回路は、前記投光部が光を投光するタイミングを前記検出開始タイミングに用いて、前記測定期間を計測する。
本開示に係る光検出装置、光検出方法および光学式測距センサによると、光学式測距センサにおける光検出を精度良く行い易くすることができる。
以下、添付の図面を参照して本開示に係る光検出装置、光検出方法及び光学式測距センサの実施の形態を説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(適用例)
本開示に係る光検出装置が適用可能な一例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示に係る光検出装置1の適用例を説明するための図である。
本開示に係る光検出装置が適用可能な一例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示に係る光検出装置1の適用例を説明するための図である。
本開示に係る光検出装置1は、TOF型の光学式測距センサ2に適用される。光学式測距センサ2は、例えば図1に示すように、パルス光を外部に投光する投光部20を備える。光検出装置1は、光学式測距センサ2において外部から光を受光する受光部を構成する。
本開示に係る光学式測距センサ2は、例えば工業自動化の用途の光電センサ等に適用可能である。光学式測距センサ2は、光検出装置1を用いて投光部20から投光したパルス光の反射光を検出することにより、光の飛行時間に基づいて、光を反射した物体までの距離を測定する。光学式測距センサ2によると、物体が特定の位置に在るか否かの検知等を行える。
本適用例では、光学式測距センサ2における光検出の高感度化等の観点から、光検出装置1においてSPADを受光素子として用いる。SPADは、1光子の入射にも反応し得る程の高感度であるが、当該反応が確率的であることによる検出ばらつきが生じ得る。本適用例では、SPADの検出ばらつきを抑制する観点から、光検出装置1において複数のSPADで同時に1回の光検出を行う際に複数のタイミングを取得して、高精度の光検出を実現し易くする。
(構成例)
以下、光検出装置1及び光学式測距センサ2の構成例としての実施形態を説明する。
以下、光検出装置1及び光学式測距センサ2の構成例としての実施形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1では、受光したSPADの個数が検出しきい値以上となる付近の局所的なタイミングを検出する光検出装置1及び光学式測距センサ2について説明する。
実施形態1では、受光したSPADの個数が検出しきい値以上となる付近の局所的なタイミングを検出する光検出装置1及び光学式測距センサ2について説明する。
1.構成
実施形態1に係る光学式測距センサ2及び光検出装置1の構成を以下に説明する。
実施形態1に係る光学式測距センサ2及び光検出装置1の構成を以下に説明する。
1−1.光学式測距センサの構成
本実施形態に係る光学式測距センサ2の構成について、図2を参照して説明する。図2は、光学式測距センサ2の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る光学式測距センサ2の構成について、図2を参照して説明する。図2は、光学式測距センサ2の構成を示すブロック図である。
光学式測距センサ2は、例えば図2に示すように、投光部20と、制御部25と、光検出装置1とを備える。投光部20は、例えば、光源21と、光源駆動部22とを備える。
投光部20において、光源21は、例えばLD(半導体レーザ)又はLEDを含む。光源21は、例えば赤外光などの光を発光する。光源駆動部22は、光源21の発光を駆動する回路である。光源駆動部22は、制御部25によって制御されるタイミングにおいて、光源21にパルス状の光、即ちパルス光を照射させる。パルス光は、例えば数ナノ秒〜数十ナノ秒などのパルス幅を有する。
制御部25は、例えばCPU、RAM及びROM等を含み、各構成要素の制御を行う。例えば、制御部25は、光学式測距センサ2の全体動作を制御するように、種々の制御信号を生成する。
光検出装置1は、例えば図2に示すように、SPADアレイ10と、信号処理部11と、測距部12とを備える。光検出装置1は、例えばSPADアレイ10又は信号処理部11において、SPADが入射する光に反応して発生させる電気信号を増幅する増幅器、及びSPADの駆動回路などを含む。
SPADアレイ10は、複数のSPADをアレイ状に配置して構成される。SPADアレイ10の各SPADは、APD(アバランシェフォトダイオード)をガイガーモードで動作させることにより実現される。
信号処理部11は、SPADアレイ10から出力される出力信号に基づいて、光検出装置1の検出対象とする光が到達するタイミングを検出するための信号処理を行う。測距部12は、信号処理部11の信号処理結果に基づいて、光の飛行時間に応じた距離を示す距離値を算出する。光検出装置1の構成の詳細について、以下説明する。
1−2.光検出装置の構成
実施形態1に係る光検出装置1の構成例について、図3,4を参照して説明する。図3は、本施形態に係る光検出装置1の構成を示すブロック図である。
実施形態1に係る光検出装置1の構成例について、図3,4を参照して説明する。図3は、本施形態に係る光検出装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光検出装置1は、図3に示すように、SPADアレイ10を構成する複数のSPAD10a〜10cと、信号処理部11を構成する信号合成回路13、検出回路14及びタイミング抽出回路3とを備える。また、光検出装置1は、例えば測距部12を構成するTDC(時間/デジタル変換器)4及び演算部5を備える。
SPAD10a〜10cは、光検出装置1において入射する光子に確率的に反応する受光素子の一例である。以下では、SPADアレイ10におけるSPAD10a〜10cの個数が3個の例を説明する。
各々のSPAD10a,10b,10cは、それぞれ光を受光して、受光結果を示す出力信号Sa,Sb,Scを生成する。例えば、光検出装置1には、SPAD10a〜10c毎の出力信号Sa〜Scの信号波形を矩形パルス状に整形する波形整形回路が適宜、組み込まれてもよい。SPADアレイ10からの各出力信号Sa〜Scは、信号処理部11の信号合成回路13に入力される。
信号合成回路13は、入力された複数の出力信号Sa〜Scを合計して合成信号S1を生成する。信号合成回路13は、生成した合成信号S1を検出回路14及びタイミング抽出回路3に出力する。信号合成回路13は、公知の技術を適用して構成可能である(例えば特許文献1参照)。
検出回路14は、信号合成回路13からの合成信号S1に基づいて、光検出装置1の検出対象の光が得られたタイミングを検出して、検出結果を示す検出信号S2を生成する。検出回路14は、例えば図3に示すように、検出しきい値設定回路15と、判定回路16とを備える。
検出しきい値設定回路15は、所定の検出しきい値V1を判定回路16に設定する。検出しきい値V1は、複数のSPAD10a〜10における同時検出のタイミングを判定する基準を示す。検出しきい値V1は、本実施形態における第1しきい値の一例である。
判定回路16は、例えば比較器及びロジック回路等を含む。判定回路16は、合成信号S1と検出しきい値V1とを比較判定して、判定結果に応じて検出信号S2を生成する。本実施形態の判定回路16は、合成信号S1が検出しきい値V1以上に到ったかの判定結果を示す検出信号S2を生成する。検出信号S2は、TDC4とタイミング抽出回路3とに入力される。
本実施形態のタイミング抽出回路3は、例えば図3に示すように、1つ以上の二値化しきい値設定回路31a,31b(総称を「二値化しきい値設定回路31」と称する)と、1つ以上の比較回路32a,32b(「比較回路32」と総称する)と、1つ以上の保持回路33a,33b(「保持回路33」と総称する)とを備える。以下では、タイミング抽出回路3が二値化しきい値設定回路31と比較回路32と保持回路33との組を2組、備える例を説明する。
二値化しきい値設定回路31の第1の二値化しきい値設定回路31aは、例えば検出しきい値V1よりも小さい第1の二値化しきい値V3aを第1の比較回路32aに設定する。また、第2の二値化しきい値設定回路31bは、例えば第1の二値化しきい値V3aよりも大きくて且つ検出しきい値V1よりも小さい第2の二値化しきい値V3bを第2の比較回路32bに設定する。
各二値化しきい値V3a,V3bは、例えば検出しきい値V1により検出されるタイミング近傍でSPAD10a〜10cの反応が変化したタイミングを判定する基準を示す。各々の二値化しきい値V3a,V3b(「二値化しきい値V3」と総称する)は、それぞれ本実施形態における第2しきい値の一例である。
タイミング抽出回路3の比較回路32には、信号合成回路13からの合成信号S1が入力される。第1の比較回路32aは、合成信号S1と第1の二値化しきい値V3aとを比較して、例えば合成信号S1が第1の二値化しきい値V3a以上であるか否かを示す第1の二値信号S3aを生成する。第1の比較回路32aは、生成した第1の二値信号S3aを第1の保持回路33aに出力する。
第1の二値信号S3aと同様に、第2の比較回路32bは、合成信号S1と第2の二値化しきい値V3bとの比較結果に応じて第2の二値信号S3bを生成して、第2の保持回路33bに出力する。以下、第1及び第2の二値信号S3a,S3bを「二値信号S3」と総称する。
タイミング抽出回路3の保持回路33には、検出回路14による検出信号S2が入力される。第1及第2の保持回路33a,33bは、それぞれ検出信号S2を基準とする所定の保持期間分の各二値信号S3a,S3bの信号状態を示す第1及び第2のタイミング情報D3a,D3b(「タイミング情報D3」と総称する)を保持する。保持期間は、例えば数ナノ秒〜数十ナノ秒である。保持回路33の構成例を図4に示す。
図4の構成例において、保持回路33は、複数の記憶素子34と、互いに直列接続された複数の遅延素子35とを備える。各記憶素子34は、入力端子において1つの遅延素子35に接続し、「0」又は「1」の二値を保持する。各遅延素子35は、共通の遅延期間(例えば数十ピコ秒〜数百ピコ秒)を有することが望ましい。
図4の例の保持回路33において、比較回路32からの二値信号S3は、遅延素子35の直列回路に入力される。検出回路14からの検出信号S2は、各記憶素子34の制御端子に入力される。各記憶素子34は、検出信号S2が示すタイミングに応じて、対応する遅延素子35に出力される二値信号S3を取り込んで保持する。これにより、保持回路33は、検出信号S2が示すタイミングを終端とする保持期間において、遅延期間毎の二値信号S3の信号状態を示すタイミング情報D3を保持することができる。
図3に戻り、TDC4には、制御部25から、検出開始タイミング信号S0が入力される。検出開始タイミング信号S0は、TDC4の動作を開始させるタイミングを示す制御信号の一例である。
TDC4は、時間情報をデジタル値で生成(時間/デジタル変換)して、時間を計測する時間計測回路の一例である。TDC4は、検出開始タイミング信号S0と検出信号S2とに基づいて、検出開始タイミング信号S0が示すタイミングから、検出信号S2が示すタイミングまでの測定期間を計測し、計測結果の測定期間を示す時間情報D1を生成する。
演算部5は、例えばソフトウェアとの協働により種々の演算処理を実行するCPU、並びにRAM及びROM等を含む。演算部5は、TDC4と共に測距部12として動作する。演算部5は、TDC4から時間情報D1を取得すると共にタイミング抽出回路3の各保持回路33a,33bから各々のタイミング情報D3a,D3bを取得する。演算部5は、取得した時間情報D1及びタイミング情報D3a,D3bに基づいて、光の飛行時間に応じた距離を算出するための演算処理を実行する。当該演算処理には、例えば各種の統計処理等も含まれる。
なお、演算部5を構成するCPU等のハードウェア資源は、光学式測距センサ2の制御部25と共通であってもよいし、別体であってもよい。また、演算部5及び制御部25等は、ASICやFPGA等の各種ハードウェア回路で構成されてもよい。
2.動作
以上のように構成される光学式測距センサ2及び光検出装置1の動作について、以下説明する。
以上のように構成される光学式測距センサ2及び光検出装置1の動作について、以下説明する。
光学式測距センサ2において、制御部25(図2)は、投光部20の光源駆動部22を制御して、例えば所定の時間間隔毎にパルス光を光源21に投光させる。投光されたパルス光は、光学式測距センサ2による測距の対象となる物体において反射されると、反射光として光学式測距センサ2に入射し得る。
制御部25は、投光部20の制御時に、投光させるタイミングを示すように検出開始タイミング信号S0を生成して、測距部12のTDC4(図3)に出力する。
光学式測距センサ2の光検出装置1は、投光部20の投光に同期して、投光されたタイミングから所定の受光期間中に、パルス光の反射光を検出するための光検出を行う。受光期間は、例えばパルス光の時間間隔よりも短い期間に設定され、測距対象とする距離の上限値に応じた光の飛行時間の観点から設定されてもよい(例えば距離の上限値30mに対して受光期間200nsなど)。
光検出装置1の光検出においては、SPADアレイ10が光を受光し、信号処理部11が受光結果の信号に信号処理を行って、反射光が到達したタイミングを示す検出信号S2を生成する。測距部12は、検出信号S2に基づいて、投光されたパルス光が物体で反射して受光されるまでにかかる飛行時間を、TDC4において測定期間として計測する。測距部12は、例えば計測された測定期間の半分に光速を乗算して、距離値を算出することが可能である。
以上の光学式測距センサ2においては、光検出装置1にSPAD10a〜10cを用いることにより、光検出を高感度化して、測距精度を良くすることができる。しかし、SPAD10a〜10cによる光子の検出は確率的であることから、1回の投光に対して複数のSPAD10a〜10cに同時に光子の検出をさせた際に、確率的な検出ばらつきを生じることが考えられる。
そこで、本実施形態の光検出装置1は、検出回路14の検出しきい値V1とタイミング抽出回路3の各二値化しきい値V3a,V3bとを用いた比較判定によって1回の検出開始タイミングに対して複数のタイミングを取得し、測距部12において統計処理を行う。以下、本実施形態の光検出装置1の動作の詳細を説明する。
2−1.光検出装置の動作
本実施形態に係る光検出装置1の動作の詳細を、図5,6を用いて説明する。
本実施形態に係る光検出装置1の動作の詳細を、図5,6を用いて説明する。
図5は、光検出装置1における合成信号S1の合成方法を説明するためのタイミングチャートである。図6は、光検出装置1の動作を例示するタイミングチャートを示す。
本実施形態の光検出装置1(図3)において、各SPAD10a〜10cは、それぞれの確率的な動作において光を受光して、出力信号Sa,Sb,Scを生成する。各出力信号Sa,Sb,Scの信号波形を図5(a),(b),(c)に例示する。
図5(a)〜(c)の例において、各出力信号Sa〜Scは、所定のパルス幅を有する矩形パルスP1である。各々のSPAD10a〜10cが入射する光子に確率的に反応することにより、各出力信号Sa〜Scにおいて矩形パルスP1が発生する。
図5(a)〜(c)の例では、1つ目のSPAD10aの出力信号Saが時刻t1に立ち上がる一方(図5(a))、2つ目のSPAD10bの出力信号Sbは時刻t1よりも後の時刻t3に立ち上がっている(図5(b))。また、3つ目のSPAD10aの出力信号Saは、時刻t1と時刻t3間の時刻t2に立ち上がっている(図5(c))。
信号合成回路13は、各SPAD10a〜10cからの出力信号Sa〜Scを合計して、合成信号S1を生成する。図5(a)〜(c)の出力信号Sa〜Scに基づく合成信号S1を図5(d)に例示する。
図5(d)に例示する合成信号S1は、同時刻の3つの出力信号Sa〜Sc(図5(a)〜(c))を合計したものである。例えば、時刻t1から時刻t2まで、合成信号S1は、図5(a)の出力信号Saに応じて合計は1である。
また、図5(d)の例の合成信号S1は、時刻t2において、2つの矩形パルスP1(図5(a),(c))の合計によって「1」から「2」に増大している。合成信号S1は、さらに、時刻t3において、3つの矩形パルスP1(図5(a)〜(c))の合計によって「3」に増大している。このように、合成信号S1の信号レベルは、受光したSPAD10a〜10cの個数に応じて変化する。
以上のように合成される合成信号S1と各種しきい値V1,V3a,V3bとの関係を図6(a)に例示する。以下では、図6(a)〜(d)に示すように、投光部20が時刻t0に投光し、光検出装置1が時刻t0から受光期間T1中に光検出を行う例を説明する。この場合、TDC4には、制御部25から時刻t0を示す検出開始タイミング信号S0が入力される。
図6(a)の例の合成信号S1は、時刻t0後に増大して、時刻t11に第1の二値化しきい値V3aに到り、時刻t12に第2の二値化しきい値V3bに到り、時刻t13に検出しきい値V1に到っている。光検出装置1において、合成信号S1は、検出回路14とタイミング抽出回路3とに入力される。
検出回路14は、合成信号S1と検出しきい値V1との比較により、検出信号S2を生成する。同時に、タイミング抽出回路3の各比較回路32a,32bは、それぞれ合成信号S1と各二値化しきい値V3a,V3bとを比較して、各々の二値信号S3a,S3bを生成する。図6(b),(c),(d)に、それぞれ図6(a)の例の合成信号S1に基づく検出信号S2、第1の二値信号S3a及び第2の二値信号S3bを例示する。
時刻t11において、合成信号S1が第1の二値化しきい値V3aに到ることから、図6(c)に示すように、第1の二値信号S3aが「0」から「1」に切り替わる。また、時刻t12においても同様に、図6(d)に示すように、第2の二値信号S3bが「0」から「1」に切り替わる。各二値信号S3a,S3bは、各々の保持回路33a,33bに順次、入力される。
時刻t12後の時刻t13において、合成信号S1が検出しきい値V1に到ることから、図6(b)に示すように、検出信号S2が立ち上がる。すると、TDC4は、検出開始タイミング信号S0が示す時刻t0から、検出信号S2の立ち上がりの時刻t13までの期間T2を測定期間として計測(時間/デジタル変換)する。TDC4は、計測した測定期間T2を示す時間情報D1を保持する。
また、時刻t13において、タイミング抽出回路3の各保持回路33a,33bは、検出信号S2の立ち上がりに応じて、時刻t13から保持期間T3だけ前の時刻t10以後に入力された二値信号S3a,S3bのタイミング情報D3a,D3bを保持する。図6(c),(d)の二値信号S3a,S3bを保持したタイミング情報D3a,D3bをそれぞれ図6(e),(f)に例示する。
図6(e),(f)では、図4の記憶素子34の並び順に対応させて、図中の左側ほど新しい信号状態を示している。図6(e)では、図6(c)の二値信号S3aが時刻t11から終端の時刻t13まで「1」であることに対応して、図中左側に「1」が記録されている。また、図6(f)では、図6(d)の二値信号S3bが時刻t11後の時刻t12から「1」であることに対応して、図6(e)よりも「1」が記録された区間が短くなっている。
図6(e),(f)のタイミング情報D3a,D3bによると、終端の時刻t13に対して相対的に、各二値化しきい値V3a,V3b以上となったタイミングt11,t12を特定することができる。各タイミング情報D3a,D3bは、演算部5に入力される。
演算部5は、測定期間T2を示す時間情報D1及びタイミング情報D3a,D3bに基づいて、測距のための演算を行う。例えば、まず、演算部5は、タイミング情報D3a,D3bによる相対的な時間情報を、検出開始タイミングの時刻t0を基準とする絶対的な時間情報に変換する。具体的に、演算部5は、例えば測定期間T2と各タイミング情報D3a,D3bにおける「1」の区間の長さに基づいて、図6(c),(d)に示すように、時刻t0から時刻t11,t12までの期間T31,T32を算出する。
さらに、演算部5は、TDC4の測定期間T2及びタイミング情報D3から算出される期間T31,T32に基づいて、所定の統計処理を実行する。例えば、演算部5は、1回の投受光に対する複数の期間T2,T31,T32の平均値を演算して、光の飛行時間又は対応する距離値を算出する。
また、演算部5は、複数回の投受光で得られる時間情報D1及びタイミング情報D3をRAM等に蓄積してヒストグラム等による統計処理を行ってもよく、例えばヒストグラムのピーク位置等に応じて距離値を算出してもよい。時間情報D1及びタイミング情報D3を用いることで、ヒストグラムのサンプル数を効率良く増やすことができる。
以上の光検出装置1の動作によると、SPAD10a〜10cの出力信号Sa〜Scを合成した合成信号S1に基づいて、複数のSPAD10a〜10bによる同時受光の時刻t13が検出されると、さらに、時刻t13直前に合成信号S1が増大した時刻t11,t12を示すタイミング情報D31,D32を取得できる。これにより、1回の投受光において複数のSPAD10a〜10cが反応した複数のタイミングt11,〜t13が得られ、光学式測距センサ2における光検出を精度良く行い易くすることができる。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係る光検出装置1は、所定の検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する。光検出装置1は、複数のSPAD10a〜10cと、信号合成回路13と、検出回路14と、TDC4と、タイミング抽出回路3とを備える。複数のSPAD10a〜10cは、光を受光して、受光結果を示す出力信号Sa〜Scをそれぞれ生成する。信号合成回路13は、各SPAD10a〜10cからの複数の出力信号Sa〜Scを合計して、合成信号S1を生成する。検出回路14は、合成信号S1が第1しきい値の一例である検出しきい値V1以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号S2を生成する。TDC4は、検出信号S2に基づいて、検出開始タイミングと検出されたタイミングとの間の測定期間T2を計測する。タイミング抽出回路3は、検出されたタイミングを基準とする所定の保持期間T3において、合成信号S1が、第2しきい値の一例である二値化しきい値V3a,V3b以上か否かを示すタイミング情報D3a,D3bを抽出する。
以上のように、本実施形態に係る光検出装置1は、所定の検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する。光検出装置1は、複数のSPAD10a〜10cと、信号合成回路13と、検出回路14と、TDC4と、タイミング抽出回路3とを備える。複数のSPAD10a〜10cは、光を受光して、受光結果を示す出力信号Sa〜Scをそれぞれ生成する。信号合成回路13は、各SPAD10a〜10cからの複数の出力信号Sa〜Scを合計して、合成信号S1を生成する。検出回路14は、合成信号S1が第1しきい値の一例である検出しきい値V1以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号S2を生成する。TDC4は、検出信号S2に基づいて、検出開始タイミングと検出されたタイミングとの間の測定期間T2を計測する。タイミング抽出回路3は、検出されたタイミングを基準とする所定の保持期間T3において、合成信号S1が、第2しきい値の一例である二値化しきい値V3a,V3b以上か否かを示すタイミング情報D3a,D3bを抽出する。
以上の光検出装置1によると、測定期間T2に加えてタイミング情報D3a,D3bを取得することにより、光学式測距センサ2における光検出を精度良く行い易くすることができる。
本実施形態において、光検出装置1の受光素子は、入射する光子に確率的に反応するSPAD10a〜10cである。各SPAD10a〜10cが確率的に動作しても、タイミング情報D3を用いて、精度良く光検出を行うことができる。
また、本実施形態において、光検出装置1は、演算部5をさらに備える。演算部5は、抽出されたタイミング情報D3a,D3bと計測された測定期間T2とに基づいて、検出開始タイミングからタイミング情報が示すタイミングまでの期間T31,T32を算出する。演算部5は、算出した期間T31,T32と測定期間T2とに基づく統計処理を実行する。統計処理により、高精度の測距を実現することができる。
また、本実施形態において、タイミング抽出回路3は、比較回路32と、保持回路33とを備える。比較回路32は、二値化しきい値V3毎に設けられ、合成信号S2が当該二値化しきい値V3以上か否かを示す二値信号S3を生成する。保持回路33は、比較回路32毎に設けられ、検出信号S2が示すタイミングまでの保持期間T3において、当該比較回路32からの二値信号S3に基づくタイミング情報D3を保持する。これにより、各二値信号S3に基づくタイミング情報D3を取得することができる。
また、本実施形態に係る光学式測距センサ2は、光を投光する投光部20と、光検出装置1とを備える。光検出装置1のTDC4は、投光部20が光を投光するタイミングを検出開始タイミングに用いて、測定期間T2を計測する。本実施形態の光学式測距センサ2によると、光検出装置1において精度良く光検出を行って、測距精度を良くすることができる。
また、本実施形態に係る光検出方法は、複数のSPAD10a〜10cを備える光検出装置1が所定の検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する方法である。本方法は、複数のSPAD10a〜10cにおいて光を受光して、受光結果を示す出力信号Sa〜Scをそれぞれ生成するステップと、複数の出力信号Sa〜Scを合計して、合成信号S1を生成するステップとを含む。さらに、本方法は、合成信号S1が所定の第1しきい値以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号S2を生成するステップと、検出信号S2に基づいて、検出開始タイミングと検出されたタイミングとの間の測定期間T2を計測するステップとを含む。さらに、本方法は、検出されたタイミングを基準とする保持期間T3において、合成信号S1が、少なくとも1つの第2しきい値以上か否かを示すタイミングを示すタイミング情報D3を取得するステップを含む。本方法によると、光学式測距センサ2における光検出を精度良く行い易くすることができる。
以上の説明では、光検出装置1が備えるSAPD10a〜10cの個数が、3個の例を説明した。光検出装置1が備えるSAPD10a〜10cの個数は、4個以上であってもよいし、2個であってもよい。
また、以上の説明では、光検出装置1のタイミング抽出回路3が2組の各回路31,32,33を備える例を説明した。光検出装置1のタイミング抽出回路3は、3組以上の各回路31〜33を備えてもよいし、1組の各回路31〜33を備えてもよい。また、検出回路とタイミング抽出回路の組は、複数であってもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、タイミング情報D3が、検出信号S2が示すタイミングを終端とする保持期間中のタイミングを示したが、光検出装置が取得するタイミング情報はこれに限らない。実施形態2では、上記のような光検出装置の構成例について、図7,8を参照して説明する。
実施形態1では、タイミング情報D3が、検出信号S2が示すタイミングを終端とする保持期間中のタイミングを示したが、光検出装置が取得するタイミング情報はこれに限らない。実施形態2では、上記のような光検出装置の構成例について、図7,8を参照して説明する。
図7は、実施形態2に係る光検出装置1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る光検出装置1Aにおいては、実施形態1の光検出装置1と同様の構成(図3)に加えて、図7に示すように、検出回路14Aが、遅延回路17をさらに備える。
本実施形態の検出回路14Aにおいて、遅延回路17は、判定回路16から出力される検出信号S2を所定の遅延期間(例えば数百ピコ秒〜数ナノ秒)分、遅延させ、遅延検出信号S2Aを生成する。本実施形態では、判定回路16からの検出信号S2の代わりに、遅延回路17からの遅延検出信号S2Aが、TDC4及びタイミング抽出回路3の各保持回路33a,33bに出力される。
図8は、実施形態2に係る光検出装置1Aの動作を例示するタイミングチャートを示す。図8(a)は、合成信号S1のタイミングチャートの一例である。図8(b)は、図8(a)の合成信号S1に基づく検出信号S2を示す。図8(c)は、図8(b)の検出信号S2に基づく遅延検出信号S2Aを示す。図8(d),(e)は、それぞれ図8(a)の合成信号S1に基づく第1及び第2の二値化信号S3a,S3bを示す。
本構成例では、図8(a)に示すように、第1の二値化しきい値V3aが、検出しきい値V1よりも大きい値に設定されている。換言すると、検出しきい値V1が、複数の二値化しきい値V3a,V3bの一つよりも小さい値に設定されている。例えば、光検出装置1Aにおいて受光時の光子数が少ないときであっても検出可能にする観点から、検出しきい値V1を小さく設定することが有用になり得る。
図8(a)の例の合成信号S1は、時刻t0後に増大して、時刻t21に検出しきい値V1に到り、その後の時刻t22に第1の二値化しきい値V3aに到っている。このため、図8(b)の検出信号S2は、図8(d)の二値信号S3aが立ち上がる時刻t22前の時刻t21に立ち上がっている。一方、遅延検出信号S2Aは、図8(c)に示すように、時刻t21から遅延回路17の遅延期間T4分遅延して、時刻t22後の時刻t23に立ち上がっている。
本実施形態の光検出装置1Aによると、タイミング抽出回路3の各保持回路33a,33bは、遅延検出信号S2Aが示す時刻t23を終端とする保持期間T3分のタイミング情報D3a,D3bを保持する。これにより、合成信号S1が検出しきい値V1以上になる時刻t21後に、さらに二値化しきい値V3a以上になるタイミングを示すタイミング情報D3aを取得することができる。
以上のように、本実施形態に係る光検出装置1Aでは、検出回路14Aが、検出信号S2を所定の遅延期間分、遅延させて、遅延検出信号S2Aとして保持回路33に出力する。二値化しきい値V3の1つは、検出しきい値V1よりも大きい。これにより、検出信号S2が示すタイミング後に増大するタイミングを示すタイミング情報D3を取得できる。検出しきい値V1よりも大きい二値化しきい値V3の個数は1つに限らず複数であってもよい。また、二値化しきい値V3はV1より大きいものだけでもよい。
(実施形態3)
実施形態1では、二値化しきい値V3毎に保持回路33a,33bを設け、複数のタイミング情報D3a,D3bを保持する光検出装置1の構成例を説明した。本実施形態では、複数の二値化しきい値V3a,V3bのタイミング情報を統合して保持する光検出装置について、図9〜11を参照して説明する。
実施形態1では、二値化しきい値V3毎に保持回路33a,33bを設け、複数のタイミング情報D3a,D3bを保持する光検出装置1の構成例を説明した。本実施形態では、複数の二値化しきい値V3a,V3bのタイミング情報を統合して保持する光検出装置について、図9〜11を参照して説明する。
図9は、実施形態3に係る光検出装置1Bの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る光検出装置1Bは、実施形態1の光検出装置1と同様の構成(図3)において、図9に示すように、タイミング抽出回路3Aの構成を変更する。本実施形態のタイミング抽出回路3Aは、実施形態1と同様の構成において、複数の保持回路33a,33bの代わりに、複数の二値信号S3a,S3bを統合するための統合回路37と、1つの保持回路33とを備える。
統合回路37は、各比較回路32a,32bからの複数の二値信号S3a,S3bに基づいて、各々の比較結果のタイミングを統合的に示す統合信号S30を生成する。統合回路37の構成例を図10に示す。
図10の構成例において、統合回路37は、比較回路32毎に設けられた複数の論理ゲート71a,71b及び複数の遅延素子72a,72bと、1つのORゲート70とを備える。各遅延素子72a,72bは、共通の遅延期間を有することが望ましい。
第1の論理ゲート71aは、第1の二値信号S3aと、遅延素子72aによる同二値信号S3aの遅延結果の反転信号との論理積を演算して、第1の論理信号S31aを生成する。同様に、第2の論理ゲート71bは、第2の二値信号S3bに基づいて第2の論理信号S31bを生成する。各論理信号S31a,S31bは、ORゲート70に入力される。ORゲート70は、複数の論理信号S31a,S31bの論理和を演算して、演算結果を示す統合信号S30を生成する。
図11は、実施形態3に係る光検出装置1Bの動作を例示するタイミングチャートを示す。図11(a)は、合成信号S1のタイミングチャートの一例である。図11(b)は、図11(a)の合成信号S1に基づく検出信号S2を示す。図11(c),(d)は、それぞれ図11(a)の合成信号S1に基づく第1及び第2の論理信号S31a,S31bを示す。図11(e)は、図11(c),(d)の論理信号S31a,S31bに基づく統合信号S30を示す。図11(f)は、図11(e)の統合信号S30に基づくタイミング情報D3を示す。
上記の統合回路37によると、各論理信号S31a,S31bが図11(c),(d)に示すように、合成信号S1が二値化しきい値V3a,V3b以上になって各二値信号S3a,S3bが立ち上がるタイミングt11,t12に応じて、矩形パルスを形成する。各論理信号S31a,S31bの矩形パルスは、遅延素子72a,72bの遅延期間分のパルス幅を有する。
統合回路37は、各二値信号S3a,S3bに基づいて、例えば図11(c),(d)の論理信号S31a,S31bの論理和をとって、統合信号S30を生成する。統合信号S30によると、図11(e)に示すように、図11(c),(d)の論理信号S31a,S31bの各矩形パルスが含まれる。
上記の統合信号S30をタイミング情報D3として保持することにより、図11(f)に示すように、各論理信号S31a,S31bが立ち上がったタイミングt11,t12に対応して、「1」が記録される。これにより、実施形態1の複数のタイミング情報D3a,D3bと同等の情報量を1つのタイミング情報D3で取得できる。また、保持回路33の分の回路面積を削減できる。
以上のように、本実施形態に係る光検出装置1Bにおいて、タイミング抽出回路3Aは、複数の比較回路32と、統合回路37と、保持回路33とを備える。比較回路32は、第2しきい値毎に設けられ、合成信号S1が当該第2しきい値以上か否かを示す二値信号S3を生成する。統合回路37は、各比較回路32からの複数の二値信号S3に基づいて、各々の比較結果のタイミングを統合的に示す統合信号S30を生成する。保持回路33は、統合信号S30に基づいて、検出信号S2が示すタイミングまでの保持期間T3におけるタイミング情報D3を保持する。これにより、複数の比較結果を統合したタイミング情報D3を取得することができる。
(他の実施形態)
上記の各実施形態では、検出しきい値V1が一定値の例を説明した。本実施形態の光検出装置においては、検出しきい値V1が、合成信号S1の最大値に基づき設定されてもよい。検出しきい値V1が合成信号S1の最大値に基づき設定される場合の検出しきい値設定回路15の変形例について、図12を用いて説明する。
上記の各実施形態では、検出しきい値V1が一定値の例を説明した。本実施形態の光検出装置においては、検出しきい値V1が、合成信号S1の最大値に基づき設定されてもよい。検出しきい値V1が合成信号S1の最大値に基づき設定される場合の検出しきい値設定回路15の変形例について、図12を用いて説明する。
本変形例の検出しきい値設定回路15は、例えば図12に示すように、比較器61と、2つのマルチプレクサ60,62とを備える。検出しきい値設定回路15は、入力された合成信号S1における最大値を検出しきい値V1として保持して、保持された検出しきい値V1を出力する。
信号合成回路13からの合成信号S1は、検出しきい値設定回路15において比較器61とマルチプレクサ62とに入力される。マルチプレクサ60は、比較器61とマルチプレクサ62とに、初期値を示す初期値信号Si又は検出しきい値V1を出力する。
比較器61は、合成信号S1と、マルチプレクサ60から出力される信号とを比較する。比較器61は、マルチプレクサ62の制御端子に、比較結果を示す信号を出力する。
マルチプレクサ62は、比較器61の比較結果に従って、合成信号S1と、マルチプレクサ60から出力された初期値信号Si又は検出しきい値V1との間で、マルチプレクサ60の入力端子に出力する信号を切り替える。
以上の構成例の検出しきい値設定回路15によると、合成信号S1において最大値が更新される毎に、更新された検出しきい値V1を生成することができる。本変形例の光検出装置1における検出回路14は、例えば図12の検出しきい値設定回路15から出力される検出しきい値V1と、適宜遅延させた合成信号S1とを判定回路16で比較判定して、検出信号S2を生成する。制御部25は、例えば投光直前等に、リセット信号Srを出力して、検出しきい値V1を初期値に設定してもよい。
上記の各実施形態では、光検出装置1〜1Bの受光素子がSPAD10a〜10cである構成例を説明した。本実施形態においては、光検出装置の受光素子は、必ずしもSPADに限らない。
また、上記の各実施形態では、二値化しきい値V2を用いた二値化によってタイミング情報D3を抽出する光検出装置1〜1Bの構成例を説明した。本実施形態の光検出装置は、二値化しきい値V2を用いずに、保持期間等における合成信号S1の増加についてのタイミング情報を取得してもよい。
また、以上の説明では、工業自動化の用途への光学式測距センサ2の適用例を例示したが、本開示に係る光学式測距センサ2及び光検出装置1〜1Bの用途はこれに限らず、例えば車載用途であってもよい。光学式測距センサ2は、例えばLiDAR或いは距離画像センサ等を構成してもよい。
(付記)
以上のように、本開示の各種実施形態について説明したが、本開示は上記の内容に限定されるものではなく、技術的思想が実質的に同一の範囲内で種々の変更を行うことができる。以下、本開示に係る各種態様を付記する。
以上のように、本開示の各種実施形態について説明したが、本開示は上記の内容に限定されるものではなく、技術的思想が実質的に同一の範囲内で種々の変更を行うことができる。以下、本開示に係る各種態様を付記する。
本開示に係る第1の態様は、検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する光検出装置(1)である。前記光検出装置1は、複数の受光素子(10a〜10c)と、信号合成回路(13)と、検出回路(14)と、時間計測回路(4)と、タイミング抽出回路(3)とを備える。前記複数の受光素子は、光を受光して、受光結果を示す出力信号(Sa〜Sc)をそれぞれ生成する。前記信号合成回路は、各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号(S1)を生成する。前記検出回路は、前記合成信号が第1しきい値(V1)以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号(S2)を生成する。前記時間計測回路は、前記検出信号に基づいて、前記検出開始タイミングと前記検出されたタイミングとの間の測定期間を計測する。前記タイミング抽出回路は、前記検出されたタイミングを基準とする所定期間(T3)において、前記合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報(D3)を抽出する。
第2の態様では、第1の態様の光検出装置において、前記受光素子は、アバランシェフォトダイオードをガイガーモードで動作させた単一光子アバランシェフォトダイオード(SPAD)である。
第3の態様では、第1又は第2の態様の光検出装置は、演算部(5)をさらに備える。前記演算部は、抽出されたタイミング情報と計測された測定期間とに基づいて、前記検出開始タイミングから前記タイミング情報が示すタイミングまでの期間を算出する。
第4の態様では、第3の態様の光検出装置において、前記演算部は、算出した期間と前記測定期間とに基づく統計処理を実行する。
第5の態様では、第1〜第4のいずれかの態様の光検出装置において、前記タイミング抽出回路は、少なくとも1つの比較回路(32)と、保持回路(33)とを備える。前記比較回路は、第2しきい値毎に設けられ、前記合成信号が当該第2しきい値以上か否かを示す二値信号(S3)を生成する。前記保持回路は、前記比較回路毎に設けられ、前記検出信号が示すタイミングまでの所定期間において、当該比較回路からの二値信号に基づくタイミング情報を保持する。
第6の態様では、第1〜第4のいずれかの態様の光検出装置において、前記タイミング抽出回路(3A)は、複数の比較回路(32)と、統合回路(37)と、保持回路(33)とを備える。前記比較回路は、第2しきい値毎に設けられ、前記合成信号が当該第2しきい値以上か否かを示す二値信号(S3)を生成する。前記統合回路は、各比較回路からの複数の二値信号に基づいて、各々の比較結果のタイミングを統合的に示す統合信号(S30)を生成する。前記保持回路は、前記統合信号に基づいて、前記検出信号が示すタイミングまでの所定期間における前記タイミング情報(D3)を保持する。
第7の態様では、第5又は第6の態様の光検出装置において、前記検出回路は、前記検出信号を所定の遅延期間分、遅延させて、前記保持回路に出力する遅延回路(17)を備える。前記第2しきい値の少なくとも1つは、前記第1しきい値よりも大きい。
第8の態様では、第1〜第7のいずれかの態様の光検出装置において、前記第1しきい値は、前記合成信号の最大値に基づき設定される。
第9の態様は、光を投光する投光部(20)と、第1〜第8のいずれかの態様の光検出装置とを備える。前記光検出装置の時間計測回路は、前記投光部が光を投光するタイミングを前記検出開始タイミングに用いて、前記測定期間を計測する。
第10の態様は、複数の受光素子(10a〜10c)を備える光検出装置(1)が検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する光検出方法である。本方法は、前記複数の受光素子において光を受光して、受光結果を示す出力信号(Sa〜Sc)をそれぞれ生成するステップと、各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号(S1)を生成するステップとを含む。本方法は、前記合成信号が第1しきい値(V1)以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号(S2)を生成するステップと、前記検出信号に基づいて、前記検出開始タイミングと前記検出されたタイミングとの間の測定期間(T2)を計測するステップとを含む。本方法は、前記検出されたタイミングを基準とする所定期間において、前記合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報を取得するステップを含む。
1,1A,1B 光検出装置
10a〜10c SPAD
13 信号合成回路
14,14A 検出回路
2 光学式測距センサ
20 投光部
3,3A タイミング抽出回路
32 比較回路
33 保持回路
37 統合回路
4 TDC
5 演算部
10a〜10c SPAD
13 信号合成回路
14,14A 検出回路
2 光学式測距センサ
20 投光部
3,3A タイミング抽出回路
32 比較回路
33 保持回路
37 統合回路
4 TDC
5 演算部
Claims (10)
- 検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する光検出装置であって、
光を受光して、受光結果を示す出力信号をそれぞれ生成する複数の受光素子と、
各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号を生成する信号合成回路と、
前記合成信号が第1しきい値以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号を生成する検出回路と、
前記検出信号に基づいて、前記検出開始タイミングと前記検出されたタイミングとの間の測定期間を計測する時間計測回路と、
前記検出されたタイミングを基準とする所定期間において、前記合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報を抽出するタイミング抽出回路と
を備える光検出装置。 - 前記受光素子は、アバランシェフォトダイオードをガイガーモードで動作させた単一光子アバランシェフォトダイオードである
請求項1に記載の光検出装置。 - 抽出されたタイミング情報と計測された測定期間とに基づいて、前記検出開始タイミングから前記タイミング情報が示すタイミングまでの期間を算出する演算部をさらに備える
請求項1又は2に記載の光検出装置。 - 前記演算部は、算出した期間と前記測定期間とに基づく統計処理を実行する
請求項3に記載の光検出装置。 - 前記タイミング抽出回路は、
第2しきい値毎に設けられ、前記合成信号が当該第2しきい値以上か否かを示す二値信号を生成する少なくとも1つの比較回路と、
前記比較回路毎に設けられ、前記検出信号が示すタイミングまでの所定期間において、当該比較回路からの二値信号に基づくタイミング情報を保持する保持回路とを備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光検出装置。 - 前記タイミング抽出回路は、
第2しきい値毎に設けられ、前記合成信号が当該第2しきい値以上か否かを示す二値信号を生成する複数の比較回路と、
各比較回路からの複数の二値信号に基づいて、各々の比較結果のタイミングを統合的に示す統合信号を生成する統合回路と、
前記統合信号に基づいて、前記検出信号が示すタイミングまでの所定期間における前記タイミング情報を保持する保持回路とを備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光検出装置。 - 前記検出回路は、前記検出信号を所定の遅延期間分、遅延させて、前記保持回路に出力する遅延回路を備え、
前記第2しきい値の少なくとも1つは、前記第1しきい値よりも大きい
請求項5又は6に記載の光検出装置。 - 前記第1しきい値は、前記合成信号の最大値に基づき設定される
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光検出装置。 - 光を投光する投光部と、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光検出装置とを備え、
前記光検出装置の時間計測回路は、前記投光部が光を投光するタイミングを前記検出開始タイミングに用いて、前記測定期間を計測する
光学式測距センサ。 - 複数の受光素子を備える光検出装置が検出開始タイミングに応じて入射する光を検出する光検出方法であって、
前記複数の受光素子において光を受光して、受光結果を示す出力信号をそれぞれ生成するステップと、
各受光素子からの複数の出力信号を合計して、合成信号を生成するステップと、
前記合成信号が第1しきい値以上になるタイミングを検出して、検出されたタイミングを示す検出信号を生成するステップと、
前記検出信号に基づいて、前記検出開始タイミングと前記検出されたタイミングとの間の測定期間を計測するステップと、
前記検出されたタイミングを基準とする所定期間において、前記合成信号が増加するタイミングを示すタイミング情報を取得するステップと
を含む光検出方法。
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