JP2019157261A - 耐食性CuCo合金 - Google Patents

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雅博 高畑
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Abstract

【課題】耐食性CuCo合金を提供する。【解決手段】Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であって、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であり、光学顕微鏡観察による空孔の個数が、1個/cm2以下である、耐食性CuCo合金。【選択図】なし

Description

本発明は、酸性雰囲気で使用される電極用として好適に使用可能な耐食性CuCo合金に関する。
パルスレーザー光が、近年、集積回路フォトリソグラフィに使用されるようになってきた。パルスレーザー光は、ガス放電媒体内で非常に短い放電かつ非常に高い電圧で1対の電極間にガス放電を与えて発生できる。例えばArFレーザーシステムにおいては、作動中に電極の対間にフッ素含有プラズマが発生する。フッ素含有プラズマは、金属に対する腐食性が非常に高い。その結果、電極は、パルスレーザーの発生装置の稼働中に時間と共に腐食する。電極の腐食は、腐食スポットを形成して、プラズマにアーキングを発生させ、電極の寿命の低下をさらに加速する。電極としては、例えばCu含有合金が使用される。
電極の長寿命化のための技術として、Cu含有合金からなる放電用の電極の本体部分を、放電のために部分的に露出させて(放電受容領域)、その他の部分を他の合金で被覆することによって、電極として安定的に長期間使用する技術が開発されてきた(特許文献1、2)。一方、このような電極の構造の工夫に加えて、電極に使用する銅合金として、燐をドープした黄銅を使用して、黄銅中の微孔隙の発生を低減して、電極を長寿命化する技術が開示されている(特許文献3)。
特表2007−500942号公報 特表2007−510284号公報 特表2015−527726号公報
電極の構造の工夫によって電極を長寿命化しようとする従来の技術においても、もし、Cu含有合金の耐食性が改善されれば、電極の長寿命化がさらに可能になる。また、燐をドープした黄銅を使用して長寿命化する技術においては、Cu含有合金に燐を目的濃度までドープする工程による工程数の増加負担が生じるが、このような負担は回避できることが望ましい。
したがって、本発明の目的は、耐食性を向上させた、Cu含有合金を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、後述する組成のCuCo合金を熱間鍛造及び熱間等方圧加工することによって、他の元素を添加することなく優れた耐食性を発揮することを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)を含む。
(1)
Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であって、
Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であり、
光学顕微鏡観察による空孔の個数が、1個/cm2以下である、耐食性CuCo合金。
本発明によれば、耐食性のCuCo合金が得られる。本発明の耐食性CuCo合金は、酸性雰囲気で使用される電極用として好適に使用でき、特にArFレーザーシステム、及びKrFレーザーシステムの電極用として好適である。本発明の耐食性CuCo合金は、製造時において他の元素の添加の必要がなく、これらの添加工程による工程数増加の負担を回避して、製造することができる。
図1は製造例1の手順の説明図である。 図2は製造例2の手順の説明図である。 図3は製造例3の手順の説明図である。 図4は試料1の光学顕微鏡写真である。 図5は試料2の光学顕微鏡写真である。 図6は試料3の光学顕微鏡写真である。 図7は試料4の光学顕微鏡写真である。 図8は硝酸を使用した耐食性試験の結果である。 図9はフッ硝酸水溶液を使用した耐食性試験の結果である。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[耐食性CuCo合金]
本発明に係る耐食性CuCo合金は、Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であって、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であり、光学顕微鏡観察による空孔の個数が、1個/cm2以下である、CuCo合金にある。このCuCo合金は、耐食性電極用合金として好適に使用できる。
[Co含有量とCu含有量]
Co含有量は、5〜25質量%とすることができ、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%とすることができる。Co含有量とCu含有量の合計は、99.999質量%以上とすることができ、好ましくは99.9999質量%以上、さらに好ましくは99.99995質量%以上とすることができる。
[不可避不純物]
本発明において、CuCo合金の不可避不純物として、さらに以下の各元素の含有量をそれぞれ以下の通りの含有量とすることができる。
Na含有量が0.05ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、Mg含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Al含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Si含有量が0.5ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、P含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、S含有量が0.05ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、Cl含有量が0.05ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、K含有量が0.01ppm以下、好ましくは0.01ppm未満(測定限界未満)、V含有量が0.1ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Cr含有量が1ppm未満、好ましくは0.002ppm未満(測定限界未満)、Mn含有量が0.5ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Fe含有量が1ppm未満、好ましくは0.1ppm未満(測定限界未満)、Ni含有量が5ppm未満、好ましくは0.5ppm未満(測定限界未満)、Zn含有量が0.1ppm未満、好ましくは0.01ppm未満(測定限界未満)、Ga含有量が0.1ppm未満、好ましくは0.01ppm未満(測定限界未満)、As含有量が0.05ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、Se含有量が0.1ppm未満、好ましくは0.01ppm未満(測定限界未満)、Mo含有量が0.5ppm未満、好ましくは0.005ppm未満(測定限界未満)、Ag含有量が0.5ppm未満、好ましくは0.05ppm未満(測定限界未満)、Cd含有量が0.5ppm未満、好ましくは0.05ppm未満(測定限界未満)、Sn含有量が0.1ppm未満、好ましくは0.01ppm未満(測定限界未満)、Sb含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Ba含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Pb含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、Bi含有量が0.01ppm未満、好ましくは0.001ppm未満(測定限界未満)、O含有量が10ppm未満、好ましくは1ppm未満(測定限界未満)とすることができる。
金属元素はGD−MSによって分析することができ(V.G.Scientific社製 VG−9000)、気体成分は酸素(O)、窒素(N)及び水素(H)については、LECO社製の酸素窒素分析装置(型式TCH−600)を、炭素(C)についてLECO社製の炭素硫黄分析装置(型式CS−444)を使用して分析することができる。
[空孔]
本発明に係る耐食性CuCo合金は、光学顕微鏡観察による空孔の個数を、1個/cm2以下、好ましくは0.1個/cm2以下とすることができる。このときの空隙の面積率は0.00004%となる。空孔の個数は次のように求める。顕微鏡観察に基づいて、0.5mm×0.5mmの面あたりの空孔の個数を、10箇所計数して、その平均値を算出した。計数は、各試料に付き2箇所については、目視によって個数を数え、その結果から目視の計数と一致するように二値化の閾値(256段階の80)を決定し、残りの8箇所については、その二値化の閾値に基づいて画像処理により空孔を計数した。
本発明に係る耐食性CuCo合金は、光学顕微鏡観察による孔径10μm以上である空孔の個数が、1個/cm2以下、好ましくは0.1個/cm2以下とすることができる。また、空隙の面積率は、0.0004%以下、好ましくは0.00004%以下となる。空孔の孔径については、空孔の形状によらず、外接円をその空孔の孔径として観察した。
[耐食性]
本発明に係る耐食性CuCo合金は、フッ素含有環境中において、優れた耐食性を備えている。本発明における耐食性は、過酷な条件として、実施例に示したフッ硝酸試験によって、試験することができる。
[耐食性CuCo合金の製造]
好適な実施の態様において、本発明の耐食性CuCo合金は、CuCo合金であって、Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であり、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であるCuCo合金を、熱間鍛造する工程、熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工する工程、を含む製造方法によって、製造することができる。
好適な実施の態様において、本発明の耐食性CuCo合金は、CuCo合金であって、Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であり、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であるCuCo合金を、熱間鍛造する工程、を含む製造方法であって、熱間等方圧加工する工程を含まない方法によって、製造することができる。
[CuCo合金]
熱間鍛造に供するCuCo合金としては、上記の耐食性CuCo合金と同じ組成の合金を使用することができる。
[真空溶解]
好適な実施の態様において、熱間鍛造に供するCuCo合金として、真空溶解して得られたCuCo合金を使用することができる。真空溶解は、例えば、ロータリーポンプによって101Pa台まで粗引きした後、ディフュージョンポンプによる本引きで10-1Pa台まで本引きし、原料金属を、1500〜1600℃、好ましくは1550〜1600℃の範囲の温度で、15〜90分間、好ましくは20〜60分間保持することによって、行うことができる。
[熱間鍛造]
熱間鍛造は、例えば、1100〜1300℃、好ましくは1150〜1250℃の範囲の温度で、インゴット断面積の縮小率が50〜80%、好ましくは60〜80%となるように長手方向へ延伸させて行うことができる。熱間鍛造では、所望により予熱を行ってもよく、例えば上記範囲の温度へ、1〜15時間加熱することによって行うことができる。
[熱間等方圧加工]
熱間等方圧加工(HIP加工)は、例えば750〜950℃、好ましくは800〜900℃の範囲の温度で、1〜8時間、好ましくは2〜6時間、100〜200MPa、好ましくは120〜180MPaの圧力を、不活性気体中、例えばアルゴンガス中で、付与することによって行うことができる。
[焼鈍]
好適な実施の態様において、熱間等方圧加工されたCuCo合金を、焼鈍処理することができる。焼鈍は、例えば850〜950℃、好ましくは850〜900℃の範囲の温度で、0.5〜4時間、好ましくは1〜3時間、空冷又は炉冷あるいは水冷で、行うことができる。
好適な実施の態様において、熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工することなく、焼鈍処理することができる。焼鈍は、例えば850〜950℃、好ましくは850〜900℃の範囲の温度で、0.5〜4時間、好ましくは1〜3時間、空冷又は炉冷あるいは水冷で、行うことができる。
[仕上げ加工]
好適な実施の態様において、焼鈍処理されたCuCo合金を、仕上げ加工処理することができる。仕上げ加工は、例えば、旋盤加工することによって、行うことができる。
好適な実施の態様において、熱間等方圧加工されたCuCo合金を、仕上げ加工処理することができる。
好適な実施の態様において、熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工することなく、仕上げ加工処理することができる。
[耐食性電極用合金]
本発明に係る耐食性CuCo合金は、フッ素含有環境中において、優れた耐食性を備えているので、耐食性電極用合金として、好適に使用できる。本発明に係る耐食性CuCo合金は、他の元素を添加するためのドープ処理によって生じる二次的な不純物混入を回避しつつ、優れた耐食性を発揮しているので、高純度の電極材料として使用することができる。そして、本発明に係る耐食性CuCo合金は、公知技術である電極構造の工夫による耐食性の向上技術を併用して、耐食性に優れた電極とすることができる。
[好適な実施の態様]
好適な実施の態様として、本発明は、次の(1)以下の実施の態様を含む。
(1)
Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であって、
Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であり、
光学顕微鏡観察による空孔の個数が、1個/cm2以下である、耐食性CuCo合金。
(2)
Co含有量とCu含有量の合計が99.9999質量%以上である、(1)に記載のCuCo合金。
(3)
耐食性電極用合金である、(1)〜(2)のいずれかに記載のCuCo合金。
(4)
光学顕微鏡観察による孔径10μm以上である空孔が、0.1個/cm2以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のCuCo合金。
(5)
Na含有量が0.05ppm未満、Mg含有量が0.01ppm未満、Al含有量が0.01ppm未満、Si含有量が0.5ppm未満、P含有量が0.01ppm未満、S含有量が0.05ppm未満、Cl含有量が0.05ppm未満、K含有量が0.01ppm未満、V含有量が0.1ppm未満、Cr含有量が1ppm未満、Mn含有量が0.5ppm未満、Fe含有量が1ppm未満、Ni含有量が5ppm未満、Zn含有量が0.1ppm未満、Ga含有量が0.1ppm未満、As含有量が0.05ppm未満、Se含有量が0.1ppm未満、Mo含有量が0.5ppm未満、Ag含有量が0.5ppm未満、Cd含有量が0.5ppm未満、Sn含有量が0.1ppm未満、Sb含有量が0.01ppm未満、Ba含有量が0.01ppm未満、Pb含有量が0.01ppm未満、Bi含有量が0.01ppm未満、O含有量が10ppm未満である、(1)〜(4)のいずれかに記載のCuCo合金。
好適な実施の態様として、本発明は、さらに、次の(11)以下の実施の態様を含む。
(11)
CuCo合金であって、Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であり、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であるCuCo合金を、熱間鍛造する工程、
を含む、耐食性CuCo合金の製造方法。
(12)
CuCo合金であって、Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であり、Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であるCuCo合金を、熱間鍛造する工程、
熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工する工程、
を含む、耐食性CuCo合金の製造方法。
(13)
CuCo合金を、熱間鍛造する工程が、
真空溶解して得られたCuCo合金を、熱間鍛造する工程である、(11)又は(12)に記載の製造方法。
(14)
CuCo合金を、熱間鍛造する工程が、
CuCo合金を、1100〜1300℃の範囲の温度で熱間鍛造する工程である、(11)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)
CuCo合金を、熱間鍛造する工程が、
CuCo合金を、1100〜1300℃の範囲の温度でインゴットの断面積をもとの60〜80%まで小さくするように長手方向へ延伸させる条件で熱間鍛造する工程である、(11)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(16)
熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工する工程が、
熱間鍛造したCuCo合金を、750〜950℃の範囲の温度で、1〜8時間、100〜200MPaの圧力で、熱間等方圧加工する工程である、(12)〜(15)のいずれかに記載の製造方法。
(17)
熱間鍛造したCuCo合金を、熱間等方圧加工する工程の後に、
熱間等方圧加工されたCuCo合金を、焼鈍処理する工程、
を含む、(12)〜(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)
熱間等方圧加工されたCuCo合金を、焼鈍処理する工程が、
熱間等方圧加工されたCuCo合金を、850〜950℃の範囲の温度で、0.5〜4時間、空冷又は炉冷で、焼鈍処理する工程である、(17)に記載の製造方法。
(19)
熱間等方圧加工されたCuCo合金、又は焼鈍処理されたCuCo合金を、仕上げ加工する工程、を含む、(12)〜(18)のいずれかに記載の製造方法。
(20)
耐食性電極用CuCo合金の製造方法である、(11)〜(19)のいずれかに記載の製造方法。
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれる。
[製造例1](実施例)
以下のようにCuCo合金を製造した。
原料として次のCu原料及びCo原料を用意した。
Cu原料:高純度金属銅(6N)(純度99.9999%)
Co原料:高純度金属コバルト(5N5)(純度99.9995%)
この原料Cu:36kgと原料Co:9kgをマグネシアルツボ中で真空溶解(誘導加熱)し(条件:10-1Paまで真空引き後、1550℃で30分保持)、銅製鋳型へ出湯して、高純度CuCo合金を得た。得られたCuCo合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ135mm、長さ288mm、重量35.3kgについて熱間鍛造を行なった。
熱間鍛造は、予熱温度を1200℃、3時間とし、最初にφ135mm→φ130mmまで鍛造し、以降、各段階で1200℃、10分以上の再加熱を行ない、φ130mm→80mm角→50mm角→φ41mmと4段階で行った。すなわちインゴットの断面積をもとの60〜80%まで小さくするように長手方向へ延伸させる鍛造をするごとに1200℃で10分以上再加熱を行なって、熱間鍛造の処理を行った。φ41mmまで鍛造したのち、長さ650mm毎に切断することで4本の鍛造棒を得た。
このように熱間鍛造した高純度CuCo合金を、850℃、4時間、Ar150MPaの条件で熱間等方圧加工(HIP加工)した。
その後、900℃、2時間、空冷での焼鈍処理を行なった。
このように処理された高純度CuCo合金を、仕上げ加工して、高純度CuCo棒を得た(高純度+HIP品)(試料1)。
製造例1の手順の説明図を、図1に示す。
[製造例2](実施例)
製造例1と同様に、Cu原料及びCo原料を用意し、真空溶解し、高純度CuCo合金を得て、熱間鍛造した。熱間鍛造した高純度CuCo合金を、熱間等方圧加工(HIP加工)することなく、製造例1と同様の条件で焼鈍処理し、仕上げ加工して、高純度CuCo棒を得た(高純度品)(試料2)。
製造例2の手順の説明図を、図2に示す。
[製造例3](比較例)
以下のようにCuCo合金を製造した。
原料として次のCu原料及びCo原料を用意した。
Cu原料:金属銅地金(4N)(純度99.99%)
Co原料:金属コバルト地金(3N)(純度99.9%)
この原料Cu:36kgと原料Co:9kgをマグネシアルツボ中で大気溶解(抵抗加熱)し(条件:1550℃、30分保持)、銅製鋳型へ出湯して、CuCo合金を得た。得られたCuCo合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ135mm、長さ285mm、重量36.5kgのインゴットを熱間鍛造した。
熱間鍛造は、予熱温度を1200℃、3時間とし、最初にφ135mm→φ130mmまで鍛造し、以降、各段階で1200℃、10分以上の再加熱を行ない、φ130mm→80mm角→50mm角→φ41mmと4段階で行った。すなわちインゴットの断面積をもとの60〜80%まで小さくするように長手方向へ延伸させる鍛造をするごとに1200℃で10分以上再加熱を行なって、熱間鍛造の処理を行った。φ41mmまで鍛造したのち、長さ650mm毎に切断することで4本の鍛造棒を得た。
このように処理されたCuCo合金を、焼鈍処理し、仕上げ加工して、CuCo棒を得た(低純度品)(試料3)。
製造例3の手順の説明図を、図3に示す。
[参考例1](比較例)
対比のために、市販の無酸素銅(JX金属社製、JIS C1011)を用意して、試料4として後の分析に供した。
[組成分析]
試料1〜4の組成を、金属元素はGD−MSによって分析し(V.G.Scientific社製 VG−9000)、気体成分は酸素(O)、窒素(N)及び水素(H)については、LECO社製の酸素窒素分析装置(型式TCH−600)を、炭素(C)についてLECO社製の炭素硫黄分析装置(型式CS−444)によって分析した。得られた結果を、次の表1(表1−1、表1−2)に示す。表中の単位は、wt%と記載されたものは質量%であり、特に記載がないものはppmである。なお、試料は、上記製造例の手順に記載されている通りに作成し、試料1、2は、同一のインゴットから作成した。
[顕微鏡観察]
試料1〜4に対して、光学顕微鏡観察を行った(観察条件:研磨紙で#2000まで研磨後、バフ研磨を実施、使用機器NikonECLIPSEMA200、100倍)。試料1〜4について得られた写真をそれぞれ図4〜図7に示す。
顕微鏡観察に基づいて、0.5mm×0.5mmの面あたりの空孔の個数を、10箇所計数して、その平均値を算出した。計数は、各試料に付き2箇所については、目視によって個数を数え、その結果から目視の計数と一致するように二値化の閾値(256段階の80)を決定し、残りの8箇所については、その二値化の閾値に基づいて画像処理により空孔を計数した。
試料1では、0.5mm×0.5mmあたりの空孔の個数は、ほぼ0個であった。また、空隙の面積率は0.0000%であった。
試料2では、0.5mm×0.5mmあたりの空孔の個数は、5個未満であった。また、空隙の面積率は0.0022%であった。
試料3では、0.5mm×0.5mmあたりの空孔の個数は、1000個より多かった。また、空隙の面積率は0.7649%であった。
試料4では、0.5mm×0.5mmあたりの空孔の個数は、1000個より多かった。また、試料4では、孔径10μm以上の大きな空孔の存在が観察された。空隙の面積率は0.1788%であった。
このように、高純度CuCo合金を熱間鍛造し、HIP加工して得られた試料1は、光学顕微鏡による観察において、空孔が観察されなかった。また、高純度CuCo合金を熱間鍛造して得られた試料2は、光学顕微鏡による観察において、極めて少ない空孔しか観察されなかった。一方、市販品程度の純度であるCuCo合金を熱間鍛造して得られた試料3は、空孔の数が非常に多かった。また、市販の無酸素銅である試料4は、空孔の数は試料3よりも少なかったが、試料2よりは極めて多く、また大きな空孔の存在が観察された。
[引張強さ]
試料1〜4について、JIS:Z2241(2011年)に基づいて、引張強さを測定した。この結果をまとめて、表2に示す。
試料1〜4について、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社のAutoSigma3000を用いて、導電率を測定した。この結果をまとめて、表2に示す。
[耐食性試験]
[硝酸試験]
硝酸を使用した耐食性試験を、次の手順で行った。
試料1〜4を、それぞれ8.4g(大きさ10mm×10mm×10mm)用意した。硝酸(65%)80mlと純水420mlを混合して硝酸水溶液を調整した。試料1〜4をそれぞれ500mlの硝酸水溶液中に投入して、25℃で撹拌しながら、投入後10分後、30分後、60分後の重量減少を測定することによって、それぞれの時間での溶解量(mg/cm2)を算出した。この硝酸を使用した耐食性試験の結果を、図8に示す。
[フッ硝酸試験]
フッ硝酸を使用した耐食性試験を、次の手順で行った。
試料1〜4を、それぞれ8.4g(大きさ10mm×10mm×10mm)用意した。フッ酸(46%)20ml、硝酸(65%)60ml、及び純水420mlを混合してフッ硝酸水溶液を調整した。試料1〜4をそれぞれ500mlのフッ硝酸水溶液中に投入して、25℃で撹拌しながら、投入後10分後、30分後、60分後の重量減少を測定することによって、それぞれの時間での溶解量(mg/cm2)を算出した。このフッ硝酸水溶液を使用した耐食性試験の結果を、図9に示す。
空孔の多い試料3(比較例)及び試料4(参考例)は、硝酸試験及びフッ硝酸試験のいずれにおいても、同じように、溶解は速やかに進行した。一方、試料3及び試料4よりも空孔数が低減された試料2(実施例)では、硝酸試験及びフッ硝酸試験のいずれにおいても、溶解が低減されていた。例えば、硝酸試験の60分後では、試料3に対して試料2の溶解量の比は、1/3.36であった。例えば、フッ硝酸試験の60分後では、試料3に対する試料2の溶解量の比は、1/2.22であった。一方で、空孔がほとんど観察されない試料1(実施例)は、硝酸試験及びフッ硝酸試験のいずれにおいても、溶解が極めて低減されていた。例えば、硝酸試験の60分後では、試料3に対する試料1の溶解量の比は、1/7.64であった。例えば、フッ硝酸試験の60分後では、試料3に対する試料1の溶解量の比は、1/7.69であった。また、硝酸試験の60分後では、試料2に対する試料1の溶解量の比は、1/2.27であった。例えば、フッ硝酸試験の60分後では、試料2に対する試料1の溶解量の比は、1/3.46であった。
本発明は、耐食性CuCo合金を提供する。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (5)

  1. Co含有量が5〜25質量%であり、残余がCu及び不可避不純物であって、
    Co含有量とCu含有量の合計が99.999質量%以上であり、
    光学顕微鏡観察による空孔の個数が、1個/cm2以下である、耐食性CuCo合金。
  2. Co含有量とCu含有量の合計が99.9999質量%以上である、請求項1に記載のCuCo合金。
  3. 耐食性電極用合金である、請求項1〜2のいずれかに記載のCuCo合金。
  4. 光学顕微鏡観察による孔径10μm以上である空孔が、0.1個/cm2以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のCuCo合金。
  5. Na含有量が0.05ppm未満、Mg含有量が0.01ppm未満、Al含有量が0.01ppm未満、Si含有量が0.5ppm未満、P含有量が0.01ppm未満、S含有量が0.05ppm未満、Cl含有量が0.05ppm未満、K含有量が0.01ppm未満、V含有量が0.1ppm未満、Cr含有量が1ppm未満、Mn含有量が0.5ppm未満、Fe含有量が1ppm未満、Ni含有量が5ppm未満、Zn含有量が0.1ppm未満、Ga含有量が0.1ppm未満、As含有量が0.05ppm未満、Se含有量が0.1ppm未満、Mo含有量が0.5ppm未満、Ag含有量が0.5ppm未満、Cd含有量が0.5ppm未満、Sn含有量が0.1ppm未満、Sb含有量が0.01ppm未満、Ba含有量が0.01ppm未満、Pb含有量が0.01ppm未満、Bi含有量が0.01ppm未満、O含有量が10ppm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のCuCo合金。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111826548A (zh) * 2020-07-28 2020-10-27 鞍山大族激光技术有限公司 一种铅青铜工件激光熔覆用铜粉及熔覆方法

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