JP2019154373A - インキュベータ用棚板及びインキュベータ - Google Patents

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Abstract

【課題】インキュベータ内で発熱体を有する装置を使用する際に発熱体から伝達された熱をインキュベータの内部空間に拡散させるインキュベータ用棚板を提供する。【解決手段】インキュベータ101の内部に設置されるインキュベータ用棚板101Bであって、断面が連続した凹凸形状に形成され、凹凸形状によって形成される複数の平面101w,101zには複数の貫通孔101xが形成され、発熱体(32B,28a)を内蔵する装置1が載置されて固定される面101wには装置1を固定するための複数の装置固定用孔101sが形成され、凹凸形状によって形成される複数の溝部には複数のヒートパイプ110が固定されている。【選択図】図8

Description

この発明は、細胞培養等を行うインキュベータの内部に設置されるインキュベータ用棚板と、このインキュベータ用棚板を備えるインキュベータに関するものである。
細胞培養を行う際の培養容器の周囲環境を整える装置、例えば温湿度等を一定に保つための恒温器(以下、インキュベータという;incubator)や、当該培養容器内の細胞等の試料を観察するための試料観察装置等については、種々の形態のものが提案され実用化されている。
一般に、インキュベータ内での長時間の細胞培養の状況や経過をリアルタイムで観察するためには、培養容器を載置した試料観察装置をインキュベータ内に設置した状態で使用されることがある。
また、インキュベータ内には、できるだけ多数の試料(培養容器)や試料観察装置を設置したいという要望がある。
そこで、インキュベータ内に設置する棚板の多段化と、試料観察装置の小型化や薄型化が要望されている。
また、従来の試料観察装置では、稼働時に発熱する構成部材や構成ユニット等の発熱体を内部に有して構成されているのが普通である。
ここで、発熱体としては、例えば撮像ユニットや撮像ユニット駆動機構(移動用アクチュエータ及び駆動用電子回路を含む撮像基板等)等のほか、装置全体の制御回路等を含むCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)等の電子部品を複数実装してなる電子回路基板(electronic circuit board;メイン基板)や電源ユニット等がある。これらの発熱体は、試料観察装置の筐体内部における所定の位置にそれぞれ配設されている。
ところが、従来の試料観察装置をインキュベータ内でそのまま使用すると、当該試料観察装置の発熱体から発生した熱が培養容器へと伝達する可能性がある。この場合、当該培養容器の内部の試料を含む培養液や培地、容器内の気体温度等が上昇してしまうという問題点がある。
この種の試料観察装置においては、インキュベータ内の高温高湿環境で使用することを考慮して、内部構成ユニットを収納する筐体を密閉構造を採用しているのが普通である。したがって、筐体の密閉構造を実現すると同時に、発熱体からの放熱を効率よく行うためには、試料観察装置自体が大型化してしまう傾向があるという問題点もある。
さらに、インキュベータ内の棚板を多段化する場合には、大型の試料観察装置を設置することができなくなるという問題点がある。
また、インキュベータ内の棚板の多段化は、インキュベータ内の物の密度が高くなってしまうことから、インキュベータ内の気体の流れが阻害される可能性もある。このことは、インキュベータ内の自然対流による熱の拡散が充分に行うことができなくなってしまうという問題点もある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、インキュベータ内で発熱体を有する装置(試料観察装置等)を使用する際に、当該装置の発熱体から伝達された熱をインキュベータの内部空間に確実に効率よく拡散させるインキュベータ用棚板と、このインキュベータ用棚板を備えるインキュベータを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様のインキュベータ用棚板は、インキュベータの内部に設置されるインキュベータ用棚板であって、断面が連続した凹凸形状に形成され、上記凹凸形状によって形成される複数の平面には複数の貫通孔が形成され、上記平面のうち発熱体を内蔵する装置が載置されて固定される面には当該装置を固定するための複数の装置固定用孔が形成され、上記凹凸形状によって形成される複数の溝部には複数のヒーパイプが固定されている。
本発明の一態様のインキュベータは、上記インキュベータ用棚板を備える。
本発明によれば、インキュベータ内で発熱体を有する装置(試料観察装置等)を使用する際に、当該装置の発熱体から伝達された熱をインキュベータの内部空間に確実に効率よく拡散させるインキュベータ用棚板と、このインキュベータ用棚板を備えるインキュベータを提供することができる。
本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板を備えるインキュベータを含む試料観察システムの全体構成の概略を示すシステム構成図 図1の試料観察システムの電気的な構成の概略を示すブロック構成図 図1の試料観察システムに含まれる試料観察装置の外観を示す外観斜視図 本発明の第1の実施形態のインキュベータに用いられるインキュベータ用棚板のうち一般的な形態のインキュベータ用棚板(通常棚板)の外観を示す外観斜視図 本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板の外観斜視図 図5の二点鎖線で示す仮想面を矢印[6]方向から見た切断面を示す断面図 図5の矢印符号[7]方向からみた平面図と、その右側面図とを合わせて示す図 図5,図11の矢印符号[8]方向からみた平面図と、その右側面図とを合わせて示す図 本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板がインキュベータに設置される際の状況を概念的に示す説明図 本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板に試料観察装置が設置される際の状況を概念的に示す説明図 図10の矢印符号[11]方向からみた正面図 本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板に試料観察装置を固定した状態を簡略化して示す断面図 本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板についての変形例を示す外観斜視図 本発明の第2の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と右側面図とを合わせて示す図(図15の矢印[14]方向から見た平面図) 図14のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図 本発明の第3の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と右側面図とを合わせて示す図(図17の矢印[16]方向から見た平面図) 図16のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図 本発明の第4の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と正面図とを合わせて示す図(図19の矢印[18]方向から見た平面図) 図18のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図 本発明の第5の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と、斜め方向から見た正面図と、試料観察装置を載置した状態の正面図とを合わせて示す図
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1〜図12は、本発明の第1の実施形態を示す図である。このうち、図1は、本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板を備えるインキュベータを含む試料観察システムの全体構成の概略を示すシステム構成図である。図2は、図1の試料観察システムの電気的な構成の概略を示すブロック構成図である。図3は、図1の試料観察システムに含まれる試料観察装置の外観を示す外観斜視図である。
図4,図5は、本実施形態のインキュベータにおいて用いられるインキュベータ用棚板の外観を示す外観斜視図である。このうち、図4は一般的な形態のインキュベータ用棚板の外観斜視図である。図5は、本実施形態のインキュベータ用棚板の外観斜視図である。図6は、図5の二点鎖線で示す仮想面を矢印[6]方向から見た切断面を示す断面図である。図7は、図5の矢印符号[7]方向からみた平面図と、その右側面図である。図8は、図5,図11の矢印符号[8]方向からみた平面図と、その右側面図である。
図9は、本実施形態のインキュベータ用棚板がインキュベータに設置される際の状況を概念的に示す説明図である。図10は、本実施形態のインキュベータ用棚板に試料観察装置が設置される際の状況を概念的に示す説明図である。図11は、図10の矢印符号[11]方向からみた正面図である。図12は、本実施形態のインキュベータ用棚板に試料観察装置を固定した状態の断面図である。なお、図12においては、図面の煩雑化を避けるために、試料観察装置の断面については簡略化して図示している。
まず、本発明の第1の実施形態のインキュベータ用棚板と、このインキュベータ用棚板を備えるインキュベータを含む試料観察システムの全体構成の概略について、主に図1,図2を用いて以下に説明する。
一般に、インキュベータ(incubator;恒温器)は、内部に複数のインキュベータ用棚板(以下、単に棚板と略記する)を配設した形態の多段構成を採用しているものが普通である。この多段構成を採用することにより、インキュベータの内部には、同時に多数の培養容器や試料観察装置等を収容することができる。この場合において、棚板の形態としては、載置する培養容器や試料観察装置等の形態に応じて、さまざまな形態のものが用意されている。
以下に説明する本実施形態として示す例では、一般的な形態の棚板の代表的な例示として、図1に示すように、多数の培養容器(図1の符号2A)を同時に載置することのできるように形成した棚板101Aを示している(なお図4も参照)。以下、符号101Aで示す形態の棚板を通常棚板101Aというものとする。
また、これとは別形態の棚板の例示であって、本実施形態の棚板の構成例として、図1に示すように、試料観察装置1を載置して固定し得る形態の棚板101Bを示している(詳細構成は後述する;図5〜図12参照)。
また、本実施形態のインキュベータにおいて使用される培養容器としては、使用者(ユーザ)が長年使用してきた既存のものが用いられるものとする。その培養容器の形態としては、各種さまざまな形態のものが存在しており、本実施形態の観察システムにおいて固有の形態のものを用いるというわけではない。
例えば、本実施形態においては、図1等において符号2A,2Bで示されるような形態のものを例示している。ここで、図1の符号2Aで示す形態の培養容器は、一般的な形態のいわゆるシャーレ若しくはディッシュ等と呼ばれる平皿状の容器である。図1の例示では、この培養容器2Aを通常棚板101Aに並べて載置した状態を示している。
また、図1,図3の符号2Bで示す形態の培養容器は、試料観察装置1に設置して利用する形態の培養容器であっていわゆるボトル形状の容器を例示している。
なお、培養容器の形態は、これら図示の形態のものに限られることはなく、各種形態のものを用いることができるのは当然である。なお、符号2Aの形態の容器を、試料観察装置1に設置して利用することも可能であるし、符号2Bの形態の容器を、通常棚板101Aに載置して利用することも可能である。
以下、通常棚板101Aに平皿状培養容器2Aを載置し、本実施形態の棚板101Bに培養容器2Bを設置した試料観察装置1を載置するものとして説明する。
図1に示すように、本実施形態のインキュベータ用の棚板101Bと、この棚板101Bを備えるインキュベータ101を含む試料観察システム100は、試料観察装置1と、インキュベータ101と、外部制御装置102と、入力装置103と、表示装置104等によって主に構成されている。
試料観察装置1は、培養容器2B(図1,図3参照)内の細胞等の試料を観察するための装置である。試料観察装置1は、箱型形状からなる装置本体10によって、主に構成されている。この試料観察装置1自体についての構成は後述する。
試料観察装置1は、インキュベータ101の内部に水平に設置された棚板101B(図1参照)上に載置されている。この棚板101Bは、上面側が全体として平面状に形成され、試料観察装置1の一部(脚部11c;後述する;図3参照)を固定するための構成(後述する)を有して構成されている。
試料観察装置1は、当該棚板101Bの平面に対して所定の固定部材(固定用ビス120;後述する図10,図12参照)を用いて締結固定されてる。これにより、試料観察装置1は棚板101B上において安定した状態で、当該棚板101Bに対して固定されている。なお、棚板101B自体の詳細構成は後述する(図5〜図12参照)。
また、インキュベータ101の内部には、上記棚板101Bとは別形態の通常棚板101Aが複数設けられている。この通常棚板101A上には、例えば試料を入れた各種形態の培養容器2A(図1参照)を複数並べて載置することができるように形成されている。この形態の通常棚板101Aは、インキュベータ101に用いられる一般的な形態のものである(なお図4参照)。
インキュベータ101は、開閉自在な扉101dと、当該扉101dを閉状態にしたときに所定容積を有し密閉状態となる内部空間を形成する筐体101eとを有して構成され、当該筐体101eの内部空間の温湿度を一定に保つ機能を有して構成される装置である。
インキュベータ101は、様々な形態のものが、従来一般に実用化され広く利用されているものが適用される。したがって、インキュベータ101自体の詳細な構成の説明については省略する。
図1の試料観察システム100において、外部制御装置102は、試料観察装置1を統括的に制御すると共に、当該試料観察装置1によって取得した画像データ等を保存し、また各種の画像処理等を行うための構成ユニットである。
そのために、外部制御装置102は、図2に示すように、試料観察装置1の制御ユニット32に含まれる通信部75との間で各種データ等の送受信を行うための通信部105を有している。
通信部105は、例えば、接続ケーブル等の有線接続手段(USB(Universal Serial Bus;ユニバーサルシリアルバス)接続等)を用いる形態のほか、各種の無線接続手段等を用いる形態のものが適用される。
なお、図1においては、上記有線接続手段としての接続ケーブルを符号105aで示している。また、図2においては、上記有線接続手段及び上記無線接続手段として、符号105aによって示している。
これにより、外部制御装置102は、試料観察装置1の動作を制御し、当該試料観察装置1によって取得される画像データ等を受信し、受信した画像データ等を記憶媒体に記憶し、また受信した画像データ等についての解析や分析等、各種の信号処理等を実行する。このほか、外部制御装置102は、図示は省略しているが、上記試料観察装置1への給電を行う電源部(商用電源からの給電手段若しくは蓄電池等)等を有している。
なお、外部制御装置102から試料観察装置1への給電については、外部制御装置102を介した給電手段に限らず、不図示の電源ケーブル等を用いて上記インキュベータ101の外部に設けられる商用電源(不図示)から給電を行うようにしてもよい。また、インキュベータ101の内部若しくは外部に設置した蓄電池等(不図示)から試料観察装置1への給電を行うようにしてもよい。
外部制御装置102としては、具体的には、例えば、広く一般に普及している各種の形態(例えば、デスクトップ型,ノートブック型,タブレット型等)の小型パーソナルコンピュータ等を適用することができる。そのためには、それらに適合した各種の制御プログラムを適宜用意することにより運用が可能である。
外部制御装置102には、その周辺機器としての入力装置103及び表示装置104等が電気的に接続されている。
入力装置103は、使用者(ユーザ)からの指示を外部制御装置102に対して入力するためのデバイスである。入力装置103の形態としては、例えばキーボードのほか、マウスやトラックボール、ジョイスティック等のポインティングデバイス等がある。
また、入力装置103としては、表示装置104の表示面上に設けたタッチパネル等を用いてもよい。使用者(ユーザ)は、これらの入力装置103を用いて、外部制御装置102への制御指示入力や各種の信号処理のための指示入力を行うことができる。なお、図1においては、入力装置103の形態としてキーボードとマウスを用いた形態のものを例示している。
表示装置104は、外部制御装置102によって動作する制御プログラムに基く各種の表示や、上記試料観察装置1によって取得され、外部制御装置102によって受信された画像データ等に基く画像や各種の情報等を視覚的に表示するための装置である。表示装置104としては、広く一般に普及している液晶表示モニタ等を適用し得る。
次に、試料観察装置1の構成を、主に図2,図3を用い、さらに図12を参照して、以下に説明する。なお、以下の説明においては、試料観察装置1の短辺に沿う方向をX軸というものとする。また、試料観察装置1の長辺に沿う方向であって、上記X軸に直交する方向をY軸というものとする。そして、X軸及びY軸を含む平面をXY平面というものとする。さらに、このXY平面に直交する方向をZ軸というものとする(図3の座標軸参照)。
試料観察装置1は、観察用撮像ユニット21(以下、単に観察ユニットと略記する)をXY平面に平行な面内で自在に移動させることができるように構成された駆動ユニット20(図2参照;図3には不図示)を備え、天板ユニット16の上面に載置した培養容器内の試料を観察するための装置である。
ここで、試料観察装置1に用いられる培養容器2Bについて、以下に詳述する。
培養容器2Bは、培地を作り細菌等の微生物、細胞等の試料を収容し、培養するための容器である。この培養容器2Bは、上記試料観察装置1を使用する際には、装置本体10の天板ユニット16の上面の所定の位置(後述する光透過窓15aに対応する位置)に載置される。
そして、培養容器2Bが天板ユニット16の上面の光透過窓15aに対向する位置に載置されたとき、培養容器2Bは、光透過窓15aに対向する側の面、即ち培養容器2Bの底面が平皿状に形成されており、かつその平皿状底面は透明薄板状に形成されている。
培養容器2Bの底面以外のその他の面は、表面が平面をなし、光を反射し得るような反射面が内部に向けて形成されている。この場合において、当該反射面(複数)は、当該試料観察装置1の収納筐体11の内部に設けられる観察ユニット21に含まれる照明光源(不図示)から出射され、光透過窓15aを通過して培養容器2B内に入射する照明光を反射するものである。
これにより、培養容器2Bに入れられた細胞等の試料は、照明光によって照明される。したがって、試料観察装置1においては、培養容器2B内の細胞等の試料を透過光によって観察することができるように構成されている。
また、図示は省略しているが、別の形態の試料観察装置においては、例えば培養容器の上面側から照明光を照射して、培養容器の底面から観察するといった形態のものもある。この場合に使用される培養容器は、全面が透明薄板状に形成されたものを用いる。この場合において、培養容器の底面は平皿状に形成され、底面以外のその他の面は、表面を平面で形成されている。
これにより、上記培養容器の上記平皿状底面の細胞等の試料は、培養容器の透明な上面を透過した照明光によって照明される。これにより、当該別の形態の試料観察装置においても、同様に、培養容器内の細胞等の試料を透過光によって観察することができる。
なお、培養容器2Bの形状としては、例えば、図示のようなボトル形状のもののほか各種様々な形状のものがある。当該試料観察装置1においては、各種様々な形状の培養容器に対応し得る。
本実施形態の試料観察装置1は、各種の培養容器に対応するために、図3に示すように、容器ホルダ3を具備している。容器ホルダ3は、試料観察装置1の天板ユニット16の上面に載置される培養容器2Bを規定の位置に位置決めするための治具である。この容器ホルダ3は、使用される培養容器の形状に合わせて形成されている。したがって、培養容器の形状種類に対応する複数種類のものが用意されている。
容器ホルダ3は、図3に示す例のものでは、例えば金属若しくは樹脂成形された板状部材を用いてL字形状に形成されている。この容器ホルダ3は、装置本体10の天板ユニット16の上面における規定された位置に載置した状態で着脱自在に固定されている。
この状態で、例えば容器ホルダ3のL字形状の内縁部の直交する長短縁部に対して、培養容器2Bの側壁面のうち直交する2つの側壁面を当接させて、当該培養容器2Bの底面を天板ユニット16上に載置する。これにより、培養容器2Bの天板ユニット16上における位置が、常に同一となるように位置決めできる。
次に、試料観察装置1の装置本体10は、収納筐体11と、天板ユニット16と、観察ユニット21を含む駆動ユニット20(図2参照)等によって主に構成されている。
収納筐体11は、上面側の一面に筐体開口を有し、全体として扁平で略直方体形状からなり、内部に駆動ユニット20(図3では不図示)等を収納するケース部材である。収納筐体11は、比較的大型の構成部材となるので低コスト化のために、例えば樹脂製の素材を用いて形成されている。
収納筐体11の一側面の外壁面には接続コネクタ12が配設されている。この接続コネクタ12は、接続ケーブル105a(図1,図2参照)に対応した接続部である。ここで、接続ケーブル105aは、例えば当該試料観察装置1に対する電力供給を行うための電源ケーブルや、当該試料観察装置1への制御信号若しくは当該試料観察装置1から出力されるデータ信号を含む各種の信号等の伝達を行うための信号伝達ケーブル(例えばUSBケーブル等)等である。
接続コネクタ12は、収納筐体11の内部に配設される制御ユニット(CPU32Ba)等が含まれる電気基板32B(図12参照)に接続されている。この電気基板32Bは、例えば電源回路や通信回路等が実装されており、制御ユニットの一部を構成する。そして、この電気基板32Bは、上記駆動ユニット20の制御ユニット32(図2参照)と電気的に接続されている。
なお、接続コネクタ12と電気基板32Bとの接続や、電気基板32Bと制御ユニット32との接続は、図面の煩雑化を避けるために図示を省略している。
また、収納筐体11の内部底面には、当該装置本体10の内部気圧の調整を行うための圧力調整弁であるリリーフバルブ61(図2参照)等が配設されている。
そして、装置本体10は、密閉構造(即ち水密気密構造)を有して構成されている。そのために、収納筐体11には、図12に示すように、筐体開口の周縁部上面側にシール部材14が設けられている。このシール部材14は、収納筐体11の筐体開口の外周縁部に沿うように開口全周に亘って形成された周溝に嵌合配置されている。
この構成により、収納筐体11の筐体開口を覆うように天板ユニット16を配置したときには、収納筐体11と天板ユニット16との間にシール部材14が介在するように配置される。このとき、上記シール部材14は、天板ユニット16の下面側の当接面によって圧接され、収納筐体11の周溝部内で押し潰されるように変形して、かつシール部材14の一部が天板ユニット16に密着した状態となる。したがって、これにより、天板ユニット16と収納筐体11との間の水密気密性が確保され、当該装置本体10の内部空間を密閉状態としている。このような形態によって、上記装置本体10の密閉(水密気密)構造が構成されている。
さらに、試料観察装置1の収納筐体11は、図1,図3,図10〜図12等に示すように、複数の脚部11cを有して構成されている。この脚部11cは、収納筐体11の底面を棚板101Bの載置面に直接接触させないようにするために、収納筐体11の底面と棚板101Bの載置面との間を離間させて所定の空間を確保すると共に、試料観察装置1の収納筐体11を棚板101Bに固定するための固定部として設けられている部材である。
脚部11cは、収納筐体11の底面側における略四隅部にそれぞれ設けられている。各脚部11cには、試料観察装置1の収納筐体11の底面に対して直交する方向に貫通する孔部11xが形成されている。この孔部11xは、試料観察装置1の脚部11cを棚板101Bに対して固定させるための固定用ビス120を取り付けるための取付孔である。
これに対応させて、インキュベータ101の棚板101B側には、脚部11cの孔部11xに対応する装置固定用孔(後述する;図5等の符号101s参照)が形成されている。そして、孔部11xに貫通させた固定用ビス120(図10,図12参照)を、棚板101B側の装置固定用孔(101s)を用いて螺合させると、当該試料観察装置1は棚板101Bに安定的に固定される。
なお、試料観察装置1における脚部11cは、収納筐体11の内部に設けられる発熱体の近傍に設けられるのが望ましい。
例えば、図12に示すように、試料観察装置1の内部には、発熱体として電気基板32Bや駆動用アクチュエータ28a等が配設されている。したがって、脚部11cは、これらの発熱体(電気基板32B,駆動用アクチュエータ28a)等の近傍に設ける形態とするのが望ましい。そのように構成することで、発熱体から生じた熱は、収納筐体11の底面から脚部11cへと伝達されて、収納筐体11の外部へと放出されることになる。ここで、装置内部の発熱体と脚部11cとの間の熱抵抗が小さくなるように構成している。
次に、天板ユニット16は、収納筐体11の筐体開口を密閉状態で塞ぐように配置され、収納筐体11を密閉状態とする蓋ユニットである。この天板ユニット16の上面の所定の領域に、培養容器2Bが載置される。そのために、天板ユニット16は、一部を透明とした平面状に形成されている。
天板ユニット16は、剛性を有する素材を用いて平板状によって形成され、かつ略中央部分に略矩形状の光透過窓15aを有して形成されている。この光透過窓15aは、収納筐体11内の観察ユニット21に含まれる照明光源(不図示)からの照明光を透過させると共に、培養容器2Bの内部を、当該培養容器2Bの底面側から観察するための観察窓である。
天板ユニット16は、収納筐体11との間の密閉状態を確保するために、剛性の高い部材、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属薄板部材を用いて形成されている。
また、天板ユニット16の一部には、図3に示すように、操作部ユニット18が設けられている。この操作部ユニット18は、複数の操作ボタン18aと複数の状態表示部18b(インジケータ)等と、これらの電気部材を実装する電気基板(不図示)等によって構成されている。
天板ユニット16の下面側には、駆動ユニット20が、例えばビス等の締結部材を用いて取り付けられている。この駆動ユニット20は、図示を省略しているが、観察ユニット21をXY平面に平行な面内で互いに直交するX軸及びY軸の二方向に直線的に移動させる駆動手段と、その観察ユニット21の移動を案内(ガイド)する機構とによって主に構成されている。この駆動ユニット20自体の構成については、本発明に直接関連しない部分であるので詳細説明は省略する。
なお、駆動ユニット20には、発熱体としての制御ユニット32に含まれる電気基板32B(CPU32Baが実装されている)や駆動用アクチュエータ28a(図12参照)等が含まれている。
制御ユニット32は、図2に示すように、制御部71と、光源制御部72と、駆動制御部73と、画像処理部74と、通信部75と、計時部76と、温湿度計測部77と、電源部78等を有して構成されている。
制御部71は、試料観察装置1の統括的な制御を行う制御回路である。光源制御部72は、観察ユニット21に含まれる照明光源である光源部材の駆動制御を行う制御回路である。駆動制御部73は、駆動ユニット20の駆動部の駆動制御を行う制御回路である。画像処理部74は、観察ユニット21の撮像素子によって取得された画像データについての各種の画像処理を行う回路部である。通信部75は、外部制御装置102の通信部105との間で、各種データ等の送受信を行うための回路部である。計時部76は、リアルタイムクロック(Real-Time Clock;RTC)とよばれる演算回路の内部時計である。この計時部76は、例えば出力データに付随させる日時情報を出力したり、制御処理中における計時や時間制御等の際に利用される回路部である。温湿度計測部77は、温度や湿度を計測するセンサ等を含む回路部である。電源部78は、外部制御装置102から給電される電力を制御する回路部又は蓄電池とその制御回路等からなる構成ユニットである。なお、制御ユニット32は、本発明に直接関連しない部分であるので、これ以上の説明は省略する。
観察ユニット21は、培養容器2B内の細胞等の試料を観察するために、撮像観察光学系や撮像素子等を含んで構成される構成ユニットである。観察ユニット21は、駆動ユニット20の駆動部によって駆動されることにより、XY平面に平行な面内でX軸及びY軸の二方向に移動するように構成されている。
この観察ユニット21における電気的な構成は、図2に示すように、光源駆動部56,レンズ駆動部57,撮像素子駆動部58,位置判定部59,減衰補償部60等のほか、当該撮像素子45から出力される画像データの前処理回路等を有し、これらの回路は、電気基板53上に実装されている。観察ユニット21の電気基板53と、制御ユニット32との間は、例えば図2に示すように、フレキシブルプリント基板(FPC)33によって接続されている。
ここで、光源駆動部56は光源部材の駆動回路である。レンズ駆動部57はレンズ駆動モータの駆動回路である。撮像素子駆動部58は、撮像素子の駆動回路である。位置判定部59は、観察ユニット21のXY平面内の所定の移動範囲内における位置を判定するためのセンサ及びその駆動回路である。減衰補償部60は、制御ユニット32からFPC33を介して電気基板53へと到達する間に生じる電圧降下や信号の減衰,電磁ノイズによる障害等を補償するためのインターフェース回路である。
また、撮像素子駆動部58は、図2に示すように、AF部82,画素切換部83等を有している。
AF部82は、例えば取得された画像データに基づいて合焦状態を検出し自動的に焦点調節動作を行ういわゆるオートフォーカス(AutoFoucus;AF)処理を行う処理回路である。画素切換部83は、撮像素子の有する複数の画素のうちAF動作に寄与する画素と撮像動作に寄与する画素とを動作モードに応じて切り換える処理回路である。
これらに加えて、電気基板53は、さらに、上記以外の回路、例えば外部機器との通信を行うための通信回路や、取得した画像データ及び付随する各種情報データ等を記録する記録媒体を含むデータ記録回路等のほか、レンズ駆動モータを駆動するためのバッテリを含む電源回路等を含めて構成してもよい。なお、観察ユニット21自体は、本発明に直接関連しない部分であるので、これ以上の詳細説明は省略する。
次に、本実施形態のインキュベータに用いられる棚板の構成について、主に図4〜図8を用いて以下に説明する。
本実施形態のインキュベータ101において用いられる棚板の形態としては、上述したように、例えば、通常棚板101A(図4)や、棚板101B(図5等)がある。このうち、通常棚板101Aは、従来のインキュベータにおいて用いられる一般的な形態の棚板である。
即ち、通常棚板101Aは、図4に示すように、例えば金属製(例えばステンレス鋼やアルマイト等)の薄板状部材(例えば1mm厚程度の板部材)を折り曲げ加工等によって、若しくは樹脂材料の一体成形によって形成されている。さらに、通常棚板101Aの平板部分(培養容器を載置する部分)には、複数の孔101yが形成された形態となっている。
ここで、複数の孔101yは、当該通常棚板101Aがインキュベータ101の内部の所定の位置に設置されたとき、インキュベータ101の内部の気体をスムースに循環させることができるようにするために設けられる貫通孔である。
一般に、インキュベータ101の内部では、例えばUV(ultraviolet;紫外線)ランプ等によって殺菌済みの気体(空気)が、電動ファン等によって循環するように構成されている。棚板に設けられる複数の孔は、このような気体の循環を阻害しないように気体流通路を形成するものである。
なお、通常棚板101Aのサイズ(幅や奥行き寸法等)は、使用するインキュベータの機種毎、また載置する培養容器の形状やサイズ等に合わせた載置面を有する各種形態のものが、種々用意されている。
一方、本実施形態の棚板101Bは、図5に示すように、例えば金属製の平板状部材を折り曲げ加工等によって、若しくは樹脂材料の一体成形によって形成され、かつ平板部分には複数の孔101xが形成された形態となっている。
ここで、本実施形態の棚板101Bは、図5,図6等に示すように、断面が連続した凹凸形状となるように形成されている。つまり、当該棚板101Bは、断面が凹凸形状に形成されることによって、複数の溝部を並べて形成した形態となっている。そして、各凸部の頂面を全て含んで形成され、全体として平面となる面は、平面101wとして形成されている(図6参照)。この平面101wを、当該棚板101Bの表(おもて)面というものとする。この平面101wが試料観察装置1の載置面となる。
また、平面101wに対して反対側の面は、各凹部の頂面を全て含んで形成され、全体として平面となるように平面101zが形成されている(図6参照)。この平面101zを、当該棚板101Bの裏面というものとする。
そして、本実施形態のインキュベータ101の棚板101Bにおいては、複数の孔101xは、平面101w(表面)及び平面101z(裏面)に形成されている。
なお、複数の孔101xの機能は、上述の通常棚板101Aの孔101yと略同様に、インキュベータ101の内部の気体の流通を確保するための気体流通路を形成するための貫通孔である。これと同時に、本実施形態においては、棚板101Bの複数の孔101xは、試料観察装置1の脚部11cを棚板101Bに固定させるための固定用ビス120が貫通されるビス孔をも兼ねている。したがって、棚板101Bにおける複数の孔101xのうちの所定の箇所にある幾つかは、固定用ビス120に対応したビス孔加工が施されている。
ここで、棚板101Bの複数の孔101xのうち、ビス孔加工が施された孔、即ち装置固定用孔を、特に符号101sとして示している。このビス孔加工付き孔101sは、平面101w(表面)の側に、その旨を表示する指標が附されている。この指標は、使用者(ユーザ)が目視により認識しうる表示である。具体的には、例えば棚板101Bの平面101wの表面に色分け表示を施したり、所定のマーキング表示を施す等である。
このようにすることで、使用者(ユーザ)が試料観察装置1を棚板101Bに固定する際に、試料観察装置1の脚部11cを固定する位置を目視によって容易に確認することができるように工夫されている、なお、図5,図7では、ビス孔加工付き孔101sの指標として、孔周辺に丸印を附した例を示している。
なお、インキュベータ101において使用する棚板101A,101Bを形成するのに適した素材としては、剛性が高くかつ耐腐食性を有する素材が望ましい。具体的には、例えば、ステンレス鋼(SUS)やアルマイト等の金属素材若しくは樹脂素材を用いて棚板101A,101Bは製造されている。しかしながら、これらの素材(ステンレス鋼(SUS)若しくは樹脂素材)は、熱伝導性能が低い傾向がある。
上述したように、試料観察装置1は、棚板101Bに対して脚部11cを介して固定されている。このとき、試料観察装置1の内部の発熱体から生じた熱は、脚部11cを介して外部へと放出されて、棚板101Bへと伝達される構成となっている。
しかしながら、上述したように、棚板101Bは熱伝導性能の低い素材によって形成されているために、棚板101Bに伝達された熱は、放熱されずに脚部11c近傍に留まってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態の棚板101Bにおいては、図7,図8に示すように、複数のヒートパイプ110が設けられている。これら複数のヒートパイプ110は、脚部11cからの放出された熱を、インキュベータ101の内部に向けて拡散させる機能を有する。
そのために、各ヒートパイプ110は、棚板101Bにおいて平面101z(裏面)側の凹形部分に挿通される形態で配置されている。このとき、各ヒートパイプ110の各一端部(吸熱部)は、ビス孔加工付き孔101sの近傍に配置されている。そして、各ヒートパイプ110は、両端部近傍が棚板101Bに対して溶接等によって固定されている。
なお、図7,図8に示す例では、一つの棚板101Bについて、ヒートパイプ110を4本配設した場合の具体例を図示している。また、図7,図8において、二点鎖線で示す領域は、試料観察装置1が配設される領域を示している。
つまり、本例では、棚板101B上に二台の試料観察装置1を固定することができる構成を示している。そして、各試料観察装置1の4つの脚部11cのうちの2つの脚部11cのそれぞれの近傍に、ヒートパイプ110の吸熱部が配置される構成となっている。
このように構成された本実施形態のインキュベータ用の棚板101Bは、対応するインキュベータ101に対して、例えば図9に示すように取り付けられる。図9においては、インキュベータ101を簡略化して図示している。図9に示すように、インキュベータ101の内部には、両側壁面に棚板101A,101Bを受けるための棚受部101aが複数設けられている。この棚受部101aは、例えばビス締めなどによって固定されている。なお、棚受部101aは、棚間隔の調整ができるように、インキュベータ101の内壁面に対して着脱自在に構成されている。
使用者(ユーザ)は、棚受部101aの位置決めを行った後、図9に示すように、所望の形態の棚板101A,101Bをインキュベータ101の内部に挿入した後、当該棚板101A,101Bの幅方向の両端部を、棚受部101aによって受け止められるように取り付ける。このようにして、棚板101A,101Bは、インキュベータ101の内部の所定の位置に装着できる。
なお、本実施形態の棚板101Bを、インキュベータ101の内部に設置する際手段としては、この例に限られない。例えば、上述の棚受部101aを用いた位置決めのほかにも、棚受部101aによって設置される既存の棚板上に、本実施形態の棚板101Bを載置するのみでもよい。この場合、棚板101Bをインキュベータ内で安定した状態で載置するためには、当該棚板101Bは、既存の棚板と略同等のサイズであることが望ましい。
なお、本実施形態の棚板101Bは、試料観察装置1を固定して使用するためのものである。したがって、棚板101Bをインキュベータ101の内部に設定する前に、棚板101Bに対して試料観察装置1を取り付け固定するようにしてもよい。図10は、その際の様子を概念的に示している。
棚板101Bに対して試料観察装置1を取り付け固定する際には、まず、ビス孔加工付き孔101sに対して、試料観察装置1の脚部11cの孔部11xが略一致するように、試料観察装置1を棚板101B上に載置する。その後、固定用ビス120を用いて、脚部11cを棚板101Bのビス孔加工付き孔101sに締結させる。
本実施形態においては、試料観察装置1について4つの脚部11cが設けられている例を示している。したがって、当該試料観察装置1は、固定用ビス120を4本用いて棚板101B上に固定される。これにより、試料観察装置1は、棚板101B上に安定した状態で、かつ確実に固定される。
このように棚板101Bに試料観察装置1を固定した後、当該棚板101Bをインキュベータ101の内部に設置する。その後、試料観察装置1の所定の部位に、培養容器2Bを設置する(図11,図12参照)。また、必要に応じて、他の棚板101A上にも培養容器2A等を設置する。
そうしておいて、インキュベータ101の扉を閉じる。その後、インキュベータ101及び試料観察装置1を稼働させて、所望の細胞培養及び試料観察を行う。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、インキュベータ101の内部に設置されて使用されるインキュベータ用棚板101Bであって、断面が連続した凹凸形状に形成され、その凹凸形状によって形成される複数の平面101w,101zには、複数の貫通孔101xが形成され、発熱体(制御ユニット32に含まれる電気基板32B(CPU32Baが実装されている)や駆動用アクチュエータ28a等)を内蔵する試料観察装置1が載置されて固定される面(平面101w(表面))には、当該試料観察装置1を固定するための複数の装置固定用孔であるビス孔加工付き孔101sが形成され、凹凸形状によって形成される複数の溝部には、複数のヒートパイプ110を固定して構成した。
これにより、棚板101Bの断面を連続した凹凸形状としたことで、剛性を高めることができると同時に、広い表面積を確保することができる。したがって、熱伝導性能が低い素材を用いて形成する棚板101Bであっても、広い表面積が確保されることにより、熱拡散性を期待できる。
また、棚板101Bの断面の凹凸形状によって複数の溝部が形成されることから、ヒートパイプ110を効率よく取り付けることができる。
そして、棚板101Bは、発熱体からの熱が伝達される脚部11cの近傍に吸熱部を配置したヒートパイプ110を複数設けることによって、より効率的にかつ確実に熱を拡散させることができる。
ここで、棚板101Bは熱伝導性能の低い素材によって形成されているが、脚部11cをビス締め固定によるものとしているので、脚部11cと棚板101Bとの間の熱伝導を確保することができる。
また、棚板101Bの平面上には複数の貫通孔101xを形成したので、インキュベータ101内での気体の流れを阻害することなく、スムースに流通させることができる。
さらに、インキュベータ101内で棚板101A,101Bが多段化された状態で使用されたとしても、インキュベータ101内の気体の流れを阻害せず、発熱体からの熱を効率よく拡散することができる。
試料観察装置1に設けられた脚部11cは、装置1の内部の発熱体からの熱を外部に伝達すると共に、当該装置1の底面側において、棚板101Bの載置面との間に所定領域の空間を形成させることができる。したがって、この構成により、試料観察装置1の周囲に気体を流通させることができるので、熱が籠もることなく、当該熱を拡散させることができる。
そして、インキュベータ101内で試料観察装置1を使用する際に、当該試料観察装置1の発熱体からの熱は、脚部11cを介して棚板101Bへと伝達され、効率的に拡散されるように構成したので、当該熱が培養容器へと伝達することを抑止することができる。
したがって、インキュベータ101内で発熱体を有する装置(試料観察装置1等)を使用する際に、当該装置1の発熱体から伝達された熱をインキュベータ101の内部空間に確実に効率よく拡散させることができる。
[変形例]
なお、インキュベータ101は、基本的な仕様が同じであってサイズのみが異なる機種が存在する。例えば、インキュベータ101の筐体101eの幅寸法のみが異なる複数種類の機種が存在する場合がある。その場合、インキュベータ101の内部で用いる棚板についても、各機種毎に対応させたサイズ(特に幅方向のサイズ)の異なるものが必要になる。しかしながら、機種毎に、それぞれに専用サイズの棚板を用意することは、生産効率上から望ましいことではない。
そこで、例えば、標準的な筐体サイズを有する一機種のインキュベータ101に合わせて形成された棚板101Bを標準サイズとして規定し、サイズの異なる機種(インキュベータ)に対応する棚板としては、オプションとしての延長棚板101Cを用意するといった工夫が考えられる。
図13は、本実施形態のインキュベータ用棚板についての変形例を示す外観斜視図である。図13に示すように、延長棚板101Cは、例えば標準サイズの棚板101Bの端部に対して連結させることによって、全体としての棚板の幅方向のサイズを延長するというものである。
そのために、延長棚板101Cの一端部には、他の棚板101Bとの連結を可能とする複数(本例では3つ)の連結部101tが形成されている。そして、この連結部101tには、ビス等の固定部材を挿通させる孔が設けられている。これにより、延長棚板101Cと棚板101Bとの間で、例えばビス締め固定することができるように構成されている。
また、延長棚板101Cには、棚板101Bと同様に、複数の孔101xやビス孔加工付き孔101sが形成されている。
このように、標準サイズの棚板101Bに対して延長棚板101Cを連結固定することによって、標準サイズよりも幅広サイズの棚板101Dを新たに形成することができる。
こうして新たに形成される棚板101Dは、幅広サイズの他機種のインキュベータに対応したものとなる。そのために、延長棚板101Cの幅方向の寸法は、対象機種に対応するように適宜設定されている。
このような工夫により、幅方向の異なる他機種のインキュベータに対しても、容易に対応させることができる棚板101Dを提供することができる。
また、棚板101Bと延長棚板101Cとを連結させて形成される棚板101Dに対して、さらに、延長棚板101Cを連結することが可能である。その場合には、さらに、幅広サイズの棚板を形成することができ、この幅広棚板に対応する別の機種のインキュベータで使用することができる。
[第2の実施形態]
なお、延長棚板101C自体の延長寸法は、対処とする機種毎に適宜設定すればよい。
また、棚板101Bに設けられるヒートパイプの配置位置や配置数については、上述の第1の実施形態で示した例示に限られることはない。
棚板に設けられるヒートパイプの配置位置や配置数についての異なる実施形態について、以下に説明する。
図14,図15は、本発明の第2の実施形態を示す図である。このうち、図14は本発明の第2の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と右側面図とを合わせて示す図である(図15の矢印[14]方向から見た図である。また第1の実施形態の図8に相当する図))。図15は図14のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図である(第1の実施形態の図11に相当する図)。
本実施形態は、基本的には上述の第1の実施形態と同様であって、棚板101Eに設けるヒートパイプ110の配置が異なるものである。したがって、以下、異なる部分のみを詳述し、上述の第1の実施形態と同様の構成は、同じ符号を付して、その説明は省略する。
図14,図15に示すように、本実施形態の棚板101Eは、上述の第1の実施形態の棚板101Bと略同様に、断面が連続した凹凸形状となるように形成されている。そして、平面101w(表面)と、この平面101wの反対側の平面101z(裏面)には、複数の孔101xが形成されている。さらに、複数の孔101xのうちの所定の孔は、ビス孔加工付き孔101sとして形成されている。また、このビス孔加工付き孔101sの平面101w(表面)側には、所定の指標が附されている(不図示)。これらの点において、上述の第1の実施形態と同様に構成されている。
本実施形態の棚板101Eにおいては、試料観察装置1の一側部に沿う方向に4本のヒートパイプ110が並ぶように、平面101z側の複数の凹部の内側にそれぞれ配置されている。なお、4本のヒートパイプ110のうち2本が、脚部11cの近傍に配置されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成した第2の実施形態によっても、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
図16,図17は、本発明の第3の実施形態を示す図である。このうち、図16は本発明の第3の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と右側面図とを合わせて示す図である(図17の矢印[16]方向から見た図である。また第1の実施形態の図8に相当する図))。図17は図16のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図である(第1の実施形態の図11に相当する図)。
本実施形態も、基本的には上述の第1の実施形態と同様であって、棚板101Fに設けるヒートパイプ110のサイズ(長さ)と配置が異なる。したがって、以下、異なる部分のみを詳述し、上述の第1の実施形態と同様の構成は、同じ符号を付して、その説明は省略する。
図16,図17に示すように、本実施形態の棚板101Fにおいては、試料観察装置1の4つの脚部11cのそれぞれの近傍にヒートパイプ110の端部が配置されている。なお、本実施形態においては、各ヒートパイプ110のサイズが若干短いサイズのものを適用している。
このように、適用されるヒートパイプ110については、棚板自体のサイズや、ヒートパイプの配置数や配置位置等に応じて、適宜適切なサイズのものを採用すればよい。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成した第3の実施形態によっても、上述の第1,第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態においては、棚板101F上に載置する試料観察装置1に対し一台当たりに配置するヒートパイプ110の本数を、より多く配置できるので、より効果的に熱の拡散を行うことができる。
[第4の実施形態]
図18,図19は、本発明の第4の実施形態を示す図である。このうち、図18は本発明の第4の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と正面図とを合わせて示す図である(図19の矢印[18]方向から見た図である。また第1の実施形態の図8に相当する図))。図19は図18のインキュベータ用棚板に試料観察装置を載置した状態の正面図である(第1の実施形態の図11に相当する図)。
本実施形態も、基本的には上述の第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、棚板101Gを形成する際に、凹凸形状によって形成される溝の配置が異なる。
即ち、上述の各実施形態においては、棚板の断面形状(凹凸形状)を形成する溝であって、ヒートパイプが配設される溝は、棚板の幅方向に延びるように形成していた。
これに対し、本実施形態においては、当該溝を、棚板101Gの正面に対して略直交する方向であって、奥行き方向に向けて延びるように形成している。これに伴い、当該棚板101Gに配設されるヒートパイプ110の配置も同方向となっている。
そして、本実施形態の棚板101Gにおいても、試料観察装置1の4つの脚部11cのそれぞれの近傍にヒートパイプ110の端部が配置されている。その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成した第4の実施形態によっても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第5の実施形態]
図20は、本発明の第5の実施形態のインキュベータ用棚板を示す平面図(裏面)と、斜め方向から見た正面図と、試料観察装置を載置した状態の正面図とを合わせて示す図である(第1の実施形態の図8,図11に相当する図)。
本実施形態も、基本的には上述の第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、棚板101Hを形成する際に、凹凸形状によって形成される溝の配置が異なる。
即ち、本実施形態においては、当該溝を、棚板101Hの正面に対して斜行する方向(例えば角度約45度)であって、奥行き方向に延びるように形成している。これに伴い、当該棚板101Hに配設されるヒートパイプ110の配置も同方向となっている。
そして、本実施形態の棚板101Hにおいても、試料観察装置1の4つの脚部11cのそれぞれの近傍にヒートパイプ110の端部が配置されている。
なお、本実施形態においては、棚板101Hに設けるビス孔加工付き孔101sの位置に応じて、棚板101Hの上面に載置される試料観察装置1の脚部11cの位置等を変更して構成した例を示している。しかし、これは単なる一例であって、ビス孔加工付き孔101sの位置や、試料観察装置1の載置位置等に応じて、適宜設定すればよい。 その他の構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成した第5の実施形態によっても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
1……試料観察装置
2A,2B……培養容器
3……容器ホルダ
10……装置本体
11……収納筐体
11c……脚部
11x……孔部
12……接続コネクタ
14……シール部材
15a……光透過窓
16……天板ユニット
18……操作部ユニット
18a……操作ボタン
18b……状態表示部
20……駆動ユニット
21……観察用撮像ユニット(観察ユニット)
28a……駆動用アクチュエータ
32……制御ユニット
32B……電気基板
53……電気基板
56……光源駆動部
57……レンズ駆動部
58……撮像素子駆動部
59……位置判定部
60……減衰補償部
61……リリーフバルブ
71……制御部
72……光源制御部
73……駆動制御部
74……画像処理部
75……通信部
76……計時部
77……温湿度計測部
78……電源部
82……AF部
83……AF部82,画素切換部
83……画素切換部
100……試料観察システム
101……インキュベータ
101A……通常棚板
101B,101D,101E,101F,101G,101H……インキュベータ用棚板
101C……延長棚板
101a……棚受部
101d……扉
101e……筐体
101s……ビス孔加工付き孔
101t……連結部
101w……平面(表面)
101x,101y……孔
101z……平面(裏面)
102……外部制御装置
103……入力装置
104……表示装置
105……通信部
105a……接続ケーブル
110……ヒートパイプ
120……固定用ビス

Claims (12)

  1. インキュベータの内部に設置されるインキュベータ用棚板であって、
    断面が連続した凹凸形状に形成され、
    上記凹凸形状によって形成される複数の平面には、複数の貫通孔が形成され、
    上記平面のうち発熱体を内蔵する装置が載置されて固定される面には当該装置を固定するための複数の装置固定用孔が形成され、
    上記凹凸形状によって形成される複数の溝部には複数のヒートパイプが固定されていることを特徴とするインキュベータ用棚板。
  2. 上記複数の貫通孔は気体流通路であることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  3. 上記複数の装置固定用孔は上記装置に設けられる複数の脚部のそれぞれの取付孔に各対応する位置に形成されるビス孔であることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  4. 上記装置は培養容器内の細胞等の試料を観察するための試料観察装置であることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  5. 上記装置は複数の脚部を有し、
    上記複数の脚部は上記装置の筐体底面を棚板載置面から離間させると共に、当該装置を固定する固定部であることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  6. 上記装置は上記発熱体と上記脚部との間の熱抵抗が小さいことを特徴とする請求項5に記載のインキュベータ用棚板。
  7. 上記発熱体はCPU,電気基板,駆動用モータ,電源ユニットのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  8. 上記ヒートパイプは吸熱部が上記装置固定用孔の近傍に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のインキュベータ用棚板。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のインキュベータ用棚板を具備することを特徴とするインキュベータ。
  10. 上記インキュベータ用棚板は棚受部によってインキュベータ内の所定の位置に設置されることを特徴とする請求項9に記載のインキュベータ。
  11. 上記インキュベータ用棚板は既存の棚板上に載置されることでインキュベータ内の所定の位置に設置されることを特徴とする請求項9に記載のインキュベータ。
  12. 上記インキュベータ用棚板は上記既存の棚板と同等サイズに形成されていることを特徴とする請求項11に記載のインキュベータ。
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