図1および図2は、本発明の1実施例構造図を示す。以下荷電粒子線のうち電子線を用いた装置、ここでは、走査型電子顕微鏡について1実施例構造について以下順次詳細に説明する。尚、電子線以外の荷電粒子線(イオンなど)もそれぞれの荷電粒子線に合わせて以下と同様に構成し得るものである。
図1の(a)は側面図を示し、図2の(b)は下面図を示す。
図1の(a)において、電子銃1は、電子線を発生させる公知のものであって、数百Vないし数十KVに加速された電子ビーム2を発生させるものである。
電子ビーム2は、電子銃1で発生され、放出された電子ビームである。電子ビーム2は、図示外の集束レンズで集束される。
偏向装置3は、集束された電子ビーム2について、X、Y方向にそれぞれ偏向(通常は2段偏向)し、対物レンズ5で細く絞られた電子ビーム2を試料(フォトマスク)9上を平面走査(XおよびY方向に走査)する公知のものである。
電子検出器4は、試料(フォトマスク)9から放出された2次電子/反射電子6などを検出し、当該検出した信号をもとに画像(2次電子画像、反射電子画像など)を表示する公知のものである。
対物レンズ5は、電子ビーム2を細く絞って試料(フォトマスク)9上に照射する公知のものである。
2次電子/反射電子6は、電子ビーム2を試料(フォトマスク)9上に平面走査したときに放出された2次電子、反射電子である。
反射鏡7は、導光器7の1つである反射鏡であって、センサーヘッド8からの光線(レーザ光線)を反射して試料(フォトマスク)9に向けて放射(反射)、および試料9で反射した光線をセンサーヘッド8の方向に反射するものである。導光器7としては、反射器、プリズムの他に、光ファイバーなどがあり、センサーヘッド8から出力される光線を試料9に向けて照射し、試料9で反射した光線をセンサーヘッド8に導光すれば、どのようなものであってもよい。レーザーヘッド8から放射されるレーザー光線のサイズは、0.1から1.数mm程度の直径であり、実験では約0.6mm直径のものを用いた。このため、反射鏡(導光器)7は、0.1ないし2mm程度の反射部分を有するものであればよく、非常に小さいものを用いることができる。
レーザーヘッド8は、分光器11からの光線を導光器(反射鏡)7に出力して試料9を照射し、試料9で反射した光線を導光器(反射鏡)7を経由して取り込んで分光器11に送出するものである。レーザーヘッド8から放射されるレーザー光線のサイズは、0.1から1.数mm程度の直径であり、実験では約0.6mm直径のものを用いた。尚、レーザーヘッド8から放射される光線は反射鏡7によって反射されて試料9を照射し、試料9で反射した光線は反射鏡7で反射してレーザーヘッド8に入射するときの光路長が変化しないように、レーザーヘッド8、反射鏡9を取り付ける部分(通常は対物レンズ5あるいはその周辺の部材)は熱変化による膨張により誤差を発生するので熱変化による影響を受けない、あるいは熱膨張係数の小さい材料、あるいは熱膨張係数が同じ材料を採用するなどし、光路長が変化しないように工夫する必要がある。
分光器11は、レーザーヘッド8および導光器(反射鏡)7と一体となって分光干渉型レーザー変位測定装置を構成するものである。以下、便宜的に対物レンズ5と試料(フォトマスク)9の表面との距離を、高さ(試料の高さ、Z)と呼ぶ。分光干渉型レーザー変位測定装置を構成する分光器11、センサーヘッド8および導光器7のうち、センサーヘッド8の大きさは長さ数センチメートル、幅数mmと通常非常に小型である。センサーヘッド8の内部には光学素子が内蔵され、センサーヘッド8の端部には外部(分光器11)からレーザー光線を入れるための光ファイバーが付いている。電気回路はセンサーヘッド8の内部に通常、存在しないため、電気ノイズの発生源にはならない。利用しているレーザー光線の出力もmW以下と小さいため、熱源にもならず、測定対象(例えば試料9)やその近傍の部材が温度の影響を受けることもない。センサーヘッド8は非磁性金属のハウジングで覆われている。レーザー出射用のレンズはガラスで出来ており、通常、図1の構造の場合には試料室の内部に配置し、プラズマ洗浄等にも耐えることが出来る。試料9の高さの測定速度は最高200μsにもなるため、ほぼ実時間で高さ測定を実行できる。
また、分光器11、センサーヘッド8および反射鏡(導光器)7による高さセンサの測定精度は1nmの測定分解能を有し、測定再現性も10nmが得られる。本実施例では2つの高さセンサを利用している。2つの高さセンサは対物レンズ中心に対してここでは対称配置されする。必ずしも対称に配置する必要はない。
フォーカス制御手段12は、分光器11からの試料9の高さデータをもとに、電子ビーム2が試料9を照射しつつ平面走査したときの2次電子、反射電子を検出して生成した画像をもとに、自動的に対物レンズ5の電流を制御(正確には、対物レンズ5に別途設けた図示外のダイナミックフォーカスコイルの電流を制御)してフォーカス制御(例えば画像の微分波形の積分値が最大値となるフォーカス電流にフォーカス制御)するものである。この際、分光器11、センサーヘッド8および反射鏡(導光器)7によるシステムによって試料(フォトマスク)9の高さが精密に測定されているので、この測定された試料9の高さにフォーカスするように対物レンズ5の電流を制御し、これを中心にわずかに精密にフォーカス制御しなおせばよく、短時間かつ確実に自動フォーカスすることが可能となる。
画像処理手段13は、電子検出器4で検出した信号をもとに画像(2次電子画像、反射電子画像など)を生成するものである。
光ファイバ14は、センサーヘッド8と分光器11とを接続(レーザ光線を送受信)する光ファイバーである。
図2の(b)は下面図を示す。ここでは、図示のように、対物レンズ5の中心における試料の高さZe、センサーヘッド(Z1)8からの光線を受光し、試料9に反射する反射鏡7の試料の高さZ1,センサーヘッド(Z2)8からの光線を受光し、試料9に反射する反射鏡7の試料の高さZ2とする。また、対物レンズ5の中心(光軸)からセンサーヘッド(Z1)8の反射鏡7の位置(光線を試料9に照射する位置)の距離をZ1,対物レンズ5の中心(光軸)からセンサーヘッド(Z2)8の反射鏡7の位置(光線を試料9に照射する位置)の距離をZ1と定義する。
以上のように、
・対物レンズ5の中心の試料の高さ=Ze
・センサーヘッド(Z1)の反射鏡7の試料の高さ=Z1
・センサーヘッド(Z2)の反射鏡7の試料の高さ=Z2
と定義すると、
・対物レンズの中心の試料の高さZe=(Z1+Z2)/2
と計算できる(センサーヘッド(Z1)、(Z2)を光軸に軸対称に配置した場合)。
次に、本発明に係る分光器11、センサーヘッド8および導光器(反射鏡)7による試料9の高さ測定の動作および特徴について説明する。
(1)センサーヘッド8から出射したレーザー光線は、試料(フォトマスク)9に対して真横に出射する。このレーザー光線は90度の反射鏡7により、進行方向を900度曲げられ、試料9の面にほぼ垂直に照射する。
(2)試料9の面で反射したレーザー光線は再び同じ経路を戻り、センサーヘッド8を経由し、更に光ファイバーで分光器11に到達する。
(3)分光器11で、放出したレーザー光線(広波長帯域のレーザー光線)と試料9で反射したレーザー光線とを干渉させ、距離情報(変位データ)を作り出す。これをもとにフォーカス制御を行う。
(4)本発明の試料の高さの測定方法は、既述した従来の傾斜式高さ測定方法とは異なり、試料9に対して入射角度がほぼ垂直であるので、試料9の傾斜に対して測定値の変動(誤差)がきわめて少ないので、従来の試料9の傾斜補正も必要なく、使い方が容易である。また、試料9の表面の模様に対しても影響を受けにくい。
(5)更に、センサーヘッド8から外部に光ファイバーで導かれたレーザー光線は外部にある分光器11に取り込まれ、距離(試料の高さ)に変換する。この分光器11は発熱するが、通常、真空の試料室の内部に無いので、測定の誤差原因に成らない。分光器11で測定されたデータは、TCP/IPあるいはUSB等の通信手段によってパソコンに導かれ、測定点座標との対応関係の保存などの所望の処理を行う(フローチャートを用いて後述する)。
(6)図1、図2に示す2つのセンサーヘッド8、反射鏡(導光器)7は、電子ビーム2の試料9上の照射位置とは異なった場所の高さを測定するが、例えば、2つのセンサーヘッド8が対物レンズ5の中心に対して同じ距離に配置した場合、両者の出力値の平均値が電子ビーム2の試料9上の照射点の当該試料の高さを表す(推定する)。このような計算をパソコンで行う(後述するフローチャート参照)ことにより、電子ビーム2の試料9上の照射点位置の試料の高さを直接測らなくても精密かつリアルタイムに求めることができる。
(7)また、対物レンズ5のポールピース先端と試料9との間隔は通常、数mmと狭いため、その位置に試料の高さセンサーを配置することは事実上不可能であるが、本発明では、対物レンズ5のポールピース先端から離れた位置に反射鏡(導光器)7を配置したり、更に、後述する対物レンズ9に穴を開けてその内部に導光器7を配置でき、0.1ないし2mm程度のサイズの導光器(反射鏡、プリズム、光ファイバなど)7を任意の場所に容易に配置し、試料の高さを高精度かつリアルタイムに測定できる。
図3および図4は、本発明の詳細構造図を示す。図3は導光器7を対物レンズ5の外側に配置した詳細構造例を示し、図4は導光器7を対物レンズの内側に設けた穴に配置した詳細構造例を示す。以下順次詳細に説明する。
図3は、本発明の詳細構造図(その1)を示す。図3は導光器7を対物レンズ5の外側に配置した詳細構造例を示す。
図3の(a)は、反射器7を対物レンズ5の側面に図示のように配置した構造例を示す。図示の構造例では、センサーヘッド(Z1)8から右方向に放出された光線(レーザー光線)は90度の鏡(あるいはプリズム)で下方向に反射され、試料(フォトマスク)9にほぼ垂直に照射し、反射した光線は逆方向にセンサーヘッド(Z1)8に入射する。センサーヘッド(Z1)8には光ファイバで図1の分光器11に接続されている。分光器11から放出された光線はセンサーヘッド(Z1)8、反射鏡7を経由し、試料9に垂直方向から照射し、反射した光線は逆方向に戻り、分光器11に入射する。分光器11では、放出したレーザー光線(広帯域)と、試料9で反射して戻ってきたレーザー光線とを干渉させ、試料9の高さの変位データを生成する。これにより、レーザーヘッド(Z1)8の反射鏡7の位置における試料9の高さZ1をリアルタイムかつ高精度に測定することが可能となる。同様に、右側のセンサーヘッド(Z2)8についても同様に、当該レーザーヘッド(Z2)8の反射鏡7の位置における試料9の高さZ2をリアルタイムかつ高精度に測定することが可能となる。
図3の(b)は、反射鏡7を対物レンズ5の側面に図示のように3個配置した構造例を示す。この場合には、フォトマスク9を垂直方向から光線を照射した3番目の反射鏡7の位置の試料の高さZ1、Z2を測定でき、対物レンズ5の光軸に、図3の(a)よりも近い位置の試料の高さZ1、Z2を測定できる。
図3の(c)は、反射鏡7を対物レンズ5の底面に図示のように配置した構造例を示す。この場合には、フォトマスク9を垂直方向から光線を照射した3番目の反射鏡7の位置の試料の高さZ1、Z2を測定でき、対物レンズ5の光軸に、図3の(b)よりも更に近い位置の試料の高さZ1、Z2を測定できる。
尚、反射鏡7は、1ないし2mm程度の小さいものであり、電子のチャージを防ぐように、表面あるいは全体に導電性を持たせるようにする。
また、反射鏡7は、対物レンズ5の光軸を中心に対称に配置し、電子ビーム2が試料9を照射しつつ走査したときに方向依存性が生じないように配置あるいはダミーの反射鏡7を配置することが望ましい。
図4は、本発明の詳細構造図(その2)を示す。
図4の(d)は、反射鏡7を対物レンズ5の上に配置し、該対物レンズ5の中心の穴を透過した光線を試料(フォトマスク)9に照射する構造例を示す。この場合には、対物レンズ5の中心の穴のうち電子ビーム2が通過する部分の外側の部分を使い、センサーヘッド(Z1、Z2)8から放出された光線を試料(フォトマスク)9にほぼ垂直に照射し、反射した光線を該センサーヘッド(Z1、Z2)8に入射するので、電子ビーム2が試料9を照射する位置の近傍の試料の高さZ1,Z2を容易にリアルタイムかつ高精度に測定できる。
図4の(e)は、反射鏡7を対物レンズ5のほぼ中央の穴(既存の穴あればそれを用い、なければ光線が通過するために開けた小さな穴)の内部に配置し、該対物レンズ5の中心の穴を透過した光線を試料(フォトマスク)9に照射する構造例を示す。この場合も同様に、対物レンズ5の中心の穴のうち電子ビーム2が通過する部分の外側の部分を使い、センサーヘッド(Z1、Z2)8から放出された光線を試料(フォトマスク)9にほぼ垂直に照射し、反射した光線を該センサーヘッド(Z1、Z2)8に入射するので、電子ビーム2が試料9を照射する位置の近傍の試料の高さZ1,Z2を容易にリアルタイムかつ高精度に測定できる。
図4の(f)は、反射鏡7の代わりに光ファイバ15を用い、対物レンズ5の上下方向のほぼ中央の穴(既存の穴あればそれを用い、なければ光ファイバ15を通す開けた小さな穴)、およびの該対物レンズ5の中心の電子ビーム2が通らない穴の部分に該光ファイバ15を配置し、該光ファイバ15から放出した光線を試料(フォトマスク)9にほぼ垂直に照射する構造例を示す。この場合は、光ファイバ15を対物レンズ5の穴を通し、センサーヘッド(Z1、Z2)8から放出された光線を試料(フォトマスク)9にほぼ垂直に当該光ファイバ15の先端から照射し、反射した光線を該光ファイバ15を経由して該センサーヘッド(Z1、Z2)8に戻すので、電子ビーム2が試料9を照射する位置の近傍の試料の高さZ1,Z2を容易にリアルタイムかつ高精度に測定できると共に、反射鏡が不要となる。
図5は、本発明のフォーカスマップ作成フローチャートを示す。
図5において、S1は、マスク上の定められた座標にステージを移動する。これは、右側に記載したように左右上下対称に9点以上のマスク上の定められた座標にステージを順次移動し、S2を繰り返す。例えば後述する図6のフォトマスク9に示すように、(x0、y0)、(x1.y0)・・・(xn,yn)という9点以上に図1から図4のフォトマスク9を図示外のステージを移動して位置づける(位置は図示外のレーザ干渉計で精密測定しつつ位置づける)。
S2は、高さセンサーで高さを測定し記録する。これは、S1でステージを用いてフォトマスク9上の所定位置に位置づけた状態で、図1から図4の高さセンサー(分光器11、センサーヘッド8、導光器7から構成される高さセンサー、以下「高さセンサー」という)で各位置の試料の高さを測定し、記録、例えば後述する図7に示すように、座標(X、Y)に対応づけて高さ(Z)を記録する。
S3は、フォーカスマップ近似関数のパラメータのフィッティングを行う。これは、S1、S2で測定して記録した9点以上の位置(x,y)とそのときの試料の高さZのデータをもとに、近似関数(例えばZ2=X2+Y2)のパラメータのフィッティング、例えば後述する図8の(a)に示すようにフォーカスマップの近似曲線のパラメータのフィッティングを行う。
S4は、フォーカスマップ完成する。
以上によって、フォトマスク9上の複数位置の高さを図1から図4の高さセンサで試料の高さZをそれぞれ実測し(図6、図7)、これらをもとにフォーカスマップ近似曲線のパラメータのフィッティングを行い、フォーカスマップ(図8)を作成することが可能となる。以降は、該フォーカスマップを参照し、フォトマスク9上の任意の位置の高さ情報を読み出しこの読み出した試料の高さを中心にして、後述する高速かつ確実に電子ビームの自動フォーカスを行うことが可能となる。
以下実際の装置について詳細に説明する。
(1)図5を用いて説明したように、本発明の装置(光学式高さセンサ)は電子ビーム照射とは無関係にほぼ連続的に試料9の高さ測定を光学的に実行できる。そのため、測定対象の試料9を真空チャンバーに搬入した瞬間から、高さ測定を実行できる。フォーカスマップは、対物レンズポールピース先端から測定対象までの距離(いわゆる試料の高さ)を測定対象観察位置(X、Y)の関数として表現したものである。対物レンズ9は天板に固定されているため、天板が大きく気圧変動しで動かない限り、ほぼ同じ高さに位置する。一方、測定対象の試料9は、サンプルホルダーに設置される際に、必ずしも水平に置かれるとは限らないため、試料9が傾斜している可能性がある。また、試料9を移動するためのステージには、ヨーイング、ピッチング、ローリング等の特性があり、ステージ移動に伴って、試料9の高さが微妙に変化する可能性がある。つまり、ステージ位置変化に対する試料9の高さの変化は、上記2つの値の合成で与えられる。中でもステージ移動に伴う試料の高さ変化量はステージの固有値であり、繰り返し測定に対して再現性があることが知られているため、それを固有の関数として記述することが可能である。
(2)そこで、新たな試料(フォトマスク)9がサンプルホルダーに設置される度に、試料の傾斜量を測定し、既知のXYステージ固有の関数と合成することで、任意の電子ビーム照射点における試料の高さを計算によって求めることが出来るようになる。
(3)例えば、以下の様にしてステージの固有関数を算出する。
試料をサンプルホルダーに設置して、出来るだけ測定対象の外周部に隣接する座標の高さ分布を光学式高さセンサで測定する。測定対象が半導体用フォトマスクのような場合には、極めて平坦なので、例えば図6で示したような9点程度を測定点とする。それぞれの位置にXYステージを移動して高さセンサでその位置の高さZを測定し、記録する(図5のS1、S2)。これを何度か繰り返えして平均値を求める。次に、ステージ固有の関数は、ステージの中心に対して対称性があるので、それを利用して、関数が持つオフセット成分を取り除く。このようにすることで、ステージ固有の高さ変化を表した関数を得ることが出来る(図5のS3、S4)。この関数があれば、新しい測定対象をホルダーに設置して、数か所の高さを測定することで、本測定対象に対するフォーカスマップを得ることが出来る(図5から図9)。
(4)また、新たな測定対象をサンプルホルダーに設置する度に、XYステージ位置に対する試料の高さ分布を取得して、それをその測定におけるアドホックなフォーカスマップとして利用することも出来る。この場合は、測定対象のホルダー設置傾斜も込みのフォーカスマップが得られる。任意の座標に対する高さが計算できるように、上記値を、平面の関数として表せるようにカーブフィティングを行い、近似曲線を得る。近似曲線としては、図8に示したような2次平面関数やスプライン関数などの出来るだけ簡単な関数を用いる。この関数のX、Yに値を入れることで、任意の座標における高さが計算により求まる。
図6は、本発明のフォーカスマップ測定点の例を示す。これは、フォトマスク9上に9点以上の測定点を設けた例である。本例では、フォトマスク9は縦横15cmであって、この内部に図示のように、3×3の測定点(x0,y0),(x1,y0),(x2,yo)・・・・を図示のように設ける。
図7は、本発明の高さ測定値例を示す。ここでは、高さテーブルに、図6のフォトマスク9上のx、yと、そのときに図1から図4の高さセンサで実測した試料の高さz(高さ測定値)とを対応づけて図示のように保存した例を示す。
図8は、本発明の測定点を通過する近似曲線例を示す。図8の(a)はフォーカスマップの例を示し、図8の(b)は近似曲線例を示す。
図8の(a)において、図示のフォーカスマップの例は、図7で測定したフォトマスク9上の位置(x、y)のときに実測した高さ(z)の関係をもとに、測定点(x,y,z)が通過する近似曲線(ここでは、図8の(b)の近似曲線Z2=X2+Y2)ついてフォーカスマップを求めた例を示す。
図9は、本発明の試料の高さ測定フローチャートを示す。これは、試料の高さを実際に測定する場合の試料の高さ測定フローチャートを示す。
図9において、S11は、測定座標(Xn,Yn)にサンプルを移動する。これは、サンプル(図1のフォトマスク9)を、指示された測定点(Xn,Yn)にXYステージで移動する(レーザー干渉計で精密測定しつつ移動する)。
S12は、測定点が2つのセンサーで測定できる領域内か判別する。これは、図1に示す2つの高さセンサー(Z1、Z2)を用いた場合に、これら2つの高さセンサー(Z1、Z2)の両者が測定領域内のときはS12のYESとなり、S13に進む。NOの場合には、2つの高さセンサー(Z1、Z2)の1つ、あるいは2つともに測定領域内でない(測定領域外)と判明したので、S12のNOとなり、S14に進む。
S13は、S12のYESで、2つの高さセンサ(Z1,Z2)が測定領域内と判明したので、2つのセンサーの平均値を高さと決定する。
S14は、S12のNOで、2つの高さセンサ(Z1,Z2)が測定領域内でないと判明したので、更に、Z1の高さOKか判別する。これは、2つの高さセンサ(Z1,Z2)の両者が測定領域内でないと判明したので、更に、Z1の高さがOK(測定領域内)かを判定する。YESの場合には、OKの高さセンサ(Z1)の高さZ1と、フォーカスマップ上でのNGの高さセンサ(Z2)の位置(X+L,Y)の高さZ(X+L,Y)との平均値の高さ(Z1+Z(X+L、Y))/2を算出する。一方、S14のNOの場合には、S16に進む。
S16は、S14のNOで、Z1の高さNGと判明したので、更に、Z2の高さOKか判別する。これは、2つの高さセンサ(Z1,Z2)のうちZ1のセンサが測定領域内でないと判明したので、更に、Z2の高さがOK(測定領域内)かを判定する。YESの場合には、OKの高さセンサ(Z2)の高さZ2と、フォーカスマップ上でのNGの高さセンサ(Z1)の位置(X−L,Y)の高さZ(X−L,Y)との平均値の高さ(Z2+Z(X−L、Y))/2を算出する。一方、S16のNOの場合には、Z1,Z2の両高さセンサがNGと判明したので、マップ値(X,Y)の高さZと同一と算出する。
以上によって、指示された測定点にフォトマスク9を移動して位置づけた状態で高さセンサ(Z1,Z2)で高さを測定し、両者で検出できたときは平均値、1つのみでできたとき1つは測定した試料の高さとできない方はマップ上の高さとの平均値、2つともに測定できないときはマップ上の高さと算出することにより、リアルタイムかつ高精度に指示されたフォトマスク上の位置の高さを測定することが可能となる。
図10は、本発明のオートフォーカスフローチャート(その1)を示す。これは、本発明の光学式高さセンサによって測定した値を利用し、電子ビームオートフォーカスを失敗無く高速に行うためのフローチャートを示す。
図10において、S21は、電子ビームフォーカス値を、光学式高さ測定値のサーチ下限に設定する。これは、既述した図5から図8で説明したように、試料(フォトマスク)9の高さを例えば少なくとも9点測定して当該試料(フォトマスク)9のフォーカスマップを作成し、試料(フォトマスク)9のサーチ下限(最も小さい試料の高さ)を求め、電子ビームフォーカス値を、この求めたサーチ下限(値)に設定する。
S22は、電子ビーム走査および画像取得する。これは、S21で設定した電子ビームフォーカス値において、電子ビームを試料(フォトマスク)9に平面走査し、そのときに放出された2次電子(あるいは反射電子、吸収電子)を検出し、画像を生成する。
S23は、電子ビームフォーカス値をステップ幅増加する。これは、電子ビームフォーカス値を、所定のステップ幅だけ増加する。
S24は、電子ビーム走査および画像取得する。
S25は、サーチ範囲の上限か判別する。YESの場合には、S26に進む。NOの場合には、S23以降を繰り返す。
S26は、合焦点フォーカス値を推定する。これは、S22、S24で取得(生成)したサーチ下限からサーチ上限までの所定ステップ幅で電子ビームフォーカス値を変化したときに取得したそれぞれの画像について、合焦点のときのフォーカス値を推定する。その方法は、公知のコントラスト法(コントラスト最大(画像を微分してその総和が最大の画像のときのフォーカス値))、エッジ傾斜法(画像のラインプロファイルのエッジ部分の傾斜が最大の画像のときのフォーカス値)、FFT法など公知のものを用いればよい。
以上のように、本発明の光学式高さ測定値のサーチ下限からサーチ上限までを所定ステップ幅で電子ビームフォーカス値を変化しつつ試料(フォトマスク)9の画像を取得し、そのうちの合焦点フォーカス値を推定し、推定した合焦点フォーカス値に設定することにより、試料(フォトマスク)9の高さの上限から下限までという限定した高さ範囲のみを電子ビームによる自動フォーカスを実行することにより、高速かつ確実に自動フォーカスすることが可能となる。
以下実際の装置について説明する。
これから測定しようとする座標に対応する光学式高さセンサーで測定した値を得る(リアルタイムあるいはフォーカスマップから得る)。この値は光学式高さセンサーが求めたジャストフォーカスの値なので、必ずしも電子ビームオートフォーカスのジャストフォーカスと同じである保証がない。そこで、電子ビームオートフォーカスを求めるためにフォーカスを振る範囲(例えばプラスマイナス0.5ミクロン)を設定し、その下限値マイナス0.5ミクロンを上記光学的ジャストフォーカス値に足したところに電子ビームフォーカスの強さを設定する(図10のS21)。この状態で、オートフォーカスを行うために必要な画像情報を電子ビーム走査によって取得する(図10のS22)。次に、電子ビームフォーカスの値を予め決められた値だけ増加する(図10のS23)。この状態で上記同様に電子ビーム走査を行って、画像情報を取得する(図10のS24)。この作業をフォーカスの強さがフォーカス振りの上限に達するまで繰り返す(図10のS5)。電子ビーム合焦点を得るための全ての情報が集まった所で、コントラスト法や最大エッジ傾斜法等の合焦点アルゴリズムを用いて、合焦点状態を計算によって求める(図10のS26)。以上によって、電子ビーム合焦点状態を失敗無く、高速、かつ正確に求めることが出来る。
図11は、本発明の他の実施例構造図を示す。この図11は、本発明の光学式高さセンサーで測定した試料の高さの値を用い、常に対物レンズ5のポールピース先端と試料(フォトマスク)9の表面の高さとが一定になるように、Zステージ22を制御し、更に、その後、電子ビームオートフォーカスを用いて、2段階オートフォーカスを行うことに特徴がある。それを実現するためのZステージ22を,図1から図4の構造に追加したものである。その他は、同一であるので、説明を省略する。
図11において、XYステージ21は、フォトマスク(試料)9をXおよびY方向に精密に移動させるものであって、図示外のレーザー干渉計によりXおよびY方向の座標を測定しつつ図示外のサーボモータにより駆動されるものである。
Zステージ22は、フォトマスク(試料)9をZ方向に精度に移動させるものであって、ここでは、ピエゾ圧電素子A,B,Cに所定の電圧を印加して当該素子の伸縮によってZ方向に移動させる機構である。ここでは、サンプルホルダー23を3つのピエゾ圧電素子で保持し、それぞれに所定の電圧を印加してフォトマスク(試料)9が水平かつ対物レンズ5との間の距離(試料の高さ)が所定値となるように移動制御するものである。
サンプルホルダー23は、フォトマスク(試料)9を保持するものである。
XYステージ制御手段31は、XYステージ21を制御し、フォトマスク(試料)9を指定された位置(X、Y)にレーザー干渉計からの信号をもとに移動制御するものである。
Zステージ制御手段32は、Zステージ22を制御(ピエゾ圧電素子A,B,Cに所定電圧をそれぞれ印加して制御)し、フォトマスク(試料)9を指定された位置(Z)に移動制御するものである。Z移動(Z軸駆動)は耐振動性がいるため、大きな力を発生できるピエゾ圧電素子を用いる。例えば長さは数センチで太さ数センチメートル、100Vで大凡数十ミクロンの変位量が得られる。サンプルホルダー23は3点支持で基礎となるXYステージ21の平面から支える。3つのピエゾ圧電素子A,B,Cは、それぞれの高圧アンプが付いており、独立に制御可能となっている。従って、予めフォーカスマップを作成した際に得られたデータを用いて、フォトマスク(試料)9の傾斜成分を抽出し、その傾斜を打ち消すのに必要な変位が生じるように、ピエゾ圧電素子A,B,Cに電圧をそれぞれ適切に加えることで、フォトマスク9の面Zを電子ビーム照射軸に対して垂直にすることが出来る。この状態で、さらにフォトマスク9の高さが所望の高さになるように制御を行う。
サンプル高さ情報処理手段33は、分光器11、センサーヘッド7、反射鏡(導光器)7からなる光学式高さセンサを制御し、フォトマスク(試料)9の高さを測定するものである。
オートフォーカス制御手段34は、電子ビーム2でフォトマスク(試料)9を平面走査したときの2次電子などの信号を検出して生成した、サーチ下限からサーチ上限までの対物レンズ5に供給したフォーカス電流値に対応づけた画像をもとに合焦点フォーカスのときの対物レンズの電流値(実際は対物レンズ5とは別個に設けたダイナミックコイルに流す電流値)を推定し、当該推定した対物電流値に設定するものである。
画像処理手段35は、電子検出器4で検出した信号をもとに画像(2次電子画像、反射電子画像など)を生成するものである。
全体制御手段36は、図11のシステム全体を統括制御するものである。
以上の構造のもとで、フォトマスク(試料)9の例えば9点以上で既述した図5から図9で説明したように当該フォトマスク9のフォーカスマップを作成し、フォトマスク9の高さがいずれの場所でも一定になるようにZステージ22を構成する3つのピエゾ素子A,B,Cに所定の電圧をそれぞれ印加することで、試料(フォトマスク)9の高さおよび試料(フォトマスク)9の傾斜を補正して常に水平かつ試料の高さを一定に位置づけることが可能となる。そして、試料の高さが一定かつ試料が水平にZステージ22で補正した後、電子ビームの自動フォーカスをサーチ下限とサーチ上限の間について実施し、合焦点画像を迅速かつ確実に取得することが可能となる。
図12は、本発明のオートフォーカスフローチャート(その2)を示す。これは、既述した図11の構造のもとで電子ビームのオートフォーカスを行う場合のものである。
図12において、S31は、試料の高さが一定になるようにZステージを移動する。これは、図11のZステージ22を構成する3つのピエゾ圧電素子A,B,Cにそれぞれ所定電圧を印加し、試料9の高さおよびその傾きを補正し、当該試料8の高さが一定および試料8が水平となるようにする。
S32は、電子ビームフォーカス値を、規定値のサーチ下限(光学式高さ測定値のサーチ下限)に設定する。これは、既述した図5から図8で説明したように、試料(フォトマスク)9の高さを例えば少なくとも9点測定して当該試料(フォトマスク)9のフォーカスマップを作成し、試料(フォトマスク)9のサーチ下限(最も小さい試料の高さ)を求め、電子ビームフォーカス値を、この求めたサーチ下限(値)に設定する。
S33は、電子ビーム走査および画像取得する。これは、S32で設定した電子ビームフォーカス値において、電子ビームを試料(フォトマスク)9に平面走査し、そのときに放出された2次電子(あるいは反射電子、吸収電子)を検出し、画像を生成する。
S34は、電子ビームフォーカス値をステップ幅増加する。これは、電子ビームフォーカス値を、所定のステップ幅だけ増加する。
S35は、電子ビーム走査および画像取得する。
S36は、サーチ範囲の上限か判別する。YESの場合には、S37に進む。NOの場合には、S34以降を繰り返す。
S37は、合焦点フォーカス値を推定する。これは、S33、S35で取得(生成)したサーチ下限からサーチ上限までの所定ステップ幅で電子ビームフォーカス値を変化したときに取得したそれぞれの画像について、合焦点のときのフォーカス値を推定する。その方法は、公知のコントラスト法、エッジ傾斜法、FFT法など公知のものを用いればよい。
以上のように、試料の高さをZステージ22を制御して一定(高さが一定かつ水平)になるように移動した後、本発明の光学式高さ測定値のサーチ下限からサーチ上限までを所定ステップ幅で電子ビームフォーカス値を変化しつつ試料(フォトマスク)9の画像を取得し、そのうちの合焦点フォーカス値を推定し、推定した合焦点フォーカス値に設定することにより、試料9の高さを一定かつ水平にZステージで移動した後に、試料9の高さの上限から下限までという限定した高さ範囲を電子ビームによる自動フォーカスを実行することにより、高速かつ確実に自動フォーカスすることが可能となる。
以下に実際の装置における手順および特徴を説明する。
(1)まず、Zステージ22で試料9の高さを一定かつ水平に移動する(図12のS31)。
(2)次に、画像コントラストが最大に成る、検出器の信号の組み合わせを選択する。
(3)(2)の条件で信号が取り込めるようにセットし、対物レンズ5等のフォーカスレンズあるいは試料9に加える電圧を変えることによりフォーカス強度をアンダーフォーカス、ニアジャストフォーカス、オーバーフォーカス等幾つか変化させた画像信号を取り込む(図12のS32からS36)。
(4)これら画像のコントラストをフォーカスの強さに対して評価して、フォーカス強度対コントラスト値の関係を示した関数を得る。
(5)この関数を用いて最大最小あるいは極大極小等を見つける演算を行い、関数上一番コントラストが高い状態を実現出来ると推定されるフォーカス強度を合焦点とする(図12のS37)。
(6)このフォーカス強度に実際の電子顕微鏡のフォーカスをセットすることで、合焦点画像を得ることが出来る。
(7)尚、同様にFFT(空間周波数解析)などを用いてフォーカス強度を変えた際に得られる複数の画像を取得して、フォーカス強度と画像に含まれる最高空間周波数の関係を示す関数を得ることが出来る。この関数を用いて、最大最小、極大極小を見つける演算することで、一番高い空間周波数を含むフォーカス強度を合焦点としても良い。合焦点を見つけるための方法は上記方法のほかに世の中に広く知られている全ての方法を利用可能であり、本発明の範囲は本実施例に束縛され無い。
(8)対物レンズポールピース先端と試料9の表面の距離が異なる場合、対物レンズ5の強さを変えることで電子ビームフォーカスを得ることが出来る。しかしながら、光学系と異なり、電子光学系では、フォーカスを変えると像が回転する。像が回転すると、場所によって画像歪が生じるため、寸法測定を行うためには、種々の補正を行う必要が出てくる。本発明では、光学式高さセンサによって予め対物レンズ5のポールピースと試料0の表面との距離(試料の高さ)を測定し、平行を出した上に、その距離が一定になるように、Zステージ22を駆動して試料9の高さを変更する。その後に微妙なフォーカス誤差を修正するために、電子ビームフォーカスを行う方式である。このようにすると、ほとんど、フォーカスによる像回転は起こらない。起こったとしても非常に小さな値になるため、回転補正によって起こる測定誤差を小さくすることが出来る。
(9)特に、最近では、2つの点の間の距離測定だけでなく、画像そのものを正確に読み取ってそれを光学シミュレーションに掛ける使用方法が増えている。これらの場合に、画像が回転したり、歪んだりすると、シミュレーションの誤差の要因となる。本発明の図11の構造では、これらの誤差要因を非常に小さくすることが出来る。特に大きなFOVの時に効果が大きい。
図13は、本発明のオートフォーカスフローチャート(その3)を示す。
図13において、S41は、基準高さに試料を設定する。これは、試料9を予め定めた基準の高さ(試料9の高さが一定かつ試料9が水平)に、Zステージ22で設定する。
S42は、対物レンズのフォーカス電流を測定する。これは、S41で試料9を基準の高さに設定した状態で、電子ビームで試料9を平面走査して取得した画像をもとに合焦点時の対物レンズのフォーカス電流値を測定(推定)する。
S43は、試料を交換する。
S44は、Zステージで試料を基準高さに合わせる。S4で交換した後の試料について、Zステージで基準高さ(試料9の高さが一定かつ水平)に合わせる。
S45は、ラインプロファイルで分解能をチェックする。これは、S44で新しい試料9についてS44で基準高さに合わせた状態で、電子ビームにより試料9のラインプロファイルを取得してその分解能をチェックする(例えば取得した画像のラインプロファイルの分解能が現在の使用目的に対して十分かをチェックする)。
S48は、チャージがあるか判別する。これは、S45のチェックでラインプロファイルでチェックした分解能が十分でなく、試料9あるいは近傍のチャージなどの影響で分解能が低下しているか判別する。YESの場合には、S49でチャージ分のみの補正(チャージに対応した対物レンズの電流を補正)する。一方、S48のNOの場合には、終了する。
S46は、S45でチェックしたラインプロファイルでの分解能の情報(試料の高さおよび水平の情報(Zステージの情報)も含む)を記憶する。
S47は、S46で記録した情報(ラインプロファイルの分解能、Zステージの情報(試料の高さおよび水平の情報))を次回に使用する。
以上によって、Zステージ22により試料9を基準高さに設定して対物レンズのフォーカス電流を測定した状態で、試料9を交換した後にZステージ22により試料9を基準高さに設定してラインプロファイルで分解能をチェックし、チャージなどがあるかを判別し、チャージなどがあると判明した場合には当該チャージ分のみの補正を行うことにより、試料9を交換した場合に高速かつ安定した自動フォーカスを行うことが可能となる。
図14は、本発明の電子ビームによる画像取得例を示す。
図14の(a)は上面図を示し、図14の(b)は強調信号例を示す。
図14の(a)において、検出装置A,B,C,Dは、図1から図4、図11における対物レンズ5の下面部分に、光軸対称に配置した検出器の例を示し、ここでは、電子検出器を示す。
図14(b)は、図14の(a)の4つの検出装置A,B,C,Dで検出した信号A,B,C,Dを演算して強調信号を生成した例を示す。
以下、実際の装置における特徴を説明する。
(1)電子ビームオートフォーカスをする場合、非常にコントラストの小さな試料9が存在する。例えば石英から出来たナノインプリント用のテンプレートとか、フォトマスク上に薄い膜が乗っているような場合、あるいはレジストが全体を覆っているような場合などで、同一材料から成る非常に小さな凸凹形状を表面に有するサンプルの場合には、通常のSEMのトップダウン像では画像さえ見ることが出来ないため、通常のSEM信号を用いてオートフォーカスすることは不可能である。
(2)このような場合、試料9を斜めから見たときに得られる信号を使うと、オートフォーカスが容易となる。そのためには、電子検出装置を例えば図14に示すように、A,B,C,Dの4つ配置することで試料9から発生する角度に依存した信号電子を検出出来るように成る。配置する位置はプライマリー電子軸から見て軸対称であることが望ましい。例えば、A+Bの信号からC+Dの信号を引き算することにより、Y方向の差画像を作ることが出来る。あるいはA+Cの信号からB+Dの信号を引き算することによりX方向の差信号を作ることが出来る。検出した信号電子を以上の様に処理すると試料9を斜め方向から見たのと同じ効果が得られるため、正面から観察した通常のSEM像よりもパターンエッジがはっきりした画像を得ることが出来る。
(3)上記のようなコントラスト強調手法をとった場合でさえ、エッジのコントラストは電子ビーム合焦点が得られている近傍の条件では観察できるが、それ以上に離れてしまうと、正面画像同様まったくエッジは観察できない。つまり、荒く、対物レンズのフォーカス強度を振って調べたのでは、合焦点状態を探し出すことが出来ない。
(4)本発明の光学式高さセンサーを用いれば、合焦点の0.1ミクロン近傍まで寄せてから、電子ビームフォーカスを適用できるため、確実に、エッジを捉えることが可能で、オートフォーカスが成功する確率を非常に向上させることができる。
図15は、本発明のセンサーヘッドの配置例を示す。
図15において、センサー配置可能箇所と記載したいずれか1つの位置あるいは複数の位置に、既述したセンサーヘッド8を配置し、当該センサーヘッド8から放出された光線を図示外の導光器(反射鏡、光ファイバーなど)7でフォトマスク9に垂直に照射し、反射した光線を導光器(反射鏡など)7でセンサーヘッド8に入射することにより、フォトマスク9の高さを光学的に測定することができる。尚、センサーヘッド8からは光ファイバで、既述した図1の分光器11に接続し、当該分光器11の内部でレーザー光線(広帯域)と反射して帰ってきたレーザー光線との干渉により試料9の高さを精密に測定することが可能となる。
図示の状態の1つのセンサーヘッド8でストローク20cmのXYステージでフォトマスク9の全部が測定できる範囲となる。
図16は、本発明の高さ推定領域の説明図を示す。
図16において、マスク高さを推定する領域は、2つのセンサーヘッド(Z1)8、センサーヘッド(Z2)8を用いてマスク(試料)9の高さを推定できる領域を示す。
マスク外形は、試料(フォトマスク)9の外形の例を模式的に示す。
2つの光学式高さセンサーで測定できる領域は、2つのセンサーヘッド(Z1)8、センサーヘッド(Z2)8で、電子ビームの照射位置の高さを推定(測定)できる領域である。その推定(測定)値は、右側に記載した
Zc=(Z1A+Z2B)/(A+B)
・Zc:対物レンズ位置(電子ビーム照射位置)の試料の高さ
・A,B:センサーヘッド(Z1),センサーヘッド(Z2)からの光線を試料
に照射するときの当該試料9上の電子ビーム照射中心位置からの距離
・Z1A,Z1B:距離A,Bにおける試料9の高さ
で求めることができる。
尚、本発明の実験で用いた高さセンサーの原理については、例えばキーエンスのセンサーの以下のURLなどに記載されているので、参照ください。
http://www.keyence.co.jp/henni/laser_henni/si/