JP2019152694A - 可動回析格子及び分光装置及び光スイッチ及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、可動回折格子は光スイッチや分光器など新たな用途に応用する動きが盛んになってきている。従来、可動回折格子の垂直方向(変位方向)への変位量は、可動格子に駆動力が働いていない場合と、可動格子に駆動力が働いたときの2値しかなかったが、新たな用途では任意の変位で可動格子を静止させるような多値の制御や、連続的に変位を変化させるような制御が必要になってきている。これに伴い、可動回折格子の構造は、GLVに代表される図18に示すような両もち梁構造の回折格子だけではなく、駆動力を印加しても格子部の変形が少ない、図19のような可動格子と固定格子とを交互に配置した櫛歯型の回折格子が開発されている。
例えば特許文献1には、複数の回析格子を2つのグループに分けた構造とし、それぞれ単独に高さを変化させる手段を備えた可動回析格子が開示されている。
また、特許文献2には、赤外線を回折する回折格子として、櫛歯形状の回折格子のピッチをアクチュエータにより可変にした構成が開示されているが、格子の撓みによって狙いの回折光特性が得られないという課題に対しては、対策がなされていない。
本発明は、狙いの回折光特性を得ることを、その目的とする。
可動回折格子は、複数の矩形状の固定格子140を束ねる固定格子連結部14と支持部の間に設けられ、図1(a)に示すように、固定格子140の先端140aと水平面のなす角が0より大きく、図1(b)に示すように、固定格子140の先端140aのたわみ角θよりも小さくなるように固定格子連結部14を傾ける機能を持つ固定格子接続部を備えている。この場合のたわみ角θとは、水平線P3と固定格子の先端140aの接線P4がなす角度である。また、水平線P3とは、格子連結部14の表面の水平面上に位置する線である。なお、図1(a)〜図1(b)は、図4に示した可動格子110のB−B線断面と固定格子140のC−C線断面を同一面に離間させて模式的に表示したものであり、図1(c)は可動格子110と固定格子140の撓み状態を模式的に示したものである。
しかし、本発明の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子では、図1(a)〜(c)に示すように、可動格子110や固定格子140の撓みにより発生した可動格子と固定格子の間の垂直距離(撓み方向への距離)を、可動格子連結部11と固定格子連結部14を可動格子110の先端110aや固定格子140の先端140aと水平面のなす角が小さくなるように傾けることで、低減可能にしている。
図2に示すように、可動格子連結部11と固定格子連結部14をそれぞれ傾けると、可動格子110と固定格子140の格子垂直位置(垂直方向距離)が小さくなるとともに、その分布も小さくなる傾向となった。
以上の理由により、本実施形態に係る可動回折格子は、可動格子110と固定格子140の垂直方向距離Tを回折格子全域で均一化することにより、狙いの回折光特性を得ることが可能になる。なお、図2、図3は、可動格子110と固定格子140の長手方向Xへの長さが1000um、格子先端のたわみ量が2umのたわみ角のときの例である。
本発明の第1の実施形態について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10を示す。可動回折格子10は、複数の可動格子110と、複数の可動格子110を束ねる可動格子連結部11と、可動格子連結部11と可動格子110を駆動するアクチュエータ部12と、可動格子連結部11とアクチュエータ部12との間に設けられた可動格子接続部13を備えている。可動回折格子10は、複数の固定格子140と、複数の固定格子140を束ねる固定格子連結部14と、固定格子連結部14と支持部15の間に設けられた固定格子接続部16とを備えている。
固定格子140は、可動格子連結部11と同一平面内において反対側に配置される固定格子連結部14から固定格子先端方向X2(以下「先端方向X2」と記す)に向かって突出していて、可動格子110の各素子間に配置される複数の短冊状の固定の素子である。
固定格子接続部16は、固定格子140と略平行、且つ固定格子の先端方向X2(長手方向X)への長さL2よりも、その長さL3が短く、固定格子連結部14から固定格子の先端140aに向かって延びるように設けられている。本実施形態において、固定格子接続部16は、短辺方向Yに位置する固定格子連結部14の一端側と他端側にそれぞれ連結されて一体化されていて、一対の固定格子接続部16(複数の可動格子接続部)として構成されている。
可動回析格子10は、支持部15に、可動格子連結部11、アクチュエータ部12、12、可動格子接続部13、13、固定格子連結部14、固定格子接続部16、16、可動格子110および固定格子140と対向する部位に、貫通孔105が形成されていて、アクチュエータ部12、12の作動による可動格子110の変位や、可動格子接続部13、13や固定格子接続部16、16が傾斜可能に構成されている。なお、本実施形態では、垂直方向Zを上下方向としているので貫通孔105を形成しているが、垂直方向Zが上方向の場合だけを考慮すると、この貫通孔105は無くても良い。
すなわち、可動回析格子10は、図5に示す断面のように、支持部15が、シリコン支持層151、酸化シリコン層152、シリコン活性層153、絶縁層154及び保護層1155を積層して構成されている。可動格子110及び固定素子140は、シリコン活性層153の上に反射膜層156を積層されて構成されている。そして、可動格子接続部13、13および固定格子接続部16、16は、可動格子110及び固定素子140と同様に、シリコン活性層153の上に反射膜層156を積層されて構成されている。なお、図5において固定格子接続部16、16は、断面の関係で表記は省略されている。
また、可動格子連結部11と固定格子連結部14のそれぞれの長さL1、L3を0より大きく、可動格子110や固定格子140の長さL、L2よりも短く形成しているので、可動格子110と固定格子140のそれぞれの先端110a、140aと、水平面とのなす角を0より大きく、各格子の先端110a、140aのたわみ角θよりも小さくなるようにすることができる。すなわち、本実施形態の構成によれば、特別なアクチュエータ無しに、可動格子連結部11を傾けることができる。このため、単純な構造で電極や配線の数を増やすことなく可動格子110と固定格子140の垂直方向距離Tのばらつきを低減でき、狙いの回折光特性を得ることができるようになる。
さらに本実施形態では、可動格子接続部13が、可動格子110の先端110aと水平面のなす角が0より大きく可動格子の先端110aのたわみ角θより小さくなるように可動格子連結部11を傾けるアクチュエータ部12、12を有しているので、設計誤差などにより発生した傾き、たわみにも対応し、フレキシブルに可動格子連結部11を傾けることができ、可動格子110と固定格子140の垂直方向距離Tのばらつきを低減できる。
図7は、このときの(接続部長さ)/(格子長さ)と、可動格子110と固定格子140の垂直方向距離Tの関係を示したものである。
特に可動格子接続部13と固定格子接続部16の長さ(L1、L3)がそれぞれ可動格子110、固定格子140の長さ(L、L2)の半分であると、可動格子110と固定格子140の垂直方向距離Tのばらつきが最小になる。このため、可動格子接続部13と固定格子接続部16の長さ(L1、L3)を可動格子110、固定格子140の長さ(L、L2)の半分にすることで、可動格子接続部13と固定格子接続部13の垂直方向距離T)のばらつきを、ほぼ0に低減することができる。このため、より、狙いの回折光特性を得ることができるようになる。
本発明の第2の実施形態について説明する。
図8は第2の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Aを示す。可動回折格子10Aは、第1の実施形態に対して可動格子接続部13を備えていない点で違いがある。すなわち、可動回折格子10Aは、複数の可動格子110を束ねる可動格子連結部11と、可動格子連結部11と可動格子110を駆動するアクチュエータ部12と、複数の固定格子140を束ねる固定格子連結部14と、固定格子連結部14と支持部15の間に設けられ、固定格子140の先端方向X2と平行、且つ固定格子140の長さL2よりもその長さL3が短く、固定格子連結部14から固定格子の先端140a側に設けられた固定格子接続部16を短辺方向Yにそれぞれ備えている。そして、可動回折格子10Aは、固定格子接続部16の断面の層構造が、格子部(可動格子110/固定格子140)と略同等に形成されている(図5参照)。また、可動格子連結部11の両端は、それぞれアクチュエータ部12、12を介して支持部15に連結されている。
なお、本実施形態においても、アクチュエータ部12、12の駆動方式は熱型、静電型、圧電型など、どの駆動方式でもよく、可動格子110が変位すれば、その方向は水平面内方向でも、垂直方向でもよく、その形状も図8に示す形状に限定されるものではない。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図9は第3の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Bを示す。可動回折格子10Bは、第1の実施形態に対して固定格子接続部14を単独で備えていない点に違いがある。すなわち、可動回折格子10Bは、複数の可動格子110を束ねる可動格子連結部11と、可動格子連結部11と可動格子110を駆動するアクチュエータ部12と、可動格子110を駆動するアクチュエータ部12との間に設けられ、可動格子110と略平行、且つ可動格子110の長さLよりもその長さL1が短く、可動格子連結部11から先端方向Xに延設けられた可動格子接続部13とを備えている。本実施形態の場合、複数の固定格子140は、支持部15から可動側連結部11に向かって突出して設けられていて、支持部15によって支持されている。本実施形態の場合、支持部15、15が複数の固定格子140を束ねる固定格子連結部として機能する。この可動回折格子10Bにおいても、可動格子接続部13の断面の層構造が、可動格子110と略同等となるように形成されている。
なお、本実施形態においても、アクチュエータ部12、12の駆動方式は熱型、静電型、圧電型など、どの駆動方式でもよく、可動格子が変位すれば、その方向は水平面内方向でも、垂直方向でもよく、その形状も図9に示す形状に限定されるものではない。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図10は第4の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Cを示す。可動回折格子10Cは、複数の可動格子110を束ねる可動格子連結部11と、可動格子連結部11と可動格子110を駆動するアクチュエータ部12、12と、可動格子連結部11とアクチュエータ部12、12の間に設けられ、可動格子と略平行、且つ可動格子の長さLよりもその長さL1が短く、可動格子連結部11から先端方向X1に向かって延設された可動格子接続部13と、可動格子110の先端110aと水平面のなす角が小さくなる方向に可動格子連結部11を傾ける可動格子傾き補正アクチュエータ部17、17を備えている。
可動回折格子10Cは、複数の固定格子140を束ねる固定格子連結部14と、固定格子連結部14から固定格子の先端140a側に設けられた固定格子接続部16と、固定格子連結部14と支持部15の間に設けられ、固定格子の先端140aと水平面のなす角が小さくなる方向に固定格子連結部14を傾ける固定格子傾き補正アクチュエータ部18、18を備えている。そして、本実施形態において、可動格子傾き補正アクチュエータ部17、17は可動格子接続部13、13にそれぞれ設けられ、可動格子傾き補正アクチュエータ部18、18は、固定格子接続部16、16にそれぞれ設けられている。
また、可動格子接続部13は、可動格子連結部11から固定格子140の先端側(先端方向X2)に、固定格子接続部16は、固定格子連結部14から可動格子110の先端110a側(先端方向X1)にそれぞれ延びていて、可動格子傾き補正アクチュエータ部17、17と固定格子傾き補正アクチュエータ部18、18が下に凸のたわみを発生させるアクチュエータでも良い。
本発明の第5の実施形態について説明する。
図11は第5の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Dを示す。この可動回折格子10Dは固定素子を持たない構成である。
すなわち、櫛歯型の可動回折格子10Dは、第1の複数の可動格子110を束ねる可動格子連結部11と、第1の可動格子連結部11と第1の可動格子110を駆動する第1のアクチュエータ部12と、第1の可動格子連結部11と第1アクチュエータ部12との間に設けられ、第1の可動格子110と略平行、且つ可動格子110の先端方向X1(長手方向X)への長さLよりも、その長さL1が短く、第1の可動格子連結部11から第1の可動格子110の先端方向X1に設けられた可動格子接続部13を備えている。
さらに、この可動回折格子10Dは、第1の複数の可動格子間に位置する第2の複数の可動格子190と、第1の可動格子110及び第2の可動格子190に対して第1の可動格子連結部11の反対側に位置し、第2の複数の可動格子190を櫛歯型に束ねる第2の可動格子連結部19と、第2の可動格子連結部19と第2の可動格子190を駆動する第2のアクチュエータ部20と、第2の可動格子連結部19と第2のアクチュエータ部20との間に設けられ、第2の可動格子190と略平行、且つ可動格子190の先端方向X2(長手方向X)への長さLAよりも、その長さLA1が短く、第2の可動格子連結部19から第2の可動格子190の先端方向X2に設けられた第2の可動格子接続部21を備えた可動回折格子である。
なお、第1のアクチュエータ部12、第2のアクチュエータ部20の駆動方式は熱型、静電型、圧電型など、どの駆動方式でもよく、各可動格子が変位すれば、その方向は水平面内方向でも、垂直方向でもよく、その形状も図11に示す形状に限定されるものではない。
本発明の第6の実施形態について説明する。
図12は第6の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Eを示す。
第5の実施形態で説明した可動回折格子10Dでは、第1可動格子接続部13と第2の可動格子接続部21の長さL1a、LA1aが、各可動格子の長さLの半分としたが、本実施形態に係る可動回折格子10Eは、第5の実施形態よりもさらに第1可動格子接続部13と第2の可動格子接続部21の長さを短くしたものである。
このように第1可動格子接続部13と第2の可動格子接続部21の長さL1a、LA1aを短くした場合であっても、第1の可動格子接続部13と第2の可動格子接続部21を可動格子110と略同等な断面構造とすることで、第1の可動格子接続部13と第2の可動格子接続部21が、可動格子110と略同等なたわみ角θ(たわみ量)で変形する。この変形により、第1の可動格子連結部11と、第2の可動格子連結部19を傾けることができる。また、第1の可動格子連結部13と第2の可動格子連結部21の長さを0より大きく、各可動格子の長さよりも短くすることにより、各可動格子の先端と、水平面とのなす角を0より大きく格子先端のたわみ角θよりもより小さくなるようにすることができる。これにより、第1の可動格子110と、第2の可動格子190の垂直方向距離分布をより抑制することができる。
本発明の第7の実施形態について説明する。
図13は第7の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Fを示す。この可動回折格子10Fは、可動格子接続部13、13に、格子先端たわみ角調整用のアクチュエータ17、17を設けたものである。
すなわち、可動回折格子10Fは、第1の可動格子接続部13が、第1の複数の可動格子110の先端110aと水平面のなす角が0より大きく第1の可動格子110の先端110aのたわみ角θより小さくなるように第1の可動格子連結部13、13を傾けるアクチュエータ17、17を備えている。なお、本実施形態において、可動回折格子10Fは、第2の可動格子接続部21を備えていない構成としている。
このような構成の可動回折格子10Fであっても、アクチュエータ17、17を用いることにより、設計誤差などにより発生した傾き、たわみにも対応し、フレキシブルに可動格子連結部13、13を傾けることができ、第1の可動格子110と第2の可動格子190の垂直方向距離ばらつきを低減することができる。
本実施形態では、一方の可動格子連結部となる第1の可動格子連結部13、13に、アクチュエータ17、17をそれぞれ設けた構成としたが、本実施形態とは逆な構成であってもよい。すなわち、第6の実施形態で説明した第2の可動格子接続部21、21に、第2の可動格子190の先端190aと水平面のなす角が0より大きく第2の可動格子190の先端190aのたわみ角θより小さくなるように第2の可動格子連結部21、21を傾けるアクチュエータとしてアクチュエータ17、17を設けるようにしてもよい。
このように構成しても、第2の可動格子連結部21、21がアクチュエータ17、17を備えることにより、設計誤差などにより発生した傾き、たわみにも対応し、フレキシブルに第2の可動格子連結部21、21を傾けることができ第1の可動格子110と第2の可動格子190の垂直方向距離ばらつきを低減できる。なお、ここでは、2つの可動格子連結部のうち、何れか一方にのみアクチュエータ17、17を設けて、格子先端と水平面のなす角が0より大きく可動格子の先端のたわみ角θより小さくなるようにしたが、第1の可動格子連結部13、13と第2の可動格子連結部21、21の双方にそれぞれアクチュエータ17、17、17、17を設けた形態であってもよい。
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
図14は第8の実施形態に係る櫛歯型の可動回折格子10Gを示す。この可動回折格子10Gは、片側の可動格子接続部に格子先端たわみ角調整用のアクチュエータを、もう片方の可動格子接続部を可動格子と略同等な断面構造を持ち、その長さが0より大きく、格子長さよりも短い構成としたものである。
すなわち、ここでは、第1の可動格子接続部13、13に格子先端たわみ角調整用のアクチュエータ17、17を設け、第2の可動格子接続部21、21がここでは第2の可動格子190と略同等な断面構造を持ち、その長さLA1が0より大きく、第2の可動格子190の長さLAよりも短い構成としている。
このような構成とすると、第1の可動格子連結部13、13をアクチュエータ17、17で傾け、第2の可動格子連結部21、21を第2の可動格子190と略同等な層断面構造をもつ梁で傾けることができるので、第1の可動格子110と第2の可動格子190の垂直方向距離ばらつきをより低減ですることができるので好ましい。
図15を用いて本発明の第9の実施形態を説明する。第9の実施形態は、上記実施形態に係る可動回析格子の何れかを備えた分光装置300である。図15は分光装置300の模式図を示す。なお、分光装置300に用いる可動回析格子としては、第1の実施形態で説明した可動回析格子10を用いることとするが、第2〜第8の実施形態で説明した可動回析格子10A〜10Gを用いてもよい。
分光装置300は、可動回析格子10が取り付けられた基板301と、可動回析格子10と対向配置された凹面ミラー302と、検出器303を備えている。基板301には、入射光304を凹面ミラー302へと導入するためのスリット305と、回折光307を検出器303へ導入する開口306が形成されている。
このような構成の分光装置300では、あるスペクトル情報を持つ入射光304を可動回析格子10に入射し、0次回折光を除く回折光307を検出器303で受光する。可動回析格子10を変位させながら検出器303で回折光307を受光することにより、可動格子変位量と回折光307の光量の関係から入射光304のスペクトル情報を算出することができる。このため、単画素センサで分光スペクトルを得ることができ、従来のセンサアレイを用いた分光装置にくらべ、小型化、低価格化を図ることができるとともに、精度の良い分光を行える。
図16を用いて本発明の第10の実施形態を説明する。第10の実施形態は、上記実施形態に係る可動回析格子の何れかを備えた光スイッチ400である。なお、光スイッチ400に用いる可動回析格子としては、第1の実施形態で説明した可動回析格子10を用いることとするが、第2〜第8の実施形態で説明した可動回析格子10A〜10Gの何れかを用いてもよい。
光スイッチ400は、空間光変調器401と、制御装置402などを有している。空間光変調器401は、複数の光ファイバの途中にそれぞれ可動回析格子10を設けることで構成されている。制御装置402は、各光ファイバに対応するオンオフ信号に応じて、空間光変調器401(可動回析格子10)に印加する磁場を制御する。すなわち、オンのときには、入射光を透過させ、オフのときには、入射光を遮光する。なお、光ファイバが1本であっても良い。このときは、1つの可動回析格子10を有していれば良い。
このように、空間光変調器401として可動回析格子10を用いることで、可動回折格子10の可動格子と固定格子の垂直方向距離を回折格子全域で均一化を図れるため、狙いの回折光特性を得ることができ、スイッチの精度を向上することができる。
図17を用いて本発明の第11の実施形態を説明する。第11の実施形態は、上記実施形態に係る可動回析格子の何れかを備えた画像表示装置500である。なお、画像表示装置500に用いる可動回析格子としては、第1の実施形態で説明した可動回析格子10を用いることとするが、第2〜第8の実施形態で説明した可動回析格子10A〜10Gを用いてもよい。
画像表示装置500は、画像表示素子502を照明光学系501により照射し、画像表示素子502に表示された投射用画像により変調された投射光束を投射光学系503により被投射面504上に拡大投射するものである。本実施形態においては、画像表示素子502として可動回析格子10を用いている。このように可動回析格子10を画像表示装置500の、画像表示素子502として用いることで、狙いの回折光特性を得ることができるため、解像度の良い画像を得ることができる。
例えば、可動格子接続部13は、可動格子の先端と水平面のなす角が0より大きく、可動格子先端のたわみ角θより小さくなるように、可動格子連結部11を傾けるアクチュエータ部12、12を有するとともに、固定格子接続部16、16を備えている場合には、固定格子接続部16、16を、固定格子と略同等の層断面構造を持ち、固定格子連結部14から先端方向X2に延びていて、その長さL3を固定格子140の長さL2よりも短くしてもよい。
あるいは、固定格子接続部16、16が、固定格子140の先端140aと水平面のなす角が0より大きく、固定格子の先端140aのたわみ角θより小さくなるように固定格子連結部14を傾けるアクチュエータ部18、18を有する場合、可動格子接続部13、13を、可動格子110と略同等の層断面構造を持ち、可動格子連結部11から先端方向X1に延びていて、その長さL1が可動格子の長さLよりも短くしてもよい。
これらのように、一方にアクチュエータ部を備えて何れかの連結部を傾斜させ、他方にアクチュエータ部に替えて断面構造とその長さを調整して格子と略同等な層断面構造をもつ梁構造として何れかの連結部を傾けるようにしても、可動格子110と固定格子140の垂直方向距離のばらつきを低減することができる。
図15で示した分光装置300の各構成の配置については、一例に過ぎず、図15の構成や配置に限定されるものではない。また、図16、図17で示した光スイッチ400、画像表示装置500においても同様で、図16や図17の構成や配置に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
11 可動格子連結部(第1の可動格子連結部)
12 アクチュエータ部(第1のアクチュエータ部)
20 第2のアクチュエータ部
13 可動格子接続部(第1の可動格子接続部)
14 固定格子連結部
16 固定格子接続部
21 第2の可動格子接続部
110 複数の可動格子(第1の可動格子)
110a 可動格子の先端
140 複数の固定格子
140a 固定格子の先端
190 第2の可動格子
190a 第2の可動格子の先端
θ 先端のたわみ角
L 可動格子の長さ
L1 可動格子接続部の長さ
L2 固定格子の長さ
L3 固定格子接続部の長さ
LA 第2の可動格子の長さ
LA1 第2の可動格子接続部の長さ
X1 可動格子の先端方向
X2 固定格子の先端方向
300 分光装置。
400 光スイッチ
500 画像表示装
Claims (19)
- 櫛歯型に複数の可動格子を束ねる可動格子連結部と、
前記可動格子を駆動するアクチュエータ部と、
前記可動格子のそれぞれの間に位置する複数の固定格子と、
前記複数の固定格子を束ねる固定格子連結部を備える可動回折格子であって、
前記可動格子連結部と前記アクチュエータ部との間に設けられ、前記可動格子の先端と水平面がなす角が0より大きく、前記可動格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記可動格子連結部を傾ける働きを持つ可動格子接続部と、
前記固定格子連結部と支持部の間に設けられ、前記固定格子の先端と水平面がなす角が0より大きく、前記固定格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記固定格子連結部を傾ける働きを持つ固定格子接続部の少なくとも1つを備える可動回折格子。 - 前記可動格子接続部と前記固定格子接続部の少なくとも1つは、前記可動格子と略同等の層断面構造を持ち、前記可動格子連結部から前記可動格子先端方向に延びていて、且つ前記可動格子と略平行に設けられ、その長さが前記可動格子よりも短い請求項1に記載の可動回折格子。
- 前記可動格子接続部と前記固定格子接続部の長さが、それぞれ前記可動格子と前記固定格子の半分である請求項2に記載の可動回折格子。
- 前記可動格子接続部が、前記可動格子の先端と水平面のなす角が0より大きく、前記可動格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記可動格子連結部を傾けるアクチュエータ部を有する請求項1に記載の可動回折格子。
- 前記固定格子接続部が、前記固定格子の先端と水平面のなす角が0より大きく、前記固定格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記固定格子連結部を傾けるアクチュエータ部を有する請求項1に記載の可動回折格子。
- 前記可動格子接続部は、前記可動格子の先端と水平面のなす角が0より大きく、前記可動格子先端のたわみ角より小さくなるように前記可動格子連結部を傾けるアクチュエータ部を有し、
前記固定格子接続部は、前記固定格子と略同等の層断面構造を持ち、前記固定格子連結部から前記固定格子先端方向に延びていて、その長さが前記固定格子よりも短い請求項1に記載の可動回折格子。 - 前記固定格子接続部は、前記固定格子の先端と水平面のなす角が0より大きく前記固定格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記固定格子連結部を傾けるアクチュエータを有し、
前記可動格子接続部は、前記可動格子と略同等の層断面構造を持ち、前記可動格子連結部から前記可動格子先端方向に延びていて、その長さが前記可動格子よりも短い請求項1に記載の可動回折格子。 - 前記可動格子連結部と前記固定格子連結部を傾けるアクチュエータ部は、圧電型、熱型、静電型のいずれかのアクチュエータである請求項4乃至7の何れか1項に記載の可動回折格子。
- 第1の複数の可動格子と、
前記第1の複数の可動格子を櫛歯型に束ねる第1の可動格子連結部と、
前記第1の複数の可動格子と前記第1の可動格子を駆動する第1のアクチュエータ部と、
前記第1の複数の可動格子の間に位置する第2の複数の可動格子と、
前記第1、第2の可動格子に対して第1の可動格子連結部の反対側に位置し、第2の複数の可動格子を櫛歯型に束ねる第2の可動格子連結部と、
前記第2の複数の可動格子を駆動する第2のアクチュエータ部を備える可動回折格子であって、
前記第1の可動格子連結部と前記第1のアクチュエータ部との間に設けられ、前記可動格子の先端と水平面がなす角が0より大きく前記可動格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記第1の可動格子連結部を傾ける働きを持つ第1の可動格子接続部と、
前記第2の格子連結部と支持部の間に設けられ、前記第2の可動格子の先端と水平面がなす角が0より大きく前記第2の固定格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記第2の可動格子連結部を傾ける働きを持つ第2の可動格子接続部の少なくとも何れか1つを備えることを特徴とした可動回折格子。 - 前記第1の可動格子接続部と、前記第2の可動格子接続部の少なくとも1つは、前記可動格子と略同等の層断面構造を持ち、前記可動格子連結部から対応する前記可動格子の先端方向、且つ可動格子と略平行に設けられ、その長さが前記可動格子よりも短いことを特徴とする請求項9に記載の可動回折格子。
- 前記第1の可動格子接続部と、前記第2の可動格子接続部の長さが、それぞれ前記第1の可動格子、前記第2の可動格子の半分であることを特徴とする請求項10に記載の可動回折格子。
- 前記第1の可動格子接続部が、前記第1の複数の可動格子の先端と水平面のなす角が0より大きく前記第1の可動格子の先端のたわみ角より小さくなるように前記第1の可動格子連結部を傾けるアクチュエータを持つことを特徴とする請求項9に記載の可動回折格子。
- 前記第2の可動格子接続部が、前記第2の格子先端と水平面のなす角が0より大きく前記第2の可動格子先端のたわみ角より小さくなるように前記第2の可動格子連結部を傾けるアクチュエータを持つことを特徴とする請求項9に記載の可動回折格子。
- 前記第1の可動格子接続部は、前記第1の前記可動格子先端と水平面のなす角が0より大きく前記第1可動格子先端のたわみ角より小さくなるように前記第1の可動格子連結部を傾けるアクチュエータを持ち、前記第2の可動格子接続部は、前記可動格子と略同等の層断面構造を持ち、前記第2の可動格子連結部から前記第2の可動格子先端方向に設けられ、その長さが前記第2の可動格子よりも短いことを特徴とする請求項9に記載の可動回折格子。
- 前記第2の可動格子接続部は、前記第2の可動格子先端と水平面のなす角が0より大きく前記第2の可動格子先端のたわみ角より小さくなるように前記固定格子連結部を傾けるアクチュエータを持ち、前記可動格子接続部は、前記可動格子と略同等の層断面構造を持ち、前記可動格子連結部から前記可動格子先端方向に設けられ、その長さが前記可動格子よりも短いことを特徴とする請求項9に記載の可動回折格子。
- 前記第1の可動格子連結部と前記第2の可動格子連結部を傾けるアクチュエータが圧電型、熱型、静電型のアクチュエータであることを特徴とする請求項12乃至15の何れか1つに記載の可動回折格子。
- 請求項1乃至16の何れか1項に記載の可動回析格子を備えた分光装置。
- 光の伝送をオンオフする光スイッチであって、
請求項1乃至16の何れか1つに記載の可動回析格子と、
前記オンオフの情報に応じて前記可動回析格子を制御する制御装置を備えた光スイッチ。 - 請求項1乃至16の何れか1つに記載の可動回析格子を備えた画像表示装置。
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