JP2019152019A - 地下水往還装置 - Google Patents
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この従来技術は、ケーシング周壁のスリットから流入する地下水を往管により地上設備に送り、地上設備から還管によりケーシング内へ戻される水を、遮水管下側の還管の吐出口からケーシング内へ吐出して、このケーシング内の水が、遮水管周壁のストレーナ部を介して帯水層へ戻されるようにしている。
鉛直状のケーシングと、このケーシング内に位置する開口から上方のケーシング外へ延設された第一の管と、ケーシング外からケーシング内へ入り下方へ延設されて第一の管よりも下方側に開口を有する第二の管と、第一の管の前記開口と第二の管の前記開口の間の高さ位置でケーシング内の空間を上下に分断する遮水部とを備え、第一の管と第二の管のうち、その一方を、ケーシング内からケーシング外へ水を搬送する往管とし、他方をケーシング外からケーシング内へ水を戻す還管とした地下水往還装置において、前記ケーシングの周壁には、前記遮水部よりも上側と下側に水を通過可能なストレーナ部が設けられ、前記還管は、下方へ延設された下向き管と、前記下向き管の周壁から横向きに突出してその突端に吐出口としての開口を有する突出管とを具備していることを特徴とする地下水往還装置。
図1〜図3は、本発明に係る地下水往還装置の一例を示している。
地下水往還装置1は、図1に示すように、不透水層及び帯水層を有する地中に埋め込まれる。帯水層は、上下の不透水層の間に形成される水を含んだ地層であり、例えば、砂層、礫層などの多孔質浸透性の未固結地層、または割れ目を有した砂岩、礫岩、稀に玄武岩、分散した溶岩が重なり合った火成岩層、あるいは多孔質、空洞のある石灰岩の層等によって構成される。
地下水往還装置1は、目的の温度や水量などを有する単一の帯水層に挿通され、例えば、図1に示すように、上下に離れた二つの帯水層のうち、その下側の帯水層Aに挿通される。
このケーシング10の上端部は、円盤状の蓋部材13によって閉鎖されている。また、ケーシング10の下端部は閉鎖しており、図2に例示するように、地中内の層(図示例によれば不透水層)に接する。
このケーシング10の口径は、必要循環量に応じて、例えば100mm、125mm、150mm、200mm、300mm等から適宜に選択される。
このケーシング10の下端側には、目標とする帯水層Aに対応する位置に、ストレーナ部11,12が設けられる。
各ストレーナ部11(又は12)の幅寸法(周方向寸法)は、帯水層Aの礫(小石)等を通過させ難いように適宜に設定される。
なお、このストレーナ部11,12の他例としては、多数の小孔からなる態様や、水を通過可能な繊維状物からなる態様とすることも可能である。
また、下側のストレーナ部12は、遮水部40よりも下側に位置するとともに、目標とする帯水層Aの下寄りに対応して配設される。
この第一の管20は、下端側に吸入口21としての開口を有し、この吸入口21から上方のケーシング10外へ延設され、地上側設備Xの配管入口に接続されている。
図中、符号M1,M2は、管路中の水流量を測定する流量計、符号P1は、管路中に水を強制循環させる循環ポンプである。
例えば、図示の地上側設備Xは、融雪装置であり、地面に埋め込まれたコイル式熱交換器に、地下水を通過させるように構成される。
この地上側設備Xの他例としては、空調装置や、コールドチェーン機器、その他の冷凍装置における熱交換器部分とすることも可能である。
この第二の管30(還管)は、ケーシング10外からケーシング10内へ挿通された円筒パイプ状の搬送管31と、この搬送管31の下方側で拡径された拡径管32と、この拡径管32の下方側で縮径されてさらに下方へ延設された下向き管33(図2参照)と、下向き管33の周壁から横向きに突出してその突端に吐出口34aとしての開口を有する突出管34とを具備して構成される。
この搬送管31の地上側には、気泡混入装置50の配管が接続される。搬送管31内には、気泡混入装置50によって気泡が混入される。
この拡径管32の外周部には、遮水部40が設けられる。
そして、この遮水部40は、ケーシング10の内面に対しては摺接して移動可能である。したがって、例えば、上下方向において、特にケーシング10内の下端寄りに土砂等の堆積物が蓄積したり、部分的にストレーナ部12の目詰まりを生じたりした場合に、ケーシング10を上下方向へ移動させれば、これら蓄積や目詰まりによる水の排出障害を軽減することができる。
なお、ケーシング10の下方向への移動をよりスムーズにするためには、拡径管32の外周面とケーシング10の内周面の間で複数のボールを転動させるようにしたボールベアリング構造を具備することも可能である。この態様では、必要に応じて、弾性部材等の水密部材を適宜に組み合わせて、隣接するボール間の水密性を向上する。
この遮水部40の一例としては、Oリングを用いた態様とすることが可能である。
下向き管33の下端部は、閉鎖されてケーシング10の下端壁の内面に接しており、この接触により、複数の突出管34の高さを、帯水層Aに対応するように保持している。
突出管34及び吐出口34aの内径D2は、下向き管33の内径D1よりも小さく設定される(図3参照)。
この突出管34は、下向き管33の上下方向に間隔(図示例によれば略等間隔)を置くとともに、下向き管33の周方向にも間隔(図示例によれば略等間隔)を置いて複数設けられる(図2及び図3参照)。
この埋設過程において、地中に挿入されたケーシング10はその下端部が不透水層に接し、この後で、ケーシング10の内部に第二の管30が挿通され、この第二の管30の下端が地中内の層(図示例によれば不透水層)に当接する。そして、吸入口21及び複数の突出管34は、帯水層Aの上下幅内に位置する。
帯水層Aの上側領域の水は、ストレーナ部11を介してケーシング10内に侵入する。
この状態で、循環ポンプP1を駆動すると、ケーシング10内の水が、吸入口21に吸い込まれて、第一の管20、地上側設備X及び第二の管30内を循環する。
この循環中、第二の管30内の水には、気泡混入装置50によって気泡が混入される。
そして、第二の管30内の水及び気泡は、下向き管33内を流れ、複数の突出管34先端の吐出口34aからケーシング10内に吐出され、さらに下側のストレーナ部12を通過して、帯水層Aの下側領域に戻される。
前述した水の流れに起因して、ケーシング10におけるストレーナ部11,12の周囲には、帯水層Aの土砂等が比較的少なく、水で満たされた部分C(水中ドームと呼称される場合がある。)が形成される。
しかも、本実施の形態の好ましい一例によれば、突出管34を下向き管33の上下方向にわたって複数設けているため、仮に、ケーシング10内の下端寄りに土砂等が蓄積した場合であっても、その蓄積した土砂等を避けて、上側に位置する突出管34によって水の排出を継続することができる。
また、仮に、周方向において部分的にストレーナ部12の目詰まりを生じた場合でも、目詰まりしていないストレーナ部12に対し、何れかの突出管34の吐出口34aを向けることができ、ひいては、目詰まりによって水の排出が妨げられるようなことを軽減することができる。
よって、地下水往還装置1によれば、第二の管30(還管)からの吐出水をスムーズに帯水層Aへ戻して、地中と地上との間で地下水を効率的に循環させることができる。
この態様では、図5に示すように、下向き管33を、上下方向へ延設された下向き管本体33aと、この下向き管本体33aの途中部分で回転する回転管33bとから構成する。
回転管33bは、外周部に複数の突出管34をT字状に有し、上下に分断された下向き管本体33a,33aの間に回転可能に嵌り合っている。
回転管33bは、上下方向に延設された直管部33b1の外周面に、周方向の一方へ傾斜する複数(図示例によれば三つ)の突出管34を設けている。
直管部33b1は、下向き管本体33aに対し回転可能に支持されている。この支持構造は、例えば、直管部33b1を下向き管本体33aに対し回転可能に嵌め合わせればよく、また、他例としては、直管部33b1と下向き管本体33aをボールベアリングを介して接続するようにしてもよい。
角度αは、回転管33bに十分な回転力を付与するように適宜に設定され、好ましいくは45度以上に設定される。
このため、突出管34内の水及び気泡が、周方向において比較的広い範囲に噴出し、土砂等がケーシング10内へ侵入するのを効果的に抑制する。しかも、ストレーナ部12に部分的な目詰まりを生じた場合や、ケーシング10内に土砂等が部分的に堆積した場合でも、これらの箇所を、回転する突出管34によって周方向に避けて、水の排出経路を確保することができる。
10:ケーシング
11,12:ストレーナ部
13:蓋部材
20:第一の管
21:吸入口(開口)
30:第二の管
31:搬送管
32:拡径管
33:下向き管
34:突出管
34a:吐出口(開口)
40:遮水部
50:気泡混入装置
60:排気装置
B:気泡
C:水中ドーム
M1:流量計(往き)
M2:流量計(戻り)
P1:循環ポンプ
X:地上側設備
D1:下向き管の内径
D2:吐出口の内径
Claims (7)
- 鉛直状のケーシングと、このケーシング内に位置する開口から上方のケーシング外へ延設された第一の管と、ケーシング外からケーシング内へ入り下方へ延設されて第一の管よりも下方側に開口を有する第二の管と、第一の管の前記開口と第二の管の前記開口の間の高さ位置でケーシング内の空間を上下に分断する遮水部とを備え、第一の管と第二の管のうち、その一方を、ケーシング内からケーシング外へ水を搬送する往管とし、他方をケーシング外からケーシング内へ水を戻す還管とした地下水往還装置において、
前記ケーシングの周壁には、前記遮水部よりも上側と下側に水を通過可能なストレーナ部が設けられ、
前記還管は、下方へ延設された下向き管と、前記下向き管の周壁から横向きに突出してその突端に吐出口としての開口を有する突出管とを具備していることを特徴とする地下水往還装置。 - 前記突出管が、前記下向き管の周壁に周方向にわたって複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の地下水往還装置。
- 前記突出管が、前記下向き管の上下方向にわたって複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の地下水往還装置。
- 前記突出管の吐出口の内径を、前記下向き管の内径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載の地下水往還装置。
- 前記還管内に気泡を混入する気泡混入装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の地下水往還装置。
- 前記突出管は、前記下向き管を中心にして回転するように設けられていることを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載の地下水往還装置。
- 前記突出管は、前記下向き管に対し、周方向の一方へ傾いて設けられていることを特徴とする請求項6記載の地下水往還装置。
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