JP2019149975A - マイクロプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】系(使用域)の撹乱を生じさせず、安定的な液の注入や吸引を実現可能なマイクロプレートを提供すること。【解決手段】 ウェル1の底面10をピペットP先端Tの突き当て用の第2底面12と主たる使用面である第1底面11とに分ける所定高さの分割壁30と、ウェル側周20の深さ方向に第2底面12に至る溝であってピペットP先端Tを案内するガイド溝21と、を具備したことを特徴とするマイクロプレートM。【選択図】図2

Description

本発明は、細胞培養や各種分析に好適なマイクロプレートに関する。
従来、マルチウェルプレートとも称されるマイクロプレートは、細胞培養試験にも用いられ、培養液の交換や試薬の滴下などをピペットでおこなっていた。これにより、同一条件で多数の培養試験をおこなうことができ、各種の検討、評価をおこなうことが可能となっている。
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
細胞の種類や培養環境によっては、底面にくっついた細胞が、ピペットで培養液を注入するときに剥がれたり、めくれ上がったりしてしまうことがある。従って、細胞からの分泌物の定量を目的とする場合や細胞数の変化を測定する場合など、培養条件の均一性が損なわれてしまうという問題点があった。
細胞培養でなくても、ピペットからの試薬注入により、意図しない系の攪拌が生じ、評価に影響を与える場合もある。また、ピペットによる試薬吸い取り等の際、存置させたい目的物の意図しない吸引が生じる場合もある。
特表2004−521644 WO2012/124353 特開2016−185127 WO2002/102962 実用新案登録第3208610 実開平5−88300
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、系(使用域)の撹乱を生じさせず、安定的な液の注入や吸引を実現可能なマイクロプレートを提供することを目的とする。
請求項1に記載のマイクロプレートは、ウェルの底面をピペット先端の突き当て用の第2底面と主たる使用面である第1底面とに分ける所定高さの分割壁と、ウェル側周の深さ方向に第2底面に至る溝であってピペット先端を案内するガイド溝と、を具備したことを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る発明は、ピペットを第2底面に導き、分割壁により液の勢いを第2底面内にとどめ、第1底面へは穏やかに液を導入させることができる。
細胞培養に関しては、積極的にピペットのあたりないし掛かりをつけて、剥がれの生じる領域を第2底面に納める細胞培養用マイクロプレート、ということができる。
ウェルの数は特に限定されず、たとえば、96穴とすることができる。
各ウェル中の第1底面、第2底面、分割壁、ガイド溝は、基本的に、同形同サイズで同位相に設けてあるものとする。
第2底面は緩衝底面、分割壁は緩衝壁と称することもできる。
分割壁の高さは適宜設定できるが、例えば、細胞の一層培養である場合には、10μm以上とすることが好ましい。
ガイド溝は、ウェル側周に上面から第2底面に至るまで設けられていることが好ましいが、使用の態様により第2底面に近いところに部分的に設けても良い。
請求項2に記載のマイクロプレートは、請求項1に記載のマイクロプレートにおいて、ピペット先端の第2底面への密着を回避する凹凸部を第2底面に設けたことを特徴とする。
すなわち、請求項2に係る発明は、ピペット先端の過度の狭窄やピペット先端の底面への密着による液の噴出を回避し、第1底面に穏やかに液を導入させることができる。
凹凸部は広義であって凹および/または凸があり、ピペット先端の狭窄や密閉が回避される形状であれば特に限定されない。たとえば、ピペット先端の一部と干渉する干渉凸部として形成しても、ピペット先端の一部とは干渉しない否干渉凹部として形成することもできる。また、第2底面全体に凹凸加工が施されている場合も含む。
請求項3に記載のマイクロプレートは、請求項1または2に記載のマイクロプレートにおいて、第1底面は第2底面との接合部分以外は円形であって、分割壁は、円の中心を通り第2底面に向かう所定の線に対して線対称に形成されていることを特徴とする。
すなわち、請求項3に係る発明は、第1底面への液の滲出が対称となり方向依存性をなくして分散性を高めることができ、これにより、第1底面への液のより均等な導入が可能となる。
分割壁は、請求項4のように、平面視において弧に形成するのが好ましいが、直線やV字状としてもよい。
また、マイクロプレートは製造コストを考慮し射出成形により製造されることが一般的であるが、その際の設計自由度や射出成形性を高めることができる。
なお、第2底面やガイド溝も線対称に構築されることが好ましい。特に第2底面も円形とするのが好ましい。この場合、所定の線は円の中心間を結ぶ線である。
請求項4に記載のマイクロプレートは、請求項1、2または3に記載のマイクロプレートにおいて、分割壁は第1底面中心側に凸に弧を描く突条として設けられていることを特徴とする。
すなわち、請求項4に係る発明は、第1底面への液の滲出の分散性を高めることができ、第1底面への液の均等な導入が可能となる。仮にピペットから液が噴出したとしても噴出方向に事実上依存せず緩衝し、第1底面へ液が導入される。
請求項5に記載のマイクロプレートは、請求項1〜4のいずれか一つに記載のマイクロプレートにおいて、第2底面は分割壁までせりのぼる斜面として形成されていることを特徴とする。
すなわち、請求項5に係る発明は、液の分割壁衝突によるウェル側周への飛散を回避し、第1底面に穏やかに液を導入させることができる。
突条の上面自体が斜面に連接して第2底面と一体となっていてもよい。
請求項6に記載のマイクロプレートは、請求項1〜5のいずれか一つに記載のマイクロプレートにおいて、分割壁両端部はともにウェル側周とは離間しており、分割壁両端間隔が第2底面の開口幅以上であることを特徴とする。
すなわち、請求項6に係る発明は、第2底面の開口部を分割壁で事実上おおって第1底面に穏やかに液を導入させることができるとともに、液が第2底面側へ引き戻されることにより吸引を容易化する。なお、第2底面の高さを第1底面より低く、また、請求項5のように傾斜をつけても良い。
請求項7に記載のマイクロプレートは、請求項1〜6のいずれか一つに記載のマイクロプレートにおいて、ガイド溝は、ウェル上部に向けて拡径していることを特徴とする。
すなわち、請求項7に係る発明は、ピペットが案内されやすく、操作性を高める。
なお、拡径とは、底面に平行に断面をとっていった場合、ガイド溝の断面積が上方にいくにつれて大きくなることをいう。
本発明によれば、撹乱を生じさせず各ウェルが均質であって、安定的な液の注入や吸引を実現可能なマイクロプレートを提供することができる。
本発明のマイクロプレートを部分拡大した平面模式図である。 図1に示したマイクロプレートの一つのウェルの拡大図である。 ピペットを第2底面にあてがった際の断面図およびその拡大図である。 ウェル上部に向けて拡径しているガイド溝の構成例を示した概要図である。 凸部の配置の他の構成例を示した説明図である。また、分割壁は、その両端がウェル側周と離間しており、分割壁の第2底面側が傾斜もした例としても示している。 分割壁の他の構成例を示した平面図aと、その断面図bである。 本発明品と従来相当品の剥離の様子を示した写真aと、剥離率bを示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは各ウェルが基板面から立設している態様のマイクロプレートについて説明するが、各ウェルが基盤面から沈み込んで形成されている態様であってもよい。
図1は、本発明のマイクロプレートを部分拡大した平面模式図である。図2は、図1に示したマイクロプレートの一つのウェルの拡大図である。図3は、ピペットを第2底面にあてがった際の断面図およびその拡大図である。
マイクロプレートMは96穴であり、各ウェル1には、ウェル側周20の深さ方向にガイド溝21が設けられ、ガイド溝21の突き当たりにともない、小円と大円とが接合した形状に底面10が構成されている。すなわち、小円部分はピペットPの先端Tを突きあてる第2底面12を、大円部分は主たる使用面である第1底面11を、それぞれ形成している。本実施の形態ではいずれも正円(の一部)である。なお、大円と小円との大きさは特に限定されるものでないが、直径比が5〜15の範囲とすることができる。また、小円の中心角としては、180°〜270°とする例を挙げることができる。
なお、マイクロプレートMの平面視において、ガイド溝21および第2底面12は、同位相に形成されている(図1)。図では、180°の位置に設けられている。同位相にすることにより特にマルチチャンネルピペット(8連など)使用の際や自動分注の際の作業性が向上する。
なお、本実施の形態ではガイド溝21および第2底面12は、各ウェル1に一つであるが、複数箇所に設けられていても良い。たとえば、0°と180°の位置に設け、0°側は培養液の注入用、180°側は培養液の吸引用として使い分けることもできる(第2底面をそれぞれの用途に適したように形成することができる)。
また、第1底面11と第2底面12との境界には、概ね第2底面12の円周を補うように、平面視において円弧となっている所定高さの突条が分割壁30として設けられている。第2底面12のガイド溝21の突き当たり部分には、また、凸部13が設けられている。この凸部13は、ピペットPを突きあてても先端Tに間隙が確保される大きさとしている。
この構成により、まず、ピペットPの先端Tが第2底面12に密着し、内圧が高まって液が噴出してしまうようなことが抑制される。
次に、液の流れが分割壁30により緩衝されるので、1箇所から集中してまたは1箇所から勢い良く第1底面11側に液が流れ込むようなことがなく、均等に分散して穏やかに液を第1底面11側に導入させることが可能となる。
また、分割壁30により底面10が分割されているので、ピペットPによる吸引の際、たとえば第1底面11にある培養細胞を吸い上げてしまうことがなく、各ウェル1の培養ばらつきをなくすことも可能となる。
すなわち、注入でも吸引でも、マイクロプレートMでは第2底面12が緩衝帯となって、第1底面11が影響を受けないようにしている。
なお、第1底面11、第2底面12、分割壁30、凸部13は、大円の中心と小円の中心とを結ぶ線を基準にして線対称に形成しており、この点からも方向依存性のない緩やかな第1底面11への液の導入を実現している。
マイクロプレートMは以上の構成であるので、自動であれ手動であれ、ピペットPを第2底面12へ円滑かつ確実に導き、凸部13により噴出を抑制し、分割壁30により液の勢いを第2底面12内にとどめ、第1底面11への液の静穏な導入を実現する。これにより、意図しない攪乱を抑制でき、たとえば、培養細胞の剥離を防止できる。
なお、ウェル1は上記の態様に限定されない。まず、ピペットPの案内をより確実にすべく、ガイド溝21は深さ方向に先細りにしてもよい(上方に向けて大きくなるように形成してもよい)。これにより、案内がより迅速確実となり、例えば、自動分注する際の駆動速度を上げることが可能となる。図4は、ウェル1上部に向けて拡径しているガイド溝21の構成例を示した概要図である。
また、凸部13は1箇所でなく、図5に示した様に2箇所対称に設けるようにしても良い。第2底面12におけるピペットP先端Tの密閉(内圧上昇)が抑制できるのであれば特に限定されず、このほか、例えば、底面12全体が凹凸加工されている態様であってもよい。
また、図示したように、分割壁30の両端を、ともにウェル側周20とは離間して形成することができる。これにより、培養液が第2底面12側に戻ってくるため、ピペットPによる吸引を効率化することができる。なお、分割壁30を離間して形成する際には、分割壁30の両端間隔が第2底面12の開口幅以上とするのが好ましい。これにより、ピペットPによる注入位置から間隙部分が事実上遮蔽され、液が間隙から勢いよく第1底面11に流出してしまうことがない。
分割壁30は、更に、第2底面12側が傾斜していても良く、また、突条上面自体が傾斜していても良い。これにより、仮に突条自体に液が強く当たってもしぶきになって第2底面12側のウェル側周20に付着してしまうことを避け、なめらかに液を第1底面11側に流入させることができる。特に少量の液の注入の際にウェル1間のばらつきを抑えることができる。
さらには、分割壁30を突条でなくし、第2底面12となめらかに接続する斜面として形成しても良い。これは、第2底面12が分割壁30までせりのぼる斜面様に形成されたと言い換えることもできる。図6aに斜面の平面図を、図6bに斜面の断面図(A−A断面)を示した。断面図に示すように、第2底面12は第1底面11より低くしてあり、分割壁30の両端部に間隙を設けておけば、液の吸引をより効率化することができる(なお、培養液の注入に際しては、第2底面12側の液だまりも考慮した容量を注入して細胞培養に影響が出ないようにする。
このほか、第1底面や第2底面の形状を円形でなく、楕円形や四角形としてもよい。この場合も、対称性を持たせることが好ましい。
<実施例>
48穴相当の大きさのウェルを3Dプリンタで試作し、細胞培養をおこなった。第1底面の直径は約10mm、第2底面の直径は約1.5mm、第2底面の中心角は180°、分割壁30は、第2底面に接続する円弧とし、高さは約0.3mm、厚み(幅)は約0.5mmとした。なお、比較のため、第1底面のみのウェルも作成した(従来相当品と称することとする)。
底面全面にひろがるに一層の細胞を培養したのち、ピペットで細胞培養液を、吸引してから注入し、これを3回繰り返した。なお、本発明品については、ピペット先端は、ガイド溝に沿わせて第2底面におろし、また、従来相当品については、ピペットをウェル側周と底面にあてがって、実験をおこなった。
結果を図7aに示す。図示したように、本発明品では、細胞剥離は第2底面のみでとどまっており、第1底面には剥離が見られなかった。一方、従来相当品では、広い範囲で剥離が生じていた。剥離細胞の割合を図7bに示す。従来相当品では8%以上の剥離が見られる。本発明品でごくわずかな剥離があるがこれは第2底面の剥離由来であって、事実上比較すべき第1底面における剥離細胞は0%であった。すなわち、従来相当品と本発明品では、剥離に顕著な差異が認められ、本発明品は有用であることが確認できた。更に、実質的に剥離がないので、各ウェルで細胞培養等の比較の際も均質性が担保され、各種実験における同一条件性が担保されるマイクロプレートであるといえる。
本発明は、特に細胞培養に用いる場合は、細胞培養用マイクロプレートということができる。
本発明によれば、ウェル側周に飛散・付着してしまうことなく、注入液をなめらかに第1底面に導入できるので、たとえば、微量試薬を注入しての吸光分析などを精度良く測定可能となり、細胞培養に限らず、化学分野等にも広く適用することができる。吸引の際も、第2底面を第1底面より低くするなどして正確な吸引を実現できる。
M マイクロプレート
1 ウェル
10 底面
11 第1底面
12 第2底面
13 凸部
20 ウェル側周
21 ガイド溝
30 分割壁
P ピペット
T 先端

Claims (7)

  1. ウェルの底面をピペット先端の突き当て用の第2底面と主たる使用面である第1底面とに分ける所定高さの分割壁と、
    ウェル側周の深さ方向に第2底面に至る溝であってピペット先端を案内するガイド溝と、
    を具備したことを特徴とするマイクロプレート。
  2. ピペット先端の第2底面への密着を回避する凹凸部を第2底面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロプレート。
  3. 第1底面は第2底面との接合部分以外は円形であって、分割壁は、円の中心を通り第2底面に向かう所定の線に対して線対称に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロプレート。
  4. 分割壁は第1底面中心側に凸に弧を描く突条として設けられていることを特徴とする請求項1、2または3に記載のマイクロプレート。
  5. 第2底面は分割壁までせりのぼる斜面として形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のマイクロプレート。
  6. 分割壁両端部はともにウェル側周とは離間しており、分割壁両端間隔が第2底面の開口幅以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のマイクロプレート。
  7. ガイド溝は、ウェル上部に向けて拡径していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のマイクロプレート。
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JP2004521644A (ja) * 2001-06-14 2004-07-22 ミリポア・コーポレイション マルチウェルフィルタプレートに供給するためのアクセスホール
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