JP2019149583A - 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池を備える電子機器 - Google Patents

色素増感太陽電池および色素増感太陽電池を備える電子機器 Download PDF

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Yuki Watanabe
佑樹 渡邉
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Atsushi Fukui
篤 福井
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Ryoichi Furumiya
良一 古宮
山中 良亮
Ryosuke Yamanaka
良亮 山中
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Abstract

【課題】低照度から高照度の広い範囲にわたって、電子機器の充電に好適に用いられる色素増感太陽電池を提供する。【解決手段】色素増感太陽電池100は、基板12と、電解質媒体42と、基板の電解質側に設けられた透明導電層14と、透明導電層の電解質媒体側に設けられた多孔質半導体層18と、多孔質半導体層に担持された増感色素と、を有する。電解質媒体は、I−とI3−とを含み、I3−の濃度は0.02M超0.05M以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ソーラー充電器に関し、特に、色素増感太陽電池モジュールを備えるソーラー充電器に関する。なお、本明細書において、太陽電池の単位構造をセルと呼び、複数のセルを一体にパッケージ化したものをモジュールと呼び、複数のモジュールを接続したものをアレイと呼ぶ。
太陽電池は、材料によって、シリコン系、化合物系および有機系の3つに大別される。シリコン系は、変換効率が高く、ポリシリコンを用いた太陽電池が太陽光を用いた発電に最も広く用いられている。有機系の1つの色素増感太陽電池(以下、「DSC」と略称することがある。)がある。DSCは、変換効率はシリコン系よりも劣るが、シリコン系や化合物系などの無機半導体を用いる場合よりも製造コストが低い利点を有しており、近年注目されている。
これまで、太陽電池は、限られた設置面積で如何に高い発電量を得るかが重視されることから、変換効率の向上を主眼においた開発がなされてきた。また、太陽電池の利用形態においても発電効率が重要視されていた。太陽電池の変換効率は、典型的には、25℃における照度が100mW/cm2の太陽光を照射した場合に発電される電力に基づいて評
価される。この照度は、日本の夏至の南中時における照度に相当する、高い値である。
図14に、太陽電池の出力電圧(開放電圧)の照度依存性を示す。図14の横軸は対数軸であり、照度(mW/cm2)を示し、縦軸は開放電圧Voc(V)を示している。図
中には、ポリシリコン太陽電池および色素増感太陽電池を例に、ソーラーシミュレータを用いてJIS規格において規定されている標準状態(AM1.5、100mW/cm2
擬太陽光、表面温度25℃、光入射方向はセルに直交)で測定した結果を示している。なお、ポリシリコン太陽電池(p−Si)の測定結果を「◆」でプロットし、色素増感太陽電池(DSC)の測定結果を「■」でプロットしている。このように、太陽電池は、照度が低下するにつれて、開放電圧は低下するという特性を有していることが分かる。従来は、変換効率および開放電圧が十分に得られる照度条件下で、シリコン系の太陽電池が用いられている。
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、電子書籍端末に代表されるモバイル電子機器を充電するための充電器として、太陽電池モジュールを備えるもの(以下、「ソーラー充電器」という。)が市販されている。これらのソーラー充電器も変換効率に優れたシリコン系の太陽電池が用いられている。
一方、DSCの変換効率を向上させる試みもなされている。例えば、特許文献1には、電解液が透明電極膜に直接接触することに起因するリーク電流を防止するために、透明電極膜上にチタン(Ti)膜を形成し、このチタン膜を陽極酸化することによって得られた酸化チタン膜を用いる方法が開示されている。厚さが20nmの酸化チタン膜を形成することによって、DSCの変換効率を1.5倍に向上させることができると記載されている。特許文献1には、厚さが5nm以下のチタン膜が残存しても、透過率の低下の影響は小さいので、許容できると記載されている。
また、特許文献2には、低照度(例えば数μW/cm2)下でも動作可能な無線センサ
を提供するために、低照度で発電可能な太陽電池を開示している。特許文献2によると、メディエータ(酸化還元対)としてI-とI3 -とを含む電解液におけるI3 -の濃度を0.
0M超0.02M以下とすることによって、曲線因子(FF)、短絡電流(Isc)、および開放電圧(Voc)を増大させ、変換効率を向上させることができる。Iはヨウ素を表し、Mは、モル/リットルを表す。
特開2005−340167号公報 特開2007−172407号公報
しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献1に記載のように厚さが20nmの酸化チタン膜を形成すると、電流値が低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載のように、I3 -の濃度を0.02M以下にまで低くすると、高照度下においては、キャリアが不足することに起因して、十分な出力を得られないという問題がある。
本発明は、低照度から高照度の広い範囲にわたって、電子機器の充電に好適に用いられる色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
本発明のある実施形態によるソーラー充電器は、複数の色素増感太陽電池を備える色素増感太陽電池モジュールと、モバイル電子機器に電気的に直接接続され且つ一体化される構造であって、前記モバイル電子機器に一体化され、前記モバイル電子機器を使用する状態において、前記色素増感太陽電池モジュールの受光面を露出させる構造とを有し、前記色素増感太陽電池モジュールは、基板と、電解質媒体と、前記基板の前記電解質媒体側に設けられた透明導電層と、前記透明導電層の前記電解質媒体側に形成された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の前記電解質媒体側に設けられた多孔質半導体層と、前記多孔質半導体層に担持された増感色素とを有し、前記金属酸化物層の電気抵抗は、前記多孔質半導体層の電気抵抗よりも小さく、かつ、前記透明導電層の電気抵抗よりも大きい。前記モバイル電子機器は、例えば、電子書籍端末、携帯電話、スマートフォン、タブレットPCである。
ある実施形態において、前記金属酸化物層は、非多孔質層である。
ある実施形態において、前記金属酸化物層の厚さは10nmを超えない。
ある実施形態において、前記金属酸化物層は熱酸化膜である。
ある実施形態において、前記金属酸化物層は酸化チタン層である。
ある実施形態において、前記電解質媒体は、I-とI3 -とを含み、I3 -の濃度は0.0
2M超0.05M以下である。
ある実施形態において、前記ソーラー充電器は、前記色素増感太陽電池モジュールの出力と、前記モバイル電子機器との間に電圧安定化回路をさらに有する。前記電圧安定化回路は昇圧または降圧を行う。
ある実施形態において、前記ソーラー充電器は、前記色素増感太陽電池モジュールの出
力を、前記モバイル電子機器に直接出力するように構成されている。すなわち、ある実施形態において、前記ソーラー充電器は、DC/DCコンバータ(例えば、PWM(pulse width modulation)に用いられる)および/またはMPPT(Maximum Power Point Tracking)回路を有しない。DC/DCコンバータおよびMPPT回路の一方だけを有してもよい。
ある実施形態において、前記複数の色素増感太陽電池は、直列に接続された2以上の色素増感太陽電池を含む。
ある実施形態において、前記複数の色素増感太陽電池は、前記基板を共有する。
本発明の実施形態による色素増感太陽電池は、例えば、高照度から低照度までの広い照度範囲において、電子機器に有効に電力を供給することができる。
本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSC100の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSCモジュール200の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態1によるソーラー充電器200Aをモバイル機器300に装着した状態を示す図である(表側)。 本発明の実施形態1によるソーラー充電器200Aをモバイル機器300に装着した状態を示す図である(裏側)。 本発明の実施形態1によるソーラー充電器200Aの構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態2によるソーラー充電器200Bの構成を模式的に示す図である。 本発明の実施形態3によるソーラー充電器200Cの構成を模式的に示す図である。 金属酸化物層(TiO2層)の厚さの違いによる透過率の差分の波長依存性を示すグラフである。 Ti層の厚さの違いによる透過率の差分の波長依存性を示すグラフである。 金属酸化物層(TiO2層)の有無による透過率の差分(左軸)の波長依存性を示すグラフおよび色素の量子効率(右軸)の波長依存性を示すグラフである。 本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSCモジュールの出力電圧(動作電圧)の照度依存性を示すグラフである。 本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられる他のDSCモジュール200Wの構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるさらに他のDSCモジュール200Zの構造を模式的に示す断面図である。 従来のポリシリコン太陽電池およびDSCの開放電圧(Voc)の照度依存性を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるソーラー充電器およびソーラー充電器を備えるモバイル電子機器を説明する。モバイル電子機器は、例えば、電子書籍端末、携帯電話、スマートフォン、タブレットPCである。本発明の実施形態によるソーラー充電
器は、モバイル電子機器に電気的に直接接続され且つ一体化される構造を有し、モバイル電子機器に一体化された状態で、モバイル電子機器を使用することができる。すなわち、本発明の実施形態によるソーラー充電器は、図4に示す様に、モバイル電子機器を使用する状態において、色素増感太陽電池モジュールの受光面を露出させる構造を有している。
ソーラー充電器はモバイル電子機器から容易に着脱可能であり、取り外した状態においても充電器として機能し得る。また、ソーラー充電器はモバイル電子機器と一体化されており、通常の使用形態においてソーラー充電器をユーザーが取り外しできない構造を有してもよい。なお、このとき、ソーラー充電器を含む機器全体もモバイル電子機器と呼ぶことがある。なお、以下に例示する実施形態は、本発明の実施形態を限定するものではない。
図1に本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSC100の模式的な断構造を示し、図2に複数のDSC100を有するDSCモジュール200の模式的な断面構造を示す。ここでは、モノリシック型集積構造を有するDSCモジュール200およびその単位構造に対応するDSC100の構造を説明するが、本発明の実施形態はこれに限られず、例えば、図12および図13を参照して後述する他のタイプのDSCモジュールを用いることもできる。
図1に示すように、DSC100は、透明基板12と、透明基板12上に形成された光アノード15と、光アノード15の上に形成された多孔質絶縁層22と、多孔質絶縁層22上に形成された対極34と、基板32と、光アノード15と基板32との間に充填された電解質媒体42とを有している。電解質媒体42は、典型的には、電解液(電解質溶液)である。電解液は、メディエータ(酸化還元対)として少なくともI-とI3 -とを含む
。電解質媒体42は、光アノード15と対極34との間に設けられた多孔質絶縁層22内に侵入し、多孔質絶縁層22に保持された電解質媒体42は、キャリア輸送層として機能する。対極34を基板32に形成し、DSCの使用環境において光アノード15と対極34が物理的に接触しない構造とすれば、多孔質絶縁層22を省略することができる。
ただし、図1に示すように透明基板12上に光アノード15から対極34までを形成する構造(すなわち、モノリシック型集積構造)を採用すると、基板32として、例えば、比較的薄い安価なガラス板を用いることができる。この様な基板32(基板12よりも薄い)は、カバー部材と呼ばれることもある。モノリシック型集積構造を採用すると、比較的高価なFTO層付きガラス基板は1枚(透明基板12および透明導電層14として)だけでよいので、DSCモジュールの価格を低減できるという利点が得られる。
透明基板12および基板32は、ガラス基板やプラスチック基板など、公知の透明な基板を用いることができる。少なくとも透明基板12は、DSC100の光増感剤を励起する波長の光を十分に透過するように選択される。基板32は、透明であっても、透明でなくてもよい。ただし、基板32側からも光が入射する環境下で使用される場合には、光増感剤へ到達する光量を増加させるために、基板32も透明な方が好ましい。
DSC100の光アノード15は、基板12の電解質媒体42側に設けられた透明導電層14と、透明導電層14の電解質媒体42側に形成された金属酸化物層16と、金属酸化物層16の電解質媒体42側に設けられた多孔質半導体層18と、多孔質半導体層18に担持された増感色素(不図示)とを有している。なお、増感色素を担持した多孔質半導体層を光電変換層18ということがある。透明導電層14は、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化錫)などの透明導電性酸化物(TCO)から形成される。
対極34は、キャリア輸送層42中の正孔を還元する働きを有する触媒層24と接触し
電子を収集し、取出し電極(対向する光電変換層18とは電気的に絶縁された透明導電層14;不図示)と、または、隣接するDSCセルの透明導電層14もしくは金属酸化物層16と接続される。対極34の材料としては、一般に太陽電池に使用される、例えば、FTO、インジウム錫複合酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、チタン、タングステン、金、銀、銅、ニッケル等の金属材料等の導電性を有する材料が挙げられる。なお、図2に例示するDCSモジュール200のようなモノリシック型集積構造を有するDSCモジュールにおいては、対極34の膜強度の観点から、チタンを用いることが好ましい。
ここで、金属酸化物層16の電気抵抗は、多孔質半導体層18の電気抵抗よりも小さく、かつ、透明導電層14の電気抵抗よりも大きい。金属酸化物層16は、このような電気抵抗を有しているので、電解質媒体42中のI3 -が直接に透明導電層14に接触することに起因するリーク電流の発生を抑制するとともに、出力電流が必要以上に低下することを抑制することができる。その結果、後に実験例を示すように、DSC100は、低照度においても比較的高い開放電圧を維持することが可能となり、比較的広い照度範囲で電力を出力することができる。金属酸化物層16は、非多孔質層であることが好ましい。金属酸化物層16の厚さは例えば10nmを超えない。金属酸化物層16は例えば熱酸化膜である。金属酸化物層16は、例えば、酸化チタン層、酸化ジルコニウム層または酸化アルミニウム層である。これらの中で、酸化チタン層が好ましい。熱酸化によって形成された酸化チタン層はピンホールが無く、リーク電流の発生を効果的に抑制することができる。また、熱酸化層は、特許文献1に記載の陽極酸化層よりも低コストで形成することができる。また、金属酸化物層16の厚さが10nmを超えないと、十分な出力電力を得ることができる。金属酸化物層16の厚さは例えば1nm以上であることが好ましい。
金属酸化物層16は、例えば、透明導電層14に蒸着法やスパッタ法など薄膜堆積法で形成したチタン層を、酸素を含む環境下で加熱処理(焼成)することによって形成することが好ましい。例えば、シンクロン製スパッタ装置(CSS−2MT−1200R)を用いて、FTO層を有する基板表面に、厚さが2nmのチタン層を形成する(例えば、ターゲット電力1100W、Ar流量120sccm、搬送速度100mm/s)。その後、空気中で、例えば、500℃で、1h保持し、チタン層を熱酸化することによって、厚さが2nmの酸化チタン層を得ることができる。チタン層の酸化による厚さの増加は数%に過ぎない。
金属酸化物層16は、この他、透明導電層14の表面を、四塩化チタン(TiCl4
の水溶液や四塩化チタンを含むガスなどで表面処理を施した後に、焼成することによって得ることもできる。例えば、0.05Mの四塩化チタン水溶液を、FTO層を有する基板表面に滴下し、70℃で約20分間加熱処理する。その後、水洗処理、自然乾燥後、空気中で、例えば、500℃を1h保持し、チタン層を熱酸化することによって、厚さが2nmの酸化チタン層を得ることができる。なお、滴下法以外にも、スピンコート法、ディップ法などの公知の方法で、FTO層を有する基板表面に四塩化チタン水溶液を付与することができる。
電解質媒体42は、I-とI3 -とを含む電解液(水溶液)で、I3 -の濃度は0.02M
超0.05M以下であることが好ましい。I3 -の濃度を上記の範囲にすることで、電圧の低下が抑えられ、低照度から高照度に至るまで効率良く発電することが可能になる。溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、エタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート系溶媒やニトリル系溶媒が好ましく、これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。なお、発電特性の観点からニトリル系溶媒が特に好ましく、DSCを設置する温度環境などに応じて溶媒粘度や電解質の溶解度などの観点から総合的
に溶媒を選定する。
なお、DSC100の構成とその特徴については、実験例を示して後述する。
次に、図2を参照して、本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSCモジュール200の構造を説明する。DSC100は、求められる出力電圧に応じて直列に接続され、モジュールとして用いられる。図2において、図1に示した構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素は、共通の参照符号を付して、その説明を省略することがある。
図2に例示するDSCモジュール200は、2以上の電気的に直列に接続されたDSC100aを含み、一体にパッケージ化されている。複数のDCS100aは透明基板12を共有している。各DSC100aの電解質媒体(キャリア輸送層)42は、封止材45によって互いに分離され、密閉されている。DSCモジュール200の全体も透明基板12と基板32とを互いに接着、固定する封止材によって、封止されている。
透明基板12上には、DSC100aごとに、透明導電層14、金属酸化物層16、および多孔質半導体層18aを含む光電変換層18がこの順で形成されている。光電変換層18は、多孔質絶縁層22で覆われており、その上に触媒層24を間に介して、対極34が形成されている。対極34は、隣接するDSC100aの金属酸化物層16上まで延設されており、そのことによって隣接するDSC100aと電気的に直列に接続されている。なお、封止材45が透明導電層14と直接接触するように、金属酸化物層16を形成してもよい。
DSCモジュール200内で直列に接続されるDSC100aの数は、要求される出力電圧に応じて適宜設定される。例えば、後に実験例で示すDSCモジュールは7つのDSCセルを直列に接続したもので、約3.5Vの出力電圧を有する。DSCモジュール200は、金属酸化物層16の形成方法を除けば、公知の方法で製造され得る。例えば、国際公開公報第2014/038570号に記載の方法で製造することができる。
本発明の実施形態によるソーラー充電器が有するDSCは、上述したDSC100のように、多孔質半導体層18aの電気抵抗よりも小さく、かつ、透明導電層14の電気抵抗よりも大きい電気抵抗を有する金属酸化物層16を備えている。その結果、DSC100は、高照度から低照度までの広い照度範囲において、十分に高い出力電圧で、電力をモバイル電子機器に供給することができる。
本発明の実施形態1によるソーラー充電器200Aは、例えば、図3および図4に示す様に、モバイル電子機器300に電気的に直接接続され且つ一体化される。ソーラー充電器200Aはモバイル電子機器300から容易に着脱可能であり、取り外した状態においても充電器として機能し得る。また、ソーラー充電器200Aはモバイル電子機器300と一体化されており、通常の使用形態においてソーラー充電器200Aをユーザーが取り外しできない構造を有してもよい。なお、このとき、ソーラー充電器200Aを含む機器全体もモバイル電子機器400と呼ぶことがある。モバイル電子機器300は、例えば、電子書籍端末、携帯電話、スマートフォン、タブレットPCである。ここでは、モバイル電子機器300として、電子書籍端末を用いる場合を例示する。
図3および図4に示すように、電子書籍端末300にソーラー充電器200Aを装着すると、ソーラー充電器200Aの出力が電子書籍端末300の蓄電素子の入力に接続されるように構成されている。ソーラー充電器200Aは、電子書籍端末300の裏面および側面を保護する筺体250aを備えている。ここで、蓄電素子は、いわゆる蓄電池(2次
電池)だけでなく、大容量キャパシターを含む。ソーラー充電器200Aがモバイル電子機器300と一体的にモバイル電子機器400として用いられるとき、モバイル電子機器300は、蓄電素子を有さなくてもよい。
図3に示す様に、電子書籍端末300を使用する状態においては、表示部300Dは使用者側に向けられる。このとき、図4に示す様に、電子書籍端末300の裏面側では、DSCモジュール200aの受光面が露出している。DSCモジュール200aは、例えば、図2に示したDSCモジュール200と同様の構造を有している。
電子書籍端末300を使用している状態では、表示部300Dは太陽光や照明光を直接受けるように配置され、DSCモジュール200aの受光面に太陽光や照明光が直接入射することはまれで、使用者の周囲、特に電子書籍端末300の下方にある物体によって反射または散乱された光が入射する。したがって、電子書籍端末300の裏面に露出されたDSCモジュール200aの受光面に入射する光は弱く、DSCモジュール200aの受光面上での照度は低い(例えば表示部の照度80μW/cm2(約300Lux)の屋内
環境において、モジュールの受光面は10μW/cm2(約40Lux)以下)。DSC
モジュール200aは、低照度から高照度に至るまで効率良く発電することが可能なので、このような使用状態においても、反射光・散乱光を受けて、発電することができる。また、電子書籍端末300を使用しない場合には、表示部300Dを裏に向けて、DSCモジュール200aの受光面が直接、太陽光や照明光を受光するようにしてもよい。
電子書籍端末300は、消費電力が低いディスプレイを有しているものが多く、一旦フル充電すると、数週間連続して使用することができる。このように長期間にわたって充電する必要が無い電子書籍端末300を充電操作は、使用者にとって非常に煩わしいものとなる。例えば、専用の充電器や充電ケーブルを探すことすら煩わしく感じるものである。また、電子書籍端末300の充電が必要になるタイミングによっては、専用の充電器や充電ケーブルがないこともある。
DSCモジュール200aは、電子書籍端末300を使用している状態においても発電することができる。したがって、ソーラー充電器200Aを装着しておけば、電子書籍端末300の日々の使用において消費した僅かな電力を、使用している間に充電することができる。電子書籍端末300は通常明るい環境下で使用されるので、DSCモジュール200aの受光面を露出している限り、例えば机の上にDSCモジュール200aの受光面を下にして置かない限り、ソーラー充電器200Aは電子書籍端末300を充電することができる。DSCモジュール200aの発電量は少ないので、完全に放電した電子書籍端末300をフル充電するためには長時間を要するが、電子書籍端末300にソーラー充電器200Aを装着しておけば、電子書籍端末300の使用時にも充電することができるので、日常的に消費される電力を補充するには十分である。電子書籍端末300の蓄電素子としてはメモリー効果の無い、リチウムイオン電池が好ましい。
本発明の実施形態によるソーラー充電器の例を図5〜図7を参照して説明する。
図5に、本発明の実施形態1によるソーラー充電器200Aの構成を模式的に示す。ソーラー充電器200Aは、DSCモジュール200aの出力を、モバイル電子機器300に直接出力するように構成されている。DSCモジュール200aは、低照度から高照度まで安定して、十分な出力電圧で発電することができるので、電圧安定化回路、例えば、必要に応じて昇圧または降圧を行うDC/DCコンバータや、最適動作点を追従する制御を行うMPPT回路を省略することができる。もちろん、必要に応じて、電圧安定化回路を設けてもよい。
図6に、本発明の実施形態2によるソーラー充電器200Bの構成を模式的に示す。ソーラー充電器200Bは、DSCモジュール200bの出力と、モバイル電子機器300との間に電圧安定化回路220として、DC/DCコンバータを有する。また、図7に、本発明の実施形態3によるソーラー充電器200Cの構成を模式的に示す。ソーラー充電器200Cは、DSCモジュール200cの出力と、モバイル電子機器300との間に電圧安定化回路240として、DC/DCコンバータおよびMPPT回路を有する。もちろん、電圧安定化回路240として、MPPT回路だけを設けてもよい。
一般に、従来の太陽電池には、出力電圧の安定化や、出力電力の最大化のために、DC/DCコンバータやMPPT回路などが設けられている。しかしながら、太陽電池からの出力電圧が低下すると、これらの回路が駆動しなくなったり、または正しく動作しなくなったりすることがある。本発明の実施形態2および3のソーラー充電器200Bおよび200Cが有するDSCモジュール200bおよび200cは、上述のDSCモジュール200と同様の構成を有しており、低照度から高照度まで安定して、十分な出力電圧で発電することができる。したがって、ソーラー充電器200Bおよび200Cが有する電圧安定化回路220および240が正しく動作しないという問題が発生しない。
以下に、実験例を示して、本発明の実施形態によるソーラー充電器に好適に用いられるDSC100を詳細に説明する。上述のDSCモジュール200a〜200cはいずれも図2に示したDSCモジュール200と同様の構成を有し、単位セルとして、図1に示したDSC100と同様の構成を有している。なお、7個のDSCセルを連続して設けたDSCモジュールを試作した例も併せて説明する。
実験には、以下の構成を有するDSCを試作した。
透明基板12および透明導電層14:日本板硝子社製(TEC A9X)FTO層付きガラス基板、厚さ4mm、大きさ20mm×70mm(DSCモジュールでは、大きさ70mm×70mm)、電気抵抗値9Ω/sq
多孔質半導体層18:多孔質酸化チタン、酸化チタンペーストD/SP(Solaronix社製)を用いて、7mm×50mm×厚さ24μmの矩形(DSCモジュールでは、1.2mmの間隔を開けて7個連続するパターン)、電気抵抗値(一般的な物性値とし
て10-13〜10-14mho/cm)、増感色素A(商品名:Ruthenium620−1H3TBA(Solaronix社製)、担持量:約7×10- 8mol/cm 2
多孔質絶縁層22:多孔質酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウムペーストZr−Nanoxide Z/SP(Solaronix社製)を用いて、7.2mm×50.2mm×13μmの矩形(DSCモジュールでは、1mmの間隔を開けて7個連続するパターン)
対極34:多孔質絶縁層22の表面に、スパッタ法により、触媒層として、Ptを約50nm成膜し、多孔質絶縁層22、透明導電層14および金属酸化物層16上に導電層として、Ti層を約2μm成膜したものを用いた。ここでは、触媒層およびTi層をまとめて対極と呼ぶが、Ti層だけを指して対極34と呼ぶこともある。対極34の電気抵抗値は0.6Ω/sqであった(DSCモジュールでは、隣接するDSCセルの対極同士は電気的に数百キロΩ以上絶縁されるようにパターニングして形成した。)。
基板32:青板ガラス基板(松浪硝子社製)、厚さ1mm、大きさ10mm×70mm(DSCモジュールでは、大きさ60mm×70mm)
封止部(不図示):紫外線硬化樹脂(型番:31X−101(スリーボンド社製))、シール幅1mm
電解液42:I3 -の濃度0.05M、溶媒アセトニトリル、厚さ50μm(ギャップ)
金属酸化物層16の厚さが、1nm、2nm、4nm、8nm、12nmのDSCを作製し、照度差による出力電圧変化量および短絡電流密度Jscの減少量を評価した。高照度条件の照度を1.5mW/cm2とし、低照度条件の照度を0.09mW/cm2とした
。金属酸化物層16として酸化チタン層を形成した。酸化チタン層は、以下の方法で形成した。
シンクロン製スパッタ装置(CSS−2MT−1200R)を用いて、FTO層を有する基板表面に、厚さが約2nmのチタン層を形成した(ターゲット電力1100W、Ar流量120sccm、搬送速度100mm/s)。その後、空気中で、500℃で、1h保持し、チタン層を熱酸化することによって、厚さが約2nmの酸化チタン層を得た。なお、金属酸化物層の厚さは、通過製膜のスパッタ装置で形成する場合は搬送速度を変えることで膜厚を制御できる。例えば搬送速度のみを50mm/sとすることで厚さが約4nmの酸化チタン層が得られる。
評価結果を下記の表1に示す。なお、表1中の「透過率減少分からのJsc減少分」とは、金属酸化物層を形成しないセルのJsc出力値から、同一照射光量における金属酸化物層を形成したセルのJsc出力値を引くことによって求められる。
金属酸化物層16を有しないDSCは、照度差による電圧変化量が大きいのに対し、金属酸化物層16を設けることによって、厚さが1nmであっても照度差による電圧変化量が小さくなる。また、金属酸化物層16の厚さが12nm以上になると、照度差による電圧変化量が大きくなる。また、透過率減少分からのJsc減少分は、金属酸化物層16の厚さが12nmとなると、急激に増大している。
上記のことから、金属酸化物層16の厚さは1nm以上12nm未満であることが好ましく、さらに8nm以下であることが好ましい。このような金属酸化物層16を設けることによって、DSCの出力(W)を高く保ちつつ、照度による出力電圧(V)の変化を抑制することができる。
Figure 2019149583
図8に、金属酸化物層(非多孔質酸化チタン層、単に「TiO2層」と記載することが
ある。)16の厚さが2nm、8nm、10nm、12nm、16nmおよび32nmの、波長範囲が300nm〜1100nmの光に対する透過率の差分の波長依存性を示す。透過率の差分とは、金属酸化物層16を形成しない場合の透過率(基板12および透明導電層14のみの透過率)を基準とした透過率である。
図8からわかるように、金属酸化物層(TiO2層)16の厚さが増大するにつれて、
透過率の差分が大きくなる。したがって、金属酸化物層(TiO2層)16の厚さが増大
するにつれて、光電変換層18に到達する光のエネルギー量は透過率の差分だけ減少することになる。十分な出力電力を得るためには、金属酸化物層16の厚さが10nmを超えないことが好ましく、4nm以下であることがさらに好ましい。
特許文献1には、厚さが5nm以下であればTi層が残存してもよいと記載されているが、残存するTi層の厚さは、4nm未満であることが好ましい。図9に示す、Ti層の厚さの違いによる透過率の差分の波長依存性を示すグラフからわかるように、厚さが4nmのTi層の透過率は、350nm付近で10%程度、500〜1100nmの広い範囲で6%程度減少している。残存するTi層による透過率の減少を抑制するためには4nm未満であることが好ましく、更に好ましくは2nm以下であり、1nm以下であることが最も好ましい。
図10は、金属酸化物層16の有無による透過率の差分(左軸)の波長依存性を示すグラフおよび色素Aの量子効率(右軸)の波長依存性を示すグラフである。金属酸化物層16の厚さは4nmである。なお、図10に示す規格化した量子効率は、色素の量子効率スペクトルの最大値をとる波長における量子効率を1として、各波長の量子効率を算出することにより規格化した。
DSCから出力される電流は、[各波長における外部量子効率(規格化前の値)×各波長の光のエネルギー量]を全波長域にわたって積分した値に比例する。図10に示す色素Aは、300nm〜800nmの範囲で比較的高い外部量子効率を有している。したがって、金属酸化物層(非多孔質酸化チタン層)16の厚さが増すにつれて、透過率(特に短波長側(300−500nmの透過率))の減少が大きくなると、その結果、電流の減少も比例して多くなる。
次に、上記色素Aに代えて、色素Bおよび色素Cを用いた場合の結果を表2に示す。色素Bは、色素Aよりも短波長の吸収が少ない色素であり、色素Cは、色素Aよりも短波長の吸収が多い色素である。表2には、色素Aを用いた場合の結果を併せて示している。短絡電流密度Jscのマスにおける()内の数値は、上段の数値との差であり、短絡電流密度Jscの金属酸化物層16の厚さによる変化を表している。
Figure 2019149583
表2の結果からも明らかなように、金属酸化物層16の厚さが12nm以上になると、色素の種類によって程度は異なるものの、短絡電流密度Jscの減少量が急激に増大している。したがって、色素の種類によらず、金属酸化物層16の厚さは1nm以上12nm
未満であることが好ましく、さらに8nm以下であることが好ましいと言える。また、このような金属酸化物層16を設けることによって、DSCの出力(W)を高く保ちつつ、照度による出力電圧(V)の変化を抑制することができる。
DSC100の電解質媒体(キャリア輸送層)は、I-とI3 -とを含み、I3 -の濃度は
0.02M超0.05M以下であることが好ましい。金属酸化物層16を形成するとともに、電解質媒体に含まれるI3 -濃度を0.02M超0.05M以下にすることによって、電圧の低下が抑えられ、低照度から高照度に至るまで効率良く発電することが可能になる。
上記実験例と同様にしてDSC100を作製し、電解液中に含まれるI3 -の濃度を調整した。金属酸化物層16としては、厚さ2nmの酸化チタン層を形成した。試作した各DSCの変換効率を低照度条件(0.09mW/cm2、LED照明)と高照度条件(3m
W/cm2、擬太陽光)とで、以下の様にして求めた。
低照度条件においては、光源にLEDソーラーシミュレータIris−06(株式会社セルシステム製)を用い、一般的なLED照明の昼白色スペクトルの光を各種の減光フィルター(例えば開口率を変えたメッシュフィルター)を組み合わせて所望の光量に減光し、その時の光量を分光放射計MSR−7000N(株式会社オプトリサーチ製)を用いて測定した。高照度条件においては、400nm〜800nmにおいてAM1.5に近似した分光特性±10%以内かつ照射範囲の照度分布±5%以内の照射条件で、各種の減光フィルターを組み合わせて所望の光量に減光し、その時の光量を分光放射計MSR−7000Nを用いて測定した。DSCに外部配線を接続してIVトレーサADCMT6246(株式会社エーディーシー製)により得られた各種特性(短絡電流密度Jsc、開放電圧Voc、曲線因子FF)と、分光放射計で得られた照射エネルギーから変換効率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2019149583
表3の結果からわかるように、I3 -濃度が高くなるにつれて、低照度における変換効率が低下する。低照度における変換効率の観点からは、I3 -濃度は0.05M以下であることが好ましい。I3 -濃度が低い方が、低照度における変換効率が高いのは、光アノードか
ら酸化還元対(I-とI3 -)への逆電子移動が発生する頻度が低いからである。その結果
、低照度においても比較的高い開放電圧Vocを得ることが可能になる。一方、高照度における変換効率はI3 -濃度が0.02Mを下回ると低下する。高照度においても高い変換効率を得るためには、I3 -濃度は0.02M超であることが好ましいと言える。これらのことから、低照度から高照度にわたる広い照度範囲で、効果的に動作するDSCを得るためには、電解質媒体中のI3 -濃度が0.02M超0.05M以下であることが好ましいことが分かる。また、電解質媒体中のI3 -濃度が0.02Mのとき、金属酸化物層の厚さが8nmのDSCは、金属酸化物層の厚さが2nmのDSCとほぼ同じ優れた性能を有していることが分かる。
次に、表4〜表8および図11を参照して、本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるDSCセルおよびモジュールの出力電圧(動作電圧)の照度依存性を説明する。図11は、DSCモジュールの出力電圧(動作電圧)の照度依存性を示すグラフである。ここで用いたDCSモジュールは、DSC100を7個、直列に接続した構造を有している。したがって、DSCモジュールの出力電圧は、DSCモジュールを構成するDSCセルの出力電圧の7倍である。
表4は金属酸化物層を有しない通常のDSC、表5は金属酸化物層(厚さ4nm)を有するDSC、表6はI3 -濃度の濃度を調整(0.02M)したDSC、表7は、金属酸化物層(厚さ4nm)およびI3 -濃度の調整(0.02M)を行ったDSCについて、種々の照度における出力電圧を示している。表5〜7には、従来のDSCの出力電圧との差を併せて示している。表8には、各DSCについて、照度が4mW/cm2のときの出力電
圧と照度が0.3mW/cm2のときの出力電圧との差(ΔV(@4−0.3mW/cm2)を示している。
表4と表5〜7の比較、表8および図11から、金属酸化物層を設けることによって、または、I3 -濃度を上記の所定の範囲内に調整することによって、出力電圧の照度依存性を低減できることが分かる。すなわち、低照度における出力電圧の低下を抑制できる。さらに、金属酸化物層を設けるとともにI3 -濃度を上記の所定の範囲内に調整することよって、低照度における出力電圧の低下を一層抑制できることがわかる。表7に示したように、金属酸化物層を設けるとともにI3 -濃度を上記の所定の範囲内に調整したDSCのΔVop(V)の値は、金属酸化物層を設けたDSCのΔVopMO(表5参照)とI3 -濃度を上記の所定の範囲内に調整したDSCのΔVopIC(表6参照)との単純な和(ΔVopMO+ΔVopICに比べて、照度が4mW/cm2の場合を除いて、大きな値をとっている
。すなわち、金属酸化物層を設けるとともにI3 -濃度を上記の所定の範囲内に調整することによって、相乗効果が得られ、それぞれ単独で適用した場合よりも、出力電圧の低下を抑制する効果が大きいことが分かる。
Figure 2019149583
Figure 2019149583
Figure 2019149583
Figure 2019149583
Figure 2019149583
上記の実施形態では、モノリシック集積構造を有するDSCモジュールを用いたソーラー充電器を例示したが、本発明の実施形態によるソーラー充電器には、他のタイプの集積構造を有するDSCモジュールを用いることができる。例えば、シャープ技報、第100号、2010年2月、第32〜35頁には、モノリシック集積構造とともに、W集積構造およびZ集積構造を有するDSCモジュールが開示されている。図12および図13を参照して、W集積構造を有するDSCモジュール200WおよびZ集積構造を有するDSCモジュール200Zに、金属酸化物層16を設けた構成を説明する。なお、図12および13において、図2に示したDSCモジュール200の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素は、共通の参照符号を付して、その説明を省略する。
図12は、本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられる他のDSCモジュール200Wの構造を模式的に示す断面図である。
DSC200Wは、W集積構造を有している。W型集積構造は、所定の場所にTCOおよび/または導電層(透明導電層14および/または対極34)が形成された2枚の基板12および32上に1つ置きに光電変換層18を形成し、2枚の基板12および32上の光電変換層18が互い違いになるように2枚の基板12および32を貼り合わせることにより、複数のDSCセルが直列に接続された構造を有している。このモジュールの断面において、直列に接続されたDSCセルの接続形態がアルファベットのWに似ていることから、W型集積構造と呼ぶ。DSC200Wも、TCOおよび/または導電層(透明導電層14および/または対極34)と光電変換層18との間に金属酸化物層16を有している。金属酸化物層16は、上述の特徴を有しており、リーク電流の発生を抑制するとともに、出力電流が必要以上に低下することを抑制する。
図13は、本発明の実施形態によるソーラー充電器に用いられるさらに他のDSCモジュール200Zの構造を模式的に示す断面図である。
DSC200Zは、Z集積構造を有している。Z型集積構造は、TCO(透明導電層14)が形成された基板12または32上に光電変換層18を形成し、もう1枚のTCOが形成された基板32または12に対極34を形成し、光電変換層18が形成された基板12または32と貼り合わせることにより、複数のDSCセルが直列に接続された構造を有している。なお、基板12または32のいずれか一方または両方に接続層35が形成されており、接続層35を介して、隣接するDSCセルが直列に接続される。接続層35は、透明導電層14または対極34と同じ材料、若しくは一般的な電気配線に用いられる各種導電性材料(例えば銀、銅、カーボン)で形成され得る。このモジュールの断面において、直列に接続されたDSCセルの接続形態がアルファベットのZに似ていることから、Z型集積構造と呼ぶ。DSC200Zも、TCO(透明導電層14)と光電変換層18との間に金属酸化物層16を有している。金属酸化物層16は、上述の特徴を有しており、リーク電流の発生を抑制するとともに、出力電流が必要以上に低下することを抑制する。
DSC200WまたはDSC200Zにおいては、2枚のFTO層付きガラス基板を用いて、FTO層(透明導電性酸化物層)の上に触媒層24を形成し、触媒層24上に導電層(例えばTi層)34を形成してもよい。
本明細書は下記の項目1〜10に記載のソーラー充電器を開示している。
[項目1]
複数の色素増感太陽電池を備える色素増感太陽電池モジュールと、
モバイル電子機器に電気的に直接接続され且つ一体化される構造であって、前記モバイル電子機器に一体化され、前記モバイル電子機器を使用する状態において、前記色素増感太陽電池モジュールの受光面を露出させる構造とを有し、
前記色素増感太陽電池モジュールは、基板と、電解質媒体と、前記基板の前記電解質媒体側に設けられた透明導電層と、前記透明導電層の前記電解質媒体側に形成された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の前記電解質媒体側に設けられた多孔質半導体層と、前記多孔質半導体層に担持された増感色素とを有し、
前記金属酸化物層の電気抵抗は、前記多孔質半導体層の電気抵抗よりも小さく、かつ、前記透明導電層の電気抵抗よりも大きい、ソーラー充電器。
[項目2]
前記金属酸化物層は、非多孔質層である、項目1に記載のソーラー充電器。
[項目3]
前記金属酸化物層の厚さは10nmを超えない、項目1または2に記載の項目1に記載のソーラー充電器。
[項目4]
前記金属酸化物層は熱酸化膜である、項目1から3のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目5]
前記金属酸化物層は酸化チタン層である、項目1から4のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目6]
前記電解質媒体は、I-とI3 -とを含み、I3 -の濃度は0.02M超0.05M以下で
ある、項目1から5のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目7]
前記色素増感太陽電池モジュールの出力と、前記モバイル電子機器との間に電圧安定化回路をさらに有する、項目1から6のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目8]
前記色素増感太陽電池モジュールの出力を、前記モバイル電子機器に直接出力するように構成されている、項目1から6のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目9]
前記複数の色素増感太陽電池は、直列に接続された2以上の色素増感太陽電池を含む、項目1から8のいずれかに記載のソーラー充電器。
[項目10]
前記複数の色素増感太陽電池は、前記基板を共有する、項目1から9のいずれかに記載のソーラー充電器。
本発明のソーラー充電器は、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、電子書籍端末に代表されるモバイル電子機器を充電するために好適に用いられる。
12、32 基板
14 透明導電層
34 対極
15 光アノード
16 金属酸化物層
18a 多孔質半導体層
18 光電変換層
42 電解質媒体
100、100a、100b、100c DSC
200、200a、200b、200c DSCモジュール
200A、200B、200C ソーラー充電器
300 モバイル電子機器(電子書籍端末)

Claims (4)

  1. 基板と、
    電解質媒体と、
    前記基板の前記電解質側に設けられた透明導電層と、
    前記透明導電層の前記電解質媒体側に設けられた多孔質半導体層と、
    前記多孔質半導体層に担持された増感色素と、を有し、
    前記電解質媒体は、IとI とを含み、I の濃度は0.02M超0.05M以下である、色素増感太陽電池。
  2. 前記透明導電層と、前記多孔質半導体層の間に金属酸化物層をさらに備え、
    前記金属酸化物層の電気抵抗は、前記多孔質半導体層の電気抵抗よりも小さく、かつ、前記透明導電層の電気抵抗よりも大きい、色素増感太陽電池。
  3. 前記多孔質半導体層と対向して配置される対極をさらに備える請求項1または請求項2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載された色素増感太陽電池を備える電子機器。
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