JP2019148116A - バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法 - Google Patents

バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019148116A
JP2019148116A JP2018033539A JP2018033539A JP2019148116A JP 2019148116 A JP2019148116 A JP 2019148116A JP 2018033539 A JP2018033539 A JP 2018033539A JP 2018033539 A JP2018033539 A JP 2018033539A JP 2019148116 A JP2019148116 A JP 2019148116A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ballast
calculation
displacement
sleeper
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018033539A
Other languages
English (en)
Inventor
昭子 河野
Akiko Kono
昭子 河野
正道 曽我部
Masamichi Sogabe
正道 曽我部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP2018033539A priority Critical patent/JP2019148116A/ja
Publication of JP2019148116A publication Critical patent/JP2019148116A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Machines For Laying And Maintaining Railways (AREA)

Abstract

【課題】 個別要素法を用いた離散体モデルを用いた場合であっても、コンピュータの計算負荷を軽減して演算期間を短縮することができるバラスト軌道におけるまくらぎ変位量の推定方法の提供。【解決手段】 鉄道車両用のバラスト軌道におけるバラストの沈下量について離散体モデルを用いた数値解析法により推定する方法である。レール下面からまくらぎに繰り返し負荷される累積荷重値とバラスト上におけるまくらぎ上面の変位量との関係を定義した変位量演算式を定義し、この変位量演算式を用いて個々の砕石要素の変位を順に数値解析する際に、演算開始から演算終了までの少なくとも一部の累積荷重値の範囲を観察フェーズと指定し、個々の砕石要素の変位を上記観察フェーズ以外の累積荷重値においてより大きく定義した促進フェーズとして演算し、演算されたまくらぎ上面の変位量に基づいてバラスト上面の沈下量を推定することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両が走行するレールが敷設されたバラスト軌道におけるバラストの沈下量を推定する方法に関し、特に、個別要素法による離散体モデルを用いたコンピュータシミュレーションによってバラスト上面の沈下量を推定する方法に関する。
鉄道車両が走行するレールを敷設する構造として、有道床軌道が知られている。この有道床軌道の1つである「バラスト軌道」は、バラストと呼ばれる砕石を敷き詰めた道床層にまくらぎを載置し、このまくらぎの上面にレールを固定する構造を有しており、振動や騒音が小さく、排水性に優れたものとして知られている。
このようなバラスト軌道においては、走行する車両から負荷される荷重等により、例えばまくらぎ数本分程度の範囲で局所的に道床層のバラストが移動してしまい、道床層の上面の沈下が急激に進むことがある。このとき、道床層が沈下した領域では、まくらぎとの間に隙間が発生することになり、レール等に過剰な負荷がかかって軌道破壊を生じる原因となってしまう。
そこで、バラスト軌道の道床層の急激な沈下の進行を抑制する対策工法を検討するために、実物大の試験軌道を用いて、まくらぎ上面側から実際の車両の走行状態を模擬した繰り返し荷重を載荷する実物模擬試験が行われる。
また、例えば、特許文献1に示すように、実際のバラストの3次元データから個別要素法(Discrete Element Method:DEM)を用いて個々のバラストの多面体モデルを作成し、実際のバラストと同様の物理的条件及び走行条件を用いてシミュレーションを行い、その結果を有限要素法(FEM)によるシミュレーションに置き換えて、バラスト集合体の固有値解析及び車両の走行荷重に対する過渡応答解析等を行う手法なども用いられている。
特開2013−170409号公報
上記した実物模擬試験は、実物大の試験軌道を製造するために多くの時間と費用を必要とするとともに、いったん繰り返しの載荷試験を開始すると条件の再設定ができない上に、試験軌道を同一条件で再使用することができない。一方、特許文献1に示すようなシミュレーション技術による解析手法は、個々のバラストをそれぞれ多面体モデルとしてこれらのモデル間の演算を行う必要があるため、コンピュータへの計算負荷が高く、実際のバラスト軌道のように多数のバラストで道床層を構成するようなモデルを用いた場合は、最終的な結果を得るためにかなりの長時間を要することとなる。このため、特許文献1では、個別要素法を用いた多面体モデルによる演算結果を、より計算負荷が軽い有限要素法モデルに置き換えて最終演算を行っている。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、個別要素法を用いた離散体モデルを用いた場合であっても、コンピュータの計算負荷を軽減して演算期間を短縮することができるバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法を提供することにある。
本発明による鉄道車両用のバラスト軌道におけるバラストの沈下量について離散体モデルを用いた数値解析法により推定する方法は、レール下面からまくらぎに繰り返し負荷される累積荷重値と前記バラスト上における前記まくらぎ上面の変位量との関係を定義した変位量演算式を定義し、前記バラストを構成する個々の砕石要素の変位を順に数値解析する際に、演算開始から演算終了までの少なくとも一部の前記累積荷重値の範囲を観察フェーズと指定し、前記バラストを構成する個々の砕石要素の変位を前記観察フェーズ以外の前記累積荷重値においてより大きく定義した促進フェーズとして演算し、前記まくらぎ上面の変位量に基づいて前記バラスト上面の沈下量を推定することを特徴とする。
かかる発明によれば、促進フェーズにおいて、バラストを構成する個々の砕石要素の変位が観察フェーズでの変位より大きく定義した状態で演算されるため、促進フェーズでのコンピュータに対する計算負荷が観察フェーズでの演算に比べて低減され、当該促進フェーズでの演算速度を高めることができる。このため、その結果として、全体の演算期間を短縮することが可能となる。
上記した発明において、前記促進フェーズにおいて、前記砕石要素どうしの間の摩擦係数が、前記観察フェーズでの演算よりも大きく設定されるように構成してもよい。また、前記観察フェーズは、前記累積荷重値の離間した範囲に複数設定されるように構成してもよい。
さらに、上記した発明において、前記促進フェーズは、時間に対する外力の変化として低周波成分波形と高周波成分波形とを重ね合わせた重畳波形を用いて前記累積荷重値を設定するように構成してもよい。このとき、前記低周波成分波形及び前記高周波成分波形は、それぞれ2乃至5Hz及び30乃至50Hzの範囲であるのが好ましい。
本発明による推定方法が適用されるバラスト軌道の概要を示す部分断面図である。 図1に示す領域Aの部分拡大図であって、(a)はバラスト上面の変位前の状態を示し、(b)はバラスト上面の変位後の状態を示す。 図2に示したバラストに個別要素法を適用した離散体モデルの概略を示す図であって、(a)は剛体要素どうしの位置関係を示す拡大図であり、(b)は剛体要素どうしの接触をモデル化した模式図である。 図3で示した離散体モデルを用いて一定の繰り返し荷重のものでバラスト沈下量を演算した結果を示すグラフであり、(a)は横軸に載荷回数を用いた場合を示し、(b)は横軸に演算時間を用いた場合を示す。 本発明の実施例1によるバラスト沈下量の推定方法を用いた演算結果の一例を示すグラフであって、(a)は図4と同様に一定の載荷条件で演算した場合を示し、(b)は実施例1により促進フェーズと観察フェーズとを切り替えて演算した場合を示す。 本発明の実施例2によるバラスト軌道のバラスト沈下量の推定方法に適用される繰り返し荷重の入力波形を模式的に示したグラフであり、(a)は低周波成分による波形、(b)は高周波成分による波形、(c)は実際に入力される合成波形をそれぞれ示す。
以下、本発明によるバラスト軌道におけるまくらぎ変位量の推定方法の実施例について、図1乃至図6を用いて説明する。
<実施例1>
図1は、バラスト軌道の概要を示す部分断面図である。また、図2は、図1に示す領域Aの部分拡大図であって、図2(a)はバラスト上面の変位前の状態を示し、図2(b)はバラスト上面の変位後の状態を示している。
図1に示すように、バラスト軌道100は、土台となる路盤110の上に多数のバラスト(砕石)122が敷き詰められた道床層120と、道床層120上に所定の間隔毎に載置された複数のまくらぎ130と、これら複数のまくらぎ130の上面に固定されたレール140と、により構成されている。
次に、図2を用いて、バラスト軌道におけるバラストの沈下が生じるメカニズムについて説明する。
2(a)に示すように、路盤110上に敷き詰められた道床層120を構成する多数のバラスト122は、隣り合うバラスト122どうしが点あるいは極小の面で接触する態様で積み上げられている。すなわち、隣り合うバラスト122の間には隙間Gが存在している。そして、道床層120の上面にはまくらぎ130が載置されており、さらにその上面にはレール140が固定されている。ここで、図2(a)で示されるまくらぎ130の位置を第1位置P1とする。
このとき、レール140の下面からまくらぎ130の上面に荷重Xが負荷されると、隣り合うバラスト122どうしは、互いに外力を伝達するための接触点を増やすように挙動するため、結果として互いの間の隙間Gが狭くなるように移動する。すると、図2(b)に示すように、多数のバラスト122がより密集し、まくらぎ130が載置されていた道床層120の上面の位置がYだけ沈下する。これにより、まくらぎ130の下面が道床層120から離間した状態(いわゆる「浮きまくらぎ」の状態)となり、これがレール140やまくらぎ130に過剰な負担をかける要因の1つとなる。
そこで、本発明によるバラスト沈下量の推定方法では、路盤110、まくらぎ130及び個々のバラスト122をそれぞれ1つの剛体要素として認識し、特に個々のバラスト122を個別要素法(DEM)による離散体モデルとしてモデル化することにより、それぞれの剛体要素間の物理的あるいは力学的関係を方程式で定義する。例えば、道床層120とまくらぎ130との載置関係において、図2(b)に示すように、道床層120の沈下によってまくらぎ130が一点鎖線で示される第2位置P2に移動したものと仮定する。これにより、実際の道床層120の上面の高さ方向における変位Yは、仮想上のまくらぎ130の上面の変位Y1と等価となるものと考えられる。すなわち、路盤110、バラスト122及びまくらぎ130のそれぞれの剛体要素からなる離散体モデルを用いて、繰り返し負荷される荷重Xに対するまくらぎ130の上面の変位Y1を算出することにより、実際の道床層120の上面の変位Y(バラスト122の沈下量)を推定することが可能となる。
図3は、図2に示したバラストに個別要素法を適用した離散体モデルの概略を示す図であって、図3(a)は剛体要素どうしの位置関係を示す拡大図であり、図3(b)は剛体要素どうしの接触をモデル化した模式図である。
図3(a)に示すように、道床層120を形成する多数のバラスト122A乃至122Cは、個別要素法を適用することにより、それぞれ形状の異なる球集合体モデルの剛体要素として定義され、互いの間の隙間Gを形成しつつ点接触あるいは極小の面での面接触を生じるように配置される。このとき、矢印で示すように上方から荷重Xが負荷されると、バラスト122A乃至122Cは、互いの接触点(あるいは接触面)150において、互いに対して外力が作用し、せん断や回転あるいは滑りが発生する。
図3(b)に示すように、このような外力の作用によるせん断や回転あるいは滑りをモデル化するには、例えば、バラスト122Aと122Bとの間の接触点150を、接線方向に配向されたスライダ152と、接線方向及び法線方向のそれぞれに配向されたダンパ要素154、156を組み合わせた系として表現する。すなわち、2つの剛体要素間の滑りをスライダ152で模式化し、接触時に生じる外力は2つのダンパ要素154及び156により模式化する。そして、個々の剛体要素には接触する他の剛体要素からの外力のみが作用するものと仮定して、それぞれの剛体要素に対する3次元方向及び回転方向の運動方程式を時間をパラメータとして解くことにより、バラスト毎の変位を演算する。
次に、図4及び図5を用いて、実施例1によるバラスト沈下量の推定方法による結果の一例を説明する。
図4は、図3で示した離散体モデルを用いて一定の繰り返し荷重のものでバラスト沈下量を演算した結果を示すグラフであり、図4(a)は横軸に載荷回数を用いた場合を示し、図4(b)は横軸に演算時間を用いた場合を示している。
図4(a)に示すように、図3で説明した離散体モデルにより演算したバラスト沈下量Yは、演算開始直後から所定の載荷回数Xtまでは急激に沈下量が増大し(以下、この領域を「初期沈下過程」と称する)、その後はほぼ線形に(徐々に)沈下量が増加する(以下、この領域を「漸進沈下過程」と称する)結果となる。このとき、バラスト沈下量(まくらぎ変位量)Yと載荷回数Xとは、以下(1)に示す変位量演算式として表現できる。

Y=α(1−e−γX)+βX ・・・(1)

ここで、(1)式中のα、β、γはそれぞれ定数であって、αは初期沈下の大きさ、βは漸進沈下における傾き、γは初期沈下過程の長さをそれぞれ示している。
図4(a)に示した演算結果は、上記したとおり、(1)式に同一荷重値の繰り返し荷重を負荷したものを示している。したがって、その繰り返し荷重が例えば正弦波のような波形で負荷される場合、バラスト沈下量Yは、図4(b)に示すように、演算時間Tを横軸に取って表現したグラフと等価となる。すなわち、バラスト沈下量Yは、演算時間Tを横軸に採用した場合でも、所定の演算時間Ttを境に初期沈下過程と漸進沈下過程とが連続するグラフとして表現できる。そして、図4に示すように、図1に示すような実際のバラスト軌道100においては、道床層120を敷設した直後あるいは保守作業を行った直後に鉄道車両が走行を開始した段階から急激にバラスト沈下が進み(初期沈下過程)、その後は徐々にバラスト沈下が進む(漸進沈下過程)ような、2つの過程で表現できることになる。
図5は、実施例1によるバラスト沈下量の推定方法を用いた演算結果の一例を示すグラフであって、図5(a)は図4と同様に一定の載荷条件で演算した場合を示し、図5(b)は実施例1により促進フェーズと観察フェーズとを切り替えて演算した場合を示している。従来の個別要素法による演算手法では、同一荷重を周期的に繰り返す載荷条件で演算を行い、最終回数まで演算が終了した後に、演算結果のグラフ中から特定の領域を抽出して、載荷荷重値あるいは載荷回数とバラスト沈下量との関係をより精緻に解析する場合が多い。例えば、図5(a)に示すグラフにおいては、演算後に初期沈下過程において回数X1からX2の領域を抽出し、漸進沈下過程においては回数X3からX4の領域を抽出して、それらの領域でのデータから道床層でのバラストの挙動を推定する手法が採られている。
そこで、実施例1によるバラスト沈下量の推定方法においては、従来の推定手法と異なり、上記(1)式を用いて変位量を演算する際に、演算開始から演算終了までの少なくとも一部の累積荷重値の範囲を、実際のバラストの剛体要素の変位条件を模した「観察フェーズ」として指定し、それ以外の累積荷重値の範囲については、バラストの剛体要素の変位を促進する促進演算条件による「促進フェーズ」として演算を行う。すなわち、例えば図5(a)に示すグラフにおいて、演算開始後で回数X1からX2までの領域RF1及び回数X3からX4までの領域RF2を、それぞれ通常の演算条件で演算される「観察フェーズ」による領域と指定し、それ以外の演算開始から回数X1までの領域PF1、回数X2からX3までの領域PF2、回数X4からX5までの領域PF3を、それぞれ「促進フェーズ」による演算を行う領域として演算を行う。
本発明の実施例1において、領域PF1、PF2、PF3で実行される「促進フェーズ」では、例えば、道床層を構成するバラストを離散体モデル化した個々の剛体要素どうしの関係を示す運動方程式における粒子間摩擦角度を、「観察フェーズ」における角度に対して顕著に小さくした数値を用いた促進演算条件で演算する。その一例として、「観察フェーズ」での演算条件では、バラスト間の摩擦角度として27度乃至36度を用いるのに対して、促進演算条件では、上記摩擦角度を1度に固定して演算を行う。これにより、個々のバラストどうしの滑り運動が大幅に促進されるため、剛体要素の移動幅が大きくなり、結果として演算ピッチが広くなってコンピュータに対する演算負荷が軽減される。
このように、「促進フェーズ」での演算を実行すると、演算負荷が低減されることにより、同一サンプリング周期での演算速度が向上することとなる。したがって、「促進フェーズ」における所定の繰り返し数での演算時間が短縮されることとなり、結果として、図5(b)に示すように、載荷回数Xに対応する演算時間Tを横軸に取った場合に、領域PF1、PF2、PF3での演算時間が短縮されて、全体の演算時間をΔTだけ短くすることが可能となる。
一方、領域RF1、RF2の「観察フェーズ」での演算は、従来の手法と同様に、通常の演算条件で行われるため、初期沈下過程及び漸進沈下過程のそれぞれにおいて精緻に見たい載荷回数の領域での沈下量を抽出して解析を実行することができる。これにより、従来の実物模擬試験では困難であった、試験途中の特定の載荷回数における道床バラストの微子力学的な変位メカニズムの把握が可能となる。
かかる構成により、本発明の実施例1によるバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法は、まくらぎ上面の変位量定義式を用いて変位量を演算する際に、バラストを構成する個々の砕石要素の変位を促進する促進演算条件による促進フェーズを採用したことにより、個別要素法を用いた離散体モデルを用いた場合であっても、コンピュータの計算負荷を軽減して演算期間を短縮することができる。その結果として、従来の実物模擬試験では困難であった、試験途中の特定の載荷回数における道床バラストの微子力学的な変位メカニズムを把握でき、バラストの沈下過程を追跡することが可能となる。
<実施例2>
図6は、実施例2によるバラスト軌道のバラスト沈下量の推定方法に適用される繰り返し荷重の入力波形を模式的に示したグラフであり、図6(a)は低周波成分による波形、図6(b)は高周波成分による波形、図6(c)は実際に入力される合成波形をそれぞれ示している。なお、本発明による実施例2は、実施例1で説明した推定方法に対して付加的に実行される具体例を示すものであり、実施例1と重複する点については再度の説明を省略する。
図6(a)に示すように、通常のバラスト軌道では、1編成の鉄道車両がレール上を走行する場合、複数の車両には同一の規格による台車及び車輪が設けられているため、レールの特定の位置における車両による入力荷重は、例えば鉄道車両の通過時に所定の振幅でほぼ等間隔(同一周期)に負荷される。一方、レールには一般的に継目部あるいは溶接部が存在するため、これらの上を車両が走行する際に、例えば図6(b)に示すように、上記した周期的な(低周波の)荷重に加えて振幅の小さい高サイクル(高周波)の負荷が発生することが知られている。そこで、実施例2においては、離散体モデル化された剛体要素どうしの運動方程式に入力される載荷荷重として、図6(c)に示すような低周波成分波形と高周波成分波形とを重畳した合成波形を入力して演算を行う。ここで、低周波成分波形及び高周波成分波形としては、その一例として、それぞれ2乃至5Hz及び30乃至50Hzの範囲から選択される。
実施例2による演算結果は、剛体要素どうしの関係を表す運動方程式自体には変更がないため、実施例1と同様に、バラスト沈下量Yと載荷回数Xとの関係は、図示を省略するが、上記(1)式で示される演算式で演算される図4等で示したグラフと同様のものとなる。このとき、運動方程式に合成波形による載荷荷重値を入力するためより演算が複雑となるが、実施例1と同様に、促進演算条件による「促進フェーズ」と通常演算条件による「観察フェーズ」とを切り替えて実行するため、結果として、「観察フェーズ」のみで演算を実行する従来の手法に比べて演算負荷を軽減して演算時間を短縮することができる。なお、継目部や溶接部の形状あるいは配置に応じて、高周波成分の振幅や周波数を適宜選択することにより、様々なレール状態を反映したバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定も可能となる。
かかる構成により、本発明の実施例2によるバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法は、実施例1で得られた効果に加えて、レールの継目部や溶接部等の軌道上の特異要素を配置した場合を加味したバラスト沈下量の演算及び推定を行うことが可能となる。
以上、本発明による代表的な実施例及びこれに伴う変形例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
例えば、上記実施例においては、バラスト沈下量を示すグラフの横軸に荷重の載荷回数を取った場合を例示したが、載荷回数に代えて演算開始からの累積荷重値をパラメータとして用いてもよい。また、実施例1では、剛体要素の変位を促進する促進演算条件として、粒子間摩擦角度を小さくした場合を例示したが、剛体要素の変位を促進できる要素であれば他のパラメータを変更するように構成してもよい。さらに、実施例2では、重畳する高周波成分を1種類とした場合を例示したが、軌道上の配置される様々な特異要素を表現するために、複数の高周波成分を重畳して負荷するように構成してもよい。
100 バラスト軌道
110 路盤
120 道床層
122、122A、122B、122C バラスト
130 まくらぎ
140 レール
150 接触点
152 スライダ
154、156 ダンパ要素


Claims (5)

  1. 鉄道車両用のバラスト軌道におけるバラストの沈下量について離散体モデルを用いた数値解析法により推定する方法であって、
    レール下面からまくらぎに繰り返し負荷される累積荷重値と前記バラスト上における前記まくらぎ上面の変位量との関係を定義した変位量演算式を定義し、前記バラストを構成する個々の砕石要素の変位を順に数値解析する際に、
    演算開始から演算終了までの少なくとも一部の前記累積荷重値の範囲を観察フェーズと指定し、前記バラストを構成する個々の砕石要素の変位を前記観察フェーズ以外の前記累積荷重値においてより大きく定義した促進フェーズとして演算し、前記まくらぎ上面の変位量に基づいて前記バラスト上面の沈下量を推定することを特徴とするバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法。
  2. 前記促進フェーズにおいて、前記砕石要素どうしの間の摩擦係数が前記観察フェーズでの演算よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1記載の推定方法。
  3. 前記観察フェーズは、前記累積荷重値の離間した範囲に複数設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
  4. 前記促進フェーズは、時間に対する外力の変化として低周波成分波形と高周波成分波形とを重ね合わせた重畳波形を用いて前記累積荷重値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の推定方法。
  5. 前記低周波成分波形及び前記高周波成分波形は、それぞれ2乃至5Hz及び30乃至50Hzの範囲であることを特徴とする請求項4記載のバラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法。


JP2018033539A 2018-02-27 2018-02-27 バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法 Pending JP2019148116A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033539A JP2019148116A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018033539A JP2019148116A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019148116A true JP2019148116A (ja) 2019-09-05

Family

ID=67850317

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018033539A Pending JP2019148116A (ja) 2018-02-27 2018-02-27 バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019148116A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040109730A1 (en) * 2000-08-19 2004-06-10 Moss Robert Malcolm Method of stabilizing particulates
JP2006306372A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤの嵌合過程予測方法、タイヤの嵌合過程予測用コンピュータプログラム、解析モデル、及び回転体の解析方法、並びに回転体の解析用コンピュータプログラム
JP2010165025A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Kagawa Univ じゃかごの解析モデル、じゃかごの挙動解析方法、線材の解析モデルおよび線材の変形解析方法
JP2011170832A (ja) * 2010-01-22 2011-09-01 Canon Inc 粒子挙動解析方法、粒子挙動解析装置、及び解析プログラム
JP2011248826A (ja) * 2010-05-31 2011-12-08 Tokyo Electric Power Co Inc:The 粒子欠損を考慮した個別要素法
JP2013170409A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Railway Technical Research Institute 砕石体集合ブロック、及び砕石体集合ブロック群
WO2014002977A1 (ja) * 2012-06-25 2014-01-03 国立大学法人名古屋大学 空気と水と土骨格の連成計算装置および連成計算方法並びに連成計算プログラム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040109730A1 (en) * 2000-08-19 2004-06-10 Moss Robert Malcolm Method of stabilizing particulates
JP2006306372A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤの嵌合過程予測方法、タイヤの嵌合過程予測用コンピュータプログラム、解析モデル、及び回転体の解析方法、並びに回転体の解析用コンピュータプログラム
JP2010165025A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Kagawa Univ じゃかごの解析モデル、じゃかごの挙動解析方法、線材の解析モデルおよび線材の変形解析方法
JP2011170832A (ja) * 2010-01-22 2011-09-01 Canon Inc 粒子挙動解析方法、粒子挙動解析装置、及び解析プログラム
JP2011248826A (ja) * 2010-05-31 2011-12-08 Tokyo Electric Power Co Inc:The 粒子欠損を考慮した個別要素法
JP2013170409A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Railway Technical Research Institute 砕石体集合ブロック、及び砕石体集合ブロック群
WO2014002977A1 (ja) * 2012-06-25 2014-01-03 国立大学法人名古屋大学 空気と水と土骨格の連成計算装置および連成計算方法並びに連成計算プログラム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
河野昭子、名村明、相川明、浦川文寛: "離散体モデルを用いたバラスト軌道の挙動シミュレーション", RRR, vol. 第65巻、第10号, JPN6020048494, October 2008 (2008-10-01), JP, pages 14 - 17, ISSN: 0004409402 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kouroussis et al. Railway-induced ground vibrations–a review of vehicle effects
Zhang et al. A train-bridge dynamic interaction analysis method and its experimental validation
Wu et al. The effects of track non-linearity on wheel/rail impact
Picoux et al. Diagnosis and prediction of vibration from railway trains
Lu et al. Finite element analysis framework for dynamic vehicle-bridge interaction system based on ABAQUS
Huang et al. Discrete element modeling of ballast settlement under trains moving at “Critical Speeds”
JP7195221B2 (ja) バラスト軌道におけるレール座屈の発生箇所の予測方法、そのプログラム及び予測システム
Tanabe et al. A simple and efficient numerical method for dynamic interaction analysis of a high-speed train and railway structure during an earthquake
Xu et al. Three-dimensional vehicle-ballasted track-subgrade interaction: Model construction and numerical analysis
Ju et al. Experimentally investigating finite element accuracy for ground vibrations induced by high-speed trains
Cheng et al. Using the 2.5 D FE and transfer matrix methods to study ground vibration generated by two identical trains passing each other
Ju 3D analysis of high-speed trains moving on bridges with foundation settlements
Guo et al. Moving safety evaluation of high-speed train on post-earthquake bridge utilizing real-time hybrid simulation
CN116484510B (zh) 动力学行为分析方法、装置、计算机设备和存储介质
Gomez et al. Structured uncertainty for a pedestrian-structure interaction model
Yang et al. Numerical studies of vibration of four-span continuous plate with rails excited by moving car with experimental validation
JP2019148116A (ja) バラスト軌道におけるバラスト沈下量の推定方法
Beskou et al. Review on dynamic response of road pavements to moving vehicle loads; part 1: Rigid pavements
Prakoso The basic concepts of modelling railway track systems using conventional and finite element methods
Aikawa Vertical natural vibration modes of ballasted railway track
CN117150804A (zh) 一种桥梁大机捣固作业仿真模拟方法、装置、设备及介质
Bian et al. Mesoscale mechanism of asphalt track bed in reducing cyclic settlement of ballast layer under high-speed train traffic loads
Correia et al. Dynamic analysis of rail track for high speed trains. 2D approach
JP2016193665A (ja) 車両・軌道相互作用解析モデルの作成方法
Dama et al. Discrete element modeling of railway ballast for studying railroad tamping operation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201218

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210615