JP2019146514A - 連続培養方法および連続培養装置 - Google Patents

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彩 大里
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Abstract

【課題】分離膜を使用した連続培養法であって分離膜の目詰まりを低減することができる連続培養法の提供。【解決手段】微生物又は細胞を培養槽内に収容された培養液中で培養する培養工程と、前記培養液を膜分離装置へ供給して、前記微生物又は細胞が生産した培養液中の生成物を膜分離装置によって分離する膜分離工程とを含む連続培養方法であって、前記膜分離工程は、培養液と該培養液の浸透圧よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させ、前記培養液中の前記生成物を、前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程である連続培養方法。【選択図】図1

Description

本発明は、微生物または細胞を連続培養する方法及び連続培養装置に関する。
近年、抗体医薬やワクチンなどのように細胞からの分泌物を薬剤として利用するバイオ医薬の開発が進展している。
微生物または細胞を培養液中で培養して微生物または細胞が生産する生成物を分離膜を用いて回収することは公知である。
特許文献1には、生物学的流体および生産物のための濾過システムに関する技術が開示されている。特許文献1に記載の濾過システムを図7に基づいて説明する。
濾過システムは、バイオリアクター等の流体貯蔵容器2、中空繊維濾過膜等のフィルター18を収容するフィルター収容室4、流体貯蔵容器2からフィルター収容室4に流体を供給する、容器ポート6と、継手8とからなる流体コネクタ、及びダイヤフラムポンプ24を備えている。ダイヤフラムポンプ24は交互低せん断接線流を生成するため、細胞に損傷を与えることがない。
米国特許第6544424号明細書
従来の膜分離法を用いる連続培養装置においては、ポンプの圧力や吸引圧によって分離膜を介して生成物を含む濾液を回収し、分離膜を透過しなかった培養液を培養槽へ還流していた。このため、分離膜の目詰まりの原因であるファウリング物質が分離膜に押し込まれ、ファウリング層が緻密化することで、目詰まりが生じやすくなっていた。
そのため、目詰まりを阻止する方法として、ポンプ運転圧力の調整などが行われている。また、緻密化したファウリング物質を洗浄するためには、化学薬品を用いた洗浄が必要となり、洗浄薬品によるコンタミを嫌う培養においては好ましくない。
本発明は、微生物または細胞を培養液中で培養して微生物または細胞が生産する生成物を分離膜によって分離し回収する連続培養方法において分離膜における目詰まりを低減することを目的とする。
(1)微生物又は細胞を培養槽内に収容された培養液中で培養する培養工程と、前記培養液を膜分離装置へ供給して、前記微生物又は細胞が生産した培養液中の生成物を膜分離装置によって分離する膜分離工程とを含む連続培養方法であって、
前記膜分離工程は、培養液と該培養液の浸透圧よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させ、前記培養液中の前記生成物を、前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程である連続培養方法。
(2)前記正浸透工程において分離膜を透過しなかった濃縮された培養液を前記培養工程に還流させる還流工程を含む、上記(1)に記載の連続培養方法。
(3)前記還流工程は、前記膜分離装置の濃縮培養液出口付近の還流管内にガスを吹込むことにより前記還流管内の濃縮培養液内に気泡を発生させて気液混合物の上昇流を形成させて培養液を搬送し、次いで前記気液混合物からガスを分離し、ガスを分離された濃縮培養液を前記培養槽に還流する工程である、上記(2)に記載の連続培養方法。
(4)前記正浸透工程で得られた希釈ドロー溶液をドロー溶液回収用の膜分離装置に供給して希釈ドロー溶液中に含まれる生成物を分離膜透過液として回収すると共に、分離膜を透過しなかった回収ドロー溶液を前記正浸透工程において使用するドロー溶液として回収する工程を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の連続培養方法。
(5)前記培養工程に還流される前記濃縮された培養液の浸透圧を調整するための浸透圧調整工程を設けた上記(2)〜(4)のいずれかに記載の連続培養方法。
(6)分離膜を洗浄する洗浄工程を含む上記(1)〜(5)のいずれかに記載の連続培養方法。
(7)微生物又は細胞を培養するための培養槽と、
前記培養槽から培養液が供給される分離膜が配置された膜分離装置と、
前記培養槽から前記培養液を抜き出して前記膜分離装置へ供給する手段と、
前記膜分離装置において膜を透過しなかった前記培養液の一部を培養槽へ還流する手段と、
を具備した連続培養装置であって、
前記膜分離装置は、培養液と該培養液よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させて前記微生物又は前記細胞が生産した前記培養液中に含まれる生成物を前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させて、前記生成物を含む希釈ドロー溶液と、分離膜を透過しなかった濃縮培養液とを得る正浸透膜分離装置である連続培養装置。
(8)微生物又は細胞を培養するための培養槽と、
前記培養槽から培養液が供給される分離膜が配置された膜分離装置と、
前記培養槽から前記培養液を抜き出して前記膜分離装置へ供給する手段と、
前記膜分離装置において分離膜を透過しなかった前記培養液の一部を培養槽へ還流する手段と、
を具備した連続培養装置であって、
前記膜分離装置は、培養液と該培養液よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させて前記微生物又は前記細胞が生産した前記培養液中に含まれる生成物を前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させて、前記生成物を含む希釈ドロー溶液と、分離膜を透過しなかった濃縮培養液とを得る正浸透膜分離装置であり、
前記正浸透膜分離装置において分離膜を透過しなかった濃縮培養液を培養槽へ還流する手段が、前記正浸透膜分離装置の濃縮培養液出口付近の上方に延びる還流管内にガスを吹込む手段とガスを吹き込まれて還流管内を上昇した気液混合物からガスを分離するガス分離手段とを含む、連続培養装置。
(9)前記正浸透膜分離装置の後段に前記正浸透膜分離装置で得られた希釈ドロー溶液からドロー溶液を回収するドロー溶液回収用の膜分離装置が設けられており、
前記ドロー溶液回収用の膜分離装置は、前記希釈ドロー溶液中に含まれる生成物を分離膜透過液として回収すると共に、分離膜を透過しなかった回収ドロー溶液を前記正浸透工程において使用するドロー溶液として回収する膜分離装置である上記(7)又は(8)に記載の連続培養装置。
(10)前記濃縮された培養液を前記培養槽に還流する経路に前記濃縮された培養液の浸透圧を調整する浸透圧調整溶液を濃縮された培養液に混合する手段を設けた上記(7)〜(9)のいずれかに記載の連続培養装置。
(11)洗浄水を前記分離膜のドロー溶液側に供給するための洗浄液供給管を設けた、上記(7)〜(10)のいずれかに記載の連続培養装置。
本発明の連続培養法を用いることにより、分離膜における目詰まりを低減することができる。
本発明の連続培養方法の実施形態の一例を示す図である。 本発明の連続培養方法の実施形態の他の例を示す図である。 本発明の連続培養方法の実施形態の他の例を示す図である。 本発明の連続培養方法における洗浄工程を説明する図である。 正浸透工程を説明する図である。 実施例1及び比較例1における洗浄前と洗浄後の透過速度(Flux)の相対値の変化を示す図である。 従来の膜分離型の濾過システムを示す図である。
本発明においては、培養液から細胞と生成物とを分離する手段として、浸透圧差を利用した膜分離法である正浸透法を用いる。
まず、正浸透(FO:Forward Osmosis)法を利用した膜分離法の原理を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、水W、細胞C、溶質S及び生成物Pを含有する培養液と、水W及びドロー溶質Dを含有し、培養液よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させる。
培養液とドロー溶液との浸透圧に差があることにより、この浸透圧差を駆動力として培養液中の水が分離膜を透過してドロー溶液側に移動する。
この時、分離膜の細孔よりもサイズが小さい生成物Pは分離膜を透過してドロー溶液側に移動し、分離膜の細孔よりもサイズが大きい培養液中の細胞Cは分離膜を透過しない。
上記の原理により、培養液中の生成物Pをドロー溶液中に回収することができる。
正浸透法では、浸透圧差でフィード溶液からドロー溶液に透過液が抜き出される。このため、ファウリング物質が高い圧力で分離膜に押し込まれることがないのでファウリング層が緻密化せず、分離膜の目詰まりが生じにくい。また、ファウリングが生じてもその層は緻密化していないため、水の洗浄による膜性能の回復が可能である。水での洗浄であれば、運転停止時はもちろんのこと、運転中でも洗浄を行うことが可能となる。
次に図1に基づいて本発明の連続培養方法の実施形態の一例を説明する。
なお、図1ではpHセンサ・制御装置,温度計,レベル計を省略している。
また、以下では細胞によって培養を行う場合を例に挙げて本発明を説明する。
[第1の実施形態]
(培養工程)
培養槽1には、ポンプ11、培地供給管18が接続されており、培養槽1にポンプ11によって培地が培地供給管18を通って連続的または半連続的に供給される。
培養槽1は攪拌機2を備えており、必要に応じて、攪拌機2によって培養槽1内の培養液を攪拌することができるようになっている。さらに、培養槽1にはガス供給管21を設けて、必要に応じて、ガス供給管21から雰囲気を維持するために必要とする気体を供給してもよい。
微生物もしくは培養細胞の培養は、通常、pH4〜8、温度20〜40℃の範囲で行われる。発酵培養液のpHは、無機の酸あるいは有機の酸、アルカリ性物質、さらには尿素、炭酸カルシウムおよびアンモニアガスなどによって、通常、pH4〜8範囲内のあらかじめ定められた値に調節する。
培養槽1内の培養液20はポンプ12によって抜き出され、抜き出された培養液は培養液抜出管3を通って膜分離モジュール4に供給される。
培養槽1で使用される微生物や細胞としては、例えば、酵母、バクテリア、糸状菌、放射菌、動物細胞および昆虫細胞などが挙げられる。
本発明の方法で用いる培養液中の成分としては、細胞培養培地として通常に使用されているものを適宜使用することができる。具体的な成分としては、アミノ酸、ビタミン類、脂質因子、エネルギー源、浸透圧調節剤、鉄源、pH緩衝剤を挙げることができ、上記成分のほか、例えば、微量金属元素、界面活性剤、増殖補助因子、ヌクレオシドなどを添加しても良い。
(正浸透工程)
膜分離モジュール4の内部には分離膜が設けられており、分離膜によって仕切られた一方の室には前記培養槽から抜き出された培養液を流し、他方の室にはドロー溶液供給管5からドロー溶液を流す。膜分離モジュール4では、正浸透により分離膜を介して、培養液中の生成物と水とがドロー溶液側へ移行し、ドロー溶液は生成物を含んだ希釈ドロー溶液となる。この希釈ドロー溶液はドロー溶液及び生成物の他に透過培養液及び老廃物を含んでいる。膜で濾過されなかった未濾過培養液は濃縮培養液として還流管6を通って培養槽1へ還流される。
希釈ドロー溶液は次の精製工程に送られて精製装置30によって透過培養液及び老廃物を含むドロー溶液と、目的物質である生成物とに分離され、生成物が回収される。
ドロー溶液としては、培養液よりも浸透圧が高ければ特に限定されるものではなく、たとえばグルコースやフラクトース、デキストリンなどの糖類を含む水溶液、酢酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類およびグリセリンや高分子ポリマーを含む溶液などが挙げられる。また、アンモニアや無機塩類、油類などを含む溶液でも良い。またドロー溶液は1種類から成ってもよいし、複数を組合せても良い。ドロー溶液の溶質は、分離膜の細孔径よりも分子径が大きいほうがフィード側への拡散が少なくて良い。
膜分離モジュール4内の分離膜としては、被処理液の性状や用途に応じた分離性能と透過性能を有する膜であることが好ましく、正浸透膜や逆浸透膜、また、セラミックスなどの無機材料や樹脂などの有機材料を素材とした市販の多孔性膜を用いてもよい。分離膜の分離層の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリエチレンイミン系、ポリスルホン系、またはポリベンゾイミダゾール系などの材質を挙げることができる。
分離膜の構成は、分離層に用いられる材質を1種類(1層)のみから構成してもよく、分離層と該分離層を物理的に支持する実質的に分離に寄与しない支持層とを有する2層以上から構成してもよい。支持層の材質としてはポリスルホン系、ポリケトン系、ポリエチレン系、ポリエチレンテレフタラート系、一般的な不織布などの材質を挙げることができる。
分離膜は、培養液の中の細胞を効果的に分離するため、平均細孔径が0.001μm以上l0μm未満の細孔を有する膜であることが好ましい。また平均細孔径は回収目的物質を通すために、回収目的物質の分子径よりも大きいことが好ましい。
分離膜の形態については限定されるものではなく、平膜、管状膜、または中空糸膜など種々の形態の膜を用いることができる。膜分離モジュールは、例えば円筒形または箱形の容器であって、内部に分離膜が設置されることによって、内部が分離膜によって2つの室に仕切られる。膜分離モジュールの形態は、例えばスパイラルモジュール型、積層モジュール型、中空糸モジュール型などの種々の形態を挙げることができる。膜分離モジュールとしては、公知の膜分離装置を用いることができ、市販品を用いることもできる。
(精製工程)
膜分離モジュール4から希釈ドロー溶液供給管7によって抜き出された希釈ドロー溶液は精製工程に送られて精製装置30に送られ、精製装置30によって透過培養液及び老廃物を含むドロー溶液と、目的物質である生成物とに分離され、生成物が分離され回収される。
希釈ドロー溶液から生成物を回収する精製方法としては、生成物を回収できる方法であればよく、たとえば膜分離法やクロマトグラフィー法、電気泳動法などが挙げられる。
次に図2に基づいて本発明の連続培養方法の実施形態の他の例を説明する。
[第2の実施形態]
本実施形態では、図2に示すように、膜分離工程(正浸透工程)と精製工程との間にドロー溶液回収工程を設ける。
(培養工程)
培養工程において、培養槽1には、ポンプ11及び培地供給管18によって培地が連続的または半連続的に供給される。
培養槽1内の培養液20はポンプ12によって抜き出され、抜き出された培養液は培養液抜出管3を通って膜分離モジュール4に供給される。
(正浸透工程)
膜分離モジュール4の分離膜によって仕切られた一方の室に前記培養槽から抜き出された培養液を流し、他方の室にはドロー溶液供給管5からドロー溶液を流す。膜分離モジュール4では、正浸透により分離膜を介して、培養液中の生成物と水とがドロー溶液側へ移行し、ドロー溶液は生成物を含んだ希釈ドロー溶液となり、希釈ドロー溶液抜出管7を通って次工程の精製工程に供給される。この希釈ドロー溶液はドロー溶液、生成物の他に透過培養液及び老廃物を含んでいる。分離膜を透過しなかった培養液は濃縮培養液としてポンプ13により還流管6を通って培養槽1へ還流される。
希釈ドロー溶液は次のドロー溶液回収工程に送られる。
(ドロー溶液回収工程)
ドロー溶液回収工程では膜分離モジュール8によってドロー溶液が回収される。
膜分離モジュール8の内部には分離膜が設けられており、分離膜によって仕切られた一方の室に希釈ドロー溶液を流し、膜分離によって分離膜透過液側に生成物、透過培養液及び老廃物を回収する。また、分離膜を透過しなかった回収ドロー溶液は還流管9を通って膜分離モジュール4に還流されドロー溶液として再利用される。
また、ドロー溶液回収工程で得られた膜透過液はポンプ16により膜分離モジュール8から抜き出されて膜透過液抜出管10を通って次工程の精製工程に送られる。
(精製工程)
精製工程では、精製装置30において、ドロー溶液回収工程で分離膜を透過した膜透過液を膜分離、クロマトグラフィー又は電気泳動などによって処理し、透過培養液及び老廃物を含む膜透過液から生成物が分離され回収される。
次に図3に基づいて本発明の連続培養方法の実施形態の他の例を説明する。
[第3の実施形態]
第1の実施形態及び第2の実施形態では正浸透工程において、膜分離モジュールへの培養液の供給及び膜分離モジュールからの希釈ドロー溶液の抜き出しをポンプを用いて行うものである。
しかしながら、ポンプを用いると培養液がポンプを通過する際に微生物や細胞がせん断力を受けてダメージを受ける。
本実施形態は、ポンプの圧力を利用することなく、培養液を移送し、膜分離を行なうことが可能な連続培養方法である。
正浸透により分離膜を介して、培養液中の生成物と水とがドロー溶液側へ移行し、ドロー溶液は生成物を含んだ希釈ドロー溶液となる。一方、分離膜を透過しなかった培養液は濃縮培養液として還流管6を通って培養槽1へ還流される。
この時、図3に示すように、膜分離モジュール4の出口の還流管6にガス供給管22によってガスを導入して還流管内の濃縮培養液中に気泡を発生させる。気泡の上昇と共に濃縮培養液が気泡によって誘引されて気液混合物となって還流管6の気液上昇部6a内を上昇する。気液上昇部6aを上昇した気液混合物は還流管6の途中に設けた通気孔によってガスを分離され、ガスを分離された培養液は培養槽1に還流する。これにより培養液のポンプレス循環が可能となる。
濃縮培養液の循環のために用いられる気体の例としては酸素、窒素、二酸化炭素などが挙げられる。
ガスの逃げ道である通気孔には、外部からの不純物の進入を防ぐために、選択性のある気体透過膜を設置しても良い。
培養液抜き出しの駆動力は、培養液の液位と培養槽の培養液抜出管(図1中の3)との液位差を利用する
前記第1乃至第3の実施形態において、正浸透工程を実施すると膜表面にファウリング物質が蓄積してくるので、必要に応じてこのファウリング物質を除去するための洗浄工程を実施する必要がある。
以下では、洗浄工程について述べる。
(洗浄工程)
図4に基づいて洗浄工程について説明する。
図4に示した装置では、ドロー溶液供給管5に洗浄水供給管23が接続されており、また、培養液の還流管6に、培養液の浸透圧を調整するために培養液に浸透圧調整液を混合するための浸透圧調整液供給管40が接続されている。
正浸透法による膜分離ではファウリング物質が分離膜の孔に強固に固着していないため、洗浄剤を用いることなく水による洗浄で容易に分離膜の性能を回復することができる。
運転中に洗浄を行う場合には、培養槽1からの培養液の抜き出しを一旦停止し、ポンプ15で洗浄水供給管23から洗浄水を膜分離モジュール4のドロー溶液側へ流し込み、洗浄水を膜に流し込む。
これによりファウリング物質が膜から除かれて洗浄水中に移動する。次いでファウリング物質を含む洗浄水は膜分離モジュール4から抜き出される。膜分離モジュール4から抜き出されたファウリング物質を含んだ洗浄水は培養液の還流管6内で、浸透圧調整液供給管40から供給される浸透圧調整液と混合して所定の浸透圧に調整された後、還流管6を通って培養槽1に戻る。浸透圧調整液の添加量は、膜分離モジュール4から排出される培養液の浸透圧を測定する計器41によって測定され、計器41は浸透圧を調整するための制御信号を、浸透圧調整液を還流管6に供給するポンプ16に送ってポンプの流量を制御する。本計器41の例としては浸透圧測定器、濃度測定器などが挙げられる。浸透圧調整液は、洗浄のときのみではなく、膜分離後の培養液の浸透圧調整に用いても良い。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
連続培養装置としては図1に示す構成の装置を用いた。
正浸透膜分離装置の分離膜として中空糸フィルター(修飾ポリエーテルスルホン:スペクトラム社製)を用い、ドロー溶液としてポリエチレンオキシド(和光純薬工業株式会社製、モル質量:300,000g/mol、濃度:30質量%、浸透圧:384mOsm/kg)を用いた。培地にはウシ血清アルブミンを含む無血清培地を利用した。
HBs抗体を産生するハイブリドーマTO405細胞を用いて、培養槽において定法により50時間培養した後に正浸透膜分離を開始した。
膜分離開始後、20時間毎に培養槽内の成分濃度を分析したところ、培養時間が120時間において濃度が安定した。
培養120時間経過における培養液の主な組成は下記の通りであった。
・全細胞数:2×10cells/mL
・グルコース:5mmol/L
・グルタミン:5mmol/L
・アンモニア:0.5mmol/L
・無機塩:10g/L
・ウシ血清アルブミン:1g/L
濃度が安定となった培養時間が120時間において培養液を膜分離処理した時の透過速度を洗浄前の透過速度とした。また、120時間経過の膜分離処理をした後、培養液の供給を一時中断し、図4に示すように、ドロー溶液供給管から洗浄水を供給して分離膜を洗浄した後に再度培養液を供給し、膜分離処理した時の透過速度を洗浄後の透過速度とした。透過速度とは、透過流速を表し、透過流量を膜面積と時間の積で割ったものである。
図6に洗浄前と洗浄後の透過速度(Flux)の相対値の変化を示す。
[比較例1]
膜分離装置として中空糸フィルター(スペクトラム社製)を用いる吸引ろ過システムを用いたことを除いては実施例1と同様にして連続培養を行った。
吸引濾過システムでは吸引圧力が実施例1の正浸透膜分離装置におけるドローの浸透圧と同程度となるよう7kPaにて運転を行った。
培養時間が120時間経過した時の培養液を膜分離処理した時の透過速度を洗浄前の透過速度とした。また、120時間経過の膜分離処理をした後、培養液の供給を一時中断し、図4に示すように透過側に洗浄水を供給して洗浄水が培養液側に透過するようにして分離膜を洗浄した後に再度培養液を供給し、膜分離処理した時の透過速度を洗浄後の透過速度とした。
図6に、洗浄前と洗浄後の透過速度(Flux)の相対値の変化を示す。
図6に示した結果から、実施例1では洗浄後に透過速度が容易に回復するが、比較例1では透過速度の回復が良好ではない。
これは、正浸透分離法を用いた実施例1では分離膜へのファウリング物質の強固な付着がないが、吸引濾過システムを用いた比較例1ではファウリング物質が分離膜に強固に付着していることを示す。
本実施例は,HBs抗体を産生するハイブリドーマTO405細胞を用いて行ったが、酵母やバクテリア、糸状菌、放射菌、昆虫細胞および他動物細胞などにおいても実施可能である。
1 培養槽
2 攪拌機
3 培養液抜出管
4、8 膜分離モジュール
5 ドロー溶液供給管
6 還流管
7 希釈ドロー溶液抜出管
9 還流管
10 膜透過液抜出管
11、12、13、15、16 ポンプ
18 培地供給管
20 培養液
21、22 ガス供給管
23 洗浄水供給管
30 精製装置
40 浸透圧調整液供給管
41 計器

Claims (11)

  1. 微生物又は細胞を培養槽内に収容された培養液中で培養する培養工程と、前記培養液を膜分離装置へ供給して、前記微生物又は細胞が生産した培養液中の生成物を膜分離装置によって分離する膜分離工程とを含む連続培養方法であって、
    前記膜分離工程は、培養液と該培養液の浸透圧よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させ、前記培養液中の前記生成物を、前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させる正浸透工程である連続培養方法。
  2. 前記正浸透工程において分離膜を透過しなかった濃縮された培養液を前記培養工程に還流させる還流工程を含む、請求項1に記載の連続培養方法。
  3. 前記還流工程は、前記膜分離装置の濃縮培養液出口付近の還流管内にガスを吹込むことにより前記還流管内の濃縮培養液内に気泡を発生させて気液混合物の上昇流を形成させて培養液を搬送し、次いで前記気液混合物からガスを分離し、ガスを分離された濃縮培養液を前記培養槽に還流する工程である、請求項2に記載の連続培養方法。
  4. 前記正浸透工程で得られた希釈ドロー溶液をドロー溶液回収用の膜分離装置に供給して希釈ドロー溶液中に含まれる生成物を分離膜透過液として回収すると共に、分離膜を透過しなかった回収ドロー溶液を前記正浸透工程において使用するドロー溶液として回収する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の連続培養方法。
  5. 前記培養工程に還流される前記濃縮された培養液の浸透圧を調整するための浸透圧調整工程を設けた請求項2〜4のいずれかに記載の連続培養方法。
  6. 分離膜を洗浄する洗浄工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の連続培養方法。
  7. 微生物又は細胞を培養するための培養槽と、
    前記培養槽から培養液が供給される分離膜が配置された膜分離装置と、
    前記培養槽から前記培養液を抜き出して前記膜分離装置へ供給する手段と、
    前記膜分離装置において膜を透過しなかった前記培養液の一部を培養槽へ還流する手段と、
    を具備した連続培養装置であって、
    前記膜分離装置は、培養液と該培養液よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させて前記微生物又は前記細胞が生産した前記培養液中に含まれる生成物を前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させて、前記生成物を含む希釈ドロー溶液と、分離膜を透過しなかった濃縮培養液とを得る正浸透膜分離装置である連続培養装置。
  8. 微生物又は細胞を培養するための培養槽と、
    前記培養槽から培養液が供給される分離膜が配置された膜分離装置と、
    前記培養槽から前記培養液を抜き出して前記膜分離装置へ供給する手段と、
    前記膜分離装置において分離膜を透過しなかった前記培養液の一部を培養槽へ還流する手段と、
    を具備した連続培養装置であって、
    前記膜分離装置は、培養液と該培養液よりも高い浸透圧を有するドロー溶液とを分離膜を介して接触させて前記微生物又は前記細胞が生産した前記培養液中に含まれる生成物を前記分離膜を透過させて前記ドロー溶液中に移動させて、前記生成物を含む希釈ドロー溶液と、分離膜を透過しなかった濃縮培養液とを得る正浸透膜分離装置であり、
    前記正浸透膜分離装置において分離膜を透過しなかった濃縮培養液を培養槽へ還流する手段が、前記正浸透膜分離装置の濃縮培養液出口付近の上方に延びる還流管内にガスを吹込む手段とガスを吹き込まれて還流管内を上昇した気液混合物からガスを分離するガス分離手段とを含む、連続培養装置。
  9. 前記正浸透膜分離装置の後段に前記正浸透膜分離装置で得られた希釈ドロー溶液からドロー溶液を回収するドロー溶液回収用の膜分離装置が設けられており、
    前記ドロー溶液回収用の膜分離装置は、前記希釈ドロー溶液中に含まれる生成物を分離膜透過液として回収すると共に、分離膜を透過しなかった回収ドロー溶液を前記正浸透工程において使用するドロー溶液として回収する膜分離装置である請求項7又は8に記載の連続培養装置。
  10. 前記濃縮された培養液を前記培養槽に還流する経路に前記濃縮された培養液の浸透圧を調整する浸透圧調整溶液を濃縮された培養液に混合する手段を設けた請求項7〜9のいずれかに記載の連続培養装置。
  11. 洗浄水を前記分離膜のドロー溶液側に供給するための洗浄液供給管を設けた、請求項7〜10のいずれかに記載の連続培養装置。
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CN111304067A (zh) * 2020-03-10 2020-06-19 北京好思康科技有限公司 一种间歇式清洗过滤系统
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