JP2019145592A - 成形装置及び物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性の点で有利な成形装置を提供する。【解決手段】型を用いて基板上の組成物を成形する成形装置であって、前記基板を保持するステージの移動面を規定するステージ定盤と、前記ステージ及び前記ステージ定盤を収容するチャンバと、前記チャンバの内部のパーティクルを除去するための気流を形成するように、前記チャンバの内部に第1気体を供給する動作を行う第1供給部と、前記第1供給部の動作が停止している状態において、前記パーティクルが前記ステージ定盤に付着することを妨げるための気流を前記ステージ定盤上に形成するように、前記チャンバの内部に前記第1気体とは異なる第2気体を供給する動作を行う第2供給部と、を有することを特徴とする成形装置を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、成形装置及び物品の製造方法に関する。
半導体デバイスなどを製造するために基板上に微細なパターンを形成(転写)する装置として、インプリント装置(成形装置)が知られている。インプリント装置は、基板上のインプリント材と、パターンが形成された部分(パターン部)を含む型(モールド)とを接触させた状態で、インプリント材に硬化用エネルギーを与えることで基板上にインプリント材のパターンを形成する。
インプリント装置では、型と基板との間にパーティクル(異物)が挟み込まれると、型が破損したり、基板上に形成されるパターンに欠陥が生じたりする。従って、インプリント装置内のパーティクルの量(数)を管理し、パーティクルの量が規定内となる環境下でインプリント装置を稼働させる必要がある。
インプリント装置において、装置電源が投入されると、インプリント装置の各部に電力が供給され、インプリント装置はアイドリング状態となる。次いで、インプリント装置内のパーティクルの量を規定内にするための準備運転が開始され、インプリント装置は準備運転状態となる。インプリント装置内のパーティクルの量が規定内になると装置稼働を開始し、インプリント装置は半導体デバイスなどの物品の製造が可能な稼働状態となる。そして、定期メンテナンスなどでインプリント装置内にアクセスする場合には、装置電源を遮断してインプリント装置の各部の動作を停止させ、インプリント装置を停止状態にする。定期メンテナンスなどが完了すると、装置電源が再び投入されと、インプリント装置は、上述したように、アイドリング状態及び準備運転状態を経て稼働状態となる。
インプリント装置が停止状態になると、インプリント装置内の気流が止まるため、インプリント装置の内部を陽圧に維持することができなくなり、インプリント装置の外部から内部へのパーティクルの流入やパーティクルの落下が始まる。また、インプリント装置の外周パネル(チャンバパネル)を取り外す場合には、インプリント装置の周囲に浮遊するパーティクルがインプリント装置内に流入してしまう。このため、インプリント装置内に流入したパーティクルやインプリント装置内で落下して付着したパーティクルに起因して、装置電源の投入時には、インプリント装置内のパーティクルの量が規定以上になってしまうため、準備運転が必要となる。但し、準備運転は、インプリント装置内に気流を発生させながら基板ステージを往復移動させるなどしてパーティクルの量を規定内にするためだけの生産に寄与しない運転であるため、生産性の向上の阻害となる。
インプリント装置内に気体を供給する技術に関しては従来から幾つか提案されている(特許文献1及び2参照)。特許文献1には、型と基板との間の空間に供給する気体の量(流量)を制御することで、基板上のインプリント材の揮発を抑制する技術が開示されている。具体的には、特許文献1に開示された技術では、型と基板との間の空間に対して、待機期間には一定量の気体を供給し、インプリント処理を行っている期間には供給する気体の量を低減したり、気体の供給を停止したりしている。また、特許文献2には、型と基板との間に供給する気体の種類を切り換えることで、インプリント処理に必要な高価な気体の使用量を低減する技術が開示されている。具体的には、特許文献2に開示された技術では、型と基板との空間に対して、インプリント処理を行っている期間にはヘリウムを供給し、待機期間には窒素などの不活性気体を供給している。
しかしながら、特許文献1や特許文献2は、インプリント装置を稼働状態にするための準備運転の時間を短縮する技術や準備運転を不要とする技術については開示していない。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、生産性の点で有利な成形装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての成形装置は、型を用いて基板上の組成物を成形する成形装置であって、前記基板を保持するステージの移動面を規定するステージ定盤と、前記ステージ及び前記ステージ定盤を収容するチャンバと、前記チャンバの内部のパーティクルを除去するための気流を形成するように、前記チャンバの内部に第1気体を供給する動作を行う第1供給部と、前記第1供給部の動作が停止している状態において、前記パーティクルが前記ステージ定盤に付着することを妨げるための気流を前記ステージ定盤上に形成するように、前記チャンバの内部に前記第1気体とは異なる第2気体を供給する動作を行う第2供給部と、を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、生産性の点で有利な成形装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としてのインプリント装置100の構成を示す概略図である。インプリント装置100は、半導体デバイスや液晶表示素子の製造工程であるリソグラフィ工程に採用され、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。インプリント装置100は、型(モールド、テンプレート)を用いて基板上の組成物を成形する成形装置として機能する。本実施形態では、インプリント装置100は、基板上に供給されたインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する。
インプリント材には、硬化用のエネルギーが与えられることによって硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱などが用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光を用いる。
硬化性組成物は、光の照射によって、或いは、加熱によって硬化する組成物である。光の照射によって硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて、非重合性化合物又は溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターによって基板上に膜状に付与されてもよい。また、インプリント材は、液体噴射ヘッドによって、液滴状、或いは、複数の液滴が繋がって形成された島状又は膜状で基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
基板には、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂などが用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。具体的には、基板は、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどを含む。
インプリント装置100は、インプリント材の硬化法として光硬化法を採用している。インプリント装置100は、図1に示すように、ベース定盤3と、ベース定盤3に支持されるステージ定盤4と、基板チャック5を介して基板1を保持する基板ステージ6とを有する。ステージ定盤4は、基板ステージ6の移動面を規定し、基板ステージ6は、基板チャック5とともにステージ定盤4によって規定された移動面上を移動する。また、インプリント装置100は、ベース定盤3に配置された支柱7と、支柱7に支持されて型保持部9を保持するブリッジ定盤とを有する。更に、インプリント装置100は、照射部10と、観察系13と、供給部14と、制御部28と、空調システム50と、チャンバ60と、気体供給部70とを有する。なお、本実施形態では、鉛直方向にZ軸を定義し、Z軸に垂直な平面内で互いに直交する方向にX軸及びY軸を定義する。
型保持部9は、チャック(不図示)を介して型2を保持する。型保持部9は、型2を少なくともZ軸方向に位置決めする型駆動部(不図示)を含む。型駆動部は、型2をZ軸方向以外の方向(例えば、X軸方向、Y軸方向、及び、X軸周り、Y軸周り及びZ軸周りを含む回転方向など)に位置決めする機能を有していてもよい。
基板チャック5は、基板1と基板チャック5との間の空間を減圧することで基板1を保持する。基板ステージ6は、基板チャック5を支持する天板(不図示)と、天板を駆動するステージ駆動部(不図示)とを含む。ステージ駆動部は、例えば、リニアモータやエアシリンダを含み、基板1を少なくともX軸方向及びY軸方向に位置決めする。ステージ駆動部は、基板1を2軸以上の方向(例えば、6軸方向)に位置決めする機能を有していてもよい。基板ステージ6の位置は、例えば、レーザ干渉計によって計測される。
照射部10は、例えば、ブリッジ定盤8の上に配置されている。照射部10は、基板上のインプリント材1aを硬化するための紫外線11を射出する。照射部10から射出された紫外線11は、ミラー12で反射し、型2を介して基板上に到達する。
型2は、基板側(−Z方向)の面に形成されたパターン部2aを含む。パター部2aには、例えば、十数ナノメートルの線幅のパターン(凹凸構造)が形成されている。型2は、基板側の面とは反対側の面(+Z方向)の外周部を型保持部9に保持されている。型2は、紫外線11を透過する材料、例えば、石英で構成されている。
観察系13は、型2の鉛直上方に配置され、型2のパターン部2aに形成されたアライメントマークと、基板1に形成されたアライメントマークとを検出する。供給部14は、基板が供給部14の下方に位置決めされた際に、未硬化のインプリント材1aを所定の位置に供給する。チャンバ60は、基板ステージ6やステージ定盤4を含むインプリント装置100の各部を収容する。また、チャンバ60には、定期メンテナンスや故障(修理)などの際に、チャンバ60に収容されているインプリント装置100の各部にアクセスするために開閉可能な外周パネル(チャンバパネル)が設けられている。
空調システム50は、チャンバ60の内部、即ち、ブース101に気体(第1気体)を供給する(流す)ことでインプリント装置100の発熱部の温度を調整し、かかる調整で温度上昇した気体をブース101の外(即ち、チャンバ60の外部)に排気する。また、空調システム50は、ブース101の圧力が外部の圧力よりも高く維持されるように(即ち、陽圧を維持するように)、ブース101に気体を供給する。図1には、空調システム50からブース101に供給されてブース101の外に排気される気体の流れを気流AF1として示している。ここで、ブース101に気流AF1が形成されることで、ブース101に存在するパーティクルはブース101の外に排出される。このように、空調システム50は、ブース101に存在するパーティクルを除去するための気流AF1を形成するように、ブース101に気体を供給する供給システム(第1供給部)であるともいえる。
空調システム50は、本実施形態では、送風ファン20と、冷却部21と、第1エアフィルタ22と、温調部23と、吹出部24と、排気部25と、排気ダクト26と、吸引部27とを含む。送風ファン20は、ブース101に気体を供給し、かかる気体をブース101で循環させるために設けられている。冷却部21は、送風ファン20に供給(導入)される気体を予め定められた温度に冷却する。第1エアフィルタ22は、送風ファン20から供給されて冷却部21で冷却された気体に含まれるパーティクルを除去する(気体をクリーン化する)。温調部23は、第1エアフィルタ22を通過した気体を予め定められた温度に調整(温調)する。吹出部24は、温調部23で温調された気体(温調気体)をブース101に吹き出す。排気部25は、インプリント装置100の発熱部の熱を吸収して温度上昇した気体をブース101の外に排気する。排気ダクト26は、送風ファン20の吸引力によって排気部25から排気された気体を送風ファン20に供給(導入)する。吸引部27は、送風ファン20の吸引力によってブース101の外から気体(外気)を取り入れて送風ファン20に供給(導入)する。
制御部28は、CPUやメモリなどを含み、インプリント装置100の全体を制御する。制御部28は、例えば、基板ステージ6、型保持部9、照射部10、観察系13及び供給部14を統括的に制御してインプリント処理を行う。インプリント処理は、供給処理と、押印処理と、硬化処理と、離型処理とを含む。供給処理は、基板1(ショット領域)にインプリント材1aを供給する処理である。押印処理は、型2と基板上のインプリント材1aとを接触させる処理である。硬化処理は、型2と基板上のインプリント材1aとを接触させた状態でインプリント材1aを硬化させる処理である。離型処理は、基板上の硬化したインプリント材1aから型2を引き離す処理である。
また、制御部28は、空調システム50を介して、上述したように、ブース101で循環する気体を温調する温調処理を制御する。制御部28は、定期メンテナンスなどでインプリント装置100の装置電源(動力源)が遮断されると、空調システム50(送風ファン20や温調部23)を含むインプリント装置100の各部の動作を停止させる。装置電源を遮断した状態におけるインプリント装置100を図2に示す。図2に示すように、送風ファン20(空調システム50)が動作を停止すると、ブース101での気体の循環が停止し、ブース101に気体が供給されなくなるため、気流AF1も形成されなくなる。従って、ブース101を陽圧に維持することができなくなり、ブース101の外からブース101にパーティクルが流入してしまう。更に、チャンバ60の外周パネルを取り外す場合には、ブース101の外に浮遊するパーティクルがブース101に流入してしまう。そして、ブース101に存在するパーティクルは落下して、基板ステージ6の移動面を規定する、ステージ定盤4の上面4aに付着(堆積)することになる。
そこで、本実施形態では、空調システム50の動作が停止している状態であっても、ブース101に存在するパーティクルが落下してステージ定盤4の上面4aに付着することを低減(防止)するために、気体供給部70(第2供給部)を設けている。気体供給部70は、装置電源とは異なる電源で動作し、空調システム50の動作が停止している状態において、ブース101に、空調システム50から供給する気体とは異なる気体(第2気体)を供給する。この際、気体供給部70は、図1及び図2に示すように、ブース101に存在するパーティクルがステージ定盤4に付着することを妨げるための気流AF2をステージ定盤上に形成するように、ブース101に気体を供給する。気体供給部70からブース101に供給される気体は、例えば、クリーンドライエアを含む。
気体供給部70は、給気管30と、圧縮部31と、第2エアフィルタ32と、エアノズル33とを含む。給気管30は、ブース101の外からブース101に気体を供給(導入)するための管である。圧縮部31は、給気管30から供給された気体を一旦貯留して、かかる気体を圧縮する。第2エアフィルタ32は、圧縮部31で圧縮された気体に含まれるパーティクルを除去する(気体をクリーン化する)。エアノズル33は、圧縮部31で圧縮されて第2エアフィルタ32でクリーン化された気体を吹き出す(噴射する)吹出口33aを含む。エアノズル33は、ステージ定盤4の上面4aに垂直な方向(Z軸方向)において、吹出口33aの高さがステージ定盤4の上面4aと一致するように配置されている。また、エアノズル33は、ステージ定盤4の上面4aに対して、広く、且つ、均等に、所定の圧力で気体を吹き出すために、Y軸方向に沿って配列された複数の吹出口33aを含む。エアノズル33(吹出口33a)から吹き出された気体は、ステージ定盤4の上面4aを一様に流れ、気流AF2を形成する。エアノズル33には、少量の気体を供給することで周囲の気体を大量に巻き込み、例えば、供給量を10倍から25倍に増幅させることができる増幅型ノズルを用いてもよい。
気体供給部70からブース101に供給される気体によって、ステージ定盤4の上面4aは、空調システム50の動作が停止している状態であっても、気流AF2で覆われることになる。これにより、ブース101に存在するパーティクルが落下したとしても、ステージ定盤4の上面4aに付着(堆積)することなく、ステージ定盤4の上の空間を浮遊することになる。かかる状態を維持しながら、定期メンテナンスなどが行われる。
定期メンテナンスなどが終了し、装置電源が投入されると、制御部28は、空調システム50(送風ファン20や温調部23)を含むインプリント装置100の各部を動作させる。空調システム50が動作すると、空調システム50から供給された気体が基板ステージ6の周辺に流れ、気流AF1が形成される。これにより、ステージ定盤4の上の空間を浮遊していたパーティクルは、気流AF1によって流れ、排気部25から排気されてエアフィルタで除去される。
気体供給部70を有していない従来のインプリント装置では、装置電源を遮断すると、上述したように、ブース101に存在するパーティクルが落下してステージ定盤4の上面4aに付着してしまう。パーティクルがステージ定盤4に付着すると、ステージ定盤4とパーティクルとの間に分子間力、摩擦力及び静電気力などの力が働くため、基板ステージ6の周辺に気流AF1が再び形成されても、パーティクルはステージ定盤4から容易に離脱することができない。このため、ブース101に気流AF1を発生させながら基板ステージ6を往復移動させるなどしてパーティクルの量を規定内にするための準備運転に長時間を要してしまう。
一方、本実施形態では、空調システム50の動作が停止している状態であっても、気体供給部70からブース101に供給される気体によって、ステージ定盤上に気流AF2を形成している。従って、ブース101に存在するパーティクルがステージ定盤4の上面4aに付着することが抑制され、装置電源を投入してから短時間で、基板ステージ6の周辺からパーティクルを除去することができる。これにより、インプリント装置100は、半導体デバイスなどを生産可能な稼働状態にするための準備運転に要する時間を短縮し、高い生産性を実現することができる。
これまでは、図1に示すように、空調システム50が動作している状態においても(即ち、常に)、気体供給部70は、ブース101に気体を供給する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部28によって、空調システム50が動作している状態では気体供給部70の動作が停止され、空調システム50の動作が停止している状態では気体供給部70が動作するように、気体供給部70を制御してもよい。この場合、制御部28は、図3に示すように、圧縮部31を制御する。制御部28は、装置電源が投入されて空調システム50が動作している状態では、圧縮部31の動作を停止させ、装置電源が遮断されて空調システム50の動作が停止している状態では、圧縮部31を動作させるように、気体供給部70を制御する。
このように、空調システム50の動作が停止している状態でのみ、圧縮部31(気体供給部70)を動作させることで、気体供給部70からブース101に供給される気体の量(供給量)を削減することができる。また、空調システム50の動作が停止している状態であっても、気流AF2で覆われることになるため、パーティクルは、ステージ定盤4の上面4aに付着することなく、ステージ定盤4の上の空間を浮遊することになる。従って、装置電源を投入してから短時間で、基板ステージ6の周辺からパーティクルを除去することができるため、準備運転に要する時間を短縮し、高い生産性を実現することができる。
また、図1乃至図3では、気体供給部70は、ブース101の外の気体を取り込み、かかる気体をブース101に供給している。換言すれば、ブース101の外の気体を取り込む取込部として給気管30を機能させ、給気管30で取り込まれた気体を圧縮部31に供給している。但し、図4に示すように、クリーンドライエアなどの気体を貯留するタンク34を気体供給部70に設けて、タンク34に貯留された気体を圧縮部31に供給してもよい。この場合、制御部28は、タンク34とエアノズル33とを繋ぐ管の途中に配置された電磁弁35を制御する。制御部28は、装置電源が投入されて空調システム50が動作している状態では、電磁弁35を閉じてエアノズル33からブース101への気体の供給(吹き出し)を停止させる。また、制御部28は、装置電源が遮断されて空調システム50の動作が停止している状態では、電磁弁35を開いてエアノズル33からブース101への気体の供給を行わせる。空調システム50の動作が停止している状態でのみ、タンク34に貯留された気体を使用することで、気体供給部70からブース101に供給される気体の量(供給量)を削減することができる。
また、気体供給部70は、図5に示すように、基板ステージ6を挟んでエアノズル33(気体供給部70)と対向するように配置され、エアノズル33から供給された気体を吸引する吸引部36と、排気管38とを含んでいてもよい。吸引部36で吸引された気体は、排気管38を介して、ブース101の外に排気される。この場合、制御部28は、排気管38の途中に設けられた電磁弁37を制御する。制御部28は、装置電源が遮断されて空調システム50の動作が停止している状態では、電磁弁37を開き、装置電源が投入されて空調システム50が動作している状態では、電磁弁37を閉じる。
このように、吸引部36から気体を吸引することで、ステージ定盤4の上の空間を浮遊していたパーティクルの一部又は全部を、基板ステージ6の近傍から除去することができる。これにより、装置電源を投入した直後に基板ステージ6の近傍におけるパーティクルの量を規定以下にすること、或いは、装置電源を投入してから短時間で、基板ステージ6の周辺からパーティクルを除去することができる。従って、準備運転に要する時間を短縮し、高い生産性を実現することができる。
また、気体供給部70は、吸引部36及び排気管38のみで構成することも可能である。この場合、空調システム50の動作が停止している状態において、吸引部36が気体を吸引することで気流を形成し、かかる気流でステージ定盤4の上面4aを覆うようにする。これにより、基板ステージ6の近傍に存在するパーティクルの一部又は全部を除去することができる。このため、装置電源を投入した直後に基板ステージ6の近傍におけるパーティクルの量を規定以下にすること、或いは、装置電源を投入してから短時間で、基板ステージ6の周辺からパーティクルを除去することができる。従って、準備運転に要する時間を短縮し、高い生産性を実現することができる。
また、気体供給部70は、図6に示すように、エアノズル(第1ノズル)33に加えて、エアノズル(第2ノズル)39と、エアノズル(第3ノズル)40とを更に含んでいてもよい。エアノズル39は、圧縮部31で圧縮されて第2エアフィルタ32でクリーン化された気体を吹き出す(噴射する)吹出口39aを含む。エアノズル39は、ステージ定盤4の上面4aに垂直な方向(Z軸方向)において、吹出口39aの高さがベース定盤3の上面3aと一致するように配置されている。エアノズル40は、圧縮部31で圧縮されて第2エアフィルタ32でクリーン化された気体を吹き出す(噴射する)吹出口40aを含む。エアノズル40は、基板ステージ6を挟んでエアノズル39と対向するように配置され、ステージ定盤4の上面4aに垂直な方向(Z軸方向)において、吹出口40aの高さがベース定盤3の上面3aと一致するように配置されている。エアノズル39及び40から吹き出された気体は、ベース定盤3及びステージ定盤4によって形成される窪みに沿うように流れ、気流AF3を形成する。このように、ブース101に浮遊しているパーティクルの吹き溜まりになる可能性がある箇所にも気体を供給して気流を形成することで、吹き溜まりによるパーティクルの堆積を抑制することができる。なお、図6では、ベース定盤3及びステージ定盤4によって形成される窪みに気流AF3を形成する場合を例に説明したが、パーティクルの吹き溜まりになり易い他の箇所にも気流を形成するようにしてもよい。
インプリント装置100を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは、各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型などである。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMなどの揮発性又は不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAなどの半導体素子などが挙げられる。型としては、インプリント用のモールドなどが挙げられる。
硬化物のパターンは、上述の物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入などが行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図7(a)に示すように、絶縁体などの被加工材が表面に形成されたシリコンウエハなどの基板1を用意し、続いて、インクジェット法などにより、被加工材の表面にインプリント材1aを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材1aが基板上に付与された様子を示している。
図7(b)に示すように、インプリント用の型2を、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材1aに向け、対向させる。図7(c)に示すように、インプリント材1aが付与された基板1と型2とを接触させ、圧力を加える。インプリント材1aは、型2と被加工材との隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光(紫外線)を型2を介して照射すると、インプリント材1aは硬化する。
図7(d)に示すように、インプリント材1aを硬化させた後、型2と基板1を引き離すと、基板上にインプリント材1aの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型2の凹部が硬化物の凸部に、型2の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材1aに型2の凹凸パターンが転写されたことになる。
図7(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材の表面のうち、硬化物がない、或いは、薄く残存した部分が除去され、溝となる。図7(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材の表面に溝が形成された物品を得ることができる。ここでは、硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子などに含まれる層間絶縁用の膜、即ち、物品の構成部材として利用してもよい。
なお、本実施形態では、型2として、凹凸パターンを設けた回路パターン転写用の型について説明したが、型2は、凹凸パターンがない平面部を有する型(平面テンプレート)であってもよい。平面テンプレートは、平面部によって基板上の組成物を平坦化するように成形する平坦化処理(成形処理)を行う平坦化装置(成形装置)に用いられる。平坦化処理は、基板上に供給された硬化性組成物に平面テンプレートの平面部を接触させた状態で、光の照射によって、或いは、加熱によって硬化性組成物を硬化させる工程を含む。このように、本実施形態は、平面テンプレートを用いて基板上の組成物を成形する成形装置に適用することができる。
基板上の下地パターンは、前工程で形成されたパターンに起因する凹凸プロファイルを有し、特に、近年のメモリ素子の多層構造化に伴い、基板(プロセスウエハ)は、100nm前後の段差を有することもある。基板全体の緩やかなうねりに起因する段差は、フォトリソグラフィ工程で用いられている露光装置(スキャナー)のフォーカス追従機能によって補正可能である。但し、露光装置の露光スリット面積内に収まるピッチの細かい凹凸は、そのまま露光装置の焦点深度(DOF:Depth Of Focus)を消費してしまう。基板の下地パターンを平滑化する従来技術として、SOC(Spin On Carbon)やCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの平坦化層を形成する技術が用いられている。しかしながら、従来技術では、図8(a)に示すように、孤立パターン領域Aと繰り返しDense(ライン&スペースパターンの密集)パターン領域Bとの境界部分において、40%〜70%の凹凸抑制率しか得られず、十分な平坦化性能が得られない。また、今後、多層化による下地パターンの凹凸差は更に増加する傾向にある。
この問題に対する解決策として、米国特許第9415418号には、平坦化層となるレジストのインクジェットディスペンサによる塗布と平面テンプレートによる押印で連続膜を形成する技術が提案されている。また、米国特許第8394282号には、基板側のトポグラフィ計測結果をインクジェットディスペンサによって塗布指示する位置ごとの濃淡情報に反映する技術が提案されている。インプリント装置100は、特に、予め塗布された未硬化のレジストに対して、型2の代わりに平面テンプレートを押し当てて基板面内の局所平面化を行う平坦加工(平坦化)装置として適用することができる。
図8(a)は、平坦化加工を行う前の基板を示している。孤立パターン領域Aは、パターン凸部分の面積が少ない。繰り返しDenseパターン領域Bにおいて、パターン凸部分の占める面積と、パターン凹部分の占める面積とは、1:1である。孤立パターン領域Aと繰り返しDenseパターン領域Bの平均の高さは、パターン凸部分の占める割合で異なった値となる。
図8(b)は、基板に対して平坦化層を形成するレジストを塗布した状態を示している。図8(b)には、米国特許第9415418号に提案された技術に基づいてインクジェットディスペンサによってレジストを塗布した状態を示しているが、レジストの塗布には、スピンコーターを用いてもよい。換言すれば、予め塗布された未硬化のレジストに対して平面テンプレートを押し付けて平坦化する工程を含んでいれば、インプリント装置100が適用可能である。
図8(c)に示すように、平面テンプレートは、紫外線を透過するガラス又は石英で構成され、光源からの紫外線の照射によってレジストが硬化する。平面テンプレートは、基板全体のなだらかな凹凸に対しては基板表面のプロファイルに倣う。そして、レジストが硬化した後、図8(d)に示すように、レジストから平面テンプレートを引き離す。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、空調システム50は、インプリント処理を行う期間において、気流AF1を形成するように、ブース101に温調された気体を供給する動作を行っているともいえる。一方、気体供給部70は、インプリント処理を行わない期間において、気流AF2を形成するように、ブース101に温調されていない気体を供給する動作を行っているともいえる。このような空調システム及び気体供給部を有するインプリント装置も本発明の一側面を構成する。
100:インプリント装置 1:基板 2:型 4:ステージ定盤 6:基板ステージ 50:空調システム 60:チャンバ 70:気体供給部
Claims (16)
- 型を用いて基板上の組成物を成形する成形装置であって、
前記基板を保持するステージの移動面を規定するステージ定盤と、
前記ステージ及び前記ステージ定盤を収容するチャンバと、
前記チャンバの内部のパーティクルを除去するための気流を形成するように、前記チャンバの内部に第1気体を供給する動作を行う第1供給部と、
前記第1供給部の動作が停止している状態において、前記パーティクルが前記ステージ定盤に付着することを妨げるための気流を前記ステージ定盤上に形成するように、前記チャンバの内部に前記第1気体とは異なる第2気体を供給する動作を行う第2供給部と、
を有することを特徴とする成形装置。 - 前記第2供給部は、前記第1供給部の動作が行われている状態においても、前記チャンバの内部に前記第2気体を供給することを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 前記第1供給部の動作が行われている状態では前記第2供給部の動作が停止され、前記第1供給部の動作が停止している状態では前記第2供給部の動作が行われるように、前記第2供給部を制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 前記第1供給部は、前記第1気体を温調する温調部を含み、前記チャンバの内部に前記温調部で温調した前記第1気体を供給する動作を行い、
前記第2供給部は、前記チャンバの内部に前記第2気体を温調せずに供給する動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の成形装置。 - 前記第2供給部は、前記第2気体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部で圧縮した前記第2気体を吹き出す吹出口を含むノズルと、を含み、
前記ノズルは、前記移動面に垂直な方向において、前記吹出口の高さが前記移動面を規定する前記ステージ定盤の上面と一致するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の成形装置。 - 前記ステージ定盤を支持するベース定盤を更に有し、
前記第2供給部は、前記第2気体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部で圧縮した前記第2気体を吹き出す吹出口を含む第1ノズル及び第2ノズルと、を含み、
前記第1ノズルは、前記移動面に垂直な方向において、前記第1ノズルの吹出口の高さが前記移動面を規定する前記ステージ定盤の上面と一致するように配置され、
前記第2ノズルは、前記移動面に垂直な方向において、前記第2ノズルの吹出口の高さが前記ベース定盤の上面と一致するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の成形装置。 - 前記第2供給部は、前記チャンバの外部の気体を取り込む取込部を含み、前記取込部で取り込まれた気体を前記第2気体として前記圧縮部に供給することを特徴とする請求項5又は6に記載の成形装置。
- 前記第2供給部は、前記第2気体を貯留するタンクを含み、前記タンクに貯留された前記第2気体を前記圧縮部に供給することを特徴とする請求項5又は6に記載の成形装置。
- 前記ステージを挟んで前記第2供給部と対向するように配置され、前記第2供給部から供給された前記第2気体を吸引する吸引部を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の成形装置。
- 前記吸引部で吸引された前記第2気体を前記チャンバの外部に排気する排気管を更に有することを特徴とする請求項9に記載の成形装置。
- 前記第2供給部は、前記圧縮部で圧縮した前記第2気体を吹き出す吹出口を含む第3ノズルを更に含み、
前記第3ノズルは、前記ステージを挟んで前記第2ノズルと対向するように配置され、前記移動面に垂直な方向において、前記第2ノズルの吹出口の高さが前記ベース定盤の上面と一致するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の成形装置。 - 型を用いて基板上の組成物を成形する成形装置であって、
前記基板を保持するステージの移動面を規定するステージ定盤と、
前記ステージ及び前記ステージ定盤を収容するチャンバと、
前記基板上の組成物を前記型で成形する処理を行う期間において、前記チャンバの内部のパーティクルを除去するための気流を形成するように、前記チャンバの内部に温調された気体を供給する動作を行う第1供給部と、
前記処理を行わない期間において、前記パーティクルが前記ステージ定盤に付着することを妨げるための気流を前記ステージ定盤上に形成するように、前記チャンバの内部に温調されていない気体を供給する動作を行う第2供給部と、
を有することを特徴とする成形装置。 - 型を用いて基板上の組成物を成形する成形装置であって、
前記基板を保持するステージの移動面を規定するステージ定盤と、
前記ステージ及び前記ステージ定盤を収容するチャンバと、
前記チャンバの内部のパーティクルを除去するための気流を形成するように、前記チャンバの内部に気体を供給する動作を行う供給部と、
前記供給部の動作が停止している状態において、前記パーティクルが前記ステージ定盤に付着することを妨げるための気流を前記ステージ定盤上に形成するように、前記チャンバの内部から気体を吸引する動作を行う吸引部と、
を有することを特徴とする成形装置。 - 前記成形装置は、前記型のパターンを前記組成物に接触させることにより前記基板上に前記組成物のパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の成形装置。
- 前記成形装置は、前記型の平面部を前記組成物に接触させることにより前記基板上の前記組成物を平坦にすることを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の成形装置。
- 請求項14に記載の成形装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
前記工程で前記パターンが形成された前記基板を処理する工程と、
処理された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
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JP2018026402A JP2019145592A (ja) | 2018-02-16 | 2018-02-16 | 成形装置及び物品の製造方法 |
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