JP2019144972A - 電子機器用バックカバーとそれを用いた電子機器用筐体 - Google Patents

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忠壮 谷口
俊次 藤村
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俊次 藤村
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元 仲川
周一 田谷
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周一 田谷
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Abstract

【課題】従来よりも防水・防塵性が高く、剛性が大きく、薄くて軽い電子機器用バックカバーと、そのような電子機器用バックカバーを用いた電子機器用筐体を提供することを目的とする。【解決手段】電子機器用バックカバーは、2つ折り可能な電子機器に用いるバックカバーであって、1枚の繊維強化樹脂シートのうち繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部とを備えたように構成した。電子機器用筐体は、電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーの2つの剛性部にそれぞれ対向して配置される2つのフロントカバーとを備え、2つのフロントカバーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする繊維強化樹脂シートからなり、2つのフロントカバーの少なくとも一方は枠状であるように構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器用バックカバーとそれを用いた電子機器用筐体に関する。
ノートパソコンなどのように2つ折り可能な電子機器の筐体は、ディスプレイなどの表示部用筐体10と、キーボードなどの操作部用筐体13とがヒンジ機構17によって結合されて、1つの電子機器用筐体9として構成されている(たとえば、特許文献1参照)。表示部用筐体10はフロントカバー11とバックカバー12とからなり、操作部用筐体13はアッパーカバー14とロワーカバー15とからなる(図14参照)。それぞれのカバーは、繊維強化樹脂からなる。このような電子機器用筐体9では、ヒンジ機構17によって、表示部用筐体10を開閉することができる。また、表示部用筐体10や操作部用筐体13の内部にはマグネシウム合金などの金属板16を有しており、これにより電子機器用筐体9に剛性を付与することができる。
特開2017−041062号公報
しかし、従来の電子機器用筐体9は、フロントカバー11とバックカバー12とを組み合わせて表示部用筐体10を構成し、アッパーカバー14とロワーカバー15を組み合わせて操作部用筐体13を構成しており、さらに各筐体10,13をヒンジ機構17によって結合していた。つまり、別々の部品を組み合わせて構成しているため、各部品との間に隙間ができてしまい、防水・防塵性に劣るという問題があった。また、筐体内部に金属板を有しているとはいえ、剛性は十分ではなかった。さらに、筐体内部に金属板を有しているために重く、厚みが大きいものとなっていた。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、従来よりも防水・防塵性が高く、剛性が大きく、薄くて軽い電子機器用バックカバーと、そのような電子機器用バックカバーを用いた電子機器用筐体を提供することを目的とする。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は必要に応じて任意に組み合わせることができる。
本発明の電子機器用バックカバーは、2つ折り可能な電子機器に用いるバックカバーであって、1枚の繊維強化樹脂シートのうち繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部とを備えたものである。
屈曲部と2つの剛性部との境界では境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっていてもよい。
屈曲部は蛇腹形状であってもよい。
本発明の電子機器用筐体は、上記のいずれかの電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーの2つの剛性部にそれぞれ対向して配置される2つのフロントカバーとを備え、2つのフロントカバーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする繊維強化樹脂シートからなり、2つのフロントカバーの少なくとも一方は枠状である。
また、本発明の電子機器用筐体は、上記のいずれかの電子機器用バックカバーの屈曲部が柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、
フロントカバーは、
フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする屈曲部と、
屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部と、
フロントカバーの剛性部の少なくとも一方に形成された開口部とを有するものである。
フロントカバーの屈曲部と電子機器用バックカバーの屈曲部との間にヒンジ機構をさらに備えたものであってもよい。
また、本発明の電子機器用筐体は、上記のいずれかの電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の枠状の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、
フロントカバーは、
フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、
屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする剛性部とを有するものである。
フロントカバーの屈曲部と剛性部との境界では境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっていてもよい。
フロントカバーの屈曲部は蛇腹形状であってもよい。
本発明の電子機器用バックカバーは、2つ折り可能な電子機器に用いるバックカバーであって、1枚の繊維強化樹脂シートのうち繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部とを備えたように構成した。
本発明の電子機器用筐体は、電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーの2つの剛性部にそれぞれ対向して配置される2つのフロントカバーとを備え、2つのフロントカバーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする繊維強化樹脂シートからなり、2つのフロントカバーの少なくとも一方は枠状であるように構成した。
また、本発明の電子機器用筐体は、電子機器用バックカバーの屈曲部が柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、フロントカバーは、フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする屈曲部と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部と、フロントカバーの剛性部の少なくとも一方に形成された開口部とを有するように構成した。
また、本発明の電子機器用筐体は、電子機器用バックカバーと、電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の枠状の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、フロントカバーは、フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする剛性部とを有するように構成した。
したがって、本発明の電子機器用バックカバーとそれを用いた電子機器用筐体は、従来よりも防水・防塵性が高く、剛性が大きく、薄くて軽いものである。
(a)本発明の電子機器用バックカバーの実施形態の一例を示す模式的な斜視図である。(b)(a)のA−A断面図である。 本発明の電子機器用バックカバーを用いた電子機器の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電子機器用バックカバーを用いた電子機器の一例を示す模式的な斜視図である。 (a)本発明の電子機器用バックカバーの変形例の一例を示す模式的な斜視図である。(b)(a)のA−A断面図である。(c)(b)のB部拡大図である。 本発明の電子機器用バックカバーの変形例の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電子機器用筐体の実施形態の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電子機器用筐体の実施形態の一例を示す模式的な斜視図である。 (a)本発明の電子機器用筐体の実施形態の一例を示す模式的な斜視図である。(b)(a)のA−A断面図である。 本発明の電子機器用筐体を用いた電子機器の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電子機器用筐体の変形例の一例を示す模式的な断面図である。 (a)本発明の電子機器用筐体の実施形態の一例を示す模式的な斜視図である。(b)(a)のA−A断面図である。 本発明の電子機器用筐体を用いた電子機器の一例を示す模式的な断面図である。 (a)本発明の電子機器用筐体の変形例の一例を示す模式的な斜視図である。(b)屈曲部の断面拡大図である。 従来の電子機器用筐体の一例を示す模式的な断面図である。
まず、本発明の電子機器用バックカバーについて、図面を参照しながら実施形態の一例を説明する。
(電子機器用バックカバーの第1実施形態)
本実施形態における電子機器用バックカバー1は、2つ折り可能な電子機器に用いるバックカバーであって、1枚の繊維強化樹脂シートのうち繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部2と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部3,3とを備えたものである(図1参照)。
繊維強化樹脂シートは、強化繊維織物に樹脂を含浸させたものである。強化繊維織物に用いられる強化繊維としては、たとえば炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などを挙げることができる。強化繊維としては、連続繊維および不連続繊維のいずれかを用いてもよいし、両方が複合されたものを用いてもよい。
屈曲部2は、1枚の繊維強化樹脂シートのうち繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成し、母材は柔軟性樹脂である。柔軟性樹脂としては、たとえばウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレンやポリアミドなどのオレフィン樹脂、ゴムなどを用いることができる。このような柔軟性樹脂を、繊維強化樹脂シートを2分割する位置に含浸させることで、屈曲部2を形成することができる。
剛性部3は、屈曲部以外の領域に形成し、母材は熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。1枚の繊維強化樹脂シートに剛性部3が2つ形成される。剛性部3,3の大きさは、たとえば電子機器がノートパソコンなどのように、ディスプレイなどの表示部と、キーボードなどの操作部を有する機器であれば、表示部と操作部のそれぞれの大きさを基にして決める。剛性部3,3の大きさは、表示部(操作部)に比べて十分大きくてよく(図2(a)参照)、表示部(操作部)よりもわずかに大きくてもよいし(図2(b)参照)、表示部(操作部)よりもわずかに小さくてもよい(図2(c)参照)。剛性部の大きさが表示部(操作部)よりもわずかに小さい場合、表示部(操作部)が剛性部からわずかにはみ出るが、そのはみ出た部分を隠すように、たとえば金属製のフレーム20を組み合わせれば、電子機器用バックカバーの装飾性を高めることができる(図2(d)参照)。なお、剛性部の大きさが表示部(操作部)よりもわずかに大きい場合でも、上記のように金属製のフレームを組み合わせてもよい。
剛性部は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする。熱硬化性樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。また、熱可塑性樹脂としては、たとえばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド)、ウレタン樹脂などを用いることができる。このような熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を、屈曲部以外の領域に含浸させることで、剛性部3,3を形成することができる。
なお、2つの剛性部3,3は、上記した樹脂のうちそれぞれ異なる樹脂を含浸させて形成してもよく、2つとも同じ樹脂を含浸させて形成してもよい。また、屈曲部2と剛性部3,3に用いる樹脂は、着色してあるものであってもよい。
屈曲部2や剛性部3にそれぞれ樹脂を含浸させる方法としては、たとえば、強化繊維織物と樹脂フィルムを高温下で一体化させる樹脂フィルム注入法(RFI)や、液状にした樹脂を金型内に配置した強化繊維織物に注入する樹脂トランスファー成形法(RTM)などの公知の方法を用いることができる。また、屈曲部2については、射出成形法、液状のシリコーン樹脂などを射出成形するLIM成形法など公知の方法を用いてもよい。
本実施形態の電子機器用バックカバー1は、図2を参照して、たとえば有機ELディスプレイ(OLED)のようなシート状の表示部18を一方の剛性部3に取り付け、他方の剛性部3にシート状キーボードのような操作部19を取り付けて、ノートパソコンの形態で用いることができる。また、たとえば、両方の剛性部に表示部兼操作部としてタッチセンサを取り付け、2つ折り式のタッチセンサデバイスとすることもできる。また、図3を参照して、たとえば一方の剛性部にシート状の表示部18を取り付け、他方の剛性部にはタッチセンサとボタンなどが1つのシート上に形成された表示部兼操作部21を取り付け、2つ折り式のゲーム機とすることもできる。
本実施形態の電子機器用バックカバーは、屈曲部と剛性部とが1枚の繊維強化樹脂シートに一体形成されているため、従来の電子機器のようにヒンジ機構とバックカバーとの間に隙間ができず、従来よりも防水・防塵性を向上させることができる。また、1枚の強化繊維織物に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含浸させた剛性部を有しているため、従来よりも剛性を大きくすることができる。また、1枚の繊維強化樹脂シートからなるため、従来よりも薄肉化・軽量化が可能となる。
次に、電子機器用バックカバーの変形例を挙げる。
(変形例1)
電子機器用バックカバー1は、屈曲部2と2つの剛性部3,3との境界4では境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっていてもよい(図4(a)〜(c)参照)。つまり、厚みの小さい箇所は、境界4に沿って直線的に形成した溝である。なお、溝は、電子機器用バックカバー1の表と裏のいずれかに形成してもよく、両方に形成してもよい。このようにすると、屈曲部2をより曲げやすくなる。
(変形例2)
電子機器用バックカバー1の屈曲部2は蛇腹形状であってもよい(図5参照)。蛇腹形状は、図5(a)〜(c)のように、厚みが均一であり、断面が山折り谷折りを繰り返すジグザグ形状とすることができる。また、図5(d)(e)のように、断面で見たときに、厚みが一部大きくなる箇所を繰り返し設けた形状でもよい。また、図5(f)(g)のように、断面で見たときに、厚みが一部小さくなる箇所を繰り返し設けた形状でもよい。
このようにすると、屈曲部2を曲げやすくなることに加え、屈曲部2を曲げた際に任意の位置で静止させることができる。また、屈曲部2に伸縮性を付与することもできる。
(変形例3)
電子機器用バックカバー1は、上記の変形例1と2の両方を備えたものであってもよい。つまり、境界4の厚みが境界以外の箇所より小さく、屈曲部2が蛇腹形状であってもよい。
次に、本発明の電子機器用バックカバーを用いた電子機器用筐体について、図面を参照しながら実施形態の一例を説明する。
(電子機器用筐体の第1実施形態)
本実施形態における電子機器用筐体6は、上記第1実施形態および変形例1から3に記載したいずれかの電子機器用バックカバー1と、電子機器用バックカバーの2つの剛性部3,3にそれぞれ対向して配置される2つのフロントカバー5,5とを備え、2つのフロントカバーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする繊維強化樹脂シートからなり、2つのフロントカバーの少なくとも一方は枠状である(図6参照)。
フロントカバー5は、強化繊維織物に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含浸させたものを用いる。強化繊維、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂としては、電子機器用バックカバーの第1実施形態に記載したような強化繊維や樹脂を用いることができる。
本実施形態の電子機器用筐体6では、たとえば図6のように、2つのフロントカバー5,5の一方には開口部が形成されている。開口部は、強化繊維織物の状態のときに形成してもよく、強化繊維織物に樹脂を含浸させた後に形成してもよい。このような構成の電子機器としては、たとえば、映像や音楽を再生するポータブルプレイヤーが挙げられる。一方の剛性部3にはポータブルプレイヤーのディスプレイなどの表示部18を取り付け、表示部18を挟んで枠状のフロントカバー5を配置する。他方の剛性部3には映像や音楽の入ったメディアを挿入するドライブとプレイヤーを操作する操作部とを含む操作ユニット24を取り付け、操作ユニット24を挟んでもう1つのフロントカバー5を配置する。フロントカバー5と電子機器用バックカバー1とは、直接組み合わせることができる。そのような方法としては、たとえば、フロントカバー5に用いる強化繊維織物を金型に配置して型締めし、樹脂を含浸させると同時に、電子機器用筐体6の側面を覆う形状に成形し、フロントカバー5と電子機器用バックカバー1の剛性部3とを組み合わせる方法が挙げられる(図7(a)参照)。また、フロントカバー5と電子機器用バックカバー1とは、剛性部3と同様に繊維強化樹脂シートからなる別部品を、フロントカバー5と電子機器用バックカバー1との間に配置して組み合わせることもできる(図7(b)参照)。なお、開口部の大きさは、表示部18や操作ユニット24などの大きさと同じでもよく、開口部7の方が小さくてもよい。
本実施形態の電子機器用筐体は、フロントカバーと電子機器用バックカバーを剛性部を有する繊維強化樹脂シートで形成するため、従来よりも剛性が大きく、薄肉化・軽量化が可能なものである。
(電子機器用筐体の第2実施形態)
本実施形態における電子機器用筐体6は、上記第1実施形態に記載した電子機器用バックカバーの屈曲部2が柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする電子機器用バックカバー1と、電子機器用バックカバー1に対向して配置され1枚の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバー5とを備え、フロントカバー5は、フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバー1と同じ位置に形成され柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする屈曲部22と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部23,23と、フロントカバー5の剛性部23,23の少なくとも一方に形成された開口部7とを有する(図8参照)。
第1実施形態の電子機器用筐体と異なる点は、フロントカバー5が1枚の繊維強化樹脂シートからなり、フロントカバー5の屈曲部22の母材が柔軟性と伸縮性を有する樹脂であることである。以下、主としてこれら異なる点について述べる。
フロントカバー5に含浸させる樹脂には、柔軟性と伸縮性を有する樹脂を用いる。このような樹脂を用いる理由は、次の通りである。たとえば図9のように、一方の剛性部3にはフロントカバー5の開口部7からディスプレイなどの表示部18が見えるように配置し、他方の剛性部3には操作ユニット24を配置した電子機器用筐体6では、フロントカバー5や電子機器用バックカバー1よりも大きい厚みを有する表示部18と操作ユニット24が、フロントカバー5と電子機器用バックカバー1との間に配置されているためである。柔軟性と伸縮性を有する樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの複合樹脂などを用いることができる。
開口部7は、フロントカバー5の2つの剛性部23,23の両方に1つずつ形成してもよい。開口部7の大きさは、表示部18や操作ユニット24などの大きさと同じでもよく、開口部7の方が小さくてもよい。開口部7は、強化繊維織物の状態のときに形成してもよく、強化繊維織物に樹脂を含浸させた後に形成してもよい。
本実施形態の電子機器用筐体は、フロントカバーと電子機器用バックカバーを剛性部を有する1枚の繊維強化樹脂シートでそれぞれ形成するため、従来よりも剛性が大きく、薄肉化・軽量化が可能なものである。
次に、電子機器用筐体の第2実施形態の変形例を挙げる。
(第2実施形態の変形例)
電子機器用筐体6は、フロントカバー5の屈曲部22と電子機器用バックカバー1の屈曲部2との間にヒンジ機構8をさらに備えたものであってもよい(図10参照)。ヒンジ機構8は、電子機器用バックカバー1またはフロントカバー5に取り付ける。ヒンジ機構8としては、たとえば、トルクヒンジ、ダンパーヒンジなど公知のヒンジ機構を用いることができる。このようにすると、電子機器用筐体6を開閉した際に、ヒンジ機構8によって任意の開閉位置を保持することができる。また、ヒンジ機構8が電子機器用筐体6の内部に隠れるため、ヒンジ機構8を有しているにも関わらず電子機器用筐体6をシームレスデザイン化することができ、ヒンジ機構8に対する防水性を向上させることができる。
(電子機器用筐体の第3実施形態)
本実施形態における電子機器用筐体6は、上記実施形態1に記載した電子機器用バックカバー1と、電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の枠状の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバー5とを備え、フロントカバー5は、フロントカバーを2分割するように電子機器用バックカバー1と同じ位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部22と、屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする剛性部23とを有する(図11参照)。
第2実施形態の電子機器用筐体と異なる点は、フロントカバー5の開口部7が屈曲部22をまたぐようにして1つだけ形成されていることである。このような構成の電子機器としては、たとえば、図12のように表示部兼操作部21を取り付けたスマートフォンなどが挙げられる。表示部兼操作部21としては、たとえば、タッチセンサフィルムと有機ELディスプレイとを組み合わせたフレキシブルディスプレイなどを用いることができる。開口部7の大きさは、表示部兼操作部21などの大きさと同じでもよく、開口部7の方が小さくてもよい。開口部7は、強化繊維織物の状態のときに形成してもよく、強化繊維織物に樹脂を含浸させた後に形成してもよい。
本実施形態の電子機器用筐体は、剛性部を有する2枚の繊維強化樹脂シートを組み合わせたものであるため、従来よりも剛性が大きく、薄くて軽いものである。
次に、電子機器用筐体の第2・第3実施形態に共通の変形例を挙げる。
(第2・第3実施形態共通の変形例1)
フロントカバー5の屈曲部22と剛性部23,23との境界25では境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっていてもよい(図13(a)(b)参照)。厚みの小さい箇所は、境界25に沿って直線的に形成した溝である。なお、溝は、フロントカバー5の表と裏のいずれかに形成してもよく、両方に形成してもよい。このようにすると、電子機器用筐体6をより曲げやすくなる。
(第2・第3実施形態共通の変形例2)
フロントカバー5の屈曲部22は、電子機器用バックカバーのように、蛇腹形状であってもよい(図5参照)。このようにすると、電子機器用筐体6を曲げやすくなることに加え、曲げた際に任意の位置で静止させることができる。また、屈曲部22に伸縮性を付与することもできる。
(第2・第3実施形態共通の変形例3)
フロントカバー5は、上記の変形例1と2の両方を備えたものであってもよい。つまり、境界25の厚みが境界以外の箇所より小さく、屈曲部22が蛇腹形状であってもよい。
本発明の電子機器用バックカバーとそれを用いた電子機器用筐体は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、ゲーム機など2つ折り式の電子機器に広く利用できる。また、車載用ディスプレイなど2つ折り式のディスプレイ装置などにも応用できる。
1 :電子機器用バックカバー
2 :屈曲部
3 :剛性部
4 :境界
5 :フロントカバー
6 :電子機器用筐体
7 :開口部
8 :ヒンジ機構
9 :電子機器用筐体
10:表示部用筐体
11:フロントカバー
12:バックカバー
13:操作部用筐体
14:アッパーカバー
15:ロワーカバー
16:金属板
17:ヒンジ機構
18:表示部
19:操作部
20:フレーム
21:表示部兼操作部
22:屈曲部
23:剛性部
24:操作ユニット
25:境界

Claims (9)

  1. 2つ折り可能な電子機器に用いるバックカバーであって、
    1枚の繊維強化樹脂シートのうち前記繊維強化樹脂シートを2分割する位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、
    前記屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部とを備えた、電子機器用バックカバー。
  2. 前記屈曲部と2つの前記剛性部との境界では前記境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっている、請求項1に記載の電子機器用バックカバー。
  3. 前記屈曲部は蛇腹形状である、請求項1または2に記載の電子機器用バックカバー。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器用バックカバーと、前記電子機器用バックカバーの2つの前記剛性部にそれぞれ対向して配置される2つのフロントカバーとを備え、
    2つの前記フロントカバーは熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする繊維強化樹脂シートからなり、2つの前記フロントカバーの少なくとも一方は枠状である、電子機器用筐体。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器用バックカバーの前記屈曲部が柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする電子機器用バックカバーと、前記電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、
    前記フロントカバーは、
    前記フロントカバーを2分割するように前記電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性と伸縮性を有する樹脂を母材とする屈曲部と、
    前記屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする2つの剛性部と、
    前記フロントカバーの前記剛性部の少なくとも一方に形成された開口部とを有する、電子機器用筐体。
  6. 前記フロントカバーの前記屈曲部と前記電子機器用バックカバーの前記屈曲部との間にヒンジ機構をさらに備えた、請求項5に記載の電子機器用筐体。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器用バックカバーと、前記電子機器用バックカバーに対向して配置され1枚の枠状の繊維強化樹脂シートからなるフロントカバーとを備え、
    前記フロントカバーは、
    前記フロントカバーを2分割するように前記電子機器用バックカバーと同じ位置に形成され柔軟性樹脂を母材とする屈曲部と、
    前記屈曲部以外の領域に形成され熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を母材とする剛性部とを有する、電子機器用筐体。
  8. 前記フロントカバーの前記屈曲部と前記剛性部との境界では前記境界以外の箇所よりも厚みが小さくなっている、請求項5〜7のいずれかに記載の電子機器用筐体。
  9. 前記フロントカバーの前記屈曲部は蛇腹形状である、請求項5〜7のいずれかに記載の電子機器用筐体。
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