(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係る金融機関評価装置について図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る金融機関評価装置は、金融機関評価装置を保有する一種の企業の支援機関である金融機関の各取引先の企業の財務情報と、全国の金融機関の取引先の企業の財務情報と、を保持する。金融機関評価装置は、金融機関評価装置を保有する金融機関の各取引先の企業の財務情報と、全国の金融機関の取引先の企業の財務情報と、から、金融機関評価装置を保有する金融機関の取引先の企業への貢献度を示す指数を算出する。そして、金融機関評価装置は、算出した指数を、その指数を要求する金融機関が保有する端末装置へ送信する。
図1に示すように、金融機関評価装置1は、例えば各金融機関の取引先の企業の発展への貢献度を評価する金融機関評価会社が所有する。金融機関評価装置1は、取引先の金融機関が所有する端末装置2と、金融機関と取引のある複数の企業それぞれが所有する端末装置3と、金融庁のような全国の企業の財務情報を保有する外部機関が所有するサーバ4とに、ネットワークNTを介して接続されている。ネットワークNTには、LAN(Local Area Network)およびインターネットが含まれる。
金融機関評価装置1は、例えば通信機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)と主記憶部と補助記憶部と入力部と表示部と通信部とを備える。主記憶部は、揮発性メモリから構成されたRAM(Random Access Memory)であり、CPUの作業領域として使用される。補助記憶部は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発性メモリから構成され、金融機関評価装置1の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、金融機関評価装置1の各種機能が実現される。入力部は、例えばキーボードであり、ユーザが入力する各種操作情報を受け付けて、受け付けた操作情報をCPUへ出力する。表示部は、例えば液晶ディスプレイであり、CPUから入力された各種情報を表示する。通信部は、ネットワークNTに接続するためのモデムおよびゲートウェイを有する通信インタフェースである。
端末装置2、3は、例えばスマートフォン或いは通信機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、金融機関評価装置1と同様に、CPUと主記憶部と補助記憶部と入力部と表示部と通信インタフェースとを備える。端末装置2の補助記憶部は、金融機関評価装置1へ金融機関評価装置で算出される指数を示す指数情報を要求するための情報(以下、「指数要求情報」と称する。)を送信するとともに、受信した指数情報を表示部に表示させるためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、金融機関評価装置1へ指数要求情報を送信する機能、受信した指数情報を表示部に表示させる機能が実現される。端末装置3のROMまたはストレージは、金融機関評価装置1へ財務情報を送信するためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、金融機関評価装置1へ財務情報を送信する機能が実現される。
サーバ4も、金融機関評価装置1と同様に、例えば通信機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、CPUとRAMとROMとストレージと入力部と表示部と通信インタフェースとを備える。サーバ4のROMまたはストレージは、金融機関評価装置1から全国の企業の財務情報を要求するための情報(以下、「財務情報要求情報」と称する。)を受信すると、全国の企業の財務情報を金融機関評価装置1へ送信するためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムをROMまたはストレージからRAMに読み出して実行することにより、金融機関評価装置1から財務情報要求情報を受信すると、全国の企業の財務情報を金融機関評価装置1へ送信する機能が実現される。
次に、金融機関評価装置1、端末装置2、3およびサーバ4から構成されるシステムの動作について図2を参照しながら説明する。まず、企業が、自社の財務情報を端末装置3へ入力すると(ステップS1)、その財務情報が、端末装置3から金融機関評価装置1へ送信される(ステップS2)。ここで、企業は、例えば決算期に自社の財務情報を端末装置3へ入力する。また、財務情報には、取引先の企業を識別する企業識別情報と、決算期を示す決算期情報と、取引先の金融機関を識別する金融機関識別情報と、取引先の企業の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書等の内容を示す情報と、を含む。
一方、金融機関評価会社が所有している金融機関評価装置1は、財務情報を受信すると、受信した財務情報を自己が有する財務データベース(以下、「DB」と称する。)に追加する形で財務DBを更新する(ステップS3)。続いて、金融機関評価装置1は、財務DBが記憶する財務情報を用いて、ROA、ROE、OHI等の経営指標を算出する(ステップS4)。
その後、金融機関評価装置1は、算出した経営指標を示す情報を、自己が有する経営指標DBに追加する形で経営指標DBを更新する(ステップS5)。ここで、金融機関評価装置1は、算出した各経営指標を、企業識別情報、決算期情報および金融機関識別情報と対応づけて追加する形で、財務DBを更新する。
企業において端末装置3に財務情報が入力される毎に(ステップS6)、その企業の財務情報が、その企業の端末装置3から金融機関評価装置1へ送信される(ステップS7)。そして、金融機関評価装置1は、財務情報を受信する毎に、財務DBの更新(ステップS8)、経営指標の算出(ステップS9)を実行してから、経営指標DBを更新する(ステップS10)。
その後、予め設定された決算期が到来すると、金融機関評価装置1は、全国の企業の経営指標情報を要求する経営指標要求情報を、金融庁、民間のシンクタンク等の外部機関の所有するサーバ4へ送信する(ステップS11)。一方、サーバ4は、金融機関評価装置1から経営指標要求情報を受信すると、自己が有する全国の企業の経営指標の平均値を示す経営指標平均値情報を記憶する全国経営指標平均値DBから経営指標要求に対応する経営指標平均値情報を選出する(ステップS12)。全国経営指標平均値DBは、例えば全国の企業における経営指標の平均値を、決算期を示す情報と対応付けて記憶している。そして、サーバ4は、経営指標要求情報に含まれる決算期を示す情報に基づいて、経営指標平均値情報を選出する。次に、選出された経営指標平均値情報が、サーバ4から金融機関評価装置1へ送信される(ステップS13)。一方、金融機関評価装置1は、サーバ4から経営指標平均値情報を受信すると、受信した経営指標平均値情報を、自己が有する経営指標平均値DBに追加する形で経営指標平均値DBを更新する(ステップS14)。
続いて、金融機関評価装置1は、自己が有する経営指標DBから評価対象である対象金融機関の取引先の企業の経営指標を示す情報を取得し、経営指標平均値DBから全国の企業の経営指標の平均値が示す経営指標平均値情報を取得する。この対象金融機関は、金融機関評価装置1の評価対象となる対象支援機関に相当する。そして、金融機関評価装置1は、各金融機関の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する(ステップS15)。
ここで、金融機関評価装置1は、下記式(1)の関係式に基づいて、評価指数を算出する。
・・・式(1)
ここで、i、jは企業の識別情報、tは決算期、P(i,t)、P(j,t)は企業i、jの決算期tにおける経営指標、IN(P,t)は、決算期tにおける経営指標Pに関する評価指数を示す。i、jは、企業それぞれに固有の識別番号であるとすると、nは、対象金融機関と取引のある全ての企業の数、mは、全国の企業の数に相当する。経営指標は、流動比率、当座比率、ROA、OHR等の数値に相当する。式(1)の第2項は、全国の企業における経営指標の平均値に相当する。式(1)に示すように、本実施の形態における評価指数とは、対象金融機関と取引のある企業について、その企業の経営指標の数値の全国の企業のそれらの平均値からのずれ量を示すものである。経営指標として流動比率を採用した場合、評価指数が正の場合、対象金融機関は概ね取引先企業の資産の安定化への貢献度が高いと評価でき、評価指数が負の場合、概ね取引先企業の資産の安定化への貢献度が低いと評価できる。
その後、金融機関評価装置1は、算出した評価指数を、自己が有する評価指数DBに追加する形で評価指数DBを更新する(ステップS16)。
次に、金融機関評価装置1へ評価指数を示す指数情報を要求する指数情報要求情報が、金融機関が所有する端末装置2から金融機関評価装置1へ送信されたとする(ステップS17)。この場合、金融機関評価装置1は、評価指数DBから指数情報要求情報に対応する評価指数情報を選定する(ステップS18)。指数情報要求情報は、例えば端末装置2を所有する金融機関の金融機関識別情報を含む。この場合、金融機関評価装置1は、評価指数要求情報に含まれる金融機関識別情報に基づいて、評価指数DBから評価指数情報を選定する。
続いて、金融機関評価装置1が選定した評価指数情報が、金融機関評価装置1から端末装置2へ送信される(ステップS19)。一方、端末装置2は、評価指数情報を受信すると、受信した評価指数情報を表示部へ表示させる(ステップS20)。これにより、金融機関では、評価指数情報により、自己の取引先の企業の発展への貢献度を把握することができる。
次に、本実施の形態に係る金融機関評価装置1の機能構成について説明する。図3に示すように、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部(図示せず)に読み込んで実行することにより、財務情報更新部111、経営指標算出部112、経営指標情報更新部114、計時部115、評価指数算出部116、評価指数選定部117および指数情報送信部118として機能する。また、補助記憶部103は、財務DB131と、経営指標DB132、経営指標平均値DB133と、評価指数DB134と、を有する。
財務DB131は、複数の企業それぞれの財務情報を記憶する財務情報記憶部である。財務DB131は、各企業が所有する端末装置3から受信した財務情報を、各企業を識別する企業識別情報と対応づけて記憶する。
経営指標DB132は、複数の企業それぞれの流動比率、当座比率、ROA、OHR等の経営指標を示す経営指標情報を、複数の企業それぞれの取引先である金融機関と対応づけて記憶する経営指標情報記憶部である。経営指標DB132は、例えば図4に示すように、企業を識別する企業識別情報と、決算期を示す情報と、企業の取引先の金融機関を識別する金融機関識別情報と、経営指標情報と、を対応づけて記憶する。例えば企業識別情報ID[0]が付与された企業のように、複数の金融機関と取引がある場合、複数の金融機関識別情報FID[0]、FID[1]と対応づけられている。
経営指標平均値DB133は、日本全国の全ての企業の経営指標の平均値を示す経営指標平均値情報を記憶する経営指標平均値情報記憶部である。経営指標平均値DB133は、例えば図5(A)に示すように、全国の企業の流動比率、当座比率、ROA、OHR等の各種経営指標の平均値を示す経営指標平均値情報を、決算期を示す情報と対応づけて記憶している。
評価指数DB134は、例えば図5(B)に示すように、各種経営指標についての評価指数を、対応する金融機関識別情報および決算期を示す情報と対応づけて記憶している。
図3に戻って、財務情報更新部111は、企業が所有する端末装置3から通信部107を介して財務情報を受信し、受信した財務情報を財務DB131に追加する形で財務DB131を更新する。
経営指標算出部112は、財務DB131が記憶する財務情報に基づいて、経営指標を算出する。経営指標算出部112は、算出した経営指標を示す経営指標情報を経営指標情報更新部114へ通知する。
経営指標情報更新部114は、経営指標算出部112から通知される経営指標情報を、経営指標DB132へ追加する形で経営指標DB132を更新する。また、経営指標情報更新部114は、外部機関が所有するサーバ4から通信部107を介して全国の企業の経営指標平均値情報を受信する。そして、経営指標情報更新部114は、受信した経営指標平均値情報を、経営指標平均値DB133へ追加する形で経営指標平均値DB133を更新する。また、経営指標情報更新部114は、経営指標平均値DB133を更新した後、経営指標平均値DB133の更新が完了したことを通知する更新完了通知を評価指数算出部116へ出力する。
計時部115は、予め設定された決算期が到来すると、決算期到来通知を評価指数算出部116へ出力する。決算期は、例えば9月末と3月末の時期に設定される。
評価指数算出部116は、経営指標DB132から、評価対象である対象金融機関との取引先の企業の経営指標情報を取得し、取得した経営指標情報に基づいて、対象金融機関の、対象金融機関の取引先の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する。具体的には、評価指数算出部116は、まず、計時部115から決算期到来通知が入力されると、通信部107を介して管理者が所有するサーバ4へ全国の企業の経営指標平均値情報を要求する経営指標要求情報を送信する。そして、評価指数算出部116は、経営指標情報更新部114から更新完了通知が入力されると、対象金融機関と取引している企業の全ての経営指標情報を取得する。次に、評価指数算出部116は、取得した経営指標情報と前述の式(1)とを用いて、対象金融機関の評価指数を算出する。ここで、評価指数算出部116は、対象金融機関との取引先の企業全ての経営指標情報が示す経営指標の平均値を算出し、算出した経営指標の平均値と経営指標平均値情報が示す値との差分値である評価指数を算出する。評価指数算出部116は、算出した評価指数を、金融機関識別情報に対応づけて、評価指数DB134に記憶させる。
評価指数選定部117は、金融機関が所有する端末装置2から通信部107を介して評価指数要求情報を受信すると、評価指数要求情報に含まれる金融機関識別情報に基づいて、評価指数DB134から評価指数を選定する。そして、評価指数選定部117は、選定した評価指数を示す評価指数情報を、指数情報送信部118へ出力する。
指数情報送信部118は、評価指数選定部117から入力される評価指数情報を、通信部107を介して、評価指数要求情報の送信元の端末装置2へ送信する。
次に、本実施の形態に係る金融機関評価装置1が実行する評価指数算出処理について図6を参照しながら説明する。この評価指数算出処理は、金融機関評価会社に属するユーザが金融機関評価装置1へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、財務情報更新部111は、企業が所有する端末装置3から送信された財務情報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。財務情報更新部111が、端末装置3から財務情報を受信していないと判定すると(ステップS101:No)、後述のステップS105の処理が実行される。
一方、財務情報更新部111は、端末装置3から財務情報を受信したと判定すると(ステップS101:Yes)、受信した財務情報を財務DB131に追加する形で財務DB131を更新する(ステップS102)。
次に、経営指標算出部112が、財務DB131が記憶する財務情報に基づいて、経営指標を算出する(ステップS103)。経営指標算出部112は、算出した経営指標を示す経営指標情報を経営指標情報更新部114へ通知する。
続いて、経営指標情報更新部114は、経営指標算出部112から通知される経営指標情報を用いて、経営指標DB132を更新する(ステップS104)。
その後、評価指数算出部116は、計時部115からの決算期到来通知の入力有無に応じて決算期が到来したか否かを判定する(ステップS105)。評価指数算出部116により決算期が到来していないと判定されると(ステップS105:No)、後述のステップS111の処理が実行される。
一方、評価指数算出部116は、決算期が到来したと判定すると(ステップS105:Yes)、全国の企業の経営指標の平均値を示す経営指標平均値情報を要求する経営指標要求情報を、外部機関の所有するサーバ4へ送信する(ステップS106)。サーバ4は、経営指標要求情報を受信すると、経営指標要求情報が示す決算期における経営指標平均値情報を金融機関評価装置1へ送信する。そうすると、経営指標情報更新部114は、サーバ4から通信部107を介して経営指標平均値情報を受信し(ステップS107)、受信した経営指標平均値情報で、経営指標平均値DB133を更新する(ステップS108)。
次に、評価指数算出部116は、経営指標情報更新部114から更新完了通知が入力されると、前述の式(1)を用いて、各金融機関の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する(ステップS109)。そして、評価指数算出部116は、算出した評価指数を、金融機関識別情報に対応づけて、評価指数DB134に追加する形で評価指数DB134を更新する(ステップS110)。
続いて、評価指数選定部117は、金融機関が所有する端末装置2から通信部107を介して評価指数要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS111)。評価指数選定部117により端末装置2から評価指数要求情報を受信していないと判定されると(ステップS111:No)、再びステップS101の処理が実行される。
一方、評価指数選定部117は、端末装置2から評価指数要求情報を受信したと判定すると(ステップS111:Yes)、評価指数要求情報に含まれる金融機関識別情報に基づいて、評価指数DB134から評価指数情報を選定する(ステップS112)。評価指数選定部117は、選定した評価指数情報を、指数情報送信部118へ出力する。
その後、指数情報送信部118は、評価指数選定部117から入力された評価指数情報を、通信部107を介して端末装置2へ送信する(ステップS113)。次に、再びステップS101の処理が実行される。
以上説明したように、本実施の形態に係る金融機関評価装置1によれば、評価指数算出部116が、評価対象である対象金融機関との取引先の企業全ての経営指標情報を取得し、取得した経営指標情報に基づいて、対象金融機関の、対象金融機関の取引先の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する。これにより、対象金融機関の取引先の企業全ての経営指標を考慮した対象金融機関の取引先の企業の発展への貢献度を評価指数により定量的に表すことができるので、例えば評価指数を対象金融機関の利用者に公表することで対象金融機関の実力を利用者に客観的に示すことができる。
また、本実施の形態に係る金融機関評価装置1は、日本全国の全ての企業の経営指標の平均値を示す全国経営指標平均値情報を記憶する経営指標平均値DB133を備える。そして、評価指数算出部116が、対象金融機関との取引先の企業全ての経営指標情報が示す経営指標の平均値と、全国経営指標平均値情報が示す経営指標の平均値と、の差分から、評価指数を算出する。これにより、対象金融機関の評価指数として、日本全国の企業全体の経営指標の増減の影響を省いた数値が算出されるので、対象金融機関の評価指数の精度が向上する。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る会計事務所評価装置は、一種の企業の支援機関である会計事務所の取引先の企業の財務情報と、会計事務所がその取引先の企業の各種能力を客観的に評価して得られた能力評価情報と、を保持する。会計事務所評価装置は、会計事務所の取引先の企業の財務情報および能力評価情報から、会計事務所の取引先の企業への貢献度を示す指数を算出する。そして、会計事務所評価装置は、算出した指数を、その指数を要求する会計事務所が保有する端末装置へ送信する。
図7に示すように、会計事務所評価装置2001は、例えば各会計事務所の取引先の企業の発展への貢献度を評価する会計事務所評価会社が所有する。会計事務所評価装置2001は、取引先の会計事務所が所有する端末装置2002と、会計事務所と取引のある複数の企業それぞれが所有する端末装置3とに、ネットワークNTを介して接続されている。ネットワークNTには、LANおよびインターネットが含まれる。
会計事務所評価装置2001は、例えば通信機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、CPUと主記憶部と補助記憶部と入力部と表示部と通信部とを備える。会計事務所評価装置2001のハードウェア構成は、実施の形態1で説明した金融機関評価装置と同様である。補助記憶部は、会計事務所評価装置2001の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、会計事務所評価装置2001の各種機能が実現される。
端末装置2002、3は、例えばスマートフォン或いは通信機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータであり、会計事務所評価装置2001と同様にCPUと主記憶部と補助記憶部と入力部と表示部と通信部とを備える。端末装置2002の補助記憶部は、能力評価情報の入力画面を表示部に表示させるとともに、入力された能力評価情報を会計事務所評価装置2001へ送信するためのプログラムを記憶する。また、端末装置2002の補助記憶部は、更に、会計事務所評価装置2001へ指数要求情報を送信するとともに、受信した指数情報を表示部に表示させるためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、これらのプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、会計事務所評価装置2001へ能力評価情報または指数要求情報を送信する機能、能力評価情報の入力画面または受信した指数情報を表示部に表示させる機能が実現される。
端末装置3の補助記憶部は、会計事務所評価装置2001へ財務情報を送信するためのプログラムを記憶する。そして、CPUが、このプログラムを補助記憶部から主記憶部に読み出して実行することにより、会計事務所評価装置2001へ財務情報を送信する機能が実現される。
次に、会計事務所評価装置2001および端末装置2002、3から構成されるシステムの動作について図8を参照しながら説明する。まず、企業が、自社の財務情報を端末装置3へ入力すると(ステップS51)、その財務情報が、端末装置3から会計事務所評価装置2001へ送信される(ステップS52)。ステップS51、S52の処理は、実施の形態1の図2で説明したステップS1、S2の処理と同様である。
一方、会計事務所評価会社が所有している会計事務所評価装置2001は、財務情報を受信すると、受信した財務情報を自己が有する財務データベース(以下、「DB」と称する。)に追加する形で財務DBを更新する(ステップS53)。続いて、会計事務所評価装置2001は、財務DBが記憶する財務情報を用いて、売上高営業利益率、売上高経常利益率等の経営指標を算出する(ステップS54)。
その後、会計事務所評価装置2001は、算出した経営指標を示す情報を、自己が有する経営指標DBに追加する形で経営指標DBを更新する(ステップS55)。ここで、会計事務所評価装置2001は、算出した各経営指標を、企業識別情報、決算期情報および会計事務所識別情報と対応づけて追加する形で、財務DBを更新する。
企業において端末装置3に財務情報が入力される毎に(ステップS56)、その企業の財務情報が、その企業の端末装置3から会計事務所評価装置2001へ送信される(ステップS57)。そして、会計事務所評価装置2001は、財務情報を受信する毎に、財務DBの更新(ステップS58)、経営指標の算出(ステップS59)を実行してから、経営指標DBを更新する(ステップS60)。
その後、予め設定された決算期が到来すると、会計事務所評価装置2001は、各会計事務所へ会計事務所の取引先の企業の能力評価を要求する能力評価要求情報を、各会計事務所が所有する端末装置2002へ送信する(ステップS61)。一方、端末装置2002は、会計事務所評価装置2001から能力評価要求情報を受信すると、能力評価情報の入力画面を表示部に表示させる(ステップS62)。
ここで、表示部には、例えば図9に示すような能力評価情報入力画面2002aが表示される。図9に示すように、管理会計について、業績評価システムの整備度合い、計画策定能力、業績報告会議のレベル、分析能力の高さ、行動や計画の修正能力の高さそれぞれの評価値を5点のリッカートスケールに沿って評価値を入力するようになっている。また、経営者について、経営計画策定意欲、社内・社外とのコミュニケーション、市場・技術動向に対する感度それぞれの評価値を、従業員について、職務の理解や自律性・コミュニケーションそれぞれの評価値を5点のリッカートスケールに沿って評価値を入力するようになっている。また、能力評価情報入力画面2002aには、5点のリッカートスケールに沿った評価値のいずれかを択一的に選択できるラジオボタンRBが表示されている。更に、能力評価情報入力画面2002aには、全ての評価項目について入力が完了した際にクリックされる入力完了釦FBが表示されている。端末装置2002は、この入力完了釦FBがクリックされると、能力評価情報入力画面2002aを介して入力された各評価項目に対する評価値の入力を受け付ける。
図8に戻って、次に、端末装置2002は、その入力部を介して会計事務所の取引先の各企業についての能力評価情報の入力を付けると(ステップS63)、各企業について入力された能力評価情報を用いてクロンバックのα係数を算出する(ステップS64)。クロンバックのα係数は、能力評価情報の信憑性を表す指標であり、この値が高いほど能力評価情報の信憑性が高くなる。ここで、会計事務所に属し且つ取引先の企業を評価できる複数のユーザが、取引先の各企業について能力評価情報を入力する。そして、端末装置2002は、複数のユーザそれぞれの能力評価情報に基づいて、クロンバックのα係数を算出する。
続いて、端末装置2002は、会計事務所の取引先の企業全てについてクロンバックのα係数が予め設定されたα係数閾値以上であると判定すると(ステップS65)、入力された能力評価情報を会計事務所評価装置2001へ送信する(ステップS66)。ここで、α係数閾値は、例えば0.7乃至0.8の間の数値に設定される。
一方、会計事務所評価装置2001は、端末装置2002から能力評価要求情報を受信すると、受信した能力評価情報を、自己が有する能力評価DBに追加する形で能力評価DBを更新する(ステップS67)。
その後、会計事務所評価装置2001は、自己が有する経営指標DBから評価対象である対象会計事務所の取引先の企業の経営指標を示す情報を取得し、能力評価DBから対象会計事務所の取引先の企業の能力評価情報を取得する。そして、会計事務所評価装置2001は、取得した経営指標を示す情報と能力評価情報とを用いて重回帰分析を行い、会計事務所の取引先企業への影響度を示す影響度指標を算出する(ステップS68)。ここで、会計事務所評価装置2001は、例えば下記式(2)で表される近似式を用いて重回帰分析を行うことにより得られるt値に相当する。
・・・式(2)
ここで、iは企業の識別情報、tは決算期、P(i,t)は企業iの決算期tにおける経営指標、Cは偏回帰係数、x
1は管理会計能力を示す変数、x
2は経営者の計画策定意欲を示す変数、x
3は経営者の情報感度を示す変数、x
4は従業員の能力を示す変数である。変数x
1は、5点のリッカートスケールに基づいて入力された、業績評価システムの整備度合い、計画策定能力、業績報告会議のレベル、分析能力の高さ、行動や計画の修正能力の高さそれぞれの評価値に予め設定された因子負荷量で加重平均して得られる値に相当する。変数x
2は、5点のリッカートスケールに基づいて入力された経営計画策定意欲の評価値に予め設定された因子負荷量を乗じて得られる値に相当する。変数x
3は、5点のリッカートスケールに基づいて入力された、社内・社外とのコミュニケーション、市場・技術動向に対する感度それぞれの評価値に予め設定された因子負荷量で加重平均して得られる値に相当する。変数x
4は、5点のリッカートスケールに基づいて入力された、職務の理解や自律性・コミュニケーションそれぞれに予め設定された因子負荷量で加重平均して得られる値に相当する。
次に、会計事務所評価装置2001は、図10に示すように、自己が有する影響度指標DB2135に算出した影響度指標を追加する形で影響度指標DB2135を更新する(ステップS69)。続いて、会計事務所評価装置2001は、自己が有する影響度指標DBから、会計事務所評価会社の取引先の全ての会計事務所に関する影響度指標を取得する。そして、会計事務所評価装置2001は、評価対象となる対象会計事務所の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する(ステップS70)。この対象会計事務所は、会計事務所評価装置2001の評価対象となる対象支援機関に相当する。
ここで、会計事務所評価装置2001は、下記式(3)で表される関係式に基づいて、評価指数を算出する。
・・・式(3)
ここで、p
tは対象会計事務所の識別情報、pは会計事務所の識別情報、tは決算期、β(p
t,t)は対象会計事務所の決算期tにおける影響度指標、β(p,t)は会計事務所pの決算期tにおける影響度指標、IN(P,t)は、対象会計事務所の決算期tにおける影響度指標βに関する評価指数を示す。式(3)の第2項は、会計事務所評価会社と取引のある全ての会計事務所における影響度指標の平均値に相当する。式(3)に示すように、本実施の形態における評価指数とは、対象会計事務所の影響度指標の値の、会計事務所評価会社と取引のある全ての会計事務所の平均値からのずれ量を示すものである。影響度指標としては、管理会計能力に対する売上高営業利益率への影響度を採用した場合、評価指数が正の場合、対象会計事務所は概ね取引先の管理会計能力の向上を通じて取引先企業の売上高営業利益率への貢献度が高いと評価できる。一方、評価指数が負の場合、対象会計事務所は概ね取引先の管理会計能力の向上を通じた取引先企業の売上高営業利益率への貢献度が低いと評価できる。
その後、会計事務所評価装置2001は、対象会計事務所について算出した評価指数で、自己が有する評価指数DBを更新する(ステップS71)。なお、会計事務所評価装置2001は、会計事務所評価会社と取引のある会計事務所を対象会計事務所として順に選択し、前述と同様にして評価指数を算出し評価指数DBを更新していく。
次に、会計事務所評価装置2001へ評価指数を示す指数情報を要求する指数情報要求情報が、会計事務所が所有する端末装置2002から会計事務所評価装置2001へ送信されたとする(ステップS72)。この場合、会計事務所評価装置2001は、評価指数DBから指数情報要求情報に対応する評価指数情報を選定する(ステップS73)。指数情報要求情報は、例えば端末装置2002を所有する会計事務所の会計事務所識別情報を含む。この場合、会計事務所評価装置2001は、評価指数要求情報に含まれる会計事務所識別情報に基づいて、評価指数DBから評価指数情報を選定する。
続いて、会計事務所評価装置2001が選定した評価指数情報が、会計事務所評価装置2001から端末装置2002へ送信される(ステップS74)。一方、端末装置2002は、評価指数情報を受信すると、受信した評価指数情報を表示部へ表示させる(ステップS75)。これにより、会計事務所では、評価指数情報により、自己の取引先の企業の管理会計能力の向上を通じた取引先の企業の発展への貢献度を把握することができる。
次に、本実施の形態に係る会計事務所評価装置2001の機能構成について説明する。図11に示すように、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部に読み込んで実行することにより、財務情報更新部2111、経営指標算出部2112、経営指標情報更新部2113、計時部2114、能力評価情報更新部2115、重回帰分析部2116、評価指数算出部2117、評価指数選定部2118および指数情報送信部2119として機能する。なお、財務情報更新部2111、経営指標算出部2112、経営指標情報更新部2113、計時部2114、評価指数選定部2118および指数情報送信部2119の機能は、実施の形態1で説明した財務情報更新部111、経営指標算出部112、経営指標情報更新部114、計時部115、評価指数選定部117および指数情報送信部118の機能と同様である。また、補助記憶部103は、財務DB2131と、経営指標DB2132と、能力評価DB2133と、因子負荷量DB2134と、影響度指標DB2135と、評価指数DB2136と、を有する。なお、財務DB2131は、実施の形態1で説明した財務DB131と同様である。
経営指標DB2132は、複数の企業それぞれの売上高営業利益率、売上高経常利益率等の経営指標を示す経営指標情報を、複数の企業それぞれの取引先である会計事務所を示す会計事務所識別情報と対応づけて記憶する。経営指標DB2132は、例えば図4において、金融機関識別情報を会計事務所識別情報に置き換えたものに相当する。
図11に戻って、能力評価DB2133は、複数の企業それぞれの能力評価情報を複数の企業それぞれの取引先である会計事務所と対応づけて記憶する能力評価情報記憶部である。能力評価DB2133は、例えば図12に示すように、会計事務所毎に、会計事務所の取引先である各企業の能力評価値を示す能力評価情報を企業識別情報と対応付けて記憶している。能力評価情報はは、5点のリッカートスケールに基づいた、業績評価システムの整備度合い、計画策定能力、業績報告会議のレベル、分析能力の高さ、行動や計画の修正能力の高さ、経営計画策定意欲、社内・社外とのコミュニケーション、市場・技術動向に対する感度、職務の理解や自律性・コミュニケーションそれぞれの評価値である。
因子負荷量DB2134は、能力評価情報に含まれる各種評価項目の評価値に対する因子負荷量を示す因子負荷量情報を記憶する因子負荷量情報記憶部である。因子負荷量DB2134は、例えば図13(A)に示すように、業績評価システムの整備度合い、計画策定能力、業績報告会議のレベル、分析能力の高さ、行動や計画の修正能力の高さ、経営計画策定意欲、社内・社外とのコミュニケーション、市場・技術動向に対する感度、職務の理解や自律性・コミュニケーションそれぞれの評価値それぞれに対応する因子負荷量を示す情報を記憶している。これらの因子負荷量は、例えば会計事務所評価会社が因子分析を行うことにより適宜設定される。
影響度指標DB2135は、前述の重回帰分析により得られるt値を示す情報を記憶する影響度指標情報記憶部である。影響度指標DB2135は、例えば図13(B)に示すように、t値を、各経営指標に対する管理会計能力を示す能力変数、経営者の計画策定意欲を示す能力変数、経営者の情報感度を示す能力変数、従業員の能力を示す能力変数等を識別する能力変数識別情報と対応付けて記憶する。
評価指数DB2136は、例えば図14に示すように、経営指標と能力変数との各種組み合わせについての評価指数を、対応する会計事務所識別情報および決算期を示す情報と対応づけて記憶している。
図11に戻って、能力評価情報更新部2115は、端末装置2002から受信する能力評価情報を、能力評価DB2133へ追加する形で能力評価DB2133を更新する。
重回帰分析部2116は、対象会計事務所の取引先の企業の経営指標情報と、対象会計事務所の取引先の企業の能力評価情報と、に基づいて、対象会計事務所の取引先の企業への影響度を示す影響度指標を算出する影響度算出部である。重回帰分析部2116は、能力評価DB2133から能力評価情報を取得するとともに、因子負荷量DB2134から因子負荷量情報を取得する。そして、重回帰分析部2116は、取得した能力評価情報と因子負荷量情報とに基づいて、対象会計事務所の取引先の能力を示す各種能力変数を算出する。重回帰分析部2116は、経営指標DB2132から各種経営指標情報を取得し、それらが示す経営指標の値に対する各種能力変数の影響度を示す影響度指標であるt値を、前述の式(2)で表される近似式を用いた重回帰分析を実行することにより算出する。そして、重回帰分析部2116は、算出したt値を示す情報を、影響度指標DB2135に追加する形で影響度指標DB2135を更新する。また、重回帰分析部2116は、影響度指標DB2135を更新した後、影響度指標DB2135の更新が完了したことを通知する更新完了通知を評価指数算出部2117へ出力する。
評価指数算出部2117は、会計事務所の取引先の企業の経営指標情報に関する情報である影響度指標情報に基づいて、対象会計事務所の取引先の企業の管理会計能力向上を通じた取引先の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する。具体的には、評価指数算出部2117は、重回帰分析部2116から更新完了通知が入力されると、影響度指標DB2135から、対象会計事務所を含む会計事務所評価会社と取引のある全ての会計事務所の影響度指標を示す情報を取得する。次に、評価指数算出部2117は、取得した影響度指標を示す情報と前述の式(3)の関係式とを用いて、対象会計事務所の評価指数を算出する。即ち、評価指数算出部2117は、対象会計事務所を含む複数の会計事務所それぞれの取引先の企業への影響度指標の平均値を算出し、対象会計事務所の取引先の企業への影響度指標の値と、算出した影響度指標の平均値と、の差分値を算出する。評価指数算出部2117は、算出した評価指数を、会計事務所識別情報に対応づけて、評価指数DB2136に記憶させる。
次に、本実施の形態に係る会計事務所評価装置2001が実行する評価指数算出処理について図15を参照しながら説明する。この評価指数算出処理は、会計事務所評価会社に属するユーザが会計事務所評価装置2001へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、財務情報更新部2111は、企業が所有する端末装置3から送信された財務情報を受信したか否かを判定する(ステップS201)。財務情報更新部2111が、端末装置3から財務情報を受信していないと判定すると(ステップS201:No)、後述のステップS205の処理が実行される。一方、財務情報更新部2111は、端末装置3から財務情報を受信したと判定すると(ステップS201:Yes)、受信した財務情報を財務DB2131に追加する形で財務DB2131を更新する(ステップS202)。
次に、経営指標算出部2112が、財務DB2131が記憶する財務情報に基づいて、経営指標を算出する(ステップS203)。経営指標算出部2112は、算出した経営指標を示す経営指標情報を経営指標情報更新部2113へ通知する。続いて、経営指標情報更新部2113は、経営指標算出部2112から通知される経営指標情報を用いて、経営指標DB2132を更新する(ステップS204)。
その後、能力評価情報更新部2115、重回帰分析部2116および評価指数算出部2117は、計時部2114からの決算期到来通知の入力有無に応じて決算期が到来したか否かを判定する(ステップS205)。能力評価情報更新部2115、重回帰分析部2116および評価指数算出部2117により決算期が到来していないと判定されると(ステップS205:No)、後述のステップS213の処理が実行される。
一方、能力評価情報更新部2115、重回帰分析部2116および評価指数算出部2117が、決算期が到来したと判定したとする(ステップS205:Yes)。この場合、能力評価情報更新部2115は、会計事務所にその取引先の企業の能力評価情報の送信を要求する能力評価要求情報を、会計事務所評価会社の取引先である各会計事務所が保有する端末装置2002へ送信する(ステップS206)。各会計事務所が保有する端末装置2002は、能力評価要求情報を受信すると、後述する能力評価情報送信処理を実行することにより、能力評価情報を生成して会計事務所評価装置2001へ送信する。そうすると、能力評価情報更新部2115は、端末装置2002から通信部107を介して能力評価情報を受信し(ステップS207)、受信した能力評価情報で、能力評価DB2133を更新する(ステップS208)。
次に、重回帰分析部2116は、重回帰分析処理を実行する(ステップS209)。ここでは、重回帰分析部2116が、能力評価DB2133から能力評価情報を取得するとともに、因子負荷量DB2134から因子負荷量情報を取得し、取得した能力評価情報および因子負荷量情報から各種変数を算出する。そして、重回帰分析部2116は、経営指標DB2132から各種経営指標を示す情報を取得し、それらが示す経営指標の値に対する各種変数の影響度を示す影響度指標であるt値を、前述の式(2)で表される近似式を用いた重回帰分析により算出する。
続いて、重回帰分析部2116は、算出したt値を示す情報を、影響度指標DB2135に追加する形で影響度指標DB2135を更新する(ステップS210)。ここで、重回帰分析部2116は、影響度指標DB2135を更新した後、前述の更新完了通知を評価指数算出部2117へ出力する。
その後、評価指数算出部2117は、重回帰分析部2116から更新完了通知が入力されると、前述の式(3)を用いて、各会計事務所のその取引先の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する(ステップS211)。そして、評価指数算出部2117は、算出した評価指数を、会計事務所識別情報に対応づけて、評価指数DB2136に追加する形で評価指数DB2136を更新する(ステップS212)。
次に、評価指数選定部2118は、会計事務所が所有する端末装置2002から通信部107を介して評価指数要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS213)。評価指数選定部2118により端末装置2002から評価指数要求情報を受信していないと判定されると(ステップS213:No)、再びステップS201の処理が実行される。
一方、評価指数選定部2118は、端末装置2002から評価指数要求情報を受信したと判定すると(ステップS213:Yes)、評価指数要求情報に含まれる会計事務所識別情報に基づいて、評価指数DB2136から評価指数情報を選定する(ステップS214)。評価指数選定部2118は、選定した評価指数情報を、指数情報送信部2119へ出力する。
続いて、指数情報送信部2119は、評価指数選定部2118から入力された評価指数情報を、通信部107を介して端末装置2002へ送信する(ステップS215)。その後、再びステップS201の処理が実行される。
次に、本実施の形態に係る会計事務所が所有する端末装置2002が実行する能力評価情報送信処理について図16を参照しながら説明する。この能力評価情報送信処理は、会計事務所に属するユーザが端末装置2002へ電源を投入したことを契機として開始される。
まず、端末装置2002は、会計事務所評価装置2001から能力評価要求情報を受信したか否かを判定する(ステップS301)。端末装置2002は、会計事務所評価装置2001から能力評価要求情報を受信しない限り(ステップS301:No)、ステップS301の処理を繰り返す。一方、端末装置2002は、会計事務所評価装置2001から能力評価要求情報を受信したと判定したとする(ステップS301:Yes)。この場合、端末装置2002は、会計事務所に属するユーザが取引先の企業の能力評価情報を入力するための能力評価情報入力画面を表示部に表示させる(ステップS302)。このとき、端末装置2002は、例えば図9に示すような能力評価情報入力画面2002aを表示部に表示させる。続いて、端末装置2002は、能力評価情報の入力を受け付ける(ステップS303)。ここで、端末装置2002は、例えば会計事務所に属し取引先の各企業の評価を行う複数人のユーザそれぞれの能力評価情報の入力を受け付ける。
次に、端末装置2002は、複数人のユーザそれぞれが入力した能力評価情報を用いてクロンバックのα係数を算出する(ステップS304)。続いて、端末装置2002は、算出したクロンバックのα係数が予め設定されたα係数閾値以上であるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、α係数閾値は、例えば0.7乃至0.8の間の数値に設定される。端末装置2002は、算出したクロンバックのα係数がα係数閾値未満であると判定すると(ステップS305:No)、再びステップS302の処理を実行する。
一方、端末装置2002は、算出したクロンバックのα係数がα係数閾値以上であると判定すると(ステップS305:Yes)、受け付けた能力評価情報を会計事務所評価装置2001へ送信する(ステップS306)。その後、端末装置2002は、再びステップS301の処理を実行する。
以上説明したように、本実施の形態に係る会計事務所評価装置2001によれば、評価指数算出部2117が、会計事務所の取引先の企業の経営指標情報に関する情報である影響度指標(t値)を示す情報に基づいて、評価対象である対象会計事務所それぞれの取引先の企業の発展への貢献度を示す評価指数を算出する。ここで、重回帰分析部2116は、経営指標DB2132から対象会計事務所との取引先の企業の経営指標情報を取得するとともに、能力評価DB2133から対象会計事務所の取引先の企業の能力評価情報を取得する。そして、重回帰分析部2116は、取得した経営指標情報と能力評価情報とに基づいて、対象会計事務所の取引先の企業への影響度を示す影響度指標(t値)を算出する。これにより、例えば対象会計事務所の取引先の企業の管理会計能力向上を通じた取引先の企業の発展への貢献度を評価指数により定量的に表すことができるので、例えば評価指数を対象会計事務所の利用者に公表することで対象会計事務所の実力を利用者に客観的に示すことができる。
また、本実施の形態に係る会計事務所評価装置2001によれば、重回帰分析部2116が、能力評価情報と因子負荷量情報とに基づいて、対象会計事務所の取引先の能力を示す能力変数を算出し、重回帰分析を実行することにより、経営指標情報が示す経営指標に対する能力変数の影響度を示すt値を影響度指標として算出する。これにより、対象会計事務所の取引先の企業の管理会計能力向上を通じた取引先の企業の発展への貢献度を精度良く求めることができる。
更に、本実施の形態に係る会計事務所評価装置2001によれば、評価指数算出部2117が、対象会計事務所を含む複数の会計事務所それぞれの取引先の企業への影響度指標の平均値を算出し、対象会計事務所の取引先の企業への影響度指標の値と算出した影響度指標の平均値との差分値である評価指数を算出する。これにより、対象会計事務所の取引先の企業への影響度の、会計事務所評価会社と取引のある全ての会計事務所の取引先の企業への影響度と比較することが可能となる。
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、金融機関評価装置が、財務DB131が記憶する財務情報に基づいて、複数の企業それぞれと複数の企業それぞれの取引先の少なくとも1つの金融機関との取引量を算出し、算出した取引量に応じて、少なくとも1つの金融機関の、複数の企業それぞれへの寄与率を算出する寄与率算出部を備えるものであってもよい。そして、評価指数算出部116が、評価指数を算出する際、対象金融機関の複数の企業それぞれへの寄与率に基づいて、経営指標情報を取得するようにしてもよい。
また、評価指数算出部116が、対象金融機関のみと取引している企業および対象金融機関の寄与率が他の金融機関よりも高い企業、即ち、対象金融機関をメインバンクとしている企業の全ての経営指標情報を取得するようにしてもよい。或いは、評価指数算出部116が、評価指数を算出する際、対象金融機関の寄与率が2番目に高い企業、即ち、対象金融機関をサブメインバンクとしている企業の全ての経営指標情報を取得するようにしてもよい。
本構成によれば、対象金融機関の取引先の企業に複数の金融機関と取引のある企業が存在する場合、対象金融機関がメインバンクとして関わっている企業、或いはサブバンクとして関わっている企業への対象金融機関の貢献度を把握することが可能となる。
実施の形態1では、ある1つの決算期tにおける評価指数を算出する例について説明したが、これに限らず、例えば評価指数の変化率を示す指数変化率を算出する指数変化率算出部を備えてもよい。そして、金融機関評価装置は、指数変化率が大きい金融機関ほど企業の経営指標を向上させる力があるいわゆる目利き力のある金融機関であると判定するようにしてもよい。
指数変化率算出部は、例えば下記式(4)の関係式に基づいて、各金融機関の指数変化率を算出する。
・・・式(4)
ここで、IN(P,t2)は、決算期t2における評価指数であり、IN(P,t1)は、決算期t1における評価指数である。△IN(P,t1,t2)は、決算期t1における評価指数に対する決算期t2における評価指数t1の変化率を示す。
本構成によれば、企業の経営指標を向上させるいわゆる目利き力のある金融機関を評価することが可能となる。
実施の形態2では、重回帰分析部2116が、経営指標情報が示す経営指標の値に対する会計事務所の取引先の企業の各種能力変数の影響度を示す影響度指標であるt値を重回帰分析を実行することにより算出する例について説明した。但し、これに限らず、例えば重回帰分析部が、会計事務所が取引先企業に対して行っているコンサルティングのレベルを示すコンサルティング変数を用いて、影響度指標を算出する構成であってもよい。コンサルティング変数としては、例えば会計事務所が取引先の企業の管理会計能力を向上させるためのスキームの導入状況を示す値を採用することができる。例えばコンサルティング変数が、会計事務所の取引先の企業への経営のPDCAサイクルの導入状況を評価するための複数の評価項目についての5点リッカートスケールに沿った評価値から算出した変数であってもよい。そして、重回帰分析部が、各種能力変数の値に対する各種コンサルティング変数の影響度を示す影響度指標であるt値を、重回帰分析を実行することにより算出してもよい。
この場合、評価指数算出部は、例えば下記式(5)で表される関係式に基づいて、評価対象となる対象会計事務所の評価指数を算出する。
・・・式(5)
ここで、p
t、p、t、q、IN(P,t)は、式(3)の場合と同様である。α(p
t,t)は対象会計事務所の決算期tにおける能力変数に対する影響度指標、α(p,t)は会計事務所pの決算期tにおける能力変数に対する影響度指標を示す。影響度指標として管理会計能力への影響度を採用した場合、評価指数が正の場合、対象会計事務所は概ね取引先の管理会計能力の向上への貢献度が高いと評価できる。一方、評価指数が負の場合、対象会計事務所は概ね取引先の管理会計能力の向上への貢献度が低いと評価できる。
本構成によれば、会計事務所の取引先の企業の管理会計能力の向上への貢献度の観点から会計事務所を評価することが可能となる。
実施の形態2では、影響度指標としてt値を用いる例について説明したが、これに限らず、例えば重回帰分析により得られる標準化偏回帰係数を影響度指数として用いてもよい。
実施の形態1では、金融機関評価会社が金融機関評価装置1を所有する例について説明したが、これに限らず、例えば金融機関が金融機関評価装置1を所有してもよい。また、実施の形態2では、会計事務所評価会社が会計事務所評価装置2001を所有する例について説明したが、これに限らず、例えば会計事務所が会計事務所評価装置2001を所有してもよい。
各実施の形態では、評価対象が金融機関或いは会計事務所である例について説明したが、これに限らず、例えば税理士事務所であってもよい。
また、本発明に係る金融機関評価装置1または会計事務所評価装置2001の各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する金融機関評価装置1または会計事務所評価装置2001を構成してもよい。
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS(Bulletin Board System))にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OS(Operating System)の制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する金融機関評価装置1または会計事務所評価装置2001として機能する。
以上、本発明の各実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同
様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施
の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。