JP2019144486A - 画像加熱装置 - Google Patents

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慶一 水上
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Abstract

【課題】フィルム100に大きい寄り力が発生した場合においても、フィルム100の端部破損を抑制できるフィルム加熱方式の画像加熱装置40を提供する。【解決手段】フランジ部材105の端部規制面105aを、加圧方向に対して機体中央側に向かって傾斜させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、電子写真方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に搭載される定着装置として用いるに好適な画像加熱装置に関する。
上記のような画像形成装置に用いられる定着装置として、クイックスタートや省エネルギーの観点で有利なフィルム(ベルト)加熱方式の定着装置がある。この定着装置は、無端状の耐熱性フィルム(定着フィルム、定着ベルト:以下、フィルムと記す)と、ヒータと、フィルムを介してヒータと共にニップ部を形成する対向部材(加圧ローラ)とを有する。そのニップ部で未定着トナー像を担持した記録材を搬送しながら加熱することによって、トナー像を記録材に定着させる。
この定着装置においては、フィルムと対向部材の位置精度のばらつきなどによって、回転するフィルムが記録材搬送方向に直交する方向(フィルム長手方向)に寄ってしまう現象(以下、フィルム寄り)が発生することがある。
このフィルム寄りの対策として、フィルムの端部を規制部材で規制する方法が用いられている。特許文献1では、フィルムをルーズに懸回してフィルムの寄り力を低減し、フィルム端部を規制部材としての定着フランジで受け止めて寄り規制を行なうことが提案されている。
特開平04−044075号公報
しかし、上記のようにフィルム端部を定着フランジで規制する場合、フィルムの寄る力(以下、寄り力)が大きくなると、フィルム端部に折れ、あるいは亀裂を生じる現象が発生することがある。その結果として、定着画像の劣化、フィルムの走行不良、耐久寿命の低寿命化の可能性があった。
特に、フィルムの膜厚が薄い場合や、フィルムの基材が樹脂製である場合などには、フィルムの強度が弱く、寄り力によってフィルム端部の破損が生じる恐れがあった。
そこで、本発明の目的は、フィルムに大きい寄り力が発生した場合においても、フィルムの端部破損を抑制できる画像加熱装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、
ニップ部にて記録材上のトナー像を加熱するための樹脂製のエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトと協働して前記ニップ部を形成する回転体と、
前記エンドレスベルトの内周面に設けられ、前記ニップ部が形成されるように前記回転体と共に前記エンドレスベルトを挟むニップ形成部材と、
前記エンドレスベルトの長手方向の一端側にて前記エンドレスベルトの端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する規制面を有する規制部材と、
前記規制部材と前記ニップ形成部材を支持するステーと、
前記規制部材を加圧する加圧バネを有する加圧機構と、
前記エンドレスベルトと前記回転体により前記ニップ部を形成される第1の位置と、前記第1の位置に位置する場合よりも前記エンドレスベルトと前記回転体の間にかかる荷重が小さい第2の位置と、を取り得るように前記加圧機構を移動させる移動機構と、
を有し、
前記加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記規制面は、前記加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して他端側に向かって傾斜するように設けられており、その傾きは、0.3度以上2.0度以下であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置の他の代表的な構成は、
ニップ部にて記録材上のトナー像を加熱するための樹脂製のエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトと協働して前記ニップ部を形成する回転体と、
前記エンドレスベルトの内周面に設けられ、前記ニップ部が形成されるように前記回転体と共に前記エンドレスベルトを挟むニップ形成部材と、
前記エンドレスベルトの長手方向の一端側にて前記エンドレスベルトの端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する規制面を有する規制部材と、
前記規制部材と前記ニップ形成部材を支持するステーと、
前記規制部材を加圧する加圧バネを有する加圧機構と、
前記エンドレスベルトと前記回転体により前記ニップ部を形成される第1の位置と、前記エンドレスベルトと前記回転体が互いに離間する第2の位置と、を取り得るように前記加圧機構を移動させる移動機構と、
を有し、
前記加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記規制面は、前記加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して他端側に向かって傾斜するように設けられており、その傾きは、0.3度以上2.0度以下であることを特徴とする。
本発明によれば、フィルムに大きい寄り力が発生した場合においてもフィルムの端部破損を抑制できる。
実施例1の定着フランジを説明した図(発明の特徴を最も表した図)である。 実施例1の画像形成装置の構成模式図である。 実施例1の定着装置の外観斜視模式図である。 同装置の長手一端側(駆動側)の要部の斜視模式図である。 同装置の長手他端側(非駆動側)の要部の斜視模式図である。 同装置の要部の拡大横断面模式図である。 定着フィルムユニットの分解斜視模式図である。 定着フランジの斜視模式図である。 定着フランジを説明する図である。 フィルム発生応力と接触率を説明する図である。 フィルム接触率とフィルム発生応力との関係を説明する図である。 定着フランジの倒れを説明した図である。 定着フランジの倒れ量とフィルム接触率を表したグラフである。 加圧ステーの撓みを説明する図である。 実施例2におけるフィルムの長手方向長さを説明する図である。
《実施例1》
[画像形成装置]
図2は本実施例における画像形成装置Aの構成模式図であり、電子写真プロセスを用いたタンデム型のデジタルカラー複写機(以下、コピー機Aと記す)である。このコピー機Aは、トナー像を記録材(シート、用紙)Pに形成するエンジン部(装置本体)600と、自動原稿送装置(ADF)611を搭載している原稿読取部601と、コピー機Aを操作するための操作部700を有する。また、コピー機Aは、上記のエンジン部600、原稿読取部601、操作部700の動作制御をする制御部(エンジンコントローラ)800を有する。
エンジン部600において、記録材Pにトナー像を形成する画像形成部1は、Y(イエロ)色、M(マゼンタ)色、C(シアン)色、Bk(ブラック)色のトナー像を形成する4つの作像ユニットU(UY、UM、UC、UBk)を有する。また、画像形成部1は、この4つの作像ユニットUの上側と下側にそれぞれ中間転写ベルトユニット7とレーザースキャナユニット(露光装置)9を有し、レーザースキャナユニット9の下側に記録材カセット10を有する。
各作像ユニットUは、それぞれ、回転駆動される電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)2と、このドラム2に作用する電子写真プロセス機器である、帯電器3、現像器4、一次転写ローラ5、ドラムクリーナ6を有する。なお、図の煩雑を避けるために作像ユニットUY以外の作像ユニットUM、YC、UBkにおけるこれらの機器に対する符号の記入は省略した。また、このようなタンデム型の画像形成部1の電子写真プロセスと作像動作は公知であるからその説明は割愛する。
各作像ユニットUのドラム2から回動する中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)8に対して各色のトナー像が所定に重畳されて一次転写される。これにより、ベルト8上にY色+M色+C色+Bk色の4色重畳のトナー像が形成される。一方、記録材カセット10から給送ローラ11の駆動により記録材Pが一枚分離給送されて上行搬送路12を通りレジストローラ対13に送り込まれる。或いは手差給送部21から給送ローラ22の駆動により記録材Pが一枚分離給送されて搬送路23、搬送ローラ対24、上行搬送路12を通りレジストローラ対13に送り込まれる。
レジストローラ対13は記録材Pの斜行を矯正するとともにベルト8上のトナー像と同期を取って記録材Pをベルト8と二次転写ローラ14との圧接部である二次転写ニップ部15に所定の制御タイミングにて送り込む。ベルト8上のカラートナー像は二次転写ローラ14によって記録材Pに対して4色一括して二次転写される。二次転写ニップ部15を通った記録材Pは定着前搬送路16を通り定着装置40に導入され、加熱および加圧されることでトナー像が記録材Pに定着される。
記録材Pの片面だけにトナー像を形成(印刷)する片面印刷モードの場合には、定着装置40の上向きの出口から上に搬送された記録材Pが排出ローラ対17の側に案内されて片面印刷物として排出トレイ(以下、トレイと記す)18に排出される。
記録材Pの両面にトナー像を形成する両面印刷モードの場合は、定着装置40を出た片面印刷済みの記録材Pが排出ローラ対17によりトレイ18に搬送される。そして、その記録材の後端部が定着装置40を出て反転ポイント19に達したとき、排出ローラ対17が逆転される。これによって記録材Pがトレイ18側からスイッチバック搬送されて両面搬送路20に導入される。
そして、記録材Pは両面搬送路20を通って搬送ローラ対24によりレジストローラ対13の手前側において上行搬送路12に対して表裏反転状態で再導入される。以後は、記録材Pは片面印刷モードの場合と同様の過程を経て他方面側にもトナー像が形成された両面印刷物としてトレイ18に排出される。
搬送路を搬送中の記録材Pの状態を検出する手段として、搬送路に複数の記録材センサを設けている。本実施例のコピー機Aにおいては、レジストローラ対13の下流の記録材検知をレジセンサS1が行う。また、定着装置40の下流の記録材検知を内排出センサS2が行う。また、排出ローラ対17の下流の記録材検知を排出センサS3が行う。
制御部800は、それらのセンサS1・S2・S3の検知信号に応じて選択的に次工程へ移行する。例えば、記録材Pが搬送路を搬送中にいずれかのセンサのオン時間がシークエンス上の規定時間より長い場合や、いずれかのセンサへの到達がシークエンス上の規定時間より遅れた場合に、制御部800は、搬送路のどこかで記録材Pが詰まったと判断する。即ち、記録材ジャムが発生したと判断する。そして、制御部800は、記録材詰まりの状態が進行しないように検知信号に基づいてコピー機Aの作像動作を緊急停止させる。
なお、手差給送部21は、不使用時は、扉25の外面に対して図2の2点鎖線示のように畳み込んで格納した状態にすることができる。使用時には図2の実線示のように扉25の外面から外方に所定の傾斜角度姿勢に展開した状態にすることができる。
[定着装置]
ここで、定着装置40に関して、正面(前面)とは記録材Pの入口側の面、背面(後面)とはその反対側の面(記録材Pの出口側の面)、左右とは定着装置40を正面から見て左または右である。長手方向とは回転体の軸線方向又は母線方向、短手方向とは長手方向に直交方向である。上下とは重力方向において上又は下である。上流側と下流側は記録材搬送方向またはフィルム回転方向において上流側と下流側である。一端側と他端側は長手方向において一端側と他端側であり、本実施例においては左側を一端側(駆動側)とし、右側を他端側(非駆動側)としている。
図3は定着装置40の要部の外観の斜視模式図であり、背面側(記録材の出口側)と一端側(駆動側)を見ている。図4は同装置40の一端側(駆動側)の要部の斜視模式図、図5は同じく他端側(非駆動側)の斜視模式図である。図6は図3の(6)−(6)線矢視の断面模式図である。
この定着装置40はフィルム加熱方式の画像加熱装置である。この装置40は、大別して、定着フィルム(エンドレスベルト)100を備えたフィルムユニット110、弾性加圧ローラ(対向部材、弾性ローラ)101、これらを収容した定着フレーム(装置筐体)115、により構成される。以下、フィルムユニット110を単にユニット110と記す。
一対の回転体としての定着フィルム100と加圧ローラ101との協働によりニップ部(定着ニップ部)Nが形成される。ニップ部Nは未定着トナー像Tを担持している記録材Pを挟持搬送して記録材上のトナー像(画像)を熱と圧力で定着(加熱)する部分である。
図6に示すように、フィルムユニット110は、円筒状(無端状)の定着フィルム100、ヒータ102、ヒータホルダ103、加圧ステー104、フランジ部材(定着フランジ)105(A、B)などによる組立体である。図7はこのユニット110の分解斜視模式図であり、加圧ローラ101も描いてある。
図7を用いて、本実施例の定着装置40の詳細を以下に説明する。
(1)定着フィルム
定着フィルム(定着ベルト:以下、フィルムと記す)100は、可撓性・耐熱性を有する薄肉中空無端状の伝熱部材であり、自由状態においては自身の弾性によりほぼ円筒状を呈する。フィルム100は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、肉厚を総厚150μm以下としたポリイミドフィルム、PEEKフィルム等の耐熱樹脂からなる。熱伝導率が高くなるように導電材を付与した樹脂層に重ねて、表面にフッ素樹脂の離型層を形成して内径φ24mmの無端状に形成されている。
本実施例では、基層は厚み70μmのポリイミドを用いた。また、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドアミド等に代表される耐熱性の高い樹脂製の部材を基層としたものでもよい。
(2)ヒータ
ヒータ102は通電により急峻に昇温する低熱容量の横長の板状発熱体であり、本実施例ではセラミックヒータである。このヒータ102は、細長薄板状の熱伝導が良好なAlN基板上(セラミック基板)にAg・Pdペーストを厚膜印刷し焼成することで発熱体(抵抗発熱体)を形成する。そして、発熱体の上に摺動絶縁部材として50〜60μm程度の厚さのガラスコーティング層が一体となって設けられたセラミックヒータを構成する。本実施例においては、厚み600μmのAlN基板上に発熱抵抗層を形成させている。
ヒータ102において、AlN基板を挟んで発熱体が設けられている側と反対側の基板上には、チップ状のサーミスタTHが設けられている。サーミスタTHはバネ等の加圧手段(不図示)により基板に所定の圧力で固定されている。
(3)ヒータホルダ
ヒータホルダ(保持部材:以下、ホルダと記す)103は、ヒータ102を固定支持させた部材である。ホルダ103はフィルム100の長手方向(幅方向)に沿って長い耐熱性樹脂等の断熱性部材である。省エネルギーの観点から加圧ステー104への熱伝導の少ない材料を用いるのが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーボネート、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂が用いられる。ヒータ102はホルダ102の外面にホルダ長手に沿って形成されている溝部には嵌め込まれて保持されている。
(4)加圧ステー
加圧ステー104は、フィルム100の長手方向に沿って長く、加圧ローラ101からの反力を受ける剛性部材であり、高い圧力を掛けられても撓みにくい材質であることが望ましい。本実施例においては横断面コの字形の鋼板を用いている。加圧ステー104は、ホルダ103の内側に配設されてホルダ103を支持する。
(5)フランジ部材
フィルム100は、上記のヒータ102、ホルダ103、加圧ステー104の組立体に対してルーズに外嵌(外挿)されている。加圧ステー104の両端部104aはそれぞれフィルム100の両端部の開口部から外方に突出している。その加圧ステー104の両端部104aに対してそれぞれ一端側と他端側のフランジ部材(定着フランジ)105A・105Bが嵌着されている。フィルム100はその嵌着されたフランジ部材105A・105Bの対向する端部規制面105a・105a間に位置している。
フランジ部材105A・105Bはユニット110におけるフィルム100の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材であり、PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂のモールド形成品である。フランジ部材105A・105Bは、それぞれ、端部規制面105a、第2の規制面としての傾斜部105b、内周規制面105c、被押圧部(加圧受部)105d、を有する。端部規制面105aが回転するフィルム100の端面と接触することでフィルム100の長手方向の移動を規制する規制部である。このフランジ部材105A・105Bの構成については後記の(10)項で詳述する。
(6)フィルム内周規制補助部材
フィルム内周規制補助部材106はフィルム100の内周面側にあり、加圧ステー104に取り付いている部材であり、フィルム100の回転摺動を内側から補助している。PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂のモールド形成品である。
(7)加圧ローラ
図6に示すように、加圧ローラ101は、鉄、アルミ等の金属製の円柱状芯金101aを芯材とし、該芯金の外周側にスポンジやシリコーンゴムなど柔軟なゴム材料の弾性層101bと、表層には離型層101cとしてのPFA層を備えている弾性ローラである。
本実施例では、芯金101aの表面をブラスト等の表面粗し処理を行った後、洗浄を行い、次いで芯金101aを筒型に挿入し、液状のシリコーンゴムを型内に注入し加熱硬化させて弾性層101bを形成している。この時、弾性層101bの表面に離型層101cとしてPFAチューブ等の樹脂チューブ層を形成するために、型内に予め内面にプライマーを塗布したチューブを挿入しておく。これにより、弾性層101bとしてのゴムの加熱硬化と同時にチューブ101cとゴム層101bの接着を行う。このようにして成型された加圧ローラ101は脱型処理した後、2次加硫を行う。
本実施例では、加圧ローラ101の芯金101aの径はφ15mm、弾性層101bの肉厚は5mmでアスカー硬度64°のシリコーンゴム、離型層101cのPFAチューブ厚みは50μmとし、外径約φ25mmの加圧ローラ101とした。
加圧ローラ101は定着フレーム115の一端側と他端側の側板116A・116Bの間において、芯金101aの一端側と他端側がそれぞれ軸受114を介して回転可能に支持されている。
ユニット110は側板116A・116Bとの間において、加圧ローラ101に対してヒータ102の側を対向させて、加圧ローラ101に平行に配列されている。ユニット110におけるフランジ部材105A・105Bはそれぞれの被押圧部105dが側板116A・116Bに対称に形成されたガイド穴117に加圧ローラ101の方向へスライド移動可能に嵌着されている。
そして、フランジ部材105A・105Bは、それぞれ、被押圧部105dにおいて後述する加圧機構118A・118Bにより加圧ローラ101に向かう方向へ所定の加圧力を受ける。本実施例では加圧力を、フランジ部材105A・105Bそれぞれに75Nとし、総加圧力150Nとした。
その加圧力により、ユニット110のフランジ部材105A・105B、加圧ステー104、ホルダ103、ヒータ102の全体が加圧ローラ101の方向に加圧される。そのため、ホルダ103とヒータ102はフィルム100を介して加圧ローラ101に対して弾性層101bの弾性に抗して所定の加圧力で押圧される。これにより、フィルム100と加圧ローラ101との間に記録材搬送方向X(図6)に関して所定幅のニップ部Nが形成される。
本実施例においては、ヒータ102がフィルムの内面に摺接するように配置され、加圧ローラ101とフィルム100を挟んでニップ部Nを形成するニップ形成部材として機能している。もしくは、ヒータ102およびヒータを保持しているホルダ103の少なくとも一部がフィルムの内面に摺接するように配置され、加圧ローラ101とフィルム100を挟んでニップ部Nを形成するニップ形成部材として機能している。
(8)定着動作
加圧ローラ101の芯金101aの一端側には同心一体に駆動ギアG1が配設されている。このギアG1に制御部800(図1)で制御される定着モータ(駆動源)92(図3)の駆動力が定着駆動部90の駆動伝達機構部を介して伝達される。これにより、加圧ローラ101が駆動回転体として図6において矢印R101の時計方向に所定速度で回転駆動される。
加圧ローラ101が回転駆動されることで、ニップ部Nにおいてフィルム100に加圧ローラ101との摩擦力で回転トルクが作用する。加圧ローラ101は、フィルム100を回転させる回転体として機能する。フィルム100は、加圧ローラ101に従動回転する。
これにより、フィルム100はその内面がニップ部Nにおいてヒータ102とホルダ103の一部に密着して摺動(摺接)しながら、ヒータ102・ホルダ103・加圧ステー104の外回りを図6において矢印R100の反時計方向に従動回転する。フィルム100の回転周速度は加圧ローラ101の回転周速度とほぼ対応している。フィルム100とヒータ102およびヒータホルダ103の摺動面には摩擦力を低減する目的であらかじめ潤滑剤(シリコンオイル等:不図示)が塗布されている。
また、制御部800は給電部(不図示)からヒータ102に対する通電を開始する。給電部からヒータ102への給電経路は図には省略したが、給電部とヒータ102とを電気的に接続させた配線とコネクタを介してなされる。この通電によりヒータ102は急速に昇温する。サーミスタTH(図7)はヒータ102の温度に応じた信号を制御部800に出力する。制御部800はサーミスタTHで検知されるヒータ温度に基づいてヒータ温度が所定の目標設定温度に昇温して温調されるように給電部からヒータ102への供給電力を制御する。
上記の定着装置状態において、画像形成部1から未定着トナー像Tが形成された記録材Pが定着装置40に導入され、ニップ部Nで挟持搬送される。記録材Pはニップ部Nを挟持搬送される過程でヒータ102の熱がフィルム100を介して付与される。未定着トナー画像Tはヒータ102の熱によって溶融され、ニップ部Nにかかっている圧力によって用紙Pに定着される。
(9)加圧機構
定着フレーム115の一端側と他端側の側板116A・116Bの外側にはそれぞれ一端側と他端側の加圧機構118A・118Bが配設されている。この両加圧機構118A・118Bは対称構成の同一構造であるから、図4の一端側の加圧機構118Aを代表して説明する。
加圧機構118Aは加圧レバー(以下、レバーと記す)112と加圧バネ(以下、バネと記す)113を有する。レバー112は基部側が側板116Aに対して軸部111を中心に揺動可能に取り付けられている。レバー112は軸部111からフランジ部材105Aの被押圧部105dの位置を経由して軸部111側とは反対側に延びている。バネ113はレバー112をフランジ部材105Aの被押圧部105dに当接させて加圧する方向に軸部111を中心に回動付勢する弾性部材である。
本実施例においては、被押圧部105dを中にして軸部111側とは反対側のレバー部分に透穴(不図示)を設けてある。そして、この透穴に長い加圧調整ネジ(以下、ネジと記す)132を差し込み、ネジ先端部を側板116A側のネジ穴133に螺合させてある。このネジ132の頭部(座面)132aとレバー112との間のネジ部にコイル状のバネ113を外嵌させて縮設させてある。従って、レバー112は自由状態においてはバネ113の圧縮反力によりフランジ部材105Aの被押圧部105dに当接して加圧力を与える。
ネジ132を締めることによりネジ132の頭部132aがバネ113のバネ長を縮め、レバー112に付加されるバネ荷重を大きくすることができる。レバー112は側板116Aに対して回動自在に支持されているのでバネ113の圧縮反力によって軸部111まわりに回動モーメントが発生して、フランジ部材105Aが加圧ローラ201方向へ所定の加圧力で押される。
以上、一端側の加圧機構118Aを説明したが、図5の他端側の加圧機構118Bもこの一端側の加圧機構118Aと同様の機構構成である。
(10)フランジ部材の詳細説明
次に、本実施例にあるフランジ部材(定着フランジ)105(A・B)の構成について詳述する。図8は一端側のフランジ部材105Aの外観斜視模式図であり、内面側を見ている(フランジ部材105Aのフィルム100側から見た正面図)。他端側のフランジ部材105Bは一端側のフランジ部材105Aと鏡面対称の構成であるから、以下は一端側のフランジ部材105Aを代表して説明する。
フランジ部材105Aは、前記のように、ユニット110におけるフィルム100の長手方向移動および周方向の形状を規制する規制部材である。フランジ部材105Aは、端部規制面105a、内周規制面105c、被押圧部105dを有する。
端部規制面105aは回転するフィルム100の端面(コバ面)101aと接触することでフィルム100の長手方向(スラスト方向)への移動を規制する面(規制部)であり、フィルム100の外形形状より大きい外形形状をしている。即ち、端部規制面105aはフィルム100の端部の端面100aに対向しており、フィルム100が長手方向に動いた場合に移動(寄り)を規制する役割を果たし、フィルム100が長手方向の所定の位置にとどまるようにしている。
内周規制面105cはフィルム100の端部の内周面を内側から支持するガイド面であり、フランジ部材105Aの内面側に円弧状の凸縁部として配設されている。被押圧部105dはフランジ部材105Aの外面側に設けられており、前述したように加圧機構118Aによる加圧力を受ける部分である。
図9の点線部は定着装置40の圧接時の断面図にフィルム回転軌道を描いたものである。ニップ部Nにはニップ形成部材としてのヒータ102およびホルダ103が配置される為、フランジ部材105Aのニップ部Nに対応する領域には端部規制面105a、内周規制面105cが設けられていない。その為、ニップ部Nではフィルム100の端部が規制されず、フリーな状態となる。
回転するフィルム100は様々な要因により寄り力が発生し、長手方向の一端側と他端側のどちらか一方に寄る傾向がある。寄り力が発生する要因とは、
1)フィルム100や加圧ローラ101のアライメントが長手方向の一端側と他端側とでずれている場合
2)一端側と他端側の加圧機構118A・118Bにおける各バネ113のバランスが良くない場合
3)フィルム100や加圧ローラ101の長手方向の一端側と他端側で外径差がある場合
4)ニップ部Nにおける記録材Pの通過位置が長手方向の一端側と他端側でずれている場合
などである。こうした場合、回転するフィルム100は加圧ローラ101による搬送力がローラ長手において強い方に寄る傾向にある。
また、後述するが、回転するフィルム100の端面100aと端部規制面105aが当接する長さをできる限り長くすることで、フィルム100端部への応力の集中をさらに抑制することができる。
次にフィルム発生応力とフィルム接触率、及びフィルム破損枚数とフィルム接触率について、図10、図11を用いて説明する。なお、以下においては、フィルム100の一端側の端部とこれに対応する一端側のフランジ部材105Aにおけるフィルム発生応力とフィルム接触率等を代表して説明する。フィルム100の他端側の端部とこれに対応する他端側のフランジ部材105Bについても同様である。
図10にて、回転するフィルム100の端部に発生するフィルム発生応力について説明する。点線部は回転するフィルム100の端部とフランジ部材105Aの端部規制面105aとの当接箇所を示しており、当接箇所(点線部)の合計長さをフィルム接触長さとしている。
本実施例では、図10のように、フランジ部材105の内周規制面105cに沿って仮想線を作成し、端部規制面105aの領域内の仮想線(点線部)の長さDをフィルム接触長さと規定している。本実施例のフィルム接触長さDは53mmである。接触長さDは、ニップ部Nが形成されている加圧状態にてフィルム100の端部がフランジ部材105Aに寄った状態において、フィルム100の端部が端部規制面105aと当接する長さを指す。
フィルム発生応力は、上述した要因により発生するフィルム寄り力(N)/フィルム接触面積(mm2)で表される。ここで、フィルム接触面積(mm2)は、フィルム接触長さD(mm)×フィルム厚みt(mm)で表される。本実施例におけるフィルム厚みt:0.07mmである。従って、本実施例におけるフィルム接触面積は、フィルム接触長さD:53mm×フィルム厚みt:0.07mm=フィルム接触面積3.71mm2である。ここからわかるように、接触長さが増えていくと、フィルム発生応力は低下する。
また図10にて、本実施例におけるフィルム接触率Fについても説明する。フィルム接触率F(%)は、[フィルム接触長さD(mm)/フィルム内周長E(mm)×100」(D/E×100)で表される。
本実施例におけるフィルム接触長さDは前記のように53mmであり、フィルム内周長Eは75.4mmである。従って、本実施例のフィルム接触率Fは70%(=フィルム接触長さD:53mm/フィルム内周長E:75.4mm×100)である。
図11は、フィルム発生応力とフィルム接触率の関係を表した図である。図11におけるフィルム発生応力(=フィルム寄り力/フィルム接触面積)は、フィルム寄り力が最も大きくなる条件で測定された寄り力より算出している。
また、本実施例では記録材の給送積算枚数(耐久)による定着装置40の設定寿命10万枚に対し安全率1.5倍をかけた15万枚を耐久の目標枚数としている。そこで図11では、耐久15万枚でフィルム100が破損に至るようなフィルム発生応力を1と設定している。
フィルム発生応力の大きさとフィルム破損に至る枚数(耐久枚数)の関係であるが、一般的にフィルム100の端部に繰り返しかかるフィルム発生応力の値が小さくなるにつれ、フィルム破損に至る耐久枚数が増える。また、フィルム100の端部に繰り返しかかるフィルム発生応力が大きくなるにつれ、フィルム破損に至る耐久枚数は減る。
図11に示すように、フィルム接触率が増えるにつれて、フィルム発生応力が減少することが分かる。また、フィルム接触率が60%を超えると(60%以上)、フィルム発生応力が0.96と1以下になり、フィルム破損に至る耐久枚数が15万枚を超え、定着装置40の耐久目標枚数を満足することが可能となる。
(11)フランジの傾きと接触長さの減少
次に、フランジ部材105(A・B)の端部規制面105aの倒れによるフィルム接触長さの減少について図12を用いて説明する。図12(a)の端部規制面105aはY方向に倒れた場合、フィルム端面100aとの接触長さが減少していく。
例えば図にある内倒れ方向(+方向)に倒れた場合、端部規制面105aはニップ部N側の面がフィルム端面100aと接触しにくくなる。外倒れ方向(−方向)に倒れた場合、端部規制面105aは内周規制面頂点105e側の面が接触しにくくなる。
また、ニップ部Nはフィルム端面100aを規制する端部規制面105aが無い。そのため端部規制面105aが外倒れした場合、本来フィルム端面100aが接触する場所に端部規制面105aがないことで、接触長さが内倒れした場合と比べて大きく減少してしまう(図13のグラフ参照)。
図13は端部規制面105aの角度に応じたフィルム接触率(%)を表したグラフである。外倒れ方向(−方向)は内倒れ方向(+方向)にフィルム接触率の減少傾きが大きく、0.4度(°)外倒れした場合、目標である接触率60%を下回ってしまう。
本実施例の構成において、端部規制面105aは加圧されることで外倒れ方向に倒れる。その要因として、加圧による加圧ステー104の撓みがある。図14は加圧による加圧ステー104のたわみを示した図である。加圧ステー104の端部がわかるように、フランジ部材105A・Bを一部切欠いて表現している。加圧ステー104は両端部をフランジ部材105に支持され、ヒータホルダ103を介して加圧ローラ101に当接している。
長手方向でみると加圧ステー104の端部は加圧ローラ101から外れており、フランジ部材105A・Bの被押圧部105dに加圧力をかけると撓み(δ)が発生する。これによりフランジ部材105A・Bは矢印方向(外倒れ)に角度θ傾き、それに伴い端部規制面105aも角度θ外倒れ方向に傾く。
そのため、本実施例のフランジ部材105A(B)は図1に示すように内倒れ方向(+方向)に端部規制面105aをあらかじめ傾斜角θ´度傾斜させている。すなわち、傾斜角θ´度とは、フランジ部材105A(B)が加圧されていない状態において、後述する基準線に対して端部規制面105aが内倒れ方向(+方向)に傾いている角度である。端部規制面105aの傾斜角θ´はこの加圧ステー104撓みによる外倒れする角度θ(図14)に合わせて傾斜させている(図1:θ´=図14:θ)。
なお、加圧されていない状態とは、次の通りである。加圧機構118A・118Bは、不図示の加圧解除機構(加圧機構を移動させる移動機構)を備えており、加圧ローラ101とフィルム100の相対位置を加圧されていない状態へと変更でき、例えばジャムの発生時等に加圧されていない状態になる。このとき、フランジ部材105A(B)にかかる加圧力も解除された状態になる。
例えば、加圧機構118A・118Bにより、加圧ローラ101とフィルム100の相対位置が互いに当接する当接位置と互いに離間する離間位置とを取り得る場合には、加圧機構118A・118Bにより離間位置に位置されている状態である。
また例えば、加圧機構118A・118Bにより、加圧ローラ101とフィルム100の相対位置が離間位置を取らず、ニップ部Nに所定の荷重がかかる第1の位置とこの第1の位置よりもニップ部Nにかかる荷重が小さい第2の位置とを取り得る場合もある。この場合には、より荷重が小さい第2の位置を基準とする。すなわち、加圧されていない状態とは、加圧機構118A・118Bによって可変できるニップ部Nの荷重のうち、最も小さい荷重がかかる状態である。
即ち、規制部である端部規制面105aが加圧機構118の加圧方向に対して機体中央側(加圧ステー104の長手中央側)に向かって所定の傾斜角θ´で傾斜(内倒れ)していることを特徴とする。規制部である端部規制面105aの傾斜角θ´は、加圧ステー104が加圧機構108により加圧された際に、加圧ステー104が撓む角度である。
本実施例では、加圧ステー104の材料:めっき鋼板、断面二次モーメント:1600mm4、長さ:365mm、また、加圧力は片側160N、である。この時の加圧ステー104の撓み量δ=0.6mmであり、端部規制面105aの傾き量は0.3度となる。よって本実施例ではフランジ105の端部規制面105aをあらかじめ垂直から内倒れ方向に0.3度傾けている。
本構成により、加圧ステー104が撓みによってフランジ部材105A(B)が外倒れした時でも、端部規制面105aが垂直(図13:端部規制面角度が0°)になり、フィルム接触率の減少を抑制し、フィルムが破損することを防止できる。
なお、構成条件により、加圧ステー104の撓み量δは変わるが、端部規制面105aの角度(傾斜角θ´)は条件に応じて0.3〜2.00度(0.3度以上2.0度以下)の範囲で傾ける(0.3〜2.0度傾斜)。この範囲で傾ければ、加圧ステー104の断面二次モーメント:550mm4以上1600mm4以下、加圧ステー104の長さ:365mm以上440mm以下、加圧力:片側160N以上245N以下である定着装置において、同様の効果を得ることができる。尚、重力加速度は、9.8(m/s2)とする。
ここで、上記の傾斜角度θ´は、図12や図1に示すように、ニップ部上流側から見たときの仮想線で考える。
・X軸方向=ニップ部Nでの記録材搬送方向
・Y軸方向=加圧ローラ101の回転軸線
・Z軸方向=フランジ部材105に加圧力が加わり始めるときの加圧方向
・傾斜角度θ´の基準線は、フランジ部材105に加圧力が加わり始めるときの加圧方向(Z軸方向)に対応する仮想線である。本実施例では、フランジ部材105A・105Bの被押圧部105dが平面を為しているので、Z軸方向はこの被押圧部105dの垂線に相当する。尚、被押圧部105dが曲面形状である場合には、被押圧部105dを押圧するレバー112の押圧面(平面)に垂直な線がZ軸方向に相当する。また、Z軸方向は、加圧ローラ101の回転軸線(Y軸)とニップ部Nでの記録材搬送方向(X軸方向)に実質的に直交する。
・基準線に対して傾斜角θ´を為す規制面とは、端部規制面105aのうち、フィルムと当接しないように設けられているテーパー形状ではないストレート形状の部分を指す。
・フィルムと当接しないように設けられているテーパー形状とは、例えば、図12では105bである。製品によっては、ニップ部上流側に同様のテーパー形状を有するものものある。そのテーパー形状部分ものぞいて考える。
・基準線に対して傾斜角θ’を為す規制面105aの仮想近似直線をより具体的に定義すると、次の通りである。加圧ローラ101の回転軸線(Y軸)と基準線(Z軸方向)に直交する方向(X軸)からみた投影面において、次の点Aと点Bを結んだ直線である。
点A:図12(b)をみて、Z軸方向の位置は内周規制面105cの最もニップ部上流側に出ている部分に対応する位置。X軸方向の位置は、ニップ部Nの搬送方向を中心よりも上流側で、上記Z軸方向の位置でフィルムの端面と突き当たる部分である。ただし、仮に点Aにてフィルムと当接しないようにテーパー形状が設けられている場合は、内周規制面105cに沿ってフィルムの回転軌道と反対方向に位置をずらしていき、フィルムとの当接面を構成する位置に達した点を点Aとする。
点B:X軸方向の位置は、内周規制面105cが最も+Z方向に出ている部分に対応する位置。Z軸方向の位置は、内周規制面105cよりも+Z側に位置し、上記X軸方向の位置で、フィルムの端面と突き当たる部分である。
尚、ニップ部下流側から見た場合にも同様であることが好ましい。
尚、本実施例において、実施例2のように、フィルム内周規制補助部材106を設けるとしてもよい。
《実施例2》
第二の実施例について図15の(a)と(b)を用いて説明する。(b)は(a)のフランジ部材105A付近の詳細部を示す。
フィルム内周規制補助部材106は加圧ステー104のニップ部Nと反対面側に取り付いていて、フィルム100の回転軌道を規制する部材である。フィルム内周規制補助部材106は、フィルムの両端側にある規制部材であるフランジ部材105A・105Bの間に位置し、フィルム100の内周面側からフィルム100の回転軌道を規制している補助部材である。本実施例では2つ備えているが、さらに多い数を備えてもよい。本実施例では、このフィルム内周規制補助部材106を設ける構成において、より好ましい構成について説明する。
図15(a)にあるように、フィルム内周規制補助部材106のY方向位置はフランジ部材105A、105Bとの間に位置し、フィルム100の回転軌道を規制している。フィルム100は、フランジ部材105の内周規制面105cで周方向に規制されているが、内周規制補助部材106が無い場合、フィルム100の中央付近がへこんで、座屈してしまうことがある。その為、本実施例では、両端部のフランジ部材105以外に内周規制補助部材106を設けることで、この座屈現象を抑制している。
内周規制補助部材106の内周規制面頂点106aの位置は、内周規制面105cの中でニップ部Nと反対面の頂点にあたるフランジ105の内周規制面頂点105eよりもZ方向において高い位置になるように設定している。本実施例では1.0mmと設定している。これにより、積極的にフィルム100を押し上げて、フィルム100の座屈を防いでいる。
図15(a)において、ニップ部N側のフィルム長さをL1、フィルム内周規制補助部材106側のフィルム長さをL2とする。本実施例2の構成の場合、フィルム内周規制補助部材106でフィルム100をZ方向に押し上げる為、L2は長手中央が高くなる方向に湾曲し断面上曲線となる。それに対しL1はニップされている為、断面上直線となる。つまりフィルム100の長さがニップ部N側とフィルム内周規制補助部材106側とで断面上は変化しL1<L2となる。
このフィルム長さ差により、フィルム100はフランジ部材105の端部規制面105aに対して内周規制面頂点105e側の方がニップ部N側に比べて接触しにくくなる。それによりフィルムの接触長さが減少してしまう(図15(b))。
そこで実施例2では、実施例1にある加圧ステー104の撓みを考慮して端部規制面105aを内側に倒す。さらにフィルム内周規制補助部材106のZ方向位置と内周規制面頂点105eのZ方向位置との差による、フィルム長さ差分、内側に傾斜させている。
フィルム長さ差L2−L1はフィルム内周規制補助部材106のY方向位置及びZ方向位置によって変わってくるが、本実施例2においては、L2−L1=0.06mmである。
それを傾き角度に換算すると約0.1度になる。
そのため加圧ステー104の撓みによる傾斜角θ(0.3度)に加え、さらに端部規制面105aを内倒れ方向に0.1度傾斜させている。すなわち、本実施例2では、図1のフランジ部材105の端部規制面105aの内倒れ方向の傾斜角θ´は0.4度(0.3度+0.1度)と設定している。
ここで、加圧機構108により加圧された際に加圧ステー104が撓む角度よりもさらに加圧方向に対して機体中央側に向かって傾斜している角度の範囲が0.01〜1度である。
したがって、より好ましくは、フランジ部材105の端部規制面105aは、予め(加圧されていない状態において)、加圧方向に対して機体中央側に向かって0.31度以上3.0以下の範囲で傾斜させるとよい。
本構成により、フィルム長さ差による接触率の低下を抑制し、フィルムが破損することを防止できる。
また、フィルム100が樹脂製である場合、金属製の層を備えるフィルムと比較して、強度が弱いので、寄り力によってフィルム100の端部に折れや亀裂が発生する恐れが高い。よって樹脂製のフィルム100では、実勢例1、2を適用することで大きな効果を得ることができる。
《その他の事項》
(1)本発明が実施例の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施例の形態の中で示唆した以外にも、実施例の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また構成部材の数、位置、形状等は実施例の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
(2)また、実施例では、熱源として、フィルム100の内周面と接触してフィルム100を加熱する加熱部材(ヒータ)102を用いた。フィルム100の加熱構成はこれに限られない。例えば、フィルム100に内包されたハロゲンヒータでフィルム100の内周面と、フィルム100の内周面と接触するニップ形成部材を加熱する、又は、直接フィルム100内面を加熱する構成にすることもできる。フィルム100を電磁誘導加熱する構成にすることもできる。フィルム100に通電発熱層を具備させることもできる。内部加熱に限らず、外部加熱する加熱構成にすることもできる。
従って、フィルム100の内周面に摺接するように配置され、対向部材である加圧ローラ101とフィルム100を挟んでニップ部Nを形成するニップ形成部材は実施例のヒータ102以外の部材であってもよい。
(3)実施例の定着装置40においては、フィルム100の一端側と他端側の両端部にフランジ部材(規制部材)105(A・B)を配設している。しかし、フィルム100の寄り方向が専らに一方向となるように装置構成されていれば、フランジ部材105はそのフィルム寄り移動側の1つにすることもできる。
(4)対向部材である加圧ローラ101を回転可能な無端ベルト体の形態にすることもできる。フィルム100を複数の内部部材間に懸回張設して駆動部材にて回転駆動する駆動回転体とし、対向部材である加圧ローラ101又は加圧ベルトをフィルム100の回転に従動回転させる定着装置構成にすることもできる。
(5)ニップ部Nを形成するためのフィルムユニット110と加圧ローラ101の加圧構成は、加圧ローラ101をフィルムユニット110に対して加圧する装置構成にすることもできる。フィルムユニット110と加圧ローラ101の両方を互いに加圧する装置構成にすることもできる。即ち、加圧機構はフィルムユニット110と加圧ローラ101の少なくとも一方を他方に向けて加圧する構成であればよい。
(6)本発明の画像加熱装置40は実施例のように記録材Pに担持された未定着トナー像Tを加熱加圧して固着画像として加熱定着する定着装置としての使用に限定されない。記録材Pに一旦定着された或いは仮定着された画像(定着済み画像又は半定着画像)を加熱加圧して光沢度を向上させるなどの画像の表面性を調整する加熱処理装置としても有効である。
(7)定着装置(画像加熱装置)40は、画像形成装置Aの内部に固設されているものに限らず、ユニット化されて画像形成装置Aの外部へ取り外し交換できるものであっても良い。この場合、制御部800を含めて取り外し交換されるものでも良いし、制御部800を除いて取り外し交換されるものでも良い。また、定着装置40は、画像形成装置Aとは独立して、定着装置単独で用いられるものであっても良い。
(8)画像形成装置Aの画像形成部1は電子写真方式に限られない。静電記録方式や磁気記録方式の画像形成部であってもよい。また、転写方式に限られず、記録材Pに対して直接方式で未定着画像を形成する構成のものであってもよい。
40・・定着装置(画像加熱装置)、110・・フィルムユニット、100・・フィルム100a・・フィルム端面、102・・ヒータ(ニップ形成部材)、103・・ヒータホルダ、104・・加圧ステー、105(A、B)・・フランジ部材(定着フランジ:規制部材)、105a・・端部規制面(規制部)、105c・・内周規制面、105d・・被押圧部、105e・・・内周規制面頂点、106・・・内周規制補助部材、106a・・・内周規制面頂点、101・・加圧ローラ(対向部材)、118(A、B)・・加圧機構、119・・加圧解除機構、N・・ニップ部、P・・記録材、T・・トナー像、δ・・・加圧ステー撓み

Claims (10)

  1. ニップ部にて記録材上のトナー像を加熱するための樹脂製のエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトと協働して前記ニップ部を形成する回転体と、
    前記エンドレスベルトの内周面に設けられ、前記ニップ部が形成されるように前記回転体と共に前記エンドレスベルトを挟むニップ形成部材と、
    前記エンドレスベルトの長手方向の一端側にて前記エンドレスベルトの端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する規制面を有する規制部材と、
    前記規制部材と前記ニップ形成部材を支持するステーと、
    前記規制部材を加圧する加圧バネを有する加圧機構と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体により前記ニップ部を形成される第1の位置と、前記第1の位置に位置する場合よりも前記エンドレスベルトと前記回転体の間にかかる荷重が小さい第2の位置と、を取り得るように前記加圧機構を移動させる移動機構と、
    を有し、
    前記加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記規制面は、前記加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して他端側に向かって傾斜するように設けられており、その傾きは、0.3度以上2.0度以下であることを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記規制部材が前記加圧機構により押圧される押圧部は、前記エンドレスベルトの長手方向に関し、前記規制面を挟んで前記エンドレスベルトと反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 前記端面が前記規制面と接触するときの前記規制部材と前記端面が接触する長さをDとし、前記エンドレスベルトの内周長をEとし、D/E×100を接触率F(%)としたとき、前記加圧機構が前記第1の位置に位置するときの前記接触率Fは60%以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  4. 前記加圧機構は、前記第1の位置に位置するとき前記規制部材に160N以上245N以下の荷重を加えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  5. 前記エンドレスベルトの長手方向の他端側にて前記エンドレスベルトの第2の端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する第2の規制面を有する第2の規制部材と、
    前記第2の規制部材を第2の加圧バネを有する第2の加圧機構と、
    前記第1の位置と前記第2の位置とを取り得るように、前記第2の加圧機構を移動させる移動機構と、
    を有し、
    前記第2の規制面は、前記第2の加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記第2の加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して前記一端側に向かって0.3〜2.0度傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  6. ニップ部にて記録材上のトナー像を加熱するための樹脂製のエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトと協働して前記ニップ部を形成する回転体と、
    前記エンドレスベルトの内周面に設けられ、前記ニップ部が形成されるように前記回転体と共に前記エンドレスベルトを挟むニップ形成部材と、
    前記エンドレスベルトの長手方向の一端側にて前記エンドレスベルトの端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する規制面を有する規制部材と、
    前記規制部材と前記ニップ形成部材を支持するステーと、
    前記規制部材を加圧する加圧バネを有する加圧機構と、
    前記エンドレスベルトと前記回転体により前記ニップ部を形成される第1の位置と、前記エンドレスベルトと前記回転体が互いに離間する第2の位置と、を取り得るように前記加圧機構を移動させる移動機構と、
    を有し、
    前記加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記規制面は、前記加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して他端側に向かって傾斜するように設けられており、その傾きは、0.3度以上2.0度以下であることを特徴とする画像加熱装置。
  7. 前記規制部材が前記加圧機構により押圧される押圧部は、前記エンドレスベルトの長手方向に関し、前記規制面を挟んで前記エンドレスベルトと反対側に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像加熱装置。
  8. 前記端面が前記規制面と接触するときの前記規制部材と前記端面が接触する長さをDとし、前記エンドレスベルトの内周長をEとし、D/E×100を接触率F(%)としたとき、前記加圧機構が前記第1の位置に位置するときの前記接触率Fは60%以上であることを特徴とする請求項6又は7のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  9. 前記加圧機構は、前記第1の位置に位置するとき前記規制部材に160N以上245N以下の荷重を加えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
  10. 前記エンドレスベルトの長手方向の他端側にて前記エンドレスベルトの第2の端面と接触することで前記エンドレスベルトの長手方向の移動を規制する第2の規制面を有する第2の規制部材と、
    前記第2の規制部材を第2の加圧バネを有する第2の加圧機構と、
    前記第1の位置と前記第2の位置とを取り得るように、前記第2の加圧機構を移動させる移動機構と、
    を有し、
    前記第2の規制面は、前記第2の加圧機構が前記第2の位置に位置するとき、前記第2の加圧機構による加圧方向に対して前記エンドレスベルトの長手方向に関して前記一端側に向かって0.3〜2.0度傾斜するように設けられていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
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