JP2019143536A - タービンロータ熱応力評価装置、および、タービンロータ熱応力評価方法 - Google Patents

タービンロータ熱応力評価装置、および、タービンロータ熱応力評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タービンロータに発生する熱応力を正確に評価可能なタービンロータ熱応力評価装置などを提供する。【解決手段】実施形態において、タービンロータ熱応力評価装置は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部と熱応力算出部とを有する。ケーシング内壁表面熱伝達率算出部は、ケーシングにおいて径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、ケーシングの内壁表面における熱伝達率を算出する。熱応力算出部は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部で算出した熱伝達率を用いて、タービンロータに発生する熱応力を算出する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、タービンロータ熱応力評価装置、および、タービンロータ熱応力評価方法に関する。
火力発電所などの発電プラントでは、蒸気タービンが用いられている。蒸気タービンにおいては、ボイラで発生した蒸気が作動流体としてケーシングの内部に流入する。そして、その流入した蒸気がケーシングの内部において、複数のタービン段落を順次流れて仕事を行った後に、ケーシングの外部に流出する。タービン段落において、蒸気は、ノズルダイアフラムを構成する静翼を介して、タービンロータに設置された動翼へ流れる際に、膨張し仕事を行う。その結果、タービンロータが回転し、発電機が駆動することで発電が行われる。
近年、発電プラントでは、発電グリッド内で生ずる発電量の変動に対応するために、蒸気タービンの起動および停止を急速かつ頻繁に実行することが要求されている。たとえば、太陽光発電の普及に伴って、発電グリッド内の発電量の変動が大きくなるケースが増加しているため、上記の要求が高まっている。
蒸気タービンの起動を実行する際には、流入蒸気温度の上昇、および、蒸気流量の増大によって、蒸気とタービンロータとの間の熱伝達率が増加する。その熱伝達率の増加に伴って、蒸気が接触するタービンロータの表面の温度が上昇する。そして、タービンロータの表面から内部に熱が伝導することによって、タービンロータの内部の温度が上昇する。このように、タービンロータの内部は、タービンロータの表面よりも温度上昇が遅れて生ずる。その結果、タービンロータは、径方向において温度差が生ずるので、熱応力が発生する。具体的には、蒸気タービン起動時の昇温過程では、タービンロータは、表面部分において圧縮の熱応力が生じ、中心部分において引張の熱応力が発生する。
タービンロータの寿命は、タービンロータの材料によって定められると共に、タービンロータの表面部分および中心部分で生ずる熱応力の絶対値に影響を受ける。蒸気タービンの起動時にタービンロータで生ずる熱応力の絶対値が、タービンロータの材料に応じて設定された制限値を超えた場合、タービンロータの寿命が短くなる場合がある。このため、タービンロータで生ずる熱応力の絶対値を、制限値以下にすることが求められている。
タービンロータに発生する熱応力については、タービンロータの内部における温度分布を用いて算出可能であることが、材料力学において一般に知られている。しかし、蒸気タービンの運転の際、タービンロータは回転状態である。このため、タービンロータの温度を直接的に計測することが困難である。そこで、タービンロータの内部における温度分布を推定する手法が提案されている。
特開昭62−182403号公報
より正確なタービンロータの温度分布を把握するために、初段のタービン段落の出口における蒸気温度、タービンロータの表面部分の熱伝達率、および、タービンロータの初期温度を用いて、非定常熱伝導解析を実行することが提案されている。そして、そのタービンロータの温度分布から、タービンロータの熱応力について評価を行っている。しかしながら、ここでは、タービンロータの表面部分の熱伝達率として、計測値でなく、推定値を用いている。このため、温度分布の正確性が十分でない。その結果、タービンロータに発生する熱応力について正確に評価することは容易でない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、タービンロータに発生する熱応力を正確に評価可能な、タービンロータ熱応力評価装置、および、タービンロータ熱応力評価方法を提供することである。
実施形態では、ケーシングの内部にタービンロータが設けられており、タービンロータの軸方向に沿って蒸気が流れることによってタービンロータが回転する蒸気タービンにおいて、タービンロータに発生する熱応力をタービンロータ熱応力評価装置が評価する。タービンロータ熱応力評価装置は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部と熱応力算出部とを有する。ケーシング内壁表面熱伝達率算出部は、ケーシングにおいて径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、ケーシングの内壁表面における熱伝達率を算出する。熱応力算出部は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部で算出した熱伝達率を用いて、タービンロータに発生する熱応力を算出する。
本発明によれば、タービンロータに発生する熱応力を正確に評価可能な、タービンロータ熱応力評価装置、および、タービンロータ熱応力評価方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る蒸気タービン1の断面図である。 図2は、第1実施形態に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。 図3は、第1実施形態に係る蒸気タービン1において、タービンロータ熱応力評価装置100が算出した熱応力の結果を模式的に示す図である。 図4は、第2実施形態に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。 図5は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、内部ケーシング21の外壁表面(空間S2側の表面)における熱伝達率h3の算出について説明する図である。 図6は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、内部ケーシング21の内壁表面(空間S1側の表面)における熱伝達率h1の算出について説明する図である。 図7は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、タービンロータ3に発生する熱応力の算出について説明する図である。 図8は、第2実施形態の変形例に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。 図9は、第3実施形態において、タービンロータ熱応力評価装置100の概要を示す機能ブロック図である。 図10は、第3実施形態において、フィッティング関数の一例を示す図である。
<第1実施形態>
[A]蒸気タービン1の全体構成
まず、第1実施形態に係る蒸気タービン1の概要について図1を用いて説明する。図1では、蒸気タービン1について、回転中心軸AXに沿った鉛直な断面を模式的に示している。
本実施形態において、蒸気タービン1は、図1に示すように、ケーシング2とタービンロータ3とを備えており、ケーシング2の内部にタービンロータ3が設けられている。蒸気タービン1は、多段式の軸流タービンであって、複数のタービン段落が、ケーシング2の内部において、タービンロータ3の回転中心軸AXに沿った軸方向に並ぶように設けられている。
ここでは、蒸気タービン1は、高中圧一体型であって、高圧タービン部1Aと中圧タービン部1Bとが軸方向に並んでいる。蒸気タービン1は、高圧タービン部1Aと中圧タービン部1Bとのそれぞれにおいて、蒸気が軸方向に沿って流れることによってタービンロータ3が回転する。
具体的には、蒸気タービン1においては、ボイラ(図示省略)で生じた蒸気が主蒸気管23Aを介して高圧タービン部1Aに作動流体として導入される。そして、高圧タービン部1Aを構成するケーシング2の内部において、蒸気が複数のタービン段落を順次流れる。つまり、蒸気は、高圧タービン部1Aにおいて、初段のタービン段落から最終段のタービン段落を順次流れ、それぞれのタービン段落において膨張して仕事を行う。その後、蒸気は、高圧排気室HEを介して、高圧タービン部1Aから排出される。高圧タービン部1Aから排出された蒸気は、再熱器(図示省略)で再度加熱される。そして、その再熱器(図示省略)で加熱された蒸気は、再熱蒸気管23Bを介して中圧タービン部1Bに作動流体として導入される。そして、中圧タービン部1Bを構成するケーシング2の内部において、蒸気が複数のタービン段落を順次流れ、仕事を行う。その後、蒸気は、中圧排気室IEを介して、中圧タービン部1Bから排出される。
蒸気タービン1を構成する各部について、順次、説明する。
[A−1]ケーシング2
蒸気タービン1のうち、ケーシング2は、図1に示すように、たとえば、内部ケーシング21と外部ケーシング22とを有する二重構造である。ケーシング2のうち、内部ケーシング21は、外部ケーシング22の内部に収容されている。そして、内部ケーシング21がタービンロータ3を内部に収容している。
ケーシング2のうち高圧タービン部1Aを構成する部分においては、内部ケーシング21の内部にノズルボックス24を収容している。ノズルボックス24は、環状体であって、タービンロータ3の外周面を囲うように内部ケーシング21に固定されている。また、ノズルダイアフラム4が内部ケーシング21の内部に収容されている。ノズルダイアフラム4は、タービンロータ3の周囲に配置されており、内部ケーシング21に固定されている。ノズルダイアフラム4は、静翼内周部41(ダイアフラム内輪)と静翼外周部43(ダイアフラム外輪)との間に、複数の静翼42が設置されている。複数の静翼42は、静翼内周部41と静翼外周部43との間に形成される環状の流路において、回転方向に沿って等間隔に配列されており、静翼翼列を構成している。静翼翼列は、複数のタービン段落に対応して、複数段がケーシング2に設置されている。複数段の静翼翼列は、回転中心軸AXに沿った軸方向において間を隔てて並ぶように配置されている。
ケーシング2のうち中圧タービン部1Bを構成する部分においても、高圧タービン部1Aを構成する部分と同様に、複数段のノズルダイアフラム4が回転中心軸AXに沿った軸方向において間を隔てて並ぶように配置されている。
[A−2]タービンロータ3
蒸気タービン1のうち、タービンロータ3は、たとえば、円柱形状の棒状体である。タービンロータ3は、回転中心軸AXが水平方向に延在しており、ケーシング2を貫通している。タービンロータ3は、ケーシング2の外部において、一端部と他端部とのそれぞれが軸受6に回転可能に支持されている。
タービンロータ3において、ケーシング2の内部に収容される部分の外周面には、ロータディスク30が形成されている。ロータディスク30は、リング形状であって、回転中心軸AXの径方向において外方に突き出ており、複数が回転中心軸AXに沿った軸方向において間を隔てて設けられている。そして、ロータディスク30の外周面には、動翼31が固定されている。図示を省略しているが、動翼31は、タービンロータ3の回転方向に沿って、複数が等間隔に配列されており、動翼翼列を構成している。動翼翼列は、複数のタービン段落に対応して、複数の段落(列)が設置されている。複数段の動翼翼列は、回転中心軸AXに沿った軸方向において間を隔てて並ぶように配置されている。
図示を省略しているが、タービンロータ3は、一端部に発電機(図示省略)が連結されており、タービンロータ3の回転により発電機が駆動して、発電が行われる。また、タービンロータ3などの回転体と、ケーシング2などの静止体との間は、シール部材5を用いて密封されている。
[B]蒸気タービン1の詳細構成
図2は、第1実施形態に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。図2では、蒸気タービン1に関しては、高圧タービン部1Aのうち、初段のタービン段落と、初段のタービン段落の下流に位置する第2段のタービン段落とが設けられた部分を示している。また、タービンロータ熱応力評価装置100に関しては、機能ブロック図で示している。
[B−1]第1温度センサ71,第2温度センサ72
図2に示すように、本実施形態の蒸気タービン1では、第1温度センサ71と第2温度センサ72とが設けられている。第1温度センサ71および第2温度センサ72は、ケーシング2の温度を計測するために設置されている。ここでは、第1温度センサ71および第2温度センサ72は、ケーシング2を構成する複数のケーシング部材(内部ケーシング21,外部ケーシング22)のうち、内側に位置する内部ケーシング21について温度の計測を行う。
具体的には、第1温度センサ71は、たとえば、熱電対であって、内部ケーシング21の内壁部分の温度(メタル温度)を計測し、その計測結果を温度測定値T1として出力するように構成されている。ここでは、第1温度センサ71の温度検知点P71は、内部ケーシング21の内部のうち初段のタービン段落と第2段のタービン段落との間に位置する空間S1(第2段静翼前領域)よりも径方向において外側に位置している。第1温度センサ71の温度検知点P71は、内部ケーシング21の内壁表面近傍であって、ロータディスク30の回転中心軸AXから径方向において、第1の距離R1分、離れている。
第2温度センサ72は、第1温度センサ71と同様に、たとえば、熱電対であって、内部ケーシング21の内壁部分の温度(メタル温度)を計測し、その計測結果を温度測定値T2として出力するように構成されている。第2温度センサ72は、ロータディスク30の周方向において第1温度センサ71と同じ位置に設けられているが、これに限らない。第2温度センサ72の温度検知点P72は、内部ケーシング21の内部のうち初段のタービン段落と第2段のタービン段落との間に位置する空間S1よりも径方向において外側に位置している。第2温度センサ72の温度検知点P72は、内部ケーシング21の内壁表面近傍であるが、第1温度センサ71の温度検知点P71よりも径方向において外側に位置している。すなわち、第2温度センサ72の温度検知点P72とロータディスク30の回転中心軸AXとの間の第2の距離R2は、第1温度センサ71の温度検知点P71とロータディスク30の回転中心軸AXとの間の第1の距離R1よりも僅かに長い。
第1温度センサ71の温度検知点P71と第2温度センサ72の温度検知点P72とが径方向において離間した距離dRは、第1の距離R1と第2の距離R2との差分値であって、たとえば、0cmを超え、1cm以下の範囲である(dR=R2−R1,0<dR<1cm)。この距離dRは、短い方が好ましい。この距離dRが上記範囲内である場合には、内部ケーシング21において第1温度センサ71の温度検知点P71から第2温度センサ72の温度検知点P72に熱が伝導する際に要する時間が極めて短いので、後述する熱伝達率h1(W/m/K)の算出をより正確に実行することができる。
[B−2]タービンロータ熱応力評価装置100
更に、本実施形態の蒸気タービン1においては、図2に示すように、タービンロータ熱応力評価装置100が設けられている。
タービンロータ熱応力評価装置100は、タービンロータ3に発生する熱応力の評価を実行するために設けられている。ここでは、タービンロータ熱応力評価装置100は、コンピュータ(図示省略)とメモリ装置(図示省略)とを含み、メモリ装置が記憶しているプログラムを用いてコンピュータが演算処理を行うように構成されている。
本実施形態では、タービンロータ熱応力評価装置100は、図2に示すように、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110と熱応力算出部120とを含み、各部としてコンピュータを機能させるプログラムを用いて、熱応力の算出を行う。ここでは、タービンロータ熱応力評価装置100は、第1温度センサ71が計測した温度測定値T1、および、第2温度センサ72が計測した温度測定値T2などの計測データが入力信号として入力される。そして、タービンロータ熱応力評価装置100は、その入力された入力信号に基づいて各部において演算処理が行われて、熱応力の算出結果を出力信号として出力する。
[B−2−1]ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110
タービンロータ熱応力評価装置100のうち、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110は、ケーシング2において径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、ケーシング2の内壁表面における熱伝達率h1を算出する。本実施形態では、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110は、内部ケーシング21の内壁部分の温度について第1温度センサ71が計測した温度測定値T1と、内部ケーシング21の内壁部分の温度について第2温度センサ72が計測した温度測定値T2とに基づいて、内部ケーシング21の内壁表面(空間S1側の表面)における熱伝達率h1を算出する。つまり、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110が、ケーシング内壁表面熱伝達率算出ステップを実行する。
[B−2−1−1]熱流束qの算出
本ステップでは、まず、内部ケーシング21の内壁表面における熱流束q(W/m)をケーシング内壁表面熱伝達率算出部110が算出する。
熱流束q(W/m)は、下記の数式(1)で示される。
q=λ(T1−T2)/ln((R1+dR)/R1) ・・・(1)
数式(1)において、λは、内部ケーシング21の熱伝導率(W/m/K)である。T1は、第1温度センサ71が計測した温度計測値(K)である。T2は、第2温度センサ72が計測した温度計測値(K)である。R1は、第1温度センサ71の温度検知点P71と回転中心軸AXとが径方向において離間した距離(m)(=第1の距離)である。dRは、第1温度センサ71の温度検知点P71と第2温度センサ72の温度検知点P72とが径方向において離間した距離(m)である((dR=R2−R1)。このため、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110は、第1温度センサ71から計測データとして入力された温度測定値T1と、第2温度センサ72から計測データとして入力された温度測定値T2と共に、予め入力され記憶している他の値(λ,R1,dR)を用いて、熱流束q(W/m)を求める演算処理を行うことができる。
なお、第1温度センサ71の温度検知点P71と回転中心軸AXとが径方向において離間した距離R1(m)が、第1温度センサ71の温度検知点P71と第2温度センサ72の温度検知点P72とが径方向において離間した距離dRよりも著しく大きい場合(R1>>dRの場合)には、上記の数式(1)に代えて、下記の数式(1a)を用いて、熱流束q(W/m)の算出を行ってもよい。
q=λ(T1−T2)/dR ・・・(1a)
[B−2−1−2]内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の算出
そして、内部ケーシング21の内壁表面における熱流束q(W/m)の算出値を用いて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1(W/m/K)の算出をケーシング内壁表面熱伝達率算出部110が行う。
内部ケーシング21の内壁表面における熱流束qと、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1との関係は、下記の数式(2)で示される。
q=h1(TS1−T1) ・・・(2)
数式(2)において、TS1は、内部ケーシング21の内部のうち初段のタービン段落と第2段のタービン段落との間に位置する空間S1(第2段静翼前領域)の温度計算値(K)である。温度計算値TS1は、高圧タービン部1Aにおいて、ノズルボックス24に流入する蒸気の温度および圧力と、初段および第2段のタービン段落の設計諸量と、出口部分の圧力とを用いて算出された値である。このため、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110は、第1温度センサ71から計測データとして入力された温度測定値T1と共に、他の値(q,TS1)を用いて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を求める演算処理を行うことができる。なお、可能であれば、空間S1の温度を直接的に温度センサ(図示省略)で計測した値を用いて、熱伝達率h1の算出を行ってもよい。
[B−2−2]熱応力算出部120
タービンロータ熱応力評価装置100のうち、熱応力算出部120は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110で算出した熱伝達率h1を用いて、タービンロータ3に発生する熱応力を算出する。つまり、熱応力算出部120が熱応力算出ステップを実行する。
[B−2−2−1]タービンロータの外周面における熱伝達率h2の推定
本ステップでは、最初に、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110で算出した熱伝達率h1に基づいて、タービンロータの外周面における熱伝達率h2を熱応力算出部120が推定する。ここでは、たとえば、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を、タービンロータの表面における熱伝達率h2として仮定する(h1=h2)。
[B−2−2−2]タービンロータ3の温度分布の算出
つぎに、タービンロータ3の外周面における熱伝達率h2を用いて、タービンロータ3の内部の温度分布を熱応力算出部120が求める。ここでは、タービンロータ3の内部に関して非定常熱伝導解析を実行することで、タービンロータ3の内部の温度分布を算出する。非定常熱伝導解析は、タービンロータ3の外周面における熱伝達率h2と共に、他の値(初段のタービン段落の出口における蒸気温度、タービンロータ3の初期温度などの計測値)を用いて実行される。たとえば、タービンロータ3の径方向について一次元の非定常熱伝導解析を行うことで、タービンロータ3の径方向における温度の推移を求める。
[B−2−2−3]タービンロータ3の熱応力の算出
つぎに、そのタービンロータ3の温度分布から、タービンロータ3の熱応力を熱応力算出部120が算出する。
タービンロータ3の表面における熱応力σsは、数式(3)で示される。タービンロータ3の中心における熱応力σbは、数式(4)で示される。
σs=Eβ(Tav−Ts)/(1−ν) ・・・(3)
σb=Eβ(Tav−Tb)/(1−ν) ・・・(4)
数式(3)および数式(4)において、Eは、タービンロータ3のヤング率である。βは、タービンロータ3の線膨張率である。νは、タービンロータ3のポアソン比である。Tsは、タービンロータ3の表面における温度である。Tbは、タービンロータ3の中心における温度である。Tavは、タービンロータ3の断面平均温度である。ヤング率E、線膨張率β、および、ポアソン比νは、予め入力されて記憶している値である。タービンロータ3の表面における温度Ts、タービンロータ3の中心における温度Tb、および、タービンロータ3の断面平均温度Tavは、タービンロータ3の温度分布の結果から得られる。このように、タービンロータ3の熱応力の算出は、タービンロータ3の温度分布と共に、予め入力された他の値(線膨張係数など)を用いて実行される。
図3は、第1実施形態に係る蒸気タービン1において、タービンロータ熱応力評価装置100が算出した熱応力の結果を模式的に示す図である。図3は、蒸気タービン1の起動を実行する際に算出される熱応力σの時間変化を示すグラフであって、横軸が時間tであり、縦軸が熱応力σである。
蒸気タービン1の起動は、たとえば、下記の手順で実行される。まず、蒸気タービン1に作動媒体として供給する蒸気の供給量を徐々に増加させて、タービンロータ3の回転数をゼロから増加させる。つぎに、一定時間、蒸気の供給量の増加を停止させる。つぎに、蒸気タービン1を発電機に接続した後に、蒸気の供給量の増加を再開し、タービン負荷(発電出力)をゼロから増加させる。つぎに、一定時間、蒸気の供給量の増加を停止させる。つぎに、蒸気の供給量の増加を再開し、タービン負荷を更に増加させる。
上記のように蒸気タービン1の起動を実行する際、本実施形態では、図3に示すように、タービンロータ3の表面における熱応力σsと、タービンロータ3の中心における熱応力σbとの算出をリアルタイムに実行する。そして、その算出されたタービンロータ3の熱応力のデータは、たとえば、ディスプレイ(図示省略)に出力されて表示され、熱応力の評価に利用される。
[C]まとめ
以上のように、本実施形態では、内部ケーシング21において径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を算出する。このため、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の正確性を高めることができる。その結果、タービンロータ3に発生する熱応力についても同様に、正確性を高めることが可能である。
したがって、本実施形態においては、タービンロータ3に発生する熱応力を正確に評価することができる。これに伴い、蒸気タービン1の起動時にタービンロータ3に生ずる応力をリアルタイムかつオンラインで監視可能であって、タービンロータ3の寿命を適正に管理することができる。また、蒸気タービン1の起動時間について短縮化を図ることができる。
[D]変形例
[D−1]変形例1−1
本実施形態では、ケーシング2が、内部ケーシング21と外部ケーシング22とを有する二重構造である場合について説明したが、これに限らない。たとえば、ケーシング2について、複数の部材で構成せずに、単一の部材で構成してもよい。
[D−2]変形例1−2
本実施形態の熱応力算出部120では、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を、タービンロータ3の表面における熱伝達率h2として仮定する場合(h2=h1)について説明したが、これに限らない。内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1とタービンロータ3の外周面における熱伝達率h2との間を関連付けた関数(h2=f(h1),たとえば、h2=k・h1(kは、予め定めた定数))を用いて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1から、タービンロータ3の外周面における熱伝達率h2を求めてもよい。そして、そのタービンロータ3の外周面における熱伝達率h2の算出値を用いて、タービンロータ3に発生する熱応力の評価を実行してもよい。h1とh2を関連付けた適切な関数を用いることで、より精度よくh2を推定することができる。
[D−3]その他の変形例
本実施形態において、タービンロータ3は、内部に空洞が無い中実タイプであるが、これに限らない。タービンロータ3は、たとえば、軸中心に空洞が設けられた中空タイプであってもよい。
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。図4では、図2と同様に、蒸気タービン1の高圧タービン部1Aのうち、初段のタービン段落と、初段のタービン段落の下流に位置する第2段のタービン段落とが設けられた部分を示している。
図4に示すように、本実施形態の蒸気タービン1では、第1温度センサ71と第2温度センサ72との他に、第3温度センサ73が更に設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、第1実施形態と同様である。このため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
[A]蒸気タービン1の詳細構成
[A−1]第1温度センサ71,第2温度センサ72,第3温度センサ73
第1温度センサ71は、内部ケーシング21において第1実施形態の場合と同様に、内部ケーシング21の内壁部分の温度を計測するために設置されている。つまり、第1温度センサ71の温度検知点P71は、内部ケーシング21の内壁表面近傍であって、タービンロータ3の回転中心軸AXから径方向において、第1の距離R1分、離れている。
第2温度センサ72は、第1実施形態の場合と異なる位置の温度を計測するように設置されている。本実施形態では、第2温度センサ72は、第1実施形態の場合よりも径方向において外側に位置しており、内部ケーシング21の外壁部分の温度を計測する。具体的には、第2温度センサ72の温度検知点P72は、初段のタービン段落と第2段のタービン段落との間に位置する空間S1(第2段静翼前領域)よりも径方向において外側であって、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2の側に位置している。つまり、第2温度センサ72の温度検知点P72は、内部ケーシング21の外壁表面近傍であって、第2温度センサ72の温度検知点P72とタービンロータ3の回転中心軸AXとの間の第2の距離R2が、第1実施形態の場合よりも長い。
第3温度センサ73は、第1温度センサ71および第2温度センサ72と同様に、たとえば、熱電対である。第3温度センサ73は、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2の温度を計測し、その計測結果を温度測定値TS2として出力するように構成されている。具体的には、第3温度センサ73の温度検知点P73は、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2のうち、初段のタービン段落と第2段のタービン段落との間に位置する空間S1(第2段静翼前領域)よりも径方向において外側に位置している。つまり、第3温度センサ73の温度検知点P73とタービンロータ3の回転中心軸AXとの間の第3の距離R3は、第1の距離R1および第2の距離R2よりも長い。
[A−2]タービンロータ熱応力評価装置100
タービンロータ熱応力評価装置100は、第1実施形態の場合と同様に、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110と熱応力算出部120とを含む。タービンロータ熱応力評価装置100は、第1実施形態の場合と異なり、第1温度センサ71が計測した温度測定値T1および第2温度センサ72が計測した温度測定値T2の他に、第3温度センサ73が計測した温度測定値TS2が、入力信号として入力される。そして、タービンロータ熱応力評価装置100は、その入力された入力信号に基づいて演算処理を実行し、熱応力の算出結果を出力信号として出力する。
[A−2−1]ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110
タービンロータ熱応力評価装置100において、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110は、内部ケーシング21の内壁部分の温度について第1温度センサ71が計測した温度測定値T1、および、内部ケーシング21の外壁部分の温度について第2温度センサ72が計測した温度測定値T2と共に、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間の空間S2の温度について第3温度センサ73が計測した温度測定値TS2とに基づいて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を算出する。
上述したように、第1温度センサ71の温度検知点P71と第2温度センサ72の温度検知点P72とが径方向において離間した距離ΔRは、第1実施形態の場合(dR,図2参照)よりも長い((ΔR=R2−R1)。このため、内部ケーシング21において第1温度センサ71の温度検知点P71から第2温度センサ72の温度検知点P72に熱が伝導する際に要する時間は、第1実施形態の場合よりも長くなる。これに伴い、熱伝達率h1(W/m/K)の算出が、内部ケーシング21における非定常温度変化に追従できずに、その算出した熱伝達率h1(W/m/K)の正確性が低下する場合がある。したがって、本実施形態のケーシング内壁表面熱伝達率算出部110では、上記したように、第1温度センサ71が計測した温度測定値T1、および、第2温度センサ72が計測した温度測定値T2と共に、第3温度センサ73が計測した温度測定値TS2を用いて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の算出を行う。
以下より、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の算出手順について詳細に説明する。
[A−2−1−1]内部ケーシング21の外壁表面における熱伝達率h3の算出
本実施形態において、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を算出する際には、まず、内部ケーシング21の外壁表面(空間S2側の表面)における熱伝達率h3を求める演算処理を実施する。
図5は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、内部ケーシング21の外壁表面(空間S2側の表面)における熱伝達率h3の算出について説明する図である。図5では、タービンロータ3の回転中心軸AXが直交する鉛直面(yz面)に沿った断面の一部を示している。
図5に示すように、温度測定値T1と温度測定値TS2とを境界条件として設定すると共に、任意の熱伝達率h3を仮に設定した条件で、内部ケーシング21について非定常熱伝導解析を実施する。これにより、第2温度センサ72の温度検知点P72における温度を、温度計算値T2cとして算出する。
そして、その算出した温度計算値T2cと、第2温度センサ72が実際に計測した温度測定値T2とについて比較処理を実施し、両者が一致しているか否かを判断する。温度計算値T2cと温度測定値T2とが一致した場合には、上記において仮に設定した熱伝達率h3を最適値として記憶し、本処理を終了する。これに対して、温度計算値T2cと温度測定値T2とが不一致である場合には、他の熱伝達率h3を設定した条件で、上記のように温度計算値T2cの算出を実施し、上記の判断を行う。温度計算値T2cと温度測定値T2とが一致するまで、本処理を繰り返し実行する。本実施形態では、Newton法などの反復法によって、本処理を実行しているが、他の手法によって本処理を実行してもよい。
[A−2−1−2]内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の算出
つぎに、内部ケーシング21の外壁表面(空間S2側の表面)における熱伝達率h3を算出した後には、内部ケーシング21の内壁表面(空間S1側の表面)における熱伝達率h1を求める演算処理を行う。
図6は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、内部ケーシング21の内壁表面(空間S1側の表面)における熱伝達率h1の算出について説明する図である。図6では、図5と同じ部分を示している。
図6に示すように、温度測定値T2と温度計算値TS1とを境界条件として設定すると共に、任意の熱伝達率h1を仮に設定した条件で、内部ケーシング21について非定常熱伝導解析を実施する。これにより、第1温度センサ71の温度検知点P71における温度を、温度計算値T1cとして算出する。
そして、その算出した温度計算値T1cと、第1温度センサ71が実際に計測した温度測定値T1とについて比較処理を実施し、両者が一致しているか否かを判断する。温度計算値T1cと温度測定値T1とが一致した場合には、上記において仮に設定した熱伝達率h1を最適値として記憶し、本処理を終了する。これに対して、温度計算値T1cと温度測定値T1とが不一致である場合には、他の熱伝達率h1を設定した条件で、上記のように温度計算値T1cの算出を実施し、上記の判断を行う。温度計算値T1cと温度測定値T1とが一致するまで、本処理を繰り返し実行する。本実施形態では、Newton法などの反復法によって、本処理を実行しているが、他の手法によって本処理を実行してもよい。
[A−2−2]熱応力算出部120
タービンロータ熱応力評価装置100において、熱応力算出部120は、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110で算出した熱伝達率h1を用いて、タービンロータ3に発生する熱応力を算出する。
図7は、第2実施形態に係る蒸気タービン1において、タービンロータ3に発生する熱応力の算出について説明する図である。図7では、図5および図6と同じ部分を示している。
[B−2−2−1]タービンロータの外周面における熱伝達率h2の推定
本ステップでは、最初に、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部110で算出した熱伝達率h1に基づいて、タービンロータの外周面における熱伝達率h2を熱応力算出部120が推定する。ここでは、第1実施形態の場合と同様に、たとえば、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を、タービンロータの表面における熱伝達率h2として仮定する(h1=h2)。
[B−2−2−2]タービンロータ3の温度分布の算出
つぎに、タービンロータ3の外周面における熱伝達率h2を用いて、タービンロータ3の内部の温度分布を熱応力算出部120が求める。ここでは、第1実施形態の場合と同様な方法で、タービンロータ3の径方向における温度の推移を求める。
[B−2−2−3]タービンロータ3の熱応力の算出
つぎに、そのタービンロータ3の温度分布から、タービンロータ3の熱応力を熱応力算出部120が算出する。ここでは、第1実施形態の場合と同様な方法で、タービンロータ3の表面における温度Ts、タービンロータ3の中心における温度Tbなどを用いて、タービンロータ3の表面における熱応力σs、タービンロータ3の中心における熱応力σbを求める。
そして、その算出されたタービンロータ3の熱応力のデータは、第1実施形態の場合と同様に、たとえば、ディスプレイ(図示省略)に出力されて表示され、熱応力の評価に利用される。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態では、内部ケーシング21の内壁部分について計測した温度(温度測定値T1)、内部ケーシング21の外壁部分について計測した温度(温度測定値T2)、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間の空間S2について計測した温度(温度測定値TS2)に基づいて、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1を算出している。このため、内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1の正確性を高めることができる。その結果、タービンロータ3に発生する熱応力についても同様に、正確性を高めることが可能である。
したがって、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、タービンロータ3に発生する熱応力を正確に評価することができる。これに伴い、蒸気タービン1の起動時にタービンロータ3に生ずる応力をリアルタイムかつオンラインで監視可能であって、タービンロータ3の寿命を適正に管理することができる。また、蒸気タービン1の起動時間について短縮化を図ることができる。
[C]変形例
本実施形態において、第3温度センサ73の温度検知点P73は、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2に位置しているが、これに限らない。
図8は、第2実施形態の変形例に係る蒸気タービン1の一部を拡大して示す拡大断面図である。図8では、図4と同様な部分を示している。
図8に示すように、第3温度センサ73が外部ケーシング22の内壁部分の温度を計測するように、第3温度センサ73の温度検知点P73が、外部ケーシング22の内壁部分に位置していてもよい。内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2においては、蒸気は、ほぼ滞留した状態である。このため、外部ケーシング22の内壁部分の温度と、内部ケーシング21と外部ケーシング22との間に介在する空間S2の温度とは、ほぼ等しい。このため、上記したように、第3温度センサ73が外部ケーシング22の内壁部分の温度を計測してもよい。
<第3実施形態>
[A]タービンロータ熱応力評価装置100の詳細構成
図9は、第3実施形態において、タービンロータ熱応力評価装置100の概要を示す機能ブロック図である。
本実施形態において、タービンロータ熱応力評価装置100は、図9に示すように、フィッティング関数記憶部130を更に備える。
フィッティング関数記憶部130は、タービンロータ3の表面における熱伝達率h2と、蒸気タービン1の運転パラメータとの間を関連付けたフィッティング関数を記憶している。蒸気タービン1の運転パラメータは、たとえば、蒸気タービン1の起動時において蒸気タービン1に作動流体として導入される蒸気の流量と温度と圧力、および、タービンロータ3の回転数のうち少なくとも1つである。
図10は、第3実施形態において、フィッティング関数の一例を示す図である。図10において、縦軸は、タービンロータ3の表面における熱伝達率h2を示し、横軸は、蒸気流量SFを示している。
図10に示すように、フィッティング関数FFは、たとえば、蒸気流量SFを独立変数とする熱伝達率h2の関数である。フィッティング関数FFは、タービンロータ熱応力評価装置100において過去に算出された熱伝達率h2と、その熱伝達率h2の算出時における蒸気流量SFとを関連付けた複数のデータDのセットを、たとえば、最小二乗法などの近似法で近似することで作成される。
[B]まとめ
以上のように、本実施形態のタービンロータ熱応力評価装置100においては、フィッティング関数記憶部130が、タービンロータ3の表面における熱伝達率h2と、蒸気タービン1の運転パラメータとの間を関連付けたフィッティング関数FFを記憶している。このため、本実施形態では、蒸気タービン1の起動を実行する前に、フィッティング関数FFを用いて、運転パラメータ(蒸気流量SFなど)に対応する熱伝達率h2について把握し、タービンロータ3に生ずる応力を求めることができる。その結果、蒸気タービン1の起動を実行する際の起動シーケンスの妥当性を事前に検討することができる。
[C]変形例
なお、フィッティング関数記憶部130は、ケーシング2の内壁表面における熱伝達率(内部ケーシング21の内壁表面における熱伝達率h1)と、蒸気タービン1の運転パラメータとの間を関連付けたフィッティング関数を記憶するように構成されていてもよい。
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…蒸気タービン、2…ケーシング、3…タービンロータ、4…ノズルダイアフラム、5…シール部材、6…軸受、21…内部ケーシング、22…外部ケーシング、23A…主蒸気管、23B…再熱蒸気管、24…ノズルボックス、30…ロータディスク、31…動翼、41…静翼内周部、42…静翼、43…静翼外周部、71…第1温度センサ、72…第2温度センサ、73…第3温度センサ、100…タービンロータ熱応力評価装置、110…ケーシング内壁表面熱伝達率算出部、120…熱応力算出部、130…フィッティング関数記憶部、AX…回転中心軸、FF…フィッティング関数、h1…熱伝達率、h2…熱伝達率、h3…熱伝達率、HE…高圧排気室、IE…中圧排気室、P71…温度検知点、P72…温度検知点、P73…温度検知点、S1…空間、S2…空間、T1…温度測定値、T1c…温度計算値、T2…温度測定値、T2c…温度計算値、TS1…温度計算値、TS2…温度測定値

Claims (8)

  1. ケーシングの内部にタービンロータが設けられており、前記タービンロータの軸方向に沿って蒸気が流れることによって前記タービンロータが回転する蒸気タービンにおいて、前記タービンロータに発生する熱応力を評価するタービンロータ熱応力評価装置であって、
    前記ケーシングにおいて径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率を算出する、ケーシング内壁表面熱伝達率算出部と、
    前記ケーシング内壁表面熱伝達率算出部で算出した熱伝達率を用いて、前記タービンロータに発生する熱応力を算出する、熱応力算出部と
    を有する、
    タービンロータ熱応力評価装置。
  2. 前記ケーシングは、
    前記タービンロータを内部に収容する内部ケーシングと、
    前記内部ケーシングを内部に収容する外部ケーシングと
    を有し、
    前記ケーシング内壁表面熱伝達率算出部は、前記内部ケーシングの内壁部分について計測した温度、前記内部ケーシングの外壁部分について計測した温度、および、前記内部ケーシングと前記外部ケーシングとの間の空間について計測した温度に基づいて、前記内部ケーシングの内壁表面における熱伝達率を前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率として算出する、
    請求項1に記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  3. 前記ケーシングは、
    前記タービンロータを内部に収容する内部ケーシングと、
    前記内部ケーシングを内部に収容する外部ケーシングと
    を有し、
    前記ケーシング内壁表面熱伝達率算出部は、
    前記内部ケーシングの内壁部分について計測した温度、前記内部ケーシングの外壁部分について計測した温度、および、前記外部ケーシングの内壁部分について計測した温度に基づいて、前記内部ケーシングの内壁表面における熱伝達率を前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率として算出する、
    請求項1に記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  4. 前記熱応力算出部は、非定常熱伝導解析を実行することによって、前記タービンロータに発生する熱応力の評価を行う、
    請求項1から3のいずれかに記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  5. 前記熱応力算出部は、
    前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率と前記タービンロータの外周面における熱伝達率との間を関連付けた関数を用いて、前記ケーシング内壁表面熱伝達率算出部で算出した熱伝達率から、前記タービンロータの外周面における熱伝達率を求めた後に、前記タービンロータの外周面における熱伝達率を用いて、前記タービンロータに発生する熱応力の評価を実行する、
    請求項1から4のいずれかに記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  6. 前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率および前記タービンロータの外周面における熱伝達率の少なくとも1つと、前記蒸気タービンの運転パラメータとの間を関連付けたフィッティング関数を記憶するフィッティング関数記憶部
    を有する、
    請求項5に記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  7. 前記運転パラメータは、前記蒸気タービンに作動流体として導入される蒸気の流量と温度と圧力、および、前記タービンロータの回転数のうち少なくとも1つである、
    請求項6に記載のタービンロータ熱応力評価装置。
  8. ケーシングの内部にタービンロータが設けられており、前記タービンロータの軸方向に沿って蒸気が流れることによって前記タービンロータが回転する蒸気タービンにおいて、前記タービンロータに発生する熱応力を評価するタービンロータ熱応力評価方法であって、
    前記ケーシングにおいて径方向で異なる複数の点について計測した温度に基づいて、前記ケーシングの内壁表面における熱伝達率を算出する、ケーシング内壁表面熱伝達率算出ステップと、
    前記ケーシング内壁表面熱伝達率算出ステップで算出した熱伝達率を用いて、前記タービンロータに発生する熱応力を算出する、熱応力算出ステップと
    を有する、
    タービンロータ熱応力評価方法。
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