JP2019143140A - 樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体 - Google Patents

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裕亮 谷本
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Abstract

【課題】本発明は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂が、光照射下で変色し易く、また強度が低下し易いという課題を解決する。【解決手段】本発明は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂と、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤とを含む、樹脂組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂を含み、屋外等の光照射下においても変色又は強度低下し難い樹脂組成物、及び、該樹脂組成物を含む成形品に関する。
本発明はまた、前記樹脂の、光照射下での変色を抑制する方法に関する。
本発明はまた、前記樹脂の、光照射下での変色を抑制するための樹脂変色抑制剤に関する。
本発明はまた、前記樹脂の、光照射下での強度低下を抑制する方法に関する。
本発明はまた、前記樹脂の、光照射下での強度低下を抑制するための樹脂強度低下抑制剤に関する。
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂は、透明性、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、情報技術機器、機械、自動車、医療、食品などの分野で広く用いられている。
特許文献1では、透明性を維持しつつ前記樹脂の耐熱性を向上するために、架橋性化合物を配合することが記載されている。
特許文献2では、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートコポリエステルに、ベンズオキサジノン系化合物からなる紫外線吸収剤を配合することにより、耐候性及び耐薬品性を付与することが記載されている。
特開2016−98266号公報 国際公開WO2012/111860
本発明者らは、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂が、光照射下で変色し易いという課題を見出した。
本発明者らは、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂が、光照射下で強度が低下し易いという課題を見出した。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合することにより、前記樹脂の光照射下での変色が抑制される、という驚くべき知見を得て本発明を完成するに至った。本発明者らは更に、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合することにより、前記樹脂の光照射下での強度の低下が抑制される、という驚くべき知見を得た。本発明は以下の発明を包含する。
(1)
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂と、
シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤と
を含む、樹脂組成物。
(2)
前記ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂が、グリコール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオールを含む、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)
フェノール/テトラクロロエタン(60wt%/40wt%)中で、25℃で0.25g/50mlの濃度で測定されるインヘレント粘度が0.30〜1.0dL/gであり、且つ、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)
前記樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤を0.05〜5質量部含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)
(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を成形した試料に、キセノンランプの放射光を累積照射エネルギーが576MJ/m2となるように照射したとき、
前記試料が、
(A1)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度が12以下である、
(B1)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z 8730:2009に準拠して計算された色差ΔEが10以下である、及び、
(C1)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率が86%以上である
のうち1以上の特性を有することを特徴とする樹脂組成物。
(6)
(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂組成物の成形品。
(7)
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
(A2)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度の光照射下での増大、(B2)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEの光照射下での増大、及び
(C2)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率の光照射下での低下のうち1以上を抑制する方法。
(8)
シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、
(A2)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度の光照射下での増大、(B2)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEの光照射下での増大、及び
(C2)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率の光照射下での低下のうち1以上を抑制するための、樹脂変色抑制剤。
(9)
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
(D)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張強度の光照射下での低下、
(E)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張破断伸度の光照射下での低下、及び
(F)JIS K7111−1:2012に準拠し測定したシャルピー衝撃強度の光照射下での低下
のうち1以上を抑制する方法。
(10)
シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、
(D)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張強度の光照射下での低下、
(E)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張破断伸度の光照射下での低下、及び
(F)JIS K7111−1:2012に準拠し測定したシャルピー衝撃強度の光照射下での低下
のうち1以上を抑制するための、樹脂強度低下抑制剤。
本発明によれば、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂の光照射下での変色を抑制するための手段が提供される。本発明によれば、前記樹脂の光照射下での強度の低下を抑制するための手段が提供される。
図1は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図2は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図3は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図4は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図5は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図6は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図7は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図8は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図9は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を89℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図10は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図11は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図12は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図13は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図14は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図15は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1501HFに耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図16は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の黄色度(YI)との関係を示す図である。 図17は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の色変化(ΔE)との関係を示す図である。 図18は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX2001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を63℃条件で照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の全光線透過率との関係を示す図である。 図19は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の引張強度との関係を示す図である。 図20は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片の引張破断伸度との関係を示す図である。 図21は、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン)TX1001に耐候剤を添加した樹脂組成物から成形した樹脂試料片に、キセノンランプの放射光を照射したときの、累積照射エネルギーと、前記樹脂試料片のシャルピー衝撃強度との関係を示す図である。
<樹脂>
本発明に用いる、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂は、酸成分としてのテレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体と、グリコール成分としての1,4−シクロヘキサンジメタノールとのコポリマーである。1つの実施形態においては、グリコール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノールと2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオールとが併用される。
前記酸成分において、テレフタル酸及びテレフタル酸誘導体の合計含有割合は、酸成分全量に対して、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは40モル%〜90モル%であり、さらに好ましくは52モル%〜83モル%である。
前記テレフタル酸誘導体としては、例えば、テレフタル酸のジアルキルエステル、ジアリールエステル等が挙げられる。テレフタル酸誘導体の具体例としては、例えば、ジメチルテレフタレート(DMT)、ジエチルテレフタレート等が挙げられる。
前記酸成分は、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体に加えて、他の二塩基酸及び/又は低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル)をさらに含んでいてもよい。他の二塩基酸及び低級アルキルエステルの合計含有割合は、酸成分全量に対して、好ましくは10モル%〜60モル%であり、より好ましくは15モル%〜48モル%であり、さらに好ましくは17モル%〜48モル%である。
他の二塩基酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸等が挙げられる。前記二塩基酸は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。シクロヘキサンジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
前記グリコール成分において、1,4−シクロヘキサンジメタノールの含有割合は、グリコール成分全量に対して、好ましくは50モル%以上である。
前記グリコール成分は、1,4−シクロヘキサンジメタノールに加えて、その他のグリコール系化合物をさらに含んでいてもよい。その他のグリコール系化合物は、脂肪族グリコールであってもよく、脂環式グリコールであってもよい。その他のグリコール化合物としては、炭素数が2〜20のグリコールが好ましく用いられる。このようなグリコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオール等が挙げられる。好ましくは、グリコール成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノールと2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオールとが併用される。
1つの実施形態においては、前記ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂は、酸成分としてのジメチルテレフタレート(DMT)と、グリコール成分としての1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオール(TMCD)とから構成されるコポリエステル樹脂である。このような樹脂を用いれば、透明性及び耐衝撃性に優れる成形品を得ることができる。
前記ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂は、分岐剤を使用して合成されたものを用いることもできる。分岐剤としては、例えば、無水トリメリット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物、トリメシン酸、ヘミメリット酸、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ジペンタエリトリトール等が挙げられる。分岐剤の使用量は、酸成分及びグリコール成分の合計量に対して、1.5モル%以下であることが好ましい。
前記ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂は、任意の適切な溶融相又は固相重縮合法を用いて製造できる。回分法でもあってもよく、連続法であってもよい。これらの方法の例は、米国特許第4,256,861号、同第4,539,390号及び同第2,901,466号に記載されている。
本発明に用いるポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂のインヘレント粘度は、25℃で0.25g/50mlの濃度で60/40(w t/wt)フェノール/テトラクロロエタン中で決定して、好ましくは0.35〜1.0dL/gであり、より好ましくは0.40〜0.9dL/gであり、最も好ましくは0.50〜0.8dL/gである。
本発明に用いるポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは80℃以上であり、より好ましくは、下記の範囲の少なくとも1つであることができる:90〜115℃、90〜110℃、90〜105℃、90〜100℃、90〜95℃、95〜115℃、95〜110℃、95〜105℃、95〜100℃、100〜115℃、100〜110℃、100〜105℃、105〜115℃、105〜110℃、110〜125℃及び110〜115℃。
前記ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂は市販品を用いてもよい。前記樹脂の市販品としては、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン) TX1001、Tritan TX1501HF、Tritan TX2001等の、商品名Tritanの各グレードの製品が使用できる。
<紫外線吸収剤>
本発明では、紫外線吸収剤として、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上、特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選択される1種以上を用いる。本発明者らは、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、前記樹脂の光照射下での変色を抑制する作用を有すること、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は前記作用が特に高いこと、並びに、同様の作用を有することが期待されたヒンダードアミン系光安定剤及びジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、予想外にも、前記作用を有さないことを見出した。本発明者らは更に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、前記樹脂の光照射下での強度の低下を抑制する作用を有すること、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は前記作用が特に高いことを見出した。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス([(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンが挙げられる。実施例で用いたBASF社製のシアノアクリレート系紫外線吸収剤である、商品名Uvinul 3030FFは、1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス([(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパンに相当する。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体;2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体;等の2−ヒドロキフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体を用いてもよい。実施例で用いたBASF社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、商品名TINUVIN 234は、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾールに相当する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂と、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤とを含むことを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、光照射下における変色又は強度低下が少ないため、屋外や日光の当たる場所で使用する用途に適している。
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、前記樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤を0.05〜5質量部含む。前記紫外線吸収剤が、前記樹脂100質量部に対し0.05質量部以上である場合、光照射下における前記樹脂の変色を抑制する効果又は前記樹脂の強度低下を抑制する効果が十分に付与される。前記紫外線吸収剤が、前記樹脂100質量部に対し5質量部以下である場合、前記紫外線吸収剤の配合によって、前記樹脂の透明性や物性を阻害されることがない。
本発明の樹脂組成物において、前記紫外線吸収剤は、前記樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上がより好ましく、4質量部以下がより好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂組成物を成形した試料に、キセノンランプの放射光を累積照射エネルギーが576MJ/m2となるように照射したとき、
前記試料が、
(A1)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度が12以下である、
(B1)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEが10以下である、及び、
(C1)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率が86%以上である
のうち1以上の特性を有することがより好ましく、2以上の特性を有することが更に好ましく、3つの特性を有することが最も好ましい。
キセノンランプの放射光の試料への照射条件は、より具体的には、実施例に記載の条件が挙げられる。
前記(A1)において、黄色度は、より好ましくは11以下であり、より好ましくは10以下であり、より好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下である。
前記(B1)において、色変化は、より好ましくは9以下であり、より好ましくは8以下であり、より好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下であり、より好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下である。
前記(C1)において、全光線透過率は、より好ましくは87%以上であり、より好ましくは88%以上である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、成形加工時の分子量、色相等を安定化させるための各種安定化剤;酸化防止剤等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、リン系安定剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。また、添加剤として、蜜蝋;ペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)、グリセロールモノステアレート(GMS)、モンタン酸ワックスなどの離型剤;帯電防止剤;染顔料;展着剤(例えば、エポキシ化大豆油、流動パラフィン等)、強化材(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、ワラステナイト等)、または、その他の樹脂を配合してもよい。
本発明の樹脂組成物では、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂と、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤との合計量が、樹脂組成物の全量に対して、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
<成形品>
本発明は、一態様において、前記樹脂組成物の成形品を提供する。
本発明の成形品の成形方法としては、任意の適切な方法、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、回転成形、インフレーション成形等、が採用され得る。
本発明の成形品は、優れた透明性と耐熱性を具備していることから、自動車用部品、電気・電子部品、ITE部品、医療用部品、食品用部品、各種シート、フィルムなどに幅広く利用することができる。
<樹脂の変色を抑制する方法>
本発明は、一態様において、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
(A2)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度の光照射下での増大、(B2)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEの光照射下での増大、及び
(C2)JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率の光照射下での低下
のうち1以上を抑制する方法を提供する。
前記(A2)、(B2)及び(C2)は、いずれも、樹脂の光照射下での変色の指標である。本発明者らは、前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合することにより、前記樹脂の光照射下での変色が抑制されること、具体的には、前記(A2)、(B2)及び(C2)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、特に好ましくは3つが抑制されることを見出した。
前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する工程における、配合比は特に限定されないが、前記樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤が好ましくは0.05〜5質量部となるように配合し、この範囲のなかでも、より好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下となるように配合する。
前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する方法は特に限定されないが、例えば、前記樹脂を加熱溶融し、前記紫外線吸収剤を添加し、混合する方法が例示できる。前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する際に、上述のような他の添加剤を更に配合してもよい。
<樹脂変色抑制剤>
本発明は、一態様において、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、前記(A2)、(B2)及び(C2)のうち1以上を抑制するための、樹脂変色抑制剤を提供する。
本発明の樹脂変色抑制剤は、好ましくは、前記(A2)、(B2)及び(C2)のうち2以上を抑制するためのものであり、特に好ましくは、前記(A2)、(B2)及び(C2)の3つを抑制するためのものである。
<樹脂の強度低下を抑制する方法>
本発明は、一態様において、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
(D)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張強度の光照射下での低下、
(E)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張破断伸度の光照射下での低下、及び
(F)JIS K7111−1:2012に準拠し測定したシャルピー衝撃強度の光照射下での低下
のうち1以上を抑制する方法を提供する。
前記(D)、(E)及び(F)は、いずれも、樹脂の光照射下での強度低下の指標である。本発明者らは、前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合することにより、前記樹脂の光照射下での強度低下が抑制されること、具体的には、前記(D)、(E)及び(F)のうち1つ以上、好ましくは2つ以上、特に好ましくは3つが抑制されることを見出した。
前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する工程における、配合比は特に限定されないが、前記樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤が好ましくは0.05〜5質量部となるように配合し、この範囲のなかでも、より好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下となるように配合する。
前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する方法は特に限定されないが、例えば、前記樹脂を加熱溶融し、前記紫外線吸収剤を添加し、混合する方法が例示できる。前記樹脂に前記紫外線吸収剤を配合する際に、上述のような他の添加剤を更に配合してもよい。
<樹脂強度低下抑制剤>
本発明は、一態様において、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、前記(D)、(E)及び(F)のうち1以上を抑制するための、樹脂強度低下抑制剤を提供する。
本発明の樹脂強度低下抑制剤は、好ましくは、前記(D)、(E)及び(F)のうち2以上を抑制するためのものであり、特に好ましくは、前記(D)、(E)及び(F)の3つを抑制するためのものである。
以下、具体的な実験結果に基づいて本発明を説明する。実験結果は本発明の範囲を限定するものではない。
<材料>
ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂として、イーストマンケミカル社製の商品名Tritan(トライタン) TX1001、TX1501HF、TX2001を用いた。
耐候剤として、
BASF社製のシアノアクリレート系紫外線吸収剤である、商品名Uvinul 3030FF(以下「耐候剤1」という)、
BASF社製のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)である、商品名CHIMASSORB 2020FDL(以下「耐候剤2」という)、
BASF社製のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、商品名TINUVIN 234(以下「耐候剤3」という)、及び、
BASF社製のジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、商品名Uvinul 3050(以下「耐候剤4」という)
を用いた。
<樹脂試料片の調製>
次表に示す配合の樹脂試料片を調製した。表中の数値は質量部を示す。
各樹脂試料片の調製方法:
まず、二軸押出機(東芝機械社製TEM18SS、スクリュ径18mm)の主ホッパーに、表1に示す質量部となるようにポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂及び耐候剤を供給し、270℃で溶融混練を行った。溶融物を二軸押出機からストランド状に押出して冷却固化した後、ペレット状に切断し樹脂組成物を得た。
充分に乾燥した上記の樹脂組成物を、それぞれ、射出成形機(東洋機械金属社製:PLASTAR SI−80IV)を用いて射出成形することによって樹脂試料片を作製した。各樹脂試料片は、横50mm、縦80mmの段付きプレート(各段の厚みは1mm、2mm、3mm)の形状とした。物性の測定は厚み2mmの部分で実施した。
実験1
上記の樹脂組成物から作製した上記の樹脂試料片を用いて下記の耐候性試験を行った。評価結果を図1〜18に示す。
Figure 2019143140
<耐候性試験>
各樹脂試料片に対し、キセノンウェザーメーターを用い1000時間(照射量576MJ/m2)までの耐候性試験を実施した。ブラックパネル温度を89℃に設定した条件を「条件1」とし、63℃に設定した条件を「条件2」とした。
耐候試験は以下の条件で行った。
装置:スーパーキセノンウェザーメーターSX−75型(スガ試験機製)
ガラスフィルタ(インナー/アウター):石英/#320
照射照度:160W/m2
ブラックパネル温度:89℃(条件1)、63℃(条件2)
槽内湿度:50%Rh
照射方法:連続(水噴霧なし)
照射量(照射時間):100MJ/m2(175時間)、288MJ/m2(500時間)、及び、576MJ/m2(1000時間)
<黄色度(YI)>
前記の耐候性試験の照射前(0時間)、照射量100MJ/m2(175時間)、288MJ/m2(500時間)、及び、576MJ/m2(1000時間)の各樹脂試料片について、日本工業規格(JIS)K7373:2006に従い黄色度(YI)を測定した。
<色差(ΔE)>
前記の耐候性試験の照射前(0時間)、照射量100MJ/m2(175時間)、288MJ/m2(500時間)、及び、576MJ/m2(1000時間)の各樹脂試料片について、JIS Z8722:2009に準拠して色測定し、JIS Z8730:2009 に従い色差(ΔE)を計算した。
<全光線透過率(T(%))>
前記の耐候性試験の照射前(0時間)、照射量100MJ/m2(175時間)、288MJ/m2(500時間)、及び、576MJ/m2(1000時間)の各樹脂試料片について、JIS K7361−1:1997に従い全光線透過率(T(%))を測定した。
<結果>
図1〜18に、各樹脂の各温度条件の耐候性試験での、樹脂試料片の黄色度、色差、全光線透過率と、光照射量との関係を示す。下記表に、各図の樹脂、耐候性試験での温度条件、及び、測定項目をまとめた。
Figure 2019143140
<黄色度(YI)>
黄色度の測定結果を上記表に示す各図に示す。耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片、特に耐侯剤3を添加した樹脂試料片では、照射量が増大しても黄色度の増大が抑制されることが確認された。この効果は、耐候性試験を89℃で行った場合でも63℃で行った場合でも認められた。耐侯剤2及び4では黄色度の増大を抑制する効果が小さかった。
また、耐侯剤4は、それ自身が黄色を有するため、耐侯性試験前の試料片が黄色を帯びていた。
<色差(ΔE)>
色差の測定結果を上記表に示す各図に示す。耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片、特に耐侯剤3を添加した樹脂試料片では、照射量が増大しても色変化の増大が抑制されることが確認された。この効果は、耐候性試験を89℃で行った場合でも63℃で行った場合でも認められた。耐侯剤2及び4では色変化を抑制する効果が小さかった。
<全光線透過率(T(%))>
全光線透過率の測定結果を上記表に示す各図に示す。耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片、特に耐侯剤3を添加した樹脂試料片では、照射量が増大しても全光線透過率が高いレベルで保持されることが確認された。この効果は、耐候性試験を89℃で行った場合でも63℃で行った場合でも認められた。耐侯剤2及び4では全光線透過率を保持する効果が小さかった。
実験2
表1に示す樹脂組成物のうち試料名「TX1001」(対照)、「TX1001−1」及び「TX1001−3」を用いて下記の耐候性試験を行った。
<耐候性試験>
各樹脂試料片に対し、キセノンウェザーメーターを用い照射量576MJ/m2までの耐候性試験を実施した。ブラックパネル温度を63℃に設定した。
耐候試験は以下の条件で行った。
装置:スーパーキセノンウェザーメーターSX−75型(スガ試験機製)
ガラスフィルタ(インナー/アウター):石英/#295
照射照度:160W/m2
ブラックパネル温度:63℃
槽内湿度:50%Rh
照射方法:連続(水噴霧なし)
照射量(照射時間):144MJ/m2(250時間)、288MJ/m2(500時間)、432MJ/m2(750時間)、及び576MJ/m2(1000時間)
<引張強度>
引張強度及び引張破断伸度を測定するための引張試験は、「プラスチック−引張特性の試験方法 第2部:型成形、押出成形及び注型プラスチックの試験条件(JIS K7161−1及び−2:2014)」に基づいて実施した。
ダンベル型の試験片を用意した。AUTOGRAPH AG−X(株式会社島津製作所 )に引張試験冶具を取り付け、上部チャックおよび下部チャックで前記試験片を挟んだ。上部チャックを速度50mm/minで上方に、前記試験片が破断するまで移動させた。引張降伏応力、引張破断応力、引張破断ひずみを確認し、引張強度(MPa)及び引張破断伸度(%)を求めた。
<シャルピー衝撃強度>
シャルピー衝撃強さ試験は、「プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方−第1部:非計装化衝撃試験(JIS K7111−1:2012)」に基づいて実施した。
あらかじめダンベル型の試験片をISO 179/1eAの形状に加工した(ダンベル型試験片の両端を切断し、80mm×10mm×2mmに加工し、中央にノッチ加工した)。前記試験片をシャルピー衝撃試験機(株式会社安田精機製作所製NO.258−D)の支持台に設置し、公称振子エネルギー4.00Jのハンマを用いて振り上げ角150°で破壊し、シャルピー衝撃強度を確認した。
<結果>
図19、20、21に、各樹脂の上記耐候性試験での引張強度、引張破断伸度、及びシャルピー衝撃強度の測定値と、光照射量との関係を示す。
図19に示す結果は、耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片は、耐侯剤を添加しない樹脂試料片と比較して、耐候性試験において引張強度の低下が抑制されたことを示す。この傾向は、耐侯剤3を添加した樹脂試料片において特に顕著であった。
図20に示す結果は、耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片は、耐侯剤を添加しない樹脂試料片と比較して、耐候性試験において引張破断伸度の低下が抑制されたことを示す。
図21に示す結果は、耐侯剤1を添加した樹脂試料片及び耐侯剤3を添加した樹脂試料片は、耐侯剤を添加しない樹脂試料片と比較して、耐候性試験においてシャルピー衝撃強度の低下が抑制されたことを示す。
本発明の樹脂組成物は、自動車用部品、電気・電子部品、ITE部品、医療用部品、食品用部品、各種シート、フィルムなどの幅広い用途に利用することができる。

Claims (10)

  1. ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂と、
    シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤と
    を含む、樹脂組成物。
  2. 前記ポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂が、グリコール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタンジオールを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. フェノール/テトラクロロエタン(60wt%/40wt%)中で、25℃で0.25g/50mlの濃度で測定されるインヘレント粘度が0.30〜1.0dL/gであり、且つ、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤を0.05〜5質量部含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物を成形した試料に、キセノンランプの放射光を累積照射エネルギーが576MJ/m2となるように照射したとき、
    前記試料が、
    (A1)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度が12以下である、
    (B1)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEが10以下である、及び、
    (C1)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率が86%以上である
    のうち1以上の特性を有することを特徴とする樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の成形品。
  7. ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
    (A2)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度の光照射下での増大、(B2)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z 8730:2009に準拠して計算された色差ΔEの光照射下での増大、及び
    (C2)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率の光照射下での低下
    のうち1以上を抑制する方法。
  8. シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
    ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、
    (A2)JIS K7373:2006に準拠して測定した黄色度の光照射下での増大、(B2)JIS Z8722:2009に準拠して測定し、JIS Z8730:2009に準拠して計算された色差ΔEの光照射下での増大、及び
    (C2)JIS K7361−1:1997に準拠して測定した全光線透過率の光照射下での低下
    のうち1以上を抑制するための、樹脂変色抑制剤。
  9. ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂に、シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を配合する工程を含む、前記樹脂における、
    (D)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張強度の光照射下での低下、
    (E)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張破断伸度の光照射下での低下、及び
    (F)JIS K7111−1:2014に準拠し測定したシャルピー衝撃強度の光照射下での低下
    のうち1以上を抑制する方法。
  10. シアノアクリレート系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤からなる群から選択される1種以上の紫外線吸収剤を含む、
    ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル系樹脂における、
    (D)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張強度の光照射下での低下、
    (E)JIS K7161−1及び−2:2014に準拠し測定した引張破断伸度の光照射下での低下、及び
    (F)JIS K7111−1:2012に準拠し測定したシャルピー衝撃強度の光照射下での低下
    のうち1以上を抑制するための、樹脂強度低下抑制剤。
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