JP2019142627A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷媒体に対する印刷開始位置のずれが生じることを低減する。【解決手段】制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングから規定時間後に開始されるウィンドウ内において第2センサ5で用紙先端が検出された場合は、第2センサ5による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行い、ウィンドウ内において第2センサ5で用紙先端が検出されない場合は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう印刷部を制御する。また、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからウィンドウの開始タイミングまでのレジストローラ14の搬送スケジュールに基づく用紙Pの搬送量が、その設計値と一致するようにウィンドウの開始タイミングを補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、用紙等の印刷媒体に印刷を行う印刷装置に関する。
用紙をレジストローラに突き当て、用紙にたるみを形成させて用紙の斜行を補正した後、レジストローラを駆動させて用紙を搬送ベルトへ搬送し、搬送ベルトにより用紙を搬送しつつ、インクジェットヘッドにより用紙に印刷する印刷装置が知られている。
このような印刷装置において、インクジェットヘッドに対して用紙の搬送経路における上流側近傍に配置された用紙センサで用紙先端を検出したタイミングを基準として、インクジェットヘッドからインクを吐出させる制御が行われている。
ここで、印刷装置に設置される用紙センサとしては、一般に、光学式の透過型センサまたは反射型センサが用いられる。透過型センサは、発光部と受光部とが検出対象物を挟んで対向配置されたセンサである。反射型センサは、発光部と受光部とが検出対象物に対して並設されたセンサである。用紙を確実に検出するためには、透過型センサを使用することが望ましい。
上述の印刷装置では、インクジェットヘッドの上流側近傍には、搬送ベルトがある。したがって、インクの吐出タイミング制御のために適した位置であるインクジェットヘッドの上流側近傍の位置に、透過型センサを設置することができない。このため、上述の印刷装置では、インクジェットヘッドの上流側近傍において、搬送ベルトの上方に反射型センサを配置している。
しかし、上述のように、反射型センサは、透過型センサに比べて用紙の検出精度が劣る。例えば、用紙の反射率と搬送ベルトの反射率とが近い値である場合等では、反射型センサで用紙先端を検出することが困難になる。
これに対し、特許文献1には、搬送ベルトより上流側に透過型センサを設け、この透過型センサと、インクジェットヘッドの上流側近傍の反射型センサとを併用して、インクジェットヘッドによるインクの吐出のタイミングを制御する技術が開示されている。
この特許文献1の技術では、上記透過型センサで用紙先端が検出されると、その検出タイミングから規定時間後に開始されるウィンドウとよばれる期間を設定する。そして、ウィンドウ内のタイミングにおいて上記反射型センサで用紙先端が検出された場合、印刷装置は、その反射型センサの検出タイミングを基準としてインクジェットヘッドからインクを吐出させる。一方、ウィンドウ内に上記反射型センサで用紙先端が検出されなかった場合、印刷装置は、上記透過型センサで用紙先端が検出されたタイミングを基準としてインクジェットヘッドからインクを吐出させる。
これにより、印刷装置は、ウィンドウ内に上記反射型センサで用紙先端が検出されなかったとしても、インクジェットヘッドへと搬送される用紙に適切なタイミングでインクを吐出できる。
特開2012−76834号公報
ところで、特許文献1の印刷装置において、用紙搬送の異常により、ウィンドウ内に上記反射型センサで用紙先端が検出されない場合がある。
例えば、コシの強い種類の用紙に印刷を行う場合、用紙をレジストローラに突き当てた際に、用紙先端がレジストローラのニップ点で停止せず、ニップ点より下流側に飛び出す突っ込みが発生することがある。このレジストローラへの用紙の突っ込みに起因して、ウィンドウ内に上記反射型センサで用紙先端が検出されない場合がある。その理由は、次のようなものである。
レジストローラは、先行の用紙との紙間を詰めるため、用紙を搬送ベルトによる搬送速度よりも速いトップ速度まで加速させた後、搬送ベルトによる搬送速度である印刷搬送速度まで減速させて、印刷搬送速度で搬送ベルトに到達させるように制御される。そして、用紙がトップ速度で搬送されている期間中に、用紙先端が上記透過型センサで検出されるように設計されている。
レジストローラへの用紙の突っ込みある場合、用紙先端がレジストローラのニップ点より下流側に飛び出した状態から、レジストローラによる用紙の搬送が行われる。このため、レジストローラへの用紙の突っ込みがある場合、突っ込みがない正常な場合に比べて、早いタイミングで用紙先端が上記透過型センサにより検出される。
このことから、レジストローラへの用紙の突っ込みがある場合、正常な場合に比べて、上記透過型センサによる用紙先端の検出後におけるトップ速度での用紙搬送時間が長くなることで、上記透過型センサで用紙先端が検出されてから上記反射型センサで用紙先端が検出されるまでの時間が短くなることがある。
そして、その結果、ウィンドウの開始タイミングよりも前に、上記反射型センサで用紙先端が検出されることがある。すなわち、ウィンドウ内に上記反射型センサで用紙先端が検出されない場合がある。
上述のようにウィンドウの開始タイミングよりも前に上記反射型センサで用紙先端が検出された場合、上記透過型センサで用紙先端が検出されたタイミングを基準としてインクジェットヘッドからのインク吐出が行われることになる。
ここで、ウィンドウの開始タイミングよりも前に上記反射型センサで用紙先端が検出された場合は、正常な場合に比べて、用紙先端が上記透過型センサで検出されてからインクジェットヘッドに到達するまでの時間も短くなる。このため、正常な場合よりも用紙が下流側へ進んだ状態で、インクの吐出が開始される。この結果、用紙に対する印刷開始位置のずれが生じ、正常な場合よりも先端側(下流側)の余白が広がった印刷物が形成される。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷媒体に対する印刷開始位置のずれが生じることを低減できる印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、搬送経路に沿って搬送される印刷媒体に印刷を行う印刷部と、印刷媒体の搬送方向における前記印刷部の上流側に配置され、前記搬送経路に沿って搬送されてきた印刷媒体を受け止めた後、前記印刷部に向けて印刷媒体を搬送するレジストローラと、前記レジストローラと前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第1検出部と、前記第1検出部と前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第2検出部と、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから規定時間後に開始される判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出された場合は、前記第2検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行い、前記判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出されない場合は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう前記印刷部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから前記判定期間の開始タイミングまでの前記レジストローラの搬送スケジュールに基づく印刷媒体の搬送量が、その設計値と一致するように前記判定期間の開始タイミングを補正することを特徴とする。
本発明の印刷装置によれば、印刷媒体に対する印刷開始位置のずれが生じることを低減できる。
実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。 図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。 (a)〜(c)は、正常な給紙搬送が行われる場合におけるレジストローラから搬送部へ搬送される用紙の動きを示す図である。 レジストローラの搬送スケジュールと、正常な給紙搬送が行われる場合における第1センサおよび第2センサの用紙検出状態を示すタイミングチャートである。 レジストローラへの用紙の突っ込みが発生した状態を示す図である。 レジストローラの搬送スケジュールと、レジストローラへの用紙の突っ込みが発生した場合における第1センサおよび第2センサの用紙検出状態を示すタイミングチャートである。 基準センサ決定処理のフローチャートである。 ウィンドウの開始タイミングの補正の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図である。図2は、図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。以下の説明において、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。また、図1において破線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路Rであり、左から右に向かう方向が、用紙Pの搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、用紙Pの搬送方向における上流、下流を意味する。
図1、図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、搬送部3と、第1センサ(第1検出部)4と、第2センサ(第2検出部)5と、印刷部6と、制御部7とを備える。
給紙部2は、用紙Pを搬送部3に給紙する。給紙部2は、給紙台11と、給紙ローラ12と、給紙モータ13と、レジストローラ14と、レジストモータ15とを備える。
給紙台11は、印刷に使用される用紙Pが積載されるものである。
給紙ローラ12は、給紙台11に積載された用紙Pを1枚ずつピックアップしてレジストローラ14に向けて搬送する。
給紙モータ13は、給紙ローラ12を駆動させる。
レジストローラ14は、給紙ローラ12により搬送経路Rに沿って搬送されてきた用紙Pを受け止めた後、搬送部3および印刷部6へ向けて搬送する。レジストローラ14は、搬送部3および印刷部6の上流側に配置されている。
レジストモータ15は、レジストローラ14を駆動させる。
搬送部3は、給紙部2から給紙された用紙Pを搬送する。搬送部3は、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23〜25と、搬送モータ26と、ファン27と、エンコーダ28とを備える。
搬送ベルト21は、レジストローラ14により搬送されてきた用紙Pを吸着保持して搬送する。搬送ベルト21は、駆動ローラ22および従動ローラ23〜25に掛け渡された環状のベルトである。搬送ベルト21には、エア吸引用の貫通穴である多数のベルト穴(図示せず)が形成されている。搬送ベルト21は、ファン27の駆動によりベルト穴に発生する吸着力により、用紙Pを吸着保持する。搬送ベルト21は、図1における時計回り方向に回転(無端移動)することで、吸着保持した用紙Pを左から右へ搬送する。搬送ベルト21は、搬送経路Rの一部を構成する。
駆動ローラ22は、搬送ベルト21を図1における時計回り方向に回転させる。
従動ローラ23〜25は、駆動ローラ22とともに搬送ベルト21を支持する。従動ローラ23〜25は、回転する搬送ベルト21に従動回転する。従動ローラ23は、駆動ローラ22と同じ高さで、駆動ローラ22の左方に配置されている。従動ローラ24,25は、駆動ローラ22および従動ローラ23の下方において、互いに左右方向に離間して、同じ高さに配置されている。
搬送モータ26は、駆動ローラ22を回転駆動させる。
ファン27は、下方向への気流を生じさせる。これにより、ファン27は、搬送ベルト21のベルト穴を介して空気を吸引してベルト穴に負圧を発生させ、搬送ベルト21上に用紙Pを吸着保持させる。ファン27は、搬送ベルト21に囲まれた領域に配置されている。
エンコーダ28は、従動ローラ23の所定の回転角度ごとにパルス信号を出力する。
第1センサ4は、レジストローラ14と印刷部6との間において、搬送部3の上流側に配置され、搬送される用紙Pの先端を検出する。第1センサ4は、搬送経路Rを挟んで互いに対向して配置された発光部4aと受光部4bとを有する光学式の透過型センサからなる。
第2センサ5は、第1センサ4と印刷部6との間において、印刷部6の上流側近傍における搬送ベルト21の上方に配置され、搬送される用紙Pの先端を検出する。第2センサ5は、発光部と受光部とが並列配置された光学式の反射型センサからなる。
印刷部6は、搬送部3により搬送経路Rに沿って搬送される用紙Pに印刷を行う。印刷部6は、搬送部3の上方に配置されている。印刷部6は、4つのインクジェットヘッド31を備える。
インクジェットヘッド31は、搬送ベルト21により搬送される用紙Pにインクを吐出して画像を印刷する。4つのインクジェットヘッド31は、搬送部3の上方において、左右方向に並列して配置されている。4つのインクジェットヘッド31は、それぞれ異なる色(例えば、シアン、ブラック、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。
制御部7は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部7は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
印刷を行う際、制御部7は、給紙部2から用紙Pを搬送部3へ給紙し、搬送部3により用紙Pを搬送しつつ、印刷部6のインクジェットヘッド31からインクを吐出して用紙Pに印刷を行うよう制御する。ここで、制御部7は、第1センサ4または第2センサ5での用紙先端の検出タイミングを基準として、インクジェットヘッド31によるインク吐出を行うよう制御する。
具体的には、制御部7は、第1センサ4で用紙先端が検出されると、その検出タイミングから規定時間Tk後に開始されるウィンドウW(図4等参照)を設定する。ウィンドウWは、インクジェットヘッド31による印刷制御のための基準センサとして第1センサ4および第2センサ5のいずれを用いるかを決定するために設定される期間(判定期間)である。制御部7は、ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端が検出された場合は、第2センサ5を基準センサに決定し、第2センサ5による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう印刷部6を制御する。ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端が検出されない場合は、制御部7は、第1センサ4を基準センサに決定し、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう印刷部6を制御する。
また、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからウィンドウWの開始タイミングまでのレジストローラ14の搬送スケジュールに基づく用紙Pの搬送量が、その設計値(理論値)と一致するようにウィンドウWの開始タイミングを補正する。
ここで、上述のウィンドウWは、第2センサ5で用紙先端が検出されると予測されるタイミングを中心とする時間幅として設定されるものである。したがって、ウィンドウWの開始タイミングは、第1センサ4で用紙先端が検出されてから、第2センサ5で用紙先端が検出されると予測されるタイミングよりウィンドウWの大きさ(ウィンドウ幅Tw)の半分だけ前のタイミングである。すなわち、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからウィンドウWの開始タイミングまでの規定時間Tkは、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングから第2センサ5による用紙先端の検出タイミングまでの設計上の時間から、ウィンドウ幅Twの半分の時間を差し引いた時間である。ウィンドウ幅Twは、第2センサ5の読み取り精度と、搬送部3による用紙Pの搬送速度(印刷搬送速度Vg)とに基づいて設定されるものである。
次に、印刷装置1の動作について説明する。
印刷ジョブが入力されると、制御部7は、搬送モータ26およびファン27を制御して搬送部3の駆動を開始させる。制御部7は、印字搬送速度Vgで用紙Pを搬送できるように搬送部3を駆動させる。
次いで、制御部7は、給紙部2を制御して用紙Pを搬送部3に給紙させる。具体的には、制御部7は、給紙ローラ12を駆動させて給紙台11上の用紙Pをレジストローラ14に向けて搬送させる。用紙Pの先端がレジストローラ14に突き当たって用紙Pに所定量のたるみが形成されると、制御部7は、給紙ローラ12を停止させる。これにより、用紙Pの斜行が補正される。
この後、制御部7は、レジストローラ14を駆動させて用紙Pを搬送部3に向けて搬送させる。レジストローラ14の駆動制御の詳細は後述する。レジストローラ14により搬送部3へ搬送された用紙Pは、ファン27の駆動により発生する吸着力により搬送ベルト21に吸着保持されつつ搬送される。
制御部7は、搬送部3により搬送される用紙Pに対し、インクジェットヘッド31からインクを吐出させて画像を印刷させる。ここで、制御部7は、第1センサ4または第2センサ5を基準センサに決定し、その基準センサで用紙先端が検出されたタイミングを基準として印刷を行うよう印刷部6を制御する。基準センサを決定する方法は後述する。
印刷された用紙Pは、搬送部3から図示しない排紙部へ搬送されて排紙される。印刷枚数分の用紙Pが印刷されて排紙されると、一連の動作が終了となる。
次に、レジストローラ14の駆動制御、およびレジストローラ14への用紙Pの突っ込み等のない正常な(理想的な)給紙搬送が行われる場合における基準センサを決定する方法について説明する。
図3(a)〜(c)は、正常な給紙搬送が行われる場合におけるレジストローラ14から搬送部3へ搬送される用紙Pの動きを示す図である。図4は、レジストローラ14の搬送スケジュール(搬送速度制御波形)と、正常な給紙搬送が行われる場合における第1センサ4および第2センサ5の用紙検出状態を示すタイミングチャートである。
図3(a)に示すように、レジストローラ14に突き当てられ、たるみが形成された用紙Pが停止した状態で、制御部7は、レジストモータ15によるレジストローラ14の駆動を開始させる。
レジストローラ14の駆動を開始させると、制御部7は、図4に示すように、駆動開始の時刻t1から、レジストローラ14の搬送速度を所定の加速度で加速させる。
レジストローラ14の搬送速度が所定のトップ速度Vtに達すると、制御部7は、トップ速度Vtでの定速搬送に移行させる。
正常な給紙搬送が行われる場合、図3(b)および図4に示すように、トップ速度Vtでの用紙Pの搬送中の所定のタイミング(時刻t2)において、用紙先端が第1センサ4により検出される。ここで、第1センサ4の用紙検出状態は、用紙Pを検出している状態をオン、用紙Pを検出していない状態をオフとする。第1センサ4が用紙先端を検出すると、オフからオンになる。第2センサ5についても同様である。
第1センサ4により用紙先端が検出されると、制御部7は、その検出タイミング(時刻t2)から規定時間Tk後に開始されるウィンドウWを設定する。
トップ速度Vtでの定速搬送を開始してから所定時間が経過すると、制御部7は、レジストローラ14の搬送速度を所定の加速度(減速加速度)で減速させ始める。
レジストローラ14の搬送速度が印刷搬送速度Vgまで減速されると、制御部7は、印刷搬送速度Vgでの定速搬送に移行させる。この後、用紙先端が搬送部3へ到達する。
先端が搬送部3へ到達すると、用紙Pは、先端から搬送部3の搬送ベルト21に吸着されつつ、搬送部3およびレジストローラ14により印刷搬送速度Vgで搬送される。そして、図3(c)および図4に示すように、用紙先端が第2センサ5により検出される。
ここで、前述のように、ウィンドウWは、第2センサ5で用紙先端が検出されると予測されるタイミングを中心として設定される。このため、正常な給紙搬送が行われる場合、用紙先端が第2センサ5により検出されるタイミング(時刻t3)は、ウィンドウWの開始からウィンドウ幅Twの半分が経過したタイミングになる。したがって、ウィンドウW内において、第2センサ5により用紙先端が検出される。
ウィンドウW内において第2センサ5により用紙先端が検出されると、制御部7は、第2センサ5を基準センサに決定する。すなわち、制御部7は、第2センサ5による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう印刷部6を制御する。具体的には、制御部7は、第2センサ5による用紙先端の検出タイミングからのエンコーダ28の出力パルス数に基づくタイミングで、インクジェットヘッド31からインクを吐出して印刷を行うよう制御する。
ところで、正常な給紙搬送が行われた場合でも、用紙Pの反射率と搬送ベルト21の反射率とが近い値である場合等において、第2センサ5で用紙先端が検出されない場合がある。この場合、ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端が検出されないことになる。
この場合、制御部7は、第1センサ4を基準センサに決定する。すなわち、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう印刷部6を制御する。具体的には、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからのエンコーダ28の出力パルス数に基づくタイミングで、インクジェットヘッド31からインクを吐出して印刷を行うよう制御する。
次に、上述した正常な給紙搬送が行われる場合における基準センサを決定する方法を用いた場合において、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した場合に生じる不具合について説明する。
なお、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みは、用紙Pがハガキ等のコシの強い種類のものである場合に生じやすい。
図5は、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した状態を示す図である。図6は、レジストローラ14の搬送スケジュールと、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した場合における第1センサ4および第2センサ5の用紙検出状態を示すタイミングチャートである。なお、図6に示すレジストローラ14の搬送スケジュールは、図4のものと同じである。
レジストローラ14への用紙Pの突っ込みがある場合、図5に示すように、用紙先端がレジストローラ14のニップ点より下流側に飛び出している状態から、レジストローラ14の駆動が開始される。
このため、第1センサ4による用紙先端の検出タイミング(時刻t2´)は、上述した正常な給紙搬送が行われる場合におけるそのタイミング(時刻t2)よりも早くなる。ここで、図6の例では、第1センサ4による用紙先端の検出タイミング(時刻t2´)は、トップ速度Vtでの定速搬送開始後における、正常な給紙搬送が行われる場合の第1センサ4による用紙先端の検出タイミング(時刻t2)よりも前のタイミングである。
第1センサ4で用紙先端が検出されると、その時刻t2´から規定時間Tk後に開始されるウィンドウWが設定される。
その後、用紙先端が第2センサ5で検出される(時刻t3´)。ここで、図6の例における時刻t2´からの規定時間Tkでは、図5の時刻t2からの規定時間Tkよりも、印刷搬送速度Vgでの搬送時間が短く、その分だけトップ速度Vtでの搬送時間が長くなっている。このため、図6の例における時刻t2´からの規定時間Tkにおける用紙Pの搬送量は、図5の時刻t2からの規定時間Tkにおける用紙Pの搬送量よりも大きくなる。
すなわち、図6の例における時刻t2´から時刻t3´までの時間は、図4における時刻t2から時刻t3までの時間よりも短くなる。このことから、図6のように、第2センサ5による用紙先端の検出タイミング(時刻t3´)が、ウィンドウWの開始タイミングよりも早いタイミングになることがある。
この場合、ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端が検出されないことになるため、第1センサ4が基準センサに決定される。すなわち、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングを基準として印刷部6による印刷が行われる。この際、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからのエンコーダ28の出力パルス数が規定パルス数に到達すると、印刷部6による印刷が開始される。
ここで、上述のように、図6の例における時刻t2´から時刻t3´までの時間は、図5における時刻t2から時刻t3までの時間よりも短い。すなわち、図6の例では、用紙先端が第1センサ4で検出された後、正常な場合よりも短時間で第2センサ5に到達する。したがって、図6の例では、用紙先端が第1センサ4で検出されてから印刷部6のインクジェットヘッド31に到達するまでの時間も、正常な場合に比べて短くなる。このため、図6の例では、正常な場合よりも用紙Pが下流側へ進んだ状態で、インクの吐出が開始される。すなわち、用紙Pの動きに合わないタイミングで、印刷が開始される。この結果、用紙Pに対する印刷開始位置のずれが生じ、正常な場合よりも先端側(下流側)の余白が広がった印刷物が形成される。
本実施の形態の印刷装置1では、上記の印刷開始位置ずれの不具合を回避するためにウィンドウWの開始タイミングを補正する処理を含む基準センサ決定処理を実行する。
この基準センサ決定処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7のフローチャートの処理は、レジストローラ14の駆動開始により、開始となる。
図7のステップS1において、制御部7は、第1センサ4が用紙先端を検出したか否かを判断する。第1センサ4が用紙先端を検出していないと判断した場合(ステップS1:NO)、制御部7は、ステップS1を繰り返す。
第1センサ4が用紙先端を検出したと判断した場合(ステップS1:YES)、ステップS2において、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが、正常範囲(図8参照)内であるか否かを判断する。
ここで、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングの正常範囲は、前述の図3、図4に示したような正常な給紙搬送が行われる場合における第1センサ4による用紙先端の検出タイミングの理論値を中心とする所定の期間として設定されている。この正常範囲は、その範囲内で第1センサ4により用紙先端が検出されれば、そのタイミングから規定時間Tk後にウィンドウWを開始させる設定とすることで、ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端を検出可能な範囲として設定されたものである。
第1センサ4がオンになったタイミングが正常範囲内にあると判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部7は、ウィンドウWを設定する。具体的には、制御部7は、前述の正常な給紙搬送が行われる場合で説明したように、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングから規定時間Tk後に開始されるウィンドウWを設定する。
次いで、ステップS4において、制御部7は、ウィンドウW内で第2センサ5が用紙先端を検出したか否かを判断する。
ウィンドウW内で第2センサ5が用紙先端を検出したと判断した場合(ステップS4:YES)、ステップS5において、制御部7は、第2センサ5を基準センサに決定する。これにより、基準センサ決定処理が終了となる。
ウィンドウW内で第2センサ5が用紙先端を検出しなかったと判断した場合(ステップS4:NO)、ステップS6において、制御部7は、第1センサ4を基準センサに決定する。これにより、基準センサ決定処理が終了となる。
ステップS2において、第1センサ4が用紙先端を検出したタイミングが正常範囲外にあると判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS7において、制御部7は、ウィンドウWの開始タイミングを補正してウィンドウWを設定する。
具体的には、制御部7は、第1センサ4での用紙先端の検出タイミングからウィンドウWの開始タイミングまでのレジストローラ14の搬送スケジュールに基づく用紙Pの搬送量が、その設計値(理論値)と一致するようにウィンドウWの開始タイミングを補正する。
ここで、第1センサ4がオンになったタイミングが正常範囲外となる場合として、例えば、前述の図5、図6で説明したような、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した状態からレジストローラ14が駆動開始した場合がある。
そこで、前述の図5、図6で説明した、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した場合において、図8に示すように、第1センサ4による用紙先端の検出タイミング(時刻t2´)が正常範囲外(正常範囲の開始タイミングより前)であるとする。
この場合、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミング(時刻t2´)と、レジストローラ14の搬送スケジュールとに基づき、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからの用紙Pの搬送量が、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからその規定時間Tk後までの間におけるレジストローラ14による用紙Pの搬送量の設計値Snに到達するまでの時間を、補正後規定時間Tkaとして算出する。
ここで、設計値Snは、図8において時刻t2からその規定時間Tk後までの間におけるレジストローラ14による用紙Pの搬送量であり、ドットハッチングで示した部分の面積に相当する。図8における時刻t2は、図4に示したものと同様である。すなわち、時刻t2は、正常な給紙搬送が行われた場合における第1センサ4での用紙先端の検出タイミングである。時刻t2は、正常範囲の中心にある。
図8の例では、補正後規定時間Tkaは、規定時間Tkより短い時間となる。補正後規定時間Tkaを算出すると、制御部7は、時刻t2´から補正後規定時間Tka後の時刻taを開始タイミングとするウィンドウWを設定する。補正後規定時間Tkaは上述のように算出されているので、図8において斜線ハッチングで示した部分の面積に相当する、時刻t2´から時刻taまでの間における用紙Pの搬送量は、設計値Snに一致する。
上記のようにウィンドウWを設定することで、図5のようにレジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した場合において、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングから第2センサ5による用紙先端の検出タイミングまでの時間(時刻t2´〜t3´)が、正常な場合のその時間(時刻t2〜t3)よりも短くなるのに応じて、ウィンドウWの開始タイミングが補正される。
このようにウィンドウWの開始タイミングを補正することで、レジストローラ14への用紙Pの突っ込みが発生した場合でも、図8のように、第2センサ5による用紙先端の検出タイミング(時刻t3´)がウィンドウW内に入るようにウィンドウWを設定できる。
ステップS7においてウィンドウWの開始タイミングを補正してウィンドウWを設定すると、制御部7は、ステップS4へ進み、以降の処理を実行する。そして、ステップS5またはステップS6において基準センサが決定されると、基準センサ決定処理が終了となる。
以上説明したように、印刷装置1では、制御部7は、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングからウィンドウWの開始タイミングまでのレジストローラ14の搬送スケジュールに基づく用紙Pの搬送量が、その設計値と一致するようにウィンドウWの開始タイミングを補正する。
これにより、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合でも、第2センサ5による用紙先端の検出タイミングがウィンドウW内に入るようにウィンドウWの開始タイミングを設定できる。このため、ウィンドウW内において第2センサ5で用紙先端が検出されず、第1センサ4を基準センサとして印刷が行われることにより、用紙Pの動きに合わないタイミングで印刷が開始されることが低減する。この結果、用紙Pに対する印刷開始位置のずれが生じることを低減できる。
なお、上述した実施の形態では、補正後規定時間Tkaを計算により算出したが、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングに応じた補正後規定時間Tkaの計算結果を、制御部7において予めテーブルとして保持しておいてもよい。ここで、印刷搬送速度Vgは、印刷解像度等の印刷条件に応じて複数通りが設定可能であり、それぞれに応じたレジストローラ14の搬送スケジュールが存在する。そこで、複数通りの搬送スケジュールのそれぞれにおける、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングに応じた補正後規定時間Tkaの計算結果を、制御部7においてテーブルとして予め記憶しておいてもよい。
また、上述した実施の形態では、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲より前にある場合を例に説明したが、第1センサ4による用紙先端の検出タイミングが正常範囲より後にある場合にも本発明は適用可能である。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
搬送経路に沿って搬送される印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
印刷媒体の搬送方向における前記印刷部の上流側に配置され、前記搬送経路に沿って搬送されてきた印刷媒体を受け止めた後、前記印刷部に向けて印刷媒体を搬送するレジストローラと、
前記レジストローラと前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第1検出部と、
前記第1検出部と前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第2検出部と、
前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから規定時間後に開始される判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出された場合は、前記第2検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行い、前記判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出されない場合は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう前記印刷部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから前記判定期間の開始タイミングまでの前記レジストローラの搬送スケジュールに基づく印刷媒体の搬送量が、その設計値と一致するように前記判定期間の開始タイミングを補正することを特徴とする印刷装置。
1 印刷装置
2 給紙部
3 搬送部
4 第1センサ
5 第2センサ
6 印刷部
7 制御部
11 給紙台
12 給紙ローラ
13 給紙モータ
14 レジストローラ
15 レジストモータ
21 搬送ベルト
22 駆動ローラ
23〜25 従動ローラ
26 搬送モータ
27 ファン
28 エンコーダ
31 インクジェットヘッド
W ウィンドウ

Claims (1)

  1. 搬送経路に沿って搬送される印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
    印刷媒体の搬送方向における前記印刷部の上流側に配置され、前記搬送経路に沿って搬送されてきた印刷媒体を受け止めた後、前記印刷部に向けて印刷媒体を搬送するレジストローラと、
    前記レジストローラと前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第1検出部と、
    前記第1検出部と前記印刷部との間に配置され、前記搬送経路に沿って搬送される印刷媒体の先端を検出する第2検出部と、
    前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから規定時間後に開始される判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出された場合は、前記第2検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行い、前記判定期間内において前記第2検出部で印刷媒体の先端が検出されない場合は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングを基準として印刷を行うよう前記印刷部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングが正常範囲外にある場合、前記第1検出部による印刷媒体の先端の検出タイミングから前記判定期間の開始タイミングまでの前記レジストローラの搬送スケジュールに基づく印刷媒体の搬送量が、その設計値と一致するように前記判定期間の開始タイミングを補正することを特徴とする印刷装置。
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