本発明の請求項1に記載の発明は、洗浄室内で本洗浄タンクに貯水した洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄し、前記本洗浄タンクへと落下流動させることにより、循環させて被洗浄物を洗浄する本洗浄ステップと、
前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水を所定量排水する排水ステップと、
前記本洗浄ステップの終了後に開始し、循環すすぎタンクに貯水した前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水よりも清浄度の高い洗浄水を被洗浄物に噴射して洗浄し、洗浄水を前記本洗浄タンクへと落下流動させた後、前記循環すすぎタンクへと落下流動させることにより循環させて被洗浄物を洗浄する循環すすぎステップと、
を少なくとも含み、
少なくとも前記本洗浄ステップが終了してから前記循環すすぎステップが終了するまでの間で、前記排水ステップを行う1つの洗浄サイクルを形成し、
前記洗浄サイクルを繰り返し行う際に、前記循環すすぎステップで少なくとも前記排水ステップにより前記本洗浄タンクから排水する洗浄水と同量の洗浄水を前記本洗浄タンクへと落下流動させた後、洗浄水を前記循環すすぎタンクへと落下流動させることを特徴とする洗浄方法としたものである。
この洗浄方法によれば、本洗浄タンクに貯水した洗浄水の清浄度を高めることができ、洗浄サイクルを繰り返すことによる被洗浄物の洗浄性の低下を抑制することができる。そのうえ、循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を本洗浄タンクへと落下流動させて再利用し、繰り返し行う洗浄サイクルで使用する水量を削減することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、排水ステップを、本洗浄ステップの終了後に開始することを特徴とする洗浄方法としたものである。
これにより、本洗浄タンクに貯水した清浄度の低下した洗浄水を汚れや油分、残菜等とともに排水し、次の洗浄サイクルで行う本洗浄ステップでの被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、排水ステップを、本洗浄ステップの終了前に開始することを特徴とする洗浄方法としたものである。
これにより、本洗浄タンクに貯水した清浄度の低下した洗浄水を汚れや油分、残菜等とともに排水し、次の洗浄サイクルで行う本洗浄ステップでの被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、洗浄サイクルには、洗浄室内で仕上すすぎタンクに貯水した清水を循環すすぎステップにより洗浄した被洗浄物に噴射して洗浄し、循環すすぎタンクへと落下流動させる仕上すすぎステップを含むことを特徴とする洗浄方法としたものである。
これにより、被洗浄物の洗浄性を向上させるとともに、被洗浄物の洗浄に使用した清水を循環すすぎタンクへと落下流動させて、循環すすぎタンクに貯水する洗浄水の清浄度を向上させることができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、本洗浄ステップと循環すすぎステップとの間に所定の時間である休止時間を設けたことを特徴とする洗浄方法としたものである。
これにより、洗浄室内で噴射された洗浄水が、本洗浄タンクへと確実に落下流動する時間を確保し、循環すすぎステップで噴射する清浄度のより高い洗浄水に混ざり合うことを抑制し、循環すすぎタンクに貯水する洗浄水の意図しない清浄度の低下を防止し、繰り返し行う洗浄サイクルによる被洗浄物の洗浄性の低下を抑制することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、洗浄室内で複数の異なる洗浄水を被洗浄物に向けて順番に噴射し、被洗浄物を洗浄する洗浄サイクルを繰り返す洗浄装置であって、
前記洗浄室内で噴射して循環させ、被洗浄物を洗浄する本洗浄を行うための洗浄水を貯水する本洗浄タンクと、
被洗浄物を洗浄することにより清浄度の低下した前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水を所定量排水する排水部と、
前記本洗浄の後に、前記洗浄室内で噴射して循環させ、被洗浄物を洗浄する循環すすぎを行うための前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水よりも清浄度の高い洗浄水を貯水する循環すすぎタンクと、
前記洗浄室の下方に設けた板状の部材である切替板の傾きを切り替えることにより、洗浄室内で噴射した洗浄水を、前記本洗浄タンクまたは前記循環すすぎタンクのうち、選択した一方の側へと落下流動させるように導く切替部と、
前記本洗浄タンクに貯水した洗浄水、または前記循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を、配管を通じて吸い込んで吐出し、前記洗浄室内で噴射させる少なくとも1つの送水手段と、
を備え、
前記循環すすぎを行うとき、
前記切替板の傾きを切り替えることにより、少なくとも前記排水部により所定量だけ排水する洗浄水と同量の洗浄水を前記本洗浄タンクに落下流動させた後に、前記循環すすぎタンクへと落下流動させることを特徴とする洗浄装置としたものである。
この洗浄装置によれば、本洗浄タンクに貯水した洗浄水の清浄度を高めることができ、洗浄サイクルを繰り返すことによる被洗浄物の洗浄性の低下を抑制することができる。そのうえ、循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を本洗浄タンクへと落下流動させて再利用し、繰り返し行う洗浄サイクルで使用する水量を削減することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、洗浄室内で噴射して被洗浄物を洗浄する仕上すすぎを行うための清水を貯水する仕上すすぎタンクを備え、循環すすぎタンク側へと傾けた切替板により、前記洗浄室内で噴射した清水を前記循環すすぎタンクへと落下流動させることを特徴とする洗浄装置としたものである。
これにより、被洗浄物の洗浄性を向上させるとともに、被洗浄物の洗浄に使用した清水を循環すすぎタンクへと落下流動させて、循環すすぎタンクに貯水する洗浄水の清浄度を向上させることができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、送水手段は、
本洗浄タンクに貯水した洗浄水を流動させる本洗浄配管を通じて、本洗浄タンクに貯水した洗浄水を吸い込んで吐出し、洗浄室内で噴射させる本洗浄ポンプと、
循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を流動させる循環すすぎ配管を通じて、循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を吸い込んで吐出し、洗浄室内で噴射させる循環すすぎポンプと、
仕上すすぎタンクに貯水した清水を流動させる仕上すすぎ配管を通じて、仕上すすぎタンクに貯水した清水を吸い込んで吐出し、洗浄室内で噴射させる仕上すすぎポンプと、
を備え、
前記本洗浄配管および前記本洗浄ポンプと、前記循環すすぎ配管および前記循環すすぎポンプと、前記仕上すすぎ配管および前記仕上すすぎポンプとは、それぞれ異なる配管系統により構成されていることを特徴とする洗浄装置としたものである。
これにより、それぞれの配管系統内で清浄度が異なる洗浄水および清水を互いに接触させることなく、洗浄室で噴射し被洗浄物の洗浄を行うことができる。そして、洗浄水および清水の意図しない清浄度の低下を防止し、被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載の発明において、仕上すすぎにおいて、
清水を循環すすぎタンクへと落下流動させ、前記循環すすぎタンクに貯水した洗浄水が所定の水位よりも高くなったとき、前記循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を、本洗浄タンクへと流動させることが可能である流動管を備えることを特徴とする洗浄装置としたものである。
仕上げすすぎタンクに貯水した清水を洗浄室内で噴射して被洗浄物を洗浄し、循環すすぎタンクに落下流動させ、さらに循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を、より清浄度の低い本洗浄タンクに流動させる。これにより、循環すすぎタンクに貯水した洗浄水を再利用しつつ、本洗浄タンクに貯水する洗浄水の清浄度を向上させて、次の洗浄サイクルでの本洗浄の洗浄性を維持することができる。
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の発明において、本洗浄配管または循環すすぎ配管のうちの少なくとも一部は、管長方向に直交する方向の断面が矩形状であることを特徴とする洗浄装置としたものである。
これにより、配管を配置するための空間が断面視で略矩形状に構成されている場合、管長方向に直交する方向の断面が他の形状(例えば円形状)である場合に比較して、洗浄水が流動する流路断面積を大きくすることができ、送水手段により吐出する洗浄水の流量を多くすることができる。これにより、洗浄装置の省スペース化を行うとともに、洗浄室内で被洗浄物に向けて、単位時間あたりに噴射する洗浄水の量を多くし、被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
(実施形態1)
(洗浄装置の概要)
まず、本発明の洗浄装置1について、図1、図2、図3、図4を用いて基本的な構成を説明する。
図1および図2に示すように、洗浄装置1は、略直方体の形状であり、骨格を構成するフレーム5と、フレーム5により構成される仕切部材(フレーム)6により仕切られて、上部である上部外郭体10と、下部である下部外郭体20とにより構成される。略直方体の形状である洗浄装置1の各面を、上面側、正面側、左側面側、右側面側、背面側、下面側と称する。
仕切部材6は、その内側に、上面視で中央部に開口(図示なし)を有する板金を水平方向に略平行となるように溶接等により固着している。
上部外郭体10は、鉛直方向に開閉可能な扉部11と、複数の食器(被洗浄物)を収納するラックRを収容し、ラックRの上方と下方とから洗浄水および清水を噴射して、ラックRに収納した食器を洗浄する洗浄室30とを備える。
鉛直方向に開閉可能な扉部11は、扉正面部12aと、扉左側面部12bと、扉右側面部12cとにより、上面視でコ字状に構成される。上部外郭体10の上面側には上面板部13が取り付けられており、さらに洗浄装置1の背面側には背面板部17を設けている。
扉部11は、閉めた状態で食器の洗浄を行うことにより、扉部11と上面板部13と背面板部17とにより、食器の洗浄の際に使用する洗浄水および清水と、洗浄室30内で発生する蒸気とが洗浄室30外に飛散したり漏れ出すことを抑制することができる。
なお、後述する駆動手段(扉部開閉手段)33により扉部11を鉛直方向に上昇および下降させて扉部11の開閉を行うが、洗浄装置1に電気が供給されていない場合、または洗浄装置1の電源が入っていない場合には、作業者が扉正面部12aに有する取手部15を持ち、扉部11を鉛直方向に上昇および下降させて開閉させる。
扉部11を構成する扉正面部12aには、略矩形状の開口をあけて透過性の樹脂を取付けた窓部14を設けている。
また、扉左側面部12bおよび扉右側面部12cの下部には、扉部11を閉めたときに仕切部材6に当接させる扉止め16を有する。扉止め16は、扉部11を閉めたときの衝撃を吸収することができるよう、弾性素材により構成される。
図1および図2に示すように、下部外郭体20のフレーム5には、板金により製作した化粧板である正面化粧板(化粧板)21aと、左側面化粧板(化粧板)21bと、右側面化粧板(化粧板)21cとを取付けている。
正面化粧板21aおよび左側面化粧板21bには、それぞれの化粧板を把持してフレーム5から取外すための把持部22を設け、下部外郭体20に収めた食器を洗浄するための部材を修理、または交換するために正面化粧板21aおよび左側面化粧板21bをフレーム5から取外せるよう着脱自在としている。なお、右側面化粧板21cはフレーム5に固定されているが、右側面化粧板21cはフレーム5から着脱自在としてもよい。
下部外郭体20の右側面には、洗浄装置1に備える各部材に信号を送り駆動させ、またセンサ、操作部等から信号を受けて、あらかじめ組まれたプログラムにより部材を制御する制御盤18を備える。制御盤18の正面側には、運転動作等を操作するボタンを有する操作部(図示なし)、および洗浄水および清水の温度等を表示するディスプレイを有する表示部(図示なし)を設けている。
なお、制御盤18は下部外郭体20の右側面に限らず、下部外郭体20の正面側や左側面側に備えてもよく、操作部とは別にスイッチを備えてもよい。
図3および図4(a)に示すように、下部外郭体20には、洗浄室30で食器に洗浄水および清水を噴射して食器を洗浄するための部材を支持する基部23と、基部23に取付け、設備の床面で立脚して洗浄装置1を支える脚部24と、を有する。なお、図3は下部外郭体20内を見易くするため、便宜上、化粧板および制御盤18を表示していない。
後述するが、洗浄装置1は、洗浄室30内でラックRに収納する食器に洗浄水を噴射して本洗浄を行う本洗浄系統と、食器に付着した汚れや油分、残菜等と本洗浄系統から噴射した洗浄水を洗い流す循環すすぎを行う循環すすぎ系統と、本洗浄および循環すすぎで食器に付着した洗浄水を洗い流す仕上すすぎ系統と、を備える。
そして、本洗浄系統には洗浄水を貯水する本洗浄タンク60、循環すすぎ系統には洗浄水を貯水する循環すすぎタンク80、仕上すすぎ系統には清水を貯水する仕上すすぎタンク40を備える。本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80は板金により構成され、上方を開放する直方体形状のタンクである。また、仕上すすぎタンク40は板金により構成され、上部に傾斜部分である流動傾斜部121を設けて、正面視で上部を三角形状とする略密閉された直方体形状のタンクである。そして、本洗浄タンク60と、循環すすぎタンク40と、仕上すすぎタンク80との、それぞれの底面は、水平方向に一直線上となるよう面一に構成されている。
なお、本実施形態の図面のうち、ブロック図である図5、図14、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21では、本洗浄タンク60、循環すすぎタンク80、仕上すすぎタンク40のうち、隣り合うタンク同士の間に配管が通る程度の隙間をあけて記載している。しかしこれは、各配管の表記を見易くするための便宜上の記載であり、実際は所定の間隔、例えば0.5〜1ミリメートルの隙間、または接触した状態で構成している(図8参照)。
そうすることにより、それぞれのタンクに貯水した所定の温度の洗浄水および清水により、隣接、または接触したタンクに貯水した洗浄水および清水の温度を保温することができる。
特に、仕上すすぎタンク40は本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に挟まれた状態で構成しているので、仕上すすぎタンク40に貯水した清水は本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水により効果的に保温することができる。
なお、本洗浄タンク60、循環すすぎタンク80、仕上すすぎタンク40は、1つのタンクを少なくとも1枚の板金により区画して構成してもよい。そうすることにより、それぞれのタンクを隔てる板金はより薄くすることができ、それぞれのタンクに貯水した洗浄水および清水による保温性を高めることができるとともに、構成を簡略化することができる。
また、本洗浄系統の本洗浄タンク60および循環すすぎ系統の循環すすぎタンク80は、下部外郭体20の背面側に有する流動管(オーバーフロー部)25で接続されている。循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を、循環すすぎタンク80に有する流出開口87から流動管25を通じて、本洗浄タンク60に有する流入開口69を介し、本洗浄タンク60へと洗浄水を流動させる。本洗浄系統、循環すすぎ系統、仕上すすぎ系統、流動管25についての詳細は、後述する。
なお、本実施形態では、本洗浄系統の本洗浄タンク60、および循環すすぎ系統の循環すすぎタンク80に貯水した水を洗浄水と称する。また、仕上すすぎ系統の仕上すすぎタンク40に貯水した水を清水と称する。
また、貯水および噴射される洗浄水の量に対し、食器に付着していた汚れや油分、残菜等が含まれる量が少ないほど、清浄度が高い状態として記載する。つまり、水道から供給されて仕上すすぎタンク40に貯水した清水や、洗浄に使用していない場合の本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水は、食器に付着していた汚れや油分、残菜等が含まれていないため、最も清浄度が高い状態である。そして、喫食に用いられた食器をまず最初に洗浄した洗浄水は、食器に付着していた汚れや油分、残菜等が多く含まれることとなるため、清浄度が低い状態である。
(洗浄室の構成)
次に、洗浄室30の構成について、図1および図3を用いて説明する。
図3に示すように、洗浄室30は、扉部開閉手段である、一端側を扉部11に回動自在に接続した第1の扉アーム(扉部開閉手段)31と、第1の扉アーム31の他端側に回動自在に接続した第2の扉アーム(扉部開閉手段)32と、第2の扉アーム32の他端側がその両端側に固定された駆動軸(扉部開閉手段)34と、駆動軸34の中心軸線を中心として回動させることにより、扉部11を鉛直方向に昇降させて開閉する駆動手段(扉部開閉手段)33と、扉部11に連結して、駆動手段33により扉部11を鉛直方向に上昇させて開ける動きを補助する、例えばコイルばねである弾性部材(扉部開閉手段)35と、背面板部17の左右両端側で扉部11の上下動をガイドするガイド部材(扉部開閉手段)36と、を備える。
また洗浄室30内には収容したラックRを下方から支持するラック支持部37を備える。ラック支持部37により支持するラックは、例えば複数の食器を収納して洗浄装置1の洗浄室30へと運搬するものであり、洗浄室30内で洗浄水および清水が噴射されたときには、各々の食器間に設けた所定の間隔により食器の洗浄性を向上させるものである。
駆動手段33は制御盤18へ電気的に接続されており、制御盤18からの信号により、モータである駆動手段33により駆動軸34が回動して、その動力を駆動軸34を介して第2の扉アーム32へと伝える。洗浄装置1の右側面視で、第2の扉アーム32が右回転の方向(時計回り)に駆動軸34の中心軸線を中心に回動し、第2の扉アーム32からさらに接続する第1の扉アーム31が上昇して、第1の扉アーム31から接続する扉部11が、ガイド部材36によりガイドされながら鉛直方向に上昇し、扉部11を開けた状態とする。
また、扉部11を開けた状態から運転開始ボタン(図示なし)を押すことで制御盤18からの信号により、洗浄装置1の駆動手段33により右側面視で駆動軸34を左回転の方向(反時計回り)に回動して、扉部11を鉛直方向に下降させ、扉部11を閉めることができる。扉部11を閉めた後、扉部11は弾性部材35により鉛直方向に上昇する力が加えられる状態となるが、弾性部材35の扉部11を鉛直方向に上昇させる力よりも扉部11の質量の方が大きいため、扉部11は閉めた状態に保持される。
なお、扉部開閉手段は、シリンダや、チェーン、ピニオンやラック等を適宜組み合わせて扉部11を開閉させてもよい。
なお、洗浄装置1は、扉部11を開けた状態、または閉めた状態でロックするロック機構を備えてもよい。扉部11を開けた状態でロックするロック機構を備えた場合、例えば洗浄室30にラックRを収容している間等に、誤って扉部11が閉まることを防止することができる。
また、扉部11を閉めた状態でロックするロック機構を備えた場合、例えば洗浄室30内で洗浄水および清水が噴射されている間に扉部11が開き、洗浄水および清水が洗浄室30から外部へと飛び出して、洗浄装置1が設置されている施設の床を濡らす、作業者に洗浄水および清水がかかってしまうことを防止することができる。
また、ロック機構は洗浄装置1の運転動作に合わせてロックを解除するよう、制御盤18により制御するのが好ましい。さらに、洗浄装置1は扉部11を開けた状態でロックするロック機構、または閉めた状態でロックするロック機構の、どちらか、またはどちらともを備えていてもよい。
扉部11を鉛直方向に下降して閉めた状態とするとき、扉部11が仕切部材6に接触する前に、扉左側面部12bと扉右側面部12cとに有する扉止め16が洗浄装置1の仕切部材6に接触する。扉止め16が弾性部材により構成されているため、扉部11が仕切部材6に接触して発生する音を抑制し、また扉部11が勢いよく仕切部材6に接触して破損することを防止することができる。
また、洗浄室30に収容したラックRを下方から支持するラック支持部37は、後述する水返板部100である正面側水返板部101aと、左側面側水返板部101bと、右側面側水返板部101cと一体となるよう構成され(図11(a)を参照)、水返板部100を洗浄装置1のフレーム5の内側に取付けた断面形状L字状の金具(図示なし)に載置し、洗浄室30から着脱自在としている。
(仕上すすぎ系統の構成)
次に、仕上すすぎの系統について図4、図5、図6、図7、図9、図10を用いて構成を説明する。
図5、図6、図7(a)に示すように、基部23には正面側から見て略中央に所定の量、例えば9リットルの清水を貯水する略直方体形状で、上部を正面視で三角形状とする仕上すすぎタンク40を設けている。そして仕上すすぎタンク40は、水道へ接続し、例えば制御盤18からの信号により開閉を制御する電磁弁である開閉弁42を開くことにより、仕上すすぎタンク40の上部から清水を供給する給水部41と、仕上すすぎタンク40に貯水した清水が所定の水位を越えた際に、清水を開口(符号なし)からオーバーフローさせて排水するオーバーフロー配管43と、排水弁(排水部)49cを開けることにより仕上すすぎタンク40に貯水した清水を排水配管(排水部)49bを通じて排水する排水口(排水部)49aと、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を所定の温度、例えば約85度Cに加熱および保温する第1の加熱手段(加熱手段)44および第2の加熱手段(加熱手段)45と、仕上すすぎタンク40に貯水した清水が満水となったときの水位を検知する満水センサ46と、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の温度を計測する温度センサ47と、を備える。なお、第1の加熱手段44は、第2の加熱手段45よりも上方に位置するよう取り付けている。
仕上すすぎタンク40に備える第1の加熱手段44および第2の加熱手段45は、満水センサ46が仕上すすぎタンク40に貯水した清水が満水であると検知しているときのみ作動し、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を所定の温度、例えば約85度Cに加熱および保温するよう制御盤18により制御されている。これにより、第1の加熱手段44及び第2の加熱手段45の空炊きを防止することができる。
仕上すすぎタンク40の底部に備える排水口49aは、排水配管49bの一端側が接続される。排水配管49bの他端側には、洗浄装置1の下部外郭体20の正面側に設けた、例えば手動式の開閉弁である排水弁49cに接続する。その排水弁49cを開けることで、清水を排水する。
また、仕上すすぎタンク40からは、第1の加熱手段44と略同じ高さ位置である吸引口48から第1の仕上すすぎ配管(仕上すすぎ配管)51aを介して仕上すすぎポンプ(送水手段)50へと接続し、仕上すすぎポンプ50から第2の仕上すすぎ配管(仕上すすぎ配管)51bへと続く。
そして、図4(a)、図4(b)、図5に示すように、第2の仕上すすぎ配管51bからは、第3の仕上すすぎ配管(仕上すすぎ配管)51cへと続き、後述する第4の本洗浄配管(本洗浄配管)71dを貫通する内部に流路を備えた接続部(嵌入部)52aへと接続して、接続部52aより下方に延びる中空の軸部材である回転軸部(嵌入部)52bを通じて仕上すすぎ上ノズル(仕上すすぎノズル)53へと接続する。
また、第3の仕上すすぎ配管51cからは、第4の仕上すすぎ配管(仕上すすぎ配管)51dが水平方向へと分岐し、第4の仕上すすぎ配管51dは、後述する第5の本洗浄配管(本洗浄配管)71eを貫通する内部に流路を備えた接続部52aへと接続して、接続部52aより上方に延びる中空の軸部材である回転軸部52bを通じて仕上すすぎ下ノズル(仕上すすぎノズル)54へと接続する。
図9(b)に示すように、上方の接続部52aは、接続部52aより下方に延びる内部に流路を備えた回転軸部52bを介して仕上すすぎ上ノズル53へと接続する。図9(a)に示すように、後述する本洗浄上ノズル(本洗浄ノズル)72と仕上すすぎ上ノズル53とを所定の角度θ1、例えば25〜26度を有した状態で保持するようボルト等で固定し、その本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53を挟み込むように複数個の軸受け(図示なし)を取付けて、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53と、複数個の軸受けとを回転軸部52bにより貫通させ、貫通させた回転軸部52bの先端に切られた雌ネジに、下方から雄ネジ付きのキャップ(図示なし)を取付けて挟み込んで固定する。これにより、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53とを、所定の角度θ1を有した状態で固定し、回転軸部52bに対して回転自在に固定している。
なお、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53は、回転軸部52bから雄ネジ付きのキャップを取り外すことで、回転軸部52bから着脱自在となるよう構成している。これにより、後述する洗浄装置1を洗浄する清掃ステップの際に、回転軸部52bから本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53を容易に取り外すことができる。
また、仕上すすぎ上ノズル53はその両端を閉じた長尺状のパイプにより構成しており、仕上すすぎ上ノズル53の両端側(一端側および他端側)には、仕上すすぎ上ノズル53から噴射する清水の圧力により、仕上すすぎ上ノズル53および本洗浄上ノズル72を上面視で左回りの方向(反時計回り)に回転するように、回転方向とは逆側に清水を噴射する回転ノズル口(図示なし)があけられている。
仕上すすぎ上ノズル53には、仕上すすぎ上ノズル53の長手方向に直交する方向の断面で下方側に、仕上すすぎ上ノズル53を取付ける回転軸部52bの中心軸線から、一端側に距離L1および距離L2の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。
また、他端側には距離L3および距離L4の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。これにより、仕上すすぎ上ノズル53が回転して清水を噴射するとき、回転軸部52bを中心として、距離L1、距離L2、距離L3、距離L4を半径とした円周上から清水を食器に向けて噴射し、ラックRに収納された複数の食器の上方から略まんべんなく清水を噴射することができる。
仕上すすぎ上ノズル53には、仕上すすぎ上ノズル53の長手方向に直交する方向の断面で上方側に、仕上すすぎ上ノズル53を取付ける回転軸部52bの中心軸線から、一端側に距離L5および距離L6の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。また、他端側には距離L7の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。
これにより、仕上すすぎ上ノズル53が回転して清水を噴射するとき、回転軸部52bを中心として、距離L5、距離L6、距離L7を半径とした円周上から清水を洗浄室30の天井面、つまり上面板部13(図1を参照)の下面に向けて清水を噴射し、上面板部13の下面に付着した洗浄水等を洗い流す。
図10(b)に示すように、下方の接続部52aは、接続部52aより上方に延びる内部に流路を備えた軸部材である回転軸部(嵌入部)52bを介して仕上すすぎ下ノズル54へと接続する。また、図10(a)に示すように、後述する本洗浄下ノズル(本洗浄ノズル)73と仕上すすぎ下ノズル54とを所定の角度θ3、例えば25〜26度を有した状態で保持するようボルト等で固定し、その本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を挟み込むように複数個の軸受け(図示なし)を取付けて、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54と、複数個の軸受けとを回転軸部52bにより貫通させ、貫通させた回転軸部52bの先端に切られた雌ネジに、上方から雄ネジ付きのキャップ(図示なし)を取付けて挟み込んで固定する。これにより、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54とを、所定の角度θ3を有した状態で固定し、回転軸部52bに対して回転自在に固定している。
なお、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54は、回転軸部52bから雄ネジ付きのキャップを取り外すことで、回転軸部52bから着脱自在となるよう構成している。これにより、後述する洗浄装置1を洗浄する清掃ステップの際に、回転軸部52bから本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を容易に取り外すことができる。
また、仕上すすぎ下ノズル54はその両端を閉じた長尺状のパイプにより構成しており、仕上すすぎ下ノズル54の両端側(一端側および他端側)には、仕上すすぎ下ノズル54から噴射する清水の圧力により、仕上すすぎ下ノズル54および本洗浄下ノズル73を上面視で右回りの方向(時計回り)に回転するように、回転方向とは逆側に清水を噴射する回転ノズル口(図示なし)があけられている。
仕上すすぎ下ノズル54には、仕上すすぎ下ノズル54の長手方向に直交する方向の断面で上方側に、仕上すすぎ下ノズル54を取付ける回転軸部52bの中心軸線から、一端側に距離L8、距離L9、距離10、距離L11の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。また、他端側には距離L12および距離L13の位置にノズル口55をあけてノズルチップ56を取付ける。
これにより、仕上すすぎ下ノズル54が回転して清水を噴射するとき、回転軸部52bを中心として、距離L8、距離L9、距離L10、距離L11、距離L12、距離13を半径とした円周上から清水を食器に向けて噴射し、ラックRに収納された複数の食器の下方から略まんべんなく清水を噴射することができる。
なお、前述の回転軸部52bに螺合させたキャップの雄ネジを締め付ける回転方向は、仕上すすぎ上ノズル53および本洗浄上ノズル72、仕上すすぎ下ノズル54および本洗浄下ノズル73の所定の回転方向と同方向とし、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54が回転しても、回転軸部52bに螺合させたキャップの雄ネジがゆるむことはない。
(本洗浄系統の構成)
次に、本洗浄系統について図4、図5、図6、図7、図9、図10を用いて構成を説明する。
図5、図6、図7(b)に示すように、基部23には、正面側から見て右側に所定の量、例えば26リットルの洗浄水を貯水する略直方体形状の本洗浄タンク60を設けている。そして本洗浄タンク60の側面側には、後述する循環すすぎタンク80の側面側に設けた流出開口87と流動管25を介して連通する流入開口69と、洗浄室30から流動してくる洗浄水に含まれる汚れや残菜等と洗浄水とを分離するストレーナ65と、排水弁(排水部)68bを開けることにより本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水配管(排水部)68cを通じて排水する排水口(排水部)68aと、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を開口(符号なし)からオーバーフローさせて排水するオーバーフロー配管61と、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を所定の温度、例えば55〜70度Cに加熱および保温する第3の加熱手段(加熱手段)62と、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水となったときの水位を検知する満水センサ63と、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の温度を計測する温度センサ64と、を備える。
本洗浄タンク60に備える第3の加熱手段62は、制御盤18により、本洗浄タンク60に満水まで洗浄水が貯水されている場合のみ作動し、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を所定の温度、例えば、55〜70度Cに加熱および保温するよう制御されている。
図4(b)および図5に示すように、本洗浄タンク60に備える流入開口69は、洗浄装置1の背面視で本洗浄タンク60の右側に位置し、流動管25を介して循環すすぎタンク80の流出開口87へと連通している。本洗浄タンク60の流入開口69は、循環すすぎタンク80の流出開口87よりも下方に位置しているため流動管25は勾配を有しており、循環すすぎタンク80に貯水した所定の水位を越えた洗浄水を、循環すすぎタンク80の流出開口87から流動管25を介して流入開口69より本洗浄タンク60へと流動させる。
また、流動管25は長手方向に直交する断面形状が水平方向を長手方向とする矩形状であり、その底辺は略水平方向と一致させるように構成している。加えて、流出開口87および流入開口69の形状は、流動管25の断面形状と略一致する形状である。これにより、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水が所定の水位を越えると、他の断面形状である場合に比較して、より早いタイミングで、より多くの洗浄水を本洗浄タンク60へと流動させることができる。
後述するが、本洗浄タンク60へと流動した洗浄水は、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の水位を満水である水位よりも高い所定の水位とし、その所定の水位となった洗浄水はオーバーフロー配管61の開口(符号なし)からオーバーフローする。また、オーバーフロー配管61の開口は流入開口69よりも低い高さ位置にあり、流入管25を通じて流動した洗浄水が循環すすぎタンク80に逆流しないように構成している。
図5および図7(b)に示すように、本洗浄タンク60に備えるストレーナ65は上下を開放した筒状で、本洗浄タンク60から着脱自在である。上部を上面視で略矩形状である略直方体の形状として、後述する切替板124がストレーナ65の上部に入り込むよう側面側を矩形状に切欠き、上部から連続する下部を下方に向けて面積を小さくする四角錐の形状として、全体を多孔板であるパンチングプレートにより構成している。
ストレーナ65の下部の四角錐の先端は水平方向に切除された形状で下方に向けて開放しており、その開放された部分から、本洗浄タンク60の底面に備える排水口68aへと接続する。これによりストレーナ65の下方から、ストレーナ65内に貯めた汚れや残菜等を洗浄水とともに排水口68aから排水することができる。
本洗浄タンク60の底部に備える排水口68aは、排水弁68bを設けた排水配管68cの一端側へと接続する。排水配管68cに設けた排水弁68bは制御盤18からの信号により開閉を制御する、例えば電磁弁であり、制御盤18からの信号を受けて開閉を行うものである。その排水配管68cの他端側は、下部外郭体20の基部23の下方に備えた残菜受け部130に向けて設置している。残菜受け部130については後述する。
本洗浄タンク60の底面には吸引口66を設けており、ストレーナ65の下部の四角錐の先端の開放側から接続する排水口68aとは水平方向に位置をずらしている。その吸引口66からは、第1の本洗浄配管(本洗浄配管)71aを介して本洗浄ポンプ(送水手段)70へと接続し、本洗浄ポンプ70から第2の本洗浄配管(本洗浄配管)71bへと続く。
また、本洗浄タンク60の底面に設けた吸引口66には、板金を折り曲げて製作するクランク状の整流板(整流部)67が取り付けられる。整流板67は、本洗浄ポンプ70を起動して本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が吸引口66に吸込まれるとき、整流板67のクランク状の一端側の平面により、吸引口66に吸込まれる洗浄水の流れが作り出す渦の発生を防止して、本洗浄ポンプ70のエアがみを抑制することができる。これにより、本洗浄ポンプ70による安定した送水を行うことができる。
そして、図4(a)および図4(b)に示すように、第2の本洗浄配管71bからは、断面形状が矩形状の第3の本洗浄配管(本洗浄配管)71cへと接続して、洗浄室30の上方で水平方向へと屈曲して断面形状が矩形状の第4の本洗浄配管(本洗浄配管)71dへと続き、第4の本洗浄配管71dから本洗浄上ノズル72へと接続する。
また、第3の本洗浄配管71cからは、断面形状が矩形状の第5の本洗浄配管71eが水平方向へと分岐し、第5の本洗浄配管71eは洗浄室30の下方を通って本洗浄下ノズル73へと接続する。
また、洗浄水を流動させる第3の本洗浄配管71c、第4の本洗浄配管71d、第5の本洗浄配管71eは断面形状が矩形状である。また、洗浄装置1の背面側に設けた配管を配置するための空間は上面視で矩形状に構成している。
これにより、断面形状が他の形状(例えば円形状)である場合に比較して、限られた空間内でも洗浄水が流動する流路断面積を大きくすることができ、後述する本洗浄ポンプ70により吐出した洗浄水の流量を多くすることができるとともに、洗浄装置1の省スペース化を行うことができる。
なお、断面形状が矩形状の第3の本洗浄配管71c、第4の本洗浄配管71d、第5の本洗浄配管71e以外の、第1の本洗浄配管71aおよび第2の本洗浄配管71bも断面形状を矩形状としてもよい。
しかしながら、第1の本洗浄配管71aおよび第2の本洗浄配管71bは洗浄装置1の構造上、管長方向から角度を有する方向に曲げた形状となりやすく、断面形状を矩形状とすることにより製作が困難となるおそれがある。そのため、第1の本洗浄配管71aおよび第2の本洗浄配管71bは管長方向から角度を有する方向へと曲げやすい、断面形状が円形状である管路とするのが好ましい。また、断面形状を円形状とすることにより、曲がり部分での配管抵抗による圧力損失を減らすことができる。
図9(b)に示すように、第4の本洗浄配管71dは、上方の接続開口76を介して本洗浄上ノズル72へと接続する。図9(a)に示すように、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53とを所定の角度θ1を有した状態で保持するようボルト等で固定し、その本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53を挟み込むように複数個の軸受け(図示なし)を取付けて、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53と、複数個の軸受けとを回転軸部52bにより貫通させ、貫通させた回転軸部52bの先端に切られた雌ネジに、下方から雄ネジ付きのキャップ(図示なし)を取付けて挟み込んで固定する。これにより、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53との回転の中心軸を同軸とし、所定の角度θ1を有した状態で固定し、回転軸部52bに対して回転自在に固定している。
また、図9(b)に示すように、中空状で内部に流路を備えた本洗浄上ノズル72は、長手方向に直交する方向の断面で下方側に、複数の半球状の突起74を有する。図9(a)に示すように、複数の半球状の突起74は本洗浄上ノズル72の長手方向に間隔をあけて設けられ、複数の半球状の突起74にはスリット状の孔をあけて、複数のノズル口75を形成している。
スリット状の孔である複数のノズル口75は、本洗浄上ノズル72の長手方向から所定の角度θ2、例えば25〜26度を有して一様にあけられており、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53とが、複数のノズル口75の傾きである所定の角度θ2と同じ所定の角度θ1を有した状態で固定されているため、本洗浄上ノズル72の複数のノズル口75から噴射する洗浄水が仕上すすぎ上ノズル53に接触することを、避けることができる。
さらに、本洗浄上ノズル72の両端側(一端側および他端側)には、本洗浄上ノズル72から噴射する洗浄水の圧力により、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53を上面視で左回りの方向(反時計回り)に回転するように、回転方向とは逆側に洗浄水を噴射する回転ノズル口(図示なし)があけられている。
本洗浄上ノズル72に有する複数の半球状の突起74は、本洗浄上ノズル72を取付ける回転軸部52bの中心軸線から、一端側に距離L14、距離L15、距離16の位置に有する。また、他端側には距離L17および距離L18の位置に有する。そしてそれぞれの複数の半球状の突起74には、複数のノズル口75があけられている。
これにより、本洗浄上ノズル72が回転して洗浄水を噴射するとき、回転軸部52bを中心として、距離L14、距離L15、距離L16、距離L17、距離L18を半径とした円周上から洗浄水を食器に向けて噴射し、ラックRに収納された複数の食器の上方から略まんべんなく洗浄水を噴射することができる。
なお、本洗浄上ノズル72の複数のノズル口75の傾きである所定の角度θ2と、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53とが固定される所定の角度θ1とは一例であり、本洗浄上ノズル72から噴射した洗浄水が仕上すすぎ上ノズル53に接触しなければ、どのような角度で構成しても良い。
また、本洗浄上ノズル72と仕上すすぎ上ノズル53とが固定される所定の角度θ1と、本洗浄上ノズル72の複数のノズル口75の傾きである所定の角度θ2とは、異なっていてもよい。
また、図10(b)に示すように、第5の本洗浄配管71eは、下方の接続開口76を介して本洗浄下ノズル73へと接続する。図10(a)に示すように、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54とを所定の角度θ3で保持するようボルト等で固定し、その本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を挟み込むように複数個の軸受け(図示なし)を取付けて、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54と、複数個の軸受けとを回転軸部52bにより貫通させ、貫通させた回転軸部52bの先端に切られた雌ネジに、上方から雄ネジ付きのキャップ(図示なし)を取付けて挟み込んで固定する。これにより、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54との回転の中心軸を同軸とし、所定の角度θ3を有した状態で固定し、回転軸部52bに対して回転自在に固定している。
また、図10(b)に示すように、中空状で内部に流路を備えた本洗浄下ノズル73は、長手方向に直交する方向の断面で上方側に、複数の半球状の突起74を有する。図10(a)に示すように、複数の半球状の突起74は本洗浄下ノズル73の長手方向に間隔をあけて設けられ、複数の半球状の突起74にはスリット状の孔をあけて、複数のノズル口75を形成している。
スリット状の孔である複数のノズル口75は、本洗浄下ノズル73の長手方向から所定の角度θ4、例えば25〜26度を有して一様にあけられており、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54とが、複数のノズル口75の傾きと同じ所定の角度θ3を有した状態で固定されているため、本洗浄下ノズル73の複数のノズル口75から噴射する洗浄水が仕上すすぎ下ノズル54に接触することを、避けることができる。
さらに、本洗浄下ノズル73の両端側(一端側および他端側)には、本洗浄下ノズル73から噴射する洗浄水の圧力により、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を上面視で右回りの方向(時計回り)に回転するように、回転方向とは逆側に洗浄水を噴射する回転ノズル口(図示なし)があけられている。
本洗浄下ノズル73に有する複数の半球状の突起74は、回転軸部52bの中心軸線から、一端側に距離L19、距離20、距離21、距離L22の位置に有する。また、他端側には距離L23、距離L24、距離L25の位置に有する。そしてそれぞれの複数の半球状の突起74に、複数のノズル口75があけられている。
これにより、本洗浄下ノズル73が回転して洗浄水を噴射するとき、回転軸部52bを中心として、距離L19、距離L20、距離L21、距離L22、距離L23、距離L24、距離L25を半径とした円周上から洗浄水を食器に向けて噴射し、ラックRに収納された複数の食器の下方から略まんべんなく洗浄水を噴射することができる。
なお、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54は、回転軸部52bから雄ネジ付きのキャップを取り外すことで、回転軸部52bから着脱自在となるよう構成している。これにより、後述する洗浄装置1を洗浄する清掃ステップの際に、回転軸部52bから本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を容易に取り外すことができる。
なお、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54とが固定される所定の角度θ3と、本洗浄下ノズル73の複数のノズル口75の傾きである所定の角度θ4とは一例であり、本洗浄下ノズル73から噴射した洗浄水が仕上すすぎ下ノズル54に接触しなければ、どのような角度で構成しても良い。
また、本洗浄下ノズル73と仕上すすぎ下ノズル54とが固定される所定の角度θ3と、本洗浄下ノズル73の複数のノズル口75の傾きである所定の角度θ4とは、異なっていてもよい。
(循環すすぎ系統の構成)
次に、循環すすぎの系統について図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10を用いて構成を説明する。
図5、図6、図7(c)に示すように、基部23には、正面側から見て左側に所定の量、例えば16リットルの洗浄水を貯水する循環すすぎタンク80を設けている。そして循環すすぎタンク80は、本洗浄タンク60の流入開口69と流動管25を介して連通する流出開口87と、洗浄室30から落下流動する洗浄水に含まれる食器に付着していた汚れや残菜等と洗浄水とを分離するストレーナ84と、排水弁(排水部)86bを開けることにより循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を排水配管86cを通じて排水する排水口(排水部)86aと、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度、例えば60〜85度Cに加熱および保温する第4の加熱手段(加熱手段)81と、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となったときの水位を検知する満水センサ82と、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度を計測する温度センサ83と、を備える。
循環すすぎタンク80に備える第4の加熱手段81は、制御盤18により、循環すすぎタンク80に満水まで洗浄水が貯水されている場合のみ作動し、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱および保温するよう制御されている。
図4(b)および図5に示すように、循環すすぎタンク80の側面側に備える流出開口87は、洗浄装置1の背面視で循環すすぎタンク80の左側に位置し、流動管25を介して本洗浄タンク60の右側に位置する流入開口69へと接続している。
循環すすぎタンク80の流出開口87は、本洗浄タンク60の流入開口69よりも上方に位置しているため流動管25は勾配を有しており、循環すすぎタンク80に貯水した所定の水位の洗浄水を、循環すすぎタンク80の流出開口87から流動管25を介して流入開口69より本洗浄タンク60へと流動させる。
図5および図7(c)に示す循環すすぎタンク80に備えるストレーナ84は、循環すすぎタンク80から着脱自在である。上部を上面視で略矩形状である直方体の形状として、後述する切替板124がストレーナ84の上部に入り込むよう側面側を矩形状に切欠き、上部から連続する下部を上面断面視で対向する両辺を下方に向けて短くして、側面視で台形の形状としている。上部と下部とを連続させて、上方を開放した状態で外側および底面を多孔板であるパンチングプレートにより構成している。台形形状の側面視のうち、下方の水平方向の辺を上方の水平方向の辺より短くすることにより、循環すすぎタンク80に備える満水センサ82および温度センサ83への干渉を避けることができる。
循環すすぎタンク80の底部に備える排水口86aは、排水弁86bを設けた排水配管86cの一端側へと接続する。排水配管86cに設けた排水弁86bは制御盤18からの信号により開閉を制御する、例えば電磁弁であり、制御盤18からの信号を受けて開閉を行うものである。その排水配管86cの他端側は、下部外郭体20の基部23の下方に備えた残菜受け部130に向けて設置している。残菜受け部130については後述する。
循環すすぎタンク80の底面には吸引口85を設けており、排水口86aとは水平方向に位置をずらしている。その吸引口85からは、第1の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91aを介して循環すすぎポンプ(送水手段)90へと接続し、循環すすぎポンプ90から第2の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91bへと続く。
そして、図4(a)および図4(b)に示すように、第2の循環すすぎ配管91bからは、断面形状が矩形状の第3の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91cへと接続して、第3の循環すすぎ配管91cの上端付近で水平方向に延びる断面形状が矩形状の第4の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91dへと続く。
第4の循環すすぎ配管91dは、上方に2つに分岐する第5の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91eへと続き、それぞれの第5の循環すすぎ配管91eは洗浄室30の上方を通ってそれぞれ2つの循環すすぎ上ノズル(循環すすぎノズル)93へと接続する。
また、第3の循環すすぎ配管91cからは、水平方向に延びる断面形状が矩形状の第6の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91fへと分岐し、さらに下方に2つに分岐する第7の循環すすぎ配管(循環すすぎ配管)91gへと続いて、2つの第7の循環すすぎ配管91gは洗浄室30の下方を通る。そして、それぞれ2つの第7の循環すすぎ配管91gは、ノズル接続部(循環すすぎ配管)92を介してそれぞれ2つの循環すすぎ下ノズル(循環すすぎノズル)94へと接続する。
また、洗浄水を流動させる第3の循環すすぎ配管91c、第4の循環すすぎ配管91d、第6の循環すすぎ配管91fは断面形状が矩形状である。また、洗浄装置1の背面側に設けた配管を配置するための空間は上面視で矩形状に構成している。
これにより、断面形状が他の形状(例えば円形状)である場合に比較して、限られた空間内でも洗浄水が流動する流路断面積を大きくすることができ、後述する循環すすぎポンプ90により吐出した洗浄水の流量を多くすることができる。これにより、洗浄装置1の省スペース化を行うことができる。
なお、断面形状が矩形状の第3の循環すすぎ配管91c、第4の循環すすぎ配管91d、第6の循環すすぎ配管91f以外の、第1の循環すすぎ配管91a、第2の循環すすぎ配管91b、第7の循環すすぎ配管91gも断面形状を矩形状としてもよい。
しかしながら、第1の循環すすぎ配管91a、第2の循環すすぎ配管91b、第7の循環すすぎ配管91gは洗浄装置1の構造上、管長方向から角度を有する方向に曲げた形状となりやすく、断面形状を矩形状とすることにより製作が困難となるおそれがある。そのため、第1の循環すすぎ配管91a、第2の循環すすぎ配管91b、第7の循環すすぎ配管91gは、管長方向から角度を有する方向へと曲げやすい断面形状が円形状である管路とするのが好ましい。また、断面形状を円形状とすることにより、曲がり部分での配管抵抗による圧力損失を減らすことができる。
図9(a)に示すように、略水平方向に長手方向を位置させるように洗浄室30の上部に取付けられる2つの循環すすぎ上ノズル93は、一方端近傍を第5の循環すすぎ配管91eに接続し、両端側(一方端および他方端)を閉じている。長手方向に間隔をあけて下方に向けて孔を設け、複数のノズル口95を形成し、複数のノズルチップ96を取付けている。
また、図10(a)に示すように、第7の循環すすぎ配管91gは循環すすぎ下ノズル94へと接続する。循環すすぎ下ノズル94は、一端側を第7の循環すすぎ配管91gの端面であるノズル接続部92に着脱自在となるよう差し込んで接続しており、他端側をそれぞれ3つに分岐して、後述する水返板部100である正面側水返板部101aに固定している。3つに分岐した循環すすぎ下ノズル94は、長手方向に間隔をあけ、上方に向けて孔を設けて複数のノズル口95を形成している。
なお、2つの循環すすぎ下ノズル94はそれぞれ3つに分岐し、長手方向に間隔をあけ、上方に向けて孔を設けて複数のノズル口95を形成するよう説明したが、2つの循環すすぎ下ノズル94をそれぞれ分岐させずに1本にて構成してもよい。その場合、循環すすぎ下ノズル94の長手方向に間隔をあけ、上方の、複数方向に向けて複数の角度で、孔を設けて複数のノズル口95を形成するのが好ましい。
なお、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94にあける複数のノズル口95は、例えば円形であるが、他にも矩形状であったり、三角形状、スリット状であってもよい。また、複数のノズル口95には、ノズルチップを取り付けてもよい。複数のノズル口95の形状を変更、またはノズルチップを取り付けることにより、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から多角的に洗浄水を噴射させることができ、食器の洗浄性を向上させることができる。
(水返板部、集水部、切替部の構成)
次に、水返板部100および切替部120について、図7、図11、図12を用いて構成を説明する。
洗浄室30の下部には、図11(a)に示すように、扉部11と仕切部材6との間から外部へと洗浄水および清水を漏れ出さないように水返しをする水返板部100を備える。洗浄装置1のフレーム5の内側に取付けた水返板部100は、正面側水返板部101aと、左側面側水返板部101bと、右側面側水返板部101cとにより構成されており、正面側水返板部101aと、左側面側水返板部101bと、右側面側水返板部101cとは、扉部11を閉めたとき、扉部11の内側に位置するように取り付ける。
そして、正面側水返板部101aと、左側面側水返板部101bと、右側面側水返板部101cとは、洗浄室30に収容したラックRを下方から支持するラック支持部37と循環すすぎ下ノズル94と、一体となるよう構成され、洗浄装置1のフレーム5の内側に取付けた断面形状L字状の金具に載置し、洗浄室30から着脱自在としている。
水返板部100は、洗浄室30で飛散した洗浄水および清水が仕切部材6に向かって飛散したとしても、集水部110へと落下流動させるよう導く。また、正面側水返板部101aと左側面側水返板部101bとの間、および正面側水返板部101aと右側面側水返板部101cとの間には隙間が形成されており、扉部11の内側に向かって飛散し、扉部11の内側を伝って流動した洗浄水および清水を、より下方に備える集水部110へと落下流動させるよう導く。
また、図11(b)に示すように、水返板部100の下方には、洗浄室30で噴射した洗浄水および清水を下方へと導く、洗浄装置1のフレーム5に着脱自在に取り付けた集水部110を備える。集水部110は、板金により形成され、着脱自在となるようフレーム5の仕切部材6に載置して取付ける。
集水部110は、略鉛直方向に立てた側壁部111と、上面視で集水部110の中央側に向かって下降傾斜する傾斜部112と、上面視で集水部110の略中央で、集水部110の下方へと開口する開口部113と、側壁部111と傾斜部112とにまたがって張出し、開口部113から開口が洗浄装置1の背面側に連続した張出部114と、を備える。
張出部114は、洗浄装置1の背面側から管長方向を水平方向に配置した第5の本洗浄配管71eおよび第4の仕上すすぎ配管51dを通すための空間を形成するために設けられている。
なお、張出部114は開口部113から開口が連続しているが、集水部110は、仕切部材6から水平方向に設けられた上面視で中央部に開口(図示なし)を有する板金の上に設置されている。そして、板金の開口は集水部110の開口部113を収めているため、張出部114から洗浄装置1の外側へ洗浄水および清水が漏れ出さないような構造となっている。
なお、集水部110は樹脂により形成してもよい。これにより、後述する清掃ステップにおいて集水部110の取り外しと取り付けをしやすくして、洗浄装置1の清掃を容易とすることができる。
図11(c)、図12(a)、図12(b)に示すように、集水部110の下方には、開口部113から落下流動した洗浄水および清水を、目的とするタンクである本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動させる切替部120を備える。なお、図12(a)および図12(b)は駆動手段122と切替板124との構成を示しているため、一部の構成を省略している。
切替部120は、板状の上面で洗浄水および清水の流れを導く切替板124と、切替板124を着脱自在に取り付けて支持する支持部126と、駆動することで支持部126および切替板124の傾きを変更する駆動手段122と、切替板124の傾いている位置を検知するリミットスイッチ(センサ)127と、を有する。
図12(a)および図12(b)に示すように、切替板124は、板金を折り曲げて製作した板状の部材で、一端側を本洗浄タンク60側に、または他端側を循環すすぎタンク80側に傾けることで、集水部110の開口部113から落下流動した洗浄水および/または清水を上面に受け、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動させる。
切替板124の水平方向に対する傾きは、集水部110の傾斜部112の傾きと略同角度であり、これにより集水部110の開口113から落下流動する洗浄水および清水を、切替板124を介して本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと円滑に、確実に落下流動させることができる。
また、正面視で、切替板124は仕上すすぎタンク40の上部の三角形状の流動傾斜部121の上に設けている。これにより、万が一、切替板124から洗浄水および清水が溢れたとしても、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと、洗浄水および清水を落下流動させることができる。
また、切替板124は、両端側(一端側および他端側)に上方に折り曲げた折返し部(誘導手段)125を有する。折返し部125は、切替板124を本洗浄タンク60側または循環すすぎタンク80側に傾けることにより、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80のうちの目的とする一方側のタンクに、洗浄室30で噴射して落下流動する洗浄水および清水を誘導し、目的としない他方側のタンクに洗浄水および清水が落下流動することを抑制することができる。折返し部125の詳細については、後述する。
モータである駆動手段122の回動する駆動軸(図示なし)には、駆動軸の中心軸線に直交する方向に長手方向を配置した長尺状の接触部123を取付ける。そして、接触部123の一端側を本洗浄タンク60側へと、他端側を循環すすぎタンク80側へと延在させる。接触部123は、駆動手段122を駆動して駆動軸を回動させることにより、本洗浄タンク60側または循環すすぎタンク80側へと傾く。
また、駆動軸の他端側は、切替板124を支持する支持部126に固定している。駆動手段122を駆動して駆動軸を回動することにより接触部123の傾きは変わるが、同時に切替板124を支持する支持部126の傾きも同じように変わる。そのため、水平方向に対する支持部126の傾き、つまり切替板124の傾きと、接触部123の傾きとは同じとなるように構成される。
駆動手段122を駆動して駆動軸を回動し、切替板124を本洗浄タンク60側に傾けたとき、接触部123の一端側は本洗浄タンク60側のリミットスイッチ127の検知部(符号なし)に接触する。また、駆動手段122を駆動して駆動軸を回動し、切替板124を循環すすぎタンク80側に傾けたとき、接触部123の他端側は循環すすぎタンク80側のリミットスイッチ127の検知部(符号なし)に接触する。
リミットスイッチ127は、検知部に接触部123が接触することで制御盤18へと信号を送る。これにより、切替板124が本洗浄タンク60側または循環すすぎタンク80側のどちらに傾いているかをリミットスイッチ127により検知して、制御盤18へと知らせることができる。
万が一、意図していない側のリミットスイッチ127に接触部123が接触している状態、またはどちら側のリミットスイッチ127にも接触していない状態で所定の時間が経過した場合は、食器の洗浄を中止し、制御盤18はエラー表示をして、警告音等を鳴らすことで食器の洗浄を行う作業者に知らせるよう構成している。
このように、切替部120は選択したタンク、つまり洗浄水および清水を落下流動させるよう意図したタンクを、選択して切り替えることができるものである。
なお、図7(b)および図7(c)における二点鎖線で示す切替板124は、切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾けたときの位置を示すが、切替板124は、本洗浄タンク60側へと傾けることにより本洗浄タンク60に備えるストレーナ65の上部に有する切欠きの内側へと入り込み、切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾けることにより循環すすぎタンク80に備えるストレーナ84の上部に有する切欠きの内側へと入り込む。つまり、切替板124の幅は、ストレーナ65、84の幅より狭くなるよう構成されている。
なお、切替板124の水平方向に対する傾きは、集水部110の傾斜部113の傾きよりも鈍角としてもよい。その場合、集水部110の開口113から落下流動する洗浄水および清水を、切替板124を介して本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へとより円滑に、落下流動させることができる。
(残菜受け部の構成)
次に、残菜受け部130について、図6、図13を用いて構成を説明する。
図6、図13(a)および図13(b)に示すように、洗浄装置1の基部23と設備の床面との間には残菜受け部130を備えている。残菜受け部130は、上面視で略矩形状の枠材の底面側に多孔板であるパンチングプレートを取付けた残菜篭132と、上面視で略矩形状の枠材の底面側を板金により構成し、板金の一部に設備側の排水溝へと接続する排水口134を有する排水受け133と、残菜篭132および排水受け133を基部23の下方に支持する支持部131とにより構成されている。残菜篭132は支持部131からスライドすることにより着脱可能であり、排水受け133は支持部131に固定されている。
残菜篭132のパンチングプレートには、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水する排水配管68cの排水側の口と、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水を排水する排水配管86cの排水側の口と、本洗浄タンク60のオーバーフロー配管61の排水側の口と、仕上すすぎタンク40のオーバーフロー配管43の排水側の口と、仕上すすぎタンク40の排水配管49bの口とが向けられるよう配置する。
これにより、それぞれの排水配管68c、86cおよびオーバーフロー配管43、61から排水された洗浄水および清水を集め、パンチングプレートにより残菜等を分離して排水受け133に一時的に貯水し、排水受け133の排水口134から設備側の排水溝へと流す。
また、仕上すすぎ配管のオーバーフロー配管43は食器に付着していた汚れや油分、残菜等を含まないが、仕上すすぎ配管のオーバーフロー配管43からパンチングプレートに向けて排水することにより、洗浄装置1からの排水経路をまとめることができる。
(集水部および切替部での洗浄水および清水の落下流動について)
集水部110および切替部120での、洗浄水および清水の落下流動について、図5、図7、図8、図11、を用いて具体的に説明する。
図5に示す洗浄室30で噴射された洗浄水および清水は、ラックRに収納した食器に噴射された後に、洗浄室30で食器やラックRに接触して飛散、または食器に接触することなく飛散し、扉部11の内側に付着して下方へと落下流動する。または、ラックRに収納した食器に噴射された後に、洗浄室30で食器やラックRに接触してそのまま下方へと落下流動する。
扉部11の内側に付着して下方へと落下流動した洗浄水および清水は、扉部11と水返板部100との間を通り、図11(a)に示す正面側水返板部101aと左側面側水返板部101bとの隙間、および正面側水返板部101aと右側面側水返板部101cとの隙間から、集水部110へと落下流動する。そして、直接、集水部110へと落下流動した洗浄水および清水とともに、開口部113から切替部120へと落下流動する。
集水部110の開口部113から切替部120へと落下流動した洗浄水および清水は、図11(c)に示す切替板124の上に落下流動する。切替板124は駆動手段122を駆動し、駆動軸を回動させることにより本洗浄タンク60側、または循環すすぎタンク80側に傾けているため、切替板124の傾いている方へと洗浄水および清水を落下流動させる。
図7(b)および図8(a)に示すように、切替板124が本洗浄タンク60側に傾いている場合、切替板124の一端側は本洗浄タンク60のストレーナ65の上部に有する側面視で矩形状の切欠きの内側へ入り込んでいるため、切替板124の上を流動する洗浄水および清水は本洗浄タンク60のストレーナ65内へと落下流動する。
そして、洗浄水および清水に含まれていた汚れや残菜等のうち、ストレーナ65を構成するパンチングプレートの目よりも大きなものはストレーナ65の内側に捕集され、パンチングプレートの目よりも小さなものと、洗浄水および清水はストレーナ65の内側および外側、つまり本洗浄タンク60内に貯められる。
本洗浄タンク60のストレーナ65へと落下流動した洗浄水および清水は、ストレーナ65により、パンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等と、油分やパンチングプレートの目よりも小さな汚れ、残菜等とに分離される。
また、図7(c)、図8(b)に示すように、切替板124が循環すすぎタンク80側に傾いている場合、切替板124の他端側は循環すすぎタンク80のストレーナ84の上部に有する側面視で矩形状の切欠きの内側へ入り込んでいるため、切替板124の上を流動する洗浄水および清水は循環すすぎタンク80のストレーナ84内へと落下流動する。
そして、洗浄水および清水に含まれていた油分や汚れ、残菜等のうち、ストレーナ84を構成するパンチングプレートの目よりも大きなものはストレーナ84の内側に捕集され、油分やパンチングプレートの目よりも小さなものと、洗浄水および清水はストレーナ84から下方へと落下流動して、循環すすぎタンク80に貯められる。
循環すすぎタンク80のストレーナ84へと落下流動した洗浄水および清水は、ストレーナ84によりパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等と、油分やパンチングプレートの目よりも小さな汚れ、残菜等とに分離される。
また、図8(a)に示すように、本洗浄タンク60側に傾けた切替板124に洗浄水および清水を落下流動させたとき、切替板124に有する折返し部125により、洗浄水および清水が循環すすぎタンク80へと落下流動することを抑制することができる。
具体的に説明すると、切替板124が本洗浄タンク60側に傾いているとき、切替板124に落下流動する洗浄水および清水は本洗浄タンク60側へと落下流動する。しかしながら、そのときの開口部113から落下流動する洗浄水および清水の勢いや向きにより、切替板124の傾斜を上昇するように流動し、循環すすぎタンク80へと落下流動しようとする流れも生まれる。その流れの洗浄水および清水が循環すすぎタンク80へと落下流動しないように他端側の折返し部125により止め、本洗浄タンク60へと落下流動するように導くことができる。
また、切替板124が循環すすぎタンク80側に傾いているときは、本洗浄タンク60へと洗浄水および清水が落下流動しないように一端側の折返し部125により勢いを止め、循環すすぎタンク80へと落下流動するように導くことができる。
これにより、洗浄水および清水を目的とするタンクである本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動するよう制御し、後述する洗浄装置1の動きにおいて、清浄度の異なる洗浄水および清水が、意図しない洗浄水に混ざり合うことを抑制して、清浄度が意図せず低くなることを防止することができる。そして、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水による食器の洗浄における洗浄性が、意図せず低下することを防止することができる。
なお、折返し部125は切替板124の両端側(一端側と他端側)を折り返す形状に限定されない。例えば、集水部110の側壁部111および傾斜部112や切替板124の上面に、板材を取付ける、エンボス加工を施す、等により凹凸を設けることで、洗浄水および清水の流動の勢いを制御し、その流れを誘導してもよい。
(洗浄装置の動き)
次に、本発明の洗浄装置1を用いた洗浄方法として、運転準備ステップと、本洗浄ステップと、排水ステップと、循環すすぎステップと、仕上すすぎステップと、再洗浄準備ステップと、清掃ステップとについて説明する。
まずは、各ステップの概略を説明する。
運転準備ステップでは、扉部11を閉めた状態で制御盤18に有する電源ボタン(図示なし)を押すと、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて仕上すすぎタンク40に清水を貯水し、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により所定の温度に加熱する。所定の温度に加熱した清水を仕上すすぎ配管51a、51b、51c、51dを通じて仕上すすぎポンプ50により吸込んで吐出し、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の時間噴射する。
所定の時間噴射した所定の温度の清水により洗浄室30内の部材を昇温しつつ、切替板124を介して循環すすぎタンク80および本洗浄タンク60へと清水を落下流動させて、循環すすぎタンク80および本洗浄タンク60を満水にする。
そして制御盤18から鳴る警告音とともに、制御盤18から送る信号により扉部11を開ける。そして、作業者が複数の食器を収納したラックRを洗浄室30に収容し、制御盤18に有する洗浄開始スイッチ(図示なし)を押すことで、制御盤18から鳴る警告音とともに、制御盤18から送る信号により扉部11を閉める。
運転準備ステップの後に行う本洗浄ステップでは、本洗浄タンク60に貯水した所定の温度の洗浄水を本洗浄配管71a、71b、71c、71d、71eを通じて、本洗浄ポンプ70により吸込んで吐出し、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73からラックRに収納された食器に向けて、所定の時間噴射する。噴射した洗浄水を切替板124を介して本洗浄タンク60へと落下流動させることにより、洗浄水を循環させて食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流す本洗浄を行う。
本洗浄ステップの後に行う排水ステップでは、本洗浄タンク60の排水配管68cに有する排水弁68bを制御盤18から送る信号で所定の時間開くことにより、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水のうち所定の量排水する。それにより、本洗浄タンク60に貯まった食器に付着していた汚れや油分、残菜等を、洗浄水とともに本洗浄タンク60から排出する。
排水ステップの後に行う循環すすぎステップでは、切替板124を本洗浄タンク60側に傾けたままとしておき、循環すすぎタンク80に貯水した所定の温度の洗浄水を循環すすぎ配管を通じて、循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出し、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から食器に向けて、所定の時間噴射する。噴射した洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させて、食器に本洗浄ステップで付着した洗浄水や、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流しつつ、本洗浄タンク60を満水にする。
本洗浄タンク60が満水になった後に、循環すすぎポンプ90を駆動したまま、切替板124を循環すすぎタンク80側に傾ける。そして、噴射した洗浄水を切替板124を介して循環すすぎタンク80へと落下流動させることにより、洗浄水を循環させて、本洗浄ステップで食器に付着した洗浄水や、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流す循環すすぎを行う。
循環すすぎステップの後に行う仕上すすぎステップでは、切替板124を循環すすぎタンク80側のままとし、仕上すすぎタンク40に貯水した所定の温度の清水を仕上すすぎ配管を通じて、仕上すすぎポンプ50により吸込んで吐出し、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から食器に向けて、所定の時間噴射する。
これにより、噴射した清水は食器に付着した洗浄水を洗い流す仕上すすぎを行う。そして、仕上すすぎを行いつつ、循環すすぎタンク80へと落下流動させ、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の水位を所定の水位まで上げ、さらに洗浄水を流動管25を通じて本洗浄タンク60へと流動させる。
本洗浄タンク60へと洗浄水が流動すると、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は、洗浄水の水面付近に漂う油分とともにオーバーフロー配管61から残菜受け部130へと排水される。これにより、排水ステップでは排水することが困難であった本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の水面付近に漂う油分を洗浄水とともに排水することができ、本洗浄タンク60の清浄度を高めることができる。
そして、所定の時間の清水の噴射が終了した後に、制御盤18から鳴る警告音とともに、制御盤18から送る信号により扉部11を開けて、作業者が複数の食器を収納したラックRを取り出す。
引き続き食器の洗浄を行う場合、仕上すすぎステップの後に再洗浄準備ステップを行う。再洗浄準備ステップでは、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて仕上すすぎタンク40に清水を貯水し、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により所定の温度に加熱し、扉部11を開けた状態で作業者が複数の食器を収納したラックRを洗浄室30に収容して、扉部11を閉める。そして、再び制御盤18に有する洗浄開始スイッチを押して、本洗浄ステップに移る。
仕上すすぎステップの後に食器の洗浄を行う予定が長時間ない場合、仕上すすぎステップの後に清掃ステップを行う。清掃ステップでは、本洗浄タンク60の排水弁68b、および循環すすぎタンク80の排水弁86bを制御盤18から送る信号で開くことで、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を、食器に付着していた汚れや油分、残菜等とともに排水する。また、仕上すすぎタンク40の排水弁49cを手動で開くことにより、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を排水する。
そして、洗浄水および清水の排水が完了した後に、洗浄室30内と、本洗浄タンク60と、循環すすぎタンク80内の着脱自在な部材を取り外してシンク等へと運び、清掃する。清掃した着脱自在な部材を洗浄装置1に取付けて、次回の運転準備ステップに備える。
(運転準備ステップ)
まず、運転準備ステップについて、図14および図15を用いて具体的に説明する。
制御盤18に有する電源ボタン(図示なし)を押すと、扉部11を開けた状態から、制御盤18から鳴る警告音とともに、扉部開閉手段である駆動手段33の駆動軸34が回動して、第1の扉アーム31と第2の扉アーム32とにより扉部11を鉛直方向に下降させて閉めた状態となる。
扉部11を閉めた状態であった場合、または扉部11が開けた状態から閉めた状態となると、図14に示すように、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開き、仕上すすぎタンク40へと清水を供給する。また、切替部120の切替板124が本洗浄タンク60側に傾いている場合は、駆動手段122を駆動させて循環すすぎタンク80側に傾ける。
仕上すすぎタンク40に貯水した清水の水位が高くなり、満水センサ46により仕上すすぎタンク40が満水であると検知されると、満水センサ46は制御盤18へと信号を送る。信号を受け取った制御盤18は給水部41の開閉弁42を閉めて、仕上すすぎタンク40への清水の供給を止めるとともに、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45を作動させて、清水を加熱する。
第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により、仕上すすぎタンク40に貯水した清水が所定の温度、例えば約85度Cに達したことを温度センサ47が検知し、制御盤18へと信号を送る。信号を受け取った制御盤18は、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45による加熱を停止して、仕上すすぎポンプ50を駆動する。
仕上すすぎタンク40に有する吸引口48は、温度センサ47と略同じ高さ位置に設けられている。そのため、仕上すすぎポンプ50を駆動して、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45の作動と停止の基準となる温度を検知する温度センサ47の周辺の清水を吸引口48から吸込むことができ、洗浄室30に噴射する清水の温度を、所定の温度により近い温度とすることができる。
また、第2の加熱手段45は、第1の加熱手段44よりも下方に位置するよう取り付けているので、仕上すすぎタンク40に貯水した清水のうち、下方に集まる温度の低い清水を第2の加熱手段45で加熱することができる。これにより、仕上すすぎタンク40に貯水した清水全体を均一に所定の温度に加熱することを促進することができる。
なお、仕上すすぎタンク40に備える加熱手段は2つに限定されることはなく、効率的に仕上すすぎタンク40に貯水した清水を加熱することができるのであれば、1つ、あるいは3つ以上備えていてもよい。
仕上すすぎポンプ50を駆動して、第1の仕上すすぎ配管51aを通じて仕上すすぎタンク40に貯水した清水を吸込んで吐出し、第2の仕上すすぎ配管51bおよび第3の仕上すすぎ配管51cから嵌入部である接続部52aと回転軸部52bとを通じて、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の清水を所定の時間、例えば5秒間噴射する。
そして、所定の温度の清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させた後に、仕上すすぎポンプ50を停止する。これにより、例えば5秒間で合計約3リットルの所定の温度の清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させるとともに、洗浄室30内および洗浄室30内の部材を所定の温度の清水の流動落下により、昇温することができる。
このとき、切替板124の有する折返し部125により本洗浄タンク60への清水の流動を抑制して、仕上すすぎタンク40の所定の温度の清水を循環すすぎタンク80へとより確実に落下流動させ、より短時間で循環すすぎタンク80に所定の量の洗浄水を貯水することができる。
仕上すすぎポンプ50を停止させた後、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて仕上げすすぎタンク40へ清水を供給し、満水センサ46が仕上すすぎタンク40に貯水した清水が満水であることを検知した後、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により清水を所定の温度まで加熱する。
仕上すすぎタンク40に貯水した清水が所定の温度となった後に、前述のように仕上すすぎポンプ50を駆動して、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の清水を噴射する。そして、所定の温度の清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させるとともに、洗浄室30内および洗浄室30内の部材を所定の温度の洗浄水の流動落下により、昇温する。
これを循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となるまで所定の回数、例えば6回繰り返す。
循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となると、循環すすぎタンク80の満水センサ82が検知して制御盤18へと信号を送る。制御盤18は信号を受けて、循環すすぎタンク80の第4の加熱手段81を作動し、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱および保温する。
循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となった後に、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて再度仕上すすぎタンク40へ清水を供給し、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により所定の温度に加熱する。それとともに、駆動手段122を駆動して、切替部120の切替板124を本洗浄タンク60側に傾ける。
なお、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の噴射が所定の時間に満たない間に循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となった場合、仕上すすぎポンプ50による清水の噴射を継続したまま、切替板124を本洗浄タンク60側に傾けてもよい。そうすることにより、運転準備ステップに要する時間を短くすることができる。
そして、図15に示すように、仕上すすぎポンプ50を所定の時間、例えば5秒間駆動し、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の清水を噴射する。そして、所定の温度の清水を本洗浄タンク60へと落下流動させた後に、仕上すすぎポンプ50を停止する。これにより、例えば約3リットルの所定の温度の清水を本洗浄タンク60へと落下流動させるとともに、洗浄室30内および洗浄室30内の部材を所定の温度の清水の流動落下により、昇温することができる。
このとき、切替板124の有する折返し部125により循環すすぎタンク80への清水の流動を抑制して、仕上すすぎタンク40の所定の温度の清水を本洗浄タンク60へとより確実に落下流動させ、より短時間で本洗浄タンク60に所定の量の洗浄水を貯水することができる。
仕上すすぎポンプ50を停止させた後、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて仕上げすすぎタンク40へ清水を供給し、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により清水を所定の温度まで加熱する。
仕上すすぎタンク40に貯水した清水が満水となった後に、前述のように仕上すすぎポンプ50を駆動して、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の清水を噴射して、洗浄室30内および洗浄室30内の部材を昇温しつつ、所定の温度の清水を本洗浄タンク60へと落下流動させる。これを本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水となるまで所定の回数、例えば9回繰り返す。
また、洗浄水が満水となるまでの間に、洗剤供給器(図示なし)により所定量の洗剤を本洗浄タンク60へと供給することで、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水に所定の量の洗剤を混ぜ合わせる。なお、本洗浄タンク60に洗剤濃度を検知するセンサを設けて本洗浄タンク60に貯水した洗浄水に含まれる洗剤の濃度を検知し、洗剤供給器にその濃度をフィードバックすることにより、洗剤供給器による洗剤の供給量を制御してもよい。
本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水となると、本洗浄タンク60の満水センサ63が検知して制御盤18へと信号を送る。制御盤18は信号を受けて、本洗浄タンク60の第3の加熱手段62を作動させ、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱および保温する。
本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水となった後に、制御盤18から送る信号により給水部41の開閉弁42を開けて再度仕上すすぎタンク40へ清水を供給し、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により所定の温度に加熱する。
そして、仕上すすぎタンク40に貯水する清水が所定の温度となった後に、制御盤18の表示部に準備完了の表示を行い、警告音とともに扉部11を鉛直方向の上方へと開ける。扉部11を開けた状態で、作業者が食器を収納したラックRを洗浄室30へと収容して制御盤18に有する洗浄開始ボタンを押すと、次のステップである本洗浄ステップへと移行する。
このように、運転準備ステップでは、洗浄室30内および洗浄室30内の部材を昇温しつつ、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に清水を落下流動させて、満水まで貯水する。これにより、次に行う本洗浄ステップや、その後に行う循環すすぎステップおよび仕上すすぎステップで噴射する洗浄水および清水が、洗浄室30内の部材に接触して温度が低下することを抑制する。そして、洗浄水および清水の所定の温度を保ち、食器の洗浄性を向上させることができる。
本実施形態における運転準備ステップでは本洗浄タンク60よりも先に循環すすぎタンク80に、仕上すすぎタンク40に貯水していた清水を落下流動させて満水となるまで貯水している。こうすることで、次の本洗浄ステップが開始されるまでの間に循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度のうち、高い温度まで確実に加熱し保温しておくことができ、本洗浄ステップ後に行う循環すすぎステップでの食器の洗浄性を向上させることができる。
なお、食器の汚れの種類によっては、運転準備ステップで循環すすぎタンク80よりも先に、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水を満水となるまで貯水してもよい。
(本洗浄ステップ)
次に、本洗浄ステップについて、図16を用いて具体的に説明する。
制御盤18に有する洗浄開始ボタンを押すと、制御盤18は信号を送ることで扉部開閉手段により扉部11を閉めた後に、本洗浄ポンプ70を駆動させる。このとき、切替板124は本洗浄タンク60側に傾けている。
本洗浄ポンプ70は、吸引口66から第1の本洗浄配管71aを通じて本洗浄タンク60に貯水された洗浄水を吸込んで、第2の本洗浄配管71bへ吐出する。さらに洗浄水は、第3の本洗浄配管71cおよび第4の本洗浄配管71dを通り、本洗浄上ノズル72から所定の温度の洗浄水を所定の時間、例えば約40秒間、食器に向けて噴射される。
また、第3の本洗浄配管71cから水平方向に分岐した第5の本洗浄配管71eを通り、本洗浄下ノズル73から所定の温度の洗浄水を所定の時間、例えば約40秒間、食器に向けて噴射される。本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73からの洗浄水の噴射により、例えば約40秒間で合計約200リットルの所定の温度の洗浄水を食器に噴射して、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流す本洗浄を行う。
洗浄水を噴射する本洗浄上ノズル72と本洗浄下ノズル73は、所定の角度θ1、θ3を有した状態で仕上すすぎ上ノズル53と仕上すすぎ下ノズル54を固定し、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73にあけた複数のノズル口75は同様の角度である所定の角度θ2、θ4を有して一様にあけている。
そのため、本洗浄上ノズル72と本洗浄下ノズル73から噴射する洗浄水が、本洗浄上ノズル72の下方に固定した仕上すすぎ上ノズル53と本洗浄下ノズル73の上方に固定した仕上すすぎ下ノズル54に接触することを避け、ラックRに収納する食器に効果的に洗浄水を噴射し、食器を洗浄することができる。
また、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73のスリット状の孔である複数のノズル口75が、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73の長手方向から所定の角度θ2、θ4を有して一様にあけられている。つまり、複数のノズル口75は、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73のそれぞれで平行となるよう構成されている。
噴射された洗浄水は側面視でノズル口75から扇状に広がるが、複数のノズル口75がそれぞれ平行となるように構成されているため、扇状に広がる洗浄水同士の干渉を防止することができる。
そして、側面視でノズル口75から扇状に広がるように噴射された洗浄水は、所定の時間だけ行う本洗浄ステップのうちで、より多くの食器に洗浄水を噴射しつつ、噴射されたときの水圧を可能な限り維持して、効果的に食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流すことができる。
食器へ噴射された所定の温度の洗浄水は、食器を洗浄した後に、集水部110および切替部120を介して本洗浄タンク60へと落下流動する。本洗浄タンク60へと落下流動した洗浄水は、本洗浄ポンプ70により吸込んで吐出され、再び食器の洗浄に使用される。このように、本洗浄ステップでは洗浄水を循環させて、食器の本洗浄を行う。
このとき、本洗浄タンク60へと落下流動する洗浄水は、切替板124の有する折返し部125により循環すすぎタンク80への洗浄水の流動を抑制され、本洗浄タンク60の洗浄水をより確実に本洗浄タンク60へと落下流動させることができる。これにより、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の清浄度を維持して、次に行う循環すすぎステップでの食器の循環すすぎをより効果的なものとすることができる。
また、切替板124の有する折返し部125により、循環すすぎタンク80への流動を抑制し、洗浄水を確実に本洗浄タンク60へと落下流動させて、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の量が徐々に減少することを抑制して、本洗浄ポンプ70が本洗浄タンク60から吸い込んで吐出するときにエアがみしない水位とすることができ、これにより、本洗浄タンク60から洗浄水を確実に送水することを可能とすることができる。
また、本洗浄ノズル72、73より噴射されて食器の洗浄を行い本洗浄タンク60へと落下流動する洗浄水は、本洗浄タンク60のストレーナ65の上部に有する側面視で矩形状の切欠きの内側へ入り込んだ切替板124の端部から落下流動し、本洗浄タンク60へと貯水される。
本洗浄タンク60に落下流動した洗浄水に含まれる食器に付着していた汚れや残菜等のうち、ストレーナ65を構成するパンチングプレートの目よりも大きなものは、ストレーナ65の内側に捕集される。そして、洗浄水は、本洗浄タンク60のストレーナ65の内外を問わず貯水される。
そして、循環する洗浄水を吸込む吸引口66は、ストレーナ65から接続する排水口68aとは水平方向に位置をずらして設けているため、吸引口66に吸込む洗浄水にはストレーナ65の内側に捕集したパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等が混ざることを抑制することができる。これにより、本洗浄系統を流動する洗浄水からストレーナ65のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等を分離し、より清浄度の高い状態で循環させることができる。
さらに、洗浄水からストレーナ65のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等を分離することにより、本洗浄ノズルの72、73のノズル口75の汚れや残菜等による目詰まりを防止することができる。加えて、吸引口66から第1の本洗浄配管71aを通じて接続する本洗浄ポンプ70に、本洗浄ポンプ70が破損するようなもの(例えば喫食に用いる箸等)が吸込まれることを防止し、本洗浄ポンプ70の寿命を長くすることができる。
本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73から所定の温度の洗浄水を所定の時間だけ食器に向けて噴射した後には、本洗浄ポンプ70を停止して、次のステップである排水ステップへと移行する。
このように本洗浄タンク60に貯水する洗浄水は、喫食後の汚れた食器の初期洗浄を行うため、食器に付着していた汚れや油分、残菜等がより多く混ざり易い。そのため、仕上すすぎタンク40、循環すすぎタンク80、本洗浄タンク60の3つのタンクのうちで、本洗浄タンク60には、最も清浄度の低い洗浄水が貯水されることとなる。
また、洗浄水を流動させる第3の本洗浄配管71c、第4の本洗浄配管71d、第5の本洗浄配管71eは管長方向に直交する方向の断面が矩形状である。また、洗浄装置1の背面側に設けた配管を配置するための空間は上面視で矩形状に構成している。
(排水ステップ)
次に、排水ステップについて、図17を用いて具体的に説明する。
図17に示すように、本洗浄ステップを行った後、制御盤18は本洗浄タンク60の排水弁68bへと信号を送り、所定時間、例えば約0.5〜1秒だけ排水弁68bを開く。これにより、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を、例えば0.5〜1秒で約0.5リットル排水する。
このとき、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水することで、本洗浄ステップで本洗浄タンク60の特に、ストレーナ65の内側に貯まった食器に付着していた汚れや残菜等を本洗浄タンク60から洗浄水とともに排出する。排水口68aはストレーナ65の下端から接続しているため、効果的にストレーナ65に捕集した食器に付着していた汚れや残菜等を、洗浄水とともに排出することができる。
これにより、汚れや残菜等の量を減らし、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水と接触する機会を減らすことができ、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の清浄度を低下することを抑制することができる。
また、ストレーナ65の内側に溜まった残菜等を排出することでストレーナ65の目詰まりを防止し、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の良好な循環の状態を保ち、次回以降に行う本洗浄ステップでの食器の洗浄をより効果的なものとすることができる。
排水された洗浄水は、本洗浄ステップで本洗浄タンク60に貯まった食器に付着していた汚れや油分、およびストレーナ65の内側に捕集された残菜等とともに、排水配管68cを通り、残菜受け部130へと送られる。
残菜受け部130では、残菜篭132のパンチングプレートにより、パンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等と、油分やパンチングプレートの目よりも小さな汚れ、残菜等を含んだ洗浄水に分離される。
分離された洗浄水は、排水受け133に一時的に貯水された後に排水受け133の排水口134から設備側の排水溝へと排水される。また、パンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等は、残菜篭132のパンチングプレートの上に捕集される。
本洗浄タンク60の排水弁68bを開く所定時間が経過した後に、制御盤18からの信号により排水弁68bを閉める。そして、次のステップである循環すすぎステップへと移行する。
なお、本洗浄タンク60の排水弁68bは制御盤18により開閉が制御される電動弁であるが、手動による開閉弁としてもよい。なお、排水ステップは、本洗浄ステップが終了する前に開始してもよい。
(循環すすぎステップ)
次に、循環すすぎステップについて、図18および図19を用いて具体的に説明する。
排水ステップを行った後、図18に示すように、制御盤18は循環すすぎポンプ90を駆動する。このとき、切替板124は本洗浄タンク60側に傾けたままである。
循環すすぎポンプ90は、吸引口85から第1の循環すすぎ配管91aを通じて循環すすぎタンク80に貯水された洗浄水を吸込んで、第2の循環すすぎ配管91bへと吐出する。
さらに洗浄水は、第3の循環すすぎ配管91cと第4の循環すすぎ配管91dとを通り、第4の循環すすぎ配管91dから上方に2つに分岐する第5の循環すすぎ配管91eへと流れる。第5の循環すすぎ配管91eから2つの循環すすぎ上ノズル93へと流れた所定の温度の洗浄水は、2つの循環すすぎ上ノズル93から所定の時間、例えば約5秒間、食器に向けて噴射される。
また、第3の循環すすぎ配管91cから水平方向に分岐した第6の循環すすぎ配管91fを通り、所定の温度の洗浄水は、循環すすぎ下ノズル94から所定の時間、例えば約5秒間、食器に向けて噴射される。循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94からの洗浄水の噴射により、例えば、約5秒間で合計約25リットルの所定の温度の洗浄水が食器に向けて噴射され、食器に本洗浄ステップで付着した洗浄水や、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流す循環すすぎを行う。
洗浄水を噴射する循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94は、洗浄室30の上部の左右両側、および洗浄室30の下部に固定されている。これにより、本洗浄ステップで本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73から噴射する洗浄水が噴射される方向とは異なる方向から洗浄水を噴射し、ラックRに収納した食器を略まんべんなく洗浄することができる。
つまり、本洗浄ステップで洗浄水を噴射する本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73は回転しており、噴射される洗浄水は同心円状に広がるが、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94は固定されているため、本洗浄ステップで洗浄水の届きにくいあらかじめ設定した箇所へと洗浄水を噴射することができ、食器の洗浄性を向上させることができる。
本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は排水ステップで所定の量を排出しているので、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の水位は満水よりも低い水位となっている。最初の数秒間である所定の時間だけ切替板124を本洗浄タンク60側に傾けているので、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から噴射した洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させて、本洗浄タンク60を満水とすることができる。すなわち、循環すすぎステップでは、排水ステップで排水した本洗浄タンク60に貯水した洗浄水と少なくとも同量の洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させて満水とすることができる。
このとき、切替板124の有する折返し部125により、循環すすぎタンク80の洗浄水をより確実に本洗浄タンク60へと落下流動させることができる。
本洗浄タンク60が満水となると、本洗浄タンク60の満水センサ63が制御盤18へと信号を送り、制御盤18がそれを受けて切替部120の駆動手段122を駆動させて切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾ける。なお、駆動手段122を駆動させて切替板124を傾ける間も循環すすぎポンプ90は駆動しており、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94からは、食器に向けて洗浄水が噴射されている。
また、循環すすぎステップの最初の数秒間である所定の時間に、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から噴射させた洗浄水により、本洗浄ステップにおいて洗浄室30内に残留した汚れや残菜等を本洗浄タンク60へと流動させる。
これにより、本洗浄ステップにおいて洗浄室30内に残留していた汚れや残菜等が、本洗浄タンク60よりも清浄度の高い循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水に流動するのを抑制し、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の清浄度が低下することを防止することができる。
図19に示すように、切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾けた後、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から噴射した洗浄水は、切替板124を介して循環すすぎタンク80へと落下流動する。循環すすぎタンク80へと落下流動する洗浄水は、切替板124の有する折返し部125により、本洗浄タンク60への流動を抑制してより確実に循環すすぎタンク80へと落下流動させることができる。
循環すすぎタンク80へと落下流動した洗浄水は、再び循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出され、本洗浄ステップで食器に付着した洗浄水や、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流す。このように、循環すすぎステップでは洗浄水を循環させて、食器の循環すすぎを行う。
このとき、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94より噴射されて食器の洗浄を行い、循環すすぎタンク80へと落下流動する洗浄水は、循環すすぎタンク80のストレーナ84の上部に有する側面視で矩形状の切欠きの内側へ入り込んだ切替板124の端部から落下流動し、循環すすぎタンク80へと貯水される。循環すすぎタンク80に落下流動した洗浄水に含まれる食器に付着していた汚れや残菜等のうち、ストレーナ84を構成するパンチングプレートの目よりも大きなものは、ストレーナ84に捕集される。
そして、ストレーナ84のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等を分離された洗浄水は、吸引口85へと吸い込まれ、循環して洗浄室30で食器に噴射される。これにより、循環すすぎ系統を流動する洗浄水からストレーナ84のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等を分離し、より清浄度の高い状態で循環させることができる。
さらに、洗浄水からストレーナ84のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等を分離することにより、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94のノズルチップ96およびノズル口95の汚れや残菜等による目詰まりを防止することができる。
加えて、吸引口85から第1の循環すすぎ配管91aを通じて接続する循環すすぎポンプ90に、循環すすぎポンプ90が破損するようなもの(例えば喫食に用いる箸等)が吸込まれることを防止し、循環すすぎポンプ90の寿命を長くすることができる。
また、循環すすぎタンク80へと落下流動する洗浄水は、切替板124の有する折返し部125により本洗浄タンク60への洗浄水の流動を抑制して、循環すすぎタンク80の洗浄水をより確実に循環すすぎタンク80へと落下流動させることができる。
また、切替板124の有する折返し部125により、洗浄水を確実に循環すすぎタンク80へと落下流動させて、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の量が徐々に減少することを抑制して、循環すすぎポンプ90が循環すすぎタンク80から吸い込んで吐出するときにエアがみしない水位とすることができ、循環すすぎタンク80から洗浄水を確実に送水することを可能とすることができる。
循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94から所定の温度の洗浄水を所定の時間だけ食器に向けて噴射した後には、循環すすぎポンプ90を停止して、次のステップである仕上すすぎステップへと移行する。
本実施形態における循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水は、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水に比較して、食器に付着していた汚れや油分、残菜等がより混ざりにくい。つまり、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水よりも清浄度が高い洗浄水が貯水されることとなる。また、循環すすぎ配管は、清浄度の低い洗浄水が流動する本洗浄配管とは異なる配管系統により構成している。
これにより、本洗浄ステップにおいて、清浄度の低い洗浄水が流動することより汚れが付着している配管内を通ることなく、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の清浄度を保った状態で、食器に洗浄水を噴射して循環すすぎを行うことができ、食器の洗浄性を向上させることができる。
また、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は排水ステップにより所定の量だけ排水している。そして、循環すすぎステップにより、所定の量だけ排水した本洗浄タンク60に、少なくとも排水した所定の量の洗浄水と同量の洗浄水を流動落下させることで、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水よりも清浄度の高い洗浄水を混ぜ合わせて、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の清浄度を高めることができる。
なお、循環すすぎステップは排水ステップと同時、または排水ステップを行っている途中に開始してもよい。そうすることにより、食器の洗浄にかかる時間を短縮することができる。
(仕上すすぎステップ)
次に、仕上すすぎステップについて、図20を用いて具体的に説明する。
循環すすぎステップを行った後、図20に示すように、制御盤18は仕上すすぎポンプ50を駆動する。このとき切替板124は、循環すすぎタンク80側に傾けたままである。
仕上すすぎポンプ50は、仕上すすぎタンク40の吸引口48から第1の仕上すすぎ配管51aを通じて清水を吸込んで、第2の仕上すすぎ配管51bおよび第3の仕上すすぎ配管51cから嵌入部である接続部52aと回転軸部52bとを通じて、仕上すすぎ上ノズル53から所定の温度の清水を所定の時間、例えば4秒間噴射する。
また、第2の仕上すすぎ配管51bから水平方向に分岐した第4の仕上すすぎ配管51dを通り、仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の洗浄水を所定の時間、例えば約4秒間、食器に向けて噴射する。仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54からの洗浄水の噴射により、例えば約4秒間で合計約1リットルの所定の温度の清水を食器に噴射し、本洗浄ステップおよび循環すすぎステップで食器に付着した洗浄水を洗い流す仕上すすぎを行う。なお、仕上すすぎステップで噴射する清水の量は、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水と同量、または同量よりも多い量である。つまり、少なくとも同量の清水を用いる。
仕上すすぎで清水を噴射する仕上すすぎ上ノズル53と仕上すすぎ下ノズル54とは、所定の角度θ1、θ3を有した状態で本洗浄上ノズル72と本洗浄下ノズル73とに固定し、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から清水を噴射して回転させ、ラックRに収納した食器の仕上すすぎを行う。
このとき、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水は循環すすぎステップにより所定の量だけ本洗浄タンク60に移動しており、満水の水位よりも低い水位となっている。そして、仕上すすぎステップにより、所定の量だけ満水の水位よりも低い水位である循環すすぎタンク80に、少なくとも所定の量の洗浄水と同量の清水を落下流動させることで、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水よりも清浄度の高い清水を混ぜ合わせて、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の清浄度を高めることができる。
満水となった循環すすぎタンク80に、さらに清水が落下流動することにより、循環すすぎタンク80の水位は、満水の水位を越える。そして、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の水位は、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が流出開口87から流動管25を通じて本洗浄タンク60に有する流入開口69へと流動する所定の水位となり、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水は本洗浄タンク60へと流動する。
このとき、すでに循環すすぎステップにおいて本洗浄タンク60に貯水する洗浄水は満水となっているため、流動管25を通じて本洗浄タンク60へと流動した洗浄水は本洗浄タンク60に貯水する洗浄水に混ざり合い、本洗浄タンク60に有する開口(符号なし)からオーバーフロー配管61を通じてオーバーフローする。
そして、本洗浄タンク60に有する開口からオーバーフロー配管61を通じてオーバーフローする洗浄水は、洗浄水の水面付近に浮かぶ油分や残菜等とともに排水されるため、本洗浄タンク60の清浄度を高めることができる。
また、循環すすぎタンク80から本洗浄タンク60へと流動する洗浄水は、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水よりも清浄度が高いため、混ぜ合わせることによって、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の清浄度をさらに高めることができる。
仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から所定の温度の清水を所定の時間だけ食器に向けて噴射した後には、仕上すすぎポンプ50を停止して、次のステップである再洗浄準備ステップへと移行する。
このように仕上すすぎステップでは、食器に付着していた汚れや油分、残菜等が混ざっていない清水を仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から噴射して、食器を洗浄する。つまり、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水よりも清浄度が高い清水により、本洗浄ステップおよび循環すすぎステップで食器に付着した洗浄水を洗い流すことができ、食器の洗浄性を向上させることができる。
本実施形態の仕上すすぎステップにおいては、仕上すすぎタンク40の満水センサ46は、仕上すすぎタンク40に貯水する清水の減少を検知した際に制御部18へと信号を送り、制御部18からの信号により給水部41の開閉弁42を開けて仕上すすぎタンク40に清水を供給する。これにより、仕上すすぎステップの次に行う再洗浄準備ステップの時間を短縮することができる。再洗浄準備ステップについては、後述する。
また、仕上すすぎ系統(仕上すすぎ配管51a、51b、51c、51d、仕上すすぎポンプ50、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54)と、本洗浄系統(本洗浄配管71a、71b、71c、71d、71e、本洗浄ポンプ70、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73)と、循環すすぎ系統(循環すすぎ配管91a、91b、91c、91d、91e、91f、91g、循環すすぎポンプ90、循環すすぎ上ノズル93および循環すすぎ下ノズル94)とは、異なる配管系統により構成している。
これにより、清水は清浄度の低い洗浄水に接触することなく、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の清浄度を保った状態で食器に清水を噴射して仕上すすぎを行うことができ、食器の洗浄性を向上させることができる。加えて、本洗浄系統を流動する洗浄水の洗剤の濃度を低下させることがない。
そして、仕上すすぎポンプ50が停止し、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54からの洗浄水の噴射が止まった後に、制御盤18から鳴る警告音とともに、制御盤18から送る信号により扉部11を開け、作業者が洗浄室30に収容されたラックRを取り出す。
なお、本洗浄ステップで、食器に付着した汚れが軽微である場合、仕上すすぎステップで清水を噴射する時間を本実施形態で例示した時間よりも短くしてもよい。つまり、排水ステップで本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の排水量が少なくてよい場合には、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水となる時間だけ、仕上すすぎステップを行うのが好ましい。これにより、食器の洗浄に使用する水量を減らしつつ、洗浄時間を短縮することができる。
なお、仕上すすぎ上ノズル53のノズルチップ56から清水を噴射するとき、洗浄室30の天井である上面板部13の下面に向けて清水を噴射する。これにより、上面板部13の下面に付着した洗浄水等を洗い流すことができるが、上面板部13の下面は洗浄装置1の正面側から背面側に向けて下降傾斜していてもよい。
その場合、正面側から背面側に向けて下降傾斜させることにより、上面板部13の下面に付着した清水等を集水部110へと落下流動させることができる。これにより、ラックRに収納した複数の食器に、上面板部13の下面に付着した洗浄水等および清水が垂れ落ちることを抑制することができる。
(再洗浄準備ステップ)
次に、再洗浄準備ステップについて、図21を用いて具体的に説明する。
前述したように、仕上すすぎステップの間に満水センサ46により仕上すすぎタンク40に貯水した清水が減少したと検知された際には、仕上すすぎタンク40に清水の供給が開始される。そして、仕上すすぎタンク40が満水となるまで清水を供給し、満水となった後に仕上すすぎタンク40に有する第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により、清水を所定の温度に加熱する。
このとき、仕上すすぎタンク40に清水を供給する給水部41が仕上すすぎタンク40の上部から清水を供給(図7(a)を参照)するので、清水が仕上すすぎタンク40へと落下流動する勢いで、仕上すすぎタンク40に貯水した清水が撹拌される。仕上すすぎタンク40に貯水した清水が撹拌されることにより、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の温度を略均一に、所定の温度にすることを促進することができる。
それとともに、本洗浄タンク60の温度センサ63により、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の温度を計測し、洗浄水の温度が所定の温度、例えば55〜70度Cに満たない場合は、第3の加熱手段62により本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱する。
また、循環すすぎタンク80の温度センサ83により、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度を計測し、洗浄水の温度が所定の温度、例えば60〜85度Cに満たない場合は、第4の加熱手段81により循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱する。
なお、このときすでに、仕上すすぎタンク40に貯水した清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水とが満水であり所定の温度であるときは、仕上すすぎタンク40に貯水した清水は第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により所定の温度に保温される。また、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は第3の加熱手段62により、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水は第4の加熱手段81により、所定の温度に保温される。
作業者が、次に洗浄する食器を収納したラックRを洗浄室30内へ収容して洗浄開始ボタンを押すと、制御部18からの信号により扉部11を鉛直方向に下降させ、扉部11を閉めた状態とする。そして、仕上すすぎタンク40に貯水した清水と本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水が満水で所定の温度となった時点で、制御盤18は次のステップである本洗浄ステップを開始する。
なお、次の本洗浄ステップを行うかどうかが不明確である場合に、制御盤18に所定の時間を入力することで、第1の加熱手段44、第2の加熱手段45、第3の加熱手段62、第4の加熱手段81が所定の時間を経過したとき停止するように制御することができる。
また、制御盤18に所定の時間を入力せずとも、所定の時間だけ保温された場合は、第1の加熱手段44、第2の加熱手段45、第3の加熱手段62、第4の加熱手段81を停止するように設定することができ、使用する電力量を削減することができる。
(清掃ステップ)
次に、清掃ステップについて具体的に説明する。
食器の洗浄を行う予定が長時間ない場合、仕上すすぎステップで食器を収納したラックRを取出した後に、扉部11を開けた状態で制御盤18を操作して、制御盤18から送る信号により本洗浄タンク60の排水弁68b、および循環すすぎタンク80の排水弁86bを開け、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水、および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水、および洗浄水内に貯まった、食器に付着していた汚れや油分、残菜等を、排水配管68c、86cを通じて排水する。
本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80から排水した洗浄水と、排出された汚れや油分、残菜等は、残菜篭132のパンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等と、洗浄水や油分、パンチングプレートの目よりも小さな汚れ、残菜等とに分離される。
分離された洗浄水や油分、汚れ、残菜等は、排水受け133に一時的に貯水された後に排水受け133の排水口134から設備側の排水溝へと排水される。また、パンチングプレートの目よりも大きな汚れや残菜等は、残菜篭132のパンチングプレートの上に捕集される。
そして、洗浄室30内の着脱自在な部材、例えば、一体となるよう構成しているラック支持部37と水返板部100と循環すすぎ下ノズル94、仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54、本洗浄上ノズル72および本洗浄下ノズル73、集水部110、切替板124を取り外し、さらに本洗浄タンク60のストレーナ65、および循環すすぎタンク80のストレーナ84を取り外してシンク等の清掃できる場所へと移動させ、それぞれの部材を清掃する。
次に、仕上すすぎタンク40の排水弁49cを開き、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を排水する。
なお、仕上すすぎタンク40に貯水した清水は、食器に付着した汚れや油分、残菜等と接触していないため清浄度が高い。そのため、容器等に貯めておき、洗浄装置1の清掃に使用してもよい。そうすることにより、洗浄装置1の清掃に使用する水の使用量を減らすことができる。
また、仕上すすぎタンク40に貯水した清水は、清浄度が高いので排水せず、次回の食器の洗浄に使用してもよい。
本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80から洗浄水を排水した後に、ブラシ等により洗浄室30や本洗浄タンク60、循環すすぎタンク80、洗浄装置1の外面に付着した汚れを落とし、設備側から供給した清水をホース等で散水することにより洗い流す。
洗い流した後、残菜篭132を支持部131から取外して、残菜篭132に捕集された残菜等を廃棄する。そして、残菜篭132をシンク等で清掃し、排水受け133をホース等で散水することにより洗い流す。
着脱自在な部材や残菜篭132に付着した水分を除去して再び洗浄装置1へ取り付け、次回に洗浄装置1を使用するための運転準備ステップに備える。
なお、清掃ステップで、仕上すすぎタンク40に貯水された清水を排水する際には手動による排水弁49cを開ける。この仕上すすぎタンク40から排水する排水弁49cは、制御盤18により開閉が制御される弁、例えば電動弁としてもよい。その場合、清掃ステップでは制御盤18を操作するだけで仕上すすぎタンク40に貯水した清水を排水することができる。
(洗浄装置による食器の洗浄サイクルの繰り返しについて)
次に、洗浄装置1による食器の洗浄サイクルの繰り返しについて説明する。
本洗浄ステップ、排水ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップ、再洗浄準備ステップの5つのステップは、ラックRを入れ替えて、繰り返し食器を洗浄することができる洗浄サイクルを形成する。この洗浄サイクルに用いる洗浄水および清水は、本洗浄タンク60に貯水している洗浄水、循環すすぎタンク80に貯水している洗浄水、仕上すすぎタンク40に貯水している清水、の順に清浄度が高くなっている。以下に洗浄サイクルを繰り返すことについて説明する。
本洗浄ステップについて洗浄サイクルを繰り返すことにより、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の清浄度は低下していく。そのため、複数回目の本洗浄ステップの後に行う排水ステップでは排水弁68bを開ける時間を変更し、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の排水量を調整してもよい。例えば、排水ステップで本洗浄タンク60から洗浄水を排水する所定の時間は、例えば0.5〜1秒としているが、1秒よりも長い時間としてもよい。
ただし、仕上すすぎステップおよび再洗浄準備ステップで仕上すすぎタンク40へと供給する清水の量は、排水ステップで本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量と少なくとも同量である。そのため、排水ステップで本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を多くすることにより、1回の洗浄サイクルに使用する清水の量が増えることとなる。
また、排水ステップで本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を多く排水することにより、仕上すすぎタンク40へと供給する清水の量が増え、その増えた量の清水を第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により加熱するためのエネルギーが必要となる。
そのため、排水ステップで本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量は、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の清浄度を高めつつ、可能な限り少ない量とするのがより好ましい。
循環すすぎステップについて、洗浄サイクルを繰り返すと、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の清浄度が低下する。そのため、少なくとも1回の洗浄サイクルを行った後には、循環すすぎタンク80に備える排水配管86cの排水弁86bを制御盤18からの信号により開き、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の量だけ排水する循環すすぎタンク排水ステップを、洗浄サイクルに備えてもよい。
これにより、複数回の洗浄サイクルにより清浄度の低下した循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の清浄度を向上させ、次回以降の洗浄サイクルで行う循環すすぎステップでの洗浄性を向上させることができる。
また、洗浄サイクルを繰り返すと、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水に含まれる洗剤の濃度が低下する。しかし、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水には、繰り返し行われた循環すすぎステップにより本洗浄ステップで食器に付着していた洗剤が含まれている。
そのため、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の量を満水とする際に、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させることにより、洗剤の含まれていない清水を本洗浄タンク60へと落下流動させるのに比較して、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の洗剤濃度が低下することを抑制することができる。
少なくとも1回の洗浄サイクルを行った後、洗浄室30内に汚れや残菜等がほとんど残っておらず、清掃ステップで洗浄室30内の清掃を行わなかった場合、または洗浄室30内の清掃を簡単に済ませた場合、次回に行う運転準備ステップでは、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を先ず循環すすぎタンク80へと流動落下させるのではなく、切替板124を本洗浄タンク60側へと傾けて、本洗浄タンク60へと所定の時間だけ落下流動させてもよい。
そして、仕上げすすぎタンク40に貯水した清水を仕上すすぎポンプ50により吸込んで吐出し、洗浄室30内で噴射させて、洗浄室30内の汚れや残菜等を洗い流し、集水部110および切替部120を介して本洗浄タンク60に備えるストレーナ65により捕集させて本洗浄タンク60へと貯水する。そして、所定の時間が経過した後に切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾け、循環すすぎタンク80へと落下流動させて貯水してもよい。
これにより、前回に行った洗浄サイクルで洗浄室30内に残った汚れや残菜等を清浄度の低下しやすい洗浄水を貯水する本洗浄タンク60のストレーナ65の内側に捕集させた後に、清浄度の高い清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させて貯水することができる。そして、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の清浄度の低下を抑制することができ、その運転準備ステップの後に行う洗浄サイクルでの洗浄性を向上させることができる。
なお、本実施形態では被洗浄物を食器として説明したが、被洗浄物は食器以外に、調理に使用した調理器具等であってもよい。
なお、ストレーナ65は本洗浄タンク60に設け、ストレーナ84は循環すすぎタンク80に設けているが、集水部110に1つのストレーナを設けてもよい。
その場合、洗浄装置1を構成する部材を少なくすることができるが、集水部110に設けた1つのストレーナに汚れや残菜等が溜まった状態で本洗浄ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップを行うことにより、洗浄水および清水が集水部110に設けた1つのストレーナに貯まった汚れや残菜等に接触した後に、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動する。そのため、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の清浄度は低下しやすくなるおそれがある。
そのため、本洗浄タンク60にストレーナ65、および循環すすぎタンク80にストレーナ84を設けることで、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動する洗浄水および清水の清浄度を制御し、清浄度を保つよう洗浄装置1の運転動作を行うことができる。そして、洗浄サイクルの繰り返しによる意図しない清浄度の低下を抑制することができる。
なお、仕上すすぎタンク40と、本洗浄タンク60および/または循環すすぎタンク80とを送水手段を介して配管により接続し、本洗浄タンク60および/または循環すすぎタンク80に洗浄水を貯水する場合に、仕上すすぎタンク40から直接本洗浄タンク60および/または循環すすぎタンク80に清水を流動させてもよい。
その場合、送水手段は仕上すすぎポンプ50、本洗浄ポンプ70、循環すすぎポンプ90を使用してもよいし、別途設けてもよい。そうすることにより、運転準備ステップにかかる時間を短縮することができる。
なお、本洗浄タンク60と循環すすぎタンク80とを、送水手段を介して配管により接続し、それぞれに貯水する洗浄水を流動させるように構成してもよい。
なお、ノズルから噴射して食器を洗浄する洗浄水または清水の水圧が不足する場合は、本洗浄系統、循環すすぎ系統、仕上すすぎ系統の少なくとも1つの系統に送水手段を直列に接続してもよい。また、水量が不足する場合は、本洗浄系統、循環すすぎ系統、仕上すすぎ系統の少なくとも1つの系統に送水手段を並列に接続してもよい。
なお、第1の加熱手段44、第2の加熱手段45、第3の加熱手段62、第4の加熱手段81は、電気式であっても、ガス式であっても構わない。洗浄装置1は、電気式である場合、配線やヒータ等を備え、ガス式である場合、ガスの供給管やバーナ、熱交換器、排気筒等を備えることとなる。
なお、本実施形態ではストレーナ65、84、および残菜篭132に用いる多孔板をパンチングプレートと記載したが、これは一例であり、さらに目の細かい樹脂製のフィルターや金属製の網等を用いてもよい。その場合、目が細かいため、樹脂製のフィルターや金属製の網等に残菜が付着し、清掃しにくくなるおそれがある。
なお、本洗浄タンク60の吸引口66に取付けられる整流板67は、仕上すすぎタンク40の吸引口48、または循環すすぎタンク80の吸引口85に取付けてもよい。
なお、仕上すすぎタンク40には、外部の給湯設備から湯を供給してもよい。
なお、仕上すすぎタンク40と仕上すすぎポンプ50と第1の仕上すすぎ配管51aとを設けず、外部の給湯設備から所定の温度の湯を第2の仕上すすぎ配管51bに供給し、供給されるときの水圧で仕上すすぎ上ノズル53および仕上すすぎ下ノズル54から清水を噴射させてもよい。その場合は、第2の仕上すすぎ配管51bの途中に開閉弁を設けて、湯の供給を制御する。
なお、清掃ステップで、洗浄室30や本洗浄タンク60、循環すすぎタンク80の汚れ具合が少ない場合は、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水のみを排水し、残菜篭132を支持部131から取り外して清掃するだけでもよい。
その場合、次の運転準備ステップでは、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を加熱手段により所定の温度に加熱し、仕上すすぎノズルから噴射して本洗浄タンク60を満水にし、仕上すすぎタンク40に清水が満水となるよう貯水して所定の温度に加熱するとともに、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄を加熱手段により所定の温度に加熱することで、運転準備ステップを終えることができる。これにより、本実施形態の運転準備ステップを行うのに比較して、本洗浄を開始するまでの時間を短くすることができる。
なお、本実施形態では、食器の洗浄を本洗浄ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップにより行ったが、食器に付着した汚れや油分、残菜等を洗い流すことができるのであれば、いずれかのステップを省いてもよい。そうすることにより、ラックRに収納した食器の洗浄時間を短縮することができる。
なお、仕上すすぎステップで食器に清水を噴射する時間を短くしても、仕上すすぎステップで清水を噴射して、本洗浄ステップおよび循環すすぎステップで食器に付着した洗浄水を洗い流せることができる場合、仕上すすぎステップで清水を噴射する所定の時間を短くしてもよい。
その場合、仕上すすぎステップでは、少なくとも循環すすぎタンク80を満水とする量、すなわち排水ステップで本洗浄タンク60から排水した洗浄水の量と少なくとも同量の清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させるだけでよい。これにより、食器の洗浄に使用する水量を減らして節水することができるうえに、洗浄時間を短縮することができる。
なお、各ステップとステップとの間に休止時間を設けてもよい。そうすることにより、洗浄室30内を落下流動する洗浄水を目的とする本洗浄タンク60、または落下流動する清水を目的とする循環すすぎタンク80へと所定の量だけ落下流動させ、各ステップで噴射する洗浄水および清水が混じりあって意図しないタンクへ落下流動することを抑制することができる。
なお、制御盤18は、各ステップを一括して設定するためのモードを備えていてもよい。それにより、本洗浄ステップ、排水ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップの時間や、洗浄水および清水の温度、洗浄水に混ぜ合わせる洗剤の供給量、仕上すすぎポンプ50、本洗浄ポンプ70、循環すすぎポンプ90の周波数をインバータ等により変更して回転数を制御し、吐出量を変更してもよい。
これにより、食器に付着した汚れや油分、残菜等の量および種類に応じて洗浄装置1の設定を一括して変更することができ、より食器に応じた洗浄を行って、食器の洗浄性を向上させることができる。
以上のように、本実施形態に係る洗浄方法、および洗浄装置によれば、使用する水量を削減しつつ、繰り返し行う洗浄サイクルでの洗浄性の低下を抑制することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、説明する。
本発明の実施形態2では、実施形態1に記載した洗浄装置1の細かな制御および制御方法の変更について記載する。なお、洗浄装置1の運転動作は実施形態2に記載している部分を除いて実施形態1と同一である。また、洗浄装置1の構成については、実施形態1に記載した洗浄装置1と同一であるので省略する。
(加熱手段の制御方法)
まず、仕上すすぎタンク40の第1の加熱手段44および第2の加熱手段45と、本洗浄タンク60の第3の加熱手段62と、循環すすぎタンク80の第4の加熱手段81とについての制御方法を、図5を用いて具体的に説明する。
仕上すすぎタンク40に貯水した清水の温度を測定する温度センサ47と、清水を加熱する第1の加熱手段44および第2の加熱手段45とは、制御盤18と電気的に接続されている。そして、第1の加熱手段44および第2の加熱手段45による加熱量(操作量)は、温度センサ47により測定した現在の清水の温度(測定値)と、制御盤18にあらかじめ入力した仕上すすぎタンク40に貯水した清水の所定の温度(目標値)とに基づいてPID制御されている。
また、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の温度を測定する温度センサ64と、洗浄水を加熱する第3の加熱手段62とは、制御盤18と電気的に接続されている。そして、第3の加熱手段62による加熱量(操作量)は、温度センサ64により測定した現在の洗浄水の温度(測定値)と、制御盤18にあらかじめ入力した本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の所定の温度(目標値)とに基づいてオンオフ制御されている。
また、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度を測定する温度センサ83と、洗浄水を加熱する第4の加熱手段81とは、制御盤18と電気的に接続されている。そして、第4の加熱手段81による加熱量(操作量)は、温度センサ83により測定した現在の洗浄水の温度(測定値)と、制御盤18にあらかじめ入力した循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の所定の温度(目標値)とに基づいてオンオフ制御されている。
本洗浄タンク60の第3の加熱手段62と、循環すすぎタンク80の第4の加熱手段81とは、そのオンオフ制御において、温度センサ64、83により検知した温度のオフセットの補正、温度変化に対するゲインの補正、ヒステリシスに対応するための温度変化の感度設定等を変更できるよう設定されている。
なお、仕上すすぎタンク40の第1の加熱手段44および第2の加熱手段45は、オンオフ制御としてもよい。しかしながら、仕上すすぎタンク40に貯水した清水は、隣接または接触した本洗浄タンク60と循環すすぎタンク80とに貯水した洗浄水の温度の影響を受けやすい。
その影響を受けやすい清水に対して第1の加熱手段44および第2の加熱手段45の加熱量を制御し、より早く正確に所定の温度に近付ける、または所定の温度に保つことについては、オンオフ制御に比較してPID制御の方がより適している。そのため、仕上すすぎタンク40の第1の加熱手段44および第2の加熱手段45の制御は、PID制御とするのが好ましい。
なお、本洗浄タンク60の第3の加熱手段62、および/または循環すすぎタンク80の第4の加熱手段81の制御は、PID制御としてもよい。しかしながら、本洗浄ステップと循環すすぎステップとで、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水には、洗浄した食器に付着していた残菜等が混じりやすい。
その残菜等が混じりやすい洗浄水の温度制御にPID制御を用いたとしても、洗浄水に混じりあった残菜等の影響により、制御盤18にあらかじめ入力した所定の温度に、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度を保温し続けるのは困難となる。そのため、本洗浄タンク60の第3の加熱手段62、および循環すすぎタンク80の第4の加熱手段81の制御は、より単純なオンオフ制御とするのが好ましい。
(本洗浄ステップと循環すすぎステップと仕上すすぎステップにおけるポンプの駆動時間の設定)
次に、本洗浄ステップでの本洗浄ポンプ70の駆動時間と、循環すすぎステップでの循環すすぎポンプ90の駆動時間と、仕上すすぎステップでの仕上すすぎポンプ50の駆動時間とを設定することについて、図5を用いて具体的に説明する。
前述の特許文献1に記載された食器洗浄機は、食器に付着していた汚れや油分、残菜等を洗い流す予備洗浄では、食器を洗浄した洗浄水をそのまま排出している。食器に付着した汚れや油分、残菜等が強固で洗い流しにくい場合、予備洗浄の時間を長くする、または予備洗浄で食器を洗浄する洗浄水の流量を増やすことにより対応することができる。その場合、予備洗浄の時間を長くした分だけ、または予備洗浄で食器を洗浄する洗浄水の流量を増やした分だけ、食器の洗浄に使用する水量を増大させてしまうという課題がある。
使用水量を増やすことなく、食器の洗浄性を向上させることができる洗浄装置、および洗浄方法を提供することを目的として、以下に説明する。
制御盤18は、簡易洗浄モードと標準洗浄モードと強力洗浄モードの3つ洗浄モードを有しており、それぞれのモードで、本洗浄ステップで本洗浄ポンプ70が駆動する時間と、循環すすぎステップで循環すすぎポンプ90が駆動する時間と、仕上すすぎステップで仕上すすぎポンプ50が駆動する時間とを設定することができる。
つまり、本洗浄ステップで本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を吸込んで吐出し、洗浄室30内で本洗浄ノズル72、73から食器に向けて噴射する時間と、循環すすぎステップで循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を吸込んで吐出し、洗浄室30内で循環すすぎノズル93、94から食器に向けて噴射する時間と、仕上すすぎステップで仕上すすぎタンク40に貯水した清水を吸込んで吐出し、洗浄室30内で仕上すすぎノズル53、54から食器に向けて噴射する時間とを、それぞれのモードで設定することができる。
例えば、簡易洗浄モードでは、本洗浄ステップで本洗浄ポンプ70が駆動する時間を30秒間、循環すすぎステップで循環すすぎポンプ90が駆動する時間を4秒間、仕上すすぎステップで仕上すすぎポンプ50が駆動する時間を4秒間と設定する。そして、例えば、標準洗浄モードでは、本発明の実施形態1に例示したように、本洗浄ステップで本洗浄ポンプ70が駆動する時間を40秒間、循環すすぎステップで循環すすぎポンプ90が駆動する時間を5秒間、仕上すすぎステップで仕上すすぎポンプ50が駆動する時間を4秒間と設定する。さらに、例えば、強力洗浄モードでは、本洗浄ステップで本洗浄ポンプ70が駆動する時間を150秒間、循環すすぎステップで循環すすぎポンプ90が駆動する時間を60秒間、仕上すすぎステップで仕上すすぎポンプ50が駆動する時間を4秒間と設定する。
これにより、1回の洗浄サイクルで使用する水量は仕上すすぎステップで仕上すすぎポンプ50が駆動する時間に比例するが、この時間を変えなくとも、本洗浄ステップで本洗浄ポンプ70が駆動する時間と、循環すすぎステップで循環すすぎポンプ90が駆動する時間とを長くすることにより、食器の洗浄性を向上させることができる。つまり、使用水量を増やすことなく、食器の洗浄性を向上させることができる。
また、運転準備ステップで食器を収納したラックRを洗浄室30に収容するとき、制御盤18を操作して洗浄モードを選択し、食器の汚れ具合に合わせた洗浄を行うことができる。
なお、簡易洗浄モードと、標準洗浄モードと、強力洗浄モードとで、仕上すすぎステップでの仕上すすぎポンプ50が駆動する時間を設定することができるようにしてもよい。その場合、仕上すすぎポンプ50の駆動時間を短くすることにより、洗浄サイクルで使用する洗浄水の使用量を減らすことができる。また、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の洗剤濃度を高くした場合、仕上すすぎステップでの仕上すすぎポンプ50の駆動時間を長くすることにより、食器に付着した洗剤成分等を洗い流すことができる。
なお、本実施形態では制御盤18に有するモードを、簡易洗浄モードと標準洗浄モードと強力洗浄モードとの3つモードにて説明したが、2つまたは4つ以上としてもよい。
(扉部を開くときの自動と手動の切替の設定)
次に、洗浄装置1の扉部11の自動開閉の設定について、図1、図3を用いて具体的に説明する。
制御盤18により、扉部11の開閉を扉部開閉手段31、32、33、34、35、36により行う自動開閉と、作業者の手による開閉を行う手動開閉と、のどちらかを選択して設定することができる。
これにより、万が一、駆動手段33等が不具合により動作しなくなった場合、扉部開閉手段31、32、33、34、35、36により扉部11を閉じるのを止めて、作業者の手により扉部11を閉じることができる。もちろん、扉部11を開けるときも、作業者の手により扉部11を開けることができる。
扉部11を手動で開閉するように設定するために、洗浄室30内で清水や洗浄水が噴射されている間に誤って開けることがないよう、前述したように扉部11を閉めた状態でロックするロック機構(図示なし)を備えることが好ましい。
(運転準備ステップにおける洗浄待機モードの設定)
前述の特許文献1に記載された食器洗浄機は、食器洗浄機の外部に設置した給湯源から湯を供給し、供給した湯を食器に噴射することにより洗浄している。そのため、給湯源により湯を加熱し、食器洗浄機による食器の洗浄を開始するまでの間、給湯源が湯を高い温度に保温し続けるためのエネルギーが必要であるという課題がある。
食器を洗浄していないとき、食器の洗浄に使用する洗浄水の保温のためのエネルギーの節約と、洗浄装置を設置した施設の空調負荷を低減することと、ができる洗浄装置、および洗浄方法を提供することを目的として、以下に説明する。
運転準備ステップにおいて、扉部11を鉛直方向の下方に閉めた状態で、図5に示す仕上すすぎタンク40に貯水した清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水とがそれぞれ満水である水位となり、所定の温度となった後には、洗浄装置1は扉部11を鉛直方向の上方に開けた状態となる。この状態で所定の時間、例えば10分経過すると、制御盤18は洗浄待機モードに移行するよう制御を行う。
洗浄待機モードでは、仕上すすぎタンク40に貯水された清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水された洗浄水とのそれぞれの温度を、あらかじめ制御盤18を操作して個々に設定した最低維持温度まで低下することを許容した状態で保温して待機する。例えば、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の最低維持温度を30度C、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の最低維持温度を25度C、循環すすぎタンク80に貯水した清水の最低維持温度を28度Cに設定する。そして、仕上すすぎタンク40に貯水した清水の温度と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度とが、それぞれの最低維持温度まで低下することを許容した状態で保温して待機する。
これにより、本洗浄ステップへと移るまでの時間が長時間となる場合に、仕上すすぎタンク40に貯水した清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水とを、食器の洗浄(本洗浄と循環すすぎと仕上すすぎ)を始めるときに必要とする所定の温度に保温する必要がなくなり、保温しておくための加熱エネルギーを節約することができる。
さらに、仕上すすぎタンク40に貯水した清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水とが、洗浄装置1を設置した施設内の室温を上昇させることを抑制し、施設の空調負荷を低減することができる。
食器の洗浄を開始するときには、食器を収納したラックRを洗浄室30に収容して洗浄開始ボタンを押し、扉部11開閉手段により扉部11を鉛直方向に下降させて、扉部11を閉めた状態とする。第1の加熱手段44および第2の加熱手段45により仕上すすぎタンク40に貯水した清水を所定の温度に加熱し、第3の加熱手段62により本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を所定の温度に加熱し、第4の加熱手段81により循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を所定の温度まで加熱して、本洗浄ステップを開始する。
これにより、食器を洗浄していないとき、つまり、食器の洗浄を待機しているとき、食器の洗浄に使用する洗浄水の保温のためのエネルギーを節約することができる。
さらに、仕上すすぎステップで仕上げすすぎが終了し、作業者が洗浄室30に収容されたラックRを取り出した後に行う再洗浄準備ステップにおいても、洗浄待機モードに移行するよう設定してもよい。
なお、運転準備ステップで扉部11を鉛直方向の上方に開けた状態となった後に、制御盤18が洗浄待機モードに移行するまでの所定の時間は、制御盤18を操作することにより変更することができる。
なお、洗浄待機モードに移行するまでの間は扉部11を開けた状態とするよう説明したが、制御盤18を操作して、扉部11を閉めた状態でも洗浄待機モードに移行できるよう構成してもよい。これにより、扉部11を開けた状態で洗浄室30から流入する外気により、洗浄室30の下方に有する本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度が低下することを抑制することができる。そして、仕上すすぎタンク40に貯水した清水と、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水とを保温しておくための加熱エネルギーを、より節約することができる。
なお、扉部11を閉めた状態でも洗浄待機モードに移行できるよう設定した場合、洗浄待機モード中に本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を本洗浄ポンプ70により吸込んで吐出し、洗浄室30内で本洗浄ノズル72、73から噴射して、集水部110および切替部120を介して本洗浄タンク60へと落下流動させてもよい。または、洗浄待機モード中に循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出し、洗浄室30内で循環すすぎノズル93、94から噴射して、集水部110および切替部120を介して循環すすぎタンク80へと落下流動させてもよい。
これにより、洗浄待機モード中に洗浄室30内および洗浄室30内の部材を洗浄待機モードにおける洗浄水の流動落下により、昇温することができる。このようにして、開始される本洗浄ステップで、洗浄室30に収容するラックRに収納した食器を可能な限り早く昇温して、食器に付着した汚れを流し落しやすくし、洗浄性を高めることができる。
さらに、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80へと落下流動する洗浄水により、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を攪拌し、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水の温度むらを少なくすることができる。そして、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80に貯水した温度むらの少なくなった洗浄水で食器を洗浄することにより、効果的に食器を洗浄することができる。また、本洗浄タンク60または循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を撹拌することにより、洗浄水の加熱効率を向上させることができる。
(循環すすぎステップにおける切替板を傾けるタイミングの設定)
次に、循環すすぎステップにおける切替板124の傾きの切り替えに関する制御方法の変更について、図19を用いて具体的に説明する。
前述の特許文献1に記載された食器洗浄機は、食器に付着していた汚れや油分、残菜等を洗い流す予備洗浄の際、食器を洗浄した洗浄水をそのまま排出している。食器に付着した汚れや油分、残菜等が強固で洗い流しにくい場合、予備洗浄の時間を長くする、または予備洗浄で食器を洗浄する洗浄水の流量を増やすことにより対応することができる。その場合、予備洗浄の時間を長くした分だけ、または予備洗浄で食器を洗浄する洗浄水の流量を増やした分だけ、食器の洗浄に使用する水量を増大させてしまうという課題がある。
使用水量を大きく増やすことなく、食器の洗浄性を向上させることができる洗浄装置、および洗浄方法を提供することを目的として、以下に説明する。
実施形態1では、図18に示すように、循環すすぎステップを開始するとき、切替板124は本洗浄タンク60側に傾けたままとしている。そして、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出し、洗浄室30内で食器に向けて循環すすぎノズル93、94から噴射することにより、洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させて、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水を満水となる水位まで貯水する。本洗浄タンク60に貯水する洗浄水が満水である水位まで貯水されると、満水センサ63が制御盤18へと信号を送り、制御盤18がそれを受けて切替部120の駆動手段122を駆動させて切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾ける。
実施形態2では、排水ステップが終了した後に行う循環すすぎステップにおいて、循環すすぎポンプ90の駆動開始から制御盤18であらかじめ設定した所定の時間が経過したタイミングで、図19に示すように切替板124を本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾ける。
例えば、循環すすぎステップで、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水である水位より低い水位のタイミングで、切替板124を本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾けた場合、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は満水である水位より低い水位のまま、循環すすぎステップが終了する。
循環すすぎステップの次に行う仕上すすぎステップにより、洗浄室30内で仕上すすぎノズル53、54から食器に向けて噴射した清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させる。満水となった循環すすぎタンク80からは、流動管25を介して本洗浄タンク60へと洗浄水が流動する。
このとき、循環すすぎステップで本洗浄タンク60へと落下流動させる洗浄水に比較して、より清浄度の高い清水の混ざり込んだ洗浄水を、循環すすぎタンク80から流動管25を介して本洗浄タンク60へと流動させる。これにより、実施形態1に比較して、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の清浄度を効果的に高めることができる。
また、例えば、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が満水である水位となった後、所定の量の洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させたタイミングで、切替板124を本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾けた場合、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は満水である水位を越えて貯水される。そして、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の水面付近に浮かぶ油分や残菜等とともに、開口からオーバーフロー配管61を通じて排出される。これにより、本洗浄タンク60の清浄度を高めることができる。
このとき、循環すすぎステップで本洗浄タンク60が満水である水位を越えて洗浄水を貯水し、オーバーフロー配管61を通じて本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排出させているので、循環すすぎステップが終了したときの循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水は、実施形態1のときに比較して少ない量となっている。
そして、循環すすぎステップの次に行う仕上すすぎステップで、実施形態1と同量である清水を循環すすぎタンク80へと落下流動させる。このとき、実施形態1に比較して、流動管25を通じて循環すすぎタンク80から本洗浄タンク60へと流動する洗浄水の量を少なくし、循環すすぎタンク80に落下流動した清浄度の高い清水をより多く貯水することができる。そして、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の清浄度を効果的に高めることができる。
(仕上すすぎステップにおける切替板の傾け動作の設定)
次に、仕上すすぎステップにおける切替板124の傾きの切り替えに関する制御方法の変更について、図20を用いて具体的に説明する。
実施形態1の仕上すすぎステップでは、仕上すすぎステップを開始してから終了するまで、切替板124は循環すすぎタンク80側に傾けたままとしている。実施形態2の仕上すすぎステップでは、仕上すすぎポンプ50の駆動開始から、制御盤18であらかじめ設定した時間が経過したタイミングで、切替板124を循環すすぎタンク80側から本洗浄タンク60側へと傾けることと、本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾けることとが可能となるよう制御する。
例えば、切替板124を循環すすぎタンク80側から本洗浄タンク60側へと傾けるタイミングを、仕上すすぎステップで循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水を満水とした後とする。
そして、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を仕上すすぎポンプ50により吸込んで吐出し、洗浄室30内で仕上すすぎノズル53、54から噴射する。噴射された清水は本洗浄タンク60へと落下流動し、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水へと混ざり込む。これにより、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水の清浄度を向上させることができる。
そして、仕上すすぎステップが終了した後に、切替板124を本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾ける。
(各種の回数等の積算)
次に、洗浄装置1の動作において制御盤18にて行う、各種の回数等の積算について、図1を用いて具体的に説明する。
洗浄装置1は制御盤18と各機器とを電気的に接続しているため、各ステップが行われた回数や各機器の駆動の回数を数え、記録している。具体的に記載すれば、例えば、前回に回数を初期化した時を基点として現在まで、本洗浄ステップから仕上すすぎステップまでが行われた回数等である。
このように、本洗浄ステップから仕上すすぎステップまでが行われた回数等を記録することにより、制御盤18の表示部のディスプレイにて確認することができる。また、洗浄装置1の制御盤18をインターネット等の通信ネットワークに接続している場合は、洗浄装置1の制御盤18からホストコンピュータへと回数を送信させ、ホストコンピュータからそれらの回数のデータを閲覧することが可能である。
また、各洗浄装置1の制御盤18がインターネット等の通信ネットワークに接続していない場合は、洗浄装置1のメンテナンスを行う際に、その回数を記録媒体に記録し、コンピュータ等に読み込ませることより閲覧することが可能である。
これにより、各洗浄装置1の状態を予見して、その回数をもとにメンテナンスを行う時期を決定し、洗浄装置1の故障を抑制することができる。
なお、記録する回数は、本洗浄ステップから仕上すすぎステップまでが行われた回数に限らず、例えば仕上すすぎタンク40の給水部41の開閉弁42の開閉回数や、切替板124の傾きを変更する駆動手段122の駆動回数、扉部11の開閉回数、排水ステップでの排水弁49cの開閉回数、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水や仕上すすぎタンク40に貯水した清水の温度履歴等を記録することも可能である。
なお、記録するものは回数に限らず、各部材の駆動や作動をした時間の長さを記録してもよく、例えば、運転準備ステップ、本洗浄ステップ、排水ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップ、それぞれを行った時間の累計等を記録することも可能である。
なお、各種の回数の積算や時間の記録は、制御盤18の操作またはインターネット等の通信ネットワークを通じた指示により初期化が可能である。初期化は、制御盤18内部に有する記憶部(図示なし)の記憶容量の残量が減少し、新たな記憶が困難となった場合等に行う。記憶部は制御盤18に内蔵した固定式の記憶媒体でもよいし、制御盤18から着脱可能とした記憶媒体としてもよい。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について、図16、図18を用いて説明する。
本発明の実施形態3では、実施形態1に記載した洗浄装置1で行う排水ステップの開始と終了のタイミングについて、実施形態1と異なるタイミングで行う場合について記載する。なお、洗浄装置1の運転動作は実施形態3に記載している部分を除いて実施形態1と同一である。また、洗浄装置1の構成については、実施形態1に記載した洗浄装置1と同一であるので省略する。
(排水ステップの開始と終了のタイミングの変更)
排水ステップの開始と終了のタイミングは、制御盤18を操作することにより設定することができる。排水ステップの開始は、本洗浄ステップの開始から制御盤18であらかじめ設定した所定の時間が経過したタイミングで行う。また、排水ステップの終了は、排水ステップの開始から制御盤18であらかじめ設定した所定の時間、例えば0.5〜1.0秒が経過したタイミングで行う。
まず、排水ステップの開始のタイミングを、本洗浄ステップの開始から終了までの間とした場合について説明する。
本洗浄ステップで、図16に示す状態である本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を本洗浄ポンプ70により吸込んで吐出し、洗浄室30内で本洗浄ノズル72、73から所定の時間、食器に向けて洗浄水を噴射する間に、本洗浄タンク60の排水弁68bを所定の時間だけ開けて、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水する。これにより、洗浄室30内で本洗浄ノズル72、73から洗浄水を噴射した状態で、ストレーナ65の内側に貯まった汚れや残菜等を本洗浄タンク60から洗浄水とともに排出することができる。
また、洗浄室30から集水部110および切替部120を介して本洗浄タンク60へと落下流動する洗浄水と、本洗浄ポンプ70により吸込まれる洗浄水とにより、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は撹拌された状態となっている。これにより、実施形態1の排水ステップでは排出することが困難であった洗浄水より比重の小さい油分や残菜等を洗浄水に混ぜ合わせ、洗浄水とともに排出することができ、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の清浄度が低下することを抑制することができる。
さらに、1回の洗浄サイクルに使用する時間を短縮し、所定の時間内で行うことのできる洗浄サイクルの回数を増やして、食器を効率的に洗浄することができる。
次に、排水ステップの開始のタイミングと終了のタイミングを、循環すすぎステップの開始から終了までの間とした場合について説明する。
図18に示すように、循環すすぎステップで、切替板124を本洗浄タンク60側に傾けた状態で、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出し、洗浄室30内で循環すすぎノズル93、94から所定の時間、食器に向けて洗浄水を噴射する。洗浄室30内で噴射された洗浄水は、集水部110および切替部120を介して本洗浄タンク60へと落下流動し、本洗浄タンク60に貯水される。
このとき、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水は、排水ステップにより排水されていないため、略満水である水位となっている。
そして、満水である水位を検知した満水センサ63は制御盤18へと信号を送り、制御盤18がそれを受けて切替部120の駆動手段122を駆動させて切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾ける。
そして、切替板124を循環すすぎタンク80側へと傾けた後、洗浄室30内で循環すすぎノズル93、94から噴射して集水部110および切替部120を介して洗浄水を循環すすぎタンク80へと落下流動させて循環させ、食器の循環すすぎを行う。
このように行う循環すすぎステップの間に排水ステップを開始し、循環すすぎステップの開始から終了までの間に排水ステップを終了する。
排水ステップを開始から終了までの間に行う循環すすぎステップが終了した後、仕上すすぎステップを開始し、仕上すすぎタンク40に貯水する清水を仕上すすぎポンプ50により吸込んで吐出し、洗浄室30内で仕上すすぎノズル53、54から所定の時間、食器に向けて噴射する。食器に向けて噴射された清水は、集水部110および切替部120を介して循環すすぎタンク80へと落下流動し、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を満水まで貯水する。
そして、循環すすぎタンク80が満水となった後に、さらに循環すすぎタンク80へと流動する仕上げすすぎタンク40に貯水されていた清水は循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水と混ざり合い、流動管25を介して本洗浄タンク60へと流動し、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水を満水である水位まで貯水する。
これにより、循環すすぎステップを開始した後に切替板124を介して本洗浄タンク60への洗浄水の流動がない状態で本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水するため、本洗浄タンク60内で本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が沈静化した状態で、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水を排水することが可能となる。そして、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水が沈静化した状態であるため、ストレーナ65の内側で洗浄水内に混ざり込んだ本洗浄タンク60に貯水した洗浄水よりも比重の大きい残菜等を沈降させ、本洗浄タンク60に貯水した洗浄水よりも比重の大きい残菜等を効果的に排出することができる。これにより、本洗浄タンク60に貯水する洗浄水の清浄度が低下することを効果的に抑制することができる。
さらに、1回の洗浄サイクルに使用する時間を短縮し、所定の時間内で行うことのできる洗浄サイクルの回数を増やして、食器を効率的に洗浄することができる。
なお、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量は増やしてもよい。その場合、排水ステップの時間を長くすることにより、本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を増やすことができる。また、本洗浄タンク60の排水配管68cの口径を大きくすることで、より短時間に本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を増やすことも可能である。
排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量は、仕上すすぎステップで噴射する清水の量と同量、または仕上すすぎステップで噴射する清水の量よりも少ない。つまり、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量は、仕上すすぎステップで噴射する清水の量と比較して少なくとも同量(同量以下)である。
そのため、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を増やし、噴射する清水の量よりも多くなったときには、仕上すすぎステップで単位時間あたりに噴射する清水の量を増やす、または仕上すすぎステップで単位時間当たりで噴射する清水の量はそのままに、仕上ステップでの仕上すすぎポンプ50の駆動時間を長くするのが好ましい。
なお、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を増やすよう制御盤18で設定することにより、仕上すすぎタンク40に貯水した清水を吸込んで吐出する仕上すすぎポンプ50の駆動時間を長くするように、連動して自動的に設定されるようにしてもよい。
なお、仕上すすぎステップで仕上すすぎタンク40に貯水した清水を吸込んで吐出する仕上すすぎポンプ50の駆動時間を長くするよう制御盤18で設定することにより、排水ステップにより本洗浄タンク60から排水する洗浄水の量を増やすよう、連動して自動的に設定されるようにしてもよい。
(実施形態4)
(洗浄サイクルを構成するステップの構成変更について)
実施形態1では、1回の洗浄サイクルを本洗浄ステップ、排水ステップ、循環すすぎステップ、仕上すすぎステップ、再洗浄準備ステップの5つのステップにより構成したが、実施形態4では、1回の洗浄サイクルで、ステップの順番を組み替えて幾つかのステップを複数回行う。なお、洗浄装置1の運転動作は実施形態4に記載している部分を除いて実施形態1と同一である。また、洗浄装置1の構成については、実施形態1に記載した洗浄装置1と同一であるので省略する。
洗浄室30内に食器を収納したラックRを収容して扉部11を閉めた状態とし、運転準備ステップを終了した後、以下の順番で1回の洗浄サイクルを行う。
・第1の本洗浄ステップ
・排水ステップ
・第1の循環すすぎステップ
・第2の本洗浄ステップ
・第2の循環すすぎステップ
・仕上すすぎステップ
・再洗浄準備ステップ
第1の本洗浄ステップと排水ステップと第1の循環すすぎステップとは、実施形態1に記載した本洗浄ステップと排水ステップと循環すすぎステップと同様であるため、省略する。
第2の本洗浄ステップでは、切替板124を循環すすぎタンク80側から本洗浄タンク60側へと傾けて、実施形態1に記載した本洗浄ステップを再度行う。切替板124は、第2の本洗浄ステップが終了した後も本洗浄タンク60側に傾けたままとする。
そして、第2の循環すすぎステップとして、循環すすぎタンク80に貯水した洗浄水を循環すすぎポンプ90により吸込んで吐出し、洗浄室30内で循環すすぎノズル93、94から食器に向けて噴射する。そして、例えば、循環すすぎポンプ90が駆動を開始してから1秒の後に、切替板124を本洗浄タンク60側から循環すすぎタンク80側へと傾ける。
これにより、第2の本洗浄ステップにより洗浄室30内に残っていた清浄度の低い洗浄水を本洗浄タンク60へと落下流動させてから、循環すすぎタンク80へと落下流動させることができ、循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水の清浄度が低下することを抑制することができる。
循環すすぎタンク80側へと切替板124を傾けた後には、噴射された洗浄水は食器を洗浄し、集水部110および切替部120を介して循環すすぎタンク80へと落下流動し、所定の時間、洗浄水を循環させて食器を洗浄する。
第2の循環すすぎステップが終了した後、仕上すすぎステップと再洗浄準備ステップとを行うが、実施形態1に記載した仕上すすぎステップと再洗浄準備ステップと同様であるため、省略する。
このようにステップの順番を組み替えて幾つかのステップを複数回行うことにより、食器に所定の温度の洗浄水を噴射する時間が増加して、食器の洗浄性を向上させることができる。また、食器に所定の温度の洗浄水が接触する時間が増加して、食器を昇温し食器に付着した汚れが落としやすくなり、効果的に食器の洗浄を行うことができる。
また、第1の本洗浄ステップの後のみに排水ステップを行っているため、1回の洗浄サイクルで排水する洗浄水の量は実施形態1と略同量としつつ、食器の洗浄性を向上させることができる。そして、第1の本洗浄ステップで喫食に用いることにより汚れた食器に初めて接触する洗浄水を第2の本洗浄ステップの前に排水ステップにより所定量だけ排水し、第1の循環すすぎステップで循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水を本洗浄タンク60に落下流動させることにより、第2の本洗浄ステップで食器の洗浄に使用する洗浄水の清浄度の低下を抑制し、より効果的に食器を洗浄することができる。
なお、例示した洗浄サイクルのステップの構成に限定されず、各ステップをさらに組み替えることも可能である。また、喫食に用いられた食器に付着した汚れが強固である場合は、さらに第3の本洗浄ステップや、第3の循環すすぎステップ等を追加してもよい。
なお、本発明の洗浄装置1で、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53と、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54とは、回転ノズル口から噴射する洗浄水または清水の圧力により回転するが、駆動手段、例えばモータを設けて接続することにより、本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53と、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54を回転させてもよい。
その場合、モータにインバータを電気的に接続し、モータの運転周波数を周期的に変更することにより本洗浄上ノズル72および仕上すすぎ上ノズル53と、本洗浄下ノズル73および仕上すすぎ下ノズル54との回転速度を周期的に変更し、ラックRに収納した食器に対する噴射する洗浄水および清水の噴射範囲を変更して、多彩な洗浄に対応することができる。
また、本洗浄ステップおよび/または仕上げすすぎステップでは、それぞれのステップを開始する前に、本洗浄ノズル72、73および仕上げすすぎノズル53、54を回転させてもよい。その場合、本洗浄ノズル72、73および仕上げすすぎノズル53、54を回転させた後に、本洗浄ポンプ70、仕上げすすぎポンプ50を駆動させることにより、本洗浄ノズル72、73および仕上げすすぎノズル53、54から洗浄水または清水を噴射開始した直後から、ラックに収納した食器全体に、よりまんべんなく洗浄水または清水を噴射することが可能となる。
なお、本発明の洗浄装置1で、本洗浄ポンプ70と循環すすぎポンプ90と仕上すすぎポンプ50との、いずれか少なくとも1つのポンプにインバータを電気的に接続し、運転周波数を周期的に変更してもよい。その場合、本洗浄ステップと循環すすぎステップと仕上すすぎステップとの、いずれか少なくとも1つで、ラックRに収納した食器に対する噴射する洗浄水および清水の噴射範囲や圧力を変更して、多彩な洗浄に対応することができる。
なお、本発明の洗浄装置1により食器の洗浄を行っている間、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に貯水する洗浄水が満水よりも少ない量となったとき、水道等から清水を本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80へと供給する供給部を備えてはいないが、本洗浄タンク60および循環すすぎタンク80に水道等から清水を供給する供給部を備えていてもよい。