JP2019140185A - 絶縁ゲート型半導体素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】SiCを用いた絶縁ゲート型(MIS型)構造において、耐圧・信頼性を確保しつつ、SiCと絶縁膜の界面における界面準位を低減することができる絶縁ゲート型半導体素子を提供する。【解決手段】SiCからなる半導体基体11と、半導体基体11上に配置され、半導体基体11と接する絶縁性カーボン層12と、絶縁性カーボン層12上に配置され、絶縁性カーボン層12よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層13と、高耐圧絶縁層13上に配置された制御電極14とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、炭化ケイ素(SiC)を用いた絶縁ゲート型半導体素子及びその製造方法に関する。
従来、SiCを用いたMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)やMOSキャパシタ等の絶縁ゲート型半導体素子が知られている。MOSFETを例にとれば、熱酸化法又は堆積法によりSiC上にゲート絶縁膜としてのシリコン酸化膜(SiO2膜)を形成後、通常、一酸化窒素(NO)ガス又は亜酸化窒素(N2O)ガス雰囲気中でアニールすることにより、SiO2/SiC界面を窒化パッシベーションする場合が多い。
しかしながら、NO、N2Oも酸素を含むため、窒化パッシベーションの過程でSiO2/SiC界面が酸化し、炭素(C)含有生成物が生じることにより、界面準位密度(Dit)や界面近傍の酸化膜トラップ(NIT)等の界面準位を十分に低減することができない。したがって、チャネル移動度の向上が限定的である。
また、SiCからなる半導体層上にダイヤモンドからなるゲート絶縁膜を用いた絶縁ゲート型半導体素子が開示されている(特許文献1参照。)。また、半導体ダイヤモンド層上に絶縁性ダイヤモンド層を有する絶縁ゲート型半導体素子が開示されている(特許文献2参照。)。また、化合物半導体からなる半導体基板上にダイヤモンド層からなるゲート絶縁膜を形成した絶縁ゲート型半導体素子が提案されている(特許文献3参照。)。また、SiC基板上のゲート絶縁膜が、誘電率が酸化シリコンより大きい第一の絶縁膜と、禁制帯幅が第一の絶縁膜より大きい第二の絶縁膜を有する絶縁ゲート型半導体素子が提案されている(特許文献4参照。)。また、SiC基板上に、酸化防止膜及び酸化膜からなるゲート絶縁膜を形成した絶縁ゲート型半導体素子が提案されている(特許文献5参照。)。これらの特許文献1〜5に記載のゲート絶縁膜を用いた場合でも、耐圧・信頼性を確保しつつ、ゲート絶縁膜直下の界面準位を低減することは困難である。
J.ロバートソン(Robertson), 「ダイヤモンドライク・アモルファス・カーボン(Diamond-like amorphous carbon)」、マテリアルズ・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Materials Science and Engineering)、第37巻、2002年、 p.129-281
上記課題に鑑み、本発明は、SiCを用いた絶縁ゲート型(MIS型)半導体素子の構造において、耐圧・信頼性を確保しつつ、SiCと絶縁膜の界面における界面準位を低減することができる絶縁ゲート型半導体素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、(a)炭化ケイ素からなる半導体基体と、(b)半導体基体上に配置され、半導体基体と接する絶縁性カーボン層と、(c)絶縁性カーボン層上に配置され、絶縁性カーボン層よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層と、(d)高耐圧絶縁層上に配置された制御電極とを備える絶縁ゲート型半導体素子であることを要旨とする。
本発明の他の態様は、(a)炭化ケイ素からなる半導体基体上に、半導体基体と接する絶縁性カーボン層を形成する工程と、(b)絶縁性カーボン層上に、絶縁性カーボン層よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層を形成する工程と、(c)高耐圧絶縁層上に制御電極を形成する工程とを含む絶縁ゲート型半導体素子の製造方法であることを要旨とする。
本発明によれば、SiCを用いた絶縁ゲート型半導体素子の構造において、耐圧・信頼性を確保しつつ、SiCと絶縁膜の界面における界面準位を低減することができる絶縁ゲート型半導体素子及びその製造方法を提供することができる。
以下において、図面を参照して本発明の第1及び第2実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
以下の第1実施形態で例示するとおり、本明細書の「絶縁ゲート型半導体素子」はMOSキャパシタやMISキャパシタ等の受動素子を含む概念である。活性素子としては個別デバイス(ディスクリートデバイス)の他、半導体集積回路の要素素子としての半導体素子であっても構わない。活性素子の場合の絶縁ゲート型半導体素子の「第1主電極領域」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)においてはエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。又、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)においてはアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。「第2主電極領域」とは、FETやSITにおいては上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。IGBTにおいては上記第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる領域を意味する。SIサイリスタやGTOにおいては上記第1主電極領域とはならないアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる領域を意味する。このように、「第1主電極領域」がソース領域であれば、「第2主電極領域」はドレイン領域を意味する。「第1主電極領域」がエミッタ領域であれば、「第2主電極領域」はコレクタ領域を意味する。「第1主電極領域」がアノード領域であれば、「第2主電極領域」はカソード領域を意味する。バイアス関係を交換すれば、MISFET等の場合、「第1主電極領域」の機能と「第2主電極領域」の機能を交換可能である。更に、本明細書において単に「主電極領域」と記載する場合は、第1主電極領域又は第2主電極領域のいずれか一方を包括的に意味する。
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。また以下の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。また、「n」や「p」に付す「+」や「−」は、「+」及び「−」が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物密度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。但し、同じ「n」と「n」とが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物密度が厳密に同じであることを意味するものではない。
(第1実施形態)
<MISキャパシタ>
本発明の第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、図1に示すように、SiCからなる半導体基体11、半導体基体11の表面層上のキャパシタ絶縁膜(12,13)、キャパシタ絶縁膜(12,13)上の制御電極14を備えるMISキャパシタである。第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の半導体基体11は、第1導電型(n型)のSiCからなる単層の半導体基板(SiC基板)であるので、「半導体基体11の表面層」もSiC基板自体である。後述する第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のように、半導体基体が複合層からなる場合は「表面層」とその下層の半導体層の導電型が異なる場合もあり得る。キャパシタ絶縁膜(12,13)は、半導体基体11上に配置され、半導体基体11と接する絶縁性カーボン層12と、絶縁性カーボン層12上に配置され、絶縁性カーボン層12よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層13を備える。
<MISキャパシタ>
本発明の第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、図1に示すように、SiCからなる半導体基体11、半導体基体11の表面層上のキャパシタ絶縁膜(12,13)、キャパシタ絶縁膜(12,13)上の制御電極14を備えるMISキャパシタである。第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の半導体基体11は、第1導電型(n型)のSiCからなる単層の半導体基板(SiC基板)であるので、「半導体基体11の表面層」もSiC基板自体である。後述する第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のように、半導体基体が複合層からなる場合は「表面層」とその下層の半導体層の導電型が異なる場合もあり得る。キャパシタ絶縁膜(12,13)は、半導体基体11上に配置され、半導体基体11と接する絶縁性カーボン層12と、絶縁性カーボン層12上に配置され、絶縁性カーボン層12よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層13を備える。
半導体基体11は、例えば、n型やn+型のSiCからなる半導体基板(SiCウェハ)自体であってもよく、半導体基板上にエピタキシャル成長したn−型(i型)、n型やn+型のエピタキシャル成長層の少なくとも一部であってもよい。或いは、半導体基板又はエピタキシャル成長層の上部にn型不純物を添加することで設けられたn−型(i型)、n型やn+型の半導体領域の少なくとも一部であってもよい。更に、半導体基板又はエピタキシャル成長層の上部にp型不純物を添加することで設けられたpウェルの上部にn型不純物を添加することで設けられたn型やn+型の半導体領域であってもよい。更に、半導体基体11は、第2導電型(p−型(i型)、p型やp+型)であってもよい。このように第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の半導体基体11の表面層は第1電型であっても第2導電型であっても構わない。第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の制御電極14はキャパシタ絶縁膜(12,13)を介して、半導体基体11の表面層の表面ポテンシャルを静電的に制御する。
絶縁性カーボン層12は、キャパシタ絶縁膜(12,13)の形成時に、半導体基体11の表面層とキャパシタ絶縁膜(12,13)との界面に生成されるC含有生成物を取り込んで無害化する機能を有する。絶縁性カーボン層12の厚さは例えば5nm〜30nm程度である。絶縁性カーボン層12の厚さは、キャパシタ絶縁膜(12,13)の信頼性を確保する観点からは薄い方が好ましい。
絶縁性カーボン層12は、例えば絶縁性のダイヤモンド層(ダイヤモンド薄膜)、又は絶縁性のダイヤモンドライクカーボン(DLC)層(DLC薄膜)等の、Cを含有する絶縁材料が使用可能である。DLC層は、Cを主成分とし、ダイヤモンドのC−C結合(sp3結合)とグラファイト(黒鉛)のC−C結合(sp2結合)の両方を有するアモルファス構造(非晶質構造)を含む膜である。
図2に示すように、DLC層の組成は,水素含有量(sp1結合)、sp2結合、sp3結合の比率からなる3元状態図で表される。DLC層は:水素を含まず(水素フリーであり)、sp3結合の割合が相対的に多いテトラヘドラルアモルファスカーボン(ta−C)と;水素を含まず(水素フリーであり)、sp2結合の割合が相対的に多いアモルファスカーボン(a−C)と;水素を含み、sp3結合の割合が相対的に多い水素化テトラヘドラルアモルファスカーボン(ta−C:H)と;水素を含み、sp2結合の割合が相対的に多い水素化アモルファスカーボン(a−C:H)との4種類に分類できる。
絶縁性カーボン層12を構成するDLC層の組成は、sp2結合及びsp3結合を含むC−C結合種に占めるsp3結合の割合が60%〜90%(換言すれば、sp2結合の割合が10%〜40%)であることが好ましく、70%〜90%(換言すれば、sp2結合の割合が10%〜30%)であることがより好ましい。sp3結合の割合が60%以上(換言すれば、sp2結合の割合が40%以下)の場合には、絶縁性が良好であり信頼性を確保することができ、sp3結合の割合が70%以上(換言すれば、sp2結合の割合が30%以下)の場合には、絶縁性がより高く、信頼性をより確保することができる。また、sp3結合の割合が90%以下(換言すれば、sp2結合の割合が10%以上)の場合には、絶縁性カーボン層12の表面の平坦性を維持することができる。
絶縁性カーボン層12を構成するDLC層の水素含有量は、DLC層のsp1結合であるC−H結合と、sp2結合及びsp3結合であるC−C結合とを含むC結合種に占めるsp1結合の割合が0%〜30%であることがより好ましく、0%〜20%であることがより好ましい。sp1結合の割合が30%以下の場合には絶縁性が良好であり信頼性を確保することができ、20%以下の場合には、絶縁性がより良好であり信頼性をより確保することができる。
絶縁性カーボン層12を構成するDLC層としては、図3の3元状態図における範囲R1の組成が好ましい。図3で範囲R1の組成は、DLC層のsp1結合であるC−H結合と、sp2結合及びsp3結合であるC−C結合とを含むC結合種に占めるsp3結合の割合が30%〜90%であり、且つsp2結合の割合が10%〜40%であり、且つsp1結合の割合が0%〜30%の範囲である。範囲R1のDLC層には、ta−C膜、ta−C:H膜、a−C:H膜が含まれる。範囲R1のDLC層とすることで、絶縁性が高く信頼性を確保することができ、且つ絶縁性カーボン層12の表面の平坦性を維持することができる。絶縁性カーボン層12を構成するDLC層の組成は、ラマン分光法等により測定することができる。
図1に示した高耐圧絶縁層13は、キャパシタ絶縁膜(12,13)の耐圧を確保する機能を有する。高耐圧絶縁層13の厚さは例えば40nm〜200nm程度である。高耐圧絶縁層13としては、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)が使用される。SiO2膜の他にもシリコン酸窒化(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、シリコン窒化物(Si3N4)膜、アルミニウム酸化物(Al2O3)膜も使用可能である。或いは、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y2O3)膜、ハフニウム酸化物(HfO2)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO2)膜、タンタル酸化物(Ta2O5)膜、ビスマス酸化物(Bi2O3)膜でもよい。更にはこれらの単層膜内のいくつかを選択し、複数を積層した複合膜等も使用可能である。
第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、SiCからなる半導体基体11上に設けるキャパシタ絶縁膜(12,13)を、絶縁性カーボン層12及び高耐圧絶縁層13の積層構造としている。これにより、キャパシタ絶縁膜(12,13)の形成時に半導体基体11の表面層とキャパシタ絶縁膜(12,13)との界面に生成されるC含有生成物が、半導体基体11の表面層に接する絶縁性カーボン層12に取り込まれ、無害化(不活性化)されている。更に、絶縁性カーボン層12上の高耐圧絶縁層13によりキャパシタ絶縁膜(12,13)の絶縁耐圧を確保することができる。したがって、キャパシタ絶縁膜(12,13)の絶縁耐圧を確保しつつ、半導体基体11の表面層とキャパシタ絶縁膜(12,13)との界面におけるDitやNIT等の界面準位を低減することができる。
<MISキャパシタの製造方法>
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子(MISキャパシタ)の製造方法の一例を説明する。なお、以下で説明する絶縁ゲート型半導体素子の製造方法は一例であって、第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子はこれ以外の種々の方法でも製造可能である。
次に、図4〜図6を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子(MISキャパシタ)の製造方法の一例を説明する。なお、以下で説明する絶縁ゲート型半導体素子の製造方法は一例であって、第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子はこれ以外の種々の方法でも製造可能である。
まず、図4に示すように、n型のSiCからなる半導体基体11を用意する。半導体基体11としては、例えば昇華法、溶液法等により結晶成長された4H−SiCのバルク単結晶(インゴット)から(0001)基板((0001)面から0〜8度オフで切り出されたウェハ(基板)が使用可能である。
次に、図5に示すように、半導体基体11の表面層の上面に、絶縁性のダイヤモンド層又はDLC層からなる絶縁性カーボン層12を10nm〜30nm程度で形成する。絶縁性カーボン層12としてダイヤモンド層を形成する場合、例えばマイクロ波プラズマ化学気相成長(MPCVD)法やエピタキシャル成長法等により成膜可能である。絶縁性カーボン層12としてDLC層を形成する場合、例えばプラズマ化学気相成長(プラズマCVD)法、イオン化蒸着法、スパッタ法、プラズマイオン注入成膜(PBIID)法、真空アーク蒸着法等により成膜可能である。この際、3%程度の水素(H2)と97%程度の窒素(N2)を混合したフォーミングガスを用いて、400℃〜450℃程度、30分程度で水素アニールを行ってもよい。これにより、半導体基体11の表面層と絶縁性カーボン層12の界面に水素(H2)を介在させてダングリングボンドを終端することができる。
次に、図6に示すように、減圧化学気相成長(LPCVD)法等により、絶縁性カーボン層12上にSiO2膜等の絶縁性カーボン層12よりも絶縁破壊電界の高い高耐圧絶縁層13を40nm〜200nm程度で堆積する。この結果、絶縁性カーボン層12及び高耐圧絶縁層13によりキャパシタ絶縁膜(12,13)が形成される。その後、成膜後アニール(PDA)を、例えばアルゴン(Ar)雰囲気下、1200℃程度、30分程度で行う。
次に、蒸着法又はスパッタ法等により、高耐圧絶縁層13の上面の全面にアルミニウム(Al)等の金属膜を堆積する。その後、金属膜上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング等により金属膜の一部を選択的に除去することにより、図1に示すように、ドット状の制御電極14を形成することで、MISキャパシタが完成する。
第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の製造方法によれば、キャパシタ絶縁膜(12,13)を絶縁性カーボン層12及び高耐圧絶縁層13の積層構造とすることで、キャパシタ絶縁膜(12,13)の形成時に生じる絶縁膜/SiC界面のC含有生成物を、半導体基体11に接する絶縁性カーボン層12に取り込み、無害化(不活性化)することができる。このため、キャパシタ絶縁膜(12,13)と半導体基体11の表面層の界面におけるDitやNIT等の界面準位を低減できる。更に、絶縁性カーボン層12上に高耐圧絶縁層13を形成することで、キャパシタ絶縁膜(12,13)の絶縁耐圧を確保することができる。したがって、絶縁性、安定性に優れたキャパシタ絶縁膜(12,13)を有するMISキャパシタを実現可能となる。
<第1実施形態の実施例>
第1実施形態に係るMISキャパシタの実施例Aを作製した。実施例Aの作製方法としては、まず、図4に示すように、半導体基体11として、RCA洗浄、HF洗浄、乾燥後のSiC基板を用意した。次に、成膜ガスをCH4:H2=1:99、ガス圧を2500PaとしたMPCVDにより、図5に示すように、半導体基体11上に絶縁性カーボン層12として20nmのダイヤモンド層を成膜した。次に、図6に示すように、モノシラン(SiH4)ガス、酸素(O2)ガスを用いた800℃のLPCVD法により、高耐圧絶縁層13として60nmのSiO2膜を堆積した。次に、成膜後アニール(PDA)を、Ar雰囲気下、1200℃、30分で行った。次に、室温における抵抗加熱式真空蒸着法によりAlからなる制御電極14を形成した。実施例Aは、20nmのダイヤモンド層と、60nmのSiO2膜の積層構造を有する。
第1実施形態に係るMISキャパシタの実施例Aを作製した。実施例Aの作製方法としては、まず、図4に示すように、半導体基体11として、RCA洗浄、HF洗浄、乾燥後のSiC基板を用意した。次に、成膜ガスをCH4:H2=1:99、ガス圧を2500PaとしたMPCVDにより、図5に示すように、半導体基体11上に絶縁性カーボン層12として20nmのダイヤモンド層を成膜した。次に、図6に示すように、モノシラン(SiH4)ガス、酸素(O2)ガスを用いた800℃のLPCVD法により、高耐圧絶縁層13として60nmのSiO2膜を堆積した。次に、成膜後アニール(PDA)を、Ar雰囲気下、1200℃、30分で行った。次に、室温における抵抗加熱式真空蒸着法によりAlからなる制御電極14を形成した。実施例Aは、20nmのダイヤモンド層と、60nmのSiO2膜の積層構造を有する。
更に、第1実施形態に係るMISキャパシタの実施例Bを作製した。実施例Bの作製方法は、ターゲット材料を黒鉛とし、基板バイアスを−100V、アーク電流を20AとしたFCVA法により、絶縁性カーボン層12として20nmのDLC層を成膜した点が、実施例Aと異なり、他の手順は実施例Aの作製方法と同様である。実施例Bは、20nmのDLC層と、60nmのSiO2膜の積層構造を有する。
更に、実施例A,Bと比較するためにMISキャパシタの比較例A,Bを作製した。比較例Aの作製方法は、LPCVD法によりキャパシタ絶縁膜として60nmのSiO2膜のみを形成し、成膜後アニールをNOガス雰囲気下、1250℃、60分で行った点が、実施例A,Bと異なり、他の手順は実施例A,Bの作製方法と同様である。比較例Bの作製方法は、MPCVDにより、キャパシタ絶縁膜として40nmの絶縁性ダイヤモンド層のみを形成し、成膜後アニールを実施しない点が、実施例A,Bと異なり、他の手順は実施例A,Bの作製方法と同様である。
作製した実施例A,B及び比較例A,Bについて、絶縁破壊電界及び界面準位密度(Dit)を測定した。測定結果を表1に示す。表1の「キャパシタ絶縁膜」の欄において、絶縁性ダイヤモンド層を「DL」と表記し、DLC層を「DLC」と表記している。
表1に示すように、実施例A,Bは、キャパシタ絶縁膜がSiO2膜のみである従来技術を用いた比較例Aと同等の絶縁破壊電界をもち、より低い界面準位密度が得られた。また、キャパシタ絶縁膜が絶縁性ダイヤモンド層のみである比較例Bは絶縁破壊しやすく、蓄積容量の測定ができる界面準位密度を求められなかった。以上より、第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のキャパシタ絶縁膜(12,13)が、従来と同等の絶縁破壊電界を持ち、且つ界面準位密度を低減できることが確認された。
(第2実施形態)
<MISFET>
本発明の第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、図7に示すように、半導体基体(21,22)上のゲート絶縁膜(25,26)と、ゲート絶縁膜(25,26)上に配置された制御電極(ゲート電極)27とを備えるMISFETである。半導体基体(21,22)は、第1導電型(n型)のSiCからなる半導体基板21と、半導体基板21上にエピタキシャル成長された第2導電型(p型)のエピタキシャル成長層22とで、構成されている。ゲート絶縁膜(25,26)は、半導体基体(21,22)上に配置され、半導体基体(21,22)の表面層と接する絶縁性カーボン層25と、絶縁性カーボン層25上に配置され、絶縁性カーボン層25よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層26とを備える。
<MISFET>
本発明の第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、図7に示すように、半導体基体(21,22)上のゲート絶縁膜(25,26)と、ゲート絶縁膜(25,26)上に配置された制御電極(ゲート電極)27とを備えるMISFETである。半導体基体(21,22)は、第1導電型(n型)のSiCからなる半導体基板21と、半導体基板21上にエピタキシャル成長された第2導電型(p型)のエピタキシャル成長層22とで、構成されている。ゲート絶縁膜(25,26)は、半導体基体(21,22)上に配置され、半導体基体(21,22)の表面層と接する絶縁性カーボン層25と、絶縁性カーボン層25上に配置され、絶縁性カーボン層25よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層26とを備える。
エピタキシャル成長層22の上部には、半導体基板21よりも高不純物密度の第1導電型(n+型)の第1主電極領域(ソース領域)23及び第2主電極領域(ドレイン領域)24が互いに離間して選択的に設けられている。第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の制御電極27はゲート絶縁膜(25,26)を介して、半導体基体(21,22)の表面層の表面ポテンシャルを静電的に制御する。半導体基体(21,22)の表面層であるエピタキシャル成長層22の表面ポテンシャルを静電的に駆動することにより、エピタキシャル成長層22の表面に反転チャネルが形成される。即ち、表面層であるエピタキシャル成長層22の一部は、ソース領域23とドレイン領域24の間に挟まれて「チャネル形成領域」として機能している。ゲート絶縁膜(25,26)は、ソース領域23とドレイン領域24の間のチャネル形成領域上に設けられている。
ゲート絶縁膜(25,26)を構成する絶縁性カーボン層25及び高耐圧絶縁層26の厚さや材料は、第1実施形態で説明したキャパシタ絶縁膜(12,13)を構成する絶縁性カーボン層12及び高耐圧絶縁層13と同様である。即ち、絶縁性カーボン層25は、ゲート絶縁膜(25,26)の形成時に、半導体基体(21,22)とゲート絶縁膜(25,26)との界面に生成されるC含有生成物を取り込んで無害化する機能を有する。絶縁性カーボン層25の厚さは例えば5nm〜30nm程度である。絶縁性カーボン層25は、例えば絶縁性のダイヤモンド層、又は絶縁性のDLC層等のCを含有する絶縁材料が使用可能である。
第1実施形態で説明した絶縁性カーボン層12と同様に、絶縁性カーボン層25を構成するDLC層の組成は、sp2結合及びsp3結合を含むC−C結合種に占めるsp3結合の割合が60%〜90%であることが好ましく、70%〜90%であることがより好ましい。絶縁性カーボン層25を構成するDLC層の水素含有量は、DLC層のsp1結合であるC−H結合と、sp2結合及びsp3結合であるC−C結合とを含むC結合種に占めるsp1結合の割合が0%〜30%であることがより好ましく、0%〜20%であることがより好ましい。また、絶縁性カーボン層25を構成するDLC層としては、図3の3元状態図における範囲R1の組成が好ましい。
高耐圧絶縁層26は、ゲート絶縁膜(25,26)の耐圧を確保する機能を有する。高耐圧絶縁層26の厚さは例えば40nm〜200nm程度である。高耐圧絶縁層26としては、例えばSiO2膜等が使用可能であるが、SiO2膜の他にもシリコン酸窒化(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、シリコン窒化物(Si3N4)膜、アルミニウム酸化物(Al2O3)膜も使用可能である。或いは、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y2O3)膜、ハフニウム酸化物(HfO2)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO2)膜、タンタル酸化物(Ta2O5)膜、ビスマス酸化物(Bi2O3)膜でもよい。更にはこれらの単層膜内のいくつかを選択し、複数を積層した複合膜等も使用可能である。
制御電極27は、ドープドポリシリコン等やAl等の金属からなる。ソース領域23上には、第1主電極(ソース電極)28が配置されている。ドレイン領域24上には、第2主電極(ドレイン電極)29が配置されている。ソース電極28及びドレイン電極29は、Al等の金属からなる。
第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、半導体基体(21,22)上に設けるゲート絶縁膜(25,26)を、絶縁性カーボン層25及び高耐圧絶縁層26の積層構造としている。これにより、ゲート絶縁膜(25,26)の形成時に半導体基体(21,22)とゲート絶縁膜(25,26)との界面に生成されたC含有生成物が、半導体基体(21,22)の表面層に接する絶縁性カーボン層25に取り込まれ、無害化されている。更に、絶縁性カーボン層25上の高耐圧絶縁層26によりゲート絶縁膜(25,26)の絶縁耐圧を確保することができる。したがって、ゲート絶縁膜(25,26)の絶縁耐圧を確保すると共に、半導体基体(21,22)とゲート絶縁膜(25,26)との界面におけるDitやNIT等の界面準位を低減することができる。したがって、高い移動度で信頼性の高いMISFETを実現可能となる。
<MISFETの製造方法>
次に、図8〜図12を参照しながら、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子(MISFET)の製造方法の一例を説明する。なお、以下で説明する絶縁ゲート型半導体素子の製造方法は一例であって、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子はこれ以外の種々の方法でも製造可能である。
次に、図8〜図12を参照しながら、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子(MISFET)の製造方法の一例を説明する。なお、以下で説明する絶縁ゲート型半導体素子の製造方法は一例であって、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子はこれ以外の種々の方法でも製造可能である。
まず、図8に示すように、n型のSiC基板21の上面に、p型のSiCエピタキシャル成長層22をエピタキシャル成長させて、半導体基体(21,22)を形成する。次に、半導体基体(21,22)上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をイオン注入用マスクと用いて、燐(P)イオン等のn型を呈する不純物イオンをp型のエピタキシャル成長層22の表面に多段イオン注入をする。「多段イオン注入」は、不純物イオンを注入飛程が異なるように加速電圧を変えて実施する。その後、多段イオン注入のマスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。その後、熱処理を行って注入された不純物イオンを活性化させ、図9に示すように、半導体基体(21,22)の上部にn+型のソース領域23及びドレイン領域24を形成する。
次に、図10に示すように、半導体基体(21,22)の上面に、エピタキシャル成長層22と接するように絶縁性カーボン層25を10nm〜30nm程度で形成する。絶縁性カーボン層25としてダイヤモンド層を成膜する場合には、例えばMPCVD法やエピタキシャル成長法等により成膜可能である。絶縁性カーボン層25としてDLC層を成膜する場合には、例えばプラズマCVD法、イオン化蒸着法、スパッタ法、PBIID法、真空アーク蒸着法等により成膜可能である。この際、3%程度の水素(H2)と97%程度の窒素(N2)を混合したフォーミングガスを用いて、400℃〜450℃程度、30分程度で水素アニールを行ってもよい。これにより、半導体基体(21,22)の表面層と絶縁性カーボン層25の界面に水素(H2)を介在させてダングリングボンドを終端することができる。
次に、図11に示すように、LPCVD等により、絶縁性カーボン層25上に、絶縁性カーボン層25よりも絶縁破壊電界の高いSiO2膜等からなる高耐圧絶縁層26を40nm〜200nm程度で堆積する。その後、成膜後アニール(PDA)を、例えばAr雰囲気下、1200℃程度、30分程度で行う。そして、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング等により、図12に示すように、絶縁性カーボン層25及び高耐圧絶縁層26の一部を選択的に除去する。この結果、絶縁性カーボン層25及び高耐圧絶縁層26によりゲート絶縁膜(25,26)が形成される。
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、Al等の金属膜を堆積する。金属膜上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をエッチング用マスクと用いて、RIE等のドライエッチング等により金属膜をパターニングする。この結果、図7に示すように制御電極27、ソース電極28及びドレイン電極29が形成され、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子が完成する。
第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の製造方法によれば、ゲート絶縁膜(25,26)を、絶縁性カーボン層25及び高耐圧絶縁層26の積層構造とすることで、ゲート絶縁膜(25,26)の形成時に生じる絶縁膜/SiC界面のC含有生成物を、半導体基体(21,22)の表面層に接する絶縁性カーボン層25に取り込み、無害化することができる。このため、ゲート絶縁膜(25,26)とエピタキシャル成長層22との界面におけるDitやNIT等の界面準位を低減できる。更に、高耐圧絶縁層26を形成することで、ゲート絶縁膜(25,26)の絶縁耐圧を確保することができる。したがって、高移動度且つ高信頼性のMISFETを実現可能となる。
<第2実施形態の実施例>
第2実施形態に係るMISFETの実施例Cを作製した。実施例Cの作製方法としては、図8に示すように、SiC基板21上にエピタキシャル成長層22として、Alを不純物密度1.5×1017cm−3で添加したp型のSiCからなるエピタキシャル成長層を形成して半導体基体(21,22)を用意した。次に、図9に示すように、ソース領域23及びドレイン領域24にPをイオン注入し、ボディコンタクト領域にAlをイオン注入した。次に、図10に示すように、成膜ガスをCH4:H2=1:99、ガス圧を約2500PaとしたMPCVDにより、半導体基体(21,22)上に絶縁性カーボン層25として20nmのダイヤモンド層を成膜した。
第2実施形態に係るMISFETの実施例Cを作製した。実施例Cの作製方法としては、図8に示すように、SiC基板21上にエピタキシャル成長層22として、Alを不純物密度1.5×1017cm−3で添加したp型のSiCからなるエピタキシャル成長層を形成して半導体基体(21,22)を用意した。次に、図9に示すように、ソース領域23及びドレイン領域24にPをイオン注入し、ボディコンタクト領域にAlをイオン注入した。次に、図10に示すように、成膜ガスをCH4:H2=1:99、ガス圧を約2500PaとしたMPCVDにより、半導体基体(21,22)上に絶縁性カーボン層25として20nmのダイヤモンド層を成膜した。
次に、図11に示すように、SiH4ガス及びO2ガスを使用した800℃におけるLPCVD法により、絶縁性カーボン層25上に高耐圧絶縁層26として、60nmのSiO2膜を堆積した。次に、成膜後アニール(PDA)をAr雰囲気下、下、1200℃、30分で行った。次に、六フッ化硫黄(SF6)ガス及びO2ガスを用いたプラズマエッチングにより、高耐圧絶縁層26の一部を選択的に除去すると共に、O2ガスを用いたプラズマエッチングにより絶縁性カーボン層25の一部を選択的に除去することで、コンタクトホールを形成した。次に、抵抗加熱式真空蒸着法により、Alからなる金属膜を堆積してコンタクトホールを埋め、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により金属膜をパターニングして、制御電極27、ソース電極28及びドレイン電極29を形成した。実施例Cは、20nmのダイヤモンド層と、60nmのSiO2膜の積層構造を有する。
更に、第2実施形態に係るMISFETの実施例Dを作製した。実施例Dの作製方法は、図10に示すように、黒鉛をターゲット材料とし、基板バイアスを−100V、アーク電流を20AとしたFCVA法により、半導体基体(21,22)上に絶縁性カーボン層25として、20nmのDLC層を成膜した点が、実施例Cの作製方法と異なり、他の手順は実施例Cの作製方法と同様である。実施例Cは、20nmのDLC層と、60nmのSiO2膜の積層構造を有する。
更に、第2実施形態に係るMISFETの実施例C,Dと比較するためのMISFETの比較例Cを作製した。比較例Cの作製方法は、LPCVD法によりゲート絶縁膜として60nmのSiO2膜のみを形成し、成膜後アニールをNOガス、1250℃、60分で行った点が、実施例C,Dの作製方法と異なり、他の手順は実施例C,Dの作製方法と同様である。
実施例C,D及び比較例Cについて、電界移動度及び閾値電圧を測定した。測定結果を表2に示す。表2の「ゲート絶縁膜」の欄において、絶縁性ダイヤモンド層を「DL」と表記し、DLC層を「DLC」と表記している。
表2に示すように、電界移動度について、実施例Cでは50cm2/Vs、実施例Cでは40cm2/Vsとなり、従来技術を用いた比較例Cに比べ高い値が得られた。一般に、電界移動度が向上すると閾値電圧が低下するという問題があるが、実施例C,Dのいずれでも閾値電圧が低下せずに高い移動度を実現しており、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子による効果が実証された。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
上記のように、本発明は第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、第1及び第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子としてMISキャパシタ及びMISFETを例示したが、これらに限定されるものでもなく、IGBTやMISSIT、MIS制御SIサイリスタ等の絶縁ゲート型半導体素子にも本発明の絶縁ゲート型半導体素子は適用可能である。また、第2実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子として、図7に横型のプレーナ型のMISFETを例示したが、縦型のプレーナ型又はトレンチ型のMISFET等の図7に示した構造以外の種々の構造にも本発明の絶縁ゲート型半導体素子は適用可能である。
11,21…SiC基板
12,25…絶縁性カーボン層
13,26…高耐圧絶縁層
14,27…制御電極
22…エピタキシャル成長層
23…ソース領域
24…ドレイン領域
28…ソース電極
29…ドレイン電極
12,25…絶縁性カーボン層
13,26…高耐圧絶縁層
14,27…制御電極
22…エピタキシャル成長層
23…ソース領域
24…ドレイン領域
28…ソース電極
29…ドレイン電極
Claims (9)
- 炭化ケイ素からなる半導体基体と、
前記半導体基体上に配置され、前記半導体基体と接する絶縁性カーボン層と、
前記絶縁性カーボン層上に配置され、前記絶縁性カーボン層よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層と、
前記高耐圧絶縁層上に配置された制御電極
とを備えることを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子。 - 前記高耐圧絶縁層がシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記絶縁性カーボン層がダイヤモンド層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記絶縁性カーボン層がダイヤモンドライクカーボン層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン層の炭素−炭素結合種に占めるsp3結合の割合が60%〜90%であることを特徴とする請求項4に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の炭素結合種に占めるsp1結合の割合が0%〜30%であることを特徴とする請求項4又は5に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記絶縁ゲート型半導体素子がMISFETであり、前記絶縁性カーボン層及び前記高耐圧絶縁層がゲート絶縁膜を構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 前記絶縁ゲート型半導体素子がMISキャパシタであり、前記絶縁性カーボン層及び前記高耐圧絶縁層がキャパシタ絶縁膜を構成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
- 炭化ケイ素からなる半導体基体上に、前記半導体基体と接する絶縁性カーボン層を形成する工程と、
前記絶縁性カーボン層上に、前記絶縁性カーボン層よりも絶縁破壊電界が高い高耐圧絶縁層を形成する工程と、
前記高耐圧絶縁層上に制御電極を形成する工程
とを含むことを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子の製造方法。
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