JP2019140031A - 車両用灯具システム - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶素子の温度の偏りを低減しつつ車両用灯具として望ましい光の照度分布を有する配光パターンを形成する。【解決手段】自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、光源1と、光源1からの光の強度分布を均一化する第1光学系2と、第1光学系2から出射する光を変調して像を形成する液晶素子3と、液晶素子3を駆動する駆動部と、液晶素子3によって形成された像42を投射する第2光学系6と、を含む。第2光学系6は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像42を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、複数の画素領域は、中心軸を延長した軸に近いほど相対的に大きく当該軸から遠いほど小さい。【選択図】図3
Description
本発明は、車両用灯具による自車両周辺への選択的な照射光を行うための技術に関する。
自車両の前方に存在する対向車両や先行車両(以下、これらを「前方車両」という。)の位置に応じて自車両の前照灯ユニットからの光の照射範囲と非照射範囲(あるいは減光範囲)を設定して選択的な光照射を行う車両用前照灯システムが知られている。このような車両用前照灯システムに関する先行例は、例えば特開平7−108873号公報に開示されている。この種の車両用前照灯システムでは、自車両の前方の所定位置(例えばフロントウィンドウ中央上部)にカメラを設置し、そのカメラによって撮像された前方車両の車体、もしくは尾灯や前照灯の位置を画像処理によって検出する。そして、検出された前方車両の部分に自車両の前照灯ユニットによる強い光が照射されないようにした配光制御が行われる。また、光の照射範囲と非照射範囲(あるいは減光範囲)を制御するために液晶素子を用いることも知られている(例えば、特開平6−191346号公報参照)。
ところで、一般的に車両前方への照射光としては、中央(車両の正面方向)での照度がより高くなるような照度分布が望まれる。車両の前方中央に関する視認性をより高めるためである。このため、従来においては液晶素子に入射させる時点で光の強度分布を上記のような中央ほど高いものとし、液晶素子によって所望の配光パターンに対応する像を形成した後、その像を車両前方へ一様に拡大投影していた。
しかし、この場合、液晶素子の位置によって入射する光の強度が大きく相違することになる。車両用灯具として用いることから光源の光の強度は比較的に高いため、この光によって生じる熱による液晶素子の温度上昇が生じる際に、光の強度分布に応じた温度分布が生じてしまう。このような温度分布が生じると、液晶素子の透過率変化にばらつきが生じてしまうため、良好な配光パターンが得られなくなる場合がある。
本発明に係る具体的態様は、液晶素子の温度の偏りを低減しつつ車両用灯具として望ましい光の照度分布を有する配光パターンを形成することを目的の1つとする。
[1]本発明に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、(b)光源と、(c)前記光源からの光の強度分布を均一化する第1光学系と、(d)前記第1光学系から出射する光を変調して像を形成する液晶素子と、(e)前記液晶素子を駆動する駆動部と、(f)前記液晶素子によって形成された前記像を投射する第2光学系と、を含み、(g)前記第2光学系は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、(h)前記液晶素子は、複数の画素領域を有しており、(i)前記複数の画素領域は、前記中心軸を延長した軸に近いほど相対的に大きく当該軸から遠いほど小さい、車両用灯具システムである。
[2]本発明に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、(b)光源と、(c)前記光源からの光の強度分布を均一化する第1光学系と、(d)前記第1光学系から出射する光を変調して像を形成する液晶素子と、(e)前記液晶素子を駆動する駆動部と、(f)前記液晶素子によって形成された前記像を投射する第2光学系と、を含み、(g)前記第2光学系は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、(h)前記液晶素子は、複数の画素領域を有しており、(i)前記複数の画素領域は、複数のグループに分けられて当該グループ毎に駆動されるものであり、(j)前記グループの各々に属する前記画素領域の数は、前記中心軸を延長した軸に近い前記グループほど相対的に多く、当該軸から遠い前記グループほど少ない、車両用灯具システムである。
[2]本発明に係る一態様の車両用灯具システムは、(a)自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、(b)光源と、(c)前記光源からの光の強度分布を均一化する第1光学系と、(d)前記第1光学系から出射する光を変調して像を形成する液晶素子と、(e)前記液晶素子を駆動する駆動部と、(f)前記液晶素子によって形成された前記像を投射する第2光学系と、を含み、(g)前記第2光学系は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、(h)前記液晶素子は、複数の画素領域を有しており、(i)前記複数の画素領域は、複数のグループに分けられて当該グループ毎に駆動されるものであり、(j)前記グループの各々に属する前記画素領域の数は、前記中心軸を延長した軸に近い前記グループほど相対的に多く、当該軸から遠い前記グループほど少ない、車両用灯具システムである。
ここで、本明細書における光の強度分布に関する「均一化」とは、第1光学系に入射する前における光の強度分布(一例として照度分布)を平坦化することや、平坦化しないまでも光の強度分布における強度差をより少なくすることをいう。
上記各構成によれば、液晶素子の温度の偏りを低減しつつ車両用灯具として望ましい光の照度分布を有する配光パターンを形成することができる。
図1は、一実施形態の車両用前照灯システムの構成を示す図である。図1に示す車両用灯具システムは、光源1、入射光学系2、液晶素子3、駆動回路4、制御部5、投射光学系6、カメラ8を含んで構成されている。カメラ8以外の各構成要素は、例えば筐体7に収容されている。この車両用前照灯システムは、自車両の周囲に存在する前方車両や歩行者等の位置に対応して、前方車両等の位置を含む一定範囲を非照射範囲(あるいは減光範囲、以下において同じ。)に設定し、それ以外の範囲を光照射範囲に設定して選択的な光照射を行うためのものである。
光源1は、例えば青色光を放出する発光素子(LED)に黄色蛍光体を組み合わせて構成された白色光LEDを含んで構成されている。なお、光源1としてはLEDのほかに、レーザー(例えば半導体レーザー光源)、さらには電球や放電灯など車両用ランプユニットに一般的に使用されている光源が使用可能である。光源1の点消灯状態は制御部5によって制御される。
入射光学系2は、光源1から放出される光を略平行光にするものであり、例えば凸レンズを用いることができる。この場合、凸レンズの焦点付近に光源1を配置することにより平行光を作り出すことができる。なお、入射光学系2としては、レンズや反射鏡、さらにはそれらを組み合わせたものが使用可能である。
液晶素子3は、例えば、それぞれ個別に制御可能な複数の画素領域(光変調領域)を有しており、駆動回路4によって与えられる液晶層への印加電圧の大きさに応じて各画素領域の透過率が可変に設定される。この液晶素子3に光源1からの光が透過することで、上記した光照射範囲と非照射範囲に対応した明暗を有する像が形成される。本実施形態の液晶素子3は、垂直配向型の液晶層を備えるとともに直交ニコル配置された一対の偏光板を備えており、液晶層への電圧が無印加(あるいは閾値以下の電圧)である場合に光透過率が極めて低い状態(遮光状態)となり、液晶層へ電圧が印加された場合に光透過率が相対的に高い状態(透過状態)となるものである。すなわち、本実施形態の液晶素子3は、いわゆるノーマリークローズ型(ノーマリーブラック型)の液晶素子である。
駆動回路(駆動部)4は、制御部5から供給される制御信号に基づいて液晶素子3に駆動電圧を供給することにより、液晶素子3の各画素領域における液晶層の配向状態を個別に制御するものである。
制御部(配光制御部)5は、自車両の前方を撮影するカメラ8によって得られる画像に基づいて画像処理を行うことによって前方車両等の位置を検出し、検出された前方車両等の位置を非照射範囲とし、それ以外の領域を光照射範囲とした配光パターンを設定し、この配光パターンに対応した像を形成するための制御信号を生成して駆動回路4へ供給する。この制御部5は、例えばCPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。
投射光学系6は、液晶素子3を透過する光によって形成される像(光照射範囲と非照射範囲に対応した明暗を有する像)をヘッドライト用配光になるように広げて自車両の前方へ投射するものであり、適宜設計されたレンズが用いられる。なお、投射光学系6としては、レンズや反射鏡、さらにはそれらを組み合わせたものが使用可能である。
カメラ8は、自車両の前方を撮影してその画像(情報)を出力するものであり、自車両内の所定位置(例えば、フロントガラス内側上部)に配置されている。なお、他の用途(例えば、自動ブレーキシステム等)のためのカメラが自車両に備わっている場合にはそのカメラを共用してもよい。また、そのような共用をしない場合には、カメラ8を筐体7内に設けてもよい。なお、カメラを用いず、他の検出手段、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンシング素子を用いて前方車両等を検出してもよい。
図2は、液晶素子の構成例を示す模式的な断面図である。図2に示す構成例の液晶素子3は、対向配置された上基板11および下基板12、上基板11に設けられた複数の第1電極13、下基板12に設けられた複数の第2電極14、上基板11に設けられた第1配向膜15、下基板12に設けられた第2配向膜16、上基板11と下基板12の間に配置された液晶層17、一対の偏光板18、19を含んで構成されている。
上基板11および下基板12は、それぞれ、平面視において矩形状の基板であり、互いに対向して配置されている。各基板としては、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板を用いることができる。上基板11と下基板12の間には、例えば多数のスペーサーが均一に分散配置されており、それらスペーサーによって基板間隙が所望の大きさ(例えば数μm程度)に保たれている。
各第1電極13は、例えば、上基板11の一面側に設けられ、紙面と直交する方向に延在し、紙面の左右方向に配列された複数の導電膜からなる。各第2電極14は、例えば、下基板12の一面側に設けられ、紙面の左右方向に延在し、紙面と直交する方向に配列された複数の導電膜からなる。各第1電極13と各第2電極14との重なる領域のそれぞれが上記した画素領域(光変調領域)を構成する。各電極は、それぞれ例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。なお、図示を省略しているが各電極の上面にさらに絶縁膜が設けられていてもよい。
第1配向膜15は、上基板11の一面側に第1電極13を覆うようにして設けられている。第2配向膜16は、下基板12の一面側に各第2電極14を覆うようにして設けられている。各配向膜としては、液晶層17の配向状態を垂直配向に規制する垂直配向膜が用いられている。各配向膜にはラビング処理等の一軸配向処理が施されており、一方向への配向規制力を有している。各配向膜への配向処理の方向は、例えば互い違い(アンチパラレル)となるように設定される。
液晶層17は、上基板11と下基板12の間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負でありカイラル材を含まず、流動性を有するネマティック液晶材料を用いて液晶層17が構成される。本実施形態の液晶層17は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向が一方向に傾斜した状態となり、各基板面に対して概ね、88°以上90°未満の範囲内のプレティルト角を有する略垂直配向となるように設定されている。
一対の偏光板18、19は、例えば互いの吸収軸を略直交させており、上基板11と下基板12を挟んで対向配置されている。本実施形態では、液晶層17に電圧無印加としているときに光が遮光される(透過率が極めて低くなる)動作モードであるノーマリークローズモードを想定する。
この液晶素子3は、例えば基板面を平面視した場合における上下方向に延在して左右方向に配列される複数の第1電極と、左右方向に延在して上下方向に配列される複数の第2電極を備えている。各第1電極と各第2電極とが平面視において重なる領域の各々である画素領域が336個あり、これらの画素領域はマトリクス状に配列されている。本実施形態において各画素領域の形状は、中心部に近いほど相対的に大きく、周辺になるほど相対的に小さくなるように構成されている(後述の図4、5参照)。各第1電極13と各第2電極14は、駆動回路4と接続されており、例えば1/7デューティで単純マトリクス駆動される。なお、液晶素子3はこのような単純マトリクス型に限定されず、スタティック型でもよいし、各画素ごとに薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を備えたアクティブマトリクス型でもよい。
図3は、車両用前照灯システムにおける液晶素子および光学系の構成について示した平面図である。ここでは、車両水平方向を上方から見た平面図が示されている。図中、右側が車両前方に対応している。また、図中、上側が照射方向左側、下側が照射方向右側に対応している。
図3に示す光学系において、入射光学系2としては片平凸レンズ(平凸レンズ)が用いられている。この片平凸レンズは、平坦面を光源1と対向させるように配置されている。光源1は、その光出射位置が片平凸レンズの焦点付近とほぼ一致するように配置されている。このような配置により、光源1から広がりながら出射する光を平行光に変換して均一化することができる。光源1から入射し、入射光学系2としての片平凸レンズを出射した平行光は液晶素子3へ入射する。この液晶素子3に入射する光の照度は、図中にその分布を模式的に示しているように中心付近(車両前方の中心に対応する部分)の照度が相対的にやや高い左右対称の照度分布となるが、光源1から出射して入射光学系2に入射する前の光の照度分布よりは照度の高低差が少ない、すなわち均一化された緩やかな照度分布となる。これは、例えば上記したように光源1として白色LEDを用いた場合の光源1自身の発光特性を反映している。
投射光学系6としては、例えば片平凹レンズ(平凹レンズ)が用いられている。この片平凹レンズは、平坦面を液晶素子3と対向させるように配置されている。本実施形態の片平凹レンズは、その中心軸(光軸)の付近で曲面(屈折面)の曲率が相対的に小さく、中心から離れて周辺部へいくほど曲面の曲率が相対的に大きくなるというレンズ形状を有している。これにより、曲面の周辺部に入射した光ほど中心軸から離れるように屈折して進む。図中では、片平凹レンズの曲面における曲率の変化を分かりやすくするための比較として点線により円が示されている。このようなレンズ形状により、同じ面積で片平凹レンズへ入射した光を想定すると、その光は片平凹レンズの周辺部ほど面積を広げられた状態で、車両前方に想定される仮想スクリーン9上において、相対的に大きな面積に照射される。反対に、片平凹レンズの中心軸に近い部分ほど屈折が小さいため仮想スクリーン9上での光の照射される面積が相対的に小さくなる。
このような関係により、仮想スクリーン9上での光の照度は、その分布を図中に模式的に示すように、液晶素子3に入射する光の照度分布よりも高低差の度合い(高低比)が大きくなる。このような、中心ほど相対的に明るくなる照度分布は、車両前方へ照射される光の照度分布として好ましい。なお、図3では車両前後方向を上側から見た平面図で示しているが、車両上下方向を横方向から見た場合も同様となるようにしてもよい。
図4は、投射光学系による投射パターンについて模式的に示す図である。なお、本実施形態では各々個別に光の照射状態を制御可能な光制御領域が336個形成されるが、説明の便宜上、図4ではそのうち中心付近の35個の光制御領域をそれぞれ矩形により示している。各光制御領域は、投射光学系6の焦点距離の分布、つまり拡大率の分布に従って中心部に近いほど図中のx方向、y方向ともに投射パターンの拡大率が小さく、中心部から離れて周辺になるほど図中のx方向、y方向とも投射パターンの拡大率が大きくなって投射される。
ここで、液晶素子3における画素領域群40は、x方向、y方向のそれぞれにおいて、中心部(中心軸を延長した軸の位置)に近いほどその幅(長さ)が大きく周辺になるほど小さくなるように各画素領域が形成されている。このため、液晶素子3によって形成される像42(図3参照)もx方向、y方向のそれぞれにおいて、中心に近いほどその幅(長さ)が大きく周辺になるほど小さくなるように形成される。このような像42が投射光学系6に入射することによって形成される投射パターン41(図3参照)の各光制御領域は、x方向、y方向ともに周辺部ほどその幅が拡大されて面積が大きくなるので、図示のようにすべて同じ形状(あるいはそれに近い形状)にすることができる。それにより、投射パターン41の各光制御領域を同じ幅(xy各方向)にし、かつ中央部ほど明るい状態にした光制御を実現できる。なお、図示のものは一例であり、x方向、y方向の拡大率はこれに限定されず、また各光制御領域の形状は矩形に限定されないし、全てが厳密に同じ形状でなくてもよい。
光の照度分布についてみると、投射光学系6によって形成される投射パターン41の光の照度分布は、入射光学系2によって形成される液晶素子3への入射光の照度分布(相対的に緩やかな照度分布)に比べて照度の高低差の度合いがより大きくなる。ここでいう「照度の高低差の度合い」とは、例えば、最大照度と最小照度の比で表すことができる。すなわち、レンズ曲率の分布(拡大率)の分布に従って照度分布が調整されることにより、中心部と周辺部との照度差が増長された投射パターン41が得られる。このような投射パターンは、車両の前方へ照射される光の照度分布として好ましいものである。
以上のような実施形態によれば、入射光を均一化することで液晶素子の温度の偏りを低減しつつ車両用灯具として望ましい光の照度分布を有する配光パターンを形成することができる。
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、液晶素子3への入射光の照度分布はできる限り均一なほうが好ましいので、入射光学系2としてロッドレンズとテレセントリック光学系(テレセントリックレンズ)を組み合わせたものを用いてもよい。それにより、液晶素子への入射光の照度分布より均一にすることができる。
また、上記した実施形態では、自車両の前方に存在する車両等の位置に応じた選択的な光照射を行うために液晶素子を用いる車両用灯具システムについて説明していたが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、自車両の進行方向に応じてその方向へ光を照射するアダプティブ・フロントライティング・システム(Adaptive Front-Lighting System:AFS)に用いられる車両用灯具システムに本発明を適用してもよい。また、例えば、自車両前方の歩行者等を報知するためにその歩行者等の存在する方向へマーキングビームを照射するような車両用灯具システムに本発明を適用してもよい。
また、上記した実施形態では、各光制御領域と各画素領域とを一対一に対応させる場合について示していたが、図5に例示するように、液晶素子3の各画素領域をより高精細化し、各光制御領域の1つずつに対してそれぞれ複数の画素領域を対応付けて駆動してもよい。
具体的には、液晶素子3の各画素領域として、例えば上下方向(鉛直方向)に400分割、左右方向(水平方向)に1000分割した400000個の画素領域を設けるようにし、各画素領域を個別に駆動してもよい。この場合、駆動方式としては、例えば薄膜トランジスタを各画素領域に対応付けて駆動するアクティブマトリクス方式が望ましいがこの限りではない。この場合の画素領域群40は、図示のように各光制御領域の1つずつに対応づけられる複数の画素領域がグループ化されており、各グループ40aに属する複数の画素領域が略同一の透過率となるように各グループ40aごとの画素領域が同期的に駆動される。すなわち、像42における各光制御領域に対応する各領域にはそれぞれ複数の画素領域が対応付けられることになる。それにより、各光制御領域ごとに個別の点灯制御が実現される。この場合における、各光制御領域に対応付けられる各画素領域は、同じ形状(例えば正方形状)であってもよいし、異なる形状のものが含まれていてもよい。このような実施形態では、図示のように、投射光学系6の拡大率の分布に対応して、投射パターン41の各光制御領域における中心部(中心軸を延長した軸の位置)に近い光制御領域に対応するグループ40aほど相対的に多くの数の画素領域が対応付けられ、周辺部へ離れた光制御領域に対応するグループ40aほど相対的に少ない数の画素領域が対応付けられることになる。
また、上記した実施形態では投射光学系6の一例として片平凹レンズ(平凹レンズ)を挙げていたが、投射光学系6として用いるレンズは片平レンズに限定されず、片平凸レンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、凹面鏡、凸面鏡など種々の光学系を用いることができる。
図6は、投射光学系として凸レンズ(片平凸レンズ)を用いた変形例の構成について説明するための図である。この投射光学系6としての凸レンズは、平坦面を液晶素子3と対向させるように配置されている。本実施形態の凸レンズは、平坦面と相対する曲面(屈折面)の曲率が中心軸(光軸)の付近で相対的に小さく、中心から離れて周辺部へいくほど相対的に大きくなるというレンズ形状を有している。この凸レンズを用いて投射光学系6を構成した場合、図示のように、液晶素子3から出射した像は、投射光学系6を透過した後、一旦焦点(集光点)を結び、その後に広がって投射される。投射光学系6は、中心軸に近いほど屈折面による焦点距離が長く中心軸から遠いほど当該焦点距離が短いので、仮想スクリーン9上での光の照度分布は、上記した実施形態の場合と同様になる。
図7は、投射光学系として凹面鏡を用いた変形例の構成について説明するための図である。この投射光学系6としての凹面鏡は、反射面を液晶素子3と対向させるように配置されている。この場合、図7(A)に点線で示すように、例えば光源1、投射光学系2、液晶素子3を投射光学系6の下方に配置して、液晶素子3から出射する像が凹面鏡の反射面に入射するように配置する。図7(B)はこの配置状態を模式的に示した図である。説明の簡素化のために光源1と投射光学系6のみを示している。投射光学系6である凹面鏡は、その反射面を車両上下方向(図中、上下方向に対応)に対して傾けることで、反射光が車両前方へ進行するように配置されている。凹面鏡は、反射面の曲率が中心軸(光軸)の付近で相対的に小さく、中心から離れて周辺部へいくほど相対的に大きくなるという形状を有している。この凹面鏡を用いて投射光学系6を構成した場合、図示のように、液晶素子3から出射した像は、投射光学系6で反射された後、一旦焦点(集光点)を結び、その後に広がって投射される。投射光学系6は、中心軸に近いほど反射面による焦点距離が長く中心軸から遠いほど当該焦点距離が短いので、仮想スクリーン9上での光の照度分布は、上記した実施形態の場合と同様になる。
図8は、投射光学系として凸面鏡を用いた変形例の構成について説明するための図である。この投射光学系6としての凸面鏡は、反射面を液晶素子3と対向させるように配置されている。この場合、図8に点線で示すように、例えば光源1、投射光学系2、液晶素子3を投射光学系6の下方に配置して、液晶素子3から出射する像が凸面鏡の反射面に入射するように配置する。図7(B)に示した配置と同様に、投射光学系6である凸面鏡は、その反射面を車両上下方向(図中、上下方向に対応)に対して傾けることで、反射光が車両前方へ進行するように配置されている。凸面鏡は、反射面の曲率が中心軸(光軸)の付近で相対的に小さく、中心から離れて周辺部へいくほど相対的に大きくなるという形状を有している。この凸面鏡を用いて投射光学系6を構成した場合、図示のように、液晶素子3から出射した像は、投射光学系6によって反射された後、広がって投射される。投射光学系6は、中心軸に近いほど反射面による焦点距離が長く中心軸から遠いほど当該焦点距離が短いので、仮想スクリーン9上での光の照度分布は、上記した実施形態の場合と同様になる。
1:光源
2:入射光学系
3:液晶素子
4:駆動回路
5:制御部
6:投射光学系
7:筐体
8:カメラ
9:仮想スクリーン
40:画素領域群
40a:グループ
41:投射パターン(配光パターン)
42:像
2:入射光学系
3:液晶素子
4:駆動回路
5:制御部
6:投射光学系
7:筐体
8:カメラ
9:仮想スクリーン
40:画素領域群
40a:グループ
41:投射パターン(配光パターン)
42:像
Claims (8)
- 自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、
光源と、
前記光源からの光の強度分布を均一化する第1光学系と、
前記第1光学系から出射する光を変調して像を形成する液晶素子と、
前記液晶素子を駆動する駆動部と、
前記液晶素子によって形成された前記像を投射する第2光学系と、
を含み、
前記第2光学系は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、
前記液晶素子は、複数の画素領域を有しており、
前記複数の画素領域は、前記中心軸を延長した軸に近いほど相対的に大きく当該軸から遠いほど小さい、
車両用灯具システム。 - 自車両の周囲へ照射する光の照射パターンを可変に設定可能な車両用灯具システムであって、
光源と、
前記光源からの光の強度分布を均一化する第1光学系と、
前記第1光学系から出射する光を変調して像を形成する液晶素子と、
前記液晶素子を駆動する駆動部と、
前記液晶素子によって形成された前記像を投射する第2光学系と、
を含み、
前記第2光学系は、中心軸を有し、当該中心軸を含む面に入射する前記像を当該中心軸から遠いほど相対的に大きい拡大率で投射するものであり、
前記液晶素子は、複数の画素領域を有しており、
前記複数の画素領域は、複数のグループに分けられて当該グループ毎に駆動されるものであり、
前記グループの各々に属する前記画素領域の数は、前記中心軸を延長した軸に近い前記グループほど相対的に多く、当該軸から遠い前記グループほど少ない、
車両用灯具システム。 - 前記第1光学系は、前記光源からの光を略平行光にする、
請求項1又は2に記載の車両用灯具システム。 - 前記第1光学系は、片平凸レンズを含む、
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用灯具システム。 - 前記第1光学系は、ロッドレンズとテレセントリック光学系を含む、
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用灯具システム。 - 前記第2光学系は、屈折面又は反射面を有しており、前記中心軸に近いほど前記屈折面又は反射面による焦点距離が長く前記中心軸から遠いほど当該焦点距離が短い、
請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用灯具システム。 - 前記第2光学系は、屈折面又は反射面を有しており、前記中心軸に近いほど前記屈折面又は反射面の曲率が小さく前記中心軸から遠いほど当該曲率が大きい、
請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用灯具システム。 - 前記自車両の周辺に存在する対象物に応じて配光パターンを設定し、当該配光パターンに対応した前記像を形成するために前記駆動部を制御する配光制御部を更に含む、
請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用灯具システム。
Priority Applications (4)
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---|---|---|---|
JP2018024217A JP2019140031A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 車両用灯具システム |
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US16/205,061 US10788185B2 (en) | 2017-12-07 | 2018-11-29 | Vehicular lamp system configured to change the extent of high-low ratio of the illumination distributions |
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JP2018024217A JP2019140031A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | 車両用灯具システム |
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ID=67694306
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JP (1) | JP2019140031A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023176444A1 (ja) * | 2022-03-14 | 2023-09-21 | 株式会社小糸製作所 | 車両用灯具 |
-
2018
- 2018-02-14 JP JP2018024217A patent/JP2019140031A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023176444A1 (ja) * | 2022-03-14 | 2023-09-21 | 株式会社小糸製作所 | 車両用灯具 |
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