JP2019139362A - タッチパネル駆動装置、タッチパネル装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また下記特許文献2には、X、Y方向の電極配線において電極が交差する部分を設けないようにした、いわゆるシングルレイヤ方式の構造が開示されている。
このような本発明ではタッチパネルのセンシングとして差動方式を用いる。即ち一対の受信信号線からの受信信号の差分に相当する検出値を生成する。このための手法として、一方の受信信号線に接続した計測用容量部の容量値を順次切り替えながら一方と他方の受信信号線からの各受信信号のレベルを比較する。この動作によれば各受信信号のレベルが略同等となるときの容量値(又は容量値の選択制御信号)は、各受信信号の差分に相当する値となる。従って上記動作によりタッチパネル操作監視のための検出値を生成することができる。ところが計測用容量部の各段階の容量値のリニアリティが悪いと、正確な検出ができない。そこで各各容量値を得るための或る容量値を形成する容量部として、複数のコンデンサの並列接続又は直列接続により或る容量値を形成する容量部が設けるようにする。これによりコンデンサの容量の種別を少なくし、コンデンサ間の容量誤差を小さくする。
計測用容量部において各容量値を得るためのコンデンサを、全て或る特定の容量値のコンデンサとすることで、コンデンサ間の容量誤差を均一化する。
特定の容量値の複数のコンデンサの並列接続により、その容量値よりも大きな容量値の容量部を形成できる。
特定の容量値の複数のコンデンサの直列接続により、その容量値よりも小さな容量値の容量部を形成できる。
小さい容量値を得る場合に第1の特定の容量値のコンデンサの直列接続を用いること、また大きい容量値を得る場合に第2の特定の容量値のコンデンサの並列接続を用いることで、コンデンサの容量種別を少なくする。これによりコンデンサ間の容量誤差を小さくする。
第1容量部から第X容量部までの各容量部が並列的に一方の受信信号線に接続されることで、計測用容量部は容量部の選択によって合成容量値を複数段階に可変できる。
例えば第1容量部から第X容量部までの各容量値は、21,22,23・・・2Xの比の関係を持つ容量値のようにされている。
即ち並列接続されたコンデンサにより構成される容量部に対しては、コンデンサ毎にスイッチ素子を設け、各スイッチ素子は同時にオン/オフさせることで、その容量部のスイッチとして機能させる。
即ち容量精度を高くしたタッチパネル駆動装置を用いることで、センシング精度のよいタッチパネル装置を実現する。
<1.タッチパネル装置の構成>
<2.センシング動作>
<3.リニアリティ改善のための構成>
[3−1:構成例I]
[3−2:構成例II]
[3−3:構成例III]
[3−4:構成例IV]
<4.実施の形態の効果及び変形例>
実施の形態のタッチパネル装置1の構成例を図1に示す。
タッチパネル装置1は、各種機器においてユーザインターフェース装置として装着される。ここで各種機器とは、例えば電子機器、通信機器、情報処理装置、製造設備機器、工作機械、車両、航空機、建物設備機器、その他非常に多様な分野の機器が想定される。タッチパネル装置1は、これらの多様な機器製品においてユーザの操作入力に用いる操作入力デバイスとして採用される。
図1ではタッチパネル装置1と製品側MCU(Micro Control Unit)90を示しているが、製品側MCU90とは、タッチパネル装置1が装着される機器における制御装置を示しているものである。タッチパネル装置1は製品側MCU90に対してユーザのタッチパネル操作の情報を供給する動作を行うことになる。
タッチパネル駆動装置3はセンサIC(Integrated Circuit)4とMCU5を有する。
このタッチパネル駆動装置3は、タッチパネル側接続端子部31を介してタッチパネル2と接続される。この接続を介してタッチパネル駆動装置3はタッチパネル2の駆動(センシング)を行う。
また操作入力デバイスとして機器に搭載される際には、タッチパネル駆動装置3は製品側接続端子部32を介して製品側MCU90と接続される。この接続によりタッチパネル駆動装置3は製品側MCU90にセンシングした操作情報を送信する。
図2に、送信回路41、受信回路42、マルチプレクサ43とタッチパネル2の接続状態を模式的に示す。
タッチパネル2は、タッチ面を形成するパネル平面に、送信側の電極としてのn本の送信信号線21−1から21−nが配設される。
また同じくパネル平面に、受信側の電極としてのm本の受信信号線22−1から22−mが配設される。
なお送信信号線21−1・・・21−n、受信信号線22−1・・・22−mを特に区別しない場合は、総称として「送信信号線21」「受信信号線22」と表記する。
図では送信信号線21と受信信号線22の間で生じる容量を一部のみ例示している(容量C22,C23,C32,C33)が、タッチ操作面の全体に、送信信号線21と受信信号線22の間で生じる容量(例えば交差位置における容量)が存在し、タッチ操作により容量変化が生じた位置が受信回路42により検出されることとなる。
受信回路42は、マルチプレクサ43により選択された受信信号線22−1・・・22−mからの受信信号を受信する。本実施の形態では、マルチプレクサ43が各タイミングで2本ずつ隣接する受信信号線22を選択していく。
送信回路41、受信回路42によるセンシング動作については後述する。
またインターフェース・レジスタ回路44には、受信回路42により検出された検出値(説明上「RAW値」ともいう)を記憶し、MCU5が取得できるようにしている。
また受信回路42は、センシング動作の際に、マルチプレクサ43によって選択された受信信号線22に対して駆動電圧AVCCを印加することも行う。
電源回路45の構成については後に詳述する。
またMCU5は受信回路42からのRAW値をインターフェース・レジスタ回路44から読み出すことで取得する。そしてMCU5は、RAW値を用いて座標計算を行い、ユーザのタッチ操作位置情報としての座標値を製品側MCU90に送信する処理を行う。
以上の構成のタッチパネル装置1によるセンシング動作について説明する。
まず図3によりタッチパネル2に対する送信回路41,受信回路42の動作を説明する。図ではタッチパネル2において2つの送信信号線21−2、21−3と、2つの受信信号線22−2、22−3を示している。
本実施の形態の場合、先の図2に示したような送信信号線21、受信信号線22に対して、送信回路41と受信回路42が、それぞれ隣接する2本ずつ送信、受信を行っていくことでタッチ操作の検出を行うものとなる。つまり一対の送信信号線21と一対の受信信号線22の2本×2本を基本セルとして、順次セル単位で検出走査を行う。図3では、その1つのセル部分を示していることになる。
なお、駆動電圧AVCC1は、図1の電源回路45が生成する駆動電圧AVCC自体、もしくは駆動電圧AVCCに基づく電圧である。
この場合、送信回路41は、ドライバ411からの送信信号T+は図示のように、アイドル(Idle)期間をロウレベル(以下「Lレベル」と表記)とする。例えば0Vとする。そして続くアクティブ(Active)期間にはハイレベル(以下「Hレベル」と表記)とする。この場合、Hレベルの信号として具体的には駆動電圧AVCC1の印加を行う。
また送信回路41は、もう一つのドライバ412からの送信信号T−は、アイドル期間をHレベル(駆動電圧AVCC1の印加)とし、続くアクティブ期間はLレベルとする。
ここで、アイドル期間は受信信号R+、R−の電位を安定させる期間であり、アクティブ期間は受信信号R+、R−の電位変化をセンシングする期間となる。
受信回路42は、コンパレータ421、基準容量部422、スイッチ423,425、計測用容量部424、演算制御部426を備えている。
2つの受信信号線22からの受信信号R+、R−はコンパレータ421で受信される。コンパレータ421は、受信信号R+、R−の電位を比較して、その比較結果をHレベル又はLレベルで演算制御部426に出力する。
また計測用容量部424の一端には駆動電圧AVCC2が印加されている。この計測用容量部424の他端はスイッチ425の端子Taを介してコンパレータ421の−入力端子に接続されている。
スイッチ423、425は、アクティブ期間には端子Taが選択される。従ってアクティブ期間にはコンパレータ421の+入力端子(受信信号線22−3)、−入力端子(受信信号線22−2)に駆動電圧AVCC2が印加される。
アクティブ期間となるとスイッチ423、425が端子Taを選択することで、受信信号線22−3,22−2に駆動電圧AVCC2が印加される。これにより受信信号R+、R−の電位がΔV上昇する。非タッチの状態では、このΔVの電位上昇は、受信信号R+、R−共に発生する。
一方、送信回路41側では、アクティブ期間となると、上述のように送信信号T+が立ち上がり、送信信号T−が立ち下がる。これにより、タッチ操作があった場合には、受信信号R+、R−の電位上昇の程度が変化する。
仮に容量C22に影響を与えるA1位置がタッチされた場合、受信信号R−の電位がアクティブ期間において破線で示すようにΔVHだけ上昇する。
また仮に容量C32が変化するA2位置がタッチされた場合、受信信号R−の電位がアクティブ期間において破線で示すΔVLだけ上昇する。
これらのように当該セルに対するタッチ操作位置に応じて、受信信号R−の電位変化量が受信信号R+の電位変化量(ΔV)よりも大きくなったり小さくなったりする。
コンパレータ421はこのような受信信号R+、R−を比較することになる。
演算制御部426は、インターフェース・レジスタ回路44に書き込まれた設定情報に従って、スイッチ423,425のオン/オフや計測用容量部424の容量値の切替処理を行う。またコンパレータ421の出力を監視し、後述の処理でRAW値を算出する。演算制御部426で算出されたRAW値はインターフェース・レジスタ回路44に書き込まれることでMCU5が取得可能とされる。
なお図4はスイッチ423,425が端子Taに接続された状態(アクティブ期間)での等価回路として示しており、スイッチ423,425の図示は省略している。
各容量部CM0〜CM7は、駆動電圧AVCC2の電位とコンパレータ421の−入力端子の間に並列に接続されている。また各容量部CM0〜CM7に対してはそれぞれ直列にスイッチSW0〜SW7が接続されている。つまりスイッチSW0〜SW7のオン/オフにより、受信信号R−に影響を与える容量部CMを変更できる構成である。
なお図4では各容量部CM0〜CM7を1つのコンデンサの記号で示しているが、本実施の形態では図7で後述するように、それぞれ1又は複数のコンデンサで構成される。
またスイッチSW0〜SW7は、それぞれ例えばFET(Field effect transistor)等のスイッチ素子を用いて構成されるが、図11等で後述するように、1つのスイッチSWとして複数のスイッチ素子が設けられる場合もある。
容量部CM0からCM7は、ビット“0”からビット“7”の8ビットの値で選択される。容量部CM0及びスイッチSW0がビット0、容量部CM1及びスイッチSW1がビット“1”、・・・容量部CM7及びスイッチSW7がビット“7”として機能する。
そして8ビットの値として0(=「00000000」)から255(=「11111111」)の容量設定値が与えられる。容量設定値はMCU5がインターフェース・レジスタ回路44に書き込む設定情報の一つである。
受信回路42では、この8ビットの容量設定値に応じてスイッチSW0〜SW7がオン/オフされる。即ちスイッチSW0〜SW7は対応するビットが「0」であればオフ、「1」であればオンとなる。これにより計測用容量部424の全体の容量値が0fF〜510fFの範囲で256段階に可変されることになる。
図4の構成では、計測用容量部424の容量設定値を変更していくことで受信信号R−の波形の電位上昇程度を変化させることができ、例えば受信信号R+と同等となる計測用容量部424の容量設定値を見つけ出すことができる。
例えば図4の受信信号R−の破線で示す波形Sg1が初期状態であったとしたときに、計測用容量部424の容量を小さくすれば受信信号R−は波形Sg2のように波形Sg1より小さくなる。また、計測用容量部424の容量を大きくすれば受信信号R−は波形Sg3のように波形Sg1より大きくなる。
つまり、コンパレータ421で受信信号R+、R−の電圧レベルが同等となったときの計測用容量部424の容量設定値は、タッチによる受信信号R−の電圧変化に相当する値と等価となる。従って、コンパレータ421の出力をみながら計測用容量部424の容量設定値を変化させていき、受信信号R+、R−のアクティブ期間の電圧が同等となる容量設定値を探索する。すると探索された容量設定値を、タッチ操作のセンシング情報としてのRAW値とできることになる。
図5においてステップS100からS109のループ処理は、1つのセル(2つの送信信号線21と2つの受信信号線22の組)に対するセンシングの手順を示している。なお、RAW値を得るまでに容量設定値は8段階の異なる値を取る(初期状態から7回変更される)。
送信回路41ではドライバ411からの送信信号T+はLレベル、送信信号T−はHレベル(=駆動電圧AVCC1)とする。
受信回路42では、スイッチ423,425が端子Tiに接続される。これによりコンパレータ421の+入力端子、−入力端子はグランド接続される。
送信回路41ではドライバ411からの送信信号T+はHレベル(=駆動電圧AVCC1)、ドライバ412からの送信信号T−はLレベルとする。
受信回路42では、スイッチ423,425が端子Taに接続される。これによりコンパレータ421の+入力端子は基準容量部422を介して駆動電圧AVCC2に接続され、−入力端子は計測用容量部424を介して駆動電圧AVCC2に接続される。
ステップS103ではコンパレータ421が受信信号R+、R−を比較し、比較結果を出力する。コンパレータ421からは、(受信信号R+)>(受信信号R−)であればHレベル出力が得られ、(受信信号R+)<(受信信号R−)であればLレベル出力が得られる。
コンパレータ421の出力がHレベルであれば、ステップS105で計測用容量部424の容量切替が行われる。この場合、ビット“n”のスイッチをオンにしたまま、ビット“n−1”のスイッチをオンとする。
それまで上記のように初期状態で容量設定値=「10000000」とされてビット“7”のみオンとしていたときは、続いて容量設定値=「11000000」とされてビット“7”とビット“6”がオンとされる。即ちスイッチSW7,SW6がオンとされ、計測用容量部424の容量値は384fFとなる。
そしてステップS107で変数n>0であれば、ステップS108で変数nをデクリメントしてステップS101に戻る。つまり、計測用容量部424の容量を大きくした上で、アイドル期間、アクティブ期間の動作を行ってコンパレータ421の出力を確認する。
それまで初期状態で容量設定値=「10000000」とされてビット“7”のみオンとしていたとすると、続いて容量設定値=「01000000」とされてビット“7”がオフとされ、ビット“6”がオンとされる。即ちスイッチSW7がオフとされスイッチSW6がオンとされ、計測用容量部424の容量値は128fFとなる。
そしてステップS107で変数n>0であれば、ステップS108で変数nをデクリメントしてステップS101に戻る。つまり、計測用容量部424の容量を小さくした上で、アイドル期間、アクティブ期間の動作を行ってコンパレータ421の出力を確認する。
なお変数n=0のときのステップS105,S106においては、ビット“n−1”は存在しないので、ビット“n−1”の処理は行わない。
ステップS107で変数n=0となっていたらステップS109に進み、受信回路42はRAW値を算出する。これは計測用容量部424においてオンとなっているスイッチSWのビットの2のべき乗の総和をとるという処理となる。例えば仮に最終的にスイッチSW5、SW3、SW2がオンになっていたとしたら、25+23+22=44ということになり、RAW値=44となる。
タッチパネル2における各セル(2本の送信信号線21と2本の受信信号線22の組)について同様に図5の処理が行われ、RAW値が求められる。
MCU5は各セルについてのRAW値を取得し、タッチ操作位置の座標計算を行い、求めた座標値を製品側MCU90に送信する。
特に非タッチ時には受信信号R+、R−の電位のバランスがとれているようにし、タッチによる容量変化によって受信信号R+、R−の電位に差が生ずるようにしている。これを計測用容量部424の容量を順次変化させて受信信号R+、R−のバランスがとれる容量値を探索し、その容量値を指定する容量設定値からRAW値を得るようにしている。これによりタッチ操作による容量変化に起因する受信信号R+、R−の差分を正確に検出できる。
1つはタッチパネル2がシングルレイヤ構造の場合の事情である。シングルレイヤ構造の場合、非タッチの状態では、送信信号線21と受信信号線22の間で容量がほとんど生じない。つまり送信信号線21と受信信号線22の間(電極間)は絶縁状態にある。しかし非タッチ状態でも、アクティブ期間に受信信号波形が立ち上がるようにすることが必要である。このために駆動電圧AVCC2を送信することによって、シングルレイヤの場合にも対応して上記のセンシング動作が良好にできるようにしている。
またもう1つの理由はシングルレイヤに限ったことではない。上記のセンシング方式ではアクティブ期間に移行したときからの、受信信号R−の電位上昇幅を見ることになるが、送信信号T−の立ち下がりによる影響も把握したい。つまり図3に破線で示したΔVLの電位上昇も観測する必要がある。もしアクティブ期間での非タッチ状態での受信信号R+、R−の電位が0Vだと、立ち下がりの影響を受ける場合、受信信号R−の電位がマイナス値になってしまい、受信回路42において扱いにくいものとなる。そこで受信信号R−の電位が0V以下にならないように持ち上げておくようにし、送信信号T−の立ち下がりの影響による受信波形の電位を容易かつ適切に観測しやすくするために駆動電圧AVCC2を印加している。
[3−1:構成例I]
ところで以上のように計測用容量部424の容量値を切り替えながら受信信号R+、R−を比較していくことでタッチ時の容量変化を検出するセンシング動作では、その検出精度には、計測用容量部424の容量値のリニアリティ(線形性)が大きく関わる。
図6には、このようにそれぞれ1つのコンデンサを用いる場合の、各容量部CMのコンデンサの面積を示している。
上記のように容量設定値=63のときは、容量部CM0〜CM5の6個のコンデンサの並列接続により計測用容量部424の容量値は126fFとなり、容量設定値=64では容量部CM6により計測用容量部424の容量値は128fFとなる。
ところが例えば2fFというような極めて小さい容量のコンデンサは、正確な容量とすることが困難という事情がある。また面積の小さいコンデンサほど製造誤差の影響を受けやすいということもある。
これらのことから、容量部CM0〜CM5の6個のコンデンサの並列接続による容量が製造誤差の影響で、126fFとはならず、128fFよりも大きくなってしまうことがある。すると容量設定値=63のときの容量より、容量設定値=64の容量が小さくなってしまう。
このように容量設定値で制御されるべき256段階の容量値に、大小関係の逆転現象がおきることがある。このような逆転現象が多く起きる状態をリニアリティが悪い状態といっている。そして上述の図5の処理を考えれば理解されるとおり、リニアリティが悪いと、RAW値を正確に生成できなくなる。
容量部CM3は16fFのコンデンサ1つで構成する。
容量部CM4は16fFの2つのコンデンサの並列接続で32fFの容量を構成する。
容量部CM5は16fFの4つのコンデンサの並列接続で64fFの容量を構成する。
容量部CM6は16fFの8つのコンデンサの並列接続で128fFの容量を構成する。
容量部CM7は16fFの16個のコンデンサの並列接続で256fFの容量を構成する。
容量部CM2は16fFの2つのコンデンサの直列接続で8fFの容量を構成する。
容量部CM1は16fFの4つのコンデンサの直列接続で4fFの容量を構成する。
容量部CM0は16fFの8つのコンデンサの直列接続で2fFの容量を構成する。
図8Aは、各容量部CM0〜CM7をそれぞれ容量値の異なる1つのコンデンサで形成した場合、図8Bは各容量部CM0〜CM7を図7のように全て同じ容量値のコンデンサで形成した場合である。
横軸は容量設定値としての0〜255を示す。縦軸は出力電圧Vcとしている。この出力電圧Vcとは、計測用容量部424を受信信号線22に接続しない状態で、駆動電圧AVCC2を印加したときの立ち上がり波形の電圧値(コンパレータ421側に出力される電圧値)である。
観測される出力電圧Vcは間接的に計測用容量部424の各段階の容量値を表すものとなる。
一方図8Bでは観測される出力電圧Vc(容量値)の上下変動がかなり抑えられており、リニアリティがかなり改善されていることがわかる。
コンデンサの容量は面積や周辺長に依存する。そしてIC内におけるコンデンサのレイアウトの仕上がり寸法の誤差が容量誤差として表れる。このときに、レイアウト面積が大きいほど寸法誤差の影響を受けにくく、面積が小さいほど影響を受けやすくなる。
なお基本的(理論的)にはコンデンサ容量は面積に比例する。
ここで、IC上での仕上がり寸法が+0.1μmとなった場合を想定する。
16fFのコンデンサは仕上がり寸法が5.1μm×5.1μmの正方形で、64fFのコンデンサは仕上がり寸法が10.1μm×10.1μmの正方形となる。
(5.1μm×5.1μm)÷(5μm×5μm)=1.04
となり、4%の容量誤差が生じていることになる。
64fFの容量の変化量は、
(10.1μm×10.1μm)÷(10μm×10μm)=1.01
となり、2%の容量誤差が生じていることになる。
・16fF:4%誤差=16.64
・32fF:2.8%の誤差=32.9fF
・64fF:2%の誤差=65.28fF
・128fF:1.4%の誤差=129.79fF
・256fF:1%の誤差=258.56fF
その容量部CM0〜CM6の各容量値の総和は、仮に2fFから8fFまでの誤差を16fFと同じ4%としても、2.08+4.16+8.32+16.64+32.9+65.28+129.79=259.17[fF]となる。つまり容量を「254fF」としたいときの容量値が「259.17fF」となる。
一方、実際の「256fF」のコンデンサは上記の誤差で258.56fFなので、「254fF」≧「256fF」となって逆転現象が起きてしまう。
即ち仕上がり寸法の誤差が与える容量誤差が容量毎にばらつくことで、このような逆転現象が例えば256段階という可変容量の各段階において多く発生し、リニアリティが悪化する。
つまり、図9Bのように、仕上がり寸法が+0.1μmであると仮定して上記と同様に計算すると、実際の容量は次の通りとなる。全てのコンデンサが5.1μm×5.1μmの正方形となる場合である。
・16fFの容量部CM3:4%誤差=16.64fF
・32fFの容量部CM4:16.64fF×2=33.28fF
・64fFの容量部CM5:16.64fF×4=66.56fF
・128fFの容量部CM6:16.64fF×8=133.12fF
・256fFの容量部CM7:16.64fF×16=266.24fF
この場合、容量誤差がすべて4%のため、上記の「254fF」≧「256fF」といったような逆転現象が起きない。従ってリニアリティが大幅に改善されることになる。
リニアリティ改善のための計測用容量部424の他の構成(構成例II)を説明する。
先の図7のように、各容量部CM0〜CM7を全て同じ容量値のコンデンサで形成することでリニアリティが改善できるが、さらに容量精度を向上させることができる例を図10に示す。
この図10では、複数のコンデンサの並列接続により構成される容量部CM4〜CM7に対応するスイッチSW4〜SW7は、スイッチ素子が、それぞれ容量素子に1:1で対応するように設けられている。
スイッチSW5,SW6,SW7も同様である。例えば容量部CM7は16個の16fFのコンデンサの並列接続により256fFが得られるようにしているが、これに対応するスイッチSW7としては、この16個のコンデンサに対応する16個のスイッチ素子を設けるようにしている。
このように計測用容量部424内の容量部CMとして並列接続されるコンデンサについては、1つ1つの16fFのコンデンサに対応してスイッチ素子が設けられている。
例えばスイッチSW4の2つのスイッチ素子は、容量部CM4を選択するときに同時にオンとされ、また容量部CM4を全体の容量から外すときに同時にオフとされる。
容量部CMのコンデンサとスイッチSWのスイッチ素子との配線間では寄生容量が生じるが、容量部CM4〜CM7において、並列の各コンデンサにそれぞれスイッチ素子を接続することで、寄生容量の均一化を図ることができ、これによって寄生容量に起因する容量誤差を低減し、精度の高い容量値を形成することができる。従ってリニアリティの改善に寄与できる。
計測用容量部424の構成例IIIを図11で説明する。
これは容量部CM0〜CM7について、第1の特定の容量値のコンデンサと第2の特定の容量値のコンデンサを用いる例である。
容量部CM0〜CM3については第1の特定の容量値である16fFのコンデンサを用いて、図7の例と同様に構成している。
容量部CM4は32fFの1つのコンデンサで構成する。
容量部CM5は32fFの2つのコンデンサの並列接続で64fFの容量を構成する。
容量部CM6は32fFの4つのコンデンサの並列接続で128fFの容量を構成する。
容量部CM7は32fFの8つのコンデンサの並列接続で256fFの容量を構成する。
もちろんこれに限らず、図7のように容量部CM5〜CM7に対応するスイッチSW5〜SW7が1つのスイッチ素子で形成されてもよい。
なお、第1、第2の特定の容量値のコンデンサを16fF、32fFのコンデンサとしたのは一例にすぎない。他の容量値を採用しても良いことはいうまでもない。
計測用容量部424の構成例IVを図12で説明する。
これも容量部CM0〜CM7について、第1の特定の容量値のコンデンサと第2の特定の容量値のコンデンサを用いる例である。但し、第1の特定の容量値のコンデンサを16fFのコンデンサ、第2の特定の容量値のコンデンサを128fFのコンデンサとするとともに、この第1、第2の特定の容量値以外の容量値のコンデンサも用いる例である。
容量部CM4は32fFの1つのコンデンサで構成する。
容量部CM5は64fFの1つのコンデンサで構成する。
容量部CM6は第2の特定の容量値である128fFの1つコンデンサの並列接続で128fFの容量を構成する。
容量部CM7は第2の特定の容量値である128fFの2つコンデンサの並列接続で256fFの容量を構成する。
また図12の例でも、先の図10のように、コンデンサを並列接続する場合には、それぞれにスイッチ素子を接続するようにしている(容量部CM7、スイッチSW7)。もちろんこれに限らず、図7のように容量部CM7に対応するスイッチSW7が1つのスイッチ素子で形成されてもよい。
以上の実施の形態のタッチパネル装置1又はタッチパネル駆動装置3によれば次のような効果が得られる。
コンデンサの並列接続又は直列接続を用いることで、計測用容量部424全体としてコンデンサの容量の種別の数を抑えることができる。或る容量値のコンデンサを用いて、各種の容量値の容量部を形成できるためである。これにより各コンデンサの容量誤差の影響を抑え、計測用容量部424が受信信号線22に与える各段階の容量のリニアリティが向上される。これによりタッチパネルのセンシング精度を向上させることができ、操作位置としての座標の再現性や正確性を向上させることができる。
このように計測用容量部424で各容量値を得るためのコンデンサを、全て特定の容量値のコンデンサとすることで、コンデンサ間の容量誤差を均一化できる。
上述のようにIC内のコンデンサの容量は膜厚、面積、周囲長に依存する。そして同一IC内で考えれば、各コンデンサに影響する膜厚は同等と考えられるため、個々のコンデンサについては面積や周囲長が容量ばらつきに影響する。そして仕上がり寸法の誤差は、各容量毎に影響の度合いがことなる。逆に言えば、全て同じ容量であれば、仕上がり寸法のばらつきによる容量誤差は均一化されていることになる。
このため本構成によれば、計測用容量部424の各コンデンサは同じ誤差を含む容量値となり、従って、例えば8ビットの容量設定値で制御される256段階の容量は、容量値の逆転ということが生じない、もしくは生じにくいということになる。
結果として、計測用容量部424のリニアリティが改善されることになり、これによりRAW値の正確性が確保される。従ってMCU5が求める操作位置座標の情報の精度も向上し、製品側MCU90に対して高精度な操作検出情報を提供できることになる。
また、図7のように16fFのコンデンサを用いて、2fF〜256fFの8個の容量部CM0〜CM7を形成することで、必要なコンデンサ数を少なくできる。例えば全て2fFのコンデンサとすると、256fFのためには128個のコンデンサを並列接続することになり、容量部CM0〜CM7を構成するためには合計255個のコンデンサが必要になる。また全て256fFのコンデンサとしても、容量部CM0〜CM7を構成するためには同じく合計255個のコンデンサが必要になる。これに対して、16fF(又は32fF)のコンデンサを用いれば容量部CM0〜CM7は合計45個のコンデンサで実現できる。つまり容量部CM0〜CM7のうちの中央値となる容量のコンデンサを用いることで、必要なコンデンサ数を少なくでき、IC設計に有利となる。
さらには、16fFのコンデンサと32fFのコンデンサを用いる場合を比較すると、1つのコンデンサ面積は16fFの方が小さい。従って中央値となる容量のコンデンサが2種類ある場合は、小さい容量の方が、ICレイアウトにおいて面積的に有利となる。
また、実施の形態のように、fFオーダーという非常に小容量の場合、特に2fFなどの容量は正確な製造が難しくなる。その意味で、容量部CM0〜CM7としての最小値となるコンデンサを用いず、中央値となるコンデンサを用いることで製造の安定性及びそれによる品質の向上にも好適である。
つまり2つの特定の容量値のコンデンサを用いて、小さい容量値の容量部と、大きい容量値の容量部で使い分けることによっても、計測用容量部424全体としてコンデンサの容量の種別の数を抑えることができる。これにより各コンデンサの容量誤差の影響を抑え、計測用容量部424が受信信号線22に与える各段階の容量のリニアリティが向上される。
このように容量部CM0〜CM7が並列的に一方の受信信号線に接続されることで、計測用容量部424は容量部CM0〜CM7の選択によって合成容量値を複数段階に可変できる。そして各コンデンサの容量誤差が均一化されていることで、このように複数段階のうちで、小さい容量値の方が大きい容量値よりも実際の容量が大きくなってしまうといった逆転現象が起きないようになる。従って第1容量部(CM0)から第X容量部(CM7)の選択によりリニアリティのよい多段階の合成容量値を受信信号線22に与えることができる。
具体的には実施の形態の場合、容量部CM0〜CM7の各容量値は、21,22,23・・・28の比の関係を持つ2の1乗から2のX乗までの容量値とされている。
これにより計測用容量部は容量部の選択によって合成容量値は2X段階に可変できる。
そして各コンデンサの容量誤差が均一化されていることで、このように2X段階のうちで、小さい容量値の方が大きい容量値よりも実際の容量が大きくなってしまうといった逆転現象が起きないようになる。
さらにこの場合、Xビットの容量設定値で容量可変制御をすることが好適となる。例えば8ビットの容量設定値で、各ビットを容量部CM0〜CM7のスイッチSW0〜SW7のオン/オフ制御に割り当てる。これにより容量設定値自体が第1容量部(CM0)から第X容量部(CM7)の選択により実現される256段階の合成容量値を示す値となり、上述のように、容量設定値を用いてRAW値を得ることができる。これは演算処理上、非常に効率的な処理となる。
例えば基準容量部422側は、1つの256fFのコンデンサで構成すればよいが、比較基準としての精度向上を考えれば、基準容量部422も、16fFの16個のコンデンサの並列接続で256fFの容量を構成することも考えられる。
受信回路42や計測用容量部424は図3や図7に示した構成に限らない。計測用容量部424は16fFのコンデンサを用いたが、もちろん32fFのコンデンサを用いたり、8fFのコンデンサを用いるといった例も考えられる。
また容量部CM0〜CM7で256段階に容量可変できる構成としたが、より多数の容量部CMを設け、より多段階に容量可変できるようにすることも考えられる。もちろん可変容量段階数を少なくする例も考えられる。
Claims (9)
- タッチパネルに対し、順次、隣接する一対の送信信号線と隣接する一対の受信信号線を選択する走査を行うタッチパネル駆動装置であって、
前記タッチパネルの一対の受信信号線からの、操作に伴う容量変化によって波形が変化する各受信信号を受信して、タッチパネル操作監視のための検出値を生成する受信回路を備え、
前記受信回路は、
一方の受信信号線に接続される計測用容量部の容量値を順次切り替えながら一方と他方の受信信号線からの各受信信号のレベルを比較する動作を行って前記検出値を生成するものとされ、
前記計測用容量部には、該計測用容量部の容量値の切り替えに用いる1つの容量値を形成する容量部として、複数のコンデンサの並列接続又は直列接続により或る容量値を形成する容量部が設けられている
タッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部では、全ての前記容量部が、全て特定の容量値のコンデンサにより形成されている
請求項1に記載のタッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部における前記特定の容量値よりも大きい容量値となる容量部は、前記特定の容量値の複数のコンデンサの並列接続で構成されている
請求項2に記載のタッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部における前記特定の容量値よりも小さい容量値となる容量部は、前記特定の容量値の複数のコンデンサの直列接続で構成されている
請求項2又は請求項3のいずれかに記載のタッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部には、
第1の特定の容量値のコンデンサの直列接続により前記第1の特定の容量値よりも小さい容量値を形成する前記容量部と、
第2の特定の容量値のコンデンサの並列接続により前記第2の特定の容量値よりも大きい容量値を形成する前記容量部と、が設けられている
請求項1に記載のタッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部には、前記容量部として、前記一方の受信信号線に対してそれぞれ並列に接続可能な第1容量部から第X容量部までの複数の容量部が設けられ、
前記第1容量部から前記第X容量部までの各容量部はそれぞれ独立して前記一方の受信信号線に対して接続オン/オフが可能に構成されている
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のタッチパネル駆動装置。但しXは2以上の自然数。 - 前記計測用容量部における前記第1容量部から第X容量部までの各容量部の容量値は、2のべき乗の関係の容量値とされている
請求項6に記載のタッチパネル駆動装置。 - 前記計測用容量部には、前記容量部として、前記一方の受信信号線に対してそれぞれ並列に接続可能な第1容量部から第X容量部までの複数の容量部が設けられ、
前記第1容量部から前記第X容量部までの各容量部はそれぞれ対応するスイッチにより独立して前記一方の受信信号線に対して接続オン/オフが可能に構成されているとともに、
複数のコンデンサの並列接続で構成されている容量部に対応する前記スイッチは、前記複数のコンデンサのそれぞれに接続された複数のスイッチ素子により構成されている
請求項3又は請求項5に記載のタッチパネル駆動装置。但しXは2以上の自然数。 - タッチパネルと、
前記タッチパネルに対し、順次、隣接する一対の送信信号線と隣接する一対の受信信号線を選択する走査を行うタッチパネル駆動装置とを有し、
前記タッチパネル駆動装置は、前記タッチパネルの一対の受信信号線からの、操作に伴う容量変化によって波形が変化する各受信信号を受信して、タッチパネル操作監視のための検出値を生成する受信回路を備え、
前記受信回路は、
一方の受信信号線に接続した計測用容量部の容量値を順次切り替えながら一方と他方の受信信号線からの各受信信号のレベルを比較する動作を行って前記検出値を生成するものとされ、
前記計測用容量部には、該計測用容量部の容量値の切り替えに用いる1つの容量値を形成する容量部として、複数のコンデンサの並列接続又は直列接続により或る容量値を形成する容量部が設けられている
タッチパネル装置。
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