JP2019138725A - 糖薄膜の形成方法および弾性表面波センサ - Google Patents

糖薄膜の形成方法および弾性表面波センサ Download PDF

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【課題】薄く、均一な糖薄膜が形成可能な糖薄膜形成方法と、弾性表面波センサとを提供する。【解決手段】(A)に示すように、SAWデバイス30の伝搬路331上に糖原液40を塗布し、(B)に示すように、伝搬路331の斜め上方からノズル50などを利用して圧縮空気を吹き出し、その風圧(エアブロー)で余分な糖原液40を吹き飛ばして、伝搬路331の周囲を覆う糖原液40の溶媒を風圧により一瞬で気化させて糖薄膜を形成する。【選択図】図5

Description

本発明は、表面に反応物質が固定化された固定化層の上に糖薄膜を形成する糖薄膜形成方法と、SAWデバイスを利用した弾性表面波センサとに関する。
各種物質の検出や物性値などの特性を測定するためのセンサとして、弾性表面波センサが知られている。弾性表面波センサは、圧電基板上に弾性表面波の伝搬路と、この伝搬路を挟むように配置された櫛形の電極と反射器とが設けられたSAW(Surface Acoustic Wave)デバイスを備えている。伝搬路に測定の対象物である液体を滴下し、櫛形電極から所定周波数のバースト状の入力信号を加えると、伝搬路を弾性表面波が伝搬して反射器で反射され、櫛形電極で受信されて信号が出力される。この出力信号の振幅および位相を検出することで、液体の特性を測定することができる。
また、SAWデバイスを利用して抗原抗体反応を検出できるようにした弾性表面波センサも知られている(例えば、特許文献1参照)。この弾性表面波センサは、SAWデバイスの伝搬路に予め抗体が固定化されており、この伝搬路に抗原を含む液状の検体を滴下することで、抗原と抗体との間で抗原抗体反応を生じさせる。そして、抗原抗体反応の前後で変化する弾性表面波の出力信号を測定することにより抗原抗体反応を検出する。
ところで、伝搬路に固定化された抗体は、熱エネルギや湿度が加えられた場合、あるいは液相から気相への乾燥時などに、抗原と反応する性質が失われるような立体構造の変化、いわゆる変性することが知られている。そのため、抗体の活性を長期間保持するために、抗体を保護する保護膜が必要となる。固定化された抗体の保護には、例えば、実験用の安定化剤などを用いることができる。
また、抗体(タンパク質)を安定させる材料の1つとして、糖(例えば、スクロース等)がある。例えば、抗体が固定化された固定化層に抗原を含む液状の検体を供給して抗原抗体反応を観察するテストパッドでは、固定化層の上に糖薄膜を形成して表面の抗体を保護するものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の発明では、固定化層の上に糖原液を塗布した後、真空乾燥機によって乾燥して固定化することにより、糖薄膜を形成している。
特開2017−009492号公報 特開2017−116537号公報
糖薄膜は、乾燥して固定化すると強固なガラス化状態となる。ガラス化状態とは、成分中の分子運動が極端に抑えられて、結晶したり、溶融したりせず、非常に安定な固形状態にとどまることを意味する。そのため、ガラス化状態となった糖薄膜は、SAWデバイスにとって大きな質量負荷となり、この質量負荷がSAWデバイスのデバイス特性を損なうおそれがある。そのため、できるだけ薄く、かつ、均一に糖薄膜を形成する必要があるが、従来の一般的な乾燥方法である自然乾燥や、真空乾燥、凍結乾燥などでは、薄く厚みが均一な糖薄膜を形成するのは難しい。
本発明は、上記課題を解決するために、薄く、均一な糖薄膜が形成可能な糖薄膜形成方法と、弾性表面波センサとを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表面に反応物質が固定化された固定化層の上に、前記反応物質を保護するための糖薄膜を形成する糖薄膜形成方法であって、前記固定化層の上に前記糖原液を塗布し、塗布された前記糖原液に風圧を与えて余分な前記糖原液を吹き飛ばし、前記固定化層の周囲を覆う前記糖原液の溶媒を気化させて前記糖薄膜を形成する、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の糖薄膜形成方法であって、前記糖原液は、前記糖薄膜の膜厚に応じて糖濃度が調整される、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の糖薄膜形成方法であって、前記固定化層は、SAWデバイスの伝搬路である、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、弾性表面波の伝搬路上に反応物質が固定化されたSAWデバイスを備え、前記伝搬路上に供給された検体と前記反応物質との反応を測定する弾性表面波センサであって、前記伝搬路の上に、前記反応物質と前記検体との反応時に出力信号の位相が負方向にのみ変化し、かつ、ダイナミックレンジの低濃度範囲測定時の前記出力信号の位相が負方向にのみ変化する糖薄膜を設けた、ことを特徴とする。
請求項1、4に記載の発明によれば、自然乾燥などで形成した場合よりも薄く、かつ、均一に糖薄膜を形成することができるので、反応物質と検体との反応時に出力信号の位相が負方向にのみ変化する糖薄膜を得ることができる。したがって、SAWセンサを利用した弾性表面波センサにおいて、高い精度で抗原抗体反応を検出することが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば、糖原液の濃度調整により糖薄膜の形成厚を設定することができるので、膜厚調整が非常に簡単になる。
本発明の弾性表面波センサを利用した特性測定装置の構成を示す外観斜視図である。 図1の特性測定装置の機能的構成を示すブロック図である。 図1の弾性表面波センサに内蔵されたSAWデバイスの構成を示す平面図である。 図3のA−A断面図である。 図3のSAWデバイスに糖薄膜を形成する手順を示し、(A)は糖原液を塗布し、(B)は塗布した糖原液を風圧により吹き飛ばしている状態を示す。 自然乾燥により糖薄膜が形成された伝搬路を示す平面図である。 風圧で糖濃度が8%の糖薄膜が形成された伝搬路を示す平面図である。 風圧で糖濃度が20%の糖薄膜が形成された伝搬路を示す平面図である。 図6、7、8の糖薄膜を備えた弾性表面波センサで抗原抗体反応を検出した際の出力信号を示すグラフである。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1ないし図9は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る特性測定装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、特性測定装置1の機能的構成を示すブロック図である。特性測定装置1は、SAWデバイスを利用して抗原抗体反応を検出するための装置であり、主として、弾性表面波センサ10と、装置本体20とを備えている。ここで、弾性表面波センサ10と装置本体20とは別体で、弾性表面波センサ10が装置本体20に対して着脱自在となっている。
弾性表面波センサ10は、外装ケース11内にSAWデバイス30を内蔵している。このSAWデバイス30は、伝搬路(固定化層)の上に抗体(反応物質)が固定化されている。外装ケース11の上面に設けられた注入孔12から抗原を含む液状の検体を注入すると、その検体は伝搬路上に滴下されて抗原抗体反応が発生する。
装置本体20は、入力信号を弾性表面波センサ10に入力し、弾性表面波センサ10が出力した出力信号に基づき、弾性表面波センサ10で発生した抗原抗体反応を検出する装置であり、その外装側に電源スイッチ21と、挿入部22とを備えている。また、機能構成として、発振器23と、バッファー24、25と、分配器26と、検出部27と、切替スイッチ28とを備えている。
電源スイッチ21は、特性測定装置1の電源をオン/オフするためのスイッチである。挿入部22は、弾性表面波センサ10の接続部13が挿入されて装置本体20と弾性表面波センサ10とが接続されるためのコネクタ部分である。
発振器23は、所定周波数・所定振幅のバースト状の基準波を生成し、生成した基準波を送信信号として、バッファー24を経由して分配器26へ送る。この発振器23は、複数の周波数信号を生成、発振可能となっている。分配器26は、バッファー24から受け取った送信信号を、一方はバッファー25を経由して弾性表面波センサ10へ、他方は基準信号として検出部27へと分配する装置である。
検出部27は、SAWデバイス30からの出力信号を基に抗原抗体反応を検出する。具体的には、分配器26から入力された基準信号と、SAWデバイス30から入力された出力信号との差分から位相値(0−360°の絶対値)を求め、この位相値を一定間隔で連続して測定し、測定開始時と測定終了時の位相値の差分を位相変化として求める。SAWデバイス30で抗原抗体反応が発生すると、出力信号の位相変化が大きくなるので、位相変化から抗原抗体反応を検出することができる。なお、抗原抗体反応の検出には、前述したように測定開始時と測定終了時の位相変化を利用してもよいし、測定開始時から測定終了時までの位相傾斜を利用してもよい。
切替スイッチ28は、SAWデバイス30をバッファー25と検出部27とに選択的に接続する。すなわち、切替スイッチ28は、発信器23からSAWデバイス30へ送信信号を入力する際にバッファー25とSAWデバイス30とを接続し、SAWデバイス30から検出部27へ出力信号を入力する際に検出部27とSAWデバイス30とを接続する。
図3および図4は、SAWデバイス30の平面図と、平面図のA−A側面図である。SAWデバイス30は、プリント基板31と、圧電基板32と、第1のSAWパターン33と、第2のSAWパターン34と、封止樹脂35と、封止板36と、を備える。
プリント基板31は、SAWデバイス30全体を支持する支持基板であり、外装ケース11内に固定されている。また、プリント基板31には、第1のSAWパターン33および第2のSAWパターン34と、上述した接続部13とを電気的に接続するための配線パターンが設けられている。
圧電基板32は、プリント基板31の上に固定されている。圧電基板32は、弾性表面波を伝搬させることができるものであれば、特に限定されないが、例えば36度Y板90度X軸伝播の水晶基板であり、または、36度Y板X軸伝播タンタル酸リチウム(LiTaO3)である。弾性表面波は、圧電基板32の表面に沿って伝搬する波であり、例えば、横波の伝播するすべり弾性表面波である。
第1のSAWパターン33は、反射型遅延線タイプのSAWパターンであり、伝搬路331と、櫛形電極332と、反射器333と、一対のボンディングワイヤ334とを備える。
伝搬路331は、検体が載置される領域であり、櫛形電極332に隣接する位置から圧電基板32の長手方向に沿って一端側まで延びるように、圧電基板32の表面に形成されている。伝搬路331は、例えば、圧電基板32上に蒸着された金属膜からなり、この金属膜の材料には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、などが用いられ、より具体的には検体に対して化学的に安定している材質が好ましい。
櫛形電極332は、伝搬路331に隣接するように圧電基板32の他端側に配置されている。櫛形電極332は、一対の入力端子がボンディングワイヤ334によってプリント基板31の接点311に電気的に接続されている。弾性表面波センサ10が装置本体20にセットされると、櫛形電極332は、接点311およびボンディングワイヤ334を介して装置本体20と電気的に接続される。櫛形電極332は、入力端子に装置本体20から高周波発振信号が印加されると、これにより励振されて圧電基板32上に弾性表面波を発生させる。圧電基板32上に発生した弾性表面波は、伝搬路331上を圧電基板32の一端側に向けて伝搬され、複数本の反射器333で反射されて櫛形電極332により受信される。
伝搬路331の上面には、検体内の抗原を抗原抗体反応により捕捉する抗体335が固定化されている。この抗体335は、例えば、伝搬路331の上面に塗布して固定化し安定剤とともに乾燥状態となっており、伝搬路331の上に検体が供給されると、検体内の抗原を抗原抗体反応により捕捉し、伝搬路331を伝わる表面波の位相(速度)を変化させる。
抗体335の上には、抗体335を変性から保護して活性状態を保持する糖薄膜336が設けられている。この糖薄膜336は、抗体335の上に数μm〜数十μmの厚さで均一に設けられており、より具体的には、抗原抗体反応時の出力信号の位相が負方向にのみ変化するような糖薄膜、さらに好ましくは、ダイナミックレンジの低濃度範囲測定時の出力信号の位相が負方向にのみ変化するような糖薄膜となっている。
ここで、「ダイナミックレンジ」とは、ターゲット毎に異なるが、検出限界の濃度Aから飽和する高濃度Bまでをいう。また、「低濃度範囲測定時」とは、濃度√B/Aを低濃度として測定する場合をいう。さらに、「出力信号の位相が負方向にのみ変化する」とは、低濃度範囲を測定した際の出力信号の位相が、負方向にのみ変化する場合をいう。
第2のSAWパターン34は、第1のSAWパターン33と同様に反射型遅延線タイプのSAWパターンであり、伝搬路341と、櫛形電極342と、複数本の反射器343と、一対のボンディングワイヤ344とを備える。第2のSAWパターン34は、第1のSAWパターン33と種類が異なる検体を固定化して同時に異なる抗原抗体反応を検出可能にするために設けられたものであり、具体的な構成は第1のSAWパターン33と同様であるため、詳しい説明は省略する。
封止樹脂35は、伝搬路331、341の周囲を囲むように配置された部材であり、黒色樹脂で構成されている。すなわち、封止樹脂35は、伝搬路331、341に供給された液状の検体が樹脂外のプリント基板31の表面に漏れたり、外装ケース11内で流動するのを防ぐために、伝搬路331、341の周囲を囲っている。
封止板36は、櫛形電極332、342を液体から保護するための保護板であり、櫛形電極332、342の上方に空間を空けて配設されている。なお、封止板36と櫛形電極332、342との間に空間が形成するために、櫛形電極332、342の外周を高さ数十μmの壁で囲うことが好ましく、この壁は厚膜レジストをフォトリソグラフィの技術で形成することができる。
次に、図5に基づいて、上述した糖薄膜336の形成方法について説明する。同図(A)に示すように、伝搬路331の上面に抗体335が固定化されたSAWデバイス30に対し、糖薄膜336の原液である糖原液40が塗布される。糖原液40の塗布は、上方から糖原液40を滴下する。なお、SAWデバイス30の伝搬路331のように表面の傷が問題となるデバイスには採用できないが、刷毛やヘラ等で塗布してもよい。糖原液40の塗布量は、伝搬路331、341全体、より具体的には、封止樹脂35で囲まれた四角形状の領域全体が糖原液40で覆われるように塗布される。
糖原液40は、溶媒中に糖類が溶融された液体であり、溶媒としては、例えば、水、エタノールまたはこれらの混合溶媒などが挙げられる。糖類としては、例えば、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、イノシトール、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオースなどが挙げられる。糖原液40の糖濃度は、形成される糖薄膜336の膜厚に応じて調整され、膜厚が厚いほど糖濃度が高くされ、膜厚が薄いほど糖濃度が低くされる。
次に、図5(B)に示すように、伝搬路331、341の斜め上方からノズル50などを利用して圧縮空気を吹き出し、その風圧(エアブロー)で糖原液40を吹き飛ばす。これにより、余分な糖原液40が吹き飛ばされ、伝搬路331、341の周囲を覆う糖原液40の溶媒が風圧により一瞬で気化して糖薄膜336が形成される。なお、圧縮空気を吹き付ける方向は斜め上方に限定されず、伝搬路331、341から外周の封止樹脂35までの間隔や、封止樹脂35の高さなどに応じて適宜調整可能である。
図6〜8は、糖原液40を塗布して乾燥し、糖薄膜336が形成された伝搬路331、341を示す写真である。より詳しくは、図6は自然乾燥で形成された糖薄膜を示し、図7はスクロース濃度が8%の糖原液40で風圧により形成された糖薄膜を示し、図8はスクロース濃度が20%の糖原液40で風圧により形成された糖薄膜を示す。
図6の写真から分かるように、糖薄膜を自然乾燥で形成した場合、糖薄膜の上部と下部とで膜厚の不均一が生じていることが分かる。また、糖薄膜全体が白っぽく写っていることから、糖薄膜の光反射率が高い、すなわち、膜厚がかなり厚くなっていることが分かる。特に、糖薄膜の下方部分でモアレ状の模様が発生していることから、糖薄膜がかなり厚く乾燥されてガラス化状態になっていることが分かる。
これに対し、図7、8の写真から分かるように、本実施形態の糖薄膜形成方法を利用した場合、糖薄膜の膜厚に不均一は発生していない。また、写真の濃度から、図8の糖薄膜のほうが図7の糖薄膜よりも厚く形成されていることが分かるが、図6のようなモアレ状の模様が発生していないことから、自然乾燥よりも薄い膜厚で糖薄膜が形成されていることが分かる。
図9は、図6〜8の糖薄膜が設けられた弾性表面波センサ10を利用して、比較的低濃度の同じ抗原の抗原抗体反応を検出した際の出力信号の位相を示すグラフである。このグラフの反応曲線から分かるように、本実施形態の糖薄膜形成方法を利用すれば、糖薄膜の糖濃度、すなわち膜厚が異なる場合でも反応曲線に大きな違いはない。すなわち、糖薄膜の粘性により、SAWデバイス30のデバイス特性を損なうことはない。
これに対し、自然乾燥で糖薄膜を形成した場合には、風圧を利用する場合に比べて非常に厚く糖薄膜が形成されるので、糖薄膜の粘性により、SAWデバイス30のデバイス特性に大きな影響を受けてしまう。特に、このグラフでは、反応初期に負方向へ大きな位相変化(うねり)が生じ、その後に正方向へ変化し、再度緩やかに負方向へ変化するので、抗原抗体反応を適切な検出精度で検出することができないことが分かる。
自然乾燥した糖薄膜でグラフに示すうねりが発生するのは、検体を滴下した直後は、自然乾燥した糖膜が溶け出し始めでセンサ表面近傍の粘性が高くなり、出力信号が急峻に負の方向へ変化するためである。その後、徐々に液全体に拡散するためセンサ表面近傍として粘性が下がるので、グラフは正の方向へ変化する。このように、弾性表面波のエネルギは表面近傍に集中するため、表面から離れた部分は検出されない。特に、低濃度の検体は、抗原が少ないので抗原抗体反応が小さく、水分が多いので糖膜を早く溶かしてしまうことから、うねりが発生しやすくなり、自然乾燥膜では粘性変化に埋もれて抗原抗体反応を適切な検出精度で検出することができなくなる。
これに対し、本実施形態の糖薄膜形成方法を利用すれば、抗原抗体反応時の出力信号の位相が負方向にのみ変化するような糖薄膜、さらに好ましくは、ダイナミックレンジの低濃度範囲測定時の出力信号の位相が負方向にのみ変化するような糖薄膜を形成することができるので、自然乾燥膜で発生する位相変化のうねりを抑えることが可能である。
以上のように、この実施の形態に係る弾性表面波センサ10によれば、自然乾燥などで形成した場合よりも薄く、かつ、均一に糖薄膜336を形成することができるので、抗体335と抗原との反応時に出力信号の位相が負方向にのみ変化する糖薄膜336を得ることができる。したがって、SAWデバイス30を利用した弾性表面波センサ10において、高い精度で抗原抗体反応を検出することが可能となる。
さらに、糖原液40の濃度調整により糖薄膜336の膜厚を設定することができるので、膜厚調整が非常に簡単になる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、SAWデバイス30の伝搬路331、341に糖薄膜336を形成する場合について説明したが、特許文献2で説明したテストパッドの固定化層に糖薄膜を形成する際にも適用することが可能である。また、SAWデバイスを例に説明したが、QCM(Quartz Crystal Microbalance)デバイスへも適用可能である。
1 特性測定装置
10 弾性表面波センサ
20 装置本体
30 SAWデバイス
32 圧電基板
33 第1のSAWパターン
331 伝搬路
332 櫛形電極
333 反射器
335 抗体
336 糖薄膜
34 第2のSAWパターン
341 伝搬路
342 櫛形電極
343 反射器
345 抗体
346 糖薄膜
35 封止樹脂
36 封止板

Claims (4)

  1. 表面に反応物質が固定化された固定化層の上に、前記反応物質を保護するための糖薄膜を形成する糖薄膜形成方法であって、
    前記固定化層の上に前記糖原液を塗布し、
    塗布された前記糖原液に風圧を与えて余分な前記糖原液を吹き飛ばし、
    前記固定化層の周囲を覆う前記糖原液の溶媒を気化させて前記糖薄膜を形成する、
    ことを特徴とする糖薄膜形成方法。
  2. 前記糖原液は、前記糖薄膜の膜厚に応じて糖濃度が調整される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の糖薄膜形成方法。
  3. 前記固定化層は、SAWデバイスの伝搬路である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の糖薄膜形成方法。
  4. 弾性表面波の伝搬路上に反応物質が固定化されたSAWデバイスを備え、前記伝搬路上に供給された検体と前記反応物質との反応を測定する弾性表面波センサであって、
    前記伝搬路の上に、前記反応物質と前記検体との反応時に出力信号の位相が負方向にのみ変化し、かつ、ダイナミックレンジの低濃度範囲測定時の前記出力信号の位相が負方向にのみ変化する糖薄膜を設けた、
    ことを特徴とする弾性表面波センサ。
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