JP2019138640A - タービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
Description
タービン部品から採取した試料の硬さを計測するステップと、
前記試料を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、前記試料の前記硬さの計測結果から前記試料の引張強さを推定するステップと、を備える。
前記試料は、前記タービン部品のうち、母材の表面からの深さが1.5mm以下の表面領域から採取された部分である。
前記硬さを計測するステップでは、前記タービン部品の母材の断面に打痕することにより前記硬さを計測する。
前記硬さを計測するステップでは、前記試料のビッカース硬さを計測する。
前記試料の組織観察を行うステップと、
前記推定するステップでの前記試料の前記引張強さの推定結果、及び、前記組織観察の結果に基づいて、前記タービン部品の劣化度を評価するステップと、をさらに備える。
前記タービン部品は、ガスタービンの動翼、静翼、分割環、又は燃焼器である。
上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の劣化評価方法と、
前記推定するステップにおいて推定された前記タービン部品の引張強さが閾値以上であるとき、前記タービン部品を補修するステップと、を備える。
前記補修するステップでは、前記試料の採取時に形成された前記タービン部品の凹部にろう材を充填する。
試料採取ステップS2では、例えば、切削工具等の切削手段によってタービン翼を切削することにより、組織観察ステップS3及び計測ステップS4で用いる試料をタービン翼から採取する。
母材2は、例えば、ニッケル基耐熱合金を材料として形成されていてもよい。遮熱コーティング4は、母材2を高温から保護するためのコーティング層である。特に図示しないが、遮熱コーティング4は、母材2との密着性及び耐酸化性を向上するために母材2側に設けられるボンドコート層と、遮熱のためにボンドコート層よりも外側に設けられるトップコート層と、を含んでいてもよい。ボンドコート層は、例えば金属材料から形成されていてもよい。トップコート層は、例えば、セラミックスから形成されていてもよい。
幾つかの実施形態では、タービン翼1の母材2の部分の劣化の評価を行うため、タービン翼1か採取される試料には母材2の部分が含まれるようにする。
まず、円筒状の刃を備えたカッタ(例えば超音波カッタ)を用いて、タービン翼1の表面(すなわち遮熱コーティング4の表面)から、母材2に向かって刃を侵入させ、遮熱コーティング4の厚さ分の距離だけ刃を送り、円筒状の切込み12a(図3参照)を入れる。
次に、円盤状の刃を有する回転カッタで、母材12の部分に円錐状の切込み12b(図3参照)を入れる。
このようにして、部分的に円筒形状及び円錐形状を有する試料10を、タービン翼1から採取することができる。
例えば、図4に示すように、母材2の円錐形状部分の頂点を通るように、試料10を深さ方向(即ち、タービン翼1の表面に直交する方向;以下、単に「深さ方向」ともいう。)に沿って切断して(即ち、半分に割って)得られた試料10’は、母材2の断面3が露出している。この試料10’を、後の組織観察ステップS3及び計測ステップS4で用いるようにしてもよい。
組織観察ステップS3では、試料採取ステップS2で得られた試料10(又は試料10’)の組織観察を行い、例えば、タービン翼1の使用前と比べた組織変化の有無や、γ’(ガンマプライム)相の析出状況のデータを取得する。
組織観察の結果は、例えば、計測ステップS4での試料10(又は試料10’)の硬さ測定位置を決定するために用いることができる。高温長時間使用された金属組織は、変質している場合があるため、計測ステップS4での打痕時には、そのような特異な箇所を避けて打痕する必要がある。また、タービン翼1の母材2の材料として用いられるニッケル基超合金のγ’相は硬いため、硬さ計測時にγ’相のところで打痕してしまうと、硬さが高く計測されてしまうため、計測ステップS4での打痕時にはγ’相も避けて打痕する必要がある。よって、組織観察の結果に基づいて、試料10(又は試料10’)の硬さ測定位置を適切に決定することができる。
計測ステップS4では、試料採取ステップS2で得られた試料10(又は試料10’)の硬さを計測する。ここで、劣化評価の対象がタービン翼1の母材2である場合には、試料10(又は試料10’)の母材2部分の硬さを計測する。
幾つかの実施形態では、採取した試料10(又は試料10’)について、ビッカース硬さ試験によりビッカース硬さを計測するようにしてもよい。また、幾つかの実施形態では、ブリネル硬さ試験、ロックウェル硬さ試験、又はヌープ硬さ試験等の硬さ試験により、各硬さを計測するようにしてもよい。
推定ステップS6では、試料10(又は試料10’)を構成する材料(即ち、劣化評価対象である母材2を構成する材料)の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、計測ステップS4で得られた試料10(又は試料10’)の硬さの計測結果から、該試料10(又は試料10’)の引張強さを推定する。
推定ステップS6では、例えば、計測ステップS4で得られた試料の硬さの計測結果を上述の相関関係を示すグラフに当てはめて、該計測結果に対応する引張強さを、引張強さの推定値として取得することができる。
まず、タービン翼1の母材2を構成する材料(母材2と同一組成の材料)を用いて、引張強さ計測用の試験片を複数個作製し、それぞれの試験片について、異なる時効条件(温度及び時間条件)において加熱炉(電気炉等)にて熱処理を行う。そして、各試験片について、ビッカース硬さ試験及び引張試験を行い、ビッカース硬さ及び引張強さの計測を行う。図5のグラフ内の各プロットは、各々の試験片について計測されたビッカース硬さと引張強さとを示す点である。このようにして、複数の試験片について得られたグラフ上のプロットから、タービン翼1の母材2と同一組成の材料のビッカース硬さと引張強さとの相関関係を示す近似曲線(図5のグラフにおける直線L1)を得ることができる。
評価ステップS10では、推定ステップS6での試料の引張強さの推定結果に基づいて、タービン翼1の劣化度を評価する。
例えば、推定ステップS6でのタービン翼1の母材2の材料の引張強さの推定結果(推定値)が予め設定された閾値Sth以上である場合には、評価対象となったタービン翼1の劣化があまり進んでいないと判断し、上述の推定結果が上述の閾値未満である場合には、評価対象となったタービン翼1の劣化が進んでいると判断することができる。
よって、例えば、組織観察に加えて従来の引張試験により引張強さを計測する場合等、組織観察のための試料と硬さ計測のための試料を別々に用意せざるを得ない場合に比べて、タービン翼1の劣化評価にかかるコストをより効果的に低減することができる。
幾つかの実施形態に係るメンテナンス方法では、既に説明したステップS1〜S10を行うことによって、タービン翼1の劣化評価を行う。そして、評価ステップS10において、タービン翼1の引張強さ(すなわち、試料10又は試料10’の引張強さ)の推定値が閾値Sth以上である場合に、該タービン翼1をガスタービンにおいて再使用する。一方、評価ステップS10において、タービン翼1の引張強さ(すなわち、試料10又は試料10’の引張強さ)の推定値が閾値Sth未満であるときには、該タービン翼1は再使用負荷であるため、該タービン翼1を新たなタービン翼と交換する。
図6は、タービン翼1のろう付けによる補修の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、タービン翼1を補修する際には、まず、上述の試料採取ステップS2で試料10の採取時に形成されたタービン翼1の母材2(図3参照)の凹部に、ろう材を充填する(ステップS22)。次に、ろう付け熱処理を行う(ステップS24)。すなわち、ろう材を加熱して融解させた後、ゆっくりと冷却して凝固させる。そして、ろう付け部分を研磨などにより表面処理を行う(ステップS26)。最後に、ろう付け部分に対して、遮熱コーティングを施す(ステップS28)。このようにして、上述のステップS1〜S10を含む劣化評価を行ったタービン翼1の補修を行うことができる。
幾つかの実施形態では、ガスタービンの動翼、静翼、分割環又は燃焼器が劣化評価の対象であってもよい。これらの高温部品は、ガスタービンの運転中に高温環境下に曝され、時効による材料劣化が生じる。したがって、これらの高温部品について、実施形態にかかる劣化評価方法を適用することにより、廃却や再作製にかかるコストを低減しながら材料劣化を適切に評価可能である。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 母材
2a 表面
3 断面
4 遮熱コーティング
10 試料
12 母材
12a 切込み
12b 切込み
Claims (8)
- タービン部品から採取した試料の硬さを計測するステップと、
前記試料を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、前記試料の前記硬さの計測結果から前記試料の引張強さを推定するステップと、
を備えるタービン部品の劣化評価方法。 - 前記試料は、前記タービン部品のうち、母材の表面からの深さが1.5mm以下の表面領域から採取された部分である
ことを特徴とする請求項1に記載のタービン部品の劣化評価方法。 - 前記硬さを計測するステップでは、前記タービン部品の母材の断面に打痕することにより前記硬さを計測する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン部品の劣化評価方法。 - 前記硬さを計測するステップでは、前記試料のビッカース硬さを計測する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。 - 前記試料の組織観察を行うステップと、
前記推定するステップでの前記試料の前記引張強さの推定結果、及び、前記組織観察の結果に基づいて、前記タービン部品の劣化度を評価するステップと、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。 - 前記タービン部品は、ガスタービンの動翼、静翼、分割環、又は燃焼器である
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。 - 請求項1乃至6の何れか一項に記載の劣化評価方法と、
前記推定するステップにおいて推定された前記タービン部品の引張強さが閾値以上であるとき、前記タービン部品を補修するステップと、を備える
ことを特徴とするタービンのメンテナンス方法。 - 前記補修するステップでは、前記試料の採取時に形成された前記タービン部品の凹部にろう材を充填する
ことを特徴とする請求項7に記載のタービンのメンテナンス方法。
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JPH05157673A (ja) * | 1991-12-09 | 1993-06-25 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 蒸気タービンの余寿命診断方法 |
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