JP2019138640A - タービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法 - Google Patents

タービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法 Download PDF

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Abstract

【課題】評価対象のタービン部品の廃却又は作製にかかるコストを低減可能なタービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法を提供する。【解決手段】タービン部品の劣化評価方法は、タービン部品から採取した試料の硬さを計測するステップと、前記試料を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、前記試料の前記硬さの計測結果から前記試料の引張強さを推定するステップと、を備える。【選択図】 図1

Description

本開示は、タービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法に関する。
高温部品等のタービン部品は、タービンの運転中に高温に曝される等の理由により経時的に劣化することから、タービン部品の劣化状態を把握するための方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、タービン翼から採取した試験片からタービン翼の温度を推定することにより、タービン翼の遮熱コートの劣化状態を評価することが開示されている。この評価方法においては、タービン翼の表面部分から遮熱コート層を含む試料片を採取して、試料片の遮熱コート部分に存在するスケール層(すなわち、タービン運転中に生じたスケール層)の厚さを計測し、該厚さに基づいてタービン翼の基材の温度を推定するようになっている。
特開2008−202986号公報
ところで、タービン部品の劣化の評価指標として、引張強さが採用されることがある。タービン部品材料の引張試験を行うためには、試料となるタービン部品から所定の形状及び大きさを有する試験片を作製する必要があり、このように試験片を作製する際には、通常、タービンから抜き出されたタービン部品を破壊せざるを得ない。したがって、引張試験の結果、仮にタービン部品の劣化がそれほど進行していないと判定される場合であっても、該タービン部品を試験後に再使用することができないため、試験を行う分だけ、タービン部品を廃却及び製造するコストがかかる。このため、タービン部品を破壊せずに引張強さを把握してタービン部品の劣化評価を行うことが望まれる。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、評価対象のタービン部品の廃却又は作製にかかるコストを低減可能なタービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るタービン部品の劣化評価方法は、
タービン部品から採取した試料の硬さを計測するステップと、
前記試料を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、前記試料の前記硬さの計測結果から前記試料の引張強さを推定するステップと、を備える。
上述したように、タービン部品の劣化の評価指標となる引張強さを直接測定しようとすると、試験片を得るためには、通常、タービン部品を破壊せざるを得ない。この点、上記(1)の方法では、タービン部品から補修可能な範囲で採取した試料の硬さの計測結果から該試料の引張強さを推定することができる。よって、評価の結果、劣化があまり進行していないと判定されたタービン部品については、再使用可能である。したがって、劣化評価対象のタービン部品の廃却や再作製にかかるコストを低減することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記試料は、前記タービン部品のうち、母材の表面からの深さが1.5mm以下の表面領域から採取された部分である。
上記(2)の方法によれば、タービン部品の母材の表面近傍の部分から試料を採取するので、該試料を用いて劣化評価を行った後に該タービン部品を再使用する際の強度を確保しやすく、あるいは、再使用する場合の補修がしやすい。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記硬さを計測するステップでは、前記タービン部品の母材の断面に打痕することにより前記硬さを計測する。
タービン部品の表面は、通常、曲面形状を有するため、母材表面で硬さを計測したのでは、計測精度が良好でない場合がある。また、母材表面には、タービン運転中にスケールが生成する場合があるため、母材の硬さを正確に計測することができない場合がある。この点、上記(3)の方法によれば、母材の断面に打痕するようにしたので、タービン部品の母材の硬さを精度良好に計測することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの方法において、
前記硬さを計測するステップでは、前記試料のビッカース硬さを計測する。
上記(4)の方法によれば、タービン部品のビッカース硬さを計測するようにしたので、比較的小さな試料で硬さを計測可能である。よって、タービン部品から比較的小さな試料を採取して、該試料を用いて劣化評価を行った後に、タービン部品を再使用する際の強度を確保しやすく、あるいは、再使用する場合の補修がしやすい。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、
前記試料の組織観察を行うステップと、
前記推定するステップでの前記試料の前記引張強さの推定結果、及び、前記組織観察の結果に基づいて、前記タービン部品の劣化度を評価するステップと、をさらに備える。
上記(5)の方法によれば、タービン部品の劣化評価にあたり、試料の引張強さの推定結果のみならず、試料の組織観察の結果にも基づいて評価を行うようにしたので、より精度の高いタービン部品の劣化評価が可能である。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの方法において、
前記タービン部品は、ガスタービンの動翼、静翼、分割環、又は燃焼器である。
ガスタービンの動翼、静翼、分割管又は燃焼器等の高温部品は、ガスタービンの運転中に高温環境下に曝され、時効による材料劣化が生じる。上記(6)の方法によれば、このような高温部品について、上述の(1)の方法を適用することで、廃却や再作製にかかるコストを低減しながら材料劣化を適切に評価可能である。
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係るタービンのメンテナンス方法は、
上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の劣化評価方法と、
前記推定するステップにおいて推定された前記タービン部品の引張強さが閾値以上であるとき、前記タービン部品を補修するステップと、を備える。
上記(7)の方法によれば、推定するステップにおいて、タービン部品の引張強さが閾値以上であるとき、すなわち、該タービン部品が再使用不可能なほどまでは劣化していないと判定されたときに、硬さ計測のための試料が採取されたタービン部品を補修するようにしたので、劣化評価対象のタービン部品の廃却や再作製にかかるコストを低減しつつ、該タービン部品の再使用時におけるタービン性能の低下を抑制することができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の方法において、
前記補修するステップでは、前記試料の採取時に形成された前記タービン部品の凹部にろう材を充填する。
上記(8)の方法によれば、試料の採取時に形成されたタービン部品の凹部にろう材を充填することにより、簡素なやり方で、タービン部品を補修することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、評価対象のタービン部品の廃却又は作製にかかるコストを低減可能なタービン部品の劣化評価方法及びタービンのメンテナンス方法が提供される。
一実施形態に係るタービン部品の劣化評価方法の概要を示すフローチャートである。 評価対象のタービン翼の断面の一例を示す模式図である。 図2に示すタービン翼の表面部分(図2の部分A)の断面を拡大した模式図である。 図3に示すタービン翼から採取される試料の一例を示す模式図である。 タービン翼の母材を構成する材料のビッカース硬さと引張強さとの相関関係の一例を示すグラフである。 タービン翼のろう付けによる補修の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
以下の説明では、主に、ガスタービンのタービン翼(動翼又は静翼)を評価対象として本発明に係る劣化評価方法を実施する例について説明するが、本発明に係る劣化評価方法は、ガスタービンのタービン翼のみならず、ガスタービン又は蒸気タービン等のタービンを構成する部品全般に適用可能である。
図1は、一実施形態に係るタービン部品の劣化評価方法の概要を示すフローチャートである。図1に示すように、一実施形態に係る劣化評価方法では、まず、評価対象のタービン部品から試料を採取する(試料採取ステップS2)。次に、試料採取ステップS2で採取した試料の組織観察を行う(組織観察ステップS3)。また、試料採取ステップS2で採取した試料の硬さを計測し(計測ステップS4)、計測ステップS4での硬さの計測結果に基づいて試料の引張強さを推定する(推定ステップS6)。そして、推定ステップS6での試料の引張強さの推定結果に基づいて、タービン部品の劣化評価を行う(評価ステップS10)。
以下、幾つかの実施形態に係る劣化評価方法の各ステップについて、より具体的に説明する。ここでは、ガスタービンのタービン翼を評価対象のタービン部品として各ステップの説明をする。
(試料採取ステップS2)
試料採取ステップS2では、例えば、切削工具等の切削手段によってタービン翼を切削することにより、組織観察ステップS3及び計測ステップS4で用いる試料をタービン翼から採取する。
図2は、評価対象のタービン翼の断面の一例を示す模式図であり、図3は、図2に示すタービン翼の表面部分(図2の部分A)の断面を拡大した模式図である。図4は、図3に示すタービン翼から採取される試料の一例を示す模式図である。
図2に示すタービン翼1は、母材2と、母材2の表面を覆うように設けられた遮熱コーティング(TBC)4と、を含む。
母材2は、例えば、ニッケル基耐熱合金を材料として形成されていてもよい。遮熱コーティング4は、母材2を高温から保護するためのコーティング層である。特に図示しないが、遮熱コーティング4は、母材2との密着性及び耐酸化性を向上するために母材2側に設けられるボンドコート層と、遮熱のためにボンドコート層よりも外側に設けられるトップコート層と、を含んでいてもよい。ボンドコート層は、例えば金属材料から形成されていてもよい。トップコート層は、例えば、セラミックスから形成されていてもよい。
タービン翼1から採取する試料には、劣化評価の対象となる部分が含まれるようにする。
幾つかの実施形態では、タービン翼1の母材2の部分の劣化の評価を行うため、タービン翼1か採取される試料には母材2の部分が含まれるようにする。
この場合、タービン翼1からの試料の採取は、例えば、以下の手順で行ってもよい。
まず、円筒状の刃を備えたカッタ(例えば超音波カッタ)を用いて、タービン翼1の表面(すなわち遮熱コーティング4の表面)から、母材2に向かって刃を侵入させ、遮熱コーティング4の厚さ分の距離だけ刃を送り、円筒状の切込み12a(図3参照)を入れる。
次に、円盤状の刃を有する回転カッタで、母材12の部分に円錐状の切込み12b(図3参照)を入れる。
このようにして、部分的に円筒形状及び円錐形状を有する試料10を、タービン翼1から採取することができる。
幾つかの実施形態では、上述のようにタービン翼1から採取した試料10を切断して、母材2の断面3を露出させて、後の組織観察ステップS3及び計測ステップS4で用いる。
例えば、図4に示すように、母材2の円錐形状部分の頂点を通るように、試料10を深さ方向(即ち、タービン翼1の表面に直交する方向;以下、単に「深さ方向」ともいう。)に沿って切断して(即ち、半分に割って)得られた試料10’は、母材2の断面3が露出している。この試料10’を、後の組織観察ステップS3及び計測ステップS4で用いるようにしてもよい。
上述のように、試料10を切断することによって露出した母材2の断面3は、組織観察ステップS3及び計測ステップS4の前に、研磨処理を施してもよい。これにより、計測ステップS4における硬さ計測の精度を良好なものとすることができる。あるいは、組織観察ステップS3における金属組織観察をより適切に行うことができる。
なお、タービン翼1から採取した試料10そのままの形状では、計測ステップS4での硬さ計測に用いることができない場合、あるいは、該硬さ計測に適した形状に切断することができない場合には、例えば、上述の試料10を樹脂に埋め込んだ状態で、試料10及び試料10を保持する樹脂が硬さ計測に適した形状となるように、試料10を樹脂ごと切断するようにしてもよい。
幾つかの実施形態では、試料10は、タービン翼1のうち、母材2の表面2aからの深さが1.5mm以下の表面領域から採取された部分である。言い換えると、タービン翼1から採取される試料10の母材2部分の高さhは、1.5mm以下である(図3及び図4参照)。
このように、タービン翼1の母材2の表面2a近傍の部分から試料10を採取するので、該試料10を用いて劣化評価(評価ステップS10)を行った後に該タービン翼1を再使用する際の強度を確保しやすく、あるいは、再使用する場合の補修がしやすい。
(組織観察ステップS3)
組織観察ステップS3では、試料採取ステップS2で得られた試料10(又は試料10’)の組織観察を行い、例えば、タービン翼1の使用前と比べた組織変化の有無や、γ’(ガンマプライム)相の析出状況のデータを取得する。
組織観察の結果は、例えば、計測ステップS4での試料10(又は試料10’)の硬さ測定位置を決定するために用いることができる。高温長時間使用された金属組織は、変質している場合があるため、計測ステップS4での打痕時には、そのような特異な箇所を避けて打痕する必要がある。また、タービン翼1の母材2の材料として用いられるニッケル基超合金のγ’相は硬いため、硬さ計測時にγ’相のところで打痕してしまうと、硬さが高く計測されてしまうため、計測ステップS4での打痕時にはγ’相も避けて打痕する必要がある。よって、組織観察の結果に基づいて、試料10(又は試料10’)の硬さ測定位置を適切に決定することができる。
(計測ステップS4)
計測ステップS4では、試料採取ステップS2で得られた試料10(又は試料10’)の硬さを計測する。ここで、劣化評価の対象がタービン翼1の母材2である場合には、試料10(又は試料10’)の母材2部分の硬さを計測する。
硬さの計測方法は特に限定されず、周知の計測方法を採用することができる。
幾つかの実施形態では、採取した試料10(又は試料10’)について、ビッカース硬さ試験によりビッカース硬さを計測するようにしてもよい。また、幾つかの実施形態では、ブリネル硬さ試験、ロックウェル硬さ試験、又はヌープ硬さ試験等の硬さ試験により、各硬さを計測するようにしてもよい。
ビッカース硬さ試験では、比較的小さな試料で硬さを計測可能である。よって、ビッカース硬さ試験により試料10(又は試料10’)のビッカース硬さを計測すれば、タービン翼1から比較的小さな試料10(又は試料10’)を採取して、該試料を用いて劣化評価を行った後に、タービン翼1を再使用する際の強度を確保しやすく、あるいは、再使用する場合の補修がしやすい。
幾つかの実施形態では、試料採取ステップS2で得られた試料10’のうち、母材2の断面3(図4参照)に打痕することにより試料10’の硬さを計測する。
タービン翼1の母材2の表面2aは、通常、曲面形状を有するため、母材2の表面2aで硬さを計測したのでは、計測精度が良好でない場合がある。また、母材2の表面2aには、タービン運転中にスケールが生成する場合があるため、母材2の硬さを正確に計測することができない場合がある。この点、上述のように、母材2の断面3に打痕することにより試料10’の硬さを計測することで、タービン翼1の母材2の硬さを精度良好に計測することができる。
(推定ステップS6)
推定ステップS6では、試料10(又は試料10’)を構成する材料(即ち、劣化評価対象である母材2を構成する材料)の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、計測ステップS4で得られた試料10(又は試料10’)の硬さの計測結果から、該試料10(又は試料10’)の引張強さを推定する。
ここで、図5は、タービン翼1の母材2を構成する材料のビッカース硬さ(横軸)と引張強さ(縦軸)との相関関係の一例を示すグラフである。
推定ステップS6では、例えば、計測ステップS4で得られた試料の硬さの計測結果を上述の相関関係を示すグラフに当てはめて、該計測結果に対応する引張強さを、引張強さの推定値として取得することができる。
試料10(又は試料10’)を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係を示すグラフは、実施形態に係る劣化評価方法を実施するのに前もって、予め取得することができる。その方法は、例えば、およそ以下のようになる。
まず、タービン翼1の母材2を構成する材料(母材2と同一組成の材料)を用いて、引張強さ計測用の試験片を複数個作製し、それぞれの試験片について、異なる時効条件(温度及び時間条件)において加熱炉(電気炉等)にて熱処理を行う。そして、各試験片について、ビッカース硬さ試験及び引張試験を行い、ビッカース硬さ及び引張強さの計測を行う。図5のグラフ内の各プロットは、各々の試験片について計測されたビッカース硬さと引張強さとを示す点である。このようにして、複数の試験片について得られたグラフ上のプロットから、タービン翼1の母材2と同一組成の材料のビッカース硬さと引張強さとの相関関係を示す近似曲線(図5のグラフにおける直線L1)を得ることができる。
硬さと引張強さとの相関関係は、金属材料の組成によって異なるので、劣化評価の対象となるタービン部品の材料ごとに上述の相関関係を示すグラフを取得するのが適切である。
(評価ステップS10)
評価ステップS10では、推定ステップS6での試料の引張強さの推定結果に基づいて、タービン翼1の劣化度を評価する。
例えば、推定ステップS6でのタービン翼1の母材2の材料の引張強さの推定結果(推定値)が予め設定された閾値Sth以上である場合には、評価対象となったタービン翼1の劣化があまり進んでいないと判断し、上述の推定結果が上述の閾値未満である場合には、評価対象となったタービン翼1の劣化が進んでいると判断することができる。
このように、ステップS2〜S6では、タービン翼1から採取された試料10(又は試料10’)の硬さの計測結果から該試料の引張強さを推定するようにしたので、引張試験のための試験片に比べて小さな試料を用いて硬さを計測するとともに引張強さを推定することができる。よって、比較的小さな試料からステップS10においてタービン翼1の劣化を評価することができるため、評価の結果、劣化があまり進行していないと判定されたタービン翼1については再使用可能である。したがって、劣化評価対象のタービン翼1の廃却や再作製にかかるコストを低減することができる。
評価ステップS10では、推定ステップS6での引張強さの推定結果に加え、組織観察ステップS3での組織観察の結果をさらに考慮して、タービン翼1の劣化評価を行ってもよい。この場合、推定ステップS6での引張強さの推定結果のみに基づいて評価を行うよりも、精度の高いタービン翼1の劣化評価が可能である。
なお、計測ステップS4で硬さを計測する試料10(又は試料10’)として、組織観察ステップS3で用いた試料10(又は試料10’)と同一の試料を用いることができる。
よって、例えば、組織観察に加えて従来の引張試験により引張強さを計測する場合等、組織観察のための試料と硬さ計測のための試料を別々に用意せざるを得ない場合に比べて、タービン翼1の劣化評価にかかるコストをより効果的に低減することができる。
次に、上述のタービン翼1を含むガスタービンのメンテナンス方法の一例について説明する。
幾つかの実施形態に係るメンテナンス方法では、既に説明したステップS1〜S10を行うことによって、タービン翼1の劣化評価を行う。そして、評価ステップS10において、タービン翼1の引張強さ(すなわち、試料10又は試料10’の引張強さ)の推定値が閾値Sth以上である場合に、該タービン翼1をガスタービンにおいて再使用する。一方、評価ステップS10において、タービン翼1の引張強さ(すなわち、試料10又は試料10’の引張強さ)の推定値が閾値Sth未満であるときには、該タービン翼1は再使用負荷であるため、該タービン翼1を新たなタービン翼と交換する。
幾つかの実施形態では、劣化評価が行われたタービン翼1を再使用する場合、該タービン翼1を補修するステップを行ってから、該タービン翼1を再使用してもよい。劣化評価のために試料が採取されたタービン翼1を補修してから再使用することで、該タービン翼1の再使用時におけるタービン性能の低下を抑制することができる。
上述の補修するステップでは、例えば、ろう付けによりタービン翼1の補修を行ってもよい。
図6は、タービン翼1のろう付けによる補修の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、タービン翼1を補修する際には、まず、上述の試料採取ステップS2で試料10の採取時に形成されたタービン翼1の母材2(図3参照)の凹部に、ろう材を充填する(ステップS22)。次に、ろう付け熱処理を行う(ステップS24)。すなわち、ろう材を加熱して融解させた後、ゆっくりと冷却して凝固させる。そして、ろう付け部分を研磨などにより表面処理を行う(ステップS26)。最後に、ろう付け部分に対して、遮熱コーティングを施す(ステップS28)。このようにして、上述のステップS1〜S10を含む劣化評価を行ったタービン翼1の補修を行うことができる。
なお、ろう材を充填するステップS22の前に、タービン翼1の遮熱コーティング4(図3参照)を全体的に除去するようにしてもよい。この場合、表面仕上げ(ステップS26)を行った後の再コーティング(ステップS28)では、母材2及びろう付け部分の全体を覆うように、遮熱コーティング4を再度設けるようにしてもよい。
ろう材としては、例えば、母材2の融点(例えば1200℃程度)よりも低く、かつ、タービン運転時のタービン翼1の温度(例えば900℃程度)よりも高い融点(例えば1000℃程度)を有する材料を用いることができる。
以上、ガスタービンのタービン翼(動翼又は静翼)に適用する場合を例として、幾つかの実施形態に係る劣化評価方法、及び、該劣化評価方法を含むタービンのメンテナンス方法について説明したが、本発明の劣化評価方法の適用対象は、タービン翼に限られない。
幾つかの実施形態では、ガスタービンの動翼、静翼、分割環又は燃焼器が劣化評価の対象であってもよい。これらの高温部品は、ガスタービンの運転中に高温環境下に曝され、時効による材料劣化が生じる。したがって、これらの高温部品について、実施形態にかかる劣化評価方法を適用することにより、廃却や再作製にかかるコストを低減しながら材料劣化を適切に評価可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 タービン翼
2 母材
2a 表面
3 断面
4 遮熱コーティング
10 試料
12 母材
12a 切込み
12b 切込み

Claims (8)

  1. タービン部品から採取した試料の硬さを計測するステップと、
    前記試料を構成する材料の硬さと引張強さとの相関関係に基づいて、前記試料の前記硬さの計測結果から前記試料の引張強さを推定するステップと、
    を備えるタービン部品の劣化評価方法。
  2. 前記試料は、前記タービン部品のうち、母材の表面からの深さが1.5mm以下の表面領域から採取された部分である
    ことを特徴とする請求項1に記載のタービン部品の劣化評価方法。
  3. 前記硬さを計測するステップでは、前記タービン部品の母材の断面に打痕することにより前記硬さを計測する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン部品の劣化評価方法。
  4. 前記硬さを計測するステップでは、前記試料のビッカース硬さを計測する
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。
  5. 前記試料の組織観察を行うステップと、
    前記推定するステップでの前記試料の前記引張強さの推定結果、及び、前記組織観察の結果に基づいて、前記タービン部品の劣化度を評価するステップと、をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。
  6. 前記タービン部品は、ガスタービンの動翼、静翼、分割環、又は燃焼器である
    ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のタービン部品の劣化評価方法。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の劣化評価方法と、
    前記推定するステップにおいて推定された前記タービン部品の引張強さが閾値以上であるとき、前記タービン部品を補修するステップと、を備える
    ことを特徴とするタービンのメンテナンス方法。
  8. 前記補修するステップでは、前記試料の採取時に形成された前記タービン部品の凹部にろう材を充填する
    ことを特徴とする請求項7に記載のタービンのメンテナンス方法。
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JPH05157673A (ja) * 1991-12-09 1993-06-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 蒸気タービンの余寿命診断方法
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