JP2019138436A - 断熱シートとその製造方法、および、それを用いた機器 - Google Patents

断熱シートとその製造方法、および、それを用いた機器 Download PDF

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茂昭 酒谷
Shigeaki Sakatani
茂昭 酒谷
一摩 及川
Kazuma Oikawa
一摩 及川
伸二 岡田
Shinji Okada
伸二 岡田
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Abstract

【課題】ゲル粉末の脱離による断熱性能の悪化が少ない、シリカエアロゲル含有の薄型断熱シートとその製造を提供すること。【解決手段】不織布繊維とシリカエアロゲルとを含有する断熱シートであり、上記断熱シートの表面に、平行に配置された複数の亀裂を有する断熱シートを用いる。また、上記断熱シートは、シリカエアロゲルの単層と、シリカエアロゲルと不織布繊維と、シリカエアロゲルの単層との積層体である断熱シートである請求項1記載の断熱シートを用いる。【選択図】図4

Description

本発明は、エアロゲルを用いた断熱シートとその製造方法、および、それを用いた機器に関する。
モバイル機器の表示素子には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが使用されている。しかし、これらの表示素子は熱に弱く、発熱部品からの発熱がこれら表示素子に伝わると、ディスプレイの輝度ムラや寿命低下の要因となる。このため、携帯機器の多機能化・高性能化と小型化・薄型化を両立させるためには、発熱部品から表示素子への伝熱を効果的に低減させる必要がある。
今後、より一層、電子機器の小型化、薄型化、そして高性能化が進むことが想定される。このため、機器表面の温度は1℃でも低く抑えることは最重要の課題となっている。
機器表面の温度上昇を防ぐ方法として、発熱部品の直上に放熱シートであるグラファイトシートを敷設することで、発熱部品から、筐体もしくは弱耐熱部品(有機ELパネル等)への伝熱を低減して筐体内の温度分布を平均化する試みがなされている(特許文献1)。しかしながら、チップの高性能化に伴い、表面到達温度が従来よりも上昇し、放熱シートのみに頼る熱対策には限界がきているのが実情である。
そこで、グラファイトシートと断熱材との組み合わせが考えられる。断熱性能が高い断熱材として、シリカエアロゲルがある。
シリカエアロゲルは、90%以上の空隙率を有するナノ多孔体として知られ、経年劣化や耐熱性の観点から、既存の断熱材よりも優れている。また、シリカエアロゲルは、15mW/mK前後の優れた熱伝導率を有していることが知られている。
しかしながら、シリカエアロゲルは、数10nmオーダーのシリカ粒子が点接触で繋がったネットワーク構造を形成している。このため、機械的強度があまりない。そこで、その脆弱性を克服するために、シリカエアロゲルは、繊維や不織布との複合化により強度向上を図る検討がなされている(特許文献2)。
特許第5267439号公報 特許第6064149号公報
しかしながら、シリカエアロゲルを用いた断熱材は、エアロゲルの性質上もろい性質を持つ。このため、エアロゲルを繊維等で強化していた場合であっても、繰り返しの曲げなどに対する耐久性には弱点を有する。より具体的には、シリカエアロゲルを用いた断熱材は、特許文献2中の図にも示されるように、エアロゲル中の亀裂を起点に粉状のエアロゲルがはがれやすい構造となってしまう。結果、エアロゲルの隙間から空気の通り道ができてしまうため、断熱性能の悪化につながるとう問題が残っていた。
よって、本願の課題は、ゲル粉末の脱離による断熱性能の悪化が少ない、シリカエアロゲル含有の薄型断熱シートとその製造、および、それを用いた機器を提供することである。
上記課題を解決するため、不織布繊維とシリカエアロゲルとを含有する断熱シートであり、上記断熱シートの表面に、平行に配置された複数の亀裂を有する断熱シートを用いる。
また、上記断熱シートは、シリカエアロゲルの単層と、シリカエアロゲルと不織布繊維と、シリカエアロゲルの単層との積層体である断熱シートである請求項1記載の断熱シートを用いる。
また、上記断熱シートを、発熱源に用いた機器を用いる。
また、珪酸のゾル水溶液を不織布繊維に含浸させる含浸工程と、上記ゾル水溶液をゲル化させ、ゲルの骨格を形成する養生工程と、上記ゲルのシリル化処理を行うシリル化工程と、上記ゲルを乾燥する乾燥工程と、表面に亀裂を形成する亀裂形成工程と、を含む断熱シートの製造方法を用いる。
本発明の断熱シートは、亀裂を整列させたので、ゲル粉末の脱離による断熱性能の悪化が少ない、薄型断熱シートとなった。
従来の断熱シートの断面図 従来の断熱シートの表面のSEM画像の図 従来の断熱シートの表面の模式図 (a)実施の形態の断熱シートの表面の模式図、(b)実施の形態の断熱シートの断面図 実施の形態の断熱シートの製造方法のフロー図 実施例の断熱材の表面の顕微鏡写真 比較例の断熱材の表面の顕微鏡写真
次に好ましい発明の実施の形態を挙げて本実施の形態を説明する。
<断熱シート300>
図1は、従来の断熱シート300の断面図である。断熱シート300は、単層300a、複合層300b、単層300cとの積層体である。単層300a、単層300cは、ナノサイズの多孔質構造を有するシリカエアロゲルからなる層である。複合層300bは、シリカエアロゲル302と、不織布を構成する不織布繊維303と、を複合化させた層である。
シリカエアロゲル302は、10nmオーダーのシリカ粒子が点接触で連結したネットワーク構造を形成している構造である。
断熱シート300の熱伝導率は、定常法による測定にて、0.014〜0.030W/mKである。
不織布繊維303の熱伝導率は、0.030〜0.060W/mKであり、この値は前述のように、不織布繊維303の固体熱伝導成分と不織布繊維303の空隙に存在している空気(窒素分子)の伝熱成分のほぼ総和と見なせる。この空隙に、低熱伝導率材料(一般に0.010〜0.015W/mKといわれる)であるシリカエアロゲル302を複合化させることで上記低熱伝導率を実現している。
図2は、断熱シート300の表面のSEM写真である。シリカエアロゲル302には、微細な亀裂301が存在する。シリカエアロゲル302の表面の模式図を図3に示す。図3に示すとおり、表層には、複数の亀裂301が存在する。
この亀裂301が原因で、図中に示すように細かく砕けやすい箇所(点線で囲んだところ)から剥がれ落ちたシリカエアロゲル302が粉落ちという現象を引き起こす。特に、亀裂301が交差する部分から、特に、シリカエアロゲル粉の粉落ちが発生しやすい。
<断熱シート400>
そこで本実施の形態では、この亀裂301を整列させることを考えた。
図4(a)に、実施の形態の断熱シート400の表面の模式図を示す。図4(b)に、実施の形態の断熱シート400の断面図を示す。
断熱シート400は、単層400a、複合層400b、単層400cとの積層体である。単層400a、単層400cは、ナノサイズの多孔質構造を有するシリカエアロゲル402からなる層である。複合層400bは、シリカエアロゲル402と、不織布を構成する不織布繊維403と、を複合化させた層である。
シリカエアロゲル402は、10nmオーダーのシリカ粒子が点接触で連結したネットワーク構造を形成している構造である。
断熱シート400の熱伝導率は、定常法による測定にて、0.014〜0.030W/mKである。
<亀裂401>
図4(a)に示すように、亀裂401を規則性を持って、整列させた。規則性とは、複数の亀裂401が、少なくとも1方向に平行に配置されることをいう。好ましくは2方向に、亀裂401が配置されるのが好ましい。亀裂401は、格子状に配置されるのがより好ましい。
このことで、シリカエアロゲル402内で極端に砕けやすい箇所を消失させ、粉落ちの少なく、性能劣化の少ない断熱シート400を作成した。ここで、規則性とは、一定方向を向くこと(平行な亀裂)、さらに、格子状であることが好ましい。
鋭意検証の結果から、亀裂401は以下のように構成すれば効果的であることがわかった。
<間隔S>
まず、亀裂401間の間隔Sについては、0.03mm〜0.2mmの間隔で格子上に構成することが好ましい。0.03mm以下の間隔Sの場合は、ひとつひとつのエアロゲルの固まり(セル)が細かくなってしまい、結果的に脱落しにくくなる効果が得られにくい。一方、0.2mm以上の間隔Sで構成しようとすると、0.2mmの間に、制御できていないランダムの亀裂が発生してしまい、結果的に、モノづくりが成立しない。したがって0.03mm〜0.2mmの間隔に亀裂401間を制御することが好ましい。
<隙間S>
さらに亀裂401の隙間Sは、厚みにもよるが、特に1mm以下の断熱シート400においては0.03mm以下にすることが好ましい。
隙間Sが、0.03mm以上になると、貫通した亀裂の隙間Sを通って、空気が通る抜け道ができてしまい、結果的に断熱性能が悪化してしまう。好ましくは静止空気の熱伝導率0.026mW/mKを上回る断熱性能を維持したいため、亀裂の隙間Sは、存在しないほうがよく、あったとしても0.03mm以下とした。
<深さ>
亀裂401の深さは、断熱シート400の浅いものから半分の厚みまでのもの、ほとんど断熱シートと同じレベルのものまである。
<断熱シート400の厚さ>
断熱シート400の厚さは、0.03mm〜5mmの範囲内が好ましい。この時、断熱シート400の上面および下面に、シリカエアロゲル402の単層層が形成されており、不織布繊維403の最表面には10nm以上のシリカエアロゲル402の層の単一層を含有している。
断熱シート400が、0.03mmよりも薄い場合には厚さ方向の断熱効果が低下するので、熱伝導率が真空に近いレベルの非常に低い熱伝導率を実現しなければ、その一面から他面への厚さ方向の伝熱を良好に低減させ得ない。従来の限界は0.05mmであったが、本実施の形態を用いれば、0.03mmまでは優れた断熱性能が確保できることを確認している。したがって0.03mm以上厚いと、厚さ方向の断熱効果が確保できる。
一方、断熱シート400が、5mmよりも厚ければ、シリカエアロゲルの素材が持つ硬さから柔軟性が得られず、曲げると割れが発生してしまう。
<断熱シート400におけるシリカエアロゲルの含有率>
断熱シート400の重量に占めるシリカエアロゲルの割合は、不織布繊維403の目付け、嵩密度、厚みによって最適な範囲が異なるため、一概にはいえないが、少なくとも30重量%以上あればよい。30%未満の場合、低熱伝導率化が難しくなると同時に、不織布の厚みバラツキを吸収することができなくなる。又、80重量%以下であればよい。80%より高い場合、熱伝導率は下がるものの、柔軟性や強度が不足し、繰り返しの使用により、シリカエアロゲルの脱落が起こる可能性がある。
<不織布繊維403の目付、かさ密度>
断熱シート400の製造に用いられる不織布繊維403の目付けとしては、5〜600g/mを用いた。なお、目付けとは、単位面積あたりの重さである。目付けに関しては、不織布厚み、完成品の断熱シートの厚みとシリカエアロゲルの含有率によっても変化させる設計値であるために、本発明においては、限定されるものではないと考える。
不織布繊維403の嵩密度は、断熱シート400におけるシリカエアロゲルの含有率を高めて、より熱伝導率を低減させるという観点から、100〜500kg/mの範囲が好ましい。
連続体として機械的強度が伴った不織布繊維403を形成するためには、嵩密度は少なくとも100kg/m必要である。また、不織布繊維403の嵩密度が500kg/mより大きい場合、不織布繊維403中の空間体積が少なくなるため、充填することができるシリカエアロゲルが相対的に減り、熱伝導率が高くなる。
<不織布繊維403の材質>
断熱シート400に用いられる不織不繊維の材質としては、無機繊維系のガラスファイバー、グラスウールやロックウール、耐火繊維、セラミック系繊維、樹脂系のポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、酸化アクリル、フェノール、アラミド、天然系の羊毛やセルロースなどを利用することができる。
<断熱シート400の製造方法、および使用原料>
断熱シート400の製造方法の概略を図5に示す。以下、図5に従って、断熱シート400を製造する場合の一例を示す。
(1)原料混合
高モル珪酸水溶液(SiO濃度14%)に、触媒として12N塩酸を1.6重量部添加、攪拌し、ゾル溶液を調合する。しかしながら、シリカの原料種は、高モル珪酸ソーダに限定されるものではなく、水ガラス(低モル比)を用いてもよい。高モル珪酸水溶液とは、SiOの一次粒子の粒度分布がおよそ2〜20nmの範囲にあり、水ガラスとコロイダルシリカの中間サイズに位置するシリカ原料であり、通常の水ガラスよりもナトリウム成分が1%以下に低減されている。
SiO濃度は、シリカエアロゲルの強度を維持させるために10%以上が好ましく、固体の伝熱成分を減らして熱伝導率を小さくするために、25%以下が好ましい。高モル珪酸水溶液中の珪酸の加水分解反応を促進させるため、酸触媒を添加することが好ましい。
酸の濃度は、例えば塩酸の場合は1〜12Nが好ましく、6〜12Nがより好ましい。濃度が1N未満の場合、高モル珪酸水溶液を所望のpHに調整する際、より大量の希塩酸を添加する必要があるため、珪酸濃度が減少し、シリカネットワークの構築が効果的に進行しない場合がある。
酸触媒の添加量は、調整するpH値にもよるが、塩酸の場合、ヒドロゲルの重量100に対して、12N塩酸水溶液の場合は0.5〜6.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
しかしながら、酸触媒に関してはpH値調整が目的のため、種類に関してはこの限りでない。
上記の酸触媒を高モル珪酸水溶液に添加して調製したゾル溶液のゲル化を行う。ゾルのゲル化は、液体溶媒が揮発しないような密閉容器内で行うことが好ましい。
高モル珪酸水溶液に酸を添加してゲル化させる場合、そのときのpH値は5.0〜8.0が好ましい。pHが5.0未満の場合、あるいは8.0より大きい場合、そのときの温度にもよるが高モル珪酸水溶液がゲル化しない場合がある。
ゾルのゲル化温度は、常圧下の場合においては、0〜100℃が好ましく、20〜90℃がより好ましい。ゲル化温度が0℃未満であると、反応の活性種である珪酸モノマーに必要な熱が伝わらず、シリカ粒子の成長が促進されず、ゲル化が十分に進行するまでに時間を要する上に、生成される湿潤ゲルの強度が低く、乾燥時に大きく収縮する場合があり、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。また、ゲル化温度が100℃を越えると、容器を密閉していたとしても容器の中で水が揮発してゲルと分離する現象がみられ、これにより得られる湿潤ゲルの体積が減少して、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。20〜90℃の範囲であれば、生産性を損なうことなく、シリカ粒子の適度な成長とシリカネットワークの形成によるゲル化を促進でき、尚且つ、湿潤ゲルの水分を揮発させることなく、ゲル化を誘起することができるため、より好ましい。
(2)含浸
不織布繊維403(材質PET,厚み仕様90um、目付12g/m、嵩密度130kg/m)にゾル溶液を塗布し、ゾル溶液を不織布繊維403に含浸させる。ゾル溶液の含浸は全面均質に塗布されるように理論体積以上に塗布し、ローラーによって厚みを整える。生産性の観点からRoll to Roll方式が好ましい。
(3)養生
シートを乾燥防止の処置を施した環境にてゲル化させたもののゲルの骨格を形成する。養生温度は、常圧下の場合においては、50〜100℃が好ましく、60〜95℃がより好ましい。
養生温度が50℃未満であると、ゲル化工程同様に反応の活性種である珪酸モノマーに必要な熱が伝わらず、シリカ粒子の成長が促進されず、養生が十分に進行するまでに時間を要する上に、生成される湿潤ゲルの強度が低く、乾燥時に大きく収縮する場合があり、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。
また、養生温度が100℃を越えると、容器を密閉していたとしても容器の中で水が揮発してゲルと分離する現象がみられ、これにより得られる湿潤ゲルの体積が減少して、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。60〜95℃の範囲であれば、生産性を損なうことなく、シリカ粒子の適度な成長を促進でき、また、シリカ粒子同士が点接触で連結しているネック部分の強化を図ることができ、尚且つ、湿潤ゲルの水分を揮発させることなく、養生を実施することが可能である。
必要な処理時間に関しては、骨格形成に必要エネルギーの観点から設定されるもので温度と時間、使用する原料によっても異なるため定義することが困難であるが、参考値としては養生時間は、養生温度にもよるが、3分〜6時間が好ましく、5分〜3時間がより好ましい。養生を行わないとゲル壁の強度向上が不十分な場合があり、6時間を越えると、ゲル壁の強度の向上における養生の効果が乏しくなり、逆に生産性を損なう場合がある。
(4)シリル化処理
養生工程を経たシートを塩酸(6〜12規定)染みこませ、シリル化材にてシリル化処理を行う。例えば、シリル化剤であるオクタメチルトリシロキサンとアルコールとして2−プロパノール(IPA)の混合液に浸漬させて、55℃の恒温槽に入れて反応させる。トリメチルシロキサン結合が形成され始めるとシートから塩酸水が排出されシリル化処理が完了する。
(5)乾燥
シリル化処理されたシート150℃の恒温槽に移して2時間乾燥させる。乾燥工程にてシートに内包するシリル化処理材を揮発させればよいため、温度、時間はこの限りではない。
(A〜C):亀裂形成プロセス
本発明の特徴である整列させた亀裂の形成方法であるが、亀裂形成プロセスは、上記(1)〜(5)の製造プロセスのうち、次に示す位置においてロール曲げを利用して行うものである。
なお、亀裂形成は、ゾル水溶液を含む不織布繊維を少なくとも1方向へ変形させる工程である。
ロール曲げ加工を行う工程としては、
A)(2)含浸の工程と(3)養生の工程の間、
B)(4)シリル化処理の工程内、
C)(4)シリル化処理の工程内と(5)乾燥の工程の間、
の少なくとも1箇所である。
ロールの径は50mmから300mmの直径のロールを用いて、30度から180度の巻きつけ角度で加工することが好ましい。必然的に、直径が小さいロールで大きな巻きつけ角度を通すと、亀裂は入りやすく、亀裂間が小さくなる。逆に直径が大きいロールで小さな巻きつけ角度を通すと亀裂が入りにくく、整列させる本発明から外れてしまう。
したがって、上記<亀裂401>を満足する範囲において、ロール径と巻きつけ角度を設計するべきである。
以下、本実施の形態を実施例に基づいて説明する。但し、本実施の形態は、下記実施例に限定されるものではない。すべての反応は、大気下のもとで行われた。
<評価>
尚、実施例では、不織布繊維403の目付(単位面積あたりの不織布繊維403の重量[g/m])、もしくは厚みを変化させて断熱シート400を作製し、断熱シート400の熱伝導率、厚みを測定した。
断熱シート400の熱伝導率測定には、熱流計HFM 436Lamda(NETZCH製)とTIM tester(Analysys Tech製)を用いた。
粉落ちによる劣化に関しては、曲げ半径3mmの丸棒を用いて50回繰り返し曲げ後の熱伝導変化を確認し、数値上変化ないものを合格とした。
各実施例、比較例の詳細の条件は以下で説明する。また、条件と結果を表1に示す。
Figure 2019138436
実施例1〜4は、亀裂を整列させた本発明のもので厚み、亀裂形成プロセスの箇所を変えたものである。比較例1、2は実施例1,2に対して亀裂形成プロセスを除いたものである。
<実施例1>
高モル珪酸水溶液(東曹産業株式会社、SiO濃度14%)に、触媒として12N塩酸を1.6重量部添加、攪拌し、ゾル溶液を調合した。次いで、不織布繊維403(PET(透水処理加工品),厚み1mm、目付120g/m)にゾル溶液を塗布し、含浸させた。ゾル溶液を含浸させた不織布繊維403を乾燥防止の目的でPPフィルム(厚み50um×2枚)に挟み、ギャップロールを通して厚みを規整した後、ヒーター温度35℃で2分加熱しゲル化させた。
その後、Aに相当する含浸と養生工程の間で直径200mmのロール2本を用いて、90度曲げを2回加えた。
その後、90度で5分の養生加熱後、Bに相当するシリル化処理の工程内において、直径50度のロールを用いて3回の60度曲げ加工を加えた。なお、シリル化処理は8Nの塩酸を十分染みこませた後、55℃に加温されたシリル化剤であるオクタメチルトリシロキサンと2−プロパノール(IPA)の混合液中に15分浸漬することで実施した。
その後、Cに相当するシリル化処理の工程と乾燥の工程の間において、直径200mmのロール3本を用いて、90度曲げを2回、180度曲げを1回加えた。
最後に、150度の熱風乾燥炉で2時間溶媒を乾燥させ、エアロゲル含有断熱シートを得た。
<実施例2>
実施例2は実施例1と比較して、使用する不織布繊維403を変更し、(酸化アクリル繊維(透水処理加工品),厚み0.25mm、目付30g/m)のものを用いた、その他の材料、作成条件は実施例1と同一である。
<実施例3>
実施例3は実施例1と比較して、亀裂形成プロセスの箇所をAの含浸の工程と養生の工程の90度曲げ2回のみとした。
<実施例4>
実施例4は実施例2と比較して、亀裂形成プロセスの箇所をAの含浸の工程と養生の工程の90度曲げ2回のみとした。
<比較例1>
比較例1は実施例1と比較して、亀裂形成プロセスを除いたものである。
<比較例2>
比較例2は実施例2と比較して、亀裂形成プロセスを除いたものである。
<結果>
実施例1の表面からみた顕微鏡写真を図6に、比較例1の表面から見た顕微鏡写真を図7に示す。図6と図7の写真の比較から、不織布繊維403に内包されるエアロゲルの亀裂が目論みどおり整列したものとランダムのものとが得られたことがわかる。
また表1に示すとおり、実施例1〜4に関しては、繰り返し曲げ50回後も熱伝導率の値は変化しなかったのに対し、比較例1、2は繰り返し曲げ後の熱伝導率に変化が見られた。したがって、ゲルの粉落ち(脱離)があったものと考える。
<応用例>
また、本発明の実施例2を用いて、角型リチウム二次電池のセル間に用いられる従来使われている樹脂セパレータの変わりに類焼防止効果を検討した。その結果、同一厚みの樹脂セパレータと比較して温度上昇を異常時の温度上昇を抑制できることがわかり、長期信頼性に寄与できる結果となった。
電池だけでなく、電子機器内の発熱源に、断熱シート400を設けることができる。粉落ちがしないので、カバー材料、被覆材は別途なくともよい。
(全体として)
単層400a、単層400cがある構造で説明したが、単層400a、単層400cがない構造でも同様である。複合層400bに、亀裂401があればよい。
本実施の形態で粉落ちによる熱伝導率の変化を低減したシリカエアロゲル含有断熱シートは、電子機器内の狭いスペースにおいても十分に断熱効果を発揮し得る。このことから、広く電子機器内に利用される。情報機器、携帯機器、ディスプレイ、電装品など、熱に関わる全ての製品へ応用される。
300 断熱シート
300a 単層
300b 複合層
300c 単層
301 亀裂
302 シリカエアロゲル
303 不織布繊維
400 断熱シート
400a 単層
400b 複合層
400c 単層
401 亀裂
402 シリカエアロゲル
403 不織布繊維

Claims (8)

  1. 不織布繊維とシリカエアロゲルとを含有する断熱シートであり、
    前記断熱シートの表面に、平行に配置された複数の亀裂を有する断熱シート。
  2. 前記断熱シートは、シリカエアロゲルの単層と、シリカエアロゲルと不織布繊維との複合層、シリカエアロゲルの単層との積層体である断熱シートである請求項1記載の断熱シート。
  3. 前記複数の亀裂は、2方向で平行に配置されている請求項1または2記載の断熱シート。
  4. 前記複数の亀裂は、格子状に配列されている請求項1または2記載の断熱シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱シートを、発熱源に用いた機器。
  6. 珪酸のゾル水溶液を不織布繊維に含浸させる含浸工程と、
    前記ゾル水溶液をゲル化させ、ゲルの骨格を形成する養生工程と、
    前記ゲルのシリル化処理を行うシリル化工程と、
    前記ゲルを乾燥する乾燥工程と、
    1方向へ、前記ゾル水溶液を含む不織布繊維を変形させる亀裂形成工程と、を含む断熱シートの製造方法。
  7. 前記亀裂形成工程は、前記含浸工程と前記養生工程の間、または、前記シリル化工程の内、または、前記シリル化工程と前記乾燥工程との間の少なくとも1箇所で行なう請求項6記載の断熱シートの製造方法。
  8. 前記亀裂形成工程は、ロール曲げである請求項6または7記載の断熱シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11358366B2 (en) 2020-05-27 2022-06-14 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Aerogel structure body and method of manufacturing the same

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