JP2019137634A - 加水分解卵殻膜成分が配合されている美容液 - Google Patents

加水分解卵殻膜成分が配合されている美容液 Download PDF

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Abstract

【課題】 化粧品または医薬部外品として利用することのできる、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、肌のハリと弾力性を増加させ、シワを減らすことのできる美容液を提供する。【解決手段】 加水分解卵殻膜成分を有効成分とする美容液、例えば、加水分解卵殻膜成分を1〜12重量%含む加水分解卵殻膜エキスが95重量%配合されている美容液であり、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、肌のハリと弾力性を増加させ、シワを減少することのできる美容液となる。加水分解卵殻膜成分は刺激性がなく安全なため、化粧品または医薬部外品として使用することができる。【選択図】 図3

Description

本発明は、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、肌のハリと弾力性を増加させ、シワを減らすことのできる美容液に関する。この美容液は、化粧品または医薬部外品の形態で使用される。
シワは加齢により増加する老化現象の一つであるが、加齢だけでなく、皮膚水分量の低下や紫外線による皮膚組織の損傷などによって引き起こされる。シワの改善は美容上の重要な課題であり、シワを改善するためのさまざまな手段が研究されている。
しかしながら、シワが形成されるメカニズムに関しては、そのメカニズムそのものが複雑であることに加え、シワ形成を実験的に再現することが困難なため、現在においてもそのメカニズムは完全に解明されていない。シワ形成メカニズムとしては、例えば、マトリックスメタロプロテナーゼ等のプロテアーゼの発現促進によりコラーゲン等が加水分解されること、紫外線による細胞の損傷とそれによって活性化される細胞のアポトーシス、および活性化されたサイトカインによる線維束の崩壊などが知られている。
紫外線による皮膚組織の損傷の結果生じるシワに対しては、レチノイン酸の改善効果が知られており、米国ではシワ、ニキビの治療薬として認可されているが、日本においては、皮膚への安全性の問題により認可されていない。シワ改善剤として、リン脂質やヒアルロン酸を配合(特許文献1)したものや、アスコルビン酸誘導体(特許文献2)やアラニン(特許文献3)などのアミノ酸類が知られているが、シワ改善効果が十分でない、あるいは、シワ改善効果を発揮する濃度では望ましくない効果も発現する等の安全性の問題もあり、充分な効果を発揮するシワ改善剤は見出されていない。
皮膚は、表皮、表皮−真皮の境界面としての基底膜、真皮、および皮下組織からなる。若い健康な皮膚では、真皮は乳頭層を形成して表皮を押し上げる。乳頭層において、基底表皮細胞への酸素および栄養素の供給のための毛細血管およびIII型コラーゲンやデコリンが細胞環境を担う。老化の特徴として、真皮乳頭層は減少し、それに伴い毛細血管の栄養が表皮に届かず、しわを引き起こす。このように、皮膚の状態は、真皮組織の影響を大きく受けており、表皮の直下にある真皮乳頭層は、日光や加齢によりダメージを受けやすく、そのことが、肌のハリをなくし、表皮組織のシワの原因の一つとなると考えられている。
肌のハリや弾力性の低下を予防するために、真皮線維芽細胞におけるコラーゲン生成促進やマトリックスメタロプロテナーゼの合成を抑制する物質が開発されており、そうした物質を化粧品や栄養食品に含ませることが試みられている。例えば特許文献4には、FOXO1とFOXO3というタンパク質により、コラーゲン生成促進と分解抑制を促すことが報告されている。
一方、卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでおり、抗菌性を有し、発生中の胚を感染から保護している。卵殻膜は、I型、V型およびX型コラーゲン、グルコサミン、デスモシンおよびヒアルロン酸を主成分とした強靭な繊維性のタンパク質等からなる網目状の構造を有し、これらのタンパク質はシステインを含むものが多く、酸、アルカリ、プロテアーゼに対して比較的安定で、水に不溶性である。以前は食品産業の廃棄物として利用されていなかったが、III型コラーゲンの生成を促進する効果が発見されてから、化粧品や栄養剤としての開発が進められている。また、卵殻膜とコラーゲンを含有するコラーゲン産生促進剤(特許文献5)が提案されているが、乾燥や加齢による形態変化によるシワを減少させるとともに、肌のハリや弾力性を増加させることのできる充分な効果については知られていない。
特開2007−191396号公報 特開2003−267856号公報 特開平11−49628号公報 特許第5184813号明細書 特開2012−153614号公報 特開平3−255014号公報 特公平7−110210号公報 特許第5179847号明細書
従来のシワ改善剤を含有した化粧品では、皮膚のシワを減少させる効果が満足できるものはなかなか得られておらず、また、肌の弾力性を向上できる効果が客観的に証明された美容液は得られていない。本発明は、化粧品または医薬部外品として利用することができ、肌のハリと弾力性を増加させて、シワを減らすことのできる美容液の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、加水分解卵殻膜成分を有効成分とする美容液が、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、肌のハリと弾力性を増加させ、シワを減らすことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、加水分解卵殻膜成分を0.95〜11.4重量%含有する美容液、または、加水分解卵殻膜成分を1〜12重量%含む加水分解卵殻膜エキスが95重量%配合されている美容液を包含し、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、肌のハリと弾力性を増加させ、シワを減らすための美容液、及びこの美容液からなる化粧品または医薬部外品に関する。
本発明は、以下の技術的事項から構成される。
(1)加水分解卵殻膜成分を有効成分とする美容液であって、弾性のある真皮乳頭層を与えること、および塗布後の皮膚弾力性が塗布前のそれと比べて有意に向上していることを特徴とする、美容液。
(2)加水分解卵殻膜成分を0.95〜11.4重量%含有することを特徴とする、上記(1)に記載の美容液。
(3)前記加水分解卵殻膜成分を1〜12重量%含む加水分解卵殻膜エキスが、95重量%配合されている、上記(2)に記載の美容液。
(4)前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の美容液。
(5)前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分とアルカリ分解卵殻膜成分の混合物である、上記(1)ないし(3)のいずれかにに記載の美容液。
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の美容液からなる、化粧品または医薬部外品。
加水分解卵殻膜成分は、可溶性のため皮膚に吸収されやすく、少量の塗布により、弾性のある真皮乳頭層を与えることができ、皮膚の弾力性を増加させることができる。本発明者らは、加水分解卵殻膜含有美容液を塗布した上腕と前腕の皮膚について、実際に皮膚弾力性を測定して、美容液塗布により、皮膚の弾力性が有意に増加することを証明し、皮膚に吸収された加水分解卵殻膜成分により、弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、皮膚の弾力性が増加することで、シワが減少することを見出して、本発明を完成させた。
本発明の美容液の美容上の効果は著しいものであるが、本発明の美容液は、加水分解卵殻膜成分を使用しているため刺激性がなく安全であり、化粧品または医薬部外品として使用でき、また、種々の美容成分と併用することもできる。
皮膚弾力測定試験の概要を示す。 本発明の試験品(加水分解卵殻膜成分含有美容液)を12週間塗布したヒト(n=7)の上腕、前腕部位の皮膚弾力測定試験の結果。 本発明の試験品(加水分解卵殻膜成分含有美容液)を1週間および2週間塗布したヒト(n=9)の目尻部位の、レプリカの例とシワ面積率の推移を示す。 皮膚組織の断面と真皮乳頭層の変化の様子の模式図。
本発明で使用される卵殻膜は、陸生の卵生動物すべての卵、特に鳥類の卵の卵殻の内側にある膜であればいずれも使用できる。特に鶏卵の卵殻膜が、入手の容易性、コストの点から好ましい。
加水分解卵殻膜成分は、卵殻膜あるいは卵殻膜含有粉末を、酸水溶液、アルカリ水溶液、アルカリ性有機溶媒溶液、およびタンパク質分解酵素含有液などのタンパク質の分解作用を有する液中で加水分解することによって得られる(特許文献6〜8)。加水分解卵殻膜成分の製造に用いられる卵殻膜含有粉末は、少なくとも卵殻膜を含む粉末であれば特に制限はなく、粉末とは粒子サイズにかかわらず、あらゆる粉体をいう。剥離された卵殻膜または卵殻に卵殻膜が付着した状態の原料を使用して、公知のいずれの方法で粉末化してもよい。また、市販の卵殻膜含有粉末を用いてもよい。
本発明で使用される加水分解卵殻膜成分は,いずれの方法によって製造された加水分解卵殻膜成分を用いることができる。特に、pHが中性付近の酵素分解卵殻膜成分が好ましく、また、酵素分解卵殻膜成分とアルカリ分解卵殻膜成分を混合したものも好ましい。加水分解卵殻膜成分は、取扱性や保存安定性のため、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥手段により得られる粉末形態として使用されることが多いが、本発明の美容液の製造のために、水溶液、エキスとして使用することができる。
本発明の加水分解卵殻膜エキスは、1〜12重量%の加水分解卵殻膜成分に水とブチレングリコールを加えて100重量%として、混合撹拌した後ろ過することによって製造する。本発明の美容液は、この加水分解卵殻膜エキスを使用して製造することができ、加水分解卵殻膜エキス95重量%に、ヒアルロン酸Na、スクワラン等を適量加え、最後に水、ブチレングリコールを加えて100重量%としてから、混合撹拌後ろ過することによって製造する。
1〜12重量%の加水分解卵殻膜成分を含む加水分解卵殻膜エキスを95%配合した本発明の美容液には、0.95〜11.4%の加水分解卵殻膜成分が含まれている。加水分解卵殻膜成分は可溶性のため経皮吸収されやすく、1%の濃度でも真皮乳頭層に作用して肌のハリや弾力性を増加させることができるが、2%以上の濃度でより十分な効果が得られる。加水分解卵殻膜成分として酵素分解卵殻膜成分を用いると、美容液へのアルカリや酸の混入を避けることができ、肌への影響がない高濃度の加水分解卵殻膜成分を含有させることができる。
本発明の美容液は、加水分解卵殻膜成分を有効成分として含有し、その他に、コラーゲン産生促進機能が報告されている素材を混合してもよい。これら素材としては、例えば、ビタミンC、コラーゲン、スクワラン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ナイアシン、プラセンタエキス、キチン、キトサン、および、カンゾウ根エキス等の種々の植物抽出物が挙げられる。
本発明の美容液は、化粧品または医薬部外品の形態で使用することができ、化粧品及び医薬部外品の製品化のために通常使用される成分を用いて製品化することが可能である。本発明の美容液には、製品化に使用される成分以外にも他の有効成分が含まれていてもよく、例えば、精製水、アルコール類、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、生薬成分、紫外線吸収剤、色素、美白剤、香料、乳化安定剤、pH調製剤等が挙げられる。液状、クリーム状、軟膏状、ローション状、ゲル状などの形態で用いられる。
本発明の美容液は、皮膚弾力測定により、上腕や前腕の皮膚の弾力性を有意に増加させられることが証明されており、顔だけでなく、肌のハリや弾力性を増加させたい部分やシワを減少させたい部分の皮膚に適用することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[皮膚の弾力性試験に用いる美容液の製造]
加水分解卵殻膜含有粉末として、商品名「ESMプロテイン」(アルマード社製)のアルカリ加水分解卵殻膜含有粉末を用いた。1.05重量%の加水分解卵殻膜含有粉末に、水とブチレングリコールを加えて100重量%として混合撹拌して完全に溶解させた後、ろ過して 1.05重量%の加水分解卵殻膜成分を含む加水分解卵殻膜エキスを製造した。
試験品として、95重量%のこの加水分解卵殻膜エキスに、ヒアルロン酸Naとスクワランとブチレングリコールと水を加えて100重量%とした美容液(以下、この加水分解卵殻膜あり美容液を「試験品」という。)を用いた。この試験品の美容液は、加水分解卵殻膜成分を1重量%含んでいる。
対照品として、加水分解卵殻膜エキスを添加せず、試験品と同量のヒアルロン酸Naとスクワランとブチレングリコールを加え、最後に水を加えて100重量%とした美容液(以下、この加水分解卵殻膜なし美容液を「対照品」という。)を用いた。
[腕の皮膚の弾力性の生物物理学的測定試験]
図1の測定装置を用いて、14人の女性の腕の皮膚弾力測定を行った。
皮膚の弾力性は、Courage+Khazaka(Cologne、Germany)の皮膚生物物理的技術であるCutometer MPA 580を用いて測定した。粘弾性特性の測定は、以下のパラメータ設定:300mba、オン時間3秒、オフ時間3秒、続いてR5=Ur/Ue(粘性変形のない皮膚の正味の弾力性)、R7=Ur/Uf(生物学的弾力性)などのパラメータを用いたコンピュータ評価を用いて製造者の指示に従って行った。弾性は、測定が一定の負圧で行われるモード1を使用し、キュートメーターによって決定した。3回の測定値の平均値を次ぎの計算に使用した。
腕の皮膚を3秒間吸引してから、3秒後に吸引を解除することにより、吸引直後と吸引解除直前と吸引解除直後のそれぞれの時点で、皮膚が伸びた長さを測定し、吸引初期の急速な伸展性(Ue:単位mm)と吸引解除直前の最大皮膚伸展度(Uf:単位mm)と吸引解除直後の急速回復量(Ur:単位mm)とした。
正味の弾力の指標として、R5=Ur/Ueを、弾力性の指標として、R7=Ur/Ufを設定した。
測定は、前腕の内側と外側(手首と肘の間の中間)と上腕の内側と外側(肩峰と肘頭の中間)、無作為化された左側または右側の4つの領域で行った。被験者の同一領域を測定するために、アームチャンバーを作成し、各被験者の測定部位を記録し、すべての測定においてほぼ同一の領域を測定した。信頼できる測定値を得るために、被験者を実験前に制御された部屋(22±2℃。50±10%RH)で15分順化させた。
[試験方法、試験期間]
試験品を12週間連続塗布した場合の、腕の皮膚の弾力性に及ぼす影響を、14人の被験者のうち、7人には試験品を7人には対照品を12週間腕に塗布することにより、その皮膚の弾力性を比較して検討することを目的とした。
試験品、対照品のどちらかであるかを、健康なボランティア14名(全女性)(22歳から54歳:平均年齢36.7歳)からなる被験者に知らせなかった。試験群の被験者は試験品を、対照群の被験者は対照品を、前腕および上腕の皮膚に1日2回12週間塗布した。被験者には、試験期間中に他の製品または洗浄剤を使用しないように指示した。
[試験の結果]
試験の結果を図2に示す。図2には、R5およびR7の平均値と標準誤差を示した。検定は両側とし、対応のあるt検定を用いて、それぞれp値を算出した。有意水準は5%とした。
試験品を12週間塗布した被験者の腕の皮膚は、4カ所全て弾力性が10%以上有意に増加したのに対して、対照品を12週間塗布した被験者の腕の皮膚の弾力性は、前腕内側の塗布部位以外は、弾力性の増加は有意ではなかった。
試験品を12週間塗布することにより、皮膚の弾力性が有意に増加することが客観的に証明された。
[試験の目的と倫理的事項]
皮膚のシワに対する効果をみるための無作為の二重盲検試験を行うため、目尻に小ジワのある成人女性を対象として、試験品を1週間から2週間連続使用した場合の、目尻のシワに及ぼす影響を、同一被験者の試験品塗布部位と対照品塗布部位を比較して検討することを目的とした。
本試験は世界医師会によるヘルシンキ宣言に示された倫理規範を踏まえ、全ての被験者の同意を得て被験者の人権保護に配慮し、疫学研究に関する倫理指針(文部科学省、厚生労働省)に従って実施した。
[試験対象者と試験方法]
試験の対象者は、年齢が30歳〜56歳、平均年齢43.9歳の健康な女性で、左右の目尻にはっきりとしたシワが見られる者で、かつ文書により自発的な試験参加の同意が得られる者21名であった。
試験前の測定の後、被験者は1日3回2週間にわたって、それぞれ試験品と対照品をそれぞれ片方の目尻に塗布した。塗布量は毎回片側あたり0.12g(目安として3滴)とした。各被験者において試験品を左右どちらの顔に塗布するかは、担当者が無作為に指定し、被験者には知らせなかった。
それぞれの測定を行う前に、被験者は洗顔し、温度25±1℃、湿度60±5%にコントロールした環境の室内で、15分間座って待機した。試験品と対照品を使用して感じた被験者の満足度や有害反応は試験終了時に評価した。
[評価方法]
評価方法は、斜光照明(シワ面積比)を用いたレプリカでの二次元画像評価であり、評価部位は、左右の目尻とし、レプリカの解析部位は、外眼角から顔の外側に約5mm離れた点から10mm×10mmの範囲を主たる評価部位とした。日本香粧品学会の「化粧品機能評価ガイドライン」に沿ってシワのグレードを点数化した。
[レプリカの採取と解析方法]
使用開始前検査時と1週間後および2週間後の試験終了後の検査時に、レプリカ剤 SILFLO (FLXICO Developments Ltd.)を用いて、左右の外眼角から顔の外側に約5mm離れた点から20mm×20mmの部位の皮膚のレプリカを採取した。
採取した目尻のシワ部位のレプリカを、シワの主たる走行方向に直交する方向から30度の角度をつけて斜め上方より光をあて、生じた影の画像を取得し、画像解析した。レプリカに投射光を当てると濃い陰影や薄い陰影など様々な陰影ができる。このうちシワであると考えられる濃い陰影を抽出するために、画像解析ソフトImageJを用いて二値化処理を行った。二値化処理の際の閾値設定は一定とし、閾値以上の濃さをもった陰影をシワとして抽出した。シワに由来する影の面積が、解析領域に占める割合をシワ面積率とした。総シワ平均深度(μm)、最大シワ平均深度(μm)、および最大シワ最大深度(μm)を算出した。試験品塗布部位、対照品塗布部位の面積率を平均値と標準偏差および標準誤差を算出し、studentのt検定により有意差検定を行った。
[解析方法]
各評価項目について、各検査時点の平均値と標準偏差および標準誤差を算出した。有効性の評価は、各評価項目について、プレと比較した1週間後または2週間後の変化量について、加水分解卵殻膜成分あり群となし群を比較(群間比較)することにより行った。それぞれについて、プレと1週間後と2週間後の測定値を比較した(群内比較)。統計学的検定は、シワ面積率については対応のあるt検定を用いて、それぞれp値を算出した。
[結果]
試験の結果を図3に示す。図3の上部は、被験者の1人の目尻のシワのレプリカであり、上段の試験品の美容液を用いたレプリカの方が、明らかに下段の対照品のレプリカより、シワが減少していることが見てとれる。
また、図3の下部に示したシワ面積率によれば、試験品を1週間、2週間と塗布していくと、有意にシワが減少し、2週間後には、対照品を塗布した目尻と比較して、有意にシワが減少した。
試験の結果、加水分解卵殻膜成分を1重量%含有する試験品美容液を、1週間、2週間塗布するだけで、見た目で顕著にシワが減少し、シワ改善に有意な効果を有することを示した。実施例2での腕の皮膚への塗布実験により、皮膚の弾力性が増加したことから、それは皮膚のハリと弾力性の増加に裏打ちされていることがわかる。
以前、加水分解卵殻膜成分を付けた培養皿上でヒト皮膚線維芽細胞(HDF9を培養する実験系において、III型コラーゲン、デコリン、およびMMP2のような若い乳頭真皮を促進する遺伝子が誘導されることを見出したが、今回、ヘアレスマウスの背部皮膚にこの美容液を10日間塗布すると、同じ遺伝子セットが誘発された。これらの知見から、加水分解卵殻膜成分は、皮膚機能の重要な特徴である乳頭層の機能を改善するという特徴を有すると考えられる。
デコリンは、低分子量のロイシンに富んだプロテオグリカンに属し、線維マトリックスおよび組織構成を安定化させる。デコリンは、血管などの弾性組織における器官形成および組織形成中にIII型コラーゲン線維形成を助ける、III型コラーゲン線維の螺旋形に結合する。乳頭様組織内の毛細血管のための柔らかくて良い環境を提供するIII型コラーゲンとデコリン発現は、弾力性のある若い健康な皮膚を与える。
MMP2は線維芽細胞に発現し、ゼラチン、X型コラーゲン、フィブリンなどを分解し代謝回転を促進すると考えられているが、III型コラーゲンを分解しない。
今回、加水分解卵殻膜成分は、マウス皮膚におけるエラスチン遺伝子発現を促進しなかった。エラスチンは、弾性繊維を形成し、年齢と共に減少する皮膚構成タンパク質である。このヘアレスマウス実験では、加水分解卵殻膜成分は、III型コラーゲン、デコリン、MMP2の遺伝子は、発現を同時に増加される経路によって調節されており、エラスチンを増加させる応答系路とは異なる。エラスチンは真皮乳頭層ではなく、真皮網状層の主要な成分の1つである。
したがって、加水分解卵殻膜成分を皮膚表面に局所的に塗布した場合、加水分解卵殻膜成分がエラスチンよりも、III型コラーゲンやデコリンを誘導するのは、加水分解卵殻膜成分の効果が真皮乳頭層に特異的であるという結論を導き得る。真皮乳頭層と真皮網状層との最も顕著な相違は、前者には毛細血管が豊富であることである。
加水分解卵殻膜成分によって誘導されるIII型コラーゲン、デコリンおよびMMP2の組み合わせは、皮膚の恒常性にとって必須であり、加水分解卵殻膜成分は、皮膚の弾力性を改善するように、優れた皮膚健康の可能性を示す。
シワは真皮の問題であり、図4に示すように、日光や加齢でダメージを受けやすい表皮直下の真皮乳頭層のダメージにより、その直上の表皮がたわんでシワとなる。ここに加水分解卵殻膜成分を含む美容液を塗布すると、III型コラーゲン、MMP2、デコリンの発現が誘導され、真皮乳頭層に弾力を与え、真皮の弾性力が回復すると考えられる。
本発明によれば、皮膚に対して刺激性がなく安全な加水分解卵殻膜成分は、可溶性のため皮膚に吸収されやすい。皮膚に塗布することにより、少量でも弾性のある真皮乳頭層を与えることにより、シワを減らし、肌のハリと弾力性を増加させることができ、美容上の効果は著しい。本発明の美容液は、化粧品、医薬部外品という形態で使用でき、種々の美容成分と併用することで、さらに美容効果が向上した化粧品、医薬部外品を提供できる。


Claims (6)

  1. 加水分解卵殻膜成分を有効成分とする美容液であって、弾性のある真皮乳頭層を与えること、および塗布後の皮膚弾力性が塗布前のそれと比べて有意に向上していることを特徴とする、美容液。
  2. 前記加水分解卵殻膜成分を0.95〜11.4重量%含有する、請求項1に記載の美容液。
  3. 前記加水分解卵殻膜成分を1〜12重量%含む加水分解卵殻膜エキスが、95重量%配合されている、請求項2に記載の美容液。
  4. 前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分である、請求項1ないし3のいずれかに記載の美容液。
  5. 前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分とアルカリ分解卵殻膜成分の混合物である、請求項1ないし3のいずれかに記載の美容液。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の美容液からなる、化粧品または医薬部外品。
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