JP2019137264A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の制御部を協調させて特定処理を実施可能である操舵制御装置を提供する。【解決手段】第1制御部130は、外部装置400と通信可能であって、外部装置400からの要求に応じて特定処理を実施可能である。第2制御部230は、第1制御部130と通信可能であって、第1制御部130からの指令を受けて特定処理を実施可能である。第1制御部130は、自身における特定処理の実施可否状態に係る第1情報、および、第2制御部230における特定処理の実施可否状態に係る第2情報を取得可能である。第1制御部130は、第1情報および第2情報の全てが肯定的な情報である場合、外部装置400に対して肯定的な情報を送信し、第1情報および第2情報の少なくとも一部が否定的な情報である場合、外部装置400に対して否定的な情報を送信する。これにより、第1制御部130および第2制御部230を協調させて特定処理を実施することができる。【選択図】 図5

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、制御装置にてモータの駆動を制御する電動パワーステアリング装置が知られている(特許文献1、2参照)。例えば特許文献1のEPSモータ制御部は、電動モータを独立して駆動制御する2系統の制御装置によって構成される。
特開2013−86718号公報 特開2012−59099号公報
特許文献1のように複数の制御部を備える構成において、それぞれの制御部にて同一の処理を実施しようとする場合、一部の制御部にて当該処理を実施し、他の制御部にて未実施になると、制御部間にて当該処理に対する状態が不一致となり、以降の制御に支障をきたす虞が生じる。例えば、特許文献2に示すプログラム更新処理(以下、「リプロ処理」)の場合、一部の制御部にてリプロ処理が実施され、他の制御部にてリプロ処理が未実施となると、制御部間にてプログラムが不一致となる虞がある。本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の制御部を協調させて特定処理を実施可能である操舵制御装置を提供することにある。
本発明の操舵制御装置は、回転電機(80)を備える電動パワーステアリング装置(8)を制御するものであって、第1制御部(130)と、第2制御部(230)と、を備える。第1制御部は、外部装置(400)と通信可能であって、外部装置からの要求に応じて特定処理を実施可能である。第2制御部は、第1制御部と通信可能であって、第1制御部からの指令を受けて特定処理を実施可能である。特定処理には、例えばリプロ処理およびセンサ補正処理が含まれる。
第1制御部は、自身における特定処理の実施可否状態に係る第1情報、および、第2制御部における特定処理の実施可否状態に係る第2情報を取得可能である。第1制御部は、第1情報および第2情報の全てが肯定的な情報である場合、外部装置に対して肯定的な情報を送信し、第1情報および第2情報の少なくとも一方が否定的な情報である場合、外部装置に対して否定的な情報を送信する。
これにより、複数の制御部を協調させて特定処理を実施可能であり、例えば第2制御部が外部装置と接続されていない場合であっても、第2制御部にて特定処理を実施することができる。また、特定処理の実施可否状態を、外部装置に適切に知らせることができる。
第1実施形態によるステアリングシステムの概略構成図である。 第1実施形態による駆動装置の断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 第1実施形態によるEPS−ECUを示すブロック図である。 第1実施形態によるEPS−ECUと外部装置との接続を説明するブロック図である。 第1実施形態によるリプロ開始処理を説明するフローチャートである。 第1実施形態によるリプロ完了通知処理を説明するフローチャートである。 第1実施形態によるリプロ完了通知処理を説明するフローチャートである。 第2実施形態において、第1制御部におけるセンサ補正処理を説明するフローチャートである。 第2実施形態において、第2制御部におけるセンサ補正処理を説明するフローチャートである。 第3実施形態によるEPS−ECUを示すブロック図である。 第3実施形態によるEPS−ECUと外部装置との接続関係を説明するブロック図である。
(第1実施形態)
電子制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。図1に示すように、第1実施形態による操舵制御装置としてのEPS−ECU10は、回転電機としてのモータ80とともに、車両300(図5参照)のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置8に適用される。以下、EPS−ECU10を、適宜単にECU10という。図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の全体構成を示すものである。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクTsを検出するトルクセンサ94が設けられる。トルクセンサ94は、第1トルク検出部194および第2トルク検出部294を有する。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
電動パワーステアリング装置8は、モータ80およびECU10を有する駆動装置40、ならびに、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89等を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。
図2および図3に示すように、モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、電源としてのバッテリ191、291(図4参照)から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ860およびステータ840を有する。
モータ80は、巻線組としての第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。図中適宜、第1モータ巻線180を「モータ巻線1」、第2モータ巻線280を「モータ巻線2」とする。後述の他の構成についても、「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。モータ巻線180、280は、電気的特性が同等であり、例えば特許第5672278号公報の図3に参照されるように、共通のステータ840に、互いに電気角30[deg]ずらしてキャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。通電位相差を最適化することで、出力トルクが向上する。また、6次のトルクリプルを低減することができる。さらにまた、位相差通電により、電流が平均化されるため、騒音、振動のキャンセルメリットを最大化することができる。また、発熱についても平均化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を平均化できる。
以下、第1モータ巻線180の駆動制御に係る第1インバータ回路120および第1制御部130等の組み合わせを第1系統L1、第2モータ巻線280の駆動制御に係る第2インバータ回路220および第2制御部230等の組み合わせを第2系統L2とする。本実施形態では、インバータ回路120、220が「駆動回路」である。また、第1系統L1に係る構成を主に100番台で符番し、第2系統L2に係る構成を主に200番台で符番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様の構成には、下2桁が同じとなるように符番する。
駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80とECU10とは別途に設けられていてもよい。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、ハウジング830からECU10側に突出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線185、285が挿通される。リード線185、285は、リード線挿通孔839からECU10側に取り出され、基板470に接続される。
ECU10は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。
カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、および、コネクタ部462が一体に形成される。なお、コネクタ部462は、カバー本体461と別体であってもよい。コネクタ部462の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。コネクタ数および端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。コネクタ部462は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。コネクタ部462は、後述する各コネクタを含む。
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。図3に示すように、モータ面471には、インバータ回路120を構成するスイッチング素子121、インバータ回路220を構成するスイッチング素子221、回転角センサ126、226、カスタムIC159、259等が実装される。回転角センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御部130、230を構成するマイコン等が実装される。図3では、制御部130、230を構成するマイコンについて、それぞれ「130」、「230」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ191、291(図4参照)から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリ191、291を共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリ191、291を共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、図3中には図示を省略しているが、電源回路116、216、モータリレー、および、電流センサ125、225等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
図4に示すように、ECU10は、インバータ回路120、220、制御部130、230等を備える。ECU10には、電源コネクタ111、211、トルクコネクタ113、213、および、車両通信コネクタ112が設けられる。第1電源コネクタ111は、第1バッテリ191に接続され、第2電源コネクタ211は、第2バッテリ291に接続される。第1電源コネクタ111は、第1電源回路116を経由して、第1インバータ回路120と接続される。第2電源コネクタ211は、第2電源回路216を経由して、第2インバータ回路220と接続される。電源回路116、216は、例えば電源リレーである。
車両通信コネクタ112は、車両通信網350に接続される。車両通信網350は、図4では、CAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN−FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のものでもよい。
トルクコネクタ113、213は、トルクセンサ94と接続される。詳細には、第1トルクコネクタ113は、トルクセンサ94の第1トルク検出部194と接続される。第2トルクコネクタ213は、トルクセンサ94に第2トルク検出部294と接続される。図4では、第1トルク検出部194を「トルクセンサ1」、第2トルク検出部294を「トルクセンサ2」と記載した。
第1制御部130は、トルクコネクタ113およびトルクセンサ入力回路118を経由して、トルクセンサ94の第1トルク検出部194から操舵トルクTsに係るトルク信号を取得可能である。第2制御部230は、トルクコネクタ213およびトルクセンサ入力回路218を経由して、トルクセンサ94の第2トルク検出部294から操舵トルクTsに係るトルク信号を取得可能である。これにより、制御部130、230は、トルク信号に基づき、操舵トルクTsを演算可能である。
第1インバータ回路120は、6つのスイッチング素子121を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180へ供給される電力を変換する。スイッチング素子121は、第1制御部130から出力される制御信号に基づいてオンオフ作動が制御される。第2インバータ回路220は、6つのスイッチング素子221を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280へ供給される電力を変換する。スイッチング素子221は、第2制御部230から出力される制御信号に基づいてオンオフ作動が制御される。
第1電流センサ125は、第1モータ巻線180の各相に通電される電流を検出し、検出値を第1制御部130に出力する。第2電流センサ225は、第2モータ巻線280の各相に通電される電流を検出し、検出値を第2制御部230に出力する。
第1回転角センサ126は、モータ80の回転角を検出し、第1制御部130に出力する。第2回転角センサ226は、モータ80の回転角を検出し、第2制御部230に出力する。本実施形態では、第1電流センサ125、第1回転角センサ126および第1トルク検出部194が「第1センサ部」に対応し、第2電流センサ225、第2回転角センサ226および第2トルク検出部294が「第2センサ部」に対応する。
第1制御部130には、第1電源コネクタ111および図示しないレギュレータ等を経由して給電される。第2制御部230には、第2電源コネクタ211および図示しないレギュレータ等を経由して給電される。第1制御部130および第2制御部230は、制御部130、230間にて相互に通信可能に設けられる。以下適宜、制御部130、230間の通信を、「マイコン間通信」という。制御部130、230間の通信方法は、SPIやSENT等のシリアル通信や、CAN通信、FlexRay通信等、どのような方法を用いてもよい。
制御部130、230は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部130、230における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
第1制御部130は、第1電流センサ125、第1回転角センサ126および第1トルク検出部194の検出値等に基づき、例えば電流フィードバック制御により、第1インバータ回路120のスイッチング素子121のオンオフ作動を制御する制御信号を生成する。第2制御部230は、第2電流センサ225、第2回転角センサ226および第2トルク検出部294の検出値等に基づき、例えば電流フィードバック制御により、第2インバータ回路220のスイッチング素子221のオンオフ作動を制御する制御信号を生成する。制御信号に基づいてスイッチング素子121、221を作動させ、モータ巻線180、280の通電を制御することで、モータ80の駆動が制御される。モータ駆動制御の詳細は、どのようであってもよい。
図5に示すように、車両通信網350は、EPS−ECU10、および、例えばエンジンECU等である他のECU361、362を通信可能に接続する。第1制御部130は、車両通信網350、および、着脱可能な接続配線410を経由して、外部診断用ツール401を有する外部装置400と通信可能である。一方、第2制御部230は、外部装置400と接続可能な車両通信網350とは接続されていない。第2制御部230を車両通信網350から切り離すことで、セキュリティ性能を高めることができる。なお、図示はしていないが、第2制御部230は、例えば自動運転制御を司るECU等、一部のECU同士を接続する、車両通信網350とは別途の通信網と接続されていてもよい。
本実施形態の制御部130、230は、外部診断用ツール401からの要求に応じ、ROM等に書き込まれた各種プログラムを更新するリプロ処理を実施可能である。制御部130、230は、外部診断用ツール401からのリプロ処理要求に応じてリプロ処理を行う。なお、図5中に二点鎖線で示すように、無線通信部351を経由した無線通信により、OTA(On The Air)でリプロ処理を行うようにしてもよい。
例えば、第1制御部130および第2制御部230が共に車両通信網350を介して外部診断用ツール401と接続し、それぞれにてリプロ処理を行う場合であって、一方がリプロ許可、一方がリプロ不許可の場合、一方のみがリプロ処理されて、制御部間でプログラムのバージョンが異なってしまう虞がある。また、本実施形態のように、第2制御部230が車両通信網350と接続されていない場合、外部診断用ツール401側では、第2制御部230の状態を直接的に知ることはできない。
そこで本実施形態では、第2制御部230は、第1制御部130からマイコン間通信にてリプロ処理要求を取得することで、リプロ処理を実施可能としている。また、全ての制御部130、230にてリプロ処理が許可された場合、リプロ処理を実施し、少なくとも一部の制御部130、230にてリプロ処理が不許可の場合、リプロ処理を禁止する。また、全ての制御部130、230にてリプロ処理が成功した場合、リプロ成功を応答し、少なくとも一部の制御部130、230にてリプロ処理が失敗した場合、リプロ失敗を外部診断用ツール401に対して応答する。
詳細には、本実施形態では、外部診断用ツール401は、第1制御部130にリプロ処理要求を送信する。また、第2制御部230は、自身のリプロ処理を許可するか否かについて第1制御部130に通知する。第1制御部130は、制御部130、230の少なくとも一方にてリプロ処理を実施できない場合、外部診断用ツール401にリプロ実施不可を通知する。
第1制御部130は、制御部130、230が共にリプロ処理を実施可能であれば、第2制御部230にリプロ処理要求を送信し、制御部130、230にてリプロ処理が実施される。第2制御部230は、リプロ処理が成功したか否かの情報を第1制御部130に送信する。第1制御部130は、制御部130、230にてリプロ処理が完了した場合、リプロ処理が成功した旨の情報を外部診断用ツール401に通知し、制御部130、230の少なくとも一方にてリプロ処理が失敗した場合、リプロ処理が失敗した旨の情報を外部診断用ツールに通知する。
図6は、リプロ開始処理を示すフローチャートである。この処理は、第1制御部130にて実行される処理である。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様である。
S101では、第1制御部130は、外部診断用ツール401からリプロ処理要求を受信したか否かを判断する。リプロ処理要求を受信していないと判断された場合(S101:NO)、この判断処理を繰り返す。リプロ処理要求を受信したと判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
S102では、第1制御部130は、リプロ処理要求を第2制御部230に送信する。S103では、第1制御部130は、自身にてリプロ処理を実施可能か否かについて示す情報を内部的に取得する。また、第1制御部130は、第2制御部230にてリプロ処理を実施可能か否かについて示す情報を第2制御部230から取得する。なお、例えばリプロに係る処理とは別途に制御部130、230間にて送受信されている通信フレーム中のステータス情報等にてS104の判断を行う場合、S102およびS103の処理は省略可能である。
S104では、第1制御部130は、自系統リプロ可否情報および他系統リプロ可否情報に基づき、全系統にてリプロ処理を実施可能か否か判断する。また、プログラム書き換え中は、一定時間アシスト不可となるため、確実に運転していない状況、すなわち操舵のアシスト不要である場合、リプロ処理を実施可能と判定する。換言すると、リプロ処理を実施する期間中に操舵のアシストが必要になるとみなされる場合、リプロ処理を禁止する。全系統にてリプロ処理を実施可能と判断された場合(S104:YES)、S105へ移行する。少なくとも一部の系統にてリプロ処理を実施不可と判断された場合(S104:NO)、S106へ移行する。なお、マイコン間通信が異常である場合、第2制御部230にリプロ実施指令等を送信できないため、第2制御部230はリプロ処理不可と判断される。
S105では、第1制御部130は、第2制御部230にリプロ実施指令を通知するとともに、自身のリプロ処理を開始する。第2制御部230は、第1制御部130からリプロ実施指令とともに更新プログラムを受信し、非同期にて自身のリプロ処理を開始する。第2制御部230は、リプロ処理が正常に完了した場合、リプロ成功を示す情報を第1制御部130に送信する。また、リプロ処理が正常に完了しなかった場合、リプロ失敗を示す情報を第1制御部130に送信する。S106では、第1制御部130は、外部診断用ツール401に対し、リプロ不可を応答する。
本実施形態では、全系統にてリプロ処理を実施可能と判断されたS105にて、外部診断用ツール401から更新プログラムをダウンロードする。また、S101にて、リプロ処理要求とともに更新プログラムをダウンロードしておき、全系統にてリプロ処理を実施可能と判断された場合、更新プログラムへの書き換えを行うようにしてもよい。
図7は、リプロ完了通知処理を示すフローチャートである。この処理は、第1制御部130にて実行される処理である。S201では、第1制御部130は、全系統のリプロ処理が成功したか否かを判断する。全系統のリプロ処理が成功したと判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。少なくとも一部の系統のリプロ処理が失敗したと判断された場合(S201:NO)、S203へ移行する。
S202では、第1制御部130は、外部診断用ツール401に対し、リプロ成功を応答する。S203では、第1制御部130は、外部診断用ツール401に対し、リプロ失敗を応答する。
また、リプロ完了通知処理は図8のようであってもよい。S251では、第1制御部130は、第1制御部130のリプロ処理が成功したか否かを判断する。第1制御部130のリプロ処理が成功したと判断された場合(S251:YES)、S252へ移行する。第1制御部130のリプロ処理が失敗したと判断された場合(S251:NO)、S255へ移行する。
S252では、第1制御部130は、第2制御部230のリプロ処理が成功したか否かを判断する。第2制御部230のリプロ処理が成功したと判断された場合(S252:YES)、S253へ移行し、外部診断用ツール401に対し、リプロ成功を応答する。第2制御部230のリプロ処理が失敗したと判断された場合(S252:NO)、S254へ移行し、外部診断用ツール401に対し、リプロ失敗を応答するとともに、リプロ処理が失敗した制御部が第2制御部230である旨を通知する。
S255では、第1制御部130は、S252と同様、第2制御部230のリプロ処理が成功したか否かを判断する。第2制御部230のリプロ処理が成功したと判断された場合(S255:YES)、S256へ移行し、リプロ失敗を応答するとともに、リプロ処理が失敗した制御部が第1制御部130である旨を通知する。第2制御部230のリプロ処理が失敗したと判断された場合(S255:NO)、S257へ移行し、リプロ失敗を応答するとともに、リプロ処理が失敗した制御部が第1制御部130および第2制御部230である旨を通知する。
制御部130、230は、リプロ処理を実施する際、リプロ処理前のプログラムを保持しておく。第1制御部130は、制御部130、230の一方のリプロ処理が成功し、他方が失敗した場合、制御部130、230のプログラムのバージョンが同じになるように、成功した側の制御部においても、リプロ処理前のプログラムを有効にし、更新プログラムを無効にするように、制御部130、230に指令する。あるいは、プログラムの欠陥等により、リプロ処理前のプログラムを使用不可にする必要がある場合、リプロ処理が成功した側の制御部にて、更新プログラムを用いた片系統駆動に移行するようにしてもよい。
また、OTAにてリプロ処理を行う場合、外部装置400側では、車両300の使用状態が正確に把握できないため、確実に運転をしていない状況、すなわち電動パワーステアリング装置8によるアシストが不要な状況にて、リプロ処理を開始することが望ましい。ただし、制御部130、230が起動していないとリプロ処理できないため、イグニッション電源等である始動スイッチはオンで制御部130、230が起動しており、パワー系への給電に係るパワー電源がオフであってアシストが発生しない状態や車両300として走行できない状態にて、リプロ処理が実行されるように構成することが望ましい。また、インスツルメントパネルの表示等にて、リプロ処理が行われる旨の情報がユーザに通知可能であることが、より望ましい。
以上説明したように、本実施形態のEPS−ECU10は、モータ80を備える電動パワーステアリング装置8を制御するものであって、第1制御部130および第2制御部230を有する。第1制御部130は、外部装置400と通信可能であって、外部装置400からの要求に応じて特定処理を実施可能である。第2制御部230は、第1制御部130と通信可能であって、第1制御部130からの指令を受けて特定処理を実施可能である。本実施形態の特定処理は、プログラムの更新を行うリプロ処理である。
第1制御部130は、自身における特定処理の実施可否状態に係る第1情報、および、第2制御部230における特定処理の実施可否状態に係る第2情報を取得可能である。第1制御部130は、第1情報および第2情報の全てが肯定的な情報である場合、外部装置400に対して肯定的な情報を送信し、第1情報および第2情報の少なくとも一部が否定的な情報である場合、外部装置400に対して否定的な情報を送信する。本実施形態における「実施可否状態」は、リプロ処理の実施を許可するか否かの状態、および、リプロ処理が完了したか否かの状態を含む概念である。
これにより、第1制御部130および第2制御部230を協調させて特定処理を実施することができる。本実施形態のように、第2制御部230が外部装置400と接続されてない場合であっても、第2制御部230にて特定処理を実施することができる。また、EPS−ECU10における特定処理の実施可否状態を、外部装置400に適切に知らせることができる。
本実施形態では、第1情報および第2情報は、リプロ処理の実施を許可するか否かを示す情報である。制御部130、230の全てがリプロ処理を実施可能である場合、自身のリプロ処理を実施するとともに、第2制御部230に対してリプロ処理の実施を指令する。第2制御部230は、第1制御部130からリプロ処理の実施が指令された場合、自身のリプロ処理を実施する。本実施形態では、第1制御部130および第2制御部230は、非同期にて特定処理を実施する。これにより、1つの外部診断用ツール401から、複数の制御部130、230のリプロ処理を適切に実施することができる。また、一部の制御部にてリプロ不可の状態にて、他の制御部にてリプロ処理が実施され、制御部ごとにプログラムのバージョンが異なるのを避けることができる。
第1制御部130は、第1制御部130および第2制御部230の全てがリプロ処理を実施可能である場合、第2制御部230に更新プログラムを送信する。また、第1制御部130および第2制御部230は、操舵のアシスト中である場合、リプロ処理を禁止する。これにより、制御部130、230にて、適切にリプロ処理を行うことができる。
本実施形態では、第1情報および第2情報は、リプロ処理が成功したか否かを示す情報である。第2制御部230は、自身のリプロ処理が成功したか否かを示す情報を第1制御部130に送信する。第1制御部130および第2制御部230の少なくとも一部にてリプロ処理が失敗した場合、第1制御部130は、自身においてリプロ処理を実施する前のプログラムを有効にするとともに、第2制御部230に対してリプロ処理を実施する前のプログラムを有効のするように指令する。また、第2制御部230は、第1制御部130からの指令に応じ、リプロ処理を実施する前のプログラムを有効にする。これにより、制御部130、230のプログラムのバージョンを揃えることができ、プログラムのバージョンが異なることによる不整合を避けることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図9および図10に示す。第1実施形態では、特定処理の例として、リプロ処理について説明した。本実施形態では、特定処理の例として、センサ補正処理について説明する。本実施形態では、図5におけるリプロ処理要求に替えて、センサ補正処理要求が送受信される。また、リプロ処理の許可/不許可を示す情報、および、リプロ成功/失敗を示す情報に替えて、センサ補正の許可/不許可を示す情報、および、センサ補正成功/失敗を示す情報が送受信される。また、後述するように、モータ80に通電した状態にてセンサ補正処理を行う場合、第1制御部130から第2制御部230に電流指令値および角度指令値を送信する。なお、本実施形態では、第1制御部130が電流指令値および角度指令値を送信するが、補正指令に応じ、第2制御部230が電流指令値および角度指令値を送信するようにしてもよい。
上記実施形態にて説明した通り、第2制御部230は、車両通信網350とは接続されておらず、外部装置400からのセンサ補正要求を直接的に取得することができないので、第1制御部130からマイコン間通信にて、センサ補正要求を取得する。
また、本実施形態では、制御部が複数設けられている。そのため、一部の制御部にてセンサ補正が不可であり、他の制御部にてセンサ補正が行われると、検出の不整合や誤差が生じる虞がある。そこで本実施形態では、全ての制御部130、230にて補正が成功した場合、補正成功を外部装置400に通知し、少なくとも一部の制御部130、230にて補正が失敗した場合、補正未実施または補正失敗を通知する。
例えば回転角センサ126、226の回転に応じた次数の補正や、トルクセンサ94や電流センサ125、225のゲインを補正する場合等、モータ80を駆動して動的な状態での補正が必要な場合、系統間に処理タイミングのずれが生じると、意図した状態での補正ができない虞がある。そこで本実施形態では、制御部130、230にて、センサ誤差補正を同期させて行う。
本実施形態のセンサ補正処理を図9および図10のフローチャートに基づいて説明する。図9が第1制御部130での処理であり、図10が第2制御部230の処理である。補正対象は、制御部130、230のそれぞれに対応して設けられているいずれのセンサであってもよい。なお、センサ補正処理は、外部要因を排除するため、センサ補正を実施可能と判断された場合に実施する。例えば、車速が車速判定閾値以下、操舵トルクがトルク判定閾値以下、かつ、操舵角速度が操舵角速度判定閾値以下のときにセンサ補正処理を実施する。ここでは、センサ補正処理の実施可否を、車速、操舵トルクおよび操舵角速度に基づいて判定しているが、これらの少なくとも一部を省略してもよいし、他のパラメータにて判定してもよい。
図9に示すように、S301では、第1制御部130は、外部診断用ツール401からセンサ補正要求を受信したか否かを判断する。センサ補正要求を受信していないと判断された場合(S301:NO)、この判断処理を繰り返す。センサ補正要求を受信したと判断された場合(S301:YES)、S302へ移行する。
S302では、第1制御部130は、全系統にて補正準備が完了したか否かを判断する。全系統にて補正準備が完了したと判断された場合(S302:YES)、S305へ移行する。少なくとも一部の系統にて補正準備が完了していないと判断された場合(S302:NO)、S303へ移行する。
S303では、第1制御部130は、タイムアウトカウンタC1をインクリメントする。S304では、タイムアウトカウンタC1が判定閾値TOthより大きいか否かを判断する。タイムアウトカウンタC1が判定閾値TOth以下であると判断された場合(S304:NO)、S302へ移行する。タイムアウトカウンタC1が判定閾値TOthより大きいと判断された場合(S304:YES)、S310へ移行する。
全系統の補正準備が完了したと判断された場合(S302:YES)に移行するS305では、第1制御部130は、第2制御部230に対して補正実行を指令する。S306では、第1制御部130は、モータ80を駆動する電流指令値および角度指令値を出力する。S307では、補正要求に応じたセンサ補正を実施する。
S308では、第1制御部130は、全系統の補正が完了したか否かを判断する。全系統の補正が完了したと判断された場合(S308:YES)、S309へ移行し、センサ補正完了を外部診断用ツール401へ応答する。全系統の補正が完了していないと判断された場合(S308:NO)、S310へ移行し、センサ補正未実施を外部診断用ツール401に応答する。なお、S308にて否定判断された場合、S303およびS304と同様のタイムアウトカウント処理を行ってもよい。
図10に示すように、第2制御部230は、第1制御部130からの補正要求を受信したか否かを判断する。補正要求を受信していないと判断された場合(S351:NO)、この判断処理を繰り返す。補正要求を受信したと判断された場合(S351:YES)、S352へ移行する。
S352では、第2制御部230は、自系統の補正準備が完了したか否かを判断する。自系統の補正準備が完了したと判断された場合(S352:YES)、S356へ移行する自系統の補正準備が完了していないと判断された場合(S352:NO)、S353へ移行する。
S353では、第2制御部230は、タイムアウトカウンタC2をインクリメントする。S354では、タイムアウトカウンタC2が判定閾値TOthより大きいか否かを判断する。判定閾値TOthは、第1制御部130のタイムアウト判定に係る値と同じでもよいし、異なっていてもよい。タイムアウトカウンタC2が判定閾値TOth以下であると判断された場合(S354:NO)、S352へ移行する。タイムアウトカウンタC2が判定閾値TOthより大きいと判断された場合(S354:YES)、S355へ移行し、自系統が補正不可であることを示す情報を、第1制御部130へ通知する。
自系統の補正準備が完了したと判断された場合(S352:YES)に移行するS356では、第2制御部230は、補正準備が完了したことを示す情報を第1制御部130に送信する。
S357では、第2制御部230は、第1制御部130から補正実行の指令を受信したか否かを判断する。補正実行の指令を受信していないと判断された場合(S357:NO)、この判断処理を繰り返す。なお、タイムアウトした場合や、第1制御部130から補正未実施の指令を受けた場合、S358以下の処理を行わず、本ルーチンを終了するようにしてもよい。補正実行の指令を受信したと判断された場合(S357:YES)、S358へ移行し、補正要求に応じたセンサ補正を実施する。
S359では、第2制御部230は、自系統の補正が完了したか否かを判断する。自系統の補正が完了したと判断された場合(S359:YES)、S360へ移行し、センサ補正完了を第1制御部130に送信する。自系統の補正が完了していないと判断された場合(S359:NO)、S361へ移行し、補正失敗を第1制御部130に送信する。なお、S308にて否定判断された場合と同様、タイムアウトカウント処理を行ってもよい。
図9および図10では、センサ補正において、モータ80を駆動してのセンサ補正処理を説明したが、例えばオフセット補正等、モータ80を駆動しない静的な状態にて補正を行う場合は、センサ補正処理を同期させず、制御部130、230ごとのタイミングにてセンサ補正処理を行うようにしてもよい。また、第1実施形態にて説明したリプロについても、本実施形態と同様、リプロ開始タイミングを制御部130、230にて同期させてもよい。
外部診断用ツール401を用いて、工場内にてセンサ補正を行う場合、いずれかの系統にて異常が検出された場合、ノイズや電源電圧の変動等、一時的な要因の可能性があるため、再補正を試み、補正が完了すれば、問題はない。一方、複数回に亘って異常が検出された場合、ECU10または通信線の異常の可能性があるため、異常箇所の特定処理を別途行う。ECU10の異常と特定された場合、ECU10を交換した後、補正を行うことが望ましい。なお、異常時はアシスト停止、もしくは意図的にアシストトルクを低減する、ブザーやウォーニングランプ等による報知を行うなど、異常のまま、工場外に出ないような処置を行ってもよい。
OTAによるリモート補正時、リモート補正前の補正値を保持しておき、異常となった場合には、補正前の状態に戻す。リモート補正についても、一時的な要因を考慮し、複数回の補正を試みてもよい。複数回の補正を行っても、補正が失敗する場合、ユーザに修理を促すべく、ウォーニングランプ等による警告をすることが望ましい。
また、リモート補正時、一部の制御部130、230にて補正が成功した場合、成功した側の制御部では、補正後の値を用いてもよい。さらにまた、例えば補正前後の値の差が予め設計された閾値より大きい場合、補正後の値の信頼性が低いとみなし、補正前の値を用いるようにしてもよい。また、リモート補正による補正値の書き込み完了までの間に、プログラム破損等の異常が生じた場合、または、その疑いがある場合、当該系統の駆動を停止し、ユーザに修理を促すべく、ウォーニングランプ等による警告を行うことが望ましい。
電動パワーステアリング装置8は、検出した値を第1制御部130に出力する第1センサ部、および、検出した値を第2制御部230に出力する第2センサ部を有する。第1センサ部には、第1電流センサ125、第1回転角センサ126、および、第1トルク検出部194が含まれる。第2センサ部には、第2電流センサ225、第2回転角センサ226、および、第2トルク検出部294が含まれる。
本実施形態の特定処理は、第1センサ部および第2センサ部から取得される検出値を補正するセンサ補正処理である。第1制御部130および第2制御部230は、第1制御部130からの特定処理開始指令に基づき、同期して特定処理を開始する。これにより、センサ補正処理を適切に行うことができる。また、特に、モータ80の駆動に伴ってセンサ補正処理を行う場合、同期してセンサ補正処理を行うことで、処理タイミングのずれによる誤補正を避けることができる。
本実施形態における「実施可否状態」は、センサ補正処理を実施できるか否かの状態、および、センサ補正処理が完了したか否かの状態を含む概念である。
(第3実施形態)
第3実施形態を図11および図12に示す。図11および図12に示すように、本実施形態のEPS−ECU10には、第2車両通信回路217を経由して第2制御部230と接続される第2車両通信コネクタ212が設けられる。第2車両通信コネクタ212は、車両通信網350に接続される。すなわち本実施形態では、第1制御部130および第2制御部230が、ともに車両通信網350に接続されている。第2制御部230が車両通信網350と接続されている場合であっても、第1実施形態と同様、第2制御部230は、第1制御部130からのリプロ処理要求に応じてリプロ処理を行い、リプロ可否およびリプロ成否を第1制御部130に送信する。第2実施形態にて説明したセンサ補正処理についても同様である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
上記実施形態では、制御部が2つ設けられており、一方が第1制御部、他方が第2制御部である。他の実施形態では、制御部は3つ以上であってもよい。その場合、1つの制御部を第1制御部とし、他の制御部を第2制御部とする。すなわち、第2制御部が複数であってもよい。上記実施形態では、特定処理は、リプロ処理またはセンサ補正処理である。他の実施形態では、特定処理は、外部装置からの要求によって実施されるものであって、複数の制御部にて協調させる必要のある他の処理であってもよい。
上記実施形態では、第1センサ部および第2センサ部は、電流センサ、モータ回転角センサおよびトルクセンサである。他の実施形態では、第1センサ部および第2センサ部として、電流センサ、モータ回転角センサおよびトルクセンサの少なくとも一部を省略してもよいし、電圧センサや温度センサ等、他のセンサを含んでもよい。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。上記実施形態では、駆動装置は、ECUとモータとが一体に設けられる機電一体型である。他の実施形態では、ECUがモータとは別途に設けられる機電別体としてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
8・・・電動パワーステアリング装置
10・・・EPS−ECU(操舵制御装置)
80・・・回転電機
130・・・第1制御部
230・・・第2制御部
400・・・外部装置

Claims (9)

  1. 回転電機(80)を備える電動パワーステアリング装置(8)を制御する操舵制御装置であって、
    外部装置(400)と通信可能であって、前記外部装置からの要求に応じて特定処理を実施可能な第1制御部(130)と、
    前記第1制御部と通信可能であって、前記第1制御部からの指令を受けて前記特定処理を実施可能である第2制御部(230)と、
    を備え、
    前記第1制御部は、
    自身における前記特定処理の実施可否状態に係る第1情報、および、前記第2制御部における前記特定処理の実施可否状態に係る第2情報を取得可能であって、
    前記第1情報および前記第2情報の全てが肯定的な情報である場合、前記外部装置に対して肯定的な情報を送信し、前記第1情報および前記第2情報の少なくとも一部が否定的な情報である場合、前記外部装置に対して否定的な情報を送信する操舵制御装置。
  2. 前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1制御部からの特定処理開始指令に基づき、同期して前記特定処理を開始する請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記第1制御部および前記第2制御部は、非同期にて前記特定処理を実施する請求項1に記載の操舵制御装置。
  4. 前記特定処理は、プログラムの更新を行うリプロ処理である請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  5. 前記第1情報および前記第2情報は、前記リプロ処理の実施を許可するか否かを示す情報であって、
    前記第1制御部は、前記第1制御部および前記第2制御部の全てが前記リプロ処理を実施可能である場合、自身の前記リプロ処理を実施するとともに、前記第2制御部に対して前記リプロ処理の実施を指令し、
    前記第2制御部は、前記第1制御部から前記リプロ処理の実施が指令された場合、自身の前記リプロ処理を実施する請求項4に記載の操舵制御装置。
  6. 前記第1制御部は、前記第1制御部および前記第2制御部の全てが前記リプロ処理を実施可能である場合、前記第2制御部に更新プログラムを送信する請求項5に記載の操舵制御装置。
  7. 前記第1制御部および前記第2制御部は、操舵のアシスト中である場合、前記リプロ処理を禁止する請求項4〜6のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
  8. 前記第1情報および前記第2情報は、前記リプロ処理が成功したか否かを示す情報であって、
    前記第2制御部は、自身の前記リプロ処理が成功したか否かを示す情報を前記第1制御部に送信し、
    前記第1制御部および前記第2制御部の少なくとも一部にて前記リプロ処理が失敗した場合、前記第1制御部は、自身において前記リプロ処理を実施する前のプログラムを有効にするとともに、前記第2制御部に対して前記リプロ処理を実施する前のプログラムを有効にするように指令し、前記第2制御部は、前記第1制御部からの指令に応じ、前記リプロ処理を実施する前のプログラムを有効にする請求項4に記載の操舵制御装置。
  9. 前記電動パワーステアリング装置は、検出した値を前記第1制御部に出力する第1センサ部(125、126、194)、および、検出した値を前記第2制御部に出力する第2センサ部(225、226、294)を有し、
    前記特定処理は、前記第1センサ部および前記第2センサ部から取得される検出値を補正するセンサ補正処理である請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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