JP2019135214A - 溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミカファンギン等の環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物の提供。【解決手段】ミカファンギン等の環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩と、デキストラン40及びデキストラン70から選択されるデキストランと、ブドウ糖及びキシロースから選択される単糖とを含有する、凍結乾燥組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、環状ポリペプチド化合物を含有する、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物に関し、より詳細には、ミカファンギンナトリウムを含有する、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物に関する。
式(I):
[式中、R1は水素原子又はアシル基であり、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシ基である]で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩は公知の化合物であり、なかでも、上記式(I)で表される環状ポリペプチド化合物のナトリウム塩であるミカファンギンナトリウムは、凍結乾燥組成物とすることも知られている(特許文献1)。
そして、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩は、抗微生物活性、特に抗真菌活性及びβ−1,3−グルカンシンターゼ阻害作用を有し、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)感染症、例えばカリニ肺炎を含む各種感染症の予防及び治療に有用であることも知られている(特許文献1)。
そして、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩は、抗微生物活性、特に抗真菌活性及びβ−1,3−グルカンシンターゼ阻害作用を有し、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)感染症、例えばカリニ肺炎を含む各種感染症の予防及び治療に有用であることも知られている(特許文献1)。
しかしながら、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物は、溶解時に泡立ちが生じてしまうことが知られており、実際、ミカファンギンナトリウムの凍結乾燥組成物であるファンガード点滴用の添付文書の「適用上の注意」の項には、「調製方法:本剤は溶解時、泡立ちやすく、泡が消えにくいので強く振り混ぜないこと」との注意書きが存在する。
注射剤を調製する場合、特に注射剤を用時溶解により調製する場合には、注射剤に泡が含まれることは好ましくないため、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物が求められていた。
注射剤を調製する場合、特に注射剤を用時溶解により調製する場合には、注射剤に泡が含まれることは好ましくないため、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物が求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物に、デキストランと単糖とを含めることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、要旨、以下を提供する。
〔1〕 式(I):
[式中、R1は水素原子又はアシル基であり、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシ基である]
で表される環状ポリペプチド化合物、又はその医薬的に許容される塩と、
デキストランと、
単糖と
を含有する、凍結乾燥組成物。
〔2〕 R1が、式:
で表され、R2及びR3が、ヒドロキシ基である、請求項1記載の凍結乾燥組成物。
〔3〕 式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩が、ミカファンギンナトリウムである、上記〔1〕又は〔2〕記載の凍結乾燥組成物。
〔4〕 単糖が、ブドウ糖及びキシロースからなる群より選択される、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔5〕 デキストランが、デキストラン40及びデキストラン70からなる群より選択される、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔6〕 デキストランが、デキストラン40である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔7〕 用時溶解型注射剤である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔8〕 ミカファンギンナトリウム 25mg〜75mg、デキストラン40 10mg〜30mg、及びブドウ糖 5mg〜15mgを含有する、上記〔6〕又は〔7〕記載の凍結乾燥組成物。
〔9〕 下記1〜3のいずれかの処方を有する、上記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔1〕 式(I):
[式中、R1は水素原子又はアシル基であり、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシ基である]
で表される環状ポリペプチド化合物、又はその医薬的に許容される塩と、
デキストランと、
単糖と
を含有する、凍結乾燥組成物。
〔2〕 R1が、式:
〔3〕 式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩が、ミカファンギンナトリウムである、上記〔1〕又は〔2〕記載の凍結乾燥組成物。
〔4〕 単糖が、ブドウ糖及びキシロースからなる群より選択される、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔5〕 デキストランが、デキストラン40及びデキストラン70からなる群より選択される、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔6〕 デキストランが、デキストラン40である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔7〕 用時溶解型注射剤である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
〔8〕 ミカファンギンナトリウム 25mg〜75mg、デキストラン40 10mg〜30mg、及びブドウ糖 5mg〜15mgを含有する、上記〔6〕又は〔7〕記載の凍結乾燥組成物。
〔9〕 下記1〜3のいずれかの処方を有する、上記〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の凍結乾燥組成物。
本発明によれば、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する、溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物を得ることができる。
本発明の一実施態様では、式(I):
[式中、R1は水素原子又はアシル基であり、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシ基である]
で表される環状ポリペプチド化合物、又はその医薬的に許容される塩と、
デキストランと、
単糖と
を含有する、凍結乾燥組成物を提供する。
で表される環状ポリペプチド化合物、又はその医薬的に許容される塩と、
デキストランと、
単糖と
を含有する、凍結乾燥組成物を提供する。
本発明で使用する式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩は、特段限定されるものではなく、任意の公知の製造方法又はそれを適宜改変した製造方法によって得ることができる。例えば、上記の式(I)で表わされる環状ポリペプチド化合物のうち、R1が水素原子であり、R2及びR3がヒドロキシ基である化合物、並びにR1、R2及びR3が水素原子である化合物は、欧州特許第0462531号明細書に記載の方法、国際公開第97/32975号及び同第97/47738号に記載の方法によって得ることができる。また例えば、R1がアシル基である化合物は、米国特許第5,376,634号明細書、同5,569,646号明細書、国際公開第96/11210号及び同99/40108号に記載の方法によって得ることができる。
式(I)における、R1の「アシル基」について説明する。なお、本明細書において、「低級」とは、特に断りがない限り、炭素原子1〜6個を有するものを意味する。
アシル基の例としては、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族及び複素環式のカルボン酸から誘導される、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、芳香脂肪族アシル基及び複素環式アシル基が挙げられる。
脂肪族アシル基の例には、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル、イコサノイルなどのような低級又は高級アルカノイル基、シクロペンタノイル及びシクロヘキサノイルのようなシクロアルカノイル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、t−ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニルなどのような低級アルコキシカルボニル基、メタンスルホニル、エタンスルホニルなどのような低級アルカンスルホニル基、メトキシスルホニル、エトキシスルホニルなどのような低級アルコキシスルホニル基などが含まれる。
芳香族アシル基の例には、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイルなどのようなアロイル基を含む。
芳香脂肪族アシル基の例には、フェニル(C1〜C6)アルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブタノイル、フェニルペンタノイル、フェニルヘキサノイルなど)、ナフチル(C1〜C6)アルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル、ナフチルブタノイルなど)のようなアル(低級)アルカノイル基、フェニル(C3〜C6)アルケノイル(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンタノイル、フェニルヘキセノイルなど)、ナフチル(C3〜C6)アルケノイル(例えば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイルなど)のようなアル(低級)アルケノイル基、フェニル(C1〜C6)アルコキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルなど)、フルオレニル(C1〜C6)アルコキシカルボニル(例えば、フルオレニルメトキシカルボニルなど)のようなアル(低級)アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニルなどのようなアリールオキシカルボニル基、フェノキシアセチル、フェノキシプロピオニルなどのようなアリールオキシ(低級)アルカノイル基、フェニルカルバモイルなどのようなアリールカルバモイル基、フェニルチオカルバモイルなどのようなアリールチオカルバモイル基、フェニルグリオキシロイル、ナフチルグリオキシロイルなどのようなアリールグリオキシロイル基、フェニルスルホニル、p−トリルスルホニルなどのような低級アルキル基で任意に置換されていてもよいアリールスルホニル基などが含まれる。
複素環−アシル基の例には、テノイル、フロイル、ニコチノイルなどのような複素環−カルボニル基、複素環−アセチル、複素環−プロパノイル、複素環−ブタノイル、複素環−ペンタノイル、複素環−ヘキサノイルなどのような複素環−(低級)アルカノイル基、複素環−プロペノイル、複素環−ブテノイル、複素環−ペンテノイル、複素環−ヘキセノイルなどのような複素環−(低級)アルケノイル基、複素環−グリオキシロイル基などが含まれる。
R1のアシル基は、1又はそれ以上の適当な置換基を有していてもよい。上記のアシル基の例のなかでも、1又はそれ以上の適当な置換基を有していてもよいアロイル基が特に好ましい。
アシル基における適当な置換基の例には、低級アルコキシ基を有するアリール基で置換された複素環式基、低級アルコキシ(低級)アルコキシ基を有するアリール基で置換された複素環式基、低級アルコキシ(高級)アルコキシ基を有するアリール基で置換された複素環式基、シクロ(低級)アルキルオキシ基を有するアリール基で置換された複素環式基、複素環式基を有するアリール基で置換された複素環式基、シクロ(低級)アルキル基を有するシクロ(低級)アルキル基で置換された複素環式基、低級アルコキシ(低級)アルコキシで置換されたアリール基を有するアリール基で置換された複素環式基、及びシクロ(低級)アルキル基で置換された複素環式基を有するアリール基で置換された複素環式基を含む。
これらの例のうち、好ましいのは、1又は2の酸素原子及び1〜3の窒素原子を含有し、(C4〜C6)アルコキシを有するフェニルで置換された不飽和の3〜8員複素単環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、(C4〜C6)アルコキシを有するフェニルで置換された不飽和縮合複素環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、(C1〜C4)アルコキシ(C4〜C6)アルコキシを有するフェニルで置換された不飽和の3〜8員複素単環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、(C1〜C4)アルコキシ(C7〜C14)アルコキシを有するフェニルで置換された不飽和の3〜8員複素単環式基、1〜4の窒素原子を含有し、(C1〜C4)アルコキシ(C7〜C14)アルコキシを有するフェニルで置換された飽和の3〜8員複素単環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、シクロ(C4〜C6)アルキルオキシを有するフェニルで置換された不飽和縮合複素単環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、フェニルで置換された不飽和縮合複素環式基、1又は2の酸素原子及び1〜3の窒素原子を含有する飽和3〜8員複素単環式基、1〜4の窒素原子を含有し、シクロ(C4〜C6)アルキルを有するシクロ(C4〜C6)アルキルで置換された飽和3〜8員複素単環式基、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有し、(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルコキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換された不飽和3〜8員複素単環式基、シクロ(C4〜C6)アルキルで置換された1〜4の窒素原子を含有する飽和3〜8員複素単環式基を有するフェニルで置換された、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有する不飽和3〜8員複素単環式基、及びシクロ(C4〜C6)アルキルを有し、1〜4の窒素原子を含有する飽和3〜8員複素単環式基を有するフェニルで置換された、1又は2の硫黄原子及び1〜3の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基である。
これらのうち特に好ましいのは、ペンチルオキシを有するフェニルで置換されたイソオキサゾリル基、ペンチルオキシを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリル基、メトキシヘキシルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、メトキシオクチルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、メトキシヘプチルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、シクロヘキシルオキシを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリル基、ジメチルモルホリノを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリル基、メトキシヘプチルオキシを有するフェニルで置換されたピペラジニル基、メトキシオクチルオキシを有するフェニルで置換されたピペラジニル基、シクロヘキシルを有するシクロヘキシルで置換されたピペラジニル基、メトキシエトキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、メトキシブトキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、エトキシプロポキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリル基、シクロヘキシルで置換されたピペラジニルを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリル基、シクロヘキシルで置換されたピペラジニルを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリル基などである。
したがって、R1のアシル基の特に好ましい例は、ペンチルオキシを有するフェニルで置換されたイソオキサゾリルを有するベンゾイル基、ペンチルオキシを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリルを有するベンゾイル基、メトキシヘキシルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、メトキシオクチルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、メトキシヘプチルオキシを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、シクロヘキシルオキシを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリルを有するベンゾイル基、ジメチルモルホリノを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリルを有するベンゾイル基、メトキシヘプチルオキシを有するフェニルで置換されたピペラジニルを有するベンゾイル基、メトキシオクチルオキシを有するフェニルで置換されたピペラジニルを有するベンゾイル基、シクロヘキシルを有するシクロヘキシルで置換されたピペラジニルを有するベンゾイル基、メトキシエトキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、メトキシブトキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、エトキシプロポキシで置換されたフェニルを有するフェニルで置換されたチアジアゾリルを有するベンゾイル基、シクロヘキシルで置換されたピペラジニルを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリルを有するベンゾイル基、シクロヘキシルで置換されたピペラジニルを有するフェニルで置換されたイミダゾチアジアゾリルを有するベンゾイル基などである。
R1のアシル基の特に好ましい例は、以下のいずれかの式で表される:
本発明の好ましい一実施態様では、R1が、式:
で表され、R2及びR3が、ヒドロキシ基である。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩は、特段限定されるものではないが、例えば、塩基との塩や酸付加塩が挙げられる。医薬的に許容される塩は、常法に従い、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物を適当な塩基や酸で処理することにより、製造することができる。
塩基との塩としては、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)及びアンモニウム塩などのような無機塩基との塩、並びに有機アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など)のような有機塩基との塩などが挙げられる。
酸付加塩としては、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機カルボン酸又はスルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩など)が挙げられる。更に、塩基性又は酸性アミノ酸との塩(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩など)なども挙げられる。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物には、不斉炭素原子に起因して存在しうる、可能性のある配座異性体及び幾何異性体及び光学異性体のような1対以上の立体異性体をも含む。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の好ましいものは、以下のいずれかの式(II)〜(VI)で表される:
最も好ましいものは、式(II)で表される。
したがって、本発明の好ましい実施態様では、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩が、ミカファンギンナトリウムである。
本発明による凍結乾燥組成物中の式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩の含有量は、0.1〜400mg、より好ましくは1〜200mg、更に好ましくは10〜100mg、特に好ましくは25〜75mg、具体的には10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95及び100mgである。この含有量が、単位投与量あたりの組成物に含まれることが好ましい。また、凍結乾燥組成物が用時溶解型注射剤である場合、1バイアル中に封入された組成物中に含まれることが特に好ましい。
本発明で使用するデキストランは、特段限定されるものではなく、本発明の目的を達成することができる限り、任意のデキストランを使用することができる。
しかしながら、特定の分子量のデキストランを使用することが好ましく、特に、平均分子量が約40000〜約70000であるデキストランを使用するのが好ましい。そのような平均分子量のデキストランは、例えば、日本薬局方にデキストラン40(平均分子量約40000)やデキストラン70(約70000)として記載されている。
したがって、本発明の好ましい実施態様では、デキストランが、デキストラン40及びデキストラン70からなる群より選択される。
本発明の特に好ましい実施態様では、デキストランが、デキストラン40である。
本発明による凍結乾燥組成物中のデキストランの含有量は、消泡性に優れた凍結乾燥組成物が得られる量であれば特に限定されないが、例えば0.1〜2000mg、好ましくは0.2〜150mg、より好ましくは10〜30mgである。この含有量が、単位投与量あたりの組成物に含まれることが好ましい。また、凍結乾燥組成物が用時溶解型注射剤である場合、1バイアル中に封入された組成物中に含まれることが特に好ましい。
しかしながら、特定の分子量のデキストランを使用することが好ましく、特に、平均分子量が約40000〜約70000であるデキストランを使用するのが好ましい。そのような平均分子量のデキストランは、例えば、日本薬局方にデキストラン40(平均分子量約40000)やデキストラン70(約70000)として記載されている。
したがって、本発明の好ましい実施態様では、デキストランが、デキストラン40及びデキストラン70からなる群より選択される。
本発明の特に好ましい実施態様では、デキストランが、デキストラン40である。
本発明による凍結乾燥組成物中のデキストランの含有量は、消泡性に優れた凍結乾燥組成物が得られる量であれば特に限定されないが、例えば0.1〜2000mg、好ましくは0.2〜150mg、より好ましくは10〜30mgである。この含有量が、単位投与量あたりの組成物に含まれることが好ましい。また、凍結乾燥組成物が用時溶解型注射剤である場合、1バイアル中に封入された組成物中に含まれることが特に好ましい。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物中にデキストランを含有せしめることによって、消泡性に優れた凍結乾燥組成物を得ることができるから、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物中にデキストランを含めることによって、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物凍結乾燥組成物の消泡性を高める方法も提供できる。
本発明で使用する単糖は、特段限定されず、医薬に使用することができることが公知の単糖を使用することができ、例えば、ブドウ糖、キシロースが挙げられる。なかでも、ブドウ糖が好ましい。
本発明による凍結乾燥組成物中の単糖の含有量は、デキストランと共に含めることによって、消泡性に優れるだけではなく、安定性にも優れた凍結乾燥組成物が得られる量であれば特に限定されないが、例えば0.1〜5000mg、好ましくは1〜100mg、より好ましくは5〜15mgである。この含有量が、単位投与量あたりの組成物に含まれることが好ましい。また、凍結乾燥組成物が用時溶解型注射剤である場合、1バイアル中に封入された組成物中に含まれることが特に好ましい。
本発明による凍結乾燥組成物中の単糖の含有量は、デキストランと共に含めることによって、消泡性に優れるだけではなく、安定性にも優れた凍結乾燥組成物が得られる量であれば特に限定されないが、例えば0.1〜5000mg、好ましくは1〜100mg、より好ましくは5〜15mgである。この含有量が、単位投与量あたりの組成物に含まれることが好ましい。また、凍結乾燥組成物が用時溶解型注射剤である場合、1バイアル中に封入された組成物中に含まれることが特に好ましい。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩及びデキストランを含有する凍結乾燥組成物中に単糖を含有せしめることによって、安定性に優れた凍結乾燥組成物を得ることができるから、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩及びデキストランを含有する凍結乾燥組成物中に単糖を含めることによって、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩及びデキストランを含有する凍結乾燥組成物の安定性を高める方法も提供できる。
式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物中にデキストラン及び単糖を含有せしめることによって、消泡性と安定性の両方に優れた凍結乾燥組成物を得ることができるから、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物中にデキストラン及び単糖を含めることによって、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩を含有する凍結乾燥組成物の消泡性と安定性の両方を高める方法も提供できる。
本発明の特に好ましい実施態様では、本発明による凍結乾燥組成物は、ミカファンギンナトリウム 25mg〜75mg、デキストラン40 10mg〜30mg、及びブドウ糖 5mg〜15mgを含有する。
本発明の格別好ましい実施態様では、本発明による凍結乾燥組成物は、下記1〜3のいずれかの処方を有する。
本発明の格別好ましい実施態様では、本発明による凍結乾燥組成物は、下記1〜3のいずれかの処方を有する。
本発明による凍結乾燥組成物には、本発明の目的が達成できる限り、必要に応じて、医薬品添加物として許容される添加剤を更に含有せしめてもよい。そのような添加剤としては、例えば、pH調節剤(無水クエン酸、クエン酸水和物、水酸化ナトリウムなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、システイン塩酸塩など)、緩衝剤、等張化剤などが挙げられる。
本発明による凍結乾燥組成物は、必要に応じて添加剤を用い、当該分野で公知の方法に従って、製造することができる。参考文献として、「医薬開発基礎講座XI 20 薬剤製造法(第2巻)(津田恭文及び野上寿編集、地上書店発行)」が挙げられる。凍結乾燥組成物は、pH4.0〜7.5、好ましくはpH4.5〜7.0に達するのに必要であれば任意にpH調整剤を加えて、式(I)で表される環状ポリペプチド化合物又はその医薬的に許容される塩及びその他の成分を含む水溶液を調製し、次いで得られた溶液を通常の方法に従って、バイアル中で凍結乾燥することにより得ることができる。したがって、精製水中に溶解されたとき、安定化された凍結乾燥組成物は、好ましくはpH4.0〜7.5、より好ましくはpH4.5〜7.0の溶液を生ずる。このようにして調製された凍結乾燥組成物は、密封し、遮光して保管するのが好ましい。凍結乾燥組成物は、凍結乾燥前に溶液の状態で、又は凍結乾燥後に凍結乾燥された粉末の状態で、各バイアルに充填することができる。
通常、凍結乾燥組成物は、必要に応じて生理食塩水などに溶解し、注射液として使用される。本発明の凍結乾燥組成物は、用時溶解型注射剤としてもよい。
本明細書中において「溶解時の消泡性に優れた」とは、組成物を溶媒(例えば、生理食塩水、ブドウ糖注射液、補液)に溶解し、その後溶液を、振とう機(例えば、タイテック株式会社製STRONG SHAKER SR―2DW)を用いて、300回転/分、90分の条件にて振とう後、120分静置し、振とう後静置前と静置後とで溶液の状態を観察した場合に、デキストランを含有しない場合に比べて泡が消えやすいことが目視で分かる程度の消泡性を意味する。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で示した態様のみに限定されるものではない。
[消泡性の評価]
以下の表1に示す成分を生理食塩水に溶解して、各検体(5mL)を製造した。各検体につき、振とう機(タイテック株式会社製STRONG SHAKER SR―2DW)を用いて300回転/分、90分の条件にて振とう後、120分静置し、振とう後静置前及び静置後の泡の様子を観察した(図1、表1)。なお、各検体は、凍結乾燥組成物を生理食塩水に溶解した状態の溶液に相当する。
以下の表1に示す成分を生理食塩水に溶解して、各検体(5mL)を製造した。各検体につき、振とう機(タイテック株式会社製STRONG SHAKER SR―2DW)を用いて300回転/分、90分の条件にて振とう後、120分静置し、振とう後静置前及び静置後の泡の様子を観察した(図1、表1)。なお、各検体は、凍結乾燥組成物を生理食塩水に溶解した状態の溶液に相当する。
表1の結果から、他の多糖を添加した場合と比較して、デキストランを使用した製造例1,2の処方では、他の処方に比べて、泡が消えやすかったことが分かる。
また、図1の写真からも、デキストランを使用した製造例1,2の処方では、他の処方に比べて、静置後に明らかに泡が少なくなっており、泡が消えやすかったことが分かる。
また、図1の写真からも、デキストランを使用した製造例1,2の処方では、他の処方に比べて、静置後に明らかに泡が少なくなっており、泡が消えやすかったことが分かる。
[安定性]
以下の表2に示す処方の凍結乾燥組成物を常法により製造した。具体的には、それぞれの例につき、1バイアル中にミカファンギンナトリウム及びその他の成分を含有する液を充填し、常法に従って凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を得た。安定性試験は、70℃条件で9日間保存する苛酷試験を行った。苛酷試験後の品質評価は、HPLC法により行った。
以下の表2に示す処方の凍結乾燥組成物を常法により製造した。具体的には、それぞれの例につき、1バイアル中にミカファンギンナトリウム及びその他の成分を含有する液を充填し、常法に従って凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を得た。安定性試験は、70℃条件で9日間保存する苛酷試験を行った。苛酷試験後の品質評価は、HPLC法により行った。
上記の結果より、デキストラン40とともにブドウ糖を使用した場合は、安定性に優れていた。
[考察]
表1の結果から、ミカファンギンナトリウムと共に、デキストランを組成物中に含めることによって、消泡性に優れた凍結乾燥組成物が得られることが分かる。
そして、表2の結果も併せると、デキストランに加えて、単糖を更に組成物中に含めることによって、消泡性に優れるだけではなく、安定性にも優れた凍結乾燥組成物が得られることが分かる。
また、先行技術(特許文献1)では、ミカファンギンナトリウムを含む凍結乾燥組成物中にグルコースを加えても安定な組成物が得られていないから(試験例2の表2)、本発明による凍結乾燥組成物の安定性は、デキストランと単糖とを組み合わせて使用することによって得られたものであることが分かる。
表1の結果から、ミカファンギンナトリウムと共に、デキストランを組成物中に含めることによって、消泡性に優れた凍結乾燥組成物が得られることが分かる。
そして、表2の結果も併せると、デキストランに加えて、単糖を更に組成物中に含めることによって、消泡性に優れるだけではなく、安定性にも優れた凍結乾燥組成物が得られることが分かる。
また、先行技術(特許文献1)では、ミカファンギンナトリウムを含む凍結乾燥組成物中にグルコースを加えても安定な組成物が得られていないから(試験例2の表2)、本発明による凍結乾燥組成物の安定性は、デキストランと単糖とを組み合わせて使用することによって得られたものであることが分かる。
Claims (9)
- 式(I):
[式中、R1は水素原子又はアシル基であり、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシ基である]
で表される環状ポリペプチド化合物、又はその医薬的に許容される塩と、
デキストランと、
単糖と
を含有する、凍結乾燥組成物。 - R1が、式:
- 式(I)で表される環状ポリペプチド化合物の医薬的に許容される塩が、ミカファンギンナトリウムである、請求項1又は2記載の凍結乾燥組成物。
- 単糖が、ブドウ糖及びキシロースからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の凍結乾燥組成物。
- デキストランが、デキストラン40及びデキストラン70からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載の凍結乾燥組成物。
- デキストランが、デキストラン40である、請求項1〜5のいずれか一項記載の凍結乾燥組成物。
- 用時溶解型注射剤である、請求項1〜6のいずれか一項記載の凍結乾燥組成物。
- ミカファンギンナトリウム 25mg〜75mg、デキストラン40 10mg〜30mg、及びブドウ糖 5mg〜15mgを含有する、請求項6又は7記載の凍結乾燥組成物。
- 下記1〜3のいずれかの処方を有する、請求項6〜8のいずれか一項記載の凍結乾燥組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018017972A JP2019135214A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018017972A JP2019135214A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019135214A true JP2019135214A (ja) | 2019-08-15 |
Family
ID=67624033
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JP2018017972A Pending JP2019135214A (ja) | 2018-02-05 | 2018-02-05 | 溶解時の消泡性に優れかつ安定な凍結乾燥組成物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019135214A (ja) |
-
2018
- 2018-02-05 JP JP2018017972A patent/JP2019135214A/ja active Pending
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