JP2019134012A - 太陽電池 - Google Patents

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Takashi Okubo
貴志 大久保
加奈 中村
Kana Nakamura
加奈 中村
健人 樋元
Taketo Himoto
健人 樋元
雅彦 前川
Masahiko Maekawa
雅彦 前川
孝義 黒田
Takayoshi Kuroda
孝義 黒田
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Abstract

【課題】有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池は活性層の性能向上によって、変換効率が高くなってきているが、電池としての特性は、活性層からキャリアを取り出すバッファ層の効率も高くする必要がある。【解決手段】金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合しているバッファ層は、従来使用されているZnOよりも高い短絡電流特性を示し、有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池としての効率を高めることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、薄膜太陽電池に用いられるバッファ層に関するものであり、特に有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池に好適に用いることのできるバッファ層に関するものである。
化石燃料の莫大な使用によって二酸化炭素排出量が多くなり、地球温暖化が進んでいるといわれている。そのため化石燃料に変わるエネルギー源が検討されている。その中でも太陽光線を用いる太陽電池は、コストがゼロで無尽蔵ともいえる太陽光線を利用するため、大きな期待を寄せられている。また、技術的には、すでにシリコン太陽電池の発電効率が25%近くまで高まっている。しかし、パネルが高価格であることが普及を妨げている。このため、廉価な太陽電池の登場が望まれている。
有機太陽電池は、発電層そのものを有機物で構成するものである。通常発電層は、p型半導体で生成した励起子がn型半導体との界面で電荷分離することで電流が流れる。しかし、有機物のようにキャリア移動度がそれほど高くないものは、励起子が電荷分離する前に再結合してしまい、電流を取り出しにくい。
そこで、p型半導体材料とn型半導体材料を混合したバルクへテロ型が提案された。このバルクへテロ型の登場によって、有機太陽電池は実用化の目途がついたとも言える。バルクへテロ型有機太陽電池は、発電層そのものを材料の粉末化および混錬によるインク化、そして塗布によって製造することができる。そのため、廉価で大量生産が可能というメリットがある。しかし、有機太陽電池の変換効率は、数%と低かった。
しかし、有機無機ハイブリッドのペロブスカイト結晶を光発電材料に用いた所謂ペロブスカイト型太陽電池は、変換効率が20%を超えるものまで報告されており、非常に有望視されている。
有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池では活性層で生成したキャリア(正孔と電子)を効率よく各電極で取り出すためにバッファ層が必要となる。有機薄膜太陽電池では正孔を取り出す電極側のバッファ層として酸化モリブデンMoOが用いられている場合もある。
特に比較的空気に安定な逆型構造を有する薄膜太陽電池ではMoOがバッファ層として利用されるが、MoO自身が空気に対しての安定性が低く、更にエネルギー準位を制御できないために、活性層に用いることのできる有機半導体が限られてしまっている。
そこで、空気に対する安定性が高い、導電性高分子も利用されている。例えば、PEDOT:PSSと呼ばれる導電性高分子は、好適に用いられており、実績も高い。また、芳香族系の導電性高分子をバッファ層として用いる例も提案されている(特許文献1)。
一方、特許文献2および特許文献3には、太陽電池の活性層として開発されたヘキサアザトリフェニレン誘導体とハロゲン化銅若しくはチオシアン化銅を組み合わせた半導体が開示されている。
特開2017−081992号公報 特開2017−045975号公報 特開2017−043580号公報
有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池の変換効率を高めるためには、活性層の特性だけでなく、正孔輸送層および電子輸送層といった周辺層を含めた電池全体の工夫により変換効率を向上させる必要がある。
本発明は、上記の課題に鑑み正孔輸送層の効率向上を目指した結果、得られたものであり、従来活性層として研究がすすめられていたヘキサアザトリフェニレン誘導体と銅の化合物をバッファ層として用いることで完成された。
より具体的に本発明に係る太陽電池は、
活性層に接触して形成されるバッファ層を有する太陽電池であって、
前記バッファ層は、金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合していることを特徴とする。
本発明に係る太陽電池は、正孔輸送層(バッファ層)としてMoOを用いた場合よりも、変換効率が高くなる。したがって、有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池としてより高い性能のものを得ることができる。
HAT−CNの反応工程を示す図である。 [Cu{HAT−(CN)}]の反応工程を示す図である。 銅比率(m)毎の吸収スペクトル特性を示すグラフである。 銅比率(m)毎のエネルギー準位を示すグラフである。 m=3、6、9の時のCole−Cole−PLOTを示す図である。 m=3、6、9の時の直流伝導度の電圧依存性の結果を示す図である。 試作した本発明に係る太陽電池の構成を示す図である。 図7の太陽電池のJ−V特性を示すグラフである。 図8をLogJ−LogVとしたグラフである。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。
以下に本発明に係る太陽電池について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
本発明に係る太陽電池は、活性層と、活性層を挟持するバッファ層という構成を有する。活性層は特に限定されない。例えば、PTB7、P3HT、PTB7−Th(別名PCE10)、PBDB−TやPBDB−T−SFといったドナーと、PC71BM(PC70BM)、PCBMといったフラーレン系や、ITICやITIC−Thといった非フラーレン系のアクセプターを混合したもの等が好適に利用される。
一方、バッファ層は、金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合している。特にπ共役有機分子としては、1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン(以後単に「HAT」と呼ぶ。)骨格を有しているものが望ましい。ここでHAT骨格とは、式(1)に示すHATを分子構造中に有するもので、HATに官能基が結合したものを含む。
・・・(1)
図10〜図13にHATに官能基が結合したものを例示する。ここで、図中においてRはH、RAk、CN、OH、ORAk、CHO、COOH、COORAk、CORAk、CONH、F、Cl、Br、Iである。なお、RAkは炭素数1から24までの直鎖または分岐のアルキル基である。また、図中においてXはCHまたはNである。
また、図14から図17にHATに硫黄が導入された場合を例示する。ここで、RはH、CN、OH、ORAk、CHO、COOH、COORAk、CORAk、C=C(CN)COORAk、CONH、F、Cl、Br、I、RAkである。なお、一つの配位子にこれらの置換基が混在したものも含むものである。また、RAkは炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基であり、XはCHまたはNである。
ハロゲン化銅のハロゲン元素としては、ハロゲン族の元素を利用することができる。特にBr(臭素)、Cl(塩素)、I(ヨウ素)は好適に利用することができる。ハロゲン化銅は、HAT骨格を有する有機分子(以後「HAT有機分子」と呼ぶ。)に配位する。HAT有機分子は、電子受容体(n型半導体特性)としての特性を有し、銅イオンは電子供与体(p型半導体特性)としての特性を有する。
そこで、これらの混合物は、光によってハロゲン化銅からHAT有機分子への電荷移動によって生成したホールと電子がハロゲン化銅およびHAT有機分子上をそれぞれ拡散することで電流が流れる。つまり導電性材料として利用できる。したがって、このような材料で形成したバッファ層は電子輸送層および正孔輸送層のどちらにでも利用することができる。
なお、本発明に係る太陽電池のバッファ層において、ハロゲン化銅の存在は、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光)、蛍光X線分析法、ICP(Inductively Coupled Plasma:高周波誘導結合プラズマ)発光分析法等によって確認することができる。
また、π共役有機分子の存在は、CHN元素分析、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光)、赤外分光法(Infrared Spectroscopy)等によって確認することができる。また、粉末X線構造解析等によってπ−πスタックの距離を測定することでもπ共役有機分子の存在を確認することができる。
また、ハロゲン化銅とπ共役有機分子が配位結合を形成しているか否かは、吸収スペクトルを測定することで確認することができる。ハロゲン化銅は無色透明なので可視領域に吸収がない。π共役有機分子は、共役系の広がり方や置換基によって多様な色が出る。
しかし、ハロゲン化銅の銅イオンと結合すると一般的にπ共役有機分子の吸収より長波長側に銅イオンから配位したπ共役有機分子への電荷移動に起因する大きな吸収が出現する。仮に、配位結合を形成しなければ、配位子の吸収はほとんど変化しない。従って、配位子の吸収より長波長側に吸収が出現した場合、銅イオンが配位していることが確認できる。
また、吸収スペクトルによって配位結合を確認できない場合でも、単結晶X線構造解析ができれば、銅イオンとπ共役有機分子の配位結合の有無を観測することができる。
本発明に係る太陽電池のバッファ層の材料の製造方法は極めて簡単である。具体的には、HAT有機分子の溶液とハロゲン化銅の溶液を所定の割合で混合し、乾燥する事で得ることができる。HAT有機分子の量とハロゲン化銅との混合比は、HAT有機分子の構造である程度の範囲が決まる。
今ハロゲン元素をXとし、ハロゲン化銅をCuXと表す。また、HAT有機分子はHATと表す。ハロゲン化銅とHAT有機分子の混合比をm:1とする。これらを混合すると式(2)の右辺で表される配位高分子が得られる。
Cu + HAT → [Cu(HAT)] ・・・(2)
例えば、HATの、2、3、6、7、10、11の位置にシアノ基(−CN)が結合したもの({HAT−(CN)}とする。)は、mが0<m≦24の範囲で調整することができる。なお、後述する実施例ではmを1から12まで調整した。
得られた配位高分子は、半導体領域での電気伝導性が認められる。この配位高分子は、公知の構成により太陽電池とすることができる。具体的な構造は以下の実施例で示す。
以下に本発明に係る太陽電池について実施例を示して説明する。以下の実施例で用いた測定に関して説明する。
<UV−Vis−NIR拡散反射スペクトル測定および吸収スペクトル測定>
UV−Vis−NIR拡散反射および吸収スペクトル測定はHITACHI/U−4100形分光光度計を用いて行った。拡散反射については、固体試料の場合MgO(80mg)に試料(0.01mmol)を混合したものを用い、薄膜の場合はガラス板もしくは石英板上に成膜し、2600〜200nmの波長で測定を行った。
得られた反射率(%R)をKubelka−Munk変換することにより吸光度(Abs.)を求め、Abs. vs λおよび[f(R)E]1/2 vs Eをプロットした。なお、吸光度(Abs.)は以下の式(3)で求めた。
・・・(3)
吸収スペクトル測定は、薄膜試料をガラス板もしくは石英板に成膜し、2600〜200nmの波長で測定を行った。吸光度Aと吸収係数αは光の透過距離をxとして式(4)の関係があり、吸光度を測定することで吸収係数の算出が可能となる。
・・・(4)
<光電子分光スペクトル測定>
光電子分光スペクトル測定は北陸先端科学技術大学院大学の理研計器製のAC−2を用いた。
<電流−電圧測定(太陽電池素子特性評価)>
太陽電池素子を作製しソーラーシミュレータから疑似太陽光を照射した状態でI−V測定を行った。この電流値を素子が照射光を受ける面積で割り得られるJ−Vカーブから短絡電流密度JSCと開放電圧VOCを求めた。
FF(フィルファクター)は、J−V特性のグラフより最大電流密度Jmaxと最大電圧Vmaxの積が最大になるように定め短絡電流密度JSCと開放電圧VOCから(5)式によって求めた。
・・・(5)
変換効率PCEは、最大電流密度Jmaxと最大電圧Vmaxの積および照射光のエネルギーPincを用いて(6)式によって求めた。なお、照射光のエネルギーPincは、AM1.5G(100mW/cm)を用いた。
・・・(6)
<インピーダンス分光測定>
インピーダンス分光測定は東陽テクニカ製の6440B型LCRメーターを用いて行った。作製した素子に微小正弦波電圧信号0.01Vをかけ、DCバイアスは行っていない。得られたインピーダンスのコールコールプロットの半円の直径から抵抗値を求め、モジュラスのコールコールプロットの半円の直径から静電容量(直接には静電容量の逆数)を求めた。また得られた複素インピーダンス成分(Z’,Z’’)と複素誘電率成分(ε’,ε’’)から電気伝導度や誘電率を見積もった。比誘電率は等価回路のCPEのキャパシタンスから(7)式により算出した。
・・・(7)
なお、ここで、ε、εはそれぞれサンプルの比誘電率、真空の誘電率であり、dは電極間距離、Sは電極面積である。
また、電気伝導度σに関しては、複素誘電率成分のε’’が内部損失を示すことから(8)式の関係より求めた。
・・・(8)
なお、ここでωは角周波数である。また、これらの解析にはZViewソフトウェアを用いた。
<電気伝導度及びキャリア移動度測定 (SCLC法)>
直流電気伝導度測定およびSCLC法によるキャリア移動度測定はKEITHLEY 2400型汎用ソースメータとKEITHLEY 6517A 絶縁抵抗計を用い、有機薄膜トランジスタの解析ソフトである株式会社システムハウス・サンライズのW32−6517TFTで測定を行った。具体的には、電圧−電流の関係をlogでプロットし、電圧の2乗に比例する電流が流れる領域における電気伝導度σSCLCを求めた。
トリキノイルとジアミノマレオニトリルをモル比1:3になるように量りとり、酢酸に溶解させ、130℃で2時間還流した。これを放冷後、ろ過し、そのまま30%硝酸に溶解させ、3時間100℃で還流した。放冷後はろ過をし、水で洗浄した後、真空下で一晩乾燥させた。次にアセトニトリルを用いてソックスレー抽出を72時間かけて行った。最後にこれを濃縮し、ろ過後にヘキサンで洗浄し、一晩真空下で乾燥させると、黄色粉末状のHAT−CNが得られた。反応スキームを図1に示す。
ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−(CN))のアセトン溶液とヨウ化銅(CuI)もしくは臭素銅のジメチルスルフィド錯体(CuBr・S(CH)のアセトニトリル溶液を混合する。このときHAT−CNとCuIもしくはCuBr・S(CHの反応の組成比は1:1〜1:12まで変えることができる。この溶液を基板に滴下し、乾燥することで配位高分子[Cu{HAT−(CN)}]を得ることができる。図2は[Cu{HAT−(CN)}]の反応スキームである。
図3に、薄膜のUV−Vis−NIR吸収スペクトルを示す。縦軸は吸収係数α(cm−1)であり、横軸は波長(nm)である。何れの薄膜も可視領域(400nm〜800nm)に幅広い強い吸収を示す。これは銅一価イオンから電子受容性配位子HAT−(CN)への電荷移動吸収に由来するものである。一般的にこの様な電荷移動吸収は許容遷移であるため、強い吸収を示す。
この半導体材料はハロゲン化銅と電子受容性配位子HAT−(CN)の混合比を変えることでHOMO、LUMO準位を制御できることがわかっている(図4)。図4には、HOLO、LUMOの準位をm(銅比率)毎にまとめたものを示す。横軸はm(1から12)であり、縦軸はエネルギー(eV)である。更に作製した薄膜は半導体特性を示す。電気伝導性および誘電性に関して、水銀電極を用いた薄膜二端子法にて、インピーダンス分光法および直流伝導度測定より評価した。
図5は[Cu{HAT−(CN)}]のm=3、6、9のインピーダンスZのCole−Cole Plotである。図5(a)は、m=3の場合であり、図5(b)はm=6の場合であり、図5(c)はm=9の場合である。いずれの図も横軸はインピーダンスの実数部であり、縦軸はインピーダンスの虚数部である。なお、各図とも縦軸および横軸のスケールは異なり、図5(c)のスケールが最も小さい。
Cole−Cole Plotでは半円の直径が測定試料の抵抗値(Ω)に相当する。したがって、臭化銅の組成比が増大するにつれて(mの値が大きくなるにつれて)、伝導性が増大していることがわかる。
また、R−C並列等価回路を仮定し、フィッティングを行ったところ、臭化銅の組成比が増大するにつれて物質の誘電率(ε)が増大することが明らかになった(図5の各図に記載した。)。これは銅イオンの変位によって強誘電性が発現しているためで、この様な誘電率の増大はバッファ層における電荷分離効率を増大させるため、正孔輸送性能の向上が期待できる。
図6は[Cu{HAT−(CN)}]のm=3、6、9の直流伝導度の電圧依存性の測定結果である。図6(a)はm=3の場合であり、図6(b)はm=6の場合であり、図6(c)はm=9の場合である。いずれのグラフも、横軸はlogV(電圧の対数)であり、縦軸はlogJ(電流密度の対数)である。低電圧側のプロットの傾きから電気伝導度が、高電圧側のプロットの傾きからキャリア移動度を算出できる。得られた値は表1にまとめた。
表1を参照して、mが大きくなると誘電率ε、伝導度σISおよびσSCLCが増大している。すなわち、mを調節することで活性層に合わせてHOMO、LUMO順位と伝導度を調整することができる。この結果から本発明に係るπ共役有機分子と銅イオンが配位結合しているバッファ層は有機薄膜太陽電池のバッファ層として好適に利用可能であることがわかる。
以上の半導体材料のうち、m=3をバッファ層に利用した薄膜太陽電池ITO/ZnO/PTB7]PC71BM/[CuBr{HAT−(CN)}]/Agを作製した。
具体的には以下のように行った。
まずHAT−CNとCuBrをモル比1:3になるように量りとり、アセトニトリルに溶解させると黒色の溶液が得られた。これをアセトニトリルがなくなるまでエバポレーションし、真空下で一晩乾燥させると黒色の粉末が得られた。HAT−CNとCuBrは、総量がアセトニトリルに対して2wt%になるようにした。
洗浄したITO基板に電子輸送層としてZnOを成膜した。Zinc acetate dehydrate 0.2mgとEthanolamine 55μlを2−Methoxyethanol 2mlに加え、12h攪拌した。この溶液を表2に示すZnOの条件で成膜し、200℃で30分間加熱した。
次にPTB7 7.5mg、PC71BM 5.0mgをChlorobenzen 0.6mlに溶解させ、さらに1,8−Diiodooctane15μlを加えて、60℃300rpmで一晩攪拌した。これを表2に示すPTB7:PC71BMの条件で成膜した。
その後、正孔輸送層として、真空蒸着法で[CuBr(HAT−CN)]を成膜した。この時の成膜レートは0.2〜0.3Å/secであった。また、膜厚は8nm,20nm,40nmと変えて成膜した。最後にAgを80nm真空蒸着した。作製した太陽電池の構成を図7に示す。
図8および図9に、作製した太陽電池のJ−V曲線を示す。図8は横軸が電圧(V)で、縦軸が電流密度(mA/cm)である。また、図9は図8の横軸および縦軸をlogスケールにしたものである。図中実線は光照射下でのJ−V曲線であり、点線は暗所でのJ−V曲線を表す。なお、各曲線は膜厚(nm)を示した後に光照射下の場合は「_p」を付け、暗所の場合は、「_d」を付けて示した。また、図8から得られた特性を表3に示す。
図8を参照して電圧0のところで暗所での電流密度は0となっている。一方、光照射下では電流密度が増大する。このとき、バッファ層の厚みは厚くするにつれ短絡電流密度は低下している。しかし、一番膜厚が薄い8nm蒸着した太陽電池(8nm_p)は、短絡電流密度Jscが14.63mA/cmであり、MoOをバッファ層として用いた場合(MoO_p)の、12.85mA/cmよりも高い短絡電流密度を示した。このことは活性層からのキャリアの取り出し効率が向上していることを意味している。
また、図9を参照する。図9において、酸化モリブデンMoO(黒色点線)に比べて[CuBr(HAT−CN)]を蒸着したもの(符号「8nm_p」)の方がマイナス側の電流密度が小さくなっている。これは、電流リークが抑えられていることを意味している。
以上のように、本発明に係るバッファ層を用いた場合、太陽電池としての特性は向上すると言える。
本発明に係る太陽電池は有機薄膜太陽電池および有機ペロブスカイト太陽電池のバッファ層(正孔輸送層)に好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 活性層に接触して形成されるバッファ層を有する太陽電池であって、
    前記バッファ層は、金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合していることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記π共役有機分子がヘキサアザトリフェニレン骨格を有することを特徴とする請求項1に記載された太陽電池。
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