JP2017045975A - 半導体材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】バンドギャップが小さく、強い光吸収特性を示す半導体材料を提供する。
【解決手段】ヘキサアザトリフェニレン(HAT)誘導体と、ハロゲン化銅(CuX)を用い、混合することで、[CumXm{HAT−(CN)6}]nの半導体材料を作る。ハロゲン化銅として臭化銅を用いて、glass/ITO/PEDOT:PSS/[CumBrm{HAT−(CN)6}]n/C60/BCP/Agの層構成をもった太陽電池を形成する。
【選択図】図15

Description

本発明は、塗布やスプレーによって作製可能な半導体材料に関し、特にヘキサアザトリ
フェニレン骨格を有する有機分子とハロゲン化銅からなるものに関する。
化石燃料の莫大な使用によって二酸化炭素排出量が多くなり、地球温暖化が進んでいる
といわれている。そのため化石燃料に変わるエネルギー源が検討されている。その中でも
太陽光線を用いる太陽電池は、コストがゼロで無尽蔵ともいえる太陽光線を利用するため
、大きな期待を寄せられている。また、技術的には、すでにシリコン太陽電池の発電効率
が25%近くまで高まっている。しかし、パネルが高価格であることが普及を妨げている
。このため、廉価な太陽電池の登場が望まれている。
有機太陽電池は、発電層そのものを有機物で構成するものである。通常発電層は、p型
半導体で生成した励起子がn型半導体との界面で電荷分離することで電流が流れる。しか
し、有機物のようにキャリア移動度がそれほど高くないものは、励起子が電荷分離する前
に再結合してしまい、電流を取り出しにくい。
そこで、p型半導体材料とn型半導体材料を混合したバルクへテロ型が提案された。こ
のバルクへテロ型の登場によって、有機太陽電池は実用化の目途がついたとも言える。バ
ルクへテロ型有機太陽電池は、発電層そのものを材料の粉末化および混錬によるインク化
、そして塗布によって製造することができる。そのため、廉価で大量生産が可能というメ
リットがある。
特許文献1では、臭素またはヨウ素イオンを含むジチオカルバミン酸イオンの誘導体の
配位高分子とフラーレン誘導体等の有機半導体で形成される有機太陽電池が示されている
有機太陽電池の実用化には、さらなる発電効率の向上が望まれる。そのためには、さま
ざまな材料の検討が必要となる。p型半導体材料とn型半導体材料としては、特許文献1
以外にも知られている。
例えば、n型半導体材料としては、ヘキサアザトリフェニレン誘導体が知られている。
これは、有機発光表示装置の電子アクセプターとして従来から用いられている(例えば特
許文献1)。
また、p型半導体材料としては、ヨウ化銅(ハロゲン化銅)が知られている。特許文献
2では、電気光学素子の材料のp型半導体材料としてヨウ化銅を用いる点が開示されてい
る。
特開2011−216470号公報 特開2007−264003号公報
上記のように、π共役有機分子であるヘキサアザトリフェニレン誘導体はn型半導体特
性を示すことから有機EL素子の電子輸送層などに利用されている。一方、ハロゲン化銅
はp型半導体特性を示すため、色素増感太陽電池の固体電解質などにも利用可能である。
しかしながら、それぞれの材料はバンドギャップが大きいために単独では半導体特性を示
さない。
本発明は、常識的には単独では半導体特性を示さない2つの材料から発電層を形成でき
ることを見出して完成するに至った。より具体的に本発明に係る半導体材料は、これらを
混合する。すなわち、本発明は、金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有
機分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合していることを特
徴とする半導体材料を提供する。
本発明の半導体材料は、ヘキサアザトリフェニレン骨格を有するπ共役有機分子とハロ
ゲン化銅を組み合わせることで、バンドギャップが比較的小さく、なおかつ強い光吸収特
性を示す半導体材料が簡便に合成できる。これら半導体材料は有機薄膜太陽電池の活性層
として利用可能な光吸収帯を有しており、なおかつ半導体特性を示す。
この吸収帯およびバンドギャップは用いるπ共役有機分子の構造、もしくは反応させる
ハロゲン化銅の組成比を変えることで調整可能である。また、ハロゲン化銅に別の金属ハ
ロゲン化物を添加することで、キャリア密度の調整も可能であることから、これらをベー
スに様々な半導体材料の開発へと展開できる。また溶液の塗布により良質な薄膜を形成す
ることからデバイスへの展開も容易である。
HATNA−Clのクロロホルム溶液とCuIのアセトニトリル溶液の反応工程を示す図である。 実施例1のサンプルの拡散反射スペクトルのグラフである。 実施例1のサンプルのCole−Cole−PLOTのグラフである。 実施例1のサンプルのアレニウスプロットのグラフである。 実施例1で作製した太陽電池の構造である。 図5の太陽電池のJ−V特性を示すグラフである。 実施例2の反応工程を示す図である。 実施例2の吸収スペクトル特性を示すグラフである。 図8の一部拡大グラフである。 実施例2のサンプルの拡散スペクトルを測定したグラフである。 実施例2のサンプルの光電子分光測定の結果を示すグラフである。 実施例2のサンプルのエネルギー準位をまとめたものである。 実施例2のサンプルのCole−Cole−PLOTのグラフである。 実施例2のサンプルのLogJ−LogV特性を示すグラフである。 実施例2のサンプルで作製した太陽電池の構造を示す図である。 図15の太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 実施例3のサンプルの反応工程を示す図である。 実施例3のサンプルの吸収スペクトル特性を示すグラフである。 実施例3のサンプルの光電子分光測定の結果を示すグラフである。 実施例3のサンプルで作製した太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 実施例4のサンプルの反応工程を示す図である。 実施例4のサンプルの吸収スペクトル特性を示すグラフである。 実施例4のサンプルの光電子分光測定の結果を示すグラフである。 実施例4のサンプルで作製した太陽電池の構造を示す図である。 図24の太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 実施例5のサンプルで作製した太陽電池の構造を示す図である。 実施例5のサンプルの太陽電池のI−V特性を示すグラフである。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。 1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレンに硫黄を導入した誘導体の例示である。
以下に本発明に係る半導体材料について図面および実施例を示し説明を行う。なお、以
下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の
説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変する
ことができる。なお、H(水素)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、F(フッ素)
、Br(臭素)、Cl(塩素)、I(ヨウ素)、Mg(マグネシウム)、S(硫黄)、C
u(銅)、Ag(銀)、Au(金)については、逐次元素名の説明なく、使用される場合
もある。
本発明に係る半導体材料は、金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機
分子とハロゲン化銅からなり、π共役有機分子と銅イオンが配位結合している。特にπ共
役有機分子としては、1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニレン(1,4,5
,8,9,12−Hexaazatriphenylene:以後単に「HAT」または
「ヘキサアザトリフェニレン」と呼ぶ。)を骨格中に有しているものが望ましい。HAT
中には、金属イオンに配位可能な窒素原子が骨格に含まれている。また、ここでHATを
骨格中に含むとは、式(1)に示すHATを分子構造中に有するものである。したがって
、π共役有機分子としては、HATに官能基が結合したものを含む。
・・・(1)
図26〜図29にHATに官能基が結合したものを例示する。ここで、図中においてR
はH、RAk、CN、OH、ORAk、CHO、COOH、COORAk、CORAk
CONH、F、Cl、Br、Iである。なお、RAkは炭素数1から24までの直鎖ま
たは分岐のアルキル基である。また、図中においてXはCHまたはNである。
また、図30から図33にHATに硫黄が導入された場合を例示する。ここで、RはH
、CN、OH、ORAk、CHO、COOH、COORAk、CORAk、C=C(CN
)COORAk、CONH、F、Cl、Br、I、RAkである。なお、一つの配位子
にこれらの置換基が混在したものも含むものである。また、RAkは炭素数1〜24の直
鎖または分岐のアルキル基であり、XはCHまたはNである。
ハロゲン化銅のハロゲン元素としては、ハロゲン族の元素を利用することができる。特
にBr(臭素)、Cl(塩素)、I(ヨウ素)は好適に利用することができる。ハロゲン
化銅は、HATを分子構造中に有する有機分子(以後「HAT誘導体」と呼ぶ。)に配位
する。HAT誘導体は、電子受容体(n型半導体特性)としての特性を有し、銅イオンは
電子供与体(P型半導体特性)としての特性を有する。したがって、まず、HAT誘導体
はダイオード(半導体材料)として機能する。
また、これらの混合物は、光によってハロゲン化銅からHAT誘導体への電荷移動によ
って生成したホールと電子がハロゲン化銅およびHAT誘導体上をそれぞれ拡散すること
で電流が流れる。つまり太陽電池の半導体材料としても利用できる。
なお、本発明に係る半導体材料において、ハロゲン化銅の存在は、XPS(X−ray
Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光)、蛍光X
線分析法、ICP(Inductively Coupled Plasma:高周波誘
導結合プラズマ)発光分析法等によって確認することができる。また、π共役有機分子の
存在は、CHN元素分析(Elemental Analysis(Carbon,Hy
drogen,Nitrogen))、XPS(X−ray Photoelectro
n Spectroscopy:X線光電子分光)、赤外分光法(Infrared S
pectroscopy)等によって確認することができる。また、粉末X線構造解析等
によってπ−πスタックの距離を測定することでもπ共役有機分子の存在を確認すること
ができる。
また、ハロゲン化銅とπ共役有機分子が配位結合を形成しているか否かは、吸収スペク
トルを測定することで確認することができる。ハロゲン化銅は無色透明なので可視領域に
吸収がない。π共役有機分子は、共役系の広がり方や置換基によって多様な色が出る。
しかし、ハロゲン化銅の銅イオンと結合すると一般的にπ共役有機分子の吸収より長波
長側に銅イオンから配位したπ共役有機分子への電荷移動に起因する大きな吸収が出現す
る。仮に、配位結合を形成しなければ、配位子の吸収はほとんど変化しない。従って、配
位子の吸収より長波長側に吸収が出現した場合、銅イオンが配位していることが確認でき
る。
また、吸収スペクトルによって配位結合を確認できない場合でも、単結晶X線構造解析
ができれば、銅イオンとπ共役有機分子の配位結合の有無を観測することができる。
本発明に係る半導体材料の製造方法は極めて簡単である。具体的には、HAT誘導体の
溶液とハロゲン化銅の溶液を所定の割合で混合し、乾燥する事で得ることができる。HA
T誘導体の量とハロゲン化銅との混合比は、HAT誘導体の構造である程度の範囲が決ま
る。
今ハロゲン元素をXとし、ハロゲン化銅をCuXと表す。また、HAT誘導体はHAT
と表す。ハロゲン化銅とHAT誘導体の混合比をm:1とする。これらを混合すると式(
2)の右辺で表される配位高分子が得られる。
Cu + HAT → [Cu(HAT)] ・・・(2)
例えば、HATの、2、3、6、7、10、11の位置にシアノ基(−CN)が結合し
たもの({HAT−(CN)}とする。)は、mが0<m≦24の範囲で調整すること
ができる。なお、後述する実施例ではmを1から12まで調整した。
得られた配位高分子は、半導体領域での電気伝導性が認められる。この配位高分子は、
公知の構成により太陽電池とすることができる。具体的な構造は以下の実施例で示す。
以下本発明に係る半導体材料について実施例を示して説明する。以下の実施例で用いた
測定に関して説明する。
<UV−Vis−NIR拡散反射スペクトル測定および吸収スペクトル測定>
UV−Vis−NIR拡散反射(紫外・可視・近赤外拡散反射)および吸収スペクトル
測定は日立社製のHITACHI/U−4100形分光光度計を用いて行った。拡散反射
については、固体試料の場合MgO(80mg)に試料(0.01mmol)を混合した
ものを用い、薄膜の場合はガラス板もしくは石英板上に成膜し、2600〜200nmの
波長で測定を行った。
得られた反射率(%R)をクベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)変換するこ
とにより吸光度(Abs.)を求め、Abs. vs λおよび[f(R)E]1/2
vs Eをプロットした。なお、吸光度(Abs.)は以下の式(3)で求めた。
・・・(3)
吸収スペクトル測定は、薄膜試料をガラス板もしくは石英板に成膜し、2600〜20
0nmの波長で測定を行った。吸光度Aと吸収係数αは光の透過距離をxとして式(4)
の関係があり、吸光度を測定することで吸収係数の算出が可能となる。
・・・(4)
<光電子分光スペクトル測定>
光電子分光スペクトル測定は北陸先端科学技術大学院大学が所有する理研計器製のAC
−2を用いた。
<電流−電圧測定(太陽電池素子特性評価)>
太陽電池素子を作製しソーラーシミュレータから疑似太陽光を照射した状態でI−V測
定を行った。この電流値を素子が照射光を受ける面積で割ることで得られるJ−Vカーブ
から短絡電流密度JSCと開放電圧VOCを求めた。
FF(フィルファクター)は、J−V特性のグラフより最大電流密度Jmaxと最大電
圧Vmaxの積が最大になるように定め短絡電流密度JSCと開放電圧VOSから(5)
式によって求めた。
・・・(5)
変換効率PCE(Power Conversion Efficiency)は、最
大電流密度Jmaxと最大電圧Vmaxの積および照射光のエネルギーPincを用いて
(6)式によって求めた。なお、照射光のエネルギーPincは、AM1.5G(100
mW/cm)を用いた。
・・・(6)
<インピーダンス分光測定>
インピーダンス分光測定は東陽テクニカ製の6440B型LCRメーターを用いて行っ
た。作製した素子に微小正弦波電圧信号0.01Vをかけ、DCバイアスは行っていない
。得られたインピーダンスのコールコールプロットの半円の直径から抵抗値を求め、モジ
ュラスのコールコールプロットの半円の直径から静電容量(直接には静電容量の逆数)を
求めた。また得られた複素インピーダンス成分(Z’,Z’’)と複素誘電率成分(ε’
,ε’’)から電気伝導度や誘電率を見積もった。比誘電率は等価回路のCPE(Con
stant Phase Element)のキャパシタンスから(7)式により算出し
た。
・・・(7)
なお、ここで、ε、εはそれぞれサンプルの比誘電率、真空の誘電率であり、dは
電極間距離、Sは電極面積である。
また、電気伝導度σに関しては、複素誘電率成分のε’’が内部損失を示すことから(
8)式の関係より求めた。
・・・(8)
なお、ここでωは角周波数である。また、これらの解析にはZViewソフトウェアを
用いた。
<電気伝導度及びキャリア移動度測定 (SCLC法)>
直流電気伝導度測定およびSCLC(Space−Charge Limited C
urrent)法(空間電荷制限電流法)によるキャリア移動度測定はKEITHLEY
2400型汎用ソースメータとKEITHLEY 6517A 絶縁抵抗計(何れもT
FFケースレーインスツルメンツ社製製品)を用い、有機薄膜トランジスタの解析ソフト
である株式会社システムハウス・サンライズ社製のW32−6517TFTで測定を行っ
た。具体的には、電圧−電流の関係をlogでプロットし、電圧の2乗に比例する電流が
流れる領域における電気伝導度σSCLCを求めた。
<実施例1>
ロジゾン酸を出発原料として硝酸で酸化することでトリキノイルを合成し、更に酢酸を
溶媒としてトリキノイルとジクロロフェニレンジアミンと反応させることでアクセプター
性配位子HATNA−Cl(2,3,8,9,14,15−hexachloro−5
,6,11,12,17,18−hexaazatrinaphthylene)を合成
した。HATNA−Clは、HATのアゾベンゼンの外側にさらにジクロロベンゼンが
結合したもので、HAT誘導体である。
具体的には以下のように合成した。ロジゾン酸二ナトリウム(CNa:19.
3g、90.4mmol)を30%HNO(200mL)に加え30分間攪拌した後、
溶液を冷蔵庫で18時間冷却した。溶液を冷蔵庫から取り出し、吸引ろ過後6時間真空乾
燥を行いトリキノイル八水和物を得た。収量は12.1g、38.9mmolであった。
次に合成したトリキノイル八水和物(12.1g、38.9mmol)と4,5−di
chloro−1,2−phenylenediamine(21.1g、119mmo
l)を酢酸:エタノール=1:1の混合溶液(600mL)を溶媒として140℃で24
時間加熱還流した。吸引ろ過を行い、生成した沈殿を温酢酸(100℃、200mL)で
洗浄した。得られた生成物を30%NHO(500mL)に懸濁させ、140℃で3時
間加熱還流した後、吸引ろ過を行い目的のHATNA−Clを19.8g(33.6m
mol、86.3%)得た。反応工程を図1に示す。
得られたHATNA−Clのクロロホルム溶液とCuIのアセトニトリル溶液を1:
3,1:6,1:9,1:12のモル比で反応させ、これをエバポレーターで乾固するこ
とでそれぞれ濃緑色沈殿として配位高分子[Cu(HATNA−Cl)](m
=1〜12)を得た。それぞれm=3、6、9、12に相当する。
得られた配位高分子を粉末にし、拡散反射スペクトルを測定した。測定結果を図2に示
す。図2を参照する。横軸は波長(nm)であり、縦軸はクベルカ−ムンク関数で示され
る吸収量である。
その結果、配位高分子[Cu(HATNA−Cl)]は、mの値によらず、
いずれも近赤外から可視領域に幅広い吸収を持つことがわかった。なお、紫外域での大き
な吸収は共役結合に由来するものである。
次に、得られた配位高分子で測定温度を変えながらインピーダンスZの測定を行った。
結果をCole−Cole−PLOTにしたものを図3に示す。図3を参照して、横軸は
インピーダンスの実部(Z’)であり、縦軸は虚部(Z’’)を表す。図3で各引き出し
線の数字は、絶対温度(K)を表す。Cole−Cole−PLOTの横軸上での幅は抵
抗値を表す。したがって図3より、温度上昇に伴い抵抗値が減少する半導体的な挙動を示
すことが明らかになった。
図4には、図3に示した等価回路を用いてインピーダンスのデータのフィッテイングを
行い、その結果から電気伝導度を求め、アレニウスプロットにしたものを示す。図4を参
照して、横軸は温度の逆数(1/K)であり、縦軸は電気伝導度の対数(S/cm)であ
る。300Kの温度での電気伝導度は、3.66×10−5S/cmであった(σ300
=3.66×10−5S/cm)。
また、図4のグラフの傾きより活性化エネルギーEaは0.317eVであった。電気
伝導度は比較的高い値であり、またEaの結果よりこの配位高分子は熱活性型の半導体挙
動を示した。
次にこの配位高分子を用いて太陽電池を作製した。素子構造を図5に示す。エッチング
したFTO(フッ素ドープ酸化スズ)基板にチタンアセチルアセトナート錯体のエタノー
ル溶液をスプレーコート法で成膜した。次にTiCl溶液で表面処理し電気炉で焼結す
ることでコンパクト(compact)TiO層を成膜した。その後、TiOペース
トのエタノール溶液をさらにスピンコートし、125℃でアニールした後、電気炉で焼結
しメゾポーラス(mesoporous)TiO層を作製した。
次に、CuIのアセトニトリル溶液とHATNA−Clのクロロホルム溶液の混合溶
液をmesoporous TiO層上にスプレーコートすることで[Cu(H
ATNA−Cl)]薄膜(m=9)を成膜した。このとき、吐出量を6ml/min
で固定し、スプレーの回数を変化させることで[CuHATNA−Cl]]
膜厚を変化させた。
その後ホール輸送材料であるspiro−OMeTAD(2,2’,7,7’−Tet
rakis−(N,N−di−4−methoxyphenylamino)−9,9’
−spirobifluorene)を成膜し、空気酸化させた後、Ag(銀)、Au(
金)を順次真空蒸着することで太陽電池素子を作製し、光電変換特性を測定した。
作製した太陽電池素子の光電変換特性の測定結果を図6に示す。図6を参照して、横軸
は電圧(V)であり、縦軸は電流密度(mA/cm)である。また、CuIのアセトニ
トリル溶液とHATNA−Clのクロロホルム溶液の混合溶液のスプレーによる塗布回
数を40回、60回、80回と変化させた。図6において、丸印は40回塗り、四角印は
60回塗り、菱形印は80回塗りである。
図6を参照して、塗布回数を増やすに従い短絡電流密度JSC(図6の縦軸の切片)が
減少し、それに伴い光電変換効率ηも減少した。最も効率が高かった40回塗りの太陽電
池の光照射下でのJ−V測定から得られたパラメータは、それぞれJSC=0.157m
A/cm、VOC=0.411V、FF=0.434、η=0.028%であった。な
お、VOCは開放電圧であり、FFはフィルファクターである。
<実施例2>
ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(1,4,5,8,9,12−hex
aazatriphenylene−hexacarbonitrile:HAT−(C
N))のアセトン溶液とヨウ化銅(CuI)、臭化銅もしくは臭素銅のジメチルスルフ
ィド錯体(CuBr・S(CH)のアセトニトリル溶液を混合する。このときHA
T−(CN)とCuIもしくはCuBr・S(CHの反応の組成比は1:1〜1
:12まで変えることができる。この溶液を基板に滴下し、乾燥することで配位高分子[
Cu{HAT−(CN)}]を得ることができる。図7は[Cu{HA
T−(CN)}]の反応スキームである。
図8に、配位高分子[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)薄膜のUV
−Vis−NIR吸収スペクトルを示す。縦軸は吸収係数α(cm−1)であり、横軸は
波長(nm)である。何れの薄膜も可視領域(400nm〜800nm)に幅広い強い吸
収を示す。これは銅一価イオンから電子受容性配位子HAT−(CN)への電荷移動吸
収に由来するものである。一般的にこの様な電荷移動吸収は許容遷移であるため、強い吸
収を示す。
図9は図8の吸収スペクトルの300nm〜800nmを拡大したものに、有機薄膜太
陽電池の標準材料であるP3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(1−(
3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル−[6,6]−C61)のブレンド膜
(図中では「P3HT−PCBM」と記した。)の吸収スペクトルを加えたものである。
図9を参照して、[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)は可視領域で
P3HTとPCBMのブレンド膜よりも強い吸収を示した。よって薄膜太陽電池の光電変
換材料として大きな可能性を有していることがわかる。
図10は[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)の粉末サンプルを用い
て測定した拡散反射スペクトルである。横軸は波長から換算したエネルギー(eV)であ
り、縦軸はクベルカ−ムンク関数で示される吸収量の平方根である。この吸収端からバン
ドギャップ(HOMO−LUMOギャップ)を見積もることができるが、何れの化合物も
0.63eV〜0.76eVの小さなバンドギャップを有していた。
図11には、[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)の光電子分光測定
(AC−2)の測定結果を示す。縦軸は光電子のエネルギー(任意単位)であり、横軸は
エネルギー(eV)である。この結果よりHOMOのエネルギー準位を見積もった。図1
0のバンドギャップの値からLUMOのエネルギー準位も算出することができる。
図12には、HOMO、LUMOの準位をm毎にまとめたものを示す。横軸はm(1か
ら12:ハロゲン化銅(臭化銅)の混合比)であり、縦軸はエネルギー(eV)である。
次に、これらの材料の電気伝導性および誘電性に関して、水銀電極を用いた薄膜二端子
法にて、インピーダンス分光法および直流伝導度測定より評価した。図13は[Cu
{HAT−(CN)}](XはBr)のm=3,6,9のインピーダンスZのCo
le−Cole Plotである。図13(a)がm=3の場合であり、図13(b)が
m=6の場合であり、図13(c)がm=9の場合である。それぞれ横軸は実部であり縦
軸は虚部である。
Cole−Cole Plotでは半円の直径(実軸上でゼロと他の交点との距離)が
測定試料の抵抗値(Ω)に相当する。したがって、臭化銅の組成比が増大するにつれて伝
導性が増大(抵抗値は減少)していることがわかる。
また、R−C並列等価回路を仮定し、フィッティングを行ったところ、臭化銅の組成比
が増大するにつれて物質の誘電率が増大することが明らかになった。これは銅イオンの変
位によって強誘電性が発現しているためで、この様な誘電率の増大は太陽電池における電
荷分離効率を増大させるため、性能の向上が期待できる。
図14は[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)のm=3,6,9の直
流伝導度の電圧依存性の測定結果である。図14(a)がm=3の場合であり、図14(
b)がm=6の場合であり、図14(c)がm=9の場合である。それぞれ縦軸は電流密
度の対数であり、横軸は電圧の対数である。
低電圧側のプロットの傾きから電気伝導度が、高電圧側のプロットの傾きからキャリア
移動度を算出できる。得られた値は表1にまとめた。この結果から何れの組成で合成した
化合物に関しても有機薄膜太陽電池の活性層として利用可能であることがわかる。
次に太陽電池特性を調べた。活性層として使用したのは、ハロゲン化銅として臭化銅を
用いた[CuBr{HAT−(CN)}]である。作成した太陽電池は、図15
の構造をしている。各層は発電時正極となるガラスから、glass/ITO/PEDO
T:PSS/[CuBr{HAT−(CN)}]/C60/BCP/Agである
なおここで、ITOは「Indium Tin Oxide;錫ドープ酸化インジウム
)であり、PEDOT:PSSは、PEDOT「poly(3,4−ethylened
ioxythiophene);ポリエチレンジオキシチオフェン」にPSS「sodi
um polystyrene sulfonate;ポリスチレンスルホン酸」を添加
したものである。また、C60はフラーレンであり、BCPは「Bathocuproi
ne;バソクプロイン」である。
図16に、得られた電流−電圧特性の結果を示す。横軸は電圧(V)であり、縦軸は光
を受ける素子の面積あたりの電流密度(mA/cm)である。また、臭化銅のモル比を
変えたものとしてm=1、3、6、9の場合のサンプルについて測定結果を記載した。
図16を参照して、mが1のときは、電流を取り出すことができなかった。しかし、m
が3以上になると、太陽電池として機能していることが確認できた。また、m=9の場合
の変換効率(PCE)は0.07%となった。
<実施例3>
HATに硫黄を含む官能基を有するHAT誘導体と臭化銅からなる配位高分子について
実施した。HAT誘導体は、図17で示す反応工程で得られる物質であり、ヘキサアザト
リナフチレンヘキサチオヘキシル(2,3,8,9,14,15−hexakis(he
xylthio)diquinoxalino[2,3−a:2’,3’−c]phen
azine:[HATNA−(SC13]である。[HATNA−(SC
]は以下のようにして合成した。
窒素雰囲気下で105mLのテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetra
ethylene Glycol Dimethyl Ether)に1−ヘキサンチオ
ール(1−Hexanethiol(又はHexyl Mercaptan):2.34
g、19.5mmol)とNaH(油性、0.99g)を加え30分間攪拌した。この溶
液に実施例1で合成したHATNA−Cl(1.78g、3.0mmol)を加え、1
50℃で40時間還流した。
溶液を濃縮後、CHClを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーにより精製し、
[HATNA−(SC13]を得た。収量は1.47g、1.36mmol、4
5.2%であった。反応工程を図17に示す。
なお、NMRスペクトルの測定値は以下のようであった。なお、MALDI−TOFは
、MALDIがMatrix Assisted Laser Desorption/
Ionization(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)の略であり、TOF
MSは、Time of Flight Mass Spectrometry(飛行時
間型質量分析法)の略である。
1H−NMR(CDCl,400MHz):δ=0.93(t,18H),1.38(
m),1.57(m),1.91(m),3.24(t,12H),8.25(s,6H
);MALDI−TOF:m/z1081.77(M+)。
次に[HATNA−(SC13]17.8mg(0.0165mmol)をク
ロロベンゼン1mLに溶解させ、そこにCuBrを20.31mg(0.0495mmo
l)、PCBMを15mg(0.0165mmol)溶解させ、溶液をろ過し、活性材溶
液を得た。ITO/glass基板上にPEDOT:PSSをスピンコート法により成膜
(3000rpm,60s)し、大気下で160℃加熱した後放冷した基板に、活性材溶
液スピンコート法により成膜(700rpm,60s)し、N下で120℃で10分間
加熱し、活性層を形成した。その上に真空蒸着法によりC60を40nm、BCPを10
nm、Agを100nm成膜し、太陽電池素子とした。活性層の組成が異なる以外は、図
15の構造と同じである。
HATNA−(SC13とCuBrをクロロベンゼンに溶解し、スピンコート
法で成膜した薄膜のUV−Vis−NIR吸収スペクトルを図18に示す。図18を参照
して、横軸は波長λ(nm)であり、縦軸は吸収係数α(cm−1)である。可視領域に
幅広い吸収がみられた。
また、光電子分光測定の結果を図19に示す。図19を参照して、横軸はエネルギー(
eV)であり、縦軸は放出された電子数である。
図18の吸収スペクトルから見積もったバンドギャップと図19の光電子分光測定によ
り見積もったHOMOのエネルギー準位の結果より、HOMOは−5.18eV、LUM
Oは−3.61eVであった。
図20は上述した太陽電池素子の電流−電圧特性である。横軸は電圧(V)であり、縦
軸は電流密度(mA/cm)である。「photo」は、太陽光を照射した時の電流−
電圧特性(光電流)で、「dark」が太陽光を照射していない時の電流−電圧特性(暗
電流)である。暗電流に比べ、光電流の方が大きな電流が流れていることから光電変換特
性があることがわかる。この結果はHATNA−(SC13とハロゲン化銅から
なる配位高分子が有機薄膜太陽電池の活性層として利用出来ることがわかった。
<実施例4>
配位高分子としてHATNAを用い、ハロゲン化銅として臭化銅を用いた場合について
半導体特性および太陽電池の活性層としての特性を調べた。HATANAは、HATのア
ゾベンゼンの外側にさらにベンゼンが結合したもので、HAT誘導体である。HATAN
Aは以下のようにして合成した。
トリキノイル8水和物(12.1g、38.9mmol)とo−フェニレンジアミン(
12.8g、119mmol)を酢酸:エタノール=1:1の混合溶液(600mL)を
溶媒として140℃で24時間加熱還流した。この混合溶液に吸引ろ過を行い、生成した
沈殿を温酢酸(100℃、200mL)で洗浄した。得られた生成物を30%HNO
500mL)に懸濁させ、140℃で3時間加熱還流した後、吸引ろ過で沈殿を集めた。
この沈殿をクロロホルムを溶媒としてソックスレー抽出し、精製した。精製物はHATN
Aである。反応工程を図21に示す。
HATNAのクロロホルム(CHCl)溶液とCuIのアセトニトリル(CHCN
)溶液を混合し、配位高分子[Cu(HATNA)](X=I)の溶液を合成し
た。この時、m=1、3、6のモル比で反応させた。この溶液をスプレー法で成膜し、U
V−Vis−NIR吸収スペクトルを測定した。結果を図22に示す。図22では、横軸
が波長(nm)であり、縦軸は吸収係数α(cm−1)である。m=1の時に可視帯域で
大きな吸収が観測された。
また、合成した溶液を濃縮し、析出してきた沈殿の光電子分光スペクトル(AC−2で
測定)を測定した。その結果を図23に示す。図23では、横軸がエネルギー(eV)で
あり、光電子のエネルギー(任意単位)である。
これらの結果よりそれぞれの配位高分子のHOMO、LUMO準位を算出したものを、
表2に示す。何れも太陽電池の活性層として使用できる可能性がある。
次に[Cu(HATNA)](X=Br、or I)を用いた太陽電池を作製
した。作製した太陽電池の素子構造を図24に示す。まず、チタンジイソプロポキシドビ
ス(アセチルアセトナート)の75wt%のイソプロパノール溶液を0.5mLを19.
5mLのエタノール溶液で薄め、この溶液をFTO(フッ素ドープ酸化スズ)基板上にス
プレー法にて成膜することでコンパクト酸化チタン膜を成膜した。
この基板を70℃に温めた四塩化チタン水溶液に30分浸し、70℃のホットプレート
で加熱することで表面処理を行い、この基板を電気炉で500℃20分間加熱した。この
基板上にエタノールで希釈した酸化チタンペーストをスピンコートすることで多孔性酸化
チタンを成膜した。作製した基板上にHATNAとCuX(X=Br,or I)を溶解
したトルエン/アセトニトリル混合溶液をスプレー法にて塗布し、[Cu(HAT
NA)](X=Br,or I)の活性層を作製した。
更にホール輸送層としてSpiro−OMeTAD(N2,N2,N2’,N2’,N
7,N7,N7’,N7’−オクタキス(4−メトキシフェニル)−9,9‘−スピロビ
[9Hフルオレン]−2,2’,7,7‘−テトラミン)、4−tert−ブチルピリジ
ン、リチウムビス(テトラフルオロメチルサルフォニル)イミドのアセトニトリル/クロ
ロベンゼン混合溶媒をスピンコートした。
この素子をグローブボックス内で70℃30分乾燥させ、暗所に設置した乾燥したデシ
ケーター内で一晩放置した。最後にAg(銀)、Au(金)を順次真空蒸着することで、
太陽電池素子を作製した。その電流電圧特性および測定パラメータを表3に示す。また、
測定結果を図25に示す。なお、図25および表3の中の回数は活性層をスプレー法にて
成膜する際に基板に塗布したスプレー回数である。
図25では、横軸に電圧(V)であり、縦軸は電流密度(mA/cm)である。白丸
はIを5回塗りした場合、白四角はIを10回塗りした場合、白菱形はIを15回塗りし
たものである。また、黒丸はBrを5回塗りした場合、黒四角はBrを10回塗りした場
合、黒菱形はBrを15回塗りした場合である。数値自体は小さいものの、太陽電池特性
を観測することができた。
<実施例5>
活性層をスピンコートで作製すると、多数回塗布を行っても、活性層を厚く形成できないという問題がある。そこで、活性層をも蒸着で作製した場合について確認した。活性層としては、実施例2で用いたヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(1,4,5,8,9,12−hexaazatriphenylene−hexacarbonitrile:HAT−(CN))を使った。
図26に本実施例で作製した太陽電池の構造を示す。本実施例では、全ての層を真空蒸着で形成した。ガラス基板上にバッファ層として10nmの厚みのMoO、活性層として70nmの厚みのHAT−(CN)を形成した。そして、40nmの厚みのC60層、10nmの厚みのBCPの各層を形成した後、電極として80nmの厚みのAgを形成した。
なお、ガラス基板は、使用前にアセトン、洗剤、蒸留水、超純水、IPA(イソプロパノール)で超音波洗浄した。また、活性層は、0.0828gのCuBr(CHSをアセトニトリル30mlに溶解させ、0.0172gのHAT−(CN)を加えて反応させた溶液をエバポレーターでドライアップし、得られた粉末を蒸着して形成した。この粉末は、[CuBr(HAT−(CN))]であることを確認した。すなわち、実施例2の[Cu{HAT−(CN)}](XはBr)において、m=9とした場合と同じ組成である。
図27に作製した太陽電池の電流−電圧特性の結果を示す。横軸は電圧(V)であり、縦軸は光を受ける素子の面積あたりの電流密度(mA/cm)である。また、表4に各電池特性の結果を示す。この電池の変換効率は0.208%であった。図16は、活性層をスピンコートで作製した場合である。同一組成(m=9)の場合の変換効率(0.07%)より1桁高い変換効率を得ることができた。
以上のように、HATを有するHAT誘導体とハロゲン化銅を混合した配位高分子は、
半導体材料としてはもちろんのこと、太陽電池の活性層として利用できることがわかった
本発明に係る半導体材料は太陽電池やFET(電界効果トランジスタ)などに好適に利
用することができる。

Claims (3)

  1. 金属イオンに配位可能な窒素原子を骨格に含むπ共役有機分子とハロゲン化銅からなり
    、π共役有機分子と銅イオンが配位結合していることを特徴とする半導体材料。
  2. 前記π共役有機分子がヘキサアザトリフェニレンを骨格に含むことを特徴とする請求項
    1に記載された半導体材料。
  3. 請求項1または2の何れかに記載された半導体材料を活性層とする太陽電池。
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