JP2019132778A - 事故対策方法、原子力プラント及び放射線遮蔽方法 - Google Patents

事故対策方法、原子力プラント及び放射線遮蔽方法 Download PDF

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憲一 神田
数馬 阿部
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数馬 阿部
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Koichi Nakamura
康一 中村
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Atsushi Ui
淳 宇井
聡 西村
Satoshi Nishimura
聡 西村
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正裕 古谷
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Yoshihisa Nishi
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Abstract

【課題】PEG等の添加剤の放射性物質からの放射線による劣化を抑制して水蒸気爆発を有効に防止又は抑制することができる原子力プラントの事故対策方法、及び事故対策をした原子力プラント並びに放射線遮蔽方法を提供する。【解決手段】原子力プラントの事故対策方法であって、原子炉圧力容器の下部領域であるペデスタル3内に、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物11を、当該ペデスタル3へ注入された貯留水4の水面を覆う量以上設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、原子力プラントの事故対策方法、及び事故対策をした原子力プラント並びに放射線遮蔽方法に関する。
2011年の福島第一原子力発電所事故以降、安全性向上のため国内の原子力プラントにおいては万が一の過酷事故時の対策整備が進められている。その中で、溶融した炉心が原子炉圧力容器を貫通し、圧力容器の外にある格納容器を構成するコンクリートと反応するMCCI(Molten Core Concrete Interaction;溶融炉心コンクリート相互作用)反応についても対策が求められており、その対策のひとつとしてBWR(Boiling Water Reactor;沸騰水型原子炉)プラントの例では原子炉圧力容器下部の領域(ペデスタル)に事前に注水を行い、溶融し落下してきた炉心を冷却水で受け止めて冷やすというものが考えられている。
また、ペデスタルに事前水張りした冷却水に、水蒸気爆発の発生を防止又は抑制する添加剤として「ポリエチレングリコール(PEG)」を注入することで、水蒸気爆発の発生を防止又は抑制する対策も考えられている(非特許文献1〜3参照)。
ここで、原子炉の燃料が損傷し、希ガスがウェットウェルを経由して格納容器内に充満した場合のペデスタルの線量評価を基に、対策を講じない場合、PCV(Primary Containment Vessel;格納容器)内に放射性物質が充満した際のペデスタル水張りに及ぼす線量影響の評価結果を図7及び8に示す。ここでは図7に示すように、コンクリート部材1及び鉛部材2で囲まれたペデスタル3付近にフォーカスしたモデル体系を作成し、ペデスタル3内に水張りがなされて貯留水4が溜まった状況を模擬した。ここでは国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA:Japan Atomic Energy Agency)にて開発された放射線輸送計算コードPHITS(Particle and Heavy Ion Transport Code System)を用いてモデル作成、解析評価を行った(非特許文献4参照)。ペデスタル3の上方に位置するのが水蒸気5が入った圧力容器6である。このとき、炉内の揮発性放射性物質(ここではXe,Krのみを想定)が全量PCVに移行したと仮定している。またそのインベントリは様々な文献を参照し、得られた情報から考えられ得るものを想定しているが、全量が移行するとした過程等は保守的な評価となっている。なお、水張り部分の貯留水4の高さ方向は下端が550cm、上端が648cmと設定している。
図8に示す結果からは、この評価条件の場合、ペデスタル3内空間では線量は約50kSv/hとなり、水面から約10cm下の水中では線量は約10kSv/hとなっている。したがって、ある程度水面より下部分の水は照射される線量は小さくなる。しかし、その水面付近では添加剤であるPEGの劣化の可能性が懸念される約20kSvに比較的短時間で到達してしまう程度の比較的大きな線量影響を受ける可能性があることが分かった。
古谷 他,"粘性剤および界面活性剤添加による蒸気爆発抑制効果の評価",財団法人 電力中央研究所 研究報告:T99091,平成12年8月 古谷 他,"SUPPRESSION MEASURES AND EFFECTIVE TRIGGERING RETARDANT OF STEAM EXPLOSIONS",財団法人 電力中央研究所,NURETH-16,2015 古谷 他,"Suppression Measures of Steam Explosions with and without External Pressure Pulse",財団法人 電力中央研究所,ICMF-2016 T. Sato, K. Niita, N. Matsuda, S. Hashimoto, Y. Iwamoto, S. Noda, T. Ogawa, H. Iwase, H. Nakashima, T. Fukahori, K. Okumura, T. Kai, S. Chiba, T. Furuta and L. Sihver, Particle and Heavy Ion Transport Code System PHITS, Version 2.52, J. Nucl. Sci. Technol. 50:9, 913-923 (2013)
上述したとおり、MCCI対策および水蒸気爆発対策としてペデスタルへの事前水張りを行う際にPEGを添加する方法に関して、その耐放射線性能について、万が一の原子力プラントでの事故を想定すると、希ガスが放出されて格納容器内に充満した場合にその希ガス等の放射性物質からの放射線によりPEGが劣化してしまう可能性が懸念され、水蒸気爆発が有効に防止又は抑制できない可能性があるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑み、PEG等の添加剤の放射性物質からの放射線による劣化を抑制して水蒸気爆発を有効に防止又は抑制することができる原子力プラントの事故対策方法、及び事故対策をした原子力プラント並びに放射線遮蔽方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、原子力プラントの事故対策方法であって、原子炉圧力容器の下部領域であるペデスタル内に、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を、当該ペデスタルへ注入された貯留水の水面を覆う量以上設けることを特徴とする事故対策方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物が設けられていることにより、溶融炉心が落下した場合には、浮遊構造物の間を通過して水中への落下が許容されるが、水中へ到達する放射線線量を低減することができる。
本発明の第2の態様は、前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする第1の態様に記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物がより隙間なく並ぶので、浮遊構造物による放射線線量の低減がより確実になる。
本発明の第3の態様は、前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする第1又は2の態様に記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を比較的容易に製造できる。
本発明の第4の態様は、前記浮遊構造物は、前記貯留水の水面に、少なくとも前記貯留水中への放射線を遮蔽するのに必要な厚さ以上の層を形成することを特徴とする第1〜3の態様の何れかに記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物が所定の厚さ以上形成されていることにより、水中へ到達する放射線線量をより確実に低減することができる。
本発明の第5の態様は、前記浮遊構造物は、下部に水が流入する流入口があって上部が開放されている筒状体内に充填保持されていることを特徴とする第1〜4の態様の何れかに記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、水を注入すると、浮遊構造物が貯留水の水面に層を形成するので、既存の原子力プラントに比較的容易に浮遊構造物の層を設けることができる。
本発明の第6の態様は、前記ペデスタル内に前記貯留水が注入されたことを特徴とする第1〜5の態様の何れかに記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、前記ペデスタル内に貯留水が注入され、貯留水の水面に浮遊構造物の層を形成することができる。
本発明の第7の態様は、前記ペデスタル内の冷却水に水蒸気爆発を防止又は抑制する添加剤を注入することを特徴とする第1〜6の態様の何れかに記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、浮遊構造物の層により、添加剤の放射線による劣化を低減することができる。
本発明の第8の態様は、前記浮遊構造物が出し入れ可能であり可搬性を有することを特徴とする第1〜7の態様の何れかに記載の事故対策方法にある。
かかる態様では、既存の原子力プラントへの浮遊構造物の層の設置が容易であり、且つ原子力プラントのメンテナンスへの影響も小さくなる。
本発明の第9の態様は、原子炉圧力容器の下部領域であるペデスタル内に、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を、当該ペデスタルへ注入された貯留水の水面を覆う量以上設けたことを特徴とする原子力プラントにある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物が設けられていることにより、溶融炉心が落下した場合には、浮遊構造物の間を通過して水中への落下が許容されるが、水中へ到達する放射線線量を低減することができる。
本発明の第10の態様は、前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする第9の態様に記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物がより隙間なく並ぶので、浮遊構造物による放射線線量の低減がより確実になる。
本発明の第11の態様は、前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする第9又は10の態様に記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を比較的容易に製造できる。
本発明の第12の態様は、前記浮遊構造物は、前記貯留水の水面に、少なくとも前記貯留水中への放射線を遮蔽するのに必要な厚さ以上の層を形成することを特徴とする第9〜11の態様の何れかに記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物が所定の厚さ以上形成されていることにより、水中へ到達する放射線線量をより確実に低減することができる。
本発明の第13の態様は、前記浮遊構造物は、下部に水が流入する流入口があって上部が開放されている筒状体内に充填保持されていることを特徴とする請求項9〜12の態様の何れかに記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、水を注入すると、浮遊構造物が貯留水の水面に層を形成するので、既存の原子力プラントに比較的容易に浮遊構造物の層を設けることができる。
本発明の第14の態様は、前記ペデスタル内に前記貯留水が注入されたことを特徴とする第9〜13の態様の何れかに記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、事故対策として事後的に貯留水を注水して事故対策を行うことができる。
本発明の第15の態様は、前記ペデスタル内の冷却水に水蒸気爆発の発生を防止又は抑制する添加剤を注入したことを特徴とする第14の態様に記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、浮遊構造物の層を設けることにより、添加剤の放射線による劣化を低減することができる。
本発明の第16の態様は、前記浮遊構造物が出し入れ可能であり可搬性を有することを特徴とする第9〜15の態様の何れかに記載の原子力プラントにある。
かかる態様では、既存の原子力プラントへの浮遊構造物の層の設置が容易であり、且つ原子力プラントのメンテナンスへの影響も小さくなる。
本発明の第17の態様は、所定の領域に保持されている液体放射性物質に、比重が前記液体放射性物質よりも小さい複数の浮遊構造物を投入し、前記液体放射性物質の液面を覆うことを特徴とする放射線遮蔽方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物が設けられていることにより、液体放射性物質から放射される放射線線量を低減することができる。
本発明の第18の態様は、前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする第17の態様に記載の放射線遮蔽方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物がより隙間なく並ぶので、浮遊構造物による放射線線量の低減がより確実になる。
本発明の第19の態様は、前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする第17又は18の態様に記載の放射線遮蔽方法にある。
かかる態様では、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を比較的容易に製造できる。
本発明によれば、複数の浮遊構造物からなる層を原子力プラントのペデスタルに設けることにより、溶融炉心が落下した場合には、浮遊構造物の間を通過しての水中への落下が許容されるが、水中へ到達する放射線線量を低減することができるという効果を奏する。また、複数の浮遊構造物の層が設けられていることにより、浮遊構造物の間を介しての流体の流通は許容されるが、遮断空間へ到達する放射線線量を低減することができる放射線遮蔽を実現することができる。
実施形態1に係る原子力プラントの断面図である。 実施形態1に係る浮遊構造物の設置方法を説明する図である。 実施形態1に係る浮遊構造物の設置方法を説明する図である。 評価試験の結果を示す図である。 評価試験の結果を示す図である。 実施形態に係る放射線遮蔽方法を模式的に示す図である。 ペデスタル水張りに及ぼす線量影響の評価結果を示す図である。 ペデスタル水張りに及ぼす線量影響の評価結果を示す図である。
以下、実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1には、実施形態1に係る原子力プラントの断面図であり、図2、図3は浮遊構造物の設置方法を説明する図である。
図1に示すように、コンクリート部材1及び鉛部材2で囲まれたペデスタル3の底部には貯留水4が湛えられ、貯留水4の上部に浮遊構造物層10が設けられている。
浮遊構造物層10は、貯留水4の水面に浮かぶ複数の浮遊構造物11からなる層である。各浮遊構造物11は、本実施形態では、鉄製の金属中空物からなる球体であり、比重が水よりも小さく、貯留水4の水面に浮遊するものである。
ここで、浮遊構造物11は、比重が水よりも小さく、水に浮遊可能なものであり、複数個が集合して貯留水4の表面に浮遊構造物層10を形成できるものであれば、特に限定されない。
浮遊構造物層10は、複数の浮遊構造物11の集合体であり、上方から溶融炉心が落下してきても貯留水4内への落下を許容するが、詳細は後述するが、浮遊構造物層10の上方の空間内の希ガスなどの放射線物質からの放射線の通過を防止又は低減するものである。
よって、各浮遊構造物11は、溶融炉心に備えた貯留水の水面に浮かび層を形成することのできる素材で形成する必要がある。逆に言えば、水面に浮かび層を形成することのできるものであれば、材質や形状は特に限定されない。
また、浮遊構造物11は、放射線遮蔽効果を高めるために表面、内表面に放射線遮蔽物質を塗布したものとしてもよい。また、溶融炉心への耐性を高めるために超高温耐性のある材料を塗布したものとしてもよい。さらに、中空構造の場合には格納容器の加圧破損への寄与を低減させるために中空部分を真空にしたものとしてもよい。このように、浮遊構造物11には、各種改良を加えることも有効である。
貯留水4に浮遊して隙間なく集合して浮遊構造物層10を形成するためには、異形形状よりは球形状が好ましい。また、球形状の場合、大きさがほぼ同一の集合体でもよいが、直径が異なる球体の集合体の方が隙間なく集合して浮遊構造物層10を容易に形成することができると推定される。
このような条件を満足する浮遊構造物11は、鉄などの金属製かセラミックス製の中空球体が好ましい。例えば、市販の中空金属球体として、商品名「TEC−BALL」が市販されている、直径が0.5cm〜4cm、密度が0.8〜0.9g/cmのものが存在する。好適には、これを用いることが可能である。
このような浮遊構造物11を用いて形成される浮遊構造物層10は、その上方の空間内の希ガスなどからの放射線が貯留水4内に入り込まないようにするものであるから、このような機能を有する厚さを有する必要がある。後述する実験等から、2cm、好ましくは、5cm以上の厚さの層とするのが望ましい。また、上述したような市販の中空球体を用いるとすると、直径の異なる中空球体を混合して用いるのが好ましい。
このような浮遊構造物11は、貯留水4の注入時に水と共に搬入することも可能であるが、水注入前の原子力プラントのペデスタル3内に設置しておくのが好ましい。この場合、ペデスタル3内の下部に敷き詰めておくことも可能であるが、プラントのメンテナンス等を考慮すると、図2のような上部が開放された開口21であり、下部に水の流入口22を有する筒状の容器20内に充填し、容器20に充填したままペデスタル3内に設置しておくのが好ましい。流入口22は、中に充填した浮遊構造物11が流出せず、且つ浮遊構造物11によって塞がれることなく、水の内部への流入を許容するものであり、例えば、メッシュ構造などを有しているものである。これにより、図3に示すように、水を注入すると、流入口22から容器20内に水が流入し、水位が増すと、容器20内の浮遊構造物11が浮き、最後には、貯留水4の水位が容器20の開口21より上方に位置すると、浮遊構造物11は、容器20の開口21から飛び出し、貯留水4の水面に浮遊構造物層10を形成する。
このような手法を用いることにより、事故対策で貯留水4を注入しない間は、容器20内に充填した状態で浮遊構造物11を搬送でき、出し入れ可能である。また、事故発生時に単に貯留水4を注入することにより、浮遊構造物11は、容器20の開口21から浮遊して飛び出し、容易に、貯留水4の水面に浮遊構造物層10を形成することができ、溶融炉心が落下した場合には、浮遊構造物の間を通過して水中への落下が許容されるが、貯留水4中へ到達する放射線線量を低減することができるという効果を奏する。
(実施例1)
本実施例は、鉄製中空球体の浮遊構造物11を用いて浮遊構造物層10の厚さを10cmとした。
(実施例2)
本実施例では浮遊構造物層10の厚さを5cmとした。
(実施例3)
本実施例では浮遊構造物層10の厚さを2cmとした。
(比較例1)
浮遊構造物層10を設けないものを比較例1とした。
(評価結果)
図4及び図5に示すように、実施例1〜3では、高さ648cmの水面位置では、比較例1と比較して線量が著しく低減されており、特に、実施例1、2では、数kSv/h以下に低減されており、35kSv/h程度の比較例1と比較して、浮遊構造物層10の効果が確認された。
以上の結果より、浮遊構造物層10を設けることにより、貯留水4への放射線影響は低減され、発生防止剤(PEG)の劣化への懸念はより低減されることが明らかである。
(他の実施形態)
以上の実施形態では、原子力プラントの事故対策方法として浮遊構造物層を用いた例を示したが、浮遊構造物層の作用効果を考えれば、放射性物質からの放射線遮蔽方法として浮遊構造物層を用いることができることは明らかである。
また浮遊構造物については、放射線遮蔽効果を高めるために表面、内表面に放射線遮蔽物質を塗布すること、溶融炉心への耐性を高めるために超高温耐性のある材料を塗布すること、中空構造の場合には格納容器の加圧破損への寄与を低減させるために中空部分を真空にすること、などの改良を加えることも有効である。
図6には、液体放射性物質からの放射線遮蔽方法に浮遊構造物層を用いた例を示す。
図示するように、液体放射性物質31からは、放射線が照射されている可能性があり、その周囲の空間は放射線が照射される空間である。よって、液体放射性物質31の表面に浮遊構造物層10Aを設けることにより、その周囲の空間への放射線線量を低減することができる。
なお、浮遊構造物層10Aは、上述した浮遊構造物層10と同様なものであり、詳細な説明は省略する。
また、液体放射性物質31は、放射性の廃液等の他に自ら放射線を発するもの以外に水中に放射性物質が存在するものも同様に考慮することができ、例えば、原子力燃料の冷却プールにおける水位低下時などにも有効である。
浮遊構造物層10Aは、必要に応じて容易に設けることができ、且つ必要に応じて容易に除去することができる放射線遮蔽層として用いることができ、有用である。
上述した実施形態では、浮遊構造物層を用いた原子力プラントの事故対策方法を中心に説明したが、浮遊構造物層は、原子力廃棄物施設、原子力プラント関連施設などの放射線物質からの放射線の遮断を目的とした用途に使用可能である。
また、上述した事故対策方法はBWRを例にして説明したが、炉型に限定されず、この対策方法が有効な状況において、例えばPWR(Pressurized Water Reactor;圧力水型原子炉)等 においても、適用される。
3 ペデスタル
4 貯留水
10、10A 浮遊構造物層
11 浮遊構造物

Claims (19)

  1. 原子力プラントの事故対策方法であって、
    原子炉圧力容器の下部領域であるペデスタル内に、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を、当該ペデスタルへ注入された貯留水の水面を覆う量以上設けることを特徴とする事故対策方法。
  2. 前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする請求項1記載の事故対策方法。
  3. 前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の事故対策方法。
  4. 前記浮遊構造物は、前記貯留水の水面に、少なくとも前記貯留水中への放射線を遮蔽するのに必要な厚さ以上の層を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の事故対策方法。
  5. 前記浮遊構造物は、下部に水が流入する流入口があって上部が開放されている筒状体内に充填保持されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の事故対策方法。
  6. 前記ペデスタル内に前記貯留水が注入されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の事故対策方法。
  7. 前記ペデスタル内の冷却水に水蒸気爆発を防止又は抑制する添加剤を注入することを特徴とする請求項6記載の事故対策方法。
  8. 前記浮遊構造物が出し入れ可能であり可搬性を有することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項記載の事故対策方法。
  9. 原子炉圧力容器の下部領域であるペデスタル内に、比重が水よりも小さい複数の浮遊構造物を、当該ペデスタルへ注入された貯留水の水面を覆う量以上設けたことを特徴とする原子力プラント。
  10. 前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする請求項9記載の原子力プラント。
  11. 前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする請求項9又は10記載の原子力プラント。
  12. 前記浮遊構造物は、前記貯留水の水面に、少なくとも前記貯留水中への放射線を遮蔽するのに必要な厚さ以上の層を形成することを特徴とする請求項9〜11の何れか一項記載の原子力プラント。
  13. 前記浮遊構造物は、下部に水が流入する流入口があって上部が開放されている筒状体内に充填保持されていることを特徴とする請求項9〜12の何れか一項記載の原子力プラント。
  14. 前記ペデスタル内に前記貯留水が注入されたことを特徴とする請求項9〜13の何れか一項記載の原子力プラント。
  15. 前記ペデスタル内の冷却水に水蒸気爆発を防止又は抑制する添加剤を注入することを特徴とする請求項14記載の原子力プラント。
  16. 前記浮遊構造物が出し入れ可能であり可搬性を有することを特徴とする請求項9〜15の何れか一項記載の原子力プラント。
  17. 所定の領域に保持されている液体放射性物質に、比重が前記液体放射性物質よりも小さい複数の浮遊構造物を投入し、前記液体放射性物質の液面を覆うことを特徴とする放射線遮蔽方法。
  18. 前記浮遊構造物が、球形状構造物であることを特徴とする請求項17記載の放射線遮蔽方法。
  19. 前記浮遊構造物は、金属中空構造であることを特徴とする請求項17又は18記載の放射線遮蔽方法。

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