JP2019132469A - 溶融金属容器の築炉方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内張り耐火物としてドロマイト含有れんがと不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、容器寿命に優れる溶融金属容器が得られる溶融金属容器の築炉方法を提供する。【解決手段】溶融金属容器の内張り耐火物として、ドロマイト含有れんがと、不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、上記溶融金属容器に水分を含む上記不定形耐火物を流し込み施工し、上記流し込み施工された上記不定形耐火物を加熱することにより乾燥し、その後、上記溶融金属容器に上記ドロマイト含有れんがを施工する、溶融金属容器の築炉方法。【選択図】図3

Description

本発明は、内張り耐火物として、ドロマイト含有れんが、および、不定形耐火物を使用する溶融金属容器の築炉方法に関する。
溶融金属容器として、溶鋼の取鍋精錬炉(LF)や、塩基性スラグを用いるVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)などの精錬を行なう取鍋などがある。これらの溶融金属容器には、従来、内張り耐火物として、塩基性耐火物が用いられており、この塩基性耐火物の1種として、ドロマイト含有れんががある。
ところで、溶融金属容器の築炉においては、内張り耐火物の原材料や施工の費用を低減するため、不定形耐火物が流し込み施工されることも多い。上述した塩基性スラグを用いる精錬用の溶融金属容器においても、内張り耐火物の厚さが大きく、かつ、スラグによる浸食の負荷が小さい底部(敷)には、不定形耐火物の流し込み施工が用いられることがある。
ただし、不定形耐火物は一般的に多量の自由水が必要となる。一方、ドロマイト含有れんがは、含有するドロマイトがCaOを含み、これが水と反応して水酸化物を形成する際に2倍程度に体積膨張することにより、れんがが崩壊して消化しやすい特性がある。このため、ドロマイト含有れんがと不定形耐火物とを共存させるには、注意が必要となる。
そこで、特許文献1には、ドロマイト含有れんがと不定形耐火物とが接触する部分付近に非水系グリスを塗り、ドロマイト含有れんがの消化を抑止する方法が開示されている。
特開2009−263691号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ドロマイト含有れんがにおける、不定形耐火物と隣接する部分付近だけに非水系グリスを塗布する。このため、ドロマイト含有れんがにおける非水系グリスの非塗布部分は、不定形耐火物の乾燥中に発生する水蒸気によって、消化するおそれがある。このような消化の発生により、溶融金属容器の容器寿命が短くなる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、内張り耐火物としてドロマイト含有れんがと不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、容器寿命に優れる溶融金属容器が得られる溶融金属容器の築炉方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、ドロマイト含有れんがを施工する前に不定形耐火物を施工し乾燥することにより、乾燥中に発生する水蒸気によるドロマイト含有れんがの消化を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]溶融金属容器の内張り耐火物として、ドロマイト含有れんがと、不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、上記溶融金属容器に水分を含む上記不定形耐火物を流し込み施工し、上記流し込み施工された上記不定形耐火物を加熱することにより乾燥し、その後、上記溶融金属容器に上記ドロマイト含有れんがを施工する、溶融金属容器の築炉方法。
[2]上記不定形耐火物が、アルミナ質原料を骨材として含有する不定形耐火物であり、上記不定形耐火物を底部内張り不定形耐火物として上記溶融金属容器の底部に流し込み施工する前に、上記底部内張り不定形耐火物の施工部分の外周を形成する炉壁側に、上記底部内張り不定形耐火物の上面よりも高い位置まで達するように、塩基性耐火物を底部炉壁側内張り耐火物として施工し、上記底部内張り不定形耐火物を流し込み施工し加熱により乾燥した後、上記ドロマイト含有れんがを、上記底部炉壁側内張り耐火物の上に当接させて、上記溶融金属容器の側壁部に施工し、上記塩基性耐火物における遊離石灰の含有量が、上記塩基性耐火物全体に対して、0.5質量%未満である、上記[1]に記載の溶融金属容器の築炉方法。
[3]上記塩基性耐火物が、マグネシア−カーボンれんがである、上記[2]のいずれかに記載の溶融金属容器の築炉方法。
[4]上記ドロマイト含有れんがの施工を空目地で行なう、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶融金属容器の築炉方法。
本発明によれば、内張り耐火物としてドロマイト含有れんがと不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、容器寿命に優れる溶融金属容器が得られる溶融金属容器の築炉方法を提供することができる。
本発明の溶融金属容器の築炉方法における第1の築炉工程を示す断面図である。 本発明の溶融金属容器の築炉方法における乾燥工程を示す断面図である。 本発明の溶融金属容器の築炉方法における第2の築炉工程を示す断面図である。 不定形耐火物の加熱パターンの一例を示すグラフである。 容器寿命の対比結果を示すグラフである。
<溶融金属容器の築炉方法>
本発明の溶融金属容器の築炉方法(以下、単に「本発明の築炉方法」ともいう)は、溶融金属容器の内張り耐火物として、ドロマイト含有れんがと、不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、上記溶融金属容器に水分を含む上記不定形耐火物を流し込み施工し、上記流し込み施工された上記不定形耐火物を加熱することにより乾燥し、その後、上記溶融金属容器に上記ドロマイト含有れんがを施工する、溶融金属容器の築炉方法である。
以下では、図1〜図3に基づいて、本発明の築炉方法の実施形態を説明する。
以下の実施形態において、溶融金属容器は、VODを行なう取鍋(以下、便宜的に「VOD鍋」という)である。VOD鍋における内張り耐火物の施工方法を参照して、本発明の築炉方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
図1〜図3は、本発明の溶融金属容器の築炉方法を工程順に示す断面図であり、図1は第1の築炉工程を、図2は乾燥工程を、図3は第2の築炉工程を示す。
図1〜図3は、略回転対称であるVOD鍋の中心軸を通る縦断面図の半径方向分を示している。図1〜図3においては、溶融金属の排出用ノズルや、底吹きガスの吹き込み用プラグ等の図示を省略している。
図1〜図3は、VOD鍋の底部に水分を含む不定形耐火物を流し込み施工し、VOD鍋の側壁部のうちの鋼浴部にドロマイト含有れんがを施工する実施形態を図示している。ただし、本発明の築炉方法は、図1〜図3の実施形態に限定されず、不定形耐火物を流し込み施工して乾燥した後にドロマイト含有れんがを施工する他の実施形態も含む。
(第1の築炉工程)
図1に示す第1の築炉工程では、まず、溶融金属容器1に、底部永久不定形耐火物2、底部永久れんが3、および、側壁部永久れんが4を施工する。
なお、使用後の溶融金属容器1を修理して新たに内張り耐火物を施工する場合もある。この場合、使用済みの内張り耐火物を解体、除去することにより、底部永久れんが3および側壁部永久れんが4を露出させた状態とする。そのうえで、永久れんがの損傷があった場合には、必要に応じて部分的に、永久れんがを張り替えるなどして補修する。
その後、図1に示す第1の築炉工程では、溶融金属容器1の底部に底部内張り不定形耐火物6を流し込み施工する前に、底部炉壁側内張り耐火物5を施工する。
より詳細には、底部内張り不定形耐火物6の施工部分の外周を形成する炉壁側に、底部内張り不定形耐火物6の上面(上端)よりも高い位置まで達するように、底部炉壁側内張り耐火物5を施工する。底部炉壁側内張り耐火物5としては、塩基性の定形耐火物および塩基性のプレキャストブロックなどの塩基性耐火物が挙げられる。その後、含水状態で混練した不定形耐火物を、底部内張り不定形耐火物6として流し込み施工する。
(乾燥工程)
次に、図2に示す乾燥工程では、第1の築炉工程(図1参照)において流し込み施工した底部内張り不定形耐火物6を、常法に従って養生して固化させた後、加熱して乾燥させる。
なお、本発明においては、固化させた後の不定形耐火物、ならびに、固化および乾燥させた後の不定形耐火物についても、単に「不定形耐火物」と呼ぶ場合がある。
乾燥方法としては、図2に示すように、例えば、乾燥装置7として、燃料ガスの燃焼バーナーを用いる方法が挙げられる。もっとも、乾燥方法は、これに限定されず、例えば、マイクロ波加熱装置を用いる方法など、従来から知られている耐火物の乾燥方法を用いることができる。
このとき、底部内張り不定形耐火物6中の水分(自由水)を完全に蒸発させるため、不定形耐火物の背面側の底部永久れんが3との境界に設置した熱電対で温度が140℃以上になるまで加熱して乾燥を継続することが好ましい。
流し込み施工した不定形耐火物を加熱して乾燥する際には、急激に加熱し過ぎると爆裂するおそれがある。このため、従来の乾燥時と同様に、図4に示す加熱パターンのように、数十時間を要して徐々に加熱することが好ましい。
その後、作業環境に適した温度まで冷却してから、次に、図3に示す第2の築炉工程に移行する。
(第2の築炉工程)
図3に示す第2の築炉工程では、溶融金属容器1の側壁部の内張り耐火物の少なくとも一部として、ドロマイト含有れんがを施工する。
このとき、上記の冷却および元の温度まで再昇温するために要する時間分だけ、従来の内張り耐火物の施工方法のように乾燥および予熱を一連の加熱パターンで行なう場合に比べて、1日半程度余計に修理期間を要する。
図3に示す例においては、上述した底部炉壁側内張り耐火物5に当接する鋼浴部内張り耐火物8としてドロマイト含有れんがを施工し、上部のスラグライン部内張り耐火物9としてマグネシア−カーボンれんがを施工している。
これらのれんが積みを行なう際の目地(目地材)には、マグネシアやドロマイト等の細骨材をレジン等で混練した非水系モルタルを用いる。または、非水系モルタルを用いないで空目地として、れんが積み施工を行なう。空目地としても目地の損傷や地金差しの状況には大きな変化はなく、れんが積みの作業時間が大幅に短縮されるので、空目地で施工することが好ましい。
塩基性スラグと溶鋼とを底吹きガスによって撹拌する精錬であるVODにおいては、比較的に内張り耐火物が薄い側壁部のスラグに対する耐食性が、容器寿命の観点から重要である。特に、スラグとの接触度合が高いスラグライン部内張り耐火物9には、スラグ中のシリカやアルミナの濃度が変動しても安定して高い耐食性を発揮できるマグネシア−カーボンれんがを使用することが一般的である。
ここで、スラグライン部は、静止浴におけるスラグ層に対応する位置だけでなく、浴の揺動やスラグの巻き込みも含め、側壁部の浸食パターンの実績から判断される、スラグとの接触度合が高い領域を意味する。
側壁部のうちスラグライン部を除いた鋼浴部は、溶鋼への炭素ピックアップを抑制する必要から、比較的に低炭素濃度の内張り耐火物を使用する必要がある。このため、スラグに対する耐食性とともに、耐スポーリング性にも優れた材質が求められる。したがって、鋼浴部内張り耐火物8には、耐火物コストとこれらの特性とのバランスから、ドロマイト含有れんがを使用することが多い。
(予熱および操業)
内張り耐火物(底部炉壁側内張り耐火物5、底部内張り不定形耐火物6、鋼浴部内張り耐火物8、および、スラグライン部内張り耐火物9)を施工し終えた後、燃料ガスの燃焼バーナー等を用いて、高温まで予熱する。
予熱後、溶融金属容器1を用いて操業(例えば、転炉等の製鋼炉で溶製した溶鋼を受鋼し、受鋼した溶鋼に対してVODなどの二次精錬を施し、二次精錬を施した溶鋼を連続鋳造装置などに供給する操業)を繰り返し行なう。
(本発明の効果)
従来の内張り耐火物の施工方法では、不定形耐火物を養生して固化させた後、ドロマイト含有れんがも施工してから全体の乾燥および予熱を行なっていた。
このため、乾燥段階で大量の水蒸気が発生し、発生した水蒸気と比較的低温のドロマイト含有れんがとが反応して、ドロマイト含有れんがの消化(ドロマイト中のCaOの水和膨張による耐火物損傷)が生じていたおそれがある。
従来も、外観では、耐火物の崩壊や欠落など、顕著な消化の特徴は見られなかった。
しかし、後述する[実施例]の結果からすると、ドロマイト中のCaOの水和膨張によって耐火物に亀裂などの構造的な欠陥が生じて、その後の耐火物寿命に影響を及ぼしていたと考えられる。
また、上述した特許文献1に開示された方法においても、ドロマイト含有れんがにおける非水系グリスの非塗布部分は、不定形耐火物の乾燥中に発生する水蒸気によって、消化するおそれがある。
これに対して、本発明の築炉方法によれば、ドロマイト含有れんがを施工する前に不定形耐火物を乾燥するため、不定形耐火物から蒸発する水蒸気によるドロマイト含有れんがの消化を防ぐことができる。こうして、溶融金属容器1の容器寿命の向上が可能となる。
なお、特許文献1に開示された方法のように、ドロマイト含有れんがに非水系グリスを塗布する場合は、塗布厚さが大きくなった箇所において、予熱後に空隙が生じて溶鋼の侵入を招くおそれがある。
しかし、本発明の築炉方法においては、非水系グリスを用いないため、予熱後に空隙が生じるおそれがない。
<内張り耐火物の説明>
以下に、内張り耐火物を更に説明する。
(底部内張り不定形耐火物6)
底部内張り不定形耐火物6としては、水分を含む不定形耐火物であれば特に限定されないが、例えば、アルミナなどのアルミナ質原料を骨材として含有する不定形耐火物(アルミナ質不定形耐火物)が好適に挙げられる。
アルミナ質不定形耐火物は、耐食性や膨張特性を調整する観点から、他の骨材として、マグネシアやアルミナ−マグネシアスピネル(単に「スピネル」ともいう)を含有してもよい。
すなわち、底部内張り不定形耐火物6としては、アルミナ−マグネシア質不定形耐火物、アルミナ−スピネル質不定形耐火物なども使用できる。
(鋼浴部内張り耐火物8:ドロマイト含有れんが)
鋼浴部内張り耐火物8として施工されるドロマイト含有れんがは、骨材として焼成ドロマイトを含有するれんがである。
ドロマイトは、CaとMgとの原子比が1に近い天然の炭酸化物の鉱物である。
焼成ドロマイトは、ドロマイトを高温で焼成してCOを除去し、CaおよびMgの複合酸化物としたものであり、塩基性の耐火物原料としては比較的安価である。
ドロマイト含有れんがは、他の骨材として、マグネシア粉末、マグネシアクリンカなどのマグネシア質原料;グラファイトなどの炭素質原料;等を更に含有していてもよい。
ドロマイト含有れんがは、上述した骨材を、レジン等のバインダを用いて成形したれんがであり、例えば、ドロマイト−カーボンれんが等が挙げられる。
ドロマイト含有れんがの平均組成は、MgO含有量が30〜80質量%、CaO含有量が10〜65質量%、C含有量が1〜10質量%が好適である。
ここで、C含有量は、黒鉛などの炭素質原料の含有量を意味しており、例えば炭酸塩中の炭素の含有量はこれには含まない。C含有量は、スラグの浸潤を防止して耐食性を向上するためには1質量%以上が好ましいが、溶鋼の炭素ピックアップを防止するには10質量%以下が好ましい。
MgO含有量がCaO含有量に対して多い方が耐食性は向上するが、C含有量が低い場合の耐スポーリング性は低下し、耐火物の原料コストは上昇する傾向となる。
上述したMgO含有量およびCaO含有量の範囲であれば、これらの要求特性をバランスよく満たすことができ、目的に応じて両者の比率を調整することができる。
(底部炉壁側内張り耐火物5)
アルミナ質原料を多量に含有する底部内張り不定形耐火物6に直接接触する状態で、鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト含有れんが)を施工する場合を考える。この場合、CaOとアルミナとが相互に拡散してCaO−Al系の低融点の複合酸化物(液相酸化物)が生成し、耐火物の溶損または損傷に悪影響を及ぼすおそれがある。
このとき、ドロマイト含有れんがのCaO含有量が15質量%以下であれば、液相酸化物の生成量は比較的少ないため、操業条件によっては問題にならない場合もある。
しかし、ドロマイト含有れんがのCaO含有量が15質量%よりも多くなると、液相酸化物量の生成量が増大して、耐火物の溶損または損傷に及ぼす悪影響が次第に顕著になる傾向がある。
このような場合、底部内張り不定形耐火物6の施工部分の外周を形成する炉壁側に、底部内張り不定形耐火物6の上面(上端)よりも高い位置まで達するように、底部炉壁側内張り耐火物5を施工する。
そのうえで、鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト含有れんが)は、底部内張り不定形耐火物6に直接は接触させないで、底部炉壁側内張り耐火物5の上に当接させて、鋼浴部内張り耐火物8として施工することが好ましい。これにより、低融点の複合酸化物の生成、および、その生成による耐火物の損傷を抑制できる。
底部炉壁側内張り耐火物5としては、塩基性耐火物が好適に挙げられ、塩基性耐火物の具体例としては、塩基性の定形耐火物、および、塩基性のプレキャストブロックなどが挙げられる。
塩基性の定形耐火物としては、例えば、マグネシア−カーボンれんが、マグネシアれんが、マグネシア−クロミア質れんが等が挙げられ、マグネシア−カーボンれんがが好ましい。
塩基性のプレキャストブロックとしては、例えば、マグネシア−クロミア質不定形耐火物、マグネシア−アルミナ質不定形耐火物、マグネシア−スピネル質不定形耐火物などの不定形耐火物に水を添加して混練した混練物を型に流し込んで成形した後、固化、乾燥させて製造したプレキャストブロックが挙げられる。
底部炉壁側内張り耐火物5として塩基性耐火物を用いることが好ましい理由の1つは、鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト含有れんが)と接触する部分で溶鋼に接する稼働面の温度が上昇しても、耐火物の内部に生成する液相酸化物の比率を低くして、耐火物の損傷を抑制するためである。
VOD鍋である溶融金属容器1の底部や底部近傍の側壁部には、連続鋳造の終了後にスラグ(塩基性のVODスラグ)が滞留したり付着したりすることもある。このため、これらの部位に施工される内張り耐火物も、ある程度、スラグによる浸食にさらされる。
底部内張り不定形耐火物6の厚さが次第に薄くなると、底部炉壁側内張り耐火物5も同様に浸食されて残厚が小さくなり、内張り耐火物の全体としての寿命が短くなる。
この問題を解決するため、底部炉壁側内張り耐火物5を、より耐食性の高い材質とすることが好ましく、底部炉壁側内張り耐火物5を塩基性耐火物とすることにより、塩基性のVODスラグに対する耐食性を高めることがより好ましい。
一方、塩基性耐火物は、常温でも水との反応性が高い場合があるため、注意が必要である。これは、底部内張り不定形耐火物6を流し込み施工する際、先に底部炉壁側内張り耐火物5として施工される塩基性耐火物は、湿潤環境に曝されるからである。
一般的に、塩基性耐火物が含有する骨材のうち、マグネシアクリンカなどのマグネシア質原料は、水との反応性が比較的低いため、施工中の短期間のうちに水和膨張に伴う問題が生じることはあまりない。
しかし、塩基性耐火物が、骨材として、水との反応により膨張する遊離石灰を含むCaO含有骨材(例えば、焼成ドロマイトなど)を含有する場合がある。この場合、塩基性耐火物は、遊離石灰が水と反応して水酸化カルシウムとなる際に、2倍程度に体積膨張する。遊離石灰の耐火物中での含有量が多くなると、吸湿によって耐火物が消化し、大部分が崩壊するような問題を引き起こす場合もある。
そこで、底部炉壁側内張り耐火物5として用いる塩基性耐火物においては、遊離石灰の含有量を、塩基性耐火物全体に対して、0.5質量%未満とすることが好ましい。遊離石灰の含有量が0.5質量%未満であれば、水和膨張後の平均線膨張率は0.2%程度に止まる。
これにより、耐火物表面近くの骨材の膨張によって、耐火物表面が部分的に隆起して破損される程度の問題があったとしても、全体的な耐火物寿命への影響は小さく、消化によって大部分が崩壊するような問題は生じにくい。
ここで、耐火物中に含有されるCaOのうち、アルミナセメントなどの結合材中に含有されるCaO、水酸化カルシウムとして含有されるCaO、ならびに、シリカおよび/またはアルミナとの複合酸化物の形態で含有されるCaOは遊離石灰に該当しないが、焼成ドロマイト中にMgOと共存して含有されるCaOは遊離石灰に該当する。
一般的な遊離石灰の化学分析によって得られる分析値には、シリカおよび/またはアルミナとの複合酸化物の形態で含有されるCaOは含まれないが、水酸化カルシウムとして含有されるCaO、および、焼成ドロマイト中に含有されるCaOは含まれる。
このため、遊離石灰の量を求める際には、別途、熱重量・示差熱分析などによって、水酸化カルシウムが分解する400℃付近での吸熱分解による質量変化から、水酸化カルシウムとして含有されるCaOを定量する。そして、この定量値を、遊離石灰の化学分析の分析値から減じることによって、遊離石灰の量を求める。
塩基性耐火物における水との反応性を低減するためには、レジン等のバインダ(有機系バインダ)を用いて成形した定形耐火物を、キュアリングしないまま施工して、耐火物の吸水率を低減させることも好ましい。
底部炉壁側内張り耐火物5に、炭素質原料を含有させることにより、スラグに対する耐食性を高めることも好ましい。
底部炉壁側内張り耐火物5として用いる塩基性耐火物としては、スラグに対する耐食性や水との反応性の問題の観点から、マグネシア−カーボンれんがが特に好ましい。
マグネシア−カーボンれんがの炭素含有量は、耐食性の観点からは多い方が好ましく、具体的には、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましい。
一方、マグネシア−カーボンれんがからのカーボン溶出による溶融金属の汚染やコストアップの懸念が生じる場合もある。このような観点からは、マグネシア−カーボンれんがの炭素含有量は、少ない方が好ましく、具体的には、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。
同様の理由から、底部炉壁側内張り耐火物5としてマグネシア−カーボンれんがを施工する場合、底部内張り不定形耐火物6の上面からの施工高さは、200mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。
(スラグライン部内張り耐火物9)
スラグライン部内張り耐火物9としては、マグネシア−カーボンれんがが好適に挙げられる。
スラグライン部内張り耐火物9にも、底部炉壁側内張り耐火物5と同様に、スラグに対する耐食性、および、カーボン溶出による溶融金属の汚染の抑制の両方が求められる。このため、スラグライン部内張り耐火物9には、底部炉壁側内張り耐火物5と同様のマグネシア−カーボンれんがを用いることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
まず、溶融金属容器1(溶鋼容量が160トン規模のVOD鍋)の使用済みの内張り耐火物を解体して除去し、底部永久れんが3および側壁部永久れんが4を露出させた状態としてから、図1〜図3に基づいて説明したようにして、内張り耐火物(底部炉壁側内張り耐火物5、底部内張り不定形耐火物6、鋼浴部内張り耐火物8、および、スラグライン部内張り耐火物9)を施工することにより、溶融金属容器1を築炉した。
具体的には、まず、図1に示すように、底部内張り不定形耐火物6の施工部分の外周を形成する炉壁側の全周に、底部内張り不定形耐火物6の上面(上端)よりも約150mm上方の施工高さになるように、底部炉壁側内張り耐火物5としてマグネシア−カーボンれんがを施工した。その後、底部内張り不定形耐火物6として、水を添加して混練したアルミナ−マグネシア質不定形耐火物を、流し込み施工した。
次いで、流し込み施工した底部内張り不定形耐火物6を、常法に従って養生して固化させてから、図2に示すように、乾燥装置7を用いて、加熱して乾燥させた。
乾燥装置7としては、コークス炉ガスを燃料ガス、圧縮空気を助燃ガスとする燃焼バーナーを用いた。
乾燥中の爆裂を防止するため、図4の加熱パターンに示すように、乾燥の開始から終了にかけて徐々に投入熱量を増加させて約40時間の加熱を行なった。このとき、底部内張り不定形耐火物6の背面側の温度が140℃以上になる程度まで加熱した。乾燥の終了後は、築炉作業に適した環境の温度になるまで1日程度放冷した。
次に、図3に示すように、底部炉壁側内張り耐火物5として施工したマグネシア−カーボンれんがの上に当接させて、鋼浴部内張り耐火物8として、ドロマイト含有れんがであるドロマイト−カーボンれんがを施工した。更に、スラグライン部内張り耐火物9としてマグネシア−カーボンれんがを施工した。
このとき、築炉期間を短縮するため、ドロマイト−カーボンれんがおよびマグネシア−カーボンれんがは空目地で施工した。
このようにして、溶融金属容器1を築炉した。実施例1においては、築炉後、燃焼バーナーを用いて内張り耐火物を十分に予熱してから、溶融金属容器1を後述する操業に使用した。
実施例1において使用した耐火物の種類および主な成分の組成を下記表1に示す。主な成分の組成を示しているため、合計で100質量%にならない場合がある。下記表1中のC含有量(単位:質量%)は、黒鉛などの炭素質原料の含有量を表し、有機系結合剤等に含有される炭素の含有量は含まない。
<比較例1>
比較例1では、底部内張り不定形耐火物6の加熱による乾燥を行なわなかった。具体的には、比較例1では、流し込み施工した底部内張り不定形耐火物6を養生して固化させた後に、乾燥装置7を用いた乾燥を行なわずに、鋼浴部内張り耐火物8を施工した。
それ以外は、実施例1と同様にして、内張り耐火物(底部炉壁側内張り耐火物5、底部内張り不定形耐火物6、鋼浴部内張り耐火物8、および、スラグライン部内張り耐火物9)を施工することにより、溶融金属容器1を築炉した。
比較例1においては、築炉後、図4と同様の加熱パターンで底部内張り不定形耐火物6を乾燥した後、続けて、燃焼バーナーを用いて内張り耐火物を十分に予熱してから、溶融金属容器1を後述する操業に使用した。
<対比>
実施例1および比較例1それぞれの築炉方法により築炉した溶融金属容器1を用いて、操業(転炉で脱炭した含クロム溶鋼を受鋼し、受鋼した溶鋼に対して、減圧下で脱炭、成分調整および温度調整などを行なう精錬であるVODを実施し、VODを実施した溶鋼を連続鋳造装置に供給する操業)を繰り返し行なった。
鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト−カーボンれんが(ドロマイト含有れんが))の残厚が、予め定めた所定値よりも小さくなった時点における操業の繰り返し回数を、溶融金属容器1の容器寿命として評価した。結果を図5のグラフに示す。
ただし、スラグライン部内張り耐火物9、底吹きガスの吹込み用プラグ(図示せず)、および、底部内張り不定形耐火物6の損傷部位については、容器寿命の期間中に、1回の中間補修を行なった。なお、底部内張り不定形耐火物6の損傷部位は、底吹きガスの吹込み用プラグの周囲、および、湯当たり部などであった。
図5は、容器寿命の対比結果を示すグラフである。図5のグラフに示すように、実施例1の築炉方法により得られた溶融金属容器1は、比較例1の築炉方法により得られた溶融金属容器1よりも、操業の繰り返し回数が多く、容器寿命に優れていた。
比較例1においては、築炉後に施した乾燥中に底部内張り不定形耐火物6から水蒸気が発生し、発生した水蒸気との反応によって鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト−カーボンれんが)が消化し、この消化の影響によって鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト−カーボンれんが)の損耗速度の増大を招いていたと考えられる。
これに対して、実施例1では、鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト−カーボンれんが)を施工する前に、底部内張り不定形耐火物6を乾燥した。このため、底部内張り不定形耐火物6の乾燥中に発生する水蒸気によって、鋼浴部内張り耐火物8(ドロマイト−カーボンれんが)が消化することが抑止され、その結果、容器寿命に優れたと考えられる。
1:溶融金属容器(VOD鍋)
2:底部永久不定形耐火物
3:底部永久れんが
4:側壁部永久れんが
5:底部炉壁側内張り耐火物
6:底部内張り不定形耐火物
7:乾燥装置(燃焼バーナー)
8:鋼浴部内張り耐火物
9:スラグライン部内張り耐火物

Claims (4)

  1. 溶融金属容器の内張り耐火物として、ドロマイト含有れんがと、不定形耐火物とを併用する溶融金属容器の築炉方法であって、
    前記溶融金属容器に水分を含む前記不定形耐火物を流し込み施工し、前記流し込み施工された前記不定形耐火物を加熱することにより乾燥し、その後、前記溶融金属容器に前記ドロマイト含有れんがを施工する、溶融金属容器の築炉方法。
  2. 前記不定形耐火物が、アルミナ質原料を骨材として含有する不定形耐火物であり、
    前記不定形耐火物を底部内張り不定形耐火物として前記溶融金属容器の底部に流し込み施工する前に、前記底部内張り不定形耐火物の施工部分の外周を形成する炉壁側に、前記底部内張り不定形耐火物の上面よりも高い位置まで達するように、塩基性耐火物を底部炉壁側内張り耐火物として施工し、
    前記底部内張り不定形耐火物を流し込み施工し加熱により乾燥した後、前記ドロマイト含有れんがを、前記底部炉壁側内張り耐火物の上に当接させて、前記溶融金属容器の側壁部に施工し、
    前記塩基性耐火物における遊離石灰の含有量が、前記塩基性耐火物全体に対して、0.5質量%未満である、請求項1に記載の溶融金属容器の築炉方法。
  3. 前記塩基性耐火物が、マグネシア−カーボンれんがである、請求項2に記載の溶融金属容器の築炉方法。
  4. 前記ドロマイト含有れんがの施工を空目地で行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融金属容器の築炉方法。
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