JP2019132131A - 遠心圧縮機用インペラ - Google Patents

遠心圧縮機用インペラ Download PDF

Info

Publication number
JP2019132131A
JP2019132131A JP2018012130A JP2018012130A JP2019132131A JP 2019132131 A JP2019132131 A JP 2019132131A JP 2018012130 A JP2018012130 A JP 2018012130A JP 2018012130 A JP2018012130 A JP 2018012130A JP 2019132131 A JP2019132131 A JP 2019132131A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blade
long
impeller
blades
leading edge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018012130A
Other languages
English (en)
Inventor
英俊 田口
Hidetoshi Taguchi
英俊 田口
雅也 本間
Masaya Honma
雅也 本間
引地 巧
Takumi Hikichi
巧 引地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2018012130A priority Critical patent/JP2019132131A/ja
Publication of JP2019132131A publication Critical patent/JP2019132131A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Abstract

【課題】遠心圧縮機を高効率化させる技術を提供することを目的とする。【解決手段】インデューサ部を有する翼を有する三次元翼車と称される回転部を有する遠心圧縮機であり、翼車の吸入側と吐出側全長に至るコード長を有する長羽根101と、長羽根と比較して翼部の開始位置が下流側に位置している短羽根102とを複数周上に配置するインペラ103を備える。長羽根101のスパン方向翼端部前縁104は、インデューサ部105の長さLcの1.8倍以上となる周長Ldpをもって、他の長羽根の前縁と離間して配置される。【選択図】図1

Description

本開示は、遠心圧縮機用インペラに関する。
従来、気体を圧縮する方式として、遠心圧縮機が知られている。遠心圧縮機は、回転体の回転軸方向から気体を吸入した後、回転体に備えられた翼の作用と気体の流れ方向を回転体の径方向に転向することにより、気体の速度を増加させて気体に運動エネルギーを与える。速度が増加した気体は、回転体の径方向に吐き出された後、減速することによって圧力を上昇させる。
遠心圧縮機において、その圧力比が3.5~4.0以上となる場合、回転体に備えられた翼部の前縁位置で翼と吸入した流体の相対速度が遷音速〜音速となる。このような圧縮機を遷音速圧縮機と称する。遷音速圧縮機では翼の回転により作動流体に運動エネルギーを与える翼車の翼前縁並びに前縁よりも下流の負圧側翼面上にて衝撃波が発生し流れの擾乱を起こすため、衝撃波の影響を緩和する翼形状が提案されている。
例えば、特許文献1では、主に回転体の接線方向速度を増加させることを目的として決定される翼の三次元形状について、形状を構成する為に設計される翼角度と翼子午面形状の内、翼端部の翼角度について前縁から子午面長50%に至るまでの間に緩増加する領域とそれに続く翼角度一定の領域をそなえる翼形状が提案されている。
特開2017−150359号
しかしながら、特許文献1の技術では、羽根と羽根との間における流動状態に攪乱が発生し、羽根の性能を低下されるおそれがある。
本開示は、遠心圧縮機を高効率化させる技術を提供することを目的とする。
本開示は、
上面、前記上面よりも面積が大きい下面、それらの外周を接続することで構成される外周面を有し、前記上面の中心と前記下面の中心を結ぶ回転軸を中心軸として回転するハブと、
前記ハブの外周面上に放射状に配置され、上面側から流体を吸入し下面の径方向に流体を吐出する流路を形成し、前記ハブの上面側端部を前縁、下面側端部を後縁とする、複数の長翼(または長羽根)と、
前記長翼の前縁端よりも下面側に前縁を有し、前記長翼の正圧面に負圧面を向け、前記長翼の負圧面面に正圧面を向けて配置される、複数の短翼(または短羽根)と、を備える、遠心圧縮機用インペラであって、
前記複数の長翼の隣り合う前縁と前縁との間の距離が、長翼の前縁からインデューサ部である翼角度一定区間の距離の1.8倍以上である、
遠心圧縮機用インペラを提供する。
これによって、隣接する長羽根間の干渉を抑制し、特に長羽根の背側における流れ場の擾乱を防止することで長羽根が流体に対して与える仕事量を増大させると共に、長羽根のリーディングエッジ下流に配置される短羽根の性能を向上させることができる。
本開示によれば、短羽根の性能を向上させることにより、遠心圧縮機を高効率化させることができる。
本開示の遠心圧縮機用インペラを平面投影した配置図である。 本開示の遠心圧縮機用インペラの翼角度β分布の例である。 一般的設計手法による翼配置を有する遠心圧縮機内部流れの数値解析結果である。 本開示による翼配置を有する遠心圧縮機内部流れの数値解析結果である。 従来技術による遠心圧縮機用インペラの子午面形状である。 従来技術による羽根の三次元形状である。 従来技術による長羽根の羽根角度β分布である。 従来技術による遠心圧縮機の内部流れの数値解析結果である。
<本発明者らの検討に基づく知見>
特許文献1によれば、前記の翼角度分布を有する翼形により、特に翼端側において翼部の前縁位置で遷音速まで加速され、翼下流へ流れるに従い流速が増速する作動流体に対して、翼角度一定の部分において加速を緩和することで翼の下流側に向けて生起する衝撃波の強度を抑制し、衝撃波より下流の流れが翼面より剥離することなく流動し、結果として圧縮機を構成する要素の内、回転体部分における断熱効率を向上させることができるとしている。
図5は従来技術による遠心圧縮機の子午面形状であり、特許文献1における遠心圧縮機翼車の構造を示すために回転体ならびに翼部を回転軸に沿った子午面に投影したものである。図5に示すように羽根5は、チップ11(シュラウド側エッジ)、ハブ側エッジ12、リーディングエッジ13、およびトレーリングエッジ14から成り、任意の位置において図7に示す分布を取るインペラ1の子午面に対する角度βにより形状が決定される。
インペラ1は前記羽根5を複数枚周上に備えており、羽根5のリーディングエッジ13から回転軸線H方向に流体を吸引し、出口となるトレーディングエッジ14から圧縮された流体を径方向に吐出する構造を有している。
図6は、図5ならびに図7において述べられたインペラ1の三次元形態を示す斜視図である。羽根のチップ11の周方向位置はチップ11上の任意の点Jとチップ11のリーディングエッジ13における点11aとの回転周方向位相角θとの積をとったrθにより表されるとしている。
図7は、羽根角βのインペラ1の子午面長に対する変化を示すものである。特許文献1によればチップ11の羽根角βが一定の領域Aは次元子午面長m/m2によれば0.05以上0.4以内に無次元子午面長にて0.05m/m2以上の長さを持って存在するとしている。図7によれば羽根角β一定領域Aの開始位置は0.2m/m2から0.3m/m2である。これにより、遷音速圧縮機においてチップ11aから羽根角βの変化により曲率が与えられる羽根の表面にて加速された流体を、羽根角β一定領域Aを通過させることにより加速を緩やかにすることで、翼面上に発生する衝撃波の強度を低下させて衝撃波より下流の羽根表面における境界層剥離を抑制し、圧縮機の性能を向上させることが出来るとしている。
しかしながら、特許文献1に示す従来の構成では、単一の羽根に関して衝撃波強度を低下させて境界層剥離を抑制することは可能であるが、衝撃波の発生自体を抑制することは出来ない為、発生した衝撃波ならびに衝撃波により惹起される流れに擾乱が隣接する他の羽根に干渉することは避けることは出来ず、これにより羽根と羽根の間における流動状態に擾乱が発生し、羽根の性能を低下させる原因と成りえる。
例えば、図8は、特許文献1に記載の羽根形状と一般的な従来手法により設計された羽根形状のインペラ内の流動状態を解析によりマッハ数表示したものである。図8aは特許文献1による羽根形状を有するインペラであり、図8bに示す従来手法による羽根形状において記号Pで指示の部分にて発生している長羽根背面からの低速流れが認められず、長羽根背面の流れは羽根中ほどからトレーリングエッジに至るまでの間、速度を維持していることが分かる。
一方、長羽根と隣接する短羽根周りの流れ場は長羽根腹側に位置する短羽根は図8aと図8bの間で大きな相違は認められず、大規模な低速領域が短羽根の背腹両側に分布している。長羽根背側に隣接する短羽根は従来手法によるインペラにおける短羽根と比べて短羽根のリーディングエッジの腹側から低速域が発生して短羽根の略全長を覆っていると共に、背側における高速域も領域を縮小しており、短羽根の背側と腹側で極端な速度差が発生している。圧縮機のインペラにおいて、長短の羽根を有するものは羽根間流路の最小面積を拡大して大流量の流体を吸い込むようにしつつ、羽根の作用により圧力を高じて体積流量が減じられるインペラ下流域においても羽根から流体へ作用する仕事量を確保することを目的としており、短羽根周りの流れを乱れのないものとすることでより圧縮機の性能を向上させることが可能となる。
特許文献1による流れ場状態を示している図8aでは、長羽根のリーディングエッジ、特に腹側から発生する中速域が短羽根のリーディングエッジの上流を超えて隣接する長羽根の背側に到達し隣接長羽根背側の高速域を急減速させていることが分かる。圧縮機インペラの羽根は背側と腹側の圧力差により流体に仕事を行うことを原理としており、この圧力差は背側が腹側に比べて高速の流れとなることで圧力差を発生させているため、背側の流速が低速化すると羽根が行う仕事量が低下し圧縮機としての圧力が低下することになる。加えて急速な減速等が発生すると、減速発生個所から下流の流れに擾乱が発生し発生個所より下流に配置された短羽根に設計意図通りの流れとならない。
本発明者らは、上記の検討結果により、圧縮機としての圧力比ならびに効率が低下するという課題を新たに見いだした。このような新たな知見に基づいて、本発明者らは本開示の遠心圧縮機用インペラを案出した。なお、上記の知見は、本発明者らの検討に基づく知見であり、先行技術として自認するものではない。
本開示は、上記の新たに見いだした課題に対して、隣接する羽根間の干渉による流れの擾乱を解消して羽根の性能を設計意図通りとすることで、圧力比ならびに効率を向上させる手法を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様は、
上面、前記上面よりも面積が大きい下面、それらの外周を接続することで構成される外周面を有し、前記上面の中心と前記下面の中心を結ぶ回転軸を中心軸として回転するハブと、
前記ハブの外周面上に放射状に配置され、上面側から流体を吸入し下面の径方向に流体を吐出する流路を形成し、前記ハブの上面側端部を前縁、下面側端部を後縁とする、複数の長翼(または長羽根)と、
前記長翼の前縁端よりも下面側に前縁を有し、前記長翼の正圧面に負圧面を向け、前記長翼の負圧面面に正圧面を向けて配置される、複数の短翼(または短羽根)と、を備える、遠心圧縮機用インペラであって、
前記複数の長翼の隣り合う前縁と前縁との間の距離が、長翼の前縁からインデューサ部である翼角度一定区間の距離の1.8倍以上である、
遠心圧縮機用インペラを提供する。
第1の態様によれば、長羽根のインデューサ部において加速された流体が、他の長羽根、特に長羽根の負圧面側に位置する他の長羽根の正圧面に干渉することなく長羽根のインデューサ部の全長を使い加速できるため、流体により多くの仕事を与えることが可能となる。加えて、インデューサ部より下流における長羽根の正圧面、負圧面双方において流れの擾乱を抑制できるため、長羽根が設計意図通りに機能し、圧縮過程の断熱効率を向上させることができる。
本開示の第2の態様は、例えば、第1の態様に係る遠心圧縮機用インペラにおいて、前記短翼の前縁が、長翼の子午面投影長で2.5%以上、前記長翼の最大曲率位置よりも上面側に位置している。
第2の態様によれば、短羽根のスパン方向翼端前縁を長羽根の最大曲率位置よりも上流側に設定することにより、長羽根から剥離した流れの衝突を回避でき、短羽根が流体に対して仕事をすることが可能となるため、高速回転,大流量時においても圧力比を向上させることができる。
本開示の第3の態様は、例えば、第1の態様または第2の態様に係る遠心圧縮機用インペラにおいて、前記短翼の前縁の翼角度βbsが、子午面長上で同一かつ同一径寸法位置にある長翼の翼端側翼角度に対し、子午面から計測した場合に1.5deg以上小さい翼角度を有する。
第3の態様によれば、短羽根において流体を再加速することで設計作動点においては図8にあるような短羽根の正圧面、負圧面双方に存在する低速度領域を解消して圧力と効率双方の上昇を図ることが可能となる。また低速回転,小流量のような長羽根にて十分な加速が行えない作動条件においても流体を加速することが可能になり圧力を上昇させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態を示したものであり、圧縮機のスパン方向翼端であるインペラ103の最外周に位置する翼面を平面上に投影した状態を示している。
このうち実施の形態1は複数枚存在する長羽根のスパン方向翼端前縁間の離間距離Ldpを規定するものである。
インペラ103は翼車の吸入側と吐出側全長に至るコード長を有する長羽根101と、長羽根と比較して翼部の開始位置が下流側に位置している短羽根102とを複数枚周上に備え、前記長羽根101はスパン方向翼端前縁104から開始される翼角度βが一定であるインデューサ部105と、前記インデューサ部105の終端部分において翼角度を子午面から計測して浅角度となる方向に転向する最大曲率位置106と、インペラ103の回転方向に正対する羽根の表面である正圧面107と、インペラ103の回転方向とは逆方向に表面を有する負圧面108とを備える。
短羽根102は、長羽根101と同様にスパン方向翼端前縁109とインペラ103の回転方向に正対する羽根の表面である正圧面110と、インペラ103の回転方向とは逆方向に表面を有する負圧面111とを備え、長羽根101の負圧面108に正圧面110を正対させ、長羽根101の正圧面109に負圧面111を正対させるようにして、長羽根101に隣接して配置され、長羽根101のスパン方向翼端部前縁103は他の長羽根の同一部分と前記インデューサ部104の長さLcの1.8倍以上となる周長をもって離間して配置するものである。
以上のように構成された遠心圧縮機について以下その動作、作用を説明する。
インペラ103の周上に複数枚設けられる長羽根101ならびに短羽根102によって構成される流路は、インペラ103の回転軸方向を吸入口とし、吸入口から下流に向かい流路方向を径方向に転向してインペラ103の最大外径が吐出口となるように形成される。インペラ103の吸入口から吐出口に至るまでの流路断面積はインペラ103内を流れる流体のインペラ103の回転軸に平行な子午面方向の分速度が一定となるように決定され、また長羽根101、短羽根102共に各々の翼角度βは流路内を流れる流体の接線方向速度を増加させることが出来る様に設定される。遠心圧縮機の始動はインペラ103を回転させることによりインペラ103周上の長羽根101ならびに短羽根102が各々の前縁において静止している流体に対してインペラ103の回転速度と長羽根101、短羽根102の前縁各部の径方向寸法に応じた周速度をもって流体に対して相対運動を行う。
長羽根101ならびに短羽根102の形状は、インペラ103の回転方向に正対する長羽根101の正圧面107ならびに短羽根102の正圧面110と回転方向とは逆方向に表面を有する長羽根101の負圧面108と短羽根102の負圧面111と羽根全長が異なるように形状が設定されており、各負圧面は各正圧面より長い全長を有している。
これにより各負圧面上の流速は各正圧面よりも流速が速くなり、各負圧面の各部圧力は各負圧面の各部圧力に比べて低い値を有することになる。各負圧面は隣接する翼の正圧面に相対している為、この圧力差の作用により流体がインペラ103の吐出口へ流動し、インペラ103の吸入口においては流体が吸入口側へ移動することにより圧力が減少する。これによりインペラ103は回転を継続することにより流体を連続して回転軸方向から吸入する。吸入される流体の流速C1はインペラ103の吸入口断面積によって決まる。
流体は吸入された後に回転する長羽根101と相対することになる。この際、長羽根101から見た場合には流体が流入してくる方向は流体の吸入された際の流速C1と、長羽根101の周速度u1の合成速度w1であり、この合成速度w1をもって長羽根101と流体が衝突することになる。合成速度w1を有する流体が長羽根1に流入する角度はαw1であり、長翼前縁の翼角度βb1との差をインシデンス角度iと称する。インペラ103の回転軸方向子午面を基準に測定する場合、βb1はαw1よりも小さい値とすることが好適であり、これにより長羽根101は長羽根101の正圧面に当たり、長羽根101の前縁を乗り越えて長羽根101の負圧面108に流入する流れと負圧面に沿う流れとに分割される。
負圧面108に流入する流れは前縁を乗り越える際に負圧面側を沿う流れと比較して長羽根101の前縁部分の径寸法分だけ長い距離を進まねばならないため、流量一定の関係性(流体の流れ場における連続の式)を維持するため、流速が増加する。この作用により特に長羽根101の前縁における負圧面108側においては長羽根101の他の部分と比べ流体をより高速化することが可能となる。長羽根の前縁において最も流体が加速されるのは最も周速が高速となるスパン方向前縁端109の位置であり、さらにそれに続くインデューサ部105において翼角度βを適切に設定することで、流体の加速を継続することができ、さらにインデューサ部105に続く最大曲率点106から下流において加速された流体の流速の子午面方向速度を径方向速度に転換する際に擾乱のない円滑な転換が実現できる。
長羽根101により加速される流体の流速ならびに加速される流路内の範囲は、前記インペラ103の回転速度と比例して大きくなり、圧縮機から吐出される流体の圧力比が3.5~4.0程度で遷音速に到達する。この際、インペラ103上に複数枚配置される長羽根101の相互の離間距離によっては、加速された流体が隣接する長羽根101に到達する場合がある。高圧力比の遠心圧縮機は羽根1枚当たりの流体に対する仕事量、即ち負圧面と正圧面の圧力差が増大する。この圧力差が極端に大きなものになると作動条件によってはインデューサ部105において翼面からの大規模剥離が発生し圧縮機として作動が不能になる可能性が高くなる。このため従来の設計手法としては長羽根の枚数を多くして長羽根一枚当たりの負荷を低減する方法が執られていた。
しかしながら、圧力比をより高くすることを目的として長羽根の形状を高速流に適したものとして流速を遷音速まで高速化すると、従来の設計手法による羽根枚数では加速された流体が隣接する長羽根に衝突する、若しくは隣接する長羽根による圧力場が翼面速度に影響し加速が十分に行われなくなり、圧縮機としての圧力比,効率共に設計意図よりも低くなっていた。
これに対し、本発明では遷音速域まで流体を加速する場合において、長羽根101のスパン方向翼端前縁104において、隣接する長羽根の同一部分が他の長羽根の同一部分とインデューサ部105の長さLcの1.8倍以上となる周長Ldpをもって離間して配置することで、特に長羽根101間における干渉を低減して長羽根101の前縁ならびにインデューサにおける流体の加速を円滑に行い、圧縮機の圧力比,効率を向上させることが出来る。
図3は従来執られてきた翼負荷を低減する設計手法により設計したインペラの内部流動を数値解析したものであり、図4は本発明による翼配置により構成したインペラの内部流動を数値解析したものである。
両図中の等高線は翼面各部からみた流体のマッハ数(相対マッハ数と称する)を示しており、これに拠れば従来設計手法による図3では長羽根前縁において流れが加速されているが、インデューサ部の途中において隣接する翼の干渉により急減速していることが分かる。これに対し図4では長羽根間距離Ldp=1.82Lcとしたことにより急減速は発生せず、インデューサ部において滑らかな流速変化としてインデューサ部105よりも下流における速度分布を適正化出来るため、損失を発生させずに圧縮機の圧力比,断熱効率を向上することが可能となる。
圧縮機がより高い圧力比を発揮することが求められる場合には、長羽根101の前縁における流速はより高速となり羽根間の干渉も強度が増すため、長羽根離間距離Ldpは大きくする必要がある。例えば、前記長羽根101における流体の加速がマッハ数にて1.4以上となる場合には長羽根離間距離Ldpを1.82以上となる2.5程度まで更に大きくすることで長羽根間干渉を抑制し羽根間の流れ場を良好にすることが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態101による前記長羽根1配置を採るインペラ103において、実施の形態2は短羽根102のスパン方向翼端前縁104の位置を規定するものであり、短羽根102のスパン方向翼端前縁109の位置を長羽根101の最大曲率位置106に対して、長羽根をインペラ103の回転軸方向子午面に投影した長さLbの2.5%以上上流側に設定するものであり、圧縮機を設計した際に長羽根101に流入する流体が最適な角度を持って流入する設計作動点より高速回転,大流量の作動条件にて長羽根から発生する後流擾乱が短羽根102のスパン方向翼端前縁109に衝突することを防止できる。
図4において、長羽根101のインデューサ部105,負圧面108側から等高線間隔が非常に狭い領域が発生し、長羽根101の最大曲率点106よりも上流側にて長羽根101の負圧面108を離れ、翼間流路中に流出していることが分かる。これは長羽根101前縁の後流を表しており、等高線間隔からも分かるように後流内は非常に速度が低下しており、後流内に短羽根102が入ることにより短羽根102周囲の流れ場が設計とは異なるものとなるため、流体に対して短羽根102が仕事を作用させることが出来なくなり、圧縮機としての圧力比,効率の著しい低下を招く。
図4では本形態での配置を行うことで短羽根102前縁には長羽根101の後流が衝突せず、短羽根102の正圧面側110に後流が流れていることが分かる。これにより短羽根が低速の後流内に置かれることを防止し短羽根102が流体に対して仕事をすることが可能となり圧縮機の圧力比,効率を向上できる。
本形態は特に長羽根後流の流れる範囲が大きくなる高速回転,大流量時においてはLb対比2.5%よりもさらに上流に短羽根前縁位置を設定することで効果を発揮することができる。
(実施の形態3)
実施の形態1ならびに実施の形態2による長羽根1の配置と短羽根2の配置を採るインペラ103において、実施の形態3は短羽根102のスパン方向前縁109における翼角度βを子午面上同一位置にある長羽根1の翼角度βbmに対し、子午面から計測した場合で、−1.5deg以上小さい翼角度βbsとなるようにしたものである。これにより、短羽根102の上流より長羽根101に沿って流れた流体が短羽根102を正圧面110から負圧面111へ向かい乗り越える迎え角を有することになり、短羽根102において流体を再加速することができる。再加速された流体は長羽根101にて加速された後に更に流速を向上させることができるため、例えば低速回転,小流量のような長羽根101にて十分な加速が行えない作動条件においても流体を加速することが可能になり圧力を上昇させることができると共に、設計作動点においては図8にあるような短羽根102の正圧面110,負圧面111双方に存在する低速度領域を解消することになる。
従来の設計手法においては、子午面長上で同じ位置にある短羽根102と長羽根101は同じ翼角度を有する設計を採っている。然しながらこの設計手法による翼は図3にあるように短羽根102の正圧面110,負圧面111双方に急減速域が存在し短羽根102による流体への仕事を阻害していることが分かる。
これに対し本実施の形態による短羽根102は図2に有る通り短羽根2のスパン方向翼端前縁における翼角度が子午面投影長で同一にある長羽根1の翼角度よりも子午面からの計測で浅い角度を有するものであり、これを有するインペラ103の内部流れ状態である図4では、短羽根102周りの減速が緩やかなものとなっており、短羽根102による流体への仕事量低下を防止している。
また、短羽根102で再加速された流体は長羽根101にて加速された後に更に流速を向上させていることから、例えば低速回転,小流量のような長羽根101にて十分な加速が行えない作動条件においても流体を加速することが可能になり圧力を上昇させることができる。
以上のように、本開示にかかる技術によれば、特に遷音速域の流れ場となる圧力比3.5〜4.0以上の遠心圧縮機について、高圧力比化と高効率化が可能である。
1 インペラ
3 ハブ
5 羽根
11 チップ
11a チップ入口
11b チップ出口
12 ハブ側エッジ
13 リーディングエッジ
14 トレーリングエッジ(出口)
A 羽根角一定領域
J チップ11上の任意の点
H 回転軸線
M 羽5における任意の点
LM 羽高さ平均位置をつないだ曲線
m2 曲線LMの長さ
T1 羽根角一定領域の始点
T2 羽根角一定領域の終点
β 羽根角
101 長羽根(長翼)
102 短羽根(短翼)
103 インペラ
104 長羽根のスパン方向翼端前縁
105 長羽根のインデューサ部
106 最大曲率点
107 長羽根の正圧面
108 長羽根の負圧面
109 短羽根のスパン方向翼端前縁
110 短羽根の正圧面
111 短羽根の負圧面
Ldp 長羽根のスパン方向翼端前縁間の離間距離
Lc 長羽根のインデューサ部105の長さ
Lb 長羽根をインペラ103の回転軸方向子午面に投影した長さ
C1 インペラ103に吸入される流体の流速
u1 長羽根前縁における周速度
w1 C1とu1の合成速度
αw1 合成速度w1の子午面からの角度
βb1 長羽根1のスパン方向翼端前縁の翼角度
βbm 短羽根2と子午面上同一位置にある長羽根1の翼角度
βbs 短羽根2のスパン方向翼端前縁の翼角度

Claims (3)

  1. 上面、前記上面よりも面積が大きい下面、それらの外周を接続することで構成される外周面を有し、前記上面の中心と前記下面の中心を結ぶ回転軸を中心軸として回転するハブと、
    前記ハブの外周面上に放射状に配置され、上面側から流体を吸入し下面の径方向に流体を吐出する流路を形成し、前記ハブの上面側端部を前縁、下面側端部を後縁とする複数の長翼と、
    前記長翼の前縁端よりも下面側に前縁を有し、前記長翼の正圧面に負圧面を向け、前記長翼の負圧面面に正圧面を向けて配置される、複数の短翼と、を備える、遠心圧縮機用インペラであって、
    前記複数の長翼の隣り合う前縁と前縁との間の距離が、長翼の前縁からインデューサ部である翼角度一定区間の距離の1.8倍以上である、遠心圧縮機用インペラ。
  2. 前記短翼の前縁が、長翼の子午面投影長で2.5%以上、前記長翼の最大曲率位置よりも上面側に位置している、請求項1に記載の遠心圧縮機用インペラ。
  3. 前記短翼の前縁の翼角度βbsが、子午面長上で同一かつ同一径寸法位置にある長翼の翼端側翼角度に対し、子午面から計測した場合に1.5deg以上小さい翼角度を有する、請求項1または請求項2に記載の遠心圧縮機用インペラ。
JP2018012130A 2018-01-29 2018-01-29 遠心圧縮機用インペラ Pending JP2019132131A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018012130A JP2019132131A (ja) 2018-01-29 2018-01-29 遠心圧縮機用インペラ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018012130A JP2019132131A (ja) 2018-01-29 2018-01-29 遠心圧縮機用インペラ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019132131A true JP2019132131A (ja) 2019-08-08

Family

ID=67545900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018012130A Pending JP2019132131A (ja) 2018-01-29 2018-01-29 遠心圧縮機用インペラ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019132131A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114087229A (zh) * 2021-11-15 2022-02-25 珠海格力电器股份有限公司 压缩叶轮和空气循环机

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114087229A (zh) * 2021-11-15 2022-02-25 珠海格力电器股份有限公司 压缩叶轮和空气循环机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012053024A1 (ja) 遷音速翼
JP5766595B2 (ja) 遠心ターボ機械
JP2012072735A (ja) 遠心圧縮機
JPWO2014102981A1 (ja) ラジアルタービン動翼
JP2004068770A (ja) 軸流圧縮機
CN104854350A (zh) 压缩机
JP2016070089A (ja) ファン
WO2019172422A1 (ja) ディフューザベーン及び遠心圧縮機
JP4115180B2 (ja) 羽根車および遠心圧縮機
JP2002106494A (ja) 軸流ファン
CN110939603A (zh) 叶片及使用其的轴流叶轮
CN108350901B (zh) 离心压缩机叶轮
JP2019132131A (ja) 遠心圧縮機用インペラ
US11572890B2 (en) Blade and axial flow impeller using same
JP2016065528A (ja) ターボ機械
JP5192060B2 (ja) コンプレッサ
JP4184565B2 (ja) 蒸気タービンノズルおよびその蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン
CN108953222B (zh) 一种离心叶轮
JP2018080653A (ja) 流体機械
KR101181463B1 (ko) 에어 스타터용 터빈
CN112303010A (zh) 高效低噪的离心风扇
JP3927887B2 (ja) 軸流圧縮機の静翼
WO2011065039A1 (ja) 渦巻ポンプ
JP4183612B2 (ja) 軸流ポンプ
CN219299605U (zh) 叶轮及多翼离心风机

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20190123