JP2019131848A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄鉱石および製鉄所内発生ダストの成分濃度が変動したとしても、これらを含む焼結原料を焼結する際の液相率が所定の範囲内にできる焼結鉱の製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも鉄含有原料、CaO含有原料および凝結材を配合した焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料を焼結機で焼結して焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法であって、鉄含有原料、焼結原料および造粒された焼結原料のうちの少なくとも1つの成分濃度を連続測定する測定工程と、測定工程で測定された成分濃度を用いて、焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度を算出する算出工程と、算出工程で算出された温度になるように凝結材の配合量を調整する調整工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、焼結原料の成分濃度を測定し、当該成分濃度を用いて焼結時の焼結原料の液相率を調整する焼結鉱の製造方法に関する。
高炉製鉄法では、現在、鉄源として、焼結鉱や塊鉄鉱石、ペレットなどを高炉原料として主に用いている。ここで、焼結鉱は、粒径が10mm以下の鉄鉱石と製鉄所内で発生する各種ダスト等の雑鉄源に、石灰石や生石灰、製鋼スラグなどのCaO含有原料および粉コークスや無煙炭などの凝結材、任意配合原料として精錬ニッケルスラグ、ドロマイト、蛇紋岩などからなるMgO含有原料を配合した焼結原料をドラムミキサーで水を添加しながら混合・造粒し、焼成した塊成鉱の一種である。
近年、焼結鉱の原料である焼結原料に含まれる鉄鉱石の鉄分濃度が低下し、代わりにSiOやAlといった脈石成分濃度が増加しており、同種の鉄鉱石内においても、輸入時の船ごとに成分濃度が異なる場合もあるほど、産出される鉄鉱石の成分濃度が不安定になっている。また、製鉄所内で発生する各種ダストに関しても、発生量のばらつきやダスト自体の成分の変動が大きく、焼結原料の成分管理が非常に難しい。
焼結原料における成分濃度の変動は、成品である成品焼結鉱の強度の変動につながる。例えば、焼結原料におけるCaO成分は、焼結原料の溶融を促進する効果があるので、同じ温度でもCaOを多く含む組織では液相率が高くなる。一方、Alは、焼結原料の溶融を阻害する効果があるので、同じ温度でもAlを多く含む組織ではその液相率が低くなる。焼結鉱の焼結では、発生した液相がボンドの役割を果たし当該液相によって鉱石同士が結合することで塊成化が進行する。このため、CaOやAlの成分濃度の変動により焼結時の液相率が低くなると塊成化が進行せず、この結果、焼結鉱の強度が低下して焼結鉱の歩留が低下する。一方、焼結時の液相率が高くなり過ぎると装入層の通気性が低下するので焼結鉱の生産性が低下する。
このような問題に対して、焼結原料の品位把握の取り組みは従来から行われている。例えば、特許文献1には、成品焼結鉱のFeO濃度を測定し、成品焼結鉱のFeO濃度を用いて焼結原料の凝結材や造粒水分、排風量を調整する技術が開示されている。特許文献2にも、成品焼結鉱の成品焼結鉱のFeO濃度を測定し、成品焼結鉱のFeO濃度を用いて、焼結機において吹き込む都市ガスの量を調整する技術が開示されている。
また、特許文献3には、焼結機上にレーザー式成分計測機を設置し、当該成分計測機を用いて測定されたパレット内に装入された原料装入層表層の成分濃度を用いて成品焼結鉱の成分濃度を推測し、これを用いて焼結原料の配合量を調整する技術が開示されている。
特開昭57−149433号公報 特開2011−38735号公報 特開昭60−262926号公報
特許文献1および特許文献2に開示された技術は、成品焼結鉱のFeO濃度を調整するために、凝結材量、造粒水分、排風量、気体燃料吹込み量を調整する技術であるが、焼結原料を焼結する際の液相率が所定の範囲内となるように投入熱量を調整することは、何ら開示されていない。
また、特許文献3に開示された技術は、原料装入層表層の成分濃度から成品焼結鉱の成分濃度を推測し、焼結原料の配合量を調整する技術であるが、装入層表層の成分濃度は、焼結機の焼結原料供給装置の構成や焼結原料の水分濃度によって変動する。このため、装入層表層の成分濃度と成品焼結鉱の成分濃度との関係は一様ではなく、装入層表層の成分濃度から成品焼結鉱の成分濃度を推測するのは困難である。
本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、鉄鉱石および製鉄所内発生ダストの成分濃度が変動したとしても、これらを含む焼結原料を焼結する際の液相率が所定の範囲内にできる焼結鉱の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決する本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)少なくとも鉄含有原料、CaO含有原料および凝結材を配合した焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料を焼結機で焼結して焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法であって、前記鉄含有原料、前記焼結原料および前記造粒された焼結原料のうちの少なくとも1つの成分濃度を連続測定する測定工程と、前記測定工程で測定された成分濃度を用いて、前記焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度を算出する算出工程と、前記算出工程で算出された温度になるように前記凝結材の配合量を調整する調整工程と、を有する、焼結鉱の製造方法。
(2)前記焼結原料は、前記焼結機で気体燃料を供給しながら焼結され、前記調整工程では、前記凝結材の配合量とともに前記気体燃料の供給量を調整する、(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)少なくとも鉄含有原料、CaO含有原料および凝結材を配合した焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料を、焼結機で気体燃料を供給しながら焼結して焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法であって、前記鉄含有原料、前記焼結原料および前記造粒された焼結原料のうちの少なくとも1つの成分濃度を連続測定する測定工程と、前記測定工程で測定された成分濃度を用いて、前記焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度を算出する算出工程と、前記算出工程で算出された温度になるように前記気体燃料の供給量を調整する調整工程と、を有する、焼結鉱の製造方法。
(4)前記測定工程では、少なくともCaO、SiOおよびCの成分濃度を測定する、(1)から(3)の何れか1つに記載の焼結鉱の製造方法。
本発明の焼結鉱の製造方法を実施することで、成分濃度の変動が大きい鉄鉱石や、製鉄所内発生ダストを含む焼結原料を用いながら、焼結原料を焼結する際の液相率を60%以上90%以下の範囲内にできる。これにより、装入層の通気性低下を抑制しつつ焼結原料の塊成化を進行させることができ、焼結鉱の生産性の向上が実現できる。
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法が実施できる焼結鉱製造装置10の一例を示す模式図である。 液相率と焼結温度の関係を示すグラフである。
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明する。図1は、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法が実施できる焼結鉱製造装置10の一例を示す模式図である。ヤード11に保管された鉄含有原料12は、搬送コンベア14によって配合槽22に搬送される。鉄含有原料12は、種々の銘柄の鉄鉱石および製鉄所内発生ダストを含む。
原料供給部20は、複数の配合槽22、24、25、26、28を備える。配合槽22には、鉄含有原料12が貯留される。配合槽24には、石灰石や生石灰等を含むCaO含有原料16、配合槽25にはドロマイトや精錬ニッケルスラグ等を含むMgO含有原料17がそれぞれ貯留される。配合槽26には、ロッドミルを用いて粒径1mm以下に破砕された粉コークスや無煙炭を含む凝結材18が貯留される。また、配合槽28には、焼結鉱の篩下となった粒径5mm以下の返鉱(焼結鉱篩下粉)が貯留される。原料供給部20の配合槽22〜28から、各原料が所定量切り出され、これらが配合されて焼結原料となる。焼結原料は、搬送コンベア30によってドラムミキサー36に搬送される。なお、MgO含有原料17は、任意配合原料であって、焼結原料に配合されてもよく、配合されなくてもよい。
原料供給部20とドラムミキサー36の間の搬送コンベア30には、赤外線分析計32が設けられている。赤外線分析計32を用いて、測定工程が実施される。測定工程では、焼結原料に含まれるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定する。ここで、水分とは、焼結原料に付着した付着水分と恒温状態では原料中に包蔵されており加熱によって追い出される固有水分を合わせたものである。また、結晶水とは、焼結原料中にFeOOHとして存在する水であり、トータルFeとは、すべてのFe化合物中のFe濃度を合算したものである。
赤外線分析計32は、0.5〜50.0μmの範囲内の波長の赤外線を焼結原料に照射して、焼結原料からの反射光を受光する。焼結原料に含まれるCaO、SiO、Fe、水および結晶水(FeOOH)のそれぞれの分子振動は、照射された赤外線の固有の波長成分を吸収するので、これらの成分は反射赤外線に固有の波長成分を付与する。また、Cのような単原子分子の結晶構造も赤外線の照射によって振動し始め、反射赤外線に固有の波長成分を付与する。このため、照射赤外線と反射赤外線とを分析することで焼結原料におけるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定できる。
なお、上記例では、測定工程で焼結原料に含まれるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定するとしたが、測定工程でFeの成分濃度を測定せずに全成分濃度からCaO、SiOおよびC等の成分濃度を減じた成分濃度がFeの成分濃度であるとしてもよい。また、焼結原料の水分および結晶水の濃度は、ほとんど変動しないので水分および結晶水の濃度を測定せずに過去の実績値を用いてもよい。このため、測定工程では、少なくともCaO、SiOおよびCの成分濃度を測定すればよい。また、後に説明する焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度の算出にCaO、SiO、Fe、FeOおよびAlの成分濃度を用いる場合には、測定工程で上記に加えて、さらにFeOとAlの成分濃度を測定する。
赤外線分析計32は、例えば、1分間に128回の頻度で20以上の波長の赤外線を照射して、焼結原料に反射された反射光を受光する。このように短時間に赤外線を照射できるので、赤外線分析計32は、搬送コンベア30上を搬送される焼結原料の成分濃度をオンラインで連続測定できる。なお、赤外線分析計32は、焼結原料の成分濃度を測定する分析装置の一例であり、反射光を分光する方式の装置に限らず、透過光を分光する方式の装置を用いてもよい。さらに、赤外線分析計32に代えて、レーザーを測定対象に照射するレーザー分析計、中性子を測定対象に照射する中性子分析計、または、マイクロ波を測定対象に照射するマイクロ波分析計を用いてもよい。
ドラムミキサー36に搬送された焼結原料は、ドラムミキサー36に投入され、適量の水34が添加されて、例えば、平均粒径3.0〜6.0mmの擬似粒子に造粒される。造粒された焼結原料は、搬送コンベア38によって焼結機40の焼結原料供給装置42に搬送される。なお、ドラムミキサー36は、焼結原料を造粒する造粒装置の一例であり、ドラムミキサー36は複数あってもよく、ドラムミキサー36に代えて、ペレタイザー造粒機を用いてもよい。また、ドラムミキサー36とぺレタイザー造粒機の両方を用いてもよく、ドラムミキサー36の上流に高速撹拌機を設置して、焼結原料を撹拌してもよい。なお、本実施形態において、平均粒径は算術平均粒径であって、Σ(Vi×di)(但し、Viはi番目の粒度範囲の中にある粒子の存在比率であり、diはi番目の粒度範囲の代表粒径である。)で定義される粒径である。
焼結機40は、例えば、下方吸引式のドワイトロイド焼結機である。焼結機40は、焼結原料供給装置42と、無端移動式のパレット台車44と、点火炉46と、気体燃料噴射装置47と、ウインドボックス48とを有する。焼結原料供給装置42から焼結原料がパレット台車44に装入され、焼結原料の装入層が形成される。装入層は点火炉46で点火される。ウインドボックス48を通じて空気を吸引することで、上方に設けられた気体燃料噴射装置47から供給される気体燃料を装入層に取り込み、装入層内で気体燃料と凝結材18とを燃焼させつつ装入層内の燃焼・溶融帯を装入層の下方へ移動させる。これにより、装入層は焼結されて焼結ケーキが形成される。本実施形態において気体燃料は、高炉ガス、コークス炉ガス、高炉・コークス炉混合ガス、転炉ガス、都市ガス、天然ガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、シェールガスおよびそれらの混合ガスのうちから選ばれるいずれかの可燃性ガスである。
焼結ケーキは、破砕機50によって破砕され焼結鉱にされる。破砕機50で破砕された焼結鉱は、冷却機60によって冷却される。冷却機60によって冷却された焼結鉱は、複数の篩を有する篩分け装置70によって篩分けされ、粒径5mm超の成品焼結鉱72と、粒径5mm以下の返鉱74とに篩分けされる。成品焼結鉱72は、搬送コンベア76によって高炉80に搬送され、高炉原料として高炉に装入される。一方、返鉱74は、搬送コンベア78によって原料供給部20の配合槽28に搬送される。なお、成品焼結鉱72は、破砕機50によって破砕された焼結鉱が冷却され、篩分けされたものであるので、成品焼結鉱72と破砕機50によって破砕された焼結鉱とは同じ成分濃度の焼結鉱である。また、本実施形態において、成品焼結鉱72の粒径および返鉱74の粒径は、篩によって篩分けられる粒径を意味し、例えば、粒径5mm超とは、目開き5mmの篩を用いて篩上に篩分けされる粒径であり、粒径5mm以下とは、目開き5mmの篩を用いて篩下に篩分けされる粒径である。さらに、成品焼結鉱72および返鉱74の粒径の各値は、あくまで一例であり、この値に限定するものではない。
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法では、測定工程で測定された焼結原料の成分濃度を用いて、算出工程が実施される。算出工程では、CaO、SiOおよびFeの各成分濃度と、3成分系の状態図とを用いて、焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる焼結温度を算出する。焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる焼結温度は、例えば、熱力学平衡計算ソフトウェア「FactSageTM」およびその熱力学データベースを用いて算出できる。なお、焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる焼結温度の算出は、CaO、SiOおよびFeに加え、FeO、Alの成分濃度を用いて行ってもよい。但し、FeOおよびAlは、液相率温度への影響が小さいので、これらの成分濃度を除いたCaO、SiOおよびFeの成分濃度を用いて、液相率が60%以上90%以下となる焼結温度を算出してよい。
算出工程で算出された焼結温度を用いて調整工程が実施される。調整工程では、焼結原料の焼結温度が算出工程で算出された温度になるように、凝結材18の配合量および気体燃料の供給量の少なくとも1つが調整される。
例えば、凝結材18の配合量を調整する場合には、まず、算出工程で算出された温度に焼結原料を昇温できるアウトプット熱量を算出する。アウトプット熱量は、算出工程で算出された温度に昇温する焼結原料の顕熱および溶解熱、水分(測定工程で測定された水分および造粒時に添加された造粒水分を含む)の蒸発熱および結晶水の分解熱等を合算して算出できる。これに対し、インプット熱量は、既に焼結原料に含まれるCの燃焼によって得られる燃焼熱と、調整工程で配合される凝結材の燃焼熱を合算した熱量になる。このため、調整工程では、アウトプット熱量から既に焼結原料に含まれるCの燃焼によって得られる燃焼熱量を減じ、当該値が正の数になる場合は、熱量が不足しているので、燃焼熱が不足分の熱量となる量の凝結材18を焼結原料にさらに配合する。一方、当該値が負の数になる場合は、熱量が過剰なので、燃焼熱が過剰分の熱量となる量の凝結材18を配合量から減らす。このようにして、焼結原料の焼結温度が算出工程で算出された温度になるように、凝結材18の配合量を調整する。
また、凝結材18の配合量の調整に代えて、または、凝結材18の配合量の調整とともに、気体燃料の供給量を調整してもよい。気体燃料の供給量の調整についても同様に、熱量が不足している場合には気体燃料の供給量を増やし、熱量が過剰な場合には気体燃料の供給量を減らす。このようにして、焼結原料の焼結温度が算出工程で算出された温度になるように、気体燃料の供給量を調整する。
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法では、焼結原料の成分濃度を連続測定する測定工程と、当該成分濃度を用いて焼結機で焼結される焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる焼結温度を算出する算出工程と、算出工程で算出された焼結温度になるように、凝結材18の配合量および気体燃料の供給量のうち少なくとも1つを調整する調整工程を有する。これにより、仮に、鉄含有原料12に含まれるダストのC濃度が変動し、鉄含有原料12のC濃度が変動したとしても、測定工程で当該成分濃度の変動を把握して凝結材18の配合量および/または気体燃料の供給量が調整され、焼結原料を焼結する際の液相率を60%以上90%以下の範囲内にできる。これにより、装入層の通気性低下を抑制しつつ焼結原料の塊成化を進行させることができ、焼結鉱の生産性の向上が実現できる。
一方、焼結原料の液相率が60%未満となると、焼結原料の塊成化が進行せず、製造される焼結鉱の強度が低下し、焼結鉱の歩留が低下する。また、焼結原料の液相率が90%を超えると、装入層の通気性が低下し、焼結鉱の生産性が低下する。
なお、本実施形態において、赤外線分析計32を搬送コンベア30に設けて、焼結原料の成分濃度を測定する例を示したが、これに限られない。赤外線分析計32を搬送コンベア14に設けて、配合槽22に搬送される鉄含有原料12に含まれるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定してもよく、赤外線分析計32を配合槽22と配合槽24との間の搬送コンベア30に設けて、鉄含有原料12に含まれるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定してもよい。焼結原料の成分濃度が変動する要因は、ヤード11に保管されている鉄含有原料12に含まれる種々の銘柄の鉄鉱石および製鉄所内発生ダストの成分濃度の変動による影響が大きい。このため、CaO含有原料16、MgO含有原料17、凝結材18および返鉱74の成分濃度を予め測定しておき、搬送コンベア14に赤外線分析計32を設け、鉄含有原料12の成分濃度を測定し、当該測定値を用いて焼結時の液相率が60%以上90%以下となる温度になるように、凝結材18の配合量を含む他の原料の配合量および/または気体燃料の供給量を制御してもよい。
また、本実施形態において、赤外線分析計32を搬送コンベア30に設けて、焼結原料の成分濃度を測定する例を示したがこれに限られない。赤外線分析計32を搬送コンベア38に設けて、焼結機40に搬送される造粒された焼結原料に含まれるCaO、SiO、Fe、C、水分および結晶水の成分濃度を測定してもよい。造粒された焼結原料は、焼結機40で焼結される直前の焼結原料なので、造粒された焼結原料の成分濃度を測定することでより正確な焼結原料の成分濃度が測定できる。
また、図1では、気体燃料噴射装置47を有する焼結機40を用いた例を示したが、焼結機40は気体燃料噴射装置47を有しなくてもよい。焼結機40が気体燃料噴射装置47を有さない場合、調整工程では凝結材18の配合量の調整を行う。
さらに、測定工程における赤外線分析計32を1つに限らず複数設けてよく、搬送コンベア14、配合槽22と配合槽24との間の搬送コンベア30、配合槽28とドラムミキサー36の間の搬送コンベア30および搬送コンベア38に2つ以上の赤外線分析計を設けてもよい。複数の赤外線分析計を用いて、焼結原料、鉄含有原料12および造粒された焼結原料の2以上の成分濃度を測定し、当該測定値を用いて、焼結時の液相率が60%以上90%以下となる温度になるように、凝結材18の配合量および/または気体燃料の供給量を制御してもよい。
また、本実施形態では、原料供給部20の配合槽22〜28から各原料を切り出し、搬送コンベア30で焼結原料とする例を示したが、これに限られない。各原料を配合槽22〜28から所定量切り出した後、別々にドラムミキサー36に搬送し、ドラムミキサー36内で配合・混合されて焼結原料にしてもよい。この場合においては、赤外線分析計32を用いて鉄含有原料12の成分濃度または造粒された焼結原料の成分濃度を測定し、当該測定値を用いて焼結時の液相率が60%以上90%以下となる温度になるように、凝結材18の配合量および/または気体燃料の供給量を制御する。
また、本実施形態において、原料供給部20の配合槽22〜28から各原料を切り出し、搬送コンベア30で焼結原料とし、ドラムミキサー36で造粒された焼結原料にする例を示したが、これに限られない。例えば、鉄含有原料12、CaO含有原料16および返鉱74を配合した焼結原料をドラムミキサー36に投入し、焼結原料に水を添加して造粒し、造粒時後半に凝結材18を投入することで、表層に凝結材18を存在させた炭材外装粒子を、造粒された焼結原料として用いてもよい。
また、鉄含有原料12、CaO含有原料16、返鉱74および凝結材18の一部を配合した焼結原料をドラムミキサー36に投入し、当該焼結原料に水を添加して造粒し、造粒時後半に凝結材18の残部を投入することで、造粒した焼結原料の表層に凝結材18を存在させた炭材外装粒子を、造粒された焼結原料として用いてもよい。なお、凝結原料に水を添加して造粒時後半に配合する凝結材としては、粉コークスや無煙炭が使用される。
また、ドラムミキサー36を複数設けた場合であって、表層に凝結材18を存在させた炭材外装粒子を用いる場合においては、一部または全部の凝結材18を最後のドラムミキサー36の後半に投入し、焼結原料を上述した方法でドラムミキサー36に投入することで表層に凝結材18を存在させた炭材外装粒子を造粒してもよい。さらに、ドラムミキサー36を複数設けた場合に焼結原料に添加する水は、1台目のドラムミキサー36で全ての水を添加してもよく、1台目のドラムミキサー36で一部の水を添加し、残部を他のドラムミキサー36で添加してもよい。
また、本実施形態において、原料供給部20の配合槽22〜28から各原料を切り出し、搬送コンベア30で焼結原料とし、ドラムミキサー36で造粒された焼結原料にする例を示したが、これに限られない。例えば、鉄含有原料12および返鉱74を配合した焼結原料をドラムミキサー36に投入し、焼結原料に水を添加して造粒し、造粒時後半にCaO含有原料16またはCaO含有原料16と凝結材18を投入することで、表層にCaO含有原料16またはCaO含有原料16と凝結材18を存在させた造粒粒子を、造粒された焼結原料として用いてもよい。
さらに、鉄含有原料12、返鉱74と、CaO含有原料16の一部またはCaO含有原料16の一部と凝結材18の一部を配合した焼結原料をドラムミキサー36に投入し、焼結原料に水を添加して造粒し、造粒時後半にCaO含有原料16の残部および凝結材18の残部を配合することで、造粒した焼結原料の表層にCaO含有原料16および凝結材18を存在させた造粒粒子を、造粒された焼結原料として用いてもよい。
また、ドラムミキサー36を複数設けた場合であって、表層にCaO含有原料16またはCaO含有原料16と凝結材18を存在させた造粒粒子を造粒する場合においては、一部または全部のCaO含有原料16および凝結材18を最後のドラムミキサー36の後半に投入し、焼結原料を上述した方法でドラムミキサー36に投入することで表層にCaO含有原料16および凝結材18を存在させた造粒粒子を造粒してもよい。なお、表層に凝結材18やCaO含有原料16が存在する造粒された焼結原料を赤外線分析計32で測定しても、表層成分が成分濃度の測定に影響を与え、焼結原料の成分濃度が正確に測定できない可能性がある。このため、表層に凝結材18やCaO含有原料16を存在させた造粒粒子を造粒する場合には、鉄含有原料12および/または焼結原料の成分濃度を測定することが好ましい。
また、本実施形態において、原料供給部20の配合槽22〜28から各原料を切り出し、搬送コンベア30で焼結原料とする例を示したが、これに限られない。例えば、原料供給部20の配合槽22〜28から切り出される各原料の一部を搬送コンベア30でドラムミキサー36に直接搬送し、残部を搬送コンベア30とは異なる搬送コンベアで高速撹拌装置に搬送して撹拌処理した後、ドラムミキサーまたはペレタイザー等の造粒機で造粒され、必要であれば乾燥機で乾燥された後に、搬送コンベア30または搬送コンベア38に投入しても良い。また、撹拌処理された後にドラムミキサーまたはペレタイザー等の造粒機で造粒されることなく搬送コンベア30に直接投入されてもよい。さらに、当該高速撹拌装置で撹拌処理される前に破砕工程および/または篩工程を設けてもよい。なお、ドラムミキサー36が複数存在する場合は、どのドラムミキサー間の搬送コンベアに投入してもよい。
(実施例1)
次に、実施例として、実際に焼結工場で使用されている焼結原料を採取し、300mmφ×400mmの鉄鍋を用いて行った鍋試験を実施例1として、その結果を説明する。まず、採取した焼結原料について、CaO、SiO、Fe、FeOおよびAlの成分濃度の測定を行った。その後、熱力学平衡ソフトウェア「FactSageTM」を用い、その成分系における焼結温度と液相率の関係を求めた。
図2は、液相率と焼結温度の関係を示すグラフである。図2は、CaOを10.4質量%、SiOを5.20質量%、Feを75.15質量%、FeOを7.5質量%、Alを1.75質量%含む焼結原料の液相率と焼結温度との関係を示す。このグラフを用いて、各液相率における焼結温度を求め、当該焼結温度にできる凝結材を配合して焼結原料を調整した。例えば、液相率70%を目標にした鍋試験を実施する場合、図2から読み取れる液相率70%の焼結温度は1357℃であるので、焼結温度を1357℃にできる量の凝結材を焼結原料に配合する。
焼結温度を1357℃にできる凝結材の配合量は、凝結材としての粉コークスの発熱量を28.7MJ/kgとし、この値で必要となる熱量を除することで算出できる。必要となる熱量は、焼結原料に含まれる石灰石、造粒水分、結晶水の値からそれぞれの分解熱量や蒸発熱量を計算し、これに焼結原料の温度を1357℃まで上昇させるのに必要な熱量を加えることで算出できる。当該熱量の算出には、石灰石の分解熱(1.79MJ/kg)、造粒水分の蒸発熱(2.46MJ/kg)、結晶水の分解熱(2.18MJ/kg)を用い、また、原料のほとんどがヘマタイトであるとして、ヘマタイトの比熱(1kJ/kg)を代表値として用いた。このようにして、比較例1、2および発明例1〜4の凝結材の配合量を定めた。比較例1、2および発明例1〜4の焼結原料の組成を表1に示す。なお、比較例1、2および発明例1〜4ともに焼結原料の造粒時に全焼結原料の質量に対して7.6質量%の造粒水分を添加した。
表1の鉄含有原料の成分濃度は、結晶水および内装Cを含む成分濃度の値を示しており、図2の説明に記載した成分濃度は、結晶水および内装Cを含まない成分濃度を示している。比較例1は、液相率が50%になるように配合量が調整された焼結原料を用いて鍋試験を実施した試験例である。発明例1〜4は、それぞれ液相率が60%、70%、80%、90%になるように配合量が調整された焼結原料を用いて鍋試験を実施した試験例である。比較例2は、液相率が100%になるように配合量が調整された焼結原料を用いて鍋試験を実施した試験例である。鍋試験では、吸引差圧を7kPaとして焼結した。鍋試験の結果を表2に示す。
表2に示すように、想定液相率を60%以上90%以下の範囲内とした発明例1〜4の焼結鉱の生産率は、想定液相率が60%未満および90%超とした比較例1および比較例2よりも高くなった。焼結鉱の生産率(t/(m×h))は、鉄鍋で焼結されたシンターケーキ(焼結物)を2mの高さから1回落とし、粒径が10mm以上のものを成品とし、それぞれのサンプルで成品質量(t)を測定し、当該成品質量(t)を焼結時間(h)および鉄鍋の断面積(m)で除して算出した。また、タンブラー強度は、JIS M 8712に準拠して測定した。
想定液相率が50%の比較例1は、焼結時平均風量が増え、通気性が向上しているものの、シンターケーキの強度が低下して焼結鉱の歩留が大きく低下し、この結果、焼結鉱の生産率は著しく低下した。これは、焼結時の熱不足により焼結原料の塊成化が進行しなかったことが原因であると考えられる。一方、想定液相率が100%の比較例2は、シンターケーキの強度は高くなっているものの、焼結時平均風量が減少して焼結鉱の生産率が低下した。この結果から、液相率を高めると装入層の通気性が大きく低下し、これにより、焼結鉱の生産性が低下することがわかる。焼結時の液相率を高め過ぎると過剰に融液が生成し装入層の通気性が低下する一方で、液相が過剰に生成しても焼結鉱の強度がそれほど向上しなかったことが原因であると考えられる。これらの結果から、焼結原料を焼結する際の液相率が60%以上90%以下の範囲内にすることで、装入層の通気性の低下を抑制しつつ焼結原料の塊成化を進行させることができ、これにより、焼結鉱の生産性の向上が実現できることがわかる。
(実施例2)
次に、目標とする焼結時の液相率を70%とし、図1に示した焼結鉱製造装置10を用いて、焼結鉱の製造を1週間行った結果について説明する。発明例5では、搬送コンベア30上の焼結原料の成分濃度を、赤外線分析計32を用いてオンラインで連続測定し、当該測定結果を用いて凝結材の調整を5分間に1回実施した。比較例3では、赤外線分析計32では成分濃度を測定せずに、搬送コンベア30上の焼結原料を抜き取って成分濃度を測定し、当該測定結果を用いて凝結材の調整を8時間に1回実施した。発明例5および比較例3で製造された焼結鉱のタンブラー強度と、1週間の焼結鉱の生産率を表3に示す。なお、表3におけるタンブラー強度は、1週間で製造された焼結鉱のタンブラー強度の平均値である。
表3に示すように、発明例5の焼結鉱の強度および生産率は、比較例3よりも高くなった。実施例1で示したように、焼結時の液相率が60%を下回ると、焼結時に液相が不足して焼結鉱の強度が低下する。一方、焼結時の液相率が90%を超えると、焼結時に液相が多くなって装入層の通気性が低下して生産率が低下する。比較例3では、成分濃度の測定と凝結材の調整が8時間に1回であるので、焼結原料の成分濃度の変動に追従できず、この結果、焼結時の液相率が大きく変動し、これにより、発明例5よりも焼結鉱の強度が低下し、焼結鉱の生産性が低下したと考えられる。
10 焼結鉱製造装置
11 ヤード
12 鉄含有原料
14 搬送コンベア
16 CaO含有原料
17 MgO含有原料
18 凝結材
20 原料供給部
22 配合槽
24 配合槽
25 配合槽
26 配合槽
28 配合槽
30 搬送コンベア
32 赤外線分析計
34 水
36 ドラムミキサー
38 搬送コンベア
40 焼結機
42 焼結原料供給装置
44 パレット台車
46 点火炉
47 気体燃料噴射装置
48 ウインドボックス
50 破砕機
60 冷却機
70 篩分け装置
72 成品焼結鉱
74 返鉱
76 搬送コンベア
78 搬送コンベア
80 高炉

Claims (4)

  1. 少なくとも鉄含有原料、CaO含有原料および凝結材を配合した焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料を焼結機で焼結して焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法であって、
    前記鉄含有原料、前記焼結原料および前記造粒された焼結原料のうちの少なくとも1つの成分濃度を連続測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された成分濃度を用いて、前記焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度を算出する算出工程と、
    前記算出工程で算出された温度になるように前記凝結材の配合量を調整する調整工程と、
    を有する、焼結鉱の製造方法。
  2. 前記焼結原料は、前記焼結機で気体燃料を供給しながら焼結され、
    前記調整工程では、前記凝結材の配合量とともに前記気体燃料の供給量を調整する、請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 少なくとも鉄含有原料、CaO含有原料および凝結材を配合した焼結原料を造粒し、造粒された焼結原料を、焼結機で気体燃料を供給しながら焼結して焼結鉱を製造する焼結鉱の製造方法であって、
    前記鉄含有原料、前記焼結原料および前記造粒された焼結原料のうちの少なくとも1つの成分濃度を連続測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された成分濃度を用いて、前記焼結原料の液相率が60%以上90%以下となる温度を算出する算出工程と、
    前記算出工程で算出された温度になるように前記気体燃料の供給量を調整する調整工程と、
    を有する、焼結鉱の製造方法。
  4. 前記測定工程では、少なくともCaO、SiOおよびCの成分濃度を測定する、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
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