JP2019129707A - ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイド - Google Patents

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秀樹 木澤
光元 張
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光元 張
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Abstract

【課題】ヒト肝臓型スフェロイドの提供。【解決手段】ヒト肝細胞と、ヒト肝細胞以外のヒト由来細胞とを混合し凝集させたヒト肝臓型スフェロイド。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒト由来細胞を含むことを特徴とするヘテロスフェロイド、及び当該スフェロイドを積層してなる肝臓様構造体に関する。
製薬企業では、多額の費用と時間を要する臨床試験において、毒性や代謝物の試験の対象となる創薬候補化合物を絞り込むためのin vitroヒト肝臓モデルのニーズが高い。そして、臨床試験での毒性を予測可能なヒト肝臓モデルは、創薬研究を効率化、加速化するツールとして期待されている。
現在、既存のin vitroヒト肝臓モデルの中で機能的に優れた方法の一つとして、肝細胞をマウス線維芽細胞と共培養して高機能化する方法が知られている [非特許文献1:Khetani S.R. et al., Nat. Biotechnol. 26:120-126 (2008)、非特許文献2:Ohkura T. et al., Drug Metab. Pharmacokinet. 29:373-378 (2014)]。
しかしながら、これらの方法は、ヒト肝細胞をマウス線維芽細胞と共培養するという細胞系であり、ヒト肝細胞以外にマウス由来細胞を含む。このため、薬物の毒性試験や代謝物の評価において、マウス特有の代謝系の影響を考慮する必要があった。この際、対照としてマウス由来細胞のみをネガティブコントロールに用いる方法が採用されているが、共培養がもたらすマウス細胞への影響が考慮されていないため、厳密には正確なネガティブコントロールと言い難く、得られた薬物評価結果へのマウス細胞の影響を完全には排除できなかった。
Khetani S.R. et al., Nat. Biotechnol. 26:120-126 (2008). Ohkura T. et al., Drug Metab. Pharmacokinet. 29:373-378 (2014).
本発明は、ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイド、及び当該ヘテロスフェロイドが積層された肝臓様構造体、並びに当該構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ヒト肝細胞をヒト腱細胞などのヒト由来細胞と共培養するだけで、マウス由来線維芽細胞を用いずに高機能なヒト肝臓モデルを作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ヒト肝細胞と、ヒト肝細胞以外のヒト由来細胞とを凝集させたヒト肝臓型ヘテロスフェロイドであって、ヒト肝細胞以外のヒト由来細胞が、ヒト肝星細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト大動脈外膜線維芽細胞、ヒト歯周靱帯線維芽細胞、ヒト腸筋線維芽細胞、ヒト腱細胞、ヒトアストロサイト、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト滑膜間質細胞、ヒト脳毛細血管周皮細胞、ヒト腎メサンギウム細胞、ヒト心臓線維芽細胞、ヒト大動脈血管平滑筋細胞。ヒト骨芽細胞、正常ヒト骨格筋細胞、ヒト歯髄幹細胞、ヒト髄核細胞、ヒト線維輪細胞、ヒト靱帯細胞、ヒト軟骨細胞、ヒト胆管上皮細胞、ヒト類洞内皮細胞及びヒト臍帯静脈血管内皮細胞からなる群から選択されるいずれかの細胞である前記スフェロイド。
(2)(1)に記載のスフェロイドが積層された、ヒト肝臓様立体構造体。
(3)(1)に記載のスフェロイドを積層することを特徴とする、ヒト肝臓様立体構造体の製造方法。
(4)スフェロイドの積層は、スフェロイドを針状体に突き刺すことにより行われるものである(3)に記載の方法。
(5)(2)に記載の立体構造体を含む、ヒト肝臓モデル。
本発明により、ヒト腱細胞などのヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイド、及び当該ヘテロスフェロイドが積層された肝臓様構造体が提供される。また、本発明により前記ヘテロスフェロイドを積層することを特徴とする肝臓様構造体の製造方法が提供される。本発明によれば、ヒト肝細胞とマウス線維芽細胞を用いた共培養系で懸念されていたマウス特有の代謝系の影響を考慮することなく、ヒト特異的な毒性や代謝物の評価を正確かつ簡便に実施可能なヒト肝臓モデルを提供することが出来る。
Hepと各種細胞との共培養スフェロイドにおけるCYP3A4遺伝子発現の比較を示す図である。 ヒト肝細胞と各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドにおけるCYP3A4遺伝子発現におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとNHOSTとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとTENとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとHBMPCとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとIHBECとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとSECとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとHUVECとの共培養によるスフェロイド形成におよぼす細胞混合比率の影響を示す図である。 HepとNIH30との共培養、及びHepのみの培養によるスフェロイド形成を示す図である。 レジェノバを用いて作製したHepとヒト由来細胞を含む5種類の肝臓様構造体を示す図である。 Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体におけるCYP3A4およびGAPDH遺伝子発現量の比較を示す図である(Day 30, IHBECのみn=4、他はn=2)。 Hepとヒト由来細胞を含む肝臓構造体におけるPhase I薬物代謝関連遺伝子発現量の比較を示す図である。 Hepとヒト由来細胞を含む肝臓構造体におけるPhase II薬物代謝関連遺伝子発現量の比較を示す図である。 Hepとヒト由来細胞を含む肝臓構造体におけるPhase III薬物代謝関連遺伝子発現量の比較を示す図である。 Hepとヒト由来細胞を含む肝臓構造体における転写因子、核内受容体、細胞外基質および肝臓特異的遺伝子の発現量の比較を示す図である。
本発明は、肝細胞とヒト由来細胞とを含むヘテロスフェロイドに関する。また本発明は、当該ヘテロスフェロイドが積層された肝臓様構造体に関する。本発明のヘテロスフェロイドに含まれる細胞はヒト由来肝細胞及び肝細胞以外のヒト由来細胞であり、マウス由来の細胞が含まれない。本発明においては、ヒト肝細胞と、ヒト腱細胞などのヒト由来細胞とを共培養するだけでよく、これにより、高い肝機能を獲得したヒト肝臓モデルを作製することができる。
1.培養条件
(1)細胞及び混合比
本発明においては、ヒト由来肝細胞(第一の細胞)と、当該肝細胞以外のヒト由来細胞(第二の細胞)とを共培養することにより、当該肝細胞とヒト由来細胞とが混合したスフェロイドを作製する。作製されたスフェロイドには種類の異なる細胞が混合されているため、このスフェロイドを「ヘテロスフェロイド」という。但し、本明細書では単に「スフェロイド」ともいう。
本発明において使用する肝細胞(Hepatocyte; Hepともいう)は、ヒト由来の細胞であり、生検された肝細胞、市販の凍結肝細胞などが用いられるが、その他にも、ES細胞、iPS細胞、生体由来細胞等から試薬、遺伝子、mRNA、microRNA等を用いて分化誘導させた肝細胞などを用いることができる。
他方、本発明において用いられる第二の細胞であるヒト由来細胞は、正常、病態の由来を問わず特に限定されるものではない。例えば、ヒト肝星細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト大動脈外膜線維芽細胞、ヒト歯周靱帯線維芽細胞、ヒト腸筋線維芽細胞、ヒト腱細胞、ヒトアストロサイト、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト滑膜間質細胞、ヒト脳毛細血管周皮細胞、ヒト腎メサンギウム細胞、ヒト心臓線維芽細胞、ヒト大動脈血管平滑筋細胞、ヒト骨芽細胞、正常ヒト骨格筋細胞、ヒト歯髄幹細胞、ヒト髄核細胞、ヒト線維輪細胞、ヒト靱帯細胞、ヒト軟骨細胞、ヒト胆管上皮細胞、ヒト類洞内皮細胞及びヒト臍帯静脈血管内皮細胞などが挙げられる。これらの第二の細胞は、市販の細胞のほか、ヒト組織から酵素または物理的な処理によって調製することができる。
本発明において、ヘテロスフェロイドを作製するための細胞の混合比は、第一の細胞(肝細胞)1に対して第二の細胞(ヒト由来正常細胞)が0.17〜1.5である。すなわち、第一の細胞:第二の細胞=1:0.17〜1.5であり、1:0.3の細胞比とすることが好ましい。ここで、第一細胞の培地中の濃度は、1×104個/ml〜15×104個/ml、好ましくは5×104個/mlとすることができ、この細胞数に対して、上記比率となるように第二の細胞を調整し、両者を混合する。
ここで「混合」とは、第一の細胞と第二の細胞とが接触し得る状況にあれば特に限定されるものではなく、例えば、(i)それぞれの細胞の細胞懸濁液を他の1つの容器に入れて混合する態様、(ii)第一の細胞及び第二の細胞の一方の培養容器中に他方の細胞の細胞懸濁液を添加する態様などがある。
本発明においては、一方の細胞を培養容器に接着又は沈殿させておいて培地の全部又は一部を取り除き、他の細胞の細胞懸濁液をその培養液に添加する態様が含まれる。
(2)培地
本発明において、第一の細胞の培養培地は、一般に肝細胞の培養に使用される培地を採用することができる。そのような培地としては、例えばDMEM、RPMI-1640、DMEM/F12、Williams’ Medium Eなどが挙げられる。また、市販の肝細胞培養培地(Primary Hepatocyte Maintenance Supplements (CMシリーズ、Life Technologies社))などが挙げられる。
また、第二の細胞の培地としては、それぞれの細胞の種類に応じて適宜選択される。例えば、ヒト骨芽細胞(NHOST)の培養培地はOGM Bullet Kit (Lonza)、正常ヒト腱細胞(TEN)の培養培地はTenocyte Growth Medium (Zenbio)、正常ヒト脳毛細血管周皮細胞(HBMPC)の培養培地はCSC Complete Recombinant Medium (Cell Systems Corporation)、正常ヒト胆管上皮細胞(IHBEC)の培養培地はIntra-Hepatic Biliary Epithelial Cell Growth Medium (Zenbio)、正常ヒト類洞内皮細胞(SEC)の培養培地はPrigrow I (Applied Biological Materials Inc.)、正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の培養培地はEGM-2 Bullet Kit (Lonza)などを使用することができる。
上記第一の細胞及び第二の細胞は、それぞれの細胞に適した培地中で培養又は維持し、要時調製する。なお、培地には、必要に応じて各種抗生物質、ウシ胎児血清などを添加することができる。
このようにして培養を継続すると、第一の肝細胞と第二の正常細胞とは集合して細胞凝集体、すなわちヘテロスフェロイドを形成する。
3.測定及び選抜指標
スフェロイドの形成能は、光学顕微鏡による形態検査により調べることができる。
また、スフェロイドが所定の機能を有するか否かは、スフェロイド中の遺伝子発現を指標とすればよい。指標とする遺伝子は特に限定されるものではないが、肝機能関連遺伝子、薬物代謝関連遺伝子などを利用することが好ましい。薬物代謝関連遺伝子としては、例えばCYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6、CYP3A4、CYP2E1、GSTM1、GSTT1、SULT2A1、UGT1A1、UGT2B4、BCRP、BSEP、MRP2、MATE1、MRP6、MDR1、NTCP、OCT1などが好ましい。また、肝機能関連遺伝子としてはHNF1A、HNF3A、HNF4A、HNF6、PROX1、CEBPA、CAR、ALBなどが挙げられる。
但し、薬物代謝関連遺伝子及び肝機能関連遺伝子はこれらに限定されるものではない。
遺伝子発現の確認方法は、一般的手法、例えばRT-PCR、ノーザンブロッティングなどを単独で、又は適宜組み合わせて行うことができる。
4.肝臓様構造体の製造
細胞を任意の3次元空間に配置することにより、細胞の立体構造体を作製する方法が知られている(WO2008/123614号)。この方法は、基板に針状体を剣山状に配置させて、その針状体に細胞塊を突き刺すことにより配置させるというものである。
本発明においては、上記方法を利用してスフェロイドを積層させて立体構造体(3次元構造体)を作製する。既に上記方法を実現するための自動積層ロボットが知られているので(バイオ3Dプリンター「レジェノバ」(登録商標)、株式会社サイフューズ)、立体構造体は、このロボットを用いて作製することが好ましい。
スフェロイドの配置数及び配置形状は特に限定するものではなく、任意である。
第二の細胞として前記細胞を使用すると、ヘテロスフェロイドを積層したときに肝臓様立体構造体を構築することができる。この立体構造体は、肝臓モデルとして各種試験に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
Hepと各種細胞との共培養スフェロイドにおけるCYP3A4遺伝子発現の比較
ヒト肝細胞(Hep)を解凍後、培地A [Primary Hepatocyte Maintenance Supplements(CM4000, Life Technologies)を含むWilliams' Medium E] に1×104cells/100μl/wellになるように懸濁し、市販の非接着性 96-well plateの各ウェルに添加して45分間程度CO2インキュベータ中で培養した。このHepを撒いたウェルに、あらかじめそれぞれの市販専用培地中で培養した各種ヒト由来細胞(表1)の懸濁液を1.0×104 cells/100μl/well になるように添加した。その後、100×g, 室温20秒の条件でプレート遠心し、CO2インキュベータ中で3日間培養した。
このようにして作製したHepと各種ヒト細胞を含むヘテロスフェロイドをエッペンチューブ1本当たり4個ずつ回収し、培養上清を除去した後、各チューブにTRIZOL Reagent (15596018, Life Technologies)を500μlずつ添加して30分間vortex mixerで攪拌した。次に各チューブに100μlずつクロロホルムを添加して1分間転倒混和した後、遠心分離(14,000 rpm, 30min, 4℃)した。ここで2層に分離したうちの上層を回収し、RNeasy 96 Kit(74181, QIAGEN)を用いてtotal RNAを精製した。total RNAからのcDNA合成はPrimeScript RT Reagent Kit(PR037A, Takara bio)を用いて行った。
cDNAを鋳型としたリアルタイムPCR反応はPower SYBR Green PCR Master Mix(4367659, Life Technologies)を用いて行い、装置はStepOnePlus Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いた。個々の遺伝子発現の定量は絶対定量法により行い、CYP3A4遺伝子発現量はGAPDH遺伝子の発現量で補正した値として示した。
CYP3A4とGAPDHの各遺伝子発現定量用のプライマーの配列とAmpliconのサイズを表2に示す。絶対定量用のスタンダードDNAはこれらプライマーを用いて増幅したAmpliconをアガロースゲル電気泳動後にQIAquick Gel Extraction Kit (28704, QIAGEN)を用いて精製して用いた。
このようにしてCYP3A4遺伝子発現量を調べた結果、NIH3T3 No.30クローン以外に、ヒト細胞ではHBMPC、TENおよびDPSCとの共培養で比較的高いCYP3A4遺伝子の発現が認められた(図1)。
Hepと各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドにおけるCYP3A4遺伝子発現におよぼす細胞混合比率の影響
ヒト肝細胞(Hep)を解凍後、培地A [Primary Hepatocyte Maintenance Supplements(CM4000, Life Technologies)を含むWilliams' Medium E] に1×104cells/100μl/wellになるように懸濁し、市販の非接着性 96-well plateの各ウェルに分注して45分時間程度CO2インキュベータ中で培養した。この間に、あらかじめ各種ヒト由来細胞 [正常ヒト骨芽細胞(NHOST)、正常ヒト腱細胞(TEN)、正常ヒト脳毛細血管周皮細胞(HBMPC)、正常ヒト胆管上皮細胞(IHBEC)、正常ヒト類洞内皮細胞(SEC)および正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)] をそれぞれの専用培地(表3)中で培養した後、0、0.17、0.5、1.0、および1.5×104cells/100μl/well になるようにHepが入った各ウェルに添加した。
その後、100×g, 室温20秒の条件でプレート遠心し、CO2インキュベータ中で培養した。2日間経過後にプレートの各ウェルより培地を100μlずつ除去し、代りに各種ヒト細胞毎の専用培地と培地Aを等量ずつ含む培地(培地AX)を100μlずつ添加してCO2インキュベータ中でさらに28日間培養した。この間、週2回の間隔で培地AXを用いて半量交換を実施した。
このようにしてHepと各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドにおけるCYP3A4遺伝子発現におよぼす細胞混合比率の影響を調べた結果、30日後でのCYP3A4遺伝子発現量はHepとTENの組み合わせのとき特に高く、中でもHepとTENの比が0.5:0.5および0.5:0.17のときに高かった(図2)。
以下の実験では、これらのうちスフェロイド当りの肝細胞含有率がより高い条件、すなわちin vivoの肝臓により近い組成である0.5:0.17の条件を用いることとした。
Hepと各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドにおけるスフェロイド形成能におよぼす細胞混合比率の影響
実施例2記載の条件でHepと各種ヒト由来細胞との共培養を5日間行ったときのヘテロスフェロイドの形成能とサイズにおよぼす細胞混合比率の影響を調べた。スフェロイド写真の結果は図3〜9に示す。
その結果、いずれのヒト由来細胞との共培養においてもHepのみ(図9)と比べてスフェロイド形成能は向上した。実施例1で良好な結果を示した細胞比率=0.5:0.17の条件のとき、培養3日目ではIHBEC(図6)とHUVEC(図8)でスフェロイドの形成は不十分だったものの、培養6日目ではいずれのヒト由来細胞との共培養においてもスフェロイドの形成が確認された(図3-8)。しかしながら、細胞比率=0.5:0.17の条件ではいずれのヒト由来細胞との共培養においてもスフェロイドサイズが小さかった(400μm付近)。したがって、レジェノバで積層する際には、混合比を維持しながら積層可能なスフェロイドサイズ(少なくとも450μm以上)になるように細胞数を増やす必要があることが分かった。
Hepと各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドを用いた肝臓様構造体の作製
バイオ3Dプリンター「レジェノバ」を用いてHepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体の作製を以下の様にして実施した。すなわち、Hepと各種ヒト由来細胞を含むヘテロスフェロイドを実施例1および2で記載の細胞混合比(0.5:0.17)を参考にし、レジェノバで積層可能なスフェロイドサイズにするためにHepと各種ヒト由来細胞をそれぞれ1×104 cells/wellと0.3×104 cells/wellになるように混合してスフェロイド作製を行った。これらスフェロイドを26×26剣山または9×9剣山を用いて縦、横、高さが3×3×1、3×3×2、3×3×3である9、18、27個のヘテロスフェロイドで構成される三次元構造体を作製した(図10A-E、積層直後)。
構造体の培養は、剣山に刺したままの状態で200mlの培地AXを入れた循環培養器(CC1004)中にて、市販ローラーポンプを用いて循環培養器内の培地を循環させながら、4日間CO2インキュベータ内にて行った。その後、剣山上で作製された構造体を抜去することで、針穴の空いた三次元構造体が得られた(図10A-E、抜去直後)。
次に、この構造体を1 mlのAX培地が入った滅菌平底自立型チューブ(60.542S, アシスト)に入れた状態で、CO2インキュベータ内にて振盪培養を行った。これ以降、週2回、AX培地で全量交換を行うことで培養を継続して行った。
以上の方法により、剣山抜去後2-3日で直径約1.5-2.5 mmの球状の肝臓様構造体が得られた。この形状はこの30日間培養後でも維持されていた(図10A-E .Day30)。
Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓様構造体におけるCYP3A4遺伝子発現量の比較
実施例3記載の方法に基づき、各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体を30日間培養した後、5種類の肝臓構造体についてCYP3A4遺伝子発現量を調べた(図11)。その結果、CYP3A4遺伝子発現量はTENを含む肝臓構造体(Hep/TEN)で最も高く、コントロールとして用いたNIH30を含む肝臓構造体(Hep/NIH30)よりも高い値を示した。このとき、細胞数の目安となるGAPDHの発現量についても調べたところ、NHOSTとTENで高値を示した。
Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓様構造体におけるPhase I薬物代謝関連遺伝子の発現量の比較
実施例3記載の方法に基づき、各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体を30日間培養した後の肝臓構造体についてPhase I薬物代謝関連遺伝子(CYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1およびCYP3A4)の発現量を調べた(図12)。
その結果、Hep/TENの組み合わせのとき、CYP2E1を除くすべてのCYPで、コントロールとして用いたNIH30のときよりも高い発現が確認された。
Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓様構造体におけるPhase II薬物代謝関連遺伝子の発現量の比較
実施例3記載の方法に基づき、各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体を30日間培養した後の肝臓構造体についてPhase II薬物代謝関連遺伝子(GSTM1, GSTT1, SULT2A1, UGT1A1およびUGT2B4)の発現量を調べた(図13)。その結果、Hep/TENの組み合わせのとき、調べたすべてのPhase II薬物代謝関連遺伝子でNIH30のときよりも高い発現が確認された。
Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓様構造体におけるPhase III薬物代謝関連遺伝子の発現量の比較
実施例3記載の方法に基づき、各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体を30日間培養した後の肝臓構造体についてPhase III薬物代謝関連遺伝子(BCRP, BSEP, MRP2, MATE1, MRP6, MDR1, NCTPおよびOCT1)の発現量を調べた(図14)。その結果、Hep/TENの組み合わせのとき、調べたすべてのPhase III薬物代謝関連遺伝子でNIH30のときよりも高い発現が確認された。
Hepと各種ヒト由来細胞を含む肝臓様構造体における転写因子、核内受容体、細胞外基質関連遺伝子および肝臓特異的遺伝子の発現量の比較
実施例3記載の方法に基づき、各種ヒト由来細胞を含む肝臓構造体を30日間培養した後の肝臓構造体について転写因子(HNF1A, HNF3A, HNF4A, HNF6, PROX1およびCEBPA)、核内受容体(CAR)、細胞外基質関連遺伝子(COL1A2)および肝臓特異的遺伝子(ALB)の発現量を調べた(図15)。その結果、Hep/TENの組み合わせのとき、調べた範囲内でHNF3A以外のすべての転写因子、核内受容体、細胞外基質関連遺伝子および肝臓特異的遺伝子でNIH30のときよりも高い発現が確認された。
したがって、まだ検討の余地はあるものの、現段階では5種類のヒト由来細胞の中でHepとTENを含む肝臓構造体で実施例5-8に記載した30遺伝子の大半で最も発現が高いことがわかった。
配列番号1〜4:合成DNA

Claims (5)

  1. ヒト肝細胞と、ヒト肝細胞以外のヒト由来細胞とを凝集させたヒト肝臓型ヘテロスフェロイドであって、ヒト肝細胞以外のヒト由来細胞が、ヒト肝星細胞、ヒト肺線維芽細胞、ヒト大動脈外膜線維芽細胞、ヒト歯周靱帯線維芽細胞、ヒト腸筋線維芽細胞、ヒト腱細胞、ヒトアストロサイト、ヒト新生児皮膚線維芽細胞、ヒト滑膜間質細胞、ヒト脳毛細血管周皮細胞、ヒト腎メサンギウム細胞、ヒト心臓線維芽細胞、ヒト大動脈血管平滑筋細胞。ヒト骨芽細胞、正常ヒト骨格筋細胞、ヒト歯髄幹細胞、ヒト髄核細胞、ヒト線維輪細胞、ヒト靱帯細胞、ヒト軟骨細胞、ヒト胆管上皮細胞、ヒト類洞内皮細胞及びヒト臍帯静脈血管内皮細胞からなる群から選択されるいずれかの細胞である前記スフェロイド。
  2. 請求項1に記載のスフェロイドが積層された、ヒト肝臓様立体構造体。
  3. 請求項1に記載のスフェロイドを積層することを特徴とする、ヒト肝臓様立体構造体の製造方法。
  4. スフェロイドの積層は、スフェロイドを針状体に突き刺すことにより行われるものである請求項3に記載の方法。
  5. 請求項2に記載の立体構造体を含む、ヒト肝臓モデル。

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