JP2019128240A - 磁気式回転検出装置の異常判定装置 - Google Patents

磁気式回転検出装置の異常判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気ロータに異常が発生しているか否かの判定精度を高くすることができる磁気式回転検出装置の異常判定装置を提供する。【解決手段】異常判定装置40は、車輪速度センサ20の検出器25から出力される検出信号ASを基に磁気ロータ21の回転速度を算出する速度算出部41と、磁気ロータ21の回転加速度を算出する加速度算出部42と、算出された磁気ロータ21の回転加速度の変化速度が異常判定値以上になったときに磁気ロータ21に異常が発生していると判定する異常判定処理を実施する異常判定部44とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気式回転検出装置の異常判定装置に関する。
特許文献1には、磁気式回転検出装置の一例である車輪速度センサと、同車輪速度センサの異常判定装置の一例とが記載されている。車輪速度センサは、車輪と一体回転する磁気ロータと、磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化を検出する検出器とを備えている。そして、検出器によって検出されている磁束の変化を基に、磁気ロータ、すなわち車輪の回転速度を導出することができる。
磁気ロータに鉄片などの異物が付着した場合、磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化に乱れが生じることがある。そこで、特許文献1に記載の異常判定装置では、検出器によって検出されている磁束の変化を基に導出された磁気ロータの回転速度を時間微分した値である回転加速度が算出される。そして、回転加速度の絶対値が閾値以上となる場合に、磁気ロータに異常が発生していると判定されるようになっている。
特開2004−245794号公報
上記の異常判定装置では、設定された閾値の大きさによっては、車輪の回転が急加速して磁気ロータの回転速度が急激に変化したときに、回転加速度の絶対値が閾値以上になってしまうことがある。すなわち、磁気ロータに鉄片などの異物が付着していない状況下で磁気ロータの回転速度が急激に変化したときに、磁気ロータに異常が発生していると判定されるおそれがある。
上記課題を解決するための磁気式回転検出装置の異常判定装置は、磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化に基づいた検出信号が検出器から出力される磁気式回転検出装置に適用されるものである。
上記異常判定装置の一態様は、検出器から出力される検出信号を基に磁気ロータの回転速度を算出する速度算出部と、磁気ロータの回転速度の単位時間あたりの変化量である回転加速度を算出する加速度算出部と、算出された磁気ロータの回転加速度の変化速度が異常判定値以上になったときに磁気ロータに異常が発生していると判定する異常判定処理を実施する異常判定部と、を備える。
磁気ロータが取り付けられている回転体の回転が加速したために上記検出信号に基づいて算出される磁気ロータの回転速度が変化する場合、磁気ロータの回転加速度が徐々に変化する。これに対し、磁気ロータに鉄片などの異物が付着し、磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化が乱れたために上記検出信号に基づいて算出される磁気ロータの回転速度が変化する場合、磁気ロータの回転加速度が急増した後に急減したり、磁気ロータの回転加速度が急減した後に急増したりする。すなわち、回転体の回転が加速した場合と、磁気ロータに異常が発生した場合とでは、磁気ロータの回転加速度の変化態様が相違する。
そこで、上記構成では、回転加速度の変化速度が異常判定値以上になったときに磁気ロータに異常が発生していると判定するようにしている。そのため、回転体の回転が加速したり減速したりしたために磁気ロータの回転加速度がゆっくりと変化する場合には、当該回転加速度の変化速度が異常判定値以上になりにくい。そのため、磁気ロータに鉄片などの異物が付着していないにも拘わらず、磁気ロータに異常が発生していると判定されてしまうことを抑制できる。一方、磁気ロータに鉄片などの異物が付着し、磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化に乱れが生じた場合、磁気ロータの回転加速度が急激に大きくなったり、小さくなったりする。すなわち、磁気ロータの回転加速度の変化速度が大きくなりやすい。そして、磁気ロータの回転加速度の変化速度が異常判定値以上となると、磁気ロータに異常が発生していると判定することができる。
したがって、上記構成によれば、磁気ロータに異常が発生しているか否かの判定精度を高くすることができる。
例えば、異常判定部は、加速度算出部によって算出された磁気ロータの回転加速度を時間微分した値の絶対値を磁気ロータの回転加速度の変化速度として算出するようにしてもよい。この場合、磁気ロータの回転加速度の微分値の絶対値が異常判定値以上になるときに、磁気ロータに異常が発生していると判定することができる。
また例えば、加速度算出部が、所定の制御サイクル毎に磁気ロータの回転加速度を算出するようになっていることがある。この場合、異常判定部は、加速度算出部によって算出された磁気ロータの回転加速度と当該回転加速度の前回値との差分を磁気ロータの回転加速度の変化速度として算出するようにしてもよい。回転加速度の前回値とは、前回の制御サイクルで算出された磁気ロータの回転加速度のことである。この構成によれば、当該差分が異常判定値以上であるときに、磁気ロータに異常が発生していると判定することができる。
なお、鉄片などの異物が磁気ロータに付着している場合、磁気ロータが取り付けられている回転体の回転速度が小さいほど回転加速度の変化速度が大きくなりにくい。そこで、上記異常判定装置は、上記回転体の回転速度が小さいほど異常判定値が小さくなるように、当該異常判定値を設定する判定値設定部を備えることが好ましい。この構成によれば、磁気ロータの回転速度に応じて異常判定値を設定することにより、磁気ロータに異常が発生しているか否かの判定精度を高くすることができる。
また、異常判定部は、加速度算出部によって算出された磁気ロータの回転加速度の絶対値が加速度判定値以上になったことを条件に、異常判定処理を実施することが好ましい。この構成によれば、磁気ロータの回転加速度の絶対値が加速度判定値以上となり、当該回転加速度の変化速度が異常判定値以上になったときに、磁気ロータに異常が発生していると判定されることとなる。
第1の実施形態における異常判定装置の機能構成と、同異常判定装置が適用される車輪速度センサとを示す図。 第1の実施形態において、異常判定装置の異常判定部が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 (a)〜(e)は、第1の実施形態において、磁気ロータに鉄片などの異物が付着した場合におけるタイミングチャート。 (a)〜(e)は、第1の実施形態において、磁気ロータの歯が欠けた場合におけるタイミングチャート。 (a)〜(e)は、第1の実施形態において、磁気ロータに異常が発生していない場合におけるタイミングチャート。 第2の実施形態において、異常判定装置の異常判定部が実行する処理ルーチンの一部分を説明するフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、磁気式回転検出装置の異常判定装置の第1の実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1には、磁気式回転検出装置の一例である車輪速度センサ20と、車輪速度センサ20に異常が発生しているか否かを判定する本実施形態の異常判定装置40とが図示されている。図1に示すように、車輪速度センサ20は、回転体の一例である車輪10と一体回転する磁気ロータ21と、車体に固定されている検出器25とを備えている。磁気ロータ21は円盤状をなしており、磁気ロータ21の周縁には複数の歯23が等間隔に配置されている。磁気ロータ21は磁性体で構成されている。
検出器25は、磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化を検出する。すなわち、磁気ロータ21が回転している場合、磁気ロータ21の周縁と検出器25との間の間隔が変化する。こうした磁気ロータ21の周縁と検出器25との間の間隔の変化によって、検出器25の周辺で磁束が変化する。こうした磁束の変化が検出器25によって検出されると、検出器25は、検出した磁束の変化に応じた検出信号ASを出力する。
ここで、検出器25から出力される検出信号ASを基に、車輪10の回転速度VWを導出する処理の一例について説明する。すなわち、磁気ロータ21が回転すると、検出器25によって検出される磁束の大きさは、磁気ロータ21の回転速度に応じた周期で振動する。すなわち、磁気ロータ21の回転速度が大きいほど、磁束の大きさの振動周期が短くなる。そして、検出器25から出力される検出信号ASの信号レベルは、磁束の大きさの振動周期と同一の周期で振動する。なお、検出器25から出力される検出信号ASはアナログ信号である。
こうした検出信号ASが入力された制御装置では、当該検出信号ASがデジタル信号DSに変換される。そして、このデジタル信号DSに含まれるパルスの発生間隔を基に、磁気ロータ21の回転速度Vが算出される。すなわち、磁気ロータ21の回転速度Vは、パルスの発生間隔が短いほど回転速度Vが大きくなるように算出される。そして、このように算出された磁気ロータ21の回転速度Vに公知のフィルタ処理を施すことにより、磁気ロータ21が取り付けられている車輪10の回転速度VWを導出することができる。
図1に示すように、異常判定装置40には、検出器25から検出信号ASが入力される。そして、異常判定装置40は、入力された検出信号ASを基に、磁気ロータ21に異常が発生しているか否かを判定する。ここでいう磁気ロータ21の異常とは、磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化に乱れが生じるような異常のことである。このような異常が発生する場合としては、例えば、磁気ロータ21に鉄片などの異物が付着する場合、及び、磁気ロータ21を構成する歯23が破損した場合を挙げることができる。
異常判定装置40は、磁気ロータ21に異常が発生しているか否かを判定するための機能部として、速度算出部41、加速度算出部42、判定値設定部43及び異常判定部44を有している。
速度算出部41は、所定の制御サイクル毎に、上述したように検出信号ASを基に磁気ロータ21の回転速度Vを算出する。
加速度算出部42は、所定の制御サイクル毎に、磁気ロータ21の回転速度Vの単位時間あたりの変化量である回転加速度DVを算出する。例えば、加速度算出部42は、速度算出部41によって算出された磁気ロータ21の回転速度Vを時間微分することにより、磁気ロータ21の回転加速度DVを導出する。この回転加速度DVは、回転速度Vが大きくなるときには正の値となり、回転速度Vが小さくなるときには負の値となる。
異常判定部44は、加速度算出部42によって算出された回転加速度DVの変化速度として、回転加速度DVを時間微分した値の絶対値である回転加速度の微分値DDVの絶対値を算出する。そして、異常判定部44は、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上になったときに磁気ロータ21に異常が発生していると判定する異常判定処理を実施する。
判定値設定部43は、異常判定処理で用いられる異常判定値DDVThを設定する。すなわち、判定値設定部43は、上記のように導出された車輪10の回転速度VWが小さいほど異常判定値DDVThが小さくなるように、異常判定値DDVThを設定する。
次に、図2を参照し、異常判定部44が実行する処理ルーチンについて説明する。この処理ルーチンは、磁気ロータ21に異常が発生しているとの判定がなされていない場合には繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、異常判定部44は、磁気ロータ21の回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上であるか否かを判定する(S11)。磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化が乱れるような異常が磁気ロータ21に発生している場合、検出信号ASを基に算出される回転加速度DVに変化が生じる。そこで、磁気ロータ21に異常が発生している可能性があるか否かを判断できるように加速度判定値DVThが予め設定されている。回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh未満である場合(S11:NO)、異常判定部44は、本処理ルーチンを一旦終了する。
一方、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上である場合(S11:YES)、異常判定部44は、異常判定処理を実施する。すなわち、異常判定部44は、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上になったことを条件に、異常判定処理を実施する。
異常判定処理では、異常判定部44は、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上であるか否かを判定する(S12)。回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh未満である場合(S12:NO)、異常判定部44は、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上であると判定された時点、すなわちステップS11の判定が「YES」になった時点からの経過時間が規定時間に達したか否かを判定する。この規定時間は、加速度算出部42による磁気ロータ21の回転加速度DVの算出タイミングと、異常判定部44による回転加速度の微分値DDVの算出タイミングとのずれを勘案して設定されている時間である。例えば、規定時間は、磁気ロータ21が一回転するのに要する時間又は、当該時間よりも短い時間に設定されている。
そして、上記の経過時間が規定時間に達していない場合(S13:NO)、異常判定部44は、その処理を前述したステップS12に移行する。一方、上記の経過時間が規定時間に達している場合(S13:YES)、異常判定部44は、磁気ロータ21に異常が発生していない、すなわち磁気ロータ21が正常であると判定する(S14)。その後、異常判定部44は、本処理ルーチンを一旦終了する。
その一方で、ステップS12において、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上である場合(YES)、異常判定部44は、磁気ロータ21に異常が発生していると判定する(S15)。そして、異常判定部44は、本処理ルーチンを終了する。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず始めに、図3を参照し、磁気ロータ21に鉄片が付着したために磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化が乱れる場合の作用及び効果を説明する。なお、前提として、車輪10が定速で回転しているものとする。
図3に示す例では、磁気ロータ21が一回転する際に、タイミングt11からタイミングt12までの期間で磁束の変化に乱れが生じ、図3(a)に示すように検出器25から出力される検出信号ASの信号レベルの振動周期が一時的に短くなる。すると、検出信号ASを変換したデジタル信号DSに含まれるパルスの発生周期が、図3(b)に示すようにタイミングt11からタイミングt12までの期間だけ短くなる。その結果、タイミングt11からタイミングt12までの期間では、図3(c)に示すように磁気ロータ21の回転速度Vが大きくなる。また、こうした回転速度Vの変動に伴って、図3(d)に示すように磁気ロータ21の回転加速度DVが変動する。そして、図3(e)に示すように回転加速度の微分値DDVもまた変動する。この場合、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上になり、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上になるため、異常判定処理によって磁気ロータ21に異常が発生していると判定される。したがって、本実施形態では、磁気ロータ21に鉄片などの異物が付着したために磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化が乱れた場合には、磁気ロータ21に異常が発生していると判定することができる。
次に、図4を参照し、磁気ロータ21に設けられている各歯23のうちの一つが欠けてしまったために磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化が乱れる場合の作用及び効果を説明する。なお、前提として、車輪10が定速で回転しているものとする。
図4に示す例では、磁気ロータ21が一回転する際に、タイミングt21からタイミングt22までの期間で磁束の変化に乱れが生じ、図4(a)に示すように検出器25から出力される検出信号ASの信号レベルの振動周期が一時的に長くなる。すると、デジタル信号DSに含まれるパルスの発生周期が、図4(b)に示すように一時的に長くなる。その結果、タイミングt21からタイミングt22までの期間では、図4(c)に示すように磁気ロータ21の回転速度Vが小さくなる。また、こうした回転速度Vの変動に伴って、図4(d)に示すように磁気ロータ21の回転加速度DVが変動する。そして、図4(e)に示すように回転加速度の微分値DDVもまた変動する。この場合、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上になり、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上になるため、異常判定処理によって磁気ロータ21に異常が発生していると判定される。したがって、本実施形態では、磁気ロータ21を構成する各歯23のうちの一部の歯23が欠けたために磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化が乱れた場合でも、磁気ロータ21に異常が発生していると判定することができる。
次に、図5を参照し、磁気ロータ21に異常が発生しておらず、車輪10の回転が加速している場合の作用及び効果を説明する。
図5に示す例にあっては、タイミングt31以前では車輪10が定速で回転しているが、タイミングt31以降では車輪10の回転が加速する。そのため、タイミングt31以降では、図5(a)に示すように検出器25から出力される検出信号ASの信号レベルの振動周期が徐々に短くなる。すると、デジタル信号DSに含まれるパルスの発生周期が、図5(b)に示すように徐々に短くなる。その結果、図5(c)に示すように磁気ロータ21の回転速度Vが徐々に大きくなり、図5(d)に示すように磁気ロータ21の回転加速度DVが大きくなる。そして、タイミングt32で回転加速度DVが加速度判定値DVTh以上になる。
しかし、このように車輪10が加速しているために磁気ロータ21の回転加速度DVが大きくなる場合、回転加速度DVは、急激に大きくなったり、急激に小さくなったりしない。そのため、回転加速度DVの変化速度はあまり大きくならない。その結果、図5(e)に示すように回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上にならない。その結果、回転加速度DVが大きくなっても、磁気ロータ21に異常が発生しているとの判定がなされない。したがって、本実施形態によれば、車輪10の回転が加速したり減速したりするために検出信号ASの振動周期が変化するような場合に、磁気ロータ21に異常が発生していると判定されることを抑制できる。
なお、本実施形態によれば、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1)磁気ロータ21の回転加速度DVや回転加速度の微分値DDVを算出する過程で、回転加速度DVにはノイズが重畳しない一方で、回転加速度の微分値DDVにはノイズが重畳してしまうことがある。この場合、微分値DDVにノイズが重畳したために、磁気ロータ21に異常が発生していないにも拘わらず、微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上となるおそれがある。
この点、本実施形態では、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh未満であるときには、異常判定処理を実施しないようにしている。このため、回転加速度DVにはノイズが重畳しない一方で、回転加速度の微分値DDVにはノイズが重畳した場合、回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上にならないため、磁気ロータ21に異常が発生していると判定されることを抑制できる。したがって、磁気ロータ21に異常が発生しているか否かの判定の精度をより高くすることができる。
(2)本実施形態では、異常判定値DDVThを、車輪10の回転速度VWに応じて可変させるようにしている。これにより、車輪10の回転速度VWが小さいために回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が大きくなりにくいときには、車輪10の回転速度VWが大きいために回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が大きくなりやすいときよりも異常判定値DDVThを小さくすることができる。その結果、磁気ロータ21に異常が発生しているか否かの判定精度を高くすることができる。
なお、上述したように車輪10の回転速度VWは、磁気ロータ21の回転速度Vにフィルタ処理を施した値である。そのため、磁気ロータ21に異常が発生して磁気ロータ21の回転速度Vが一時的に変化するような場合、車輪10の回転速度VWの変化が抑制される。したがって、磁気ロータ21に異常が発生して磁気ロータ21の回転速度Vが一時的に変化するような場合に異常判定値DDVThが変化してしまうことを抑制できる。
(第2の実施形態)
次に、異常判定装置の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、磁気ロータ21の回転加速度の変化速度として用いる値が第1の実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、第1の実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
本実施形態では、異常判定部44は、加速度算出部42によって算出された磁気ロータ21の回転加速度DVの変化速度として、回転加速度の最新値DV(N)と回転加速度の前回値DV(N−1)との差分ΔDVを算出する。ここでいう回転加速度の前回値DV(N−1)とは、前回の制御サイクルで加速度算出部42によって算出された磁気ロータ21の回転加速度DVのことである。
次に、図6を参照し、異常判定部44が実行する処理ルーチンの一部について説明する。
本処理ルーチンにおいて、第1の実施形態の場合と同様に、異常判定部44は、磁気ロータ21の回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上である場合には(S11:YES)、異常判定処理を実施する。異常判定処理では、図6に示すように、異常判定部44は、回転加速度の最新値DV(N)と回転加速度の前回値DV(N−1)との差分ΔDVを算出する(S121)。そして、異常判定部44は、算出した差分ΔDVが異常判定値ΔDVTh以上であるか否かを判定する(S122)。
なお、第1の実施形態の場合と同様に、異常判定値ΔDVThは、判定値設定部43によって設定される。そのため、異常判定値ΔDVThは、車輪10の回転速度VWが小さいほど異常判定値ΔDVThが小さくなるように設定される。
差分ΔDVが異常判定値ΔDVTh未満である場合(S122:NO)、異常判定部44は、その処理を前述したステップS13に移行する。一方、差分ΔDVが異常判定値ΔDVTh以上である場合(S122:YES)、異常判定部44は、その処理を前述したステップS15に移行する。すなわち、異常判定部44は、磁気ロータ21に異常が発生していると判定する。
したがって、第1の実施形態の場合と同様に、本実施形態では、磁気ロータ21の回転によって生じる磁束の変化に乱れが生じるような異常が磁気ロータ21に発生しているときには、磁気ロータ21に異常が発生していると判定することができる。また、車輪10の回転の加速や減速に起因して磁気ロータ21の回転加速度DVが変化したときには、磁気ロータ21に異常が発生していると判定されることを抑制できる。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態において、異常判定値DDVTh,ΔDVThを車輪10の回転速度VWに応じて可変させるのであれば、異常判定値DDVTh,ΔDVThを、回転速度VWが大きくなるに従って徐々に大きくするようにしてもよい。また、異常判定値DDVTh,ΔDVThを、回転速度VWが大きくなるに従って段階的に大きくするようにしてもよい。
・上記各実施形態において、異常判定値DDVTh,ΔDVThを所定値で固定するようにしてもよい。
・上記各実施形態において、磁気ロータ21の回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上であるか否かの判定を省略してもよい。
・検出器25から出力される検出信号ASに電気的なノイズが重畳すると、磁気ロータ21が正常であるにも拘わらず、検出信号ASを基に算出される磁気ロータ21の回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上となり、且つ、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上となるおそれがある。そこで、車輪10がN回(Nは2以上の整数)回転するまでの間で、磁気ロータ21の回転加速度の絶対値|DV|が加速度判定値DVTh以上となり、且つ、回転加速度の微分値の絶対値|DDV|が異常判定値DDVTh以上となることが複数回確認できたことを条件に、磁気ロータ21に異常が発生していると判定するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、磁気ロータ21の回転の加減速度の変化速度を用いて異常判定処理を実施している。しかし、例えば、回転速度Vが大きくなっているときの回転加速度DVの変化速度を用い、異常判定処理を行うようにしてもよい。また、回転速度Vが小さくなっているときの回転加速度DVの変化速度(すなわち、回転減速度の変化速度)を用い、異常判定処理を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、異常判定装置を、車輪速度センサ20の異常判定装置40に具体化している。しかし、異常判定装置を、車輪速度センサ20以外の他の磁気式回転検出装置の異常判定装置に具体化してもよい。他の磁気式回転検出装置としては、例えば、エンジンのクランク軸の回転速度を検出するクランク角センサ、及び、エンジンのカム軸の回転速度を検出するカム角センサを挙げることができる。
・磁気式回転検出装置は、磁気ロータの回転によって磁束が変化するとともに、このような磁束の変化に応じた検出信号を検出器が出力することができるのであれば、上記各実施形態で説明したようなセンサ以外の他のセンサであってもよい。
10…回転体の一例である車輪、20…磁気式回転検出装置の一例である車輪速度センサ、21…磁気ロータ、25…検出器、40…異常判定装置、41…速度算出部、42…加速度算出部、43…判定値設定部、44…異常判定部。

Claims (5)

  1. 磁気ロータの回転によって生じる磁束の変化に基づいた検出信号を検出器から出力させる磁気式回転検出装置に適用され、
    前記検出器から出力される検出信号を基に前記磁気ロータの回転速度を算出する速度算出部と、
    前記磁気ロータの回転速度の単位時間あたりの変化量である回転加速度を算出する加速度算出部と、
    算出された前記磁気ロータの回転加速度の変化速度が異常判定値以上になったときに前記磁気ロータに異常が発生していると判定する異常判定処理を実施する異常判定部と、を備える
    磁気式回転検出装置の異常判定装置。
  2. 前記異常判定部は、前記加速度算出部によって算出された前記磁気ロータの回転加速度を時間微分した値の絶対値を前記磁気ロータの回転加速度の変化速度として算出する
    請求項1に記載の磁気式回転検出装置の異常判定装置。
  3. 前記加速度算出部は、所定の制御サイクル毎に前記磁気ロータの回転加速度を算出するようになっており、
    前記異常判定部は、前記加速度算出部によって算出された前記磁気ロータの回転加速度と当該回転加速度の前回値との差分を前記磁気ロータの回転加速度の変化速度として算出する
    請求項1に記載の磁気式回転検出装置の異常判定装置。
  4. 前記磁気ロータが取り付けられている回転体の回転速度が小さいほど前記異常判定値が小さくなるように、当該異常判定値を設定する判定値設定部を備える
    請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の磁気式回転検出装置の異常判定装置。
  5. 前記異常判定部は、前記加速度算出部によって算出された前記磁気ロータの回転加速度の絶対値が加速度判定値以上になったことを条件に、前記異常判定処理を実施する
    請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の磁気式回転検出装置の異常判定装置。
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