JP2019126842A - 肉盛溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低入熱の溶接トーチを用いて、融合不良に起因する欠陥発生を抑制しつつ、効率的な肉盛形成が可能な肉盛溶接方法を提供する。【解決手段】第1溶接ビードの隣の領域に第2溶接ビードを形成することにより肉盛溶接を行う肉盛溶接方法に関する。本方法は、母材に対する溶接トーチの軌跡に、溶接方向とは逆方向に向かう第1運棒パターンが含まれるように、ウィービングを実施することにより第2溶接ビードを形成する工程を備える。【選択図】図6

Description

本開示は、母材の表面を溶接金属で覆う肉盛溶接方法に関する。
母材の表面を溶接金属で覆う肉盛溶接が知られており、様々な分野で利用されている。肉盛溶接の用途の一つとして、例えば、炭素鋼や低合金鋼などの母材の表面に対して、ステンレス鋼やNi基合金などの溶接金属を肉盛溶接することで、母材が水や水蒸気と接触する箇所に対して耐食性を上げることがある。このような肉盛溶接は、例えば、使用済燃料を収納して水中保存するためのキャスクで行われている。
ここで溶接時に母材を溶かすと、母材と溶接金属とが混ざることにより、溶接金属に添加されているCrやNiが減少する。肉盛溶接の一種であるクラッド溶接では、溶接方向に対して直角方向にウィービングしながら溶接を行うことで、このような希釈を抑制することができる。特許文献1には、このようなクラッド溶接の一例が開示されており、特に、ある溶接ビードを先行する溶接ビードの隣に形成する際に、先行する溶接ビードの端部と重なる領域において局所的に深溶け込み部を形成することで、融合不良の発生を防止している。
特開2013−139058号公報
肉盛溶接における希釈率を抑えるために、溶接トーチの入熱量を低く抑えることにより、母材の溶融量を抑えることが考えられる。しかしながら、溶接トーチの入熱量を低下させると、融合不良に起因する欠陥が発生する可能性が高くなってしまう。また低入熱の溶接トーチを用いて従来の運棒方法に従って肉盛溶接を行うと、十分な肉盛層を形成するために多くの時間を費やしてしまう。
本発明の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、低入熱の溶接トーチを用いて、融合不良に起因する欠陥発生を抑制しつつ、効率的な肉盛形成が可能な肉盛溶接方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る肉盛溶接方法は上記課題を解決するために、
溶接トーチと母材との間にアークを発生させて生じた溶融池に溶接金属を送給する一方、前記溶接トーチをウィービングさせながら溶接方向へ移動させて第1溶接ビードを形成し、前記第1溶接ビードの隣の領域に第2溶接ビードを形成することにより肉盛溶接を行う肉盛溶接方法であって、
前記母材に対する前記溶接トーチの軌跡に、前記溶接方向とは逆方向に向かう第1運棒パターンが含まれるように、前記ウィービングを実施することにより前記第2溶接ビードを形成する工程を備える。
上記(1)の方法によれば、肉盛溶接で溶接方向に沿った溶接ビードを形成する際に、溶接トーチの軌跡に溶接方向とは逆方向に向かう第1運棒パターンを含むように、溶接トーチの運棒が行われる。このような運棒を行うことにより、母材表面に形成される溶融池が溶接トーチに対して先行しにくくなる。その結果、溶接トーチの入熱量が低い場合であっても、母材に対して必要な入熱を行うことができ、融合不良の発生を効果的に抑制できる。
(2)幾つかの実施形態では上記(1)の方法において、
前記第1運棒パターンは、前記第1溶接ビードに向けて行われる。
上記(2)の方法によれば、第2溶接ビードを形成する際に、溶接トーチは第1溶接ビードに向かうような第1運棒パターンで運棒される。つまり、先に形成された溶接ビードに溶接トーチが乗り上げるように、溶接トーチの運棒がなされる。このような運棒を行うことで、第1溶接ビードとの間で融合不良が発生することを抑制しながら、厚み方向の肉盛層形成を促進し、肉盛溶接に要する時間を短縮できる。
(3)幾つかの実施形態では上記(1)又は(2)の方法において、
前記第2溶接ビードを形成する工程では、前記母材に対する前記溶接トーチの軌跡に、前記溶接方向に沿って直進する第2運棒パターンが含まれるように、前記ウィービングが実施される。
上記(3)の方法によれば、肉盛溶接で溶接方向に沿った溶接ビードを形成する際に、溶接トーチの軌跡に溶接方向に沿って直進する第2運棒パターンを含むように、溶接トーチの運棒が行われる。このような運棒を行うことにより、第1溶接ビードとの間で融合不良が発生することを、より効果的に抑制できる。
(4)幾つかの実施形態では上記(3)の方法において、
前記第2運棒パターンは、前記第1溶接ビードの端部上で行われる。
上記(4)の方法によれば、第1溶接ビードの端部において融合不良が発生することを、より効果的に抑制できる。
(5)幾つかの実施形態では上記(1)から(4)のいずれか1方法において、
前記第2溶接ビードを形成する工程に比べて高い入熱量で、前記第2溶接ビードの形成を開始する工程を備える。
上記(5)の方法によれば、第2溶接ビードの形成を、高い入熱量で開始することにより、ビード開始部における融合不良の発生を効果的に抑制できる。
(6)幾つかの実施形態では上記(1)から(5)のいずれか1方法において、
前記第2溶接ビードを形成する工程に比べて高い入熱量で、前記第2溶接ビードの形成を終了する工程を備える。
上記(6)の方法によれば、第2溶接ビードの形成を、高い入熱量で終了することにより、ビード終了部における融合不良の発生を効果的に抑制できる。
(7)幾つかの実施形態では上記(5)又は(6)の方法において、
前記第2溶接ビードの形成を開始する工程又は前記第2溶接ビードの形成を終了する工程は、前記溶接方向に沿って前記ウィービングが実施される。
上記(7)の方法によれば、高い入熱量で溶接が行われるビード開始部又はビード終了部では、溶接方向に沿ったウィービングが実施される。つまり、上述の第1運棒パターンのように溶接方向とは逆方向に向かう運棒がなされない。
(8)幾つかの実施形態では上記(7)の方法において、
前記第2溶接ビードを形成する工程は、
第1振幅で前記ウィービングを行う工程と、
前記第1振幅より大きな第2振幅で前記ウィービングを行う工程と、
を順に含む。
上記(8)の方法によれば、第1運棒パターンを含む溶接トーチの運棒を行う場合には、小さな振幅のウィービングを行った後に、大きな振幅のウィービングが行われる。このように振幅を増やすようなウィービングを行うことで、運棒パターンの変化に伴う融合不良の発生を効果的に抑制できる。
(9)幾つかの実施形態では上記(1)から(8)のいずれか1方法において、
前記ウィービングは、前記第2溶接ビードの中心ラインより前記第1溶接ビード側の第1領域における振幅が、前記第1領域とは反対側の第2領域における振幅に比べて小さくなるように実施される。
上記(9)の方法によれば、第1領域に形成される肉盛に比べて、第2領域に形成される肉盛の傾斜をなだらかにすることができる。これにより、繰り返し溶接ビードを形成する際に、次に形成される溶接ビードとの重なりを良好に形成できる。
(10)幾つかの実施形態では上記(1)から(9)のいずれか1方法において、
前記第2溶接ビードの形成は、前記第2溶接ビードの中心ラインより前記第1溶接ビード側で終了する。
上記(10)の方法によれば、第2溶接ビードの形成は、第2溶接ビードの中心ラインより第1溶接ビード側で終了する。これにより、第2溶接ビードに続いてさらなる溶接ビードを形成する際に、第2溶接ビードの終端部が妨げとならない。そのため、溶接ビードを繰り返し形成する際に、次に形成される溶接ビードとの重なりを良好に形成できる。
(11)幾つかの実施形態では上記(1)から(10)のいずれか1方法において、
前記肉盛溶接は、前記母材の表面を前記溶接金属で覆うクラッド溶接である。
上述の方法(上記各種形態を含む)は、クラッド溶接に好適に適用できる。
(12)幾つかの実施形態では上記(1)から(11)のいずれか1方法において、
前記肉盛溶接は、低入熱溶接用モード又はパルスモードを切替可能な溶接機を用いて実施される。
上述の方法(上記各種形態を含む)は、低入熱溶接用モード又はパルスモードを切替可能な溶接機を用いて好適に実施できる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、低入熱の溶接トーチを用いて、融合不良に起因する欠陥発生を抑制しつつ、効率的な肉盛形成が可能な肉盛溶接方法を提供できる。
本発明の少なくとも一実施形態に係る肉盛溶接方法を実施するための装置構成の一例である。 CMTプロセスを概略的に示す模式図である。 本発明の少なくとも一実施形態に係る肉盛溶接方法を工程毎に示すフローチャートである。 図3のステップS10における第1溶接ビードの形成様子を示す模式図である。 図3のステップS20における第2溶接ビードの形成様子を示す模式図である。 図5で母材上に描かれる溶接トーチの軌跡IVを示す図である。 図6の(b)定常条件における軌跡を拡大して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は本発明の少なくとも一実施形態に係る肉盛溶接方法を実施するための装置構成の一例である。本実施形態では、略円筒形状を有する構造体である溶接対象物1の表面に対して肉盛溶接を実施する場合を例に説明する。
溶接対象物1は、例えば、使用済燃料を収納して水中保存するためのキャスクの胴本体であり、炭素鋼からなる。略円筒形状を有する溶接対象物1の外周面上には、溶接機2によって肉盛溶接が実施されることにより、母材表面を溶接金属で覆うように耐食性の肉盛層が形成される。溶接金属は、例えば、アルミニウムである。
尚、本実施形態では溶接対象物1としてキャスクの胴本体を例示しているが、溶接対象物1は肉盛溶接の対象となる構造体を広く含んでよい。
溶接対象物1は大型構造物であるため、溶接対象物1は不図示のターニング装置によって周方向(矢印a)に回転可能になっている。溶接機2は、フィールド3上に設置されたベース4と、溶接対象物1の外表面に対向するように配置された溶接トーチ6と、溶接対象物1の外表面に対する溶接トーチ6を相対的移動を行うためのアーム8と、を含む。溶接作業では、ターニング装置によって回転される溶接対象物1の外表面に対して、溶接トーチ6を所定の軌跡で運棒することにより、溶接ビードの形成が行われる。
溶接機2は、低入熱溶接用モードを使用可能な溶接機である。このような低入熱溶接用モードとして、例えば、溶接ワイヤの溶融池への送り出しを制御可能なプッシュプルシステムを使用できる。プッシュプルシステムを使用した低入熱溶接モードの一例としては、従来のMIG/MAGプロセスに比べて低温処理であるCMT(Cold Metal Transfer)プロセスがある。CMTプロセスは、ホット処理とコールド処理とを交互に繰り返し、従来、主に超軽量の薄板を対象とするMIG/MAGロボット溶接及びロウ付けに用いられていた。本実施形態では、このような超軽量の薄板を対象とするCMTプロセスを利用することで、肉盛溶接が行われる。
ここで図2はCMTプロセスを概略的に示す模式図である。溶接機2から送り出される溶接ワイヤ10が溶接対象物1の外表面上の母材12から離れている場合、溶接ワイヤ10と母材12との間にアーク13が発生する(図2(a))。溶接ワイヤ10が更に送り出されて、母材12の溶融池に接触(短絡)すると、アークは消失し、溶接電流が急減する(図2(b))。このときCMTプロセスでは、溶接機2は溶接ワイヤ10を溶接池から引き戻すことで、短絡中の溶滴切断を支援し、短絡電流を抑制する(図2(c))。CMTプロセスでは、図2(a)〜図2(c)のプロセスが自動的に繰り返されることで、アークが母材12に与える入熱が瞬間的に留められ、入熱量の低減が可能となる。
溶接機2は、上述のCMTプロセスを実施するためのCMTモードと、従来のMIG/MAGプロセスを実施するためのパルスモードと、を選択的に切替可能に構成される。CMTモード及びパルスモードの切替制御は、溶接機2が備えるコントロールユニットである制御部20によって実施される。制御部20は、このようなモード切替制御に加えて、各モードにおける溶接トーチ6の運棒パターンを含む各種溶接パラメータを設定可能に構成されている。
このような溶接機2として、例えば、フローニアス社のCMTプロセス対応の溶接システムを用いることができる。
図3は本発明の少なくとも一実施形態に係る肉盛溶接方法を工程毎に示すフローチャートである。
まず母材12上に先行溶接ビードである第1溶接ビード100を形成する(ステップS10)。ここで図4は図3のステップS10における第1溶接ビード100の形成様子を示す模式図である。
尚、上述したように溶接対象物1は略円筒形状を有するため、外表面は曲面であるが、図4では、図示をわかりやすくするために、溶接対象物1の周方向に沿った外表面を平面的に示している。
図4に示されるように、溶接トーチ6と母材12との間にアーク13を発生させることで、母材12には所定の大きさの溶融池14が形成される。この溶融池14へ溶接金属である溶接ワイヤ10を送給する一方、溶接トーチ6を所定の周期でウィービングさせつつ溶接方向Iへ移動させることで、溶接ワイヤ10の一部が母材12と溶け込み、第1溶接ビード100が形成される。
尚、図4において、符号IIは溶接トーチ6の軌跡を示し、符号IIIは溶接ワイヤ10の送給方向を示している。
尚、第1溶接ビード100を形成する際の溶接機2の設定条件は任意でよいが、例えば、後述する第2溶接ビード200と同様の設定を適用してもよい。
続いて第1溶接ビード100の隣の領域に第2溶接ビード200を形成する(ステップS20)。つまり、すなわち、先行して形成された第1溶接ビード100の隣の領域へ溶接トーチ6を移動し、当該溶接トーチ6と母材12との間にアークを発生させて生じた溶融池14へ溶接金属を送給する一方、当該溶接トーチ6をウィービングさせつつ溶接方向へ移動させて第2溶接ビード200を形成する。このように溶接ビードの形成を繰返し行うことで、母材12の表面が広範囲に亘って溶接金属で覆われる。
ここで図5は図3のステップS20における第2溶接ビード200の形成様子を示す模式図であり、図6は図5で母材12上に描かれる溶接トーチ6の軌跡IVを示す図である。
尚、上述したように溶接対象物1は略円筒形状を有するため、外表面は曲面であるが、図5及び図6では、図示をわかりやすくするために、溶接対象物1の周方向に沿った外表面を平面的に示している。
母材12上における溶接トーチ6の軌跡IVは、第2溶接ビード200の形成が開始されるスタート地点Sから、第2溶接ビード200の形成が終了するエンド地点Eまで続いている。第2溶接ビード200は溶接対象物1の周方向全体にわたって形成されるため、スタート地点Sとエンド地点Eは実質的に同一地点を示す。つまり、溶接対象物1の外表面を周方向に沿って溶接トーチ6を360度にわたって運棒することで、第2溶接ビード200の形成が行われる。また第2溶接ビード200の形成は、先行する第1溶接ビード100の一方の端部100aに後行する第2溶接ビード200が重なるように行われる。
図6に示されるように、第2溶接ビード200を形成する際の溶接トーチ6の運棒パターンは、第2溶接ビード200の形成ステージ毎に、(a)スタート条件、(b)定常条件、(c)エンド条件に分類される。
(a)スタート条件は、第2溶接ビード200の形成を開始するときの条件であり、CMTモードより入熱量が大きなパルスモードが選択される。また(a)スタート条件における運棒パターンは、溶接方向Iに沿ったジグザグパターンであり、例えば前進角10度、トーチ角0度に設定される。このように(a)スタート条件では入熱量が大きなパルスモードを選択することで、母材12への溶け込みを深くすることができ、スタート地点S近傍における融合不良の発生を効果的に抑制できる。
(b)定常条件は、第2溶接ビード200を形成するための条件であり、第2溶接ビード200を形成するためのメイン条件である。(b)定常条件では、パルスモードより入熱量が小さなCMTモードが選択される。このように小さな入熱量のCMTモードを選択することにより、第2溶接ビード200を形成する際の母材12の溶融を抑え、希釈率を低くすることができる。またCMTモードでは、パルスモードより入熱量が小さいため、形成される肉盛の高さが大きくなることから、効率的な肉盛形成が可能となる。
ここで図7は図6の(b)定常条件における軌跡IVを拡大して示す図である。(b)定常条件における溶接トーチ6の運棒は、軌跡IVに溶接方向Iとは逆方向に向かう第1運棒パターンIV−1が含まれるように実施される。このような運棒を行うことにより、母材12に形成される溶融池14が溶接トーチ6に対して先行しにくくなる。その結果、溶接トーチ6の入熱量が低い場合であっても、母材12に対して必要な入熱を行うことができ、融合不良の発生を効果的に抑制できる。
このような第1運棒パターンIV−1は、第1溶接ビード100に向けて行われる。つまり、先に形成された第1溶接ビード100に溶接トーチ6が乗り上げるように、溶接トーチ6の運棒がなされる。これにより、第1溶接ビード100との間で融合不良が発生することを抑制しながら、形成される肉盛層の厚みを効果的に増やすことができる。その結果、第2溶接ビード200の形成に要する作業時間を効果的に短縮できる。
また溶接トーチ6の運棒は、軌跡IVに溶接方向Iに沿って直進する第2運棒パターンIV−2が含まれるように実施される。このような運棒は、好ましくは、第1溶接ビード100の端部100a上に沿って行われる。第1溶接ビード100の一方の端部100aに第2溶接ビード200を重ねて溶接すると、第2溶接ビード200の溶接金属が母材12に対して十分に溶けず、融合不良が生じやすいが、このように第2運棒パターンIV−2を第1溶接ビード100の端部100a上で行うことにより、溶融金属の母材12への溶け込みを促進し、融合不良の発生を効果的に抑制できる。
尚、第2運棒パターンIV−2は、見かけ上、溶接トーチ6が母材12の表面を前進するように示されているが、図1を参照して前述したように、溶接対象物1をターニング装置によって回転させながら溶接トーチをウィービングする場合には、溶接トーチ6のウィービング(溶接対象物1の回転方向とは垂直方向に沿った動き)を一時的に停止させることによって実現されてもよい。
(b)定常条件は、更に(b−1)第1定常条件と(b−2)第2定常条件とに分類される。第1定常条件(b−1)及び第2定常条件(b−2)は共通する上記運棒パターンを有するが、第1定常条件(b−1)では、第2定常条件(b−2)に比べて振幅が小さくなっている。これは、(a)スタート条件から(b−2)第2定常条件に直接移行すると、運棒パターンが急激に変化することによって溶融不良が生じる可能性が高くなるからである。そのため、本実施形態では、(a)スタート条件と(b−2)第2定常条件との間に、振幅が小さい(b−1)第1定常条件を介在させることで、このような溶融不良を抑制している。
(c)エンド条件は、第2溶接ビード200の形成を終了するときの条件であり、CMTモードより入熱量が大きなパルスモードが選択される。(c)エンド条件における運棒パターンは、(b)定常条件と同様である。このように(c)エンド条件では入熱量が大きなパルスモードが選択されることにより、母材12への溶接金属の溶け込みを深くすることができ、エンド地点Eにおける融合不良の発生を効果的に抑制できる。
また(c)エンド条件では、第2溶接ビード200の形成が、第1溶接ビード100側で終了する。エンド地点Eでは溶接トーチ6を母材12から離す際に少なからず盛り上がり形状が生じるが、第2溶接ビード200に続いてさらなる溶接ビードを形成する際に、このような盛り上がり形状が妨げとならなくすることができる。これにより、溶接ビードを繰り返し形成する際に、次に形成される溶接ビードとの重なりを良好に形成できる。
また本実施形態では(a)スタート条件から(c)エンド条件に至るまで、溶接トーチ6のウィービングは、第1溶接ビード100の端部100aより第1溶接ビード100側の第1領域Aにおける振幅T1が、第1領域Aとは反対側の第2領域Bにおける振幅T2に比べて小さくなるように実施される。これにより、第1領域Aに形成される肉盛に比べて、第2領域Bに形成される肉盛の傾斜をなだらかにすることができる。これにより、繰り返し溶接ビードを形成する際に、次に形成される溶接ビードとの重なりを良好に形成できる。
以上説明したように本発明の少なくとも一実施形態によれば、肉盛溶接で溶接方向Iに沿った溶接ビードを形成する際に、溶接トーチ6の軌跡IVに溶接方向Iとは逆方向に向かう第1運棒パターンIV−1を含むように、溶接トーチ6の運棒が行われる。このような運棒を行うことにより、母材12に形成される溶融池が溶接トーチ6に対して先行しにくくなる。その結果、溶接トーチ6の入熱量が低い場合であっても、母材12に対して必要な入熱を行うことができ、融合不良の発生を効果的に抑制できる。
このようにして、低入熱の溶接トーチを用いて、融合不良に起因する欠陥発生を抑制しつつ、効率的な肉盛形成が可能な肉盛溶接方法を提供できる。
本発明の少なくとも一実施形態は、母材の表面を溶接金属で覆う肉盛溶接方法に利用可能である。
1 溶接対象物
2 溶接機
3 フィールド
4 ベース
6 溶接トーチ
8 アーム
10 溶接ワイヤ
12 母材
13 アーク
14 溶融池
20 制御部
100 第1溶接ビード
200 第2溶接ビード
A 第1領域
B 第2領域
E エンド地点
I 溶接方向
IV 軌跡
IV−1 第1運棒パターン
IV−2 第2運棒パターン
S スタート地点

Claims (12)

  1. 溶接トーチと母材との間にアークを発生させて生じた溶融池に溶接金属を送給する一方、前記溶接トーチをウィービングさせながら溶接方向へ移動させて第1溶接ビードを形成し、前記第1溶接ビードの隣の領域に第2溶接ビードを形成することにより肉盛溶接を行う肉盛溶接方法であって、
    前記母材に対する前記溶接トーチの軌跡に、前記溶接方向とは逆方向に向かう第1運棒パターンが含まれるように、前記ウィービングを実施することにより前記第2溶接ビードを形成する工程を備える、肉盛溶接方法。
  2. 前記第1運棒パターンは、前記第1溶接ビードに向けて行われる、請求項1に記載の肉盛溶接方法。
  3. 前記第2溶接ビードを形成する工程では、前記母材に対する前記溶接トーチの軌跡に、前記溶接方向に沿って直進する第2運棒パターンが含まれるように、前記ウィービングが実施される、請求項1又は2に記載の肉盛溶接方法。
  4. 前記第2運棒パターンは、前記第1溶接ビードの端部上で行われる、請求項3に記載の肉盛溶接方法。
  5. 前記第2溶接ビードを形成する工程に比べて高い入熱量で、前記第2溶接ビードの形成を開始する工程を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
  6. 前記第2溶接ビードを形成する工程に比べて高い入熱量で、前記第2溶接ビードの形成を終了する工程を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
  7. 前記第2溶接ビードの形成を開始する工程又は前記第2溶接ビードの形成を終了する工程は、前記溶接方向に沿って前記ウィービングが実施される、請求項5又は6に記載の肉盛溶接方法。
  8. 前記第2溶接ビードを形成する工程は、
    第1振幅で前記ウィービングを行う工程と、
    前記第1振幅より大きな第2振幅で前記ウィービングを行う工程と、
    を順に含む、請求項7に記載の肉盛溶接方法。
  9. 前記ウィービングは、前記第2溶接ビードの中心ラインより前記第1溶接ビード側の第1領域における振幅が、前記第1領域とは反対側の第2領域における振幅に比べて小さくなるように実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
  10. 前記第2溶接ビードの形成は、前記第2溶接ビードの中心ラインより前記第1溶接ビード側で終了する、請求項1から9のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
  11. 前記肉盛溶接は、前記母材の表面を前記溶接金属で覆うクラッド溶接である、請求項1から10のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
  12. 前記肉盛溶接は、低入熱溶接用モード又はパルスモードを切替可能な溶接機を用いて実施される、請求項1から11のいずれか一項に記載の肉盛溶接方法。
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