JP2019126219A - ソーラー発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電装置の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させる。【解決手段】ソーラー発電システムは、光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、太陽電池から出力される電力により充電される蓄電装置と、太陽電池によるソーラー発電量EAがしきい値Th1よりも小さいときには、許可条件が成立する場合を除いて、蓄電装置への充電を行なわない制御装置とを備える。制御装置は、ソーラー発電量EAがしきい値Th1よりも小さいときでも、電池温度TBがしきい値Th2以上であることと、電池電流IBがしきい値Th3以下であることと、車室内温度TEがしきい値Th4以上であることとのいずれかが成立しない場合(ステップS15〜S17のいずれかにおいてNO)には、ソーラー充電の許可条件が成立すると判断し、ソーラー充電を行なうことを許可する(S11〜S19)。【選択図】図3

Description

本開示は、ソーラー発電システムに関し、特に、車両に搭載された蓄電装置の充電に好適に用いられるソーラー発電システムに関する。
ソーラー発電システムが搭載された車両が公知である。こうしたソーラー発電システムにおいて、太陽電池(たとえば、ソーラーパネル)から出力される電力は、車両に搭載された蓄電装置の充電に使用される。そして、蓄電装置に蓄えられた電力は、車両の走行等のために使用される。光エネルギーを利用して発電した電力を蓄電装置に蓄えることで、車両のエネルギー効率は向上する。しかし、蓄電装置の充放電の頻度が多くなるほど、蓄電装置の劣化は進行しやすくなる。
特開2014−200149号公報(特許文献1)には、ソーラーパネルで発生した発電電力が所定未満である場合に、特定の蓄電装置については、上記のソーラーパネルから出力される電力により充電を行なわないようにすることが開示されている。以下、太陽電池による発電を「ソーラー発電」とも称する。
特開2014−200149号公報
蓄電装置の充電の頻度を減らすことで、蓄電装置の劣化を抑制することは可能である。しかし、ソーラー発電による蓄電装置の充電が頻繁に停止されることは、エネルギー効率の観点からは好ましくない。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄電装置の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることである。
本開示のソーラー発電システムは、光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、蓄電装置と、制御装置とを備える。蓄電装置は、太陽電池から出力される電力により充電されるように構成される。制御装置は、太陽電池から出力される電力が所定値よりも小さいときには、許可条件が成立する場合を除いて、蓄電装置への上記充電(すなわち、ソーラー発電による充電)を行なわないように構成される。そして、上記の許可条件は、少なくとも蓄電装置の環境温度、蓄電装置の温度、及び蓄電装置の電流を用いて定められている。
太陽電池から出力される電力(すなわち、太陽電池による発電量)が小さい場合には、蓄電装置への充電を行なったとしても、蓄電装置に多くのエネルギーが充電されることは期待できない。また、太陽電池による発電量が小さい場合には、太陽電池の発電不調が生じている可能性がある。太陽電池の発電不調とは、故障や汚れ等により太陽電池が正常に発電を行なうことができない状態になっていることをいう。発電不調が生じている太陽電池は、十分な光エネルギーを与えられても、正常時と比べて小さい電力しか出力できなくなる。
上記ソーラー発電システムの制御装置は、太陽電池から出力される電力が小さい場合には、原則として、ソーラー発電による蓄電装置への充電(以下、「ソーラー充電」と称する場合がある)を行なわない。これにより、蓄電装置への充電頻度が少なくなり、蓄電装置の劣化を抑制することが可能になる。
ただし、上記ソーラー発電システムの制御装置は、許可条件が成立する場合には、例外的にソーラー充電を行なう。こうすることで、ソーラー充電の機会を増やして、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることができる。
また、上記の許可条件は、少なくとも蓄電装置の環境温度、蓄電装置の温度、及び蓄電装置の電流を用いて定められている。これら蓄電装置の環境温度、温度、及び電流は、以下に示す副反応の起こりやすさに大きく影響する。
蓄電装置の温度が高くなると、蓄電装置において充電のための反応(以下、「充電反応」と称する)とは異なる反応(以下、「副反応」と称する)が起こる傾向がある。そして、蓄電装置の環境温度(蓄電装置の周囲の温度)が高いほど、蓄電装置は冷えにくくなる。また、蓄電装置の電流が低いときほど、蓄電装置において副反応が起こりやすくなる傾向がある。
蓄電装置において副反応が起こると、充電反応が起こりにくくなる。このため、副反応が起こると、充電効率が悪くなる。さらに、副反応は、蓄電装置を発熱させ、蓄電装置の劣化を促進する傾向がある。
上記のような蓄電装置の環境温度、蓄電装置の温度、及び蓄電装置の電流を用いて許可条件を定めることで、許可条件として、副反応が起こりにくい条件を定めることが可能になる。たとえば、蓄電装置の温度がしきい値(Th2)よりも低いことと、蓄電装置の電流がしきい値(Th3)よりも大きいことと、蓄電装置の環境温度がしきい値(Th4)よりも低いこととのいずれかが成立する場合にソーラー充電が許可されるように、許可条件を定めてもよい。
太陽電池から出力される電力が小さいときには、原則としてソーラー充電を行なわず、上記の許可条件(すなわち、副反応が起こりにくい条件)が成立する場合に例外的にソーラー充電を行なうことで、蓄電装置の劣化を抑制しつつ、ソーラー充電の機会を増やすことが可能になる。
なお、上記ソーラー発電システムにおいて、充電を「行なわない」ことには、実行中の充電を停止することと、充電を禁止することとが含まれる。
また、蓄電装置が車室内に搭載される場合には、蓄電装置の「環境温度」は車室内温度に相当する。蓄電装置の例としては、ニッケル水素電池が挙げられる。
本開示によれば、蓄電装置の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることが可能になる。
本開示の実施の形態1に従うソーラー発電システムが適用された車両の全体構成を概略的に示す図である。 図1に示した車両に搭載された機器の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に従うソーラー発電システムにおいて、ECUにより実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。 本開示の実施の形態2に従うソーラー発電システムにおいて、ECUにより実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。 図4の処理中で評価ポイントPの算出に用いられるテーブルの一例である。 正常システムと不調システムとについて、日射量(大/中/小)ごとに評価ポイントPの算出結果の一例を示す図である。 本開示の実施の形態3に従うソーラー発電システムにおいて、ECUにより実行される発電不調フラグ設定の処理手順を示したフローチャートである。 実施の形態3に従うソーラー発電システムにおいて、ECUにより実行される充電禁止フラグ設定の処理手順を示したフローチャートである。 実施の形態3に従うソーラー発電システムにおいて、ECUにより実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。 本開示の実施の形態4に従うソーラー発電システムにおいて、ソーラー充電制御に用いるマップを選択するための処理の手順を示したフローチャートである。 図10の処理によって選択される第1のマップ(マップA)を示す図である。 図10の処理によって選択される第2のマップ(マップB)を示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1及び図2を用いて、本開示の実施の形態1に従うソーラー発電システムが適用された車両1の構成について説明する。以下では、代表的な例として、車両1が、駆動源としてモータジェネレータを搭載した電動車両である例について説明する。
図1は、車両1の構成を概略的に示した図である。図1を参照して、車両1は、電池パック20と、パワーコントロールユニット(以下、「PCU(Power Control Unit)」と称する)30と、ソーラーPCU40と、ソーラーパネル50と、ソーラーバッテリ60と、補機バッテリ70とを備える。
図2は、車両1に搭載された機器の構成を示すブロック図である。図2を参照して、車両1は、駆動輪2と、動力伝達ギヤ4と、モータジェネレータ(以下、「MG(Motor Generator)」と称する)6と、電子制御ユニット(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)100と、車室内温度センサ101とをさらに備える。MG6は、たとえば、三相交流回転電機である。MG6の出力トルクは、減速機等によって構成された動力伝達ギヤ4を介して駆動輪2に伝達される。MG6は、車両1の回生制動動作時には、駆動輪2の回転力によって発電することも可能である。
電池パック20は、高電圧系(たとえば、後述する低電圧系よりも高い電圧系)のメインバッテリである。電池パック20は、組電池22と、システムメインリレー(以下、「SMR」と称する)24と、充電リレー(以下、「CHR」と称する)26とを含む。
電池パック20は、車両1の駆動源であるMG6との間で電力を授受する。電池パック20の電力は、PCU30を経由してMG6に供給される。また、電池パック20は、MG6により発電された電力を用いて充電される。なお、電池パック20は、車両1の外部の電源(図示せず)から供給される電力を用いて充電されてもよい。
電池パック20は、たとえば、車両1の後部座席よりも下方の位置であって、かつ、左右の後輪のホイールハウス間に設けられる。また、図示していないが、電池パック20を冷却するための送風装置が設けられている。送風装置は、吸気口(図示せず)から取り込まれた外気を電池パック20へ送風して、電池パック20を冷却するように構成される。送風装置として、ファン又はブロワを採用できる。
組電池22は、たとえば複数個のセルが直列に接続されて構成される。ただしこれに限られず、組電池22は、複数個のセルにより構成された電池モジュール(たとえば、直列に接続された複数個のセルと直列に接続された複数個のセルとが並列に接続されて構成される電池モジュール)が複数個直列に接続されて構成されてもよい。セルとしては、たとえばリチウムイオン電池を採用できる。ただし、リチウムイオン電池以外の二次電池(たとえば、ニッケル水素電池)をセルとして採用してもよい。組電池22の電圧は、たとえば200V程度である。
SMR24は、PCU30と組電池22とを接続する電力線PL1,NL1上に設けられる。SMR24は、ECU100からの制御信号C1に基づいて、PCU30と組電池22との間を電気的に接続状態(オン状態)にしたり、遮断状態(オフ状態)にしたりする。
CHR26は、組電池22とSMR24とを接続する電力線PL1,NL1から分岐してソーラーPCU40に接続される電力線PL2,NL2上に設けられる。CHR26は、ECU100からの制御信号C2に基づいて、電力線PL1,NL1と、ソーラーPCU40との間を電気的に接続状態(オン状態)にしたり、遮断状態(オフ状態)にしたりする。
PCU30は、たとえば、コンバータ及びインバータ(いずれも図示せず)を含む。コンバータ及びインバータの各々は、複数個のスイッチング素子を有し、それらスイッチング素子のオン/オフ制御によって動作する。PCU30は、電池パック20の直流電力を交流電力に変換してMG6に供給したり、MG6において生じた回生電力(交流電力)を直流電力に変換して電池パック20に供給したりする。
PCU30において、コンバータは、電池パック20から受けた直流電力の電圧を昇圧してインバータに出力する。インバータは、コンバータが出力した直流電力を交流電力に変換してMG6に出力する。こうして、電池パック20に蓄えられた電力によりMG6が駆動される。
PCU30において、インバータは、MG6によって発電される交流電力を直流電力に変換してコンバータに出力する。コンバータは、インバータが出力した直流電力の電圧を降圧して電池パック20へ出力する。こうして、MG6で発電された電力により電池パック20が充電される。
PCU30は、電池パック20の電圧を補機バッテリ70の充電に適した電圧(たとえば、DC12V程度)に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)をさらに含む。DC/DCコンバータは、変換された電力を補機バッテリ70に供給することによって補機バッテリ70を充電する。
補機バッテリ70は、低電圧系(たとえば、12V系)のメインバッテリであり、補機負荷(図示せず)に対して電力を供給する。補機バッテリ70としては、たとえば鉛バッテリを採用できる。ただし、鉛バッテリ以外の二次電池(たとえば、ニッケル水素電池)を補機バッテリ70として採用してもよい。補機負荷は、比較的低い電圧(たとえば、12V程度)で駆動する電気負荷(照明装置、ワイパー装置、オーディオ装置、カーナビゲーションシステム、ECU100等)である。
ソーラーパネル50は、太陽からの光エネルギーを利用して発電する太陽電池である。ソーラーパネル50は、光エネルギーを直流電力に変換するように構成される。ソーラーパネル50は、たとえば図1に示すように、車両1のルーフアウタパネルに設置される。ただし、ソーラーパネル50の位置は任意に変更できる。たとえば、ソーラーパネル50を、ルーフアウタパネル以外のアウタパネル(たとえば、ボンネットアウタパネル)に設置してもよい。ソーラーパネル50において発電された電力は、ソーラーPCU40を経由してソーラーバッテリ60に供給される。
ソーラーバッテリ60は、ソーラーパネル50において発電された電力を蓄電する蓄電装置である。すなわち、ソーラーバッテリ60は、ソーラーパネル50から出力される電力により充電される。ソーラーバッテリ60の充放電制御は、ECU100が後述するソーラーPCU40を制御することによって行なわれる。ソーラーバッテリ60のSOC(State Of Charge)が所定のしきい値(以下、「サブSOC上限値」と称する)を超えると、ソーラーバッテリ60からメインバッテリ(電池パック20又は補機バッテリ70)への放電が行なわれる。すなわち、ソーラーバッテリ60は、中間貯蔵用のサブバッテリに相当する。SOCは、満充電容量に対する現在の充電容量の割合(たとえば、百分率)で定義される。
ソーラーバッテリ60は、複数個(たとえば、3個)のセルが直列に接続されて構成される組電池である。ただしこれに限られず、ソーラーバッテリ60は、複数個のセルにより構成された電池モジュールが複数個(たとえば、3個)直列に接続されて構成される組電池であってもよい。
この実施の形態では、ソーラーバッテリ60を構成するセルとして、ニッケル水素電池を採用する。ニッケル水素電池は、ケース内に、正極と、負極と、水系電解液(たとえば、アルカリ水溶液)とを有する二次電池である。電極材料や電解液としては、ニッケル水素電池の材料として公知の各種材料の中から任意に選択した材料を用いることができる。たとえば、正極には、水酸化ニッケル(Ni(OH)又はNiOOH)とコバルト化合物との固溶体を含む正極活物質層と、活物質支持体(発泡ニッケル等)とを含む電極板を採用できる。また、負極には、水素吸蔵合金を含む電極板を採用できる。水素吸蔵合金は、たとえば、水素吸蔵能力に優れる金属(Ti、Zr、Pd、Mg等)と水素放出能力に優れる金属(Fe、Co、Ni等)との合金である。電解液には、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)を含むアルカリ水溶液を採用できる。ただしこれに限られず、ニッケル水素電池以外の二次電池(たとえば、リチウムイオン電池)をソーラーバッテリ60のセルとして採用してもよい。
ソーラーバッテリ60は、たとえば、車室内(乗員が搭乗する車両1内の空間)において、センターコンソールの下部に設けられる。ソーラーバッテリ60には、冷却装置(ファン等)が設けられておらず、ソーラーバッテリ60の冷却は自然放熱で行なわれる。なお、ソーラーバッテリ60の搭載位置は、上記に限られず任意に変更できる。
ソーラーPCU40は、高圧DC/DCコンバータ42と、ソーラーDC/DCコンバータ44と、補機DC/DCコンバータ46と、監視回路48とを含む。
高圧DC/DCコンバータ42は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーバッテリ60の直流電力を組電池22の充電が可能な直流電力に変換する。高圧DC/DCコンバータ42は、変換した電力を電池パック20の組電池22に供給する。
ソーラーDC/DCコンバータ44は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーパネル50から供給される直流電力をソーラーバッテリ60の充電が可能な直流電力に変換する。ソーラーDC/DCコンバータ44は、変換した電力をソーラーバッテリ60に供給する。
補機DC/DCコンバータ46は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーバッテリ60の直流電力を補機バッテリ70の充電が可能な直流電力に変換する。補機DC/DCコンバータ46は、変換した電力を補機バッテリ70に供給する。
ソーラーバッテリ60のSOCが前述のサブSOC上限値に達するまで増加した場合には、ソーラーPCU40は、ソーラーバッテリ60の電力を用いてメインバッテリ(電池パック20又は補機バッテリ70)を充電する。電池パック20が充電される場合には、CHR26がオンされる。
監視回路48は、ソーラーバッテリ60の状態を監視する。ソーラーバッテリ60には、温度センサ62と、電圧センサ64と、電流センサ66とが設けられる。温度センサ62は、ソーラーバッテリ60の温度(電池温度)を検出し、その検出値を監視回路48へ出力する。電圧センサ64は、ソーラーバッテリ60の電圧を検出し、その検出値を監視回路48へ出力する。電流センサ66は、ソーラーバッテリ60の電流を検出し、その検出値を監視回路48へ出力する。そして、監視回路48は、ソーラーバッテリ60の状態(温度、電圧、電流)を示す信号をECU100へ出力する。
なお、電圧センサ64及び温度センサ62の各々は、セル1個につき1つずつ設けられていてもよいし、複数個のセル毎に1つずつ設けられていてもよいし、1つの組電池に対して1つだけ設けられていてもよい。ソーラーバッテリ60を構成するセル毎にセンサを設ける場合には、複数のセルの各々について検出されたデータの代表値(平均値、中央値、又は最高値等)を、ソーラーバッテリ60の検出値として用いることができる。また、ソーラーバッテリ60の電流は、ECU100内のシャント抵抗で計測するようにしてもよい。
ECU100は、演算装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置と、各種信号を入出力するための入出力ポートと(いずれも図示せず)を含んで構成される。ECU100の記憶装置は、作業用メモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、保存用ストレージ(ROM(Read Only Memory)、書き換え可能な不揮発性メモリ等)とを含む。記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することで、各種制御が実行される。ただし、ECU100が行なう各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
ECU100において、CPUは、取得した情報(演算結果等)を、記憶装置(たとえば、書き換え可能な不揮発性メモリ)に出力して記憶装置に保存する。ECU100の記憶装置は、車両1の走行制御や各バッテリの充電制御に用いられる情報を予め記憶していてもよい。
たとえば、車両1の走行中には、ECU100が、各センサから受ける信号並びに記憶装置に記憶された各種プログラム及びマップに基づいてPCU30(ひいては、MG6)を制御することにより、車両1の走行制御を行なう。ECU100は、PCU30を制御することにより電池パック20の放電制御を行なう。ECU100は、電池パック20からPCU30への放電を制御することにより、MG6に対する電力供給量(ひいては、MG6のトルク等)を制御できる。また、車両1の走行中にMG6の発電電力により電池パック20が充電される場合には、ECU100は、PCU30を制御することにより電池パック20の充電電力(ひいては、組電池22のSOC)を制御する。
車室内温度センサ101は、車両1の車室内温度(車室内の空気の温度)を検出して、その検出値をECU100へ出力する。車両1の車室内温度は、ソーラーバッテリ60の環境温度に相当する。すなわち、この実施の形態では、車室内温度センサ101によってソーラーバッテリ60の環境温度が検出される。
ところで、蓄電装置の充放電の頻度が多くなるほど蓄電装置の劣化は進行しやすくなるため、蓄電装置の劣化を抑制するためには、蓄電装置の充電の頻度を減らすことが好ましい。しかし、ソーラー発電システムが搭載された車両においては、光エネルギーを利用して発電した電力を蓄電装置に蓄えることで、車両のエネルギー効率を向上させており、ソーラー発電による蓄電装置の充電が頻繁に停止されることは、エネルギー効率の観点からは好ましくない。
そこで、この実施の形態に従うソーラー発電システムでは、ECU100(制御装置)が、次に示すような制御を行なうように構成される。
ECU100は、ソーラーパネル50から出力される電力が小さい場合には、原則として、ソーラーパネル50からソーラーバッテリ60へのソーラー充電を行なわない。これにより、ソーラーバッテリ60への充電頻度が少なくなり、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制することが可能になる。
ただし、ECU100は、許可条件が成立する場合には、例外的に上記のソーラー充電を行なう。こうすることで、ソーラー充電の機会を増やして、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることができる。
上記の許可条件は、少なくとも車両1の車室内温度(ソーラーバッテリ60の環境温度)、ソーラーバッテリ60の温度(以下、「電池温度」と称する場合がある)、及びソーラーバッテリ60の電流(以下、「電池電流」と称する場合がある)を用いて定められている。これら車室内温度、電池温度、及び電池電流は、ソーラーバッテリ60(この実施の形態では、ニッケル水素電池)における副反応の起こりやすさに大きく影響する。
電池温度が高くなると、副反応として発熱反応が起こる傾向がある。そして、車室内温度が高いほど、ソーラーバッテリ60は冷えにくくなる。また、電池電流が低いときほど、上記の副反応が起こりやすくなる傾向がある。
電池において副反応が起こると、充電反応が起こりにくくなる。このため、副反応が起こると、充電効率が悪くなる。充電効率が悪くなると、ソーラー発電(ソーラーパネル50による発電)で発生したエネルギーは、副反応で熱に変換されることにより失われて、ソーラーバッテリ60に蓄えられなくなる。
上記のような車室内温度、電池温度、及び電池電流を用いて許可条件を定めることで、許可条件として、副反応が起こりにくい条件を定めることが可能になる。そして、ソーラーパネル50から出力される電力が小さいときには、原則としてソーラー充電を行なわず、上記の許可条件(すなわち、副反応が起こりにくい条件)が成立する場合に例外的にソーラー充電を行なうことで、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制しつつ、ソーラー充電の機会を増やすことが可能になる。以下、図3を用いて、ECU100が行なうソーラー充電制御について詳述する。
図3は、実施の形態1に従うソーラー発電システムにおいて、ECU100により実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ソーラー充電の実行要求があった時にメインルーチンから呼び出されて実行される。ソーラー充電の実行要求は、ユーザの指示であってもよいし、所定条件の成立(タイマーによる充電開始時刻の到来等)であってもよい。
図3を参照して、ECU100は、ソーラーPCU40(ソーラーDC/DCコンバータ44等)を制御して、ソーラーパネル50によるソーラー発電を実行する(ステップS11)。ソーラーパネル50により発電された電力は、ソーラーバッテリ60に出力される。
次いで、ECU100は、ソーラーパネル50による単位時間あたりの発電量(以下、「ソーラー発電量E」と称する)を算出する(ステップS12)。ソーラー発電量Eは、たとえば、ソーラーバッテリ60の単位時間あたりのSOC上昇量に基づいて求めることができる。SOCの測定方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、又は開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
ECU100は、ステップS12で算出されたソーラー発電量Eがしきい値Th1以上であるか否かを判断する(ステップS13)。そして、ソーラー発電量Eがしきい値Th1以上である場合(ステップS13においてYES)には、ECU100は、ステップS18で充電が完了したと判断されるまで、ソーラーパネル50によるソーラー発電とソーラーバッテリ60へのソーラー充電とを続ける(ステップS11〜S13及びS18)。すなわち、ステップS18で充電が完了していない(ステップS18においてNO)と判断されている間は、ソーラー充電が行なわれる。なお、しきい値Th1は任意に設定できる。しきい値Th1は、固定値であってもよいし、車両1の状況等に応じて可変であってもよい。
ステップS18において、ECU100は、所定の完了条件が成立したか否かに基づいて充電が完了したか否かを判断する。すなわち、ECU100は、完了条件が成立した場合に充電が完了したと判断する。完了条件は任意に設定することができる。たとえば、ソーラー発電時間(最初にステップS11でソーラー発電を開始した時からの経過時間)が所定のしきい値よりも長くなった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。また、ソーラー発電中にソーラーバッテリ60(又は、ソーラーバッテリ60から電力を供給されるメインバッテリ)のSOCが所定のしきい値よりも大きくなった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。また、ソーラー発電中にユーザから発電停止の指示があった場合に完了条件が成立するようにしてもよい。
ステップS18で充電が完了したと判断された場合(ステップS18においてYES)には、ECU100は、ソーラーPCU40(ソーラーDC/DCコンバータ44等)を制御して、ソーラーパネル50によるソーラー発電とソーラーバッテリ60へのソーラー充電とを停止させる(ステップS19)。その後、処理はメインルーチンへと戻される。
他方、ステップS12で算出されたソーラー発電量Eがしきい値Th1未満であると判断された場合(ステップS13においてNO)には、ECU100は、車室内温度センサ101の検出値(車両1の車室内温度を示す車室内温度TE)と、温度センサ62の検出値(ソーラーバッテリ60の温度を示す電池温度TB)と、電流センサ66の検出値(ソーラーバッテリ60の電流を示す電池電流IB)とを取得する(ステップS14)。そして、ECU100は、取得した各データを記憶装置に保存する。
次に、ECU100は、電池温度TBがしきい値Th2以上であるか否か(ステップS15)、電池電流IBがしきい値Th3以下であるか否か(ステップS16)、車室内温度TEがしきい値Th4以上であるか否か(ステップS17)を、順次判断する。なお、しきい値Th2〜Th4は任意に設定できる。しきい値Th2〜Th4は、各々独立して、固定値であってもよいし、車両1の状況等に応じて可変であってもよい。
ステップS15〜S17の全てが成立する場合(ステップS15〜S17の全てにおいてYES)には、ECU100は、ソーラー発電及びソーラー充電を直ちに停止させる(ステップS19)。その後、処理はメインルーチンへと戻される。
他方、ステップS15〜S17のいずれかが成立しない場合(ステップS15〜S17のいずれかにおいてNO)には、ECU100は、ステップS18に進み、ステップS18で充電が完了したと判断されるまでソーラー発電及びソーラー充電が行なわれる(ステップS11〜S13及びS18)。そして、ステップS18で充電が完了したと判断された場合(ステップS18においてYES)には、ECU100は、ステップS19においてソーラー発電及びソーラー充電を停止させる。その後、処理はメインルーチンへと戻される。
ソーラー充電の実行要求に応じて上記図3の処理が実行されることによって、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることが可能になる。
ソーラー発電量Eがしきい値Th1よりも小さいときに、電池温度TBがしきい値Th2以上であり、電池電流IBがしきい値Th3以下であり、かつ、車室内温度TEがしきい値Th4以上である場合には、ソーラーバッテリ60における副反応により電池電流の大部分が発熱で消費され、充電効率が大きく低下していると考えられる。このため、ECU100は、ステップS15〜S17の全てが成立する場合(ステップS15〜S17の全てにおいてYES)には、ソーラー充電の許可条件が成立しないと判断し、実行中のソーラー充電(ひいては、ソーラー発電)を直ちに停止させる。これにより、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制することができる。
他方、電池温度TBがしきい値Th2以上であることと、電池電流IBがしきい値Th3以下であることと、車室内温度TEがしきい値Th4以上であることとのいずれかが成立しない場合には、副反応による充電効率の低下が少ないと考えられる。このため、ECU100は、ソーラー発電量Eがしきい値Th1よりも小さいときでも、ステップS15〜S17のいずれかが成立しない場合(ステップS15〜S17のいずれかにおいてNO)には、ソーラー充電の許可条件が成立すると判断し、ソーラー充電(ひいては、ソーラー発電)を行なうことを許可する。これにより、ソーラー充電の機会を増やすことができる。
[実施の形態2]
本開示の実施の形態2に従うソーラー発電システムについて説明する。実施の形態2は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
実施の形態2に従うソーラー発電システムは、基本的には、実施の形態1に従うソーラー発電システムに準ずる構成を有する。ただし、実施の形態2に従うソーラー発電システムでは、ECU100が、図3の処理に代えて、図4の処理を行なうように構成される。以下、図4を用いて、実施の形態2においてECU100が行なうソーラー充電制御について詳述する。
図4は、実施の形態2に従うソーラー発電システムにおいて、ECU100により実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ソーラー充電の実行要求があった時にメインルーチンから呼び出されて実行される。ソーラー充電の実行要求は、ユーザの指示であってもよいし、所定条件の成立(タイマーによる充電開始時刻の到来等)であってもよい。
図4を参照して、ECU100は、図3のステップS11〜S13に準ずるステップS21〜S23を実行する。そして、ステップS23でソーラー発電量Eがしきい値Th1以上であると判断された場合(ステップS23においてYES)には、ECU100は、ステップS27で充電が完了したと判断されるまでソーラー発電及びソーラー充電を続ける(ステップS21〜S23及びS27)。ステップS27は、図3のステップS18に準ずるステップである。
ステップS27で充電が完了したと判断された場合(ステップS27においてYES)には、ECU100は、ステップS28においてソーラー発電及びソーラー充電を停止させる。その後、処理はメインルーチンへと戻される。ステップS28は、図3のステップS19に準ずるステップである。
他方、ステップS22で算出されたソーラー発電量Eがしきい値Th1未満であると判断された場合(ステップS23においてNO)には、ECU100は、ステップS24において、車室内温度TE、電池温度TB、及び電池電流IBを取得し、取得した各データを記憶装置に保存する。ステップS24は、図3のステップS14に準ずるステップである。
ECU100は、ステップS24で取得した車室内温度TE、電池温度TB、及び電池電流IBを用いて、評価ポイントPを算出する(ステップS25)。評価ポイントPの算出方法については後述する(図5及び図6参照)。
ECU100は、ステップS26において評価ポイントPがしきい値Th5以上であるか否かを判断し、評価ポイントPがしきい値Th5以上である場合(ステップS26においてYES)には、ECU100は、ソーラー発電及びソーラー充電を直ちに停止させる(ステップS28)。その後、処理はメインルーチンへと戻される。
他方、評価ポイントPがしきい値Th5未満である場合(ステップS26においてNO)には、ステップS27に進み、充電が完了していなければ(ステップS27においてNO)、引き続きソーラー発電及びソーラー充電が行なわれる(ステップS21)。なお、しきい値Th5は任意に設定できる。しきい値Th5は、固定値であってもよいし、車両1の状況等に応じて可変であってもよい。
以下、図5及び図6を用いて、評価ポイントPの算出方法について説明する。図5は、評価ポイントPの算出に用いられるテーブルの一例を示す図である。図6は、正常なソーラー発電システム(以下、「正常システム」と称する)と、発電不調が生じているソーラー発電システム(以下、「不調システム」と称する)とについて、日射量(大/中/小)ごとに評価ポイントPの算出結果の一例を示す図である。
図5を参照して、このテーブルでは、電池温度、車室内温度、及び電池電流の各々を3区分に分けて、各区分に点数を付けている。電池温度が高くなるほど高い点数が付けられている。また、車室内温度が高くなるほど高い点数が付けられている。また、電池電流が小さくなるほど高い点数が付けられている。このような関係を満たす限りにおいて、図5における低、中、高(又は、小、中、大)の各数値範囲は任意に設定できる。また、区分の数も、3区分に限られず、2区分以上であれば任意に設定できる。
この実施の形態では、電池温度、車室内温度、及び電池電流の各々の点数の合計点を、評価ポイントPとする。図6において、括弧内の数値が上記図5のテーブルによって付けられた点数であり、「P判定」中の数値が、ステップS25で算出された評価ポイントPの値である。また、図6中の「P判定」には、評価ポイントPの値とともに、しきい値Th5が「5」である場合のステップS26での判定結果(YES:停止/NO:実行)が示されている。
図6を参照して、正常システムでは、大(晴れ)、中(曇り)、小(曇り)のいずれの日射量でも評価ポイントPが4である(「P判定」参照)。このため、ステップS26において評価ポイントPがしきい値Th5(=5)未満であると判断され、ソーラー発電及びソーラー充電が許可(実行)される。
これに対し、不調システムでは、日射量「大」における評価ポイントPが6であり、日射量「中」における評価ポイントPが5であり、日射量「小」における評価ポイントPが4である。日射量が「大」又は「中」である場合には、ステップS26において評価ポイントPがしきい値Th5(=5)以上であると判断され、ステップS28においてソーラー発電及びソーラー充電が停止する。日射量が「小」である場合には、ステップS26において評価ポイントPがしきい値Th5(=5)未満であると判断され、ソーラー発電及びソーラー充電が許可(実行)される。
図6に示す不調システムにおいて、日射量が「大」又は「中」である場合には、車室内温度が比較的高い(「中」又は「高」)にもかかわらず、電池電流が小さくなっている。そして、電池温度も高い。このような場合にソーラー充電を実行しても電池電流の大部分が発熱で消費されると考えられるため、上記図4の処理では、ECU100が実行中のソーラー充電(ひいては、ソーラー発電)を直ちに停止させる(ステップS26及びS28)。これにより、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制することができる。
図6に示す正常システムにおいて、日射量が「大」である場合には、電池電流が大きくなっている。このような場合には電池電流の大部分が充電に使用されると考えられるため、上記図4の処理では、ECU100がソーラー発電及びソーラー充電を許可している。これにより、ソーラー充電の機会を増やすことができる。
図6に示す正常システムと不調システムとの各々において、日射量が「小」である場合には、車室内温度が低くなっている。このような場合には副反応による充電効率の低下が抑制されると考えられるため、上記図4の処理では、ECU100がソーラー発電及びソーラー充電を許可している。これにより、ソーラー充電の機会を増やすことができる。
図6に示す正常システムにおいて、日射量が「中」である場合には、電池電流及び車室内温度の両方が「中」である。このような場合も、上記に準ずる理由でECU100によってソーラー発電及びソーラー充電を許可している。これにより、ソーラー充電の機会を増やすことができる。
以上説明したように、実施の形態2に従うソーラー発電システムによれば、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることが可能になる。
[実施の形態3]
本開示の実施の形態3に従うソーラー発電システムについて説明する。実施の形態3は実施の形態1と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
実施の形態3に従うソーラー発電システムは、基本的には、実施の形態1に従うソーラー発電システムに準ずる構成を有する。ただし、実施の形態3に従うソーラー発電システムでは、ECU100が、図3の処理に代えて、図7〜図9の処理を行なうように構成される。図7に示す処理では、予めECU100の記憶装置に用意されている発電不調フラグの値が設定される。発電不調フラグの値としては、1(以下、「オン」と称する)/0(以下、「オフ」と称する)のいずれかが設定され、初期値はオフである。図8に示す処理では、発電不調フラグの値に基づいて、予めECU100の記憶装置に用意されている充電禁止フラグの値が設定される。充電禁止フラグの値としては、1(以下、「オン」と称する)/0(以下、「オフ」と称する)のいずれかが設定され、初期値はオフである。図9に示す処理では、充電禁止フラグの値に基づいてソーラー充電制御が行なわれる。
以下、図7〜図9を用いて、実施の形態3においてECU100が行なうソーラー充電制御について詳述する。
図7は、ECU100により実行される発電不調フラグ設定の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。
図7を参照して、ECU100は、車室内温度センサ101の検出値(車両1の車室内温度を示す車室内温度TE)を取得し、取得した車室内温度TEを記憶装置に保存する(ステップS31)。
次いで、ECU100は、ステップS31で取得した車室内温度TEがしきい値Th6以上であるか否かを判断する(ステップS32)。そして、車室内温度TEがしきい値Th6未満である場合(ステップS32においてNO)には、発電不調フラグの設定は行なわれず、処理はメインルーチンへと戻される。他方、車室内温度TEがしきい値Th6以上である場合(ステップS32においてYES)には、ステップS33〜S37において発電不調フラグが設定された後、処理がメインルーチンへと戻される。
日射量と車室内温度とは相関関係を有する。詳しくは、日射量が大きいほど車室内温度が高くなる傾向がある。こうした相関関係を利用して、ステップS32においては、ECU100が、車室内温度に基づき、現在の日射量がソーラー発電可能な日射量になっているか否かを判断している。ソーラー発電可能な日射量とは、正常な状態のソーラー発電システムにおいて、ソーラーパネル50による単位時間あたりの発電量が後述するしきい値Th1(ステップS35)以上になるような日射量である。ソーラーパネル50による単位時間あたりの発電量は、日射量が大きいほど多くなる傾向がある。しきい値Th6は、ステップS32において現在の日射量がソーラー発電可能な日射量になっている場合に車室内温度TEがしきい値Th6以上であると判断されるように設定される。しきい値Th6は、固定値であってもよいし、車両1の状況等に応じて可変であってもよい。
ステップS33〜S35は、図3のステップS11〜S13に準ずるステップである。現在の日射量がソーラー発電可能な日射量になっている(ステップS32においてYES)にもかかわらず、ソーラー発電量Eがしきい値Th1未満である場合(ステップS35においてNO)には、故障や汚れ等によって、ソーラーパネル50に発電不調が生じている可能性が高い。このため、ステップS35においてソーラー発電量Eがしきい値Th1未満であると判断された場合には、発電不調フラグにオンを設定する(ステップS37)。発電不調フラグの値がオンであることは、ソーラーパネル50に発電不調が生じていることを示す。他方、ステップS35においてソーラー発電量Eがしきい値Th1以上であると判断された場合には、発電不調フラグにオフを設定する(ステップS36)。発電不調フラグの値がオフであることは、ソーラーパネル50に発電不調が生じていないことを示す。
図8は、ECU100により実行される充電禁止フラグ設定の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。
図8を参照して、ECU100は、発電不調フラグの値がオンであるか否かを判断する(ステップS41)。そして、発電不調フラグの値がオフである場合(ステップS41においてNO)には、発電時にソーラーパネル50から出力される電力は十分大きいと判断され、充電禁止フラグにオフが設定される(ステップS47)。その後、処理はメインルーチンへと戻される。充電禁止フラグの値がオフであることは、ソーラー充電が許可されていることを示す。
他方、発電不調フラグの値がオンである場合(ステップS41においてYES)には、ソーラーパネル50に発電不調が生じている可能性が高いため、日射量によらずソーラー発電量Eがしきい値Th1よりも小さくなると考えられる。こうした場合には、ステップS42〜S47において充電禁止フラグが設定された後、処理はメインルーチンへと戻される。
ステップS42〜S45は、図3のステップS14〜S17に準ずるステップである。ステップS43〜S45では、ECU100が、電池温度TBがしきい値Th2以上であるか否か(ステップS43)、電池電流IBがしきい値Th3以下であるか否か(ステップS44)、車室内温度TEがしきい値Th4以上であるか否か(ステップS45)を、順次判断する。
ステップS43〜S45の全てが成立する場合(ステップS43〜S45の全てにおいてYES)には、ECU100は、充電禁止フラグにオンを設定する(ステップS46)。充電禁止フラグの値がオンであることは、ソーラー充電が禁止されていることを示す。
他方、ステップS43〜S45のいずれかが成立しない場合(ステップS43〜S45のいずれかにおいてNO)には、ECU100は、充電禁止フラグにオフを設定する(ステップS47)。
図9は、実施の形態3に従うソーラー発電システムにおいて、ECU100により実行されるソーラー充電制御の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、ソーラー充電の実行要求があった時にメインルーチンから呼び出されて実行される。ソーラー充電の実行要求は、ユーザの指示であってもよいし、所定条件の成立(タイマーによる充電開始時刻の到来等)であってもよい。
図9を参照して、ECU100は、充電禁止フラグの値がオンであるか否かを判断する(ステップS51)。そして、充電禁止フラグの値がオンである場合(ステップS51においてYES)には、ソーラー充電が禁止されていると判断され、ソーラー充電(ひいては、ソーラー発電)を行なわずに、処理はメインルーチンへと戻される。
他方、充電禁止フラグの値がオフである場合(ステップS51においてNO)には、ソーラー充電が許可されていると判断され、ステップS53で充電が完了したと判断されるまでソーラー発電及びソーラー充電が行なわれる(ステップS52〜S54)。ステップS52、S53、S54はそれぞれ、図3のステップS11、S18、S19に準ずるステップである。
前述した実施の形態1では、ソーラー充電の実行中において、ソーラーパネル50から出力される電力が小さく、かつ、ソーラー充電の許可条件が成立しないと判断された場合に、ECU100によって実行中のソーラー充電を停止させるようにした。これに対し、実施の形態3では、ソーラーパネル50に発電不調が生じている状態でソーラー充電の許可条件(充電禁止フラグ=オフ)が成立しないと判断された場合には、ECU100によってソーラー充電が実行されないようにした。こうした実施の形態3に従うソーラー発電システムによっても、ソーラーパネル50から出力される電力が小さいときには、原則としてソーラー充電が行なわれず、上記の許可条件(すなわち、副反応が起こりにくい条件)が成立する場合に例外的にソーラー充電が行なわれるようになる。このため、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることが可能になる。
[実施の形態4]
本開示の実施の形態4に従うソーラー発電システムについて説明する。実施の形態4は実施の形態1、3と共通する部分が多いため、主に相違点について説明し、共通する部分についての説明は割愛する。
実施の形態4に従うソーラー発電システムは、基本的には、実施の形態1に従うソーラー発電システムに準ずる構成を有する。ただし、実施の形態4に従うソーラー発電システムでは、ECU100が、図3の処理に代えて、図10の処理を行なうように構成される。
図10は、ソーラー充電制御に用いるマップを選択するための処理の手順を示したフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。
図10を参照して、ECU100は、車室内温度TE、電池温度TB、及び電池電流IBを取得し、取得した各データを記憶装置に保存する(ステップS61)。ステップS61は、図3のステップS14に準ずるステップである。
次いで、ECU100は、ステップS61で取得した車室内温度TEがしきい値Th6以上であるか否かを判断する(ステップS62)。ステップS62は、図7のステップS32に準ずるステップである。
車室内温度TEがしきい値Th6未満である場合(ステップS62においてNO)には、ソーラー充電制御に用いるマップとしてマップAが選択される(ステップS67)。他方、車室内温度TEがしきい値Th6以上である場合(ステップS62においてYES)には、ステップS63〜S65、S68、及びS69において、ソーラー充電制御に用いるマップとしてマップA及びBのいずれかが選択される。そして、ステップS67〜S69のいずれかにおいて所定のマップが選択されると、処理はメインルーチンへと戻される。なお、マップA及びBの詳細については後述する(図11及び図12参照)。
ステップS63〜S65は、図3のステップS11〜S13に準ずるステップである。ステップS65でソーラー発電量Eがしきい値Th1以上であると判断された場合(ステップS65においてYES)には、ソーラー充電制御に用いるマップとしてマップAが選択される(ステップS68)。他方、ステップS65でソーラー発電量Eがしきい値Th1未満であると判断された場合(ステップS65においてNO)には、ソーラー充電制御に用いるマップとしてマップBが選択される(ステップS69)。
ソーラー充電制御は、ソーラー充電の実行要求があった時に、たとえば図9のステップS52〜S54に準ずる処理を実行することによって行なわれる。ソーラー充電制御では、ソーラー充電の実行要求があった時に選択されているマップ(マップA又はB)が使用される。
以下、図11及び図12を用いてマップA及びBについて説明する。図11は、図10の処理によって選択されるマップAを示す図である。図12は、図10の処理によって選択されるマップBを示す図である。
図11を参照して、マップAでは、電池電流(充電電流)が線L1よりも大きい領域に充電可能領域が規定され、電池電流(充電電流)が線L1よりも小さい領域に充電停止領域が規定されている。すなわち、マップAを用いたソーラー充電制御では、電池電流が線L1よりも大きい場合(充電可能領域)にはソーラー充電が行なわれるが、電池電流が線L1よりも小さい場合(充電停止領域)にはソーラー充電が行なわれない。電池電流が線L1よりも小さい場合には、ECU100が実行中のソーラー充電を停止させる。マップAにおいて、線L1で示される電池電流のしきい値は一定であり、電池温度によって変わらない。
図12を参照して、マップBでは、電池電流(充電電流)が線L2よりも大きい領域に充電可能領域が規定され、電池電流(充電電流)が線L2よりも小さい領域に充電停止領域が規定されている。
マップBは、車室内温度が高く(図10のステップS62においてYES)、かつ、ソーラー発電量Eが少ない場合(図10のステップS65においてNO)に選択されるマップである。車室内温度が高いにもかかわらず、ソーラー発電量Eが少ない場合には、故障や汚れ等によって、ソーラーパネル50に発電不調が生じている可能性が高い。ソーラーパネル50に発電不調が生じていると、ソーラー発電による電池電流(充電電流)が正常時よりも小さくなる。また、車室内温度が高い場合には、ソーラーバッテリ60において副反応による充電効率の低下が生じやすい。
ソーラーパネル50に発電不調が生じている場合の電池電流(ソーラーバッテリ60の電流)は、正常時よりも小さくなるが、線L1(図11及び図12参照)よりも大きくなり得る。マップBにおいて、線L2で示される電池電流のしきい値は、電池温度の低い領域ではマップAの線L1と一致するが、電池温度の高い領域においては線L1よりも高くなっている。線L2で示される電池電流のしきい値は、電池温度が高くなるほど大きくなっている。すなわち、マップBを用いたソーラー充電制御では、マップAを用いたソーラー充電制御よりも、ソーラー充電の許可条件が厳しくなる。マップBを用いたソーラー充電制御では、線L2で示される電池電流のしきい値よりもソーラーバッテリ60の電流が小さい場合には、ECU100が実行中のソーラー充電を停止させる。電池温度(ソーラーバッテリ60の温度)が高い場合にはソーラーバッテリ60の劣化が進行しやすいため、ソーラー充電の許可条件を厳しくしている。ソーラー充電が停止することで、ソーラーバッテリ60の発熱が抑制され、ひいてはソーラーバッテリ60の劣化が抑制される。
他方、車室内温度が低い場合(ステップS62においてNO)、及びソーラーパネル50が正常である場合(ステップS65においてYES)には、ソーラー充電制御に用いるマップとしてマップAを選択することで、ソーラー充電の許可条件を緩和し、ソーラー充電の機会を増やしている。
以上説明したように、実施の形態4に従うソーラー発電システムによれば、ソーラーバッテリ60の劣化を抑制しつつ、ソーラー発電システムにおけるエネルギー効率を向上させることが可能になる。
上記各実施の形態では、ソーラー充電の許可条件は、ソーラーバッテリ60の環境温度、ソーラーバッテリ60の温度、及びソーラーバッテリ60の電流を用いて定められている。しかしこれに限られず、ソーラーバッテリ60の環境温度、ソーラーバッテリ60の温度、及びソーラーバッテリ60の電流に加えて、他のパラメータを用いて、ソーラー充電の許可条件を定めてもよい。他のパラメータの例としては、ソーラーバッテリ60の所定のSOC(たとえば、70%以上100%以下の範囲から選ばれる値)での端子間電圧が挙げられる。ソーラーバッテリ60の高SOCでの端子間電圧が高いほど、ソーラーバッテリ60における副反応が起こりやすくなる傾向がある。
本開示のソーラー発電システムが適用される対象は、上記各実施の形態の車両1(図2)に限定されない。たとえば、複数のMGを備える車両を適用対象としてもよい。電動車両に代えて電動車両以外の車両(たとえば、駆動源としてモータジェネレータに加えて内燃機関を備えるハイブリッド車両)を適用対象としてもよい。また、各バッテリの構成も適宜変更可能である。たとえば、電池パック20内の電池及びソーラーバッテリ60として、組電池に代えて単電池を採用してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 駆動輪、4 動力伝達ギヤ、20 電池パック、22 組電池、24 SMR、26 CHR、30 PCU、40 ソーラーPCU、42 高圧DC/DCコンバータ、44 ソーラーDC/DCコンバータ、46 補機DC/DCコンバータ、48 監視回路、50 ソーラーパネル、60 ソーラーバッテリ、62 温度センサ、64 電圧センサ、66 電流センサ、70 補機バッテリ、100 ECU、101 車室内温度センサ。

Claims (1)

  1. 光エネルギーを電力に変換する太陽電池と、
    前記太陽電池から出力される電力により充電される蓄電装置と、
    前記太陽電池から出力される電力が所定値よりも小さいときには、許可条件が成立する場合を除いて、前記蓄電装置への前記充電を行なわない制御装置と、
    を備え、
    前記許可条件は、少なくとも前記蓄電装置の環境温度、前記蓄電装置の温度、及び前記蓄電装置の電流を用いて定められている、ソーラー発電システム。
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