JP2019124641A - 電子時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子時計において、衛星信号の受信と近距離無線通信の両方を適切に行う。【解決手段】導電性のケース31内に、GPS受信用の平面アンテナ40と、GPS受信モジュール50と、太陽電池パネル80と、近距離無線通信モジュールが収容されている。そして、太陽電池パネル80のステンレス板が近距離無線通信用アンテナとして使用される。GPS受信用の平面アンテナ40の厚さ方向中心よりも近距離無線通信用アンテナとして使用される太陽電池パネル80のステンレス板の厚さ方向中心の方が文字板11側に位置している。【選択図】図3

Description

この発明は、衛星信号受信機能および近距離無線通信機能を備えた電子時計に関する。
GPS(Global Positioning System)等の位置情報衛星からの位置情報衛星信号を受信することにより時刻の修正を行う電子時計が例えば特許文献1に開示されている。
特開2016−217936号公報
上述した従来の電子時計は、衛星信号の受信が困難な状況においては、時刻の修正が妨げられる問題がある。この問題を解決するために、電子時計が例えば近隣の装置との間でBluetooth(登録商標)による近距離無線通信を行うことにより、当該装置から時刻の修正に使用する情報を取得する、という手段をとることが考えられる。
しかし、位置情報衛星信号やBluetoothの近距離無線信号は、いずれも極超短波帯以上の周波数の無線信号であり、アンテナの構成や設置条件に関する要求が厳しい。一方、腕時計などの装着型の電子時計の中には、ケースが導電性であり、しかも、ケース内の空間が狭い電子時計が多く、この種の電子時計は良好なアンテナの設置環境とは言い難い。このため、従来、電子時計において衛星信号の受信と近距離無線通信の両方を適切に行うことは困難であった。
この発明の一態様による電子時計は、平板状の時刻表示部と、導電性のケースと、前記導電性のケースに収納された近距離無線通信を行う近距離無線通信アンテナおよび近距離無線通信部と、前記導電性のケースに収納された位置情報衛星信号を受信する平面アンテナおよび衛星信号受信部と、を有し、前記時刻表示部の法線方向に沿った平面視において、前記近距離無線通信アンテナおよび前記平面アンテナが前記時刻表示部と重なり、前記近距離無線通信の周波数は前記位置情報衛星信号の周波数よりも高く、前記時刻表示部の法線方向における前記近距離無線通信アンテナの厚み中心は前記平面アンテナの厚み中心より前記時刻表示部側に位置することを特徴とする。
本態様によれば、時刻表示部の法線方向における近距離無線通信アンテナの厚み中心が、平面アンテナの厚み中心より時刻表示部側に位置するため、位置情報衛星信号よりも周波数の高い近距離無線信号の送受信を近距離無線通信アンテナを介して適切に行うことができる。したがって、この態様によれば、衛星信号の受信と近距離無線通信の両方を適切に行うことができる。
他の好ましい態様は、前記時刻表示部は、指針により時刻表示を行うものであり、前記平面視において前記指針を駆動するモーターが前記平面アンテナと重ならないことを特徴とする。
本態様によれば、平面視においてモーターを避けた領域に平面アンテナがあるので、モーターおよび平面アンテナを含むムーブメントを薄型化し、電子時計を小型化することができる。
他の好ましい態様は、 前記衛星信号受信部に電力を供給する太陽電池を備え、前記平面視において前記平面アンテナと重ならない領域に前記太陽電池の電極層を設けることを特徴とする。
本態様によれば、太陽電池からの電力により動作する衛星信号受信部が、微弱な位置情報衛星信号を太陽電池によって妨害されることなく平面アンテナにより受信することができる。
他の好ましい態様は、前記平面視において前記平面アンテナと重ならない領域に耐磁板を設けたことを特徴とする。
本態様によれば、平面アンテナの受信動作に対する耐磁板の影響を少なくし、微弱な位置情報衛星信号を平面アンテナにより受信することが可能になる。
他の好ましい態様は、前記近距離無線通信アンテナが配置された第1の回路基板と、前記平面アンテナが配置された第2の回路基板とを備え、前記第1の回路基板が前記第2の回路基板より前記時刻表示部側に近く配置されたことを特徴とする。
本態様によれば、第1の回路基板に配置された近距離無線通信アンテナが第2の回路基板に配置された平面アンテナよりも時計表示部側に近いため、近距離無線通信の通信性能を高めることができる。
他の好ましい態様は、前記時刻表示部の前記法線方向に垂直な側面視において前記第1の回路基板と前記平面アンテナとが重なり、前記平面視において前記第1の回路基板と前記平面アンテナとが重ならないことを特徴とする。
本態様によれば、第1の回路基板と第2の回路基板を接近させ、ムーブメントを薄型化することが可能になる。
他の好ましい態様は、前記衛星信号受信部と前記近距離無線通信部との間に、前記時刻表示部の中心を通過する前記法線と前記平面アンテナの中心とを含む平面が位置することを特徴とする。
本態様によれば、衛星信号受信部と近距離無線通信部とを引き離して両者の相互干渉を防止し、両者の通信性能を高めることができる。
この発明の第1実施形態である電子時計の使用環境を示す図である。 同電子時計の平面図である。 同電子時計を12時位置および6時位置を通過する平面により切断した断面図である。 同電子時計のムーブメントの分解斜視図である。 同電子時計における太陽電池パネルの断面図である。 同電子時計における平面アンテナの断面図である。 同電子時計の回路構成を示すブロック図である。 GPSのフレーム構成を示す図である。 GPSのTLMワード構成を示す図である。 GPSのHOWワード構成を示す図である。 測位に用いられるローカルタイム情報を例示する図である。 ローカルタイム情報の変更履歴を例示する図である。 同電子時計の制御部の機能構成を示すブロック図である。 同電子時計の動作を示すフローチャートである。 同電子時計の動作を示すフローチャートである。 同電子時計の動作を示すフローチャートである。 同電子時計の動作を示すフローチャートである。 この発明の第2実施形態である電子時計を12時位置および6時位置を通過する平面により切断した断面図である。 同電子時計を12時位置および時計中心を通過する平面と時計中心および4時位置を通過する平面により切断した断面図である。 同電子時計のムーブメントの分解斜視図である。 同電子時計のムーブメントの平面図である。 同電子時計におけるカレンダー窓の構成例を示す平面図である。 同電子時計における第1の回路基板の実装例を示す斜視図である。 同電子時計における第2の回路基板の実装例を示す斜視図である。 太陽電池パネルの他の例を示す平面図である。 同太陽電池パネルを示す断面図である。
以下、図面を参照し、この発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
以下、この発明の第1実施形態である電子時計1について説明する。なお、本実施形態では、電子時計1のカバーガラス33側を表面側あるいは上側とし、裏蓋34側を裏面側あるいは下側として説明する。
[電子時計の使用環境]
図1は本実施形態による電子時計1の使用環境を示す図である。本実施形態による電子時計1は、図1に示すように、地球の上空の所定の軌道を周回している複数のGPS衛星Sからの位置情報衛星信号であるGPS衛星信号を受信する機能と、スマートフォン等の携帯情報端末Rと近距離無線通信の一種であるBluetoothによる通信を行う機能とを有している。
[電子時計の構成]
図2は電子時計1の平面図、図3は電子時計1を12時位置および6時位置を通過する平面において切断した構成を示す断面図である。また、図4は電子時計1のムーブメント2の分解斜視図である。
[ケース]
図2および図3に示すように、電子時計1は、時計ケースである外装ケース30と、カバーガラス33と、裏蓋34とを備えている。外装ケース30は、円筒状の導電性のケース31に、ベゼル32を嵌合させた構成となっている。ケース31には2つの開口がある。これら2つの開口のうち表面側の開口は、ベゼル32を介してカバーガラス33で塞がれており、裏面側の開口は裏蓋34で塞がれている。ケース(胴)31、ベゼル32および裏蓋34は、SUS(ステンレス鋼)、チタン合金、アルミ、BS(真鍮)などの金属材料が利用される。本実施形態および後述する第2実施形態では、ケース(胴)31、ベゼル32および裏蓋34の全体が導電性ケースを構成している。しかし、ケース(胴)31および裏蓋34のみを導電性ケースとし、ベゼル32は、ジルコニア(ZrO)、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、アルミナ(Al)などのセラミックを利用してもよい。ベゼル32をセラミック製にすれば、セラミックは電波を透過するので、無線通信性能が良くなる利点がある。また、セラミックは硬く、耐傷性に優れ、長期間美観が維持できる利点がある。また、外装ケース30としては、ケースおよび裏蓋が一体化されたワンピースケースでもよい。外装ケース30の側面には、外部操作部材として、リュウズ38とボタン361〜364が設けられている。
[文字板]
図3に示すように、ベゼル32の内周側には、プラスチックで形成されたリング状のダイヤルリング35を介して、円形の平板状の時刻表示部である文字板11が配置されている。文字板11は、非導電性を有し、かつ、少なくとも一部の光を透過させる透光性を有するポリカーボネートなどのプラスチック材料により構成されている。
文字板11の平面中心位置には、図2および図3に示すように、指針軸11xがあり、この指針軸11xには、ローカルタイムを指示する秒針21、分針22、時針23が取り付けられている。以下、秒針、分針および時針を指針と総称する。指針軸11xは、各指針21、22および23が取り付けられる3つの指針軸(回転軸)で構成されている。
また、文字板11は、図2に示すように、6時位置側に設けられた第1サブダイヤル12と、10時位置側に設けられた第2サブダイヤル13と、2時位置側に設けられた第3サブダイヤル14と、カレンダーを視認するためのカレンダー窓15とを備える。
第1サブダイヤル12の平面中心位置には、指針軸12xがある。この指針軸12xには、デュアルタイム表示のための指針である分針24と時針25が取り付けられている。また、第1サブダイヤル12の外周をなす円環部26には、時刻を表す数字が表記されている。
第2サブダイヤル13の平面中心位置には、指針軸13xがあり、この指針軸13xには、モードおよび電池残量表示のための指針27が取り付けられている。また、第2サブダイヤル13の外周をなす円環部28において、左半分の9時位置から8時位置には電池残量を示す三日月鎌状の目盛が表記されており、指針27により残量の表示が行われるようになっている。さらに、同円環部28には、測時受信処理を実行中であることを示す「1」や、測位受信処理を実行中であることを示す「4+」のマークが表記され、指針27で指示できるように構成されている。
第3サブダイヤル14の平面中心位置には、指針軸14xがあり、この指針軸14xには、クロノグラフ表示のための指針29が取り付けられている。
[ダイヤルリング]
文字板11の表面側には、図3に示すように、非導電性部材である合成樹脂(例えばABS樹脂)にて形成されたダイヤルリング35が設けられる。ダイヤルリング35は、文字板11の周囲に沿って配置され、内周面が傾斜面とされている。ダイヤルリング35をプラスチックで成形すれば、受信性能も確保でき、かつ、複雑な形状も形成できて意匠性を向上できる。
[ベゼル]
ベゼル32の表面領域32aには、図2に示すように、協定世界時(UTC)との時差を表す時差情報が数字で表記されている。さらに、ベゼル32の表面領域32bにはタイムゾーンの代表都市名を表す都市情報が表記されている。都市情報は、例えば、「TYO(東京)」のように、都市名を三文字のアルファベットで略したスリーレターコードで表記できる。
[ムーブメント]
図3に示すように、カバーガラス33側から見て文字板11の裏面側の領域にはムーブメント2が収容されている。このムーブメント2は、図3および図4に示すように、文字板11側から裏蓋34に向かって順次配置された太陽電池パネル80、第1の耐磁板91、カレンダー車20、地板125、駆動機構140(図4では図示略)、輪列受け127(図4では図示略)、回路基板720、スペーサー128(図4では図示略)、回路押え板725および二次電池130を備える。本実施形態において、回路基板710には、位置情報衛星信号であるGPS衛星信号を受信するための平面アンテナ40が配置されている。また、本実施形態において、太陽電池パネル80の裏面保護材は、近距離無線通信信号を送受信するための近距離無線通信アンテナとして機能する。カレンダー車20、地板125、輪列受け127およびスペーサー128は、平面アンテナ40や近距離無線通信アンテナ(太陽電池パネル80)での通信に影響しないように、プラスチック製とされている。なお、平面アンテナ40や近距離無線通信アンテナの詳細については後述する。
以下、ムーブメント2を構成する各要素を文字板11側から裏蓋34に向かう順にしたがって順次説明する。
[太陽電池パネル]
太陽電池パネル80は、図3および図4に示すように、カバーガラス33側から見て文字板11の裏側に位置している。この太陽電池パネル80は、例えば図5に示すように、透光性を有する表面保護材81と、透明電極(TCO:Transparent Conductive Oxide)からなる表面電極82と、p型半導体層83p、真性半導体層83iおよびn型半導体層83nからなるアモルファスシリコン半導体薄膜83と、アルミ製の裏面電極84と、樹脂フィルムからなる絶縁膜85と、ステンレス鋼からなる裏面保護材86とを積層してなるものである。そして、太陽電池パネル80では、受光により表面電極82および裏面電極84間に電圧が発生する。
太陽電池パネル80には、文字板11のカレンダー窓15と平面的に重なる開口部820や、指針軸11x〜14xが挿通される貫通孔831〜834が形成されている。また、太陽電池パネル80は、図4に示すように、文字板11の法線方向に沿った平面視において、平面アンテナ40と重なる部分に切欠部810が形成されている。なお、この切欠部810の詳細については後述する。
太陽電池パネル80は、複数のソーラーセルに分割され、各セルは直列に接続されている。太陽電池パネル80において、分割された各ソーラーセルの受光面積、すなわち、各ソーラーセルにおいて貫通孔や切欠部等の形成されていない領域の面積は互いに等しい。これは、各ソーラーセルの表面電極82および裏面電極84間の静電容量を等しくし、各ソーラーセルに等量の電荷が発生した状態において等しい電圧を発生させ、各ソーラーセルの負担を同一にするためである。図4に示す例では、太陽電池パネル80におけるソーラーセルの数は4個であるが、5個以上としてもよく、必要な発電電圧に応じて設定すればよい。
図4に示すように、太陽電池パネル80の周辺には、電極取り出し用凸部87が張り出している。この電極取り出し用凸部87の裏面(カバーガラス側から見て裏面)には、太陽電池パネル80の正負の電極、すなわち、複数のソーラーセルを直列接続してなる直流電源の正負の電極が形成されている(図示略)。この太陽電池パネル80の正極および負極は、コイルバネなどで構成され、図4に示すように地板125の貫通孔に配置された一対の導通部材88によって、回路基板720の正極用および負極用の電源端子に導通されている。
また、本実施形態では、太陽電池パネル80のステンレス鋼からなる裏面保護材86が近距離無線通信アンテナとして使用される。図4に示すように、太陽電池パネル80の裏面保護材86は、その一部の領域が給電部86Qとされている。この給電部86Qは、図4に示すように地板125の貫通孔に配置された導通部材89によって、回路基板720に配置された近距離無線通信モジュール150に導通される。
太陽電池パネル80を覆う文字板11は、透光性を有するため、電子時計1の表面側から見て、文字板11の裏面側に配置された太陽電池パネル80が透けて見える。このため、太陽電池パネル80が配置されている領域と配置されていない領域とで、文字板11の色が違って見える。この色の違いが目立たないように、文字板11にはデザイン的なアクセントをつけてもよい。
さらに、太陽電池パネル80に切欠部810を形成したことで、切欠部810に重なる部分の文字板11の色調が他の部分と違って見えることがある。それを防止するために太陽電池パネル80と同色(例えば紺色や紫色)のプラスチックシートを太陽電池パネル80の下に重ねてもよいし、太陽電池パネル80全体を切り欠かずに、電波遮蔽する電極層を平面アンテナ40と平面的に重なる部分のみ取り除いて、基材となる樹脂フィルム層を残して色調を合わせてもよい。
[第1の耐磁板]
近年、スマートフォン等の携情報帯端末では、高性能な磁石が多く使われるようになっている。このため、電子時計には耐磁性が求められている。そこで、電子時計では、外部磁界を迂回させてモーターの誤動作を防ぐために純鉄など高透磁率材からなる耐磁板が、平面的にモーターと重なる位置に配置される。ここで、モーターはコイル、ステーター、ローターからなり、そのうちコイル部分は外部磁界の影響を受け難いので耐磁板とは必ずしも重ならなくともよい。本実施形態による電子時計1では、このような耐磁板が2枚設けられている。1枚目は、太陽電池パネル80の下方に設けられた第1の耐磁板91である。この第1の耐磁板91は、2枚目の耐磁板である第2の耐磁板92(後述)とともに、モーターを上下から挟み込み、モーターの誤動作を防止している。ここで、第1の耐磁板91は、導電性の板であるため、電波受信の妨げとなる。そこで、第1の耐磁板91は、文字板11の法線方向に沿った平面視において、駆動機構140のモーターと重なり、かつ、平面アンテナ40と重ならない平面形状となっている。
[カレンダー車]
地板125には、リング状に形成され、表面に日付が表示されたカレンダー車20が配置される。カレンダー車20は、プラスチック等の非導電性部材により構成されている。ここで、カレンダー車20は、平面視において、平面アンテナ40の少なくとも一部と重なっている。しかし、カレンダー車20は、非導電材料により構成されているため、平面アンテナ40による位置情報衛星信号の受信に悪影響を与えない。なお、カレンダー車としては、日車に限らず、曜日を表示する曜車や、月を表示する月車などでもよい。
[地板]
地板125には、図4に示すように、指針軸11x、12x、13xおよび14xの各一端が軸支されている。この指針軸11x、12x、13xおよび14xの各他端は、太陽電池パネル80に形成された貫通孔831、832、833および834を通過し、さらに文字板11に設けられた貫通孔16、17、18および19を各々通過し、カバーガラス33側に突出している。そして、文字板11から突出した指針軸11xに対し、上述した指針21、22および23が取り付けられ、指針軸12xに対し、上述した指針24および25が取り付けられ、指針軸13xに対し、上述した指針27が取り付けられ、指針軸14xに対し、上述した指針29が取り付けられている。
[駆動機構]
駆動機構140は、文字板11に設けられた指針21、22、23、24、25、27および29とカレンダー車20を駆動するための複数のステップモーターおよび複数の輪列を有する(図示略)。この駆動機構140における各ステップモーターは、地板125に取り付けられ、各輪列は、地板125および輪列受け127間に軸支されている。図4には、これらの輪列の一部である歯車146が図示されている。この歯車146は、カレンダー車20を駆動する歯車である。駆動機構140を構成するモーターや輪列は、文字板11の法線方向に沿った平面視において、平面アンテナ40と重ならない領域に設けられている。このように本実施形態では、平面視において平面アンテナ40を避けて駆動機構を構成するモーターや輪列を配置したので、平面アンテナ40や駆動機構を含むムーブメント2を薄型化し、電子時計1を小型化することができる。
[回路基板]
回路基板720の表面には、図4に示すように、近距離無線通信モジュール150と、制御表示モジュール60と、電源供給モジュール70と、平面アンテナ40が配置されている。また、回路基板720の裏面には、図3および図4に示すように、GPS受信モジュール50が配置されている。
[平面アンテナ]
平面アンテナ40は、GPS衛星から送信される1.575GHzの位置情報衛星信号を受信する。この平面アンテナ40は、図3に示すように、セラミックの誘電体基材41に導電性のアンテナ電極42を積層したパッチアンテナである。図6は、この平面アンテナ(パッチアンテナ)40を示す断面図である。
この平面アンテナ40は、次のようにして製造できる。まず、比誘電率が80〜200程度のチタン酸バリウムを主原料にプレス機で目的の形に成形し、焼成を経てアンテナの誘電体基材41となるセラミックスを完成する。誘電体基材41の裏面(回路基板720側の面)には、主に銀(Ag)等のペースト材をスクリーン印刷すること等で、アンテナのグランド(GND)となるGND電極43(図3では図示略)を構成する。誘電体基材41の表面(地板125、文字板11側の面)には、アンテナの周波数、受信する信号の偏波を決めるアンテナ電極42をGND電極43と同様な方法で構成する。アンテナ電極42は、誘電体基材41の表面よりも一回り小さく形成されており、誘電体基材41の表面においてアンテナ電極42の周囲には、アンテナ電極42が積層されていない露出面が設けられる。
図6において、点線45は、平面アンテナ40により受信する電波を示し、矢印46は電気力線を示す。パッチアンテナが方形の場合は一辺が半波長である場合に共振し、円形の場合は直径が約0.58波長である場合に共振するが、誘電体を使うと波長短縮効果で小形化できる。
平面アンテナ40では、パッチ(アンテナ電極42)の縁に沿った強い電界が、縁から空間へ向かって放射されるため、アンテナ近傍の電気力線は強くなり、近傍の金属や誘電体の影響を受けやすい。このため、GPS受信においては、金属製の外装ケース30とアンテナ電極42との距離は少なくとも3mm、理想的には4mm程度離す必要がある。
本実施形態では、平面アンテナ40と、外装ケース30との間には、図3に示すように、地板125の周囲から裏蓋34側に突出した壁部125vが配置されており、平面アンテナ40は外装ケース30の内周面から所定寸法以上、離間した位置に配置される。このため、平面アンテナ40を金属製の外装ケース30に近づけることで生じる受信特性の劣化等を抑制でき、電子時計1に求められる受信性能を確保できる。
本実施形態における平面アンテナ40において、誘電体基材41は、例えば、表面形状が略正方形状であり、一辺の寸法は約11mmである。アンテナ電極部42は、例えば、表面形状は略正方形状であり、一辺の寸法は約8〜9mmである。平面アンテナ40は、厚みが薄いと、アンテナ利得が劣化する。このため、平面アンテナ40は、3〜4mmの厚みが必要である。誘電体基材41の四隅は、割れ防止のためにコーナーカットするのが好ましいが、コーナーカットしていないものを用いてもよい。
さらに、図4に示すように、誘電体基材41の4つの側面のうち、回路基板720の外周面に沿った側面41B、つまり外装ケース30からの距離が最も短い側面41Bは、回路基板720の外周に沿って略円弧状に外側に膨らんで形成されている。これにより、誘電体基材41が回路基板720の外周面から突出しない範囲で誘電体基材41の体積を増加することができる。高誘電体である誘電体基材41の体積を増加できれば、誘電体基材41の波長短縮効果により、等価的に平面アンテナ40を外装ケース30から距離を離したこととなり、平面アンテナ40へのケース31の影響を低減することができる。
平面アンテナ40は、回路基板720の表面に実装され、回路基板720の裏面に実装されたGPS受信モジュール50に電気的に接続される。さらに、平面アンテナ40のGND電極43(図6参照)を回路基板720のグランドパターンに導通させることで、回路基板720はグランド板(グランドプレーン)として機能する。
また、平面アンテナ40において、受信感度は、誘電体基材41に設けられたアンテナ電極部42だけでなく誘電体基材41も重要な役割を果たす。このため、平面アンテナ40の取り付け位置は、アンテナ電極部42のみならず、誘電体基材41を含む平面アンテナ40全体を考慮する必要がある。
太陽電池パネル80の裏面保護材86で構成される近距離無線通信アンテナについても同様であり、受信感度の強弱は、裏面保護材86の表面だけでなく裏面保護材86の全体の位置によって左右される。
[近距離無線通信アンテナと平面アンテナと近距離無線通信モジュールとGPS受信モジュールの位置関係]
ここで、本実施形態における近距離無線通信アンテナと平面アンテナ40と近距離無線通信モジュール150とGPS受信モジュール50の位置関係について説明する。本実施形態では、太陽電池パネル80の裏面保護材86が近距離無線通信アンテナとして機能する。ここで、太陽電池パネル80は、上述したように文字板11の裏側にある。したがって、本実施形態において、近距離無線通信アンテナの厚み中心は、平面アンテナ40の厚み中心よりも文字板11側に近い位置にある。このように配置したのは、近距離無線通信の周波数は、位置情報衛星信号の周波数より高いからである。周波数が高い程、電波は減衰し易くなる。特に、両アンテナが導電性の外装ケース30に収容された状態では微弱な電波を受信する必要がある。また、近距離無線通信アンテナの厚みの中心と平面アンテナ40の厚みの中心に着目したのは、近距離無線通信アンテナの全体によって近距離無線通信の受信感度が定まり、平面アンテナ40の全体によって位置情報衛星信号の受信感度が定まるからである。このように近距離無線通信アンテナの厚み中心は、平面アンテナ40の厚み中心よりも文字板11側に近い位置に配置したので、位置情報衛星信号の受信と近距離無線通信の両方を適切に行うことができる。なお、平面アンテナ40の厚み中心とは、文字板11の法線方向において、平面アンテナ40が配置される範囲の中心をいう。同様に、近距離無線通信アンテナの厚み中心とは、文字板11の法線方向において、近距離無線通信アンテナが配置される範囲の中心をいう。
また、平面視において、平面アンテナ40は、太陽電池パネル80の切欠部810にある。すなわち、平面視において、平面アンテナ40と太陽電池パネル80は重ならない。これは、太陽電池パネル80が平面アンテナ40によるGPS衛星信号の受信の妨げにならないようにするためである。本実施形態において、近距離無線通信モジュール150は2.4GHzの高周波信号の処理を行い、GPS受信モジュール50は1.5GHzの高周波信号の処理を行う。このように両モジュールは取扱う信号の周波数が高く、かつ、接近している。したがって、両モジュールの動作が互いに干渉しないようにする手段が求められる。そこで、本実施形態では次のような手段を講じている。図4において、直線720Yは、文字板11の法線と平面アンテナ40の中心とを含む平面が回路基板720と交差する直線を表している。本実施形態では、この直線720Yの両側に近距離無線通信モジュール150とGPS受信モジュール50とを配置することで、両モジュールを十分に引き離し、両モジュールの動作が干渉しないようにしている。
[第2の耐磁板]
図3および図4において、回路基板720の下方には、第2の耐磁板92が配置されている。この耐磁板92は、上述した駆動機構140のモーターが外部磁界の影響によって誤動作しないように外部磁界を遮蔽する手段である。このように本実施形態では、駆動機構140のモーターを第1の耐磁板91および第2の耐磁板92により上下から挟んでいる。
[回路押え板]
本実施形態では、回路基板720のグランドパターンを、回路押え板725を介して金属製のケース31や裏蓋34に導通することで、ケース31や裏蓋34もグランドプレーンとして利用している。さらに詳述すると、本実施形態では、図3、図4に示すように、回路基板720を押さえる回路押え板725に、裏蓋34に導通するための裏蓋導通バネ725Aを一体に形成しており、回路基板720のグランドパターンを、回路押え板725および裏蓋導通バネ725Aを介して裏蓋34およびケース31に導通させることで、グランドプレーンとして利用している。裏蓋34やケース31をグランドプレーンとして利用することで、グランドプレーンの面積を大きくとることができ、アンテナ利得が向上してアンテナ特性を向上できる。また、回路押え板725を加工して設けられる裏蓋導通バネ725Aを、金属製の裏蓋34に導通させているので、裏蓋34をアースとして利用でき、耐静電気性能や受信性能を向上できる。特に、複数の裏蓋導通バネ725Aを設けていれば、耐静電気性能や受信性能を一層向上できる。
[二次電池]
二次電池130は、図4に示すように、平面円形に形成されたリチウムイオン電池である。二次電池130は、駆動機構140、近距離無線通信モジュール150、GPS受信モジュール50、制御表示モジュール60等に電力を供給する。二次電池130は、回路押え板725の中央に形成された円形の切欠部721に設けられている。
本実施形態の二次電池130は、特に衛星信号の受信時には、10mA以上の電流を流す必要があるため、数十mAhの容量の電池が必要となる。このため、本実施形態における二次電池130は、直径が20mmまたは16mm程度と大きいが、厚みが2mm以下の薄型電池を使用している。この場合、二次電池130と平面アンテナ40を平面的に重ねて配置することができる。したがって、電子時計1の径を小型化する必要がある機種に有利である。
[電子時計の回路構成]
図7は、電子時計1の回路構成を示すブロック図である。電子時計1は、回路基板720に各々配置された制御表示モジュール60と、GPS受信モジュール50と、近距離無線通信モジュール150と、電源供給モジュール70とを有する。
GPS受信モジュール50は、平面アンテナ40によりGPS衛星から位置情報衛星信号を受信する衛星信号受信部である。また、近距離無線通信モジュール150は、太陽電池パネル80により実現される近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信を行う近距離無線通信部である。ここで、GPS受信モジュール500の回路構成の説明に先立ち、GPS受信モジュール50の処理対象である衛星信号について説明する。
[衛星信号の航法メッセージ]
GPSでは、衛星信号により航法メッセージを伝達する。図8〜図10は、この航法メッセージの構成について説明するための図である。図8に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレームsf1〜sf5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星から6秒で送信される。したがって、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星から30秒で送信される。
サブフレームsf1には、週番号データや衛星健康状態を含む衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、UTC(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。衛星健康状態は、その衛星に異常があるか否かを示すコードであり、このコードを確認することで、異常がある衛星の信号を利用することがないように制御できる。
5組のサブフレームのうち、サブフレームsf1〜sf3は各衛星に固有の情報を含んでいるため、毎回同じ内容が繰り返し送信され、具体的には、送信している衛星自身のクロック補正情報や軌道情報(エフェメリス)が含まれている。これに対し、サブフレームsf4およびsf5は、全衛星の軌道情報(アルマナック)や電離層補正情報が含まれ、これらはデータ数が多いためにページ1〜25のページ単位に分割されてサブフレームに収容される。すべてのページの内容を送信するには25フレームを必要とするため、航法メッセージの全情報を受信するには12分30秒の時間を要する。
さらに、サブフレームsf1〜sf5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry Word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(Hand Over Word)データが格納されたHOWワードが含まれている。したがって、TLMワードやHOWワードは、GPS衛星から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメーター、アルマナックパラメーターは30秒間隔で送信される。
図9に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図10に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウントデータ」ともいう)というGPS時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報である。このZカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。例えば、サブフレームsf1のZカウントデータは、サブフレームsf2の先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図8に示すサブフレームsf1〜sf5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」「101」のIDコードが含まれている。なお、時刻受信であれば、一つの衛星信号のTOWのみ取得すればよく、時刻情報の受信時間は、条件が良い環境であれば3秒程度である。
[GPS受信モジュール]
図7において、GPS受信モジュール50は、平面アンテナ40およびSAW(Surface Acoustic Wave)フィルター59とともにGPS受信部5を構成する。SAWフィルター59は、バンドパスフィルターであり、1.5GHzの衛星信号を通過させるものとなっている。なお、平面アンテナ40とSAWフィルター59との間に、受信感度を良好にするLNA(ローノイズアンプ)を別途挿入してもよい。また、SAWフィルター59をGPS受信モジュール50内に組み込んだ構成としてもよい。
GPS受信モジュール50は、SAWフィルター59を通過した衛星信号を処理するものであり、RF(Radio Frequency)部51と、ベースバンド部52と、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)53と、フラッシュメモリー54とを備えている。
RF部51は、PLL(Phase Locked Loop)511、VCO(Voltage Controlled Oscillator)512、LNA(Low Noise AmplIFier)513、ミキサー514、IF(Intermediate Frequency)アンプ515、IFフィルター516、ADC(A/D変換器)517を備えている。
PLL511およびVCO512は、TCXO53により発生されるクロックから受信周波数に対応した周波数の局部発振信号を発生する。SAWフィルター59を通過した衛星信号は、LNA513で増幅された後、ミキサー514によってVCO512からの局部発振信号とミキシングされ、IF帯のIF信号にダウンコンバートされる。ミキサー514から出力されたIF信号は、IFアンプ515、IFフィルター516を通り、ADC(A/D変換器)517によってデジタル信号に変換される。
ベースバンド部52は、DSP(Digital Signal Processor)521、CPU(Central Processing Unit)522、RTC(リアルタイムクロック)523、SRAM(Static Random Access Memory)524を備えている。また、ベースバンド部520には、TCXO53やフラッシュメモリー54等も接続されている。
そして、ベースバンド部52は、RF部51のADC517からデジタル信号が入力され、相関処理や測位演算等を行うことにより、衛星時刻情報や測位情報を取得できるようになっている。局部発振信号の基となるクロックは、TCXO53からベースバンド部52を介してPLL511に供給されるようになっている。
[フラッシュメモリー内のデータ]
フラッシュメモリー54には、ローカルタイム情報からなる時差データベース等が記憶される。本実施形態において、フラッシュメモリー54内の情報は、Bluetooth LE(Low Energy)の近距離無線通信により近隣の携帯情報端末Rから取得され、フラッシュメモリー54内に格納される。図11は、ローカルタイム情報230のデータ構成の一例を示す図である。ローカルタイム情報230では、位置情報である領域情報231と、時差情報232とが対応付けられている。このため、制御回路300は、測位モードで位置情報を取得した場合、その位置情報(緯度、経度)に基づいて時差情報を取得できるようにされている。
この時差情報232は、領域情報231として記憶された各領域において、UTCに対する時差を取得するための情報であり、タイムゾーン情報2321と、タイムゾーン変更情報2322と、DSTオフセット情報2323と、DST開始情報2324と、DST終了情報2325と、DST変更情報2326とを含む。
領域情報231は、地理情報を複数の領域に分割した際の各領域を示す情報である。各領域は、例えば、東西および南北方向の各長さが500〜十数km程度の矩形形状の領域である。なお、地理情報とは、タイムゾーンを有する地図情報である。領域情報231としては、各領域を特定するための座標データが記憶されている。すなわち、矩形形状の領域であれば、例えば、左上の座標(経度、緯度)と、領域の右下の座標(経度、緯度)とで領域を特定できるため、これらの2点の座標が記憶されている。
タイムゾーン情報2321は、各領域におけるUTCに対するタイムゾーンを示す。
タイムゾーン変更情報2322は、タームゾーンの変更予定を示す情報であり、各領域においてタイムゾーンが変更される日時や、タイムゾーン変更後のUTCに対する時差を示す。例えば、図11に示すように、第2領域では、2014年10月26日の午前2時以降に、UTCに対する時差が+8時間から+9時間に変更されることを示している。
DSTオフセット情報2323は、各領域における夏時間(サマータイム)のオフセット値を示す。DST開始情報2324は、各領域における夏時間の開始時期を示し、DST終了情報2325は、各領域における夏時間の終了時期を示す。DST変更情報2326は、DSTの変更予定を示す情報であり、各領域における夏時間の設定が変更される日時や、変更後のオフセット値等を示す。例えば、図11に示すように、第3領域では、3月最終日曜から10月最終日曜の期間においてDSTのオフセット値を+1とし、2015年以降ではDSTのオフセット値を0とすることを示している。
図12は、時差情報の変更履歴の一例を示す図である。図12に示すように、時差情報であるタイムゾーン情報や夏時間に係る情報が変更されると、当該変さらに応じて、新たなローカルタイム情報が作成される。そして、作成されたローカルタイム情報に対して、新たなバージョン情報が付与される。このバージョン情報は、例えば、ローカルタイム情報のバージョンを、数値や文字や記号等に対応させて表示させるための情報である。なお、ローカルタイム情報は、タイムゾーンや夏時間が変更される毎に新たに作成されてもよいし、所定期間が経過した場合や、所定のタイムゾーンに係る変更があった場合等の、所定の取り決めに応じて新たに作成されてもよい。
このように、タイムゾーンや夏時間の変さらに応じて、ローカルタイム情報を適宜更新することにより、各領域において、UTCに対する時差をより正確に取得することができる。
以上のローカルタイム情報からなる時差データベースの他、フラッシュメモリー54には、次のような情報が記憶され得る。
a.最大で7日間有効な衛星軌道データ
このデータを参照することにより、通常より衛星軌道データを更新する期間を長くすることができる。
b.衛星の健康データ
このデータは、使用できない衛星の排除に利用することができる。
c.GPS受信モジュール50を前回起動したときの受信機データ
このデータは、GPS受信モジュール50の再起動時の測位の性能を上げるために利用可能である。
d.電離層データ
このデータは、より正確な測位を行うために利用可能である。
フラッシュメモリー54内の以上のデータは、携帯情報端末RのアプリケーションからBluetooth LEを介して最新のデータを取得して更新することができる。
[近距離無線通信モジュール]
近距離無線通信モジュール150は、RF(Radio Frequency)部1500と、ベースバンド部1600と、Bluetooth LEコントローラー部1700と、16MHzのマスタークロックを発生する水晶発振器1701とを含む。
図7において、近距離無線通信アンテナ80Aは、太陽電池パネル80の裏面保護材86により実現される近距離無線通信アンテナである。RF部1500は、近距離無線通信アンテナ80Aを介して受信される近距離無線通信信号を復調に適したIF信号にダウンコンバートするとともに、送信情報により変調されたIF信号を高周波信号にアップコンバートする回路である。
このRF部1500において、LNA(Low Noise AmplIFier)1511は、近距離無線通信アンテナ80Aにより受信される近距離無線通信信号の高周波増幅を行い、BPF1512は、このLNA1511から不要な帯域のノイズを除去する。PLL1501およびVCO1502からなるシンセサイザーは、受信用選局周波数に対応した周波数の局部発振信号をミキサー1513に供給する。ミキサー1513は、BPF1512を介して出力される信号を局部発振信号とミキシングすることによりダウンコンバートし、IF信号を出力する。IFアンプ1514は、このIF信号を増幅し、ADC(Analog Digital Converter)1515は、このIFアンプ1514の出力するIF信号をデジタル信号に変換してベースバンド部1600に供給する。
また、RF部1500において、DAC(Digital Analog Converter)1521は、送信情報(ベースバンド信号)により変調されたデジタル信号をアナログ信号であるIF信号に変換し、IFアンプ1522は、このIF信号を増幅する。ミキサー1523は、このIFアンプ1522が出力する中間周波信号を、PLL1501およびVCO1502からなるシンセサイザーにより生成される局部発振信号とミキシングすることによりアップコンバートし、送信用選局周波数に対応した帯域の高周波信号を出力する。BPF1524は、このミキサー1523が出力する高周波信号から不要な帯域のノイズを除去する。PA(Power AmplIFier)1525は、このBPF1524が出力する高周波信号を増幅し、近距離無線通信アンテナ80Aから放射する。
ベースバンド部1600は、復調部1610と変調部1620とを有する。ここで、復調部1610は、RF部1500のADC1515から出力されるデジタル形式のIF信号から受信情報(通信相手である携帯情報端末からの送信情報)を復調し、Bluetooth LEコントローラー部1700に供給する。また、変調部1620は、Bluetooth LEコントローラー部1700から供給される送信情報によりキャリアを変調し、デジタル形式のIF信号を生成し、RF部1500のDAC1521に供給する。
Bluetooth LEコントローラー部1700は、RF部1500およびベースバンド部1600を制御することにより、携帯情報端末Rとの間のBluetooth LEによる通信を制御する手段である。
[制御表示モジュール]
制御表示モジュール60は、制御部(CPU)61と、指針21〜25、27、29等の駆動を実施する駆動回路62と、水晶発振器63とを備えている。
制御部61は、RTC(Real Time Clock)66、ROM67、記憶部68を含む。RTC66は、水晶発振器63から出力される基準信号を用いて、内部時刻情報を計時している。このRTC66によって時刻情報生成部が構成されている。ROM67には、制御部61により実行される各種プログラムが記憶されている。
記憶部68は、GPS受信モジュール50から出力される衛星時刻情報や測位情報と、近距離無線通信モジュール150から出力される時刻情報とを記憶する。
制御部61は、近距離無線通信モジュール150およびGPS受信モジュール50に制御信号を出力することで、近距離無線通信モジュール150およびGPS受信モジュール50を切り換えて起動する。GPS衛星信号は、周波数が約1.5GHzと高く、受信信号の強度は1/100程度と微弱である。このため、GPS受信モジュール50によるGPS衛星信号の受信処理では、大きな電力を必要とする。このため、制御部61は、近距離無線通信モジュール150およびGPS受信モジュール50を同時に起動することはせず、切り換えて起動する。
本実施形態の電子時計1は、近距離無線通信モジュール150、GPS受信モジュール50および制御表示モジュール60を備えていることで、近距離無線通信により取得した時刻情報あるいはGPS衛星Sから受信した時刻情報に基づいて時刻表示を自動的に修正することができる。
[電源供給モジュール]
電源供給モジュール70は、充電制御回路71、第1レギュレーター72、第2レギュレーター73および電圧検出回路74を含む。
太陽電池パネル80に光が入射して太陽電池パネル80が発電すると、充電制御回路71は、この光発電により得られる電力を二次電池130に供給して二次電池130を充電する。二次電池130は、第1レギュレーター72を介して制御表示モジュール60および近距離無線通信モジュール150に駆動電力を供給し、第2レギュレーター73を介してGPS受信モジュール50に駆動電力を供給する。このように二次電池130によって駆動電力を供給する電源手段が構成されている。
電圧検出回路74は、二次電池130の出力電圧をモニターし、制御部61に出力する。すなわち、電圧検出回路74は、電源手段である二次電池130の電池残量を検出する電池残量検出部として機能する。制御部61は、電圧検出回路74で検出された電池電圧が入力されるため、二次電池130の電圧を把握して受信処理を制御できる。
また、充電制御回路71は、制御部61からの制御により、太陽電池パネル80と二次電池130とを切断した状態で、太陽電池パネル80の電圧を電圧検出回路74で検出するように制御できる。この場合、電圧検出回路74は、二次電池130の電圧に影響されることなく、太陽電池パネル80の発電電圧(発電量)を検出できる。したがって、電圧検出回路74は、太陽電池パネル80の発電量を検出する発電量検出部を構成し、この発電量は制御部61に入力される。このため、制御部61は、太陽電池パネル80の発電量に基づいて、電子時計1が屋外に配置されているか否かを判定できる。
[制御部の構成]
図11は、制御部61の機能構成を示すブロック図である。図11において、時刻情報修正部610、表示制御部620、電圧検出制御部630および受信制御部640は、CPUである制御部61がROM67に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。
[時刻情報修正部]
時刻情報修正部610は、GPS受信モジュール50を起動して衛星信号を受信し、受信した衛星信号から時刻情報を取得して、内部時刻情報を修正する。
[表示制御部]
表示制御部620は、通常モードにおいては、内部時刻情報に基づいて駆動回路62を制御し、指針21〜23でローカルタイムの時刻(時、分、秒)を表示し、指針24、25でホームタイムの時刻(時、分)を表示する。また、表示制御部620は、指針27の表示を電池残量や受信制御状態等に応じて制御する。
[電圧検出制御部]
電圧検出制御部630は、電圧検出回路74により二次電池130の電圧つまり電池残量や、太陽電池パネル80の発電量を検出する。電圧検出制御部630は、一定時間間隔で電圧検出回路74により電圧を検出する。電圧検出制御部630は、充電制御回路71の動作も制御する。
[受信制御部]
受信制御部640は、受信モード選択部641と、衛星信号受信制御部642と、近距離無線通信制御部643と、受信判定部644とを備える。
[受信モード選択部]
受信モード選択部641は、外部操作部材(ボタン361〜363、リュウズ38)による所定の操作を検出して、各種の受信処理の選択を実行するものである。具体的には、受信モード選択部641は、外部操作部材により測時受信操作が行われた場合は、後述する測時受信制御部6421を起動し、外部操作部材により測位受信操作が行われた場合は、後述する測位受信制御部6422を起動する。また、受信モード選択部641は、外部操作部材により近距離無線通信操作が行われた場合は、後述する近距離無線通信制御部643を起動する。具体的な測時受信操作、測位受信操作、近距離無線通信操作は、電子時計1に設けられた外部操作部材の数や種類に応じて設定すればよい。
[衛星信号受信制御部]
衛星信号受信制御部642は、測時受信制御部6421と、測位受信制御部6422とを備える。
測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50を起動して少なくとも1つの衛星信号を受信し、受信した衛星信号から時刻情報を取得して、内部時刻情報を修正する測時受信処理を実行する。
測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50を起動して複数のGPS衛星から衛星信号を受信し、受信した複数の衛星信号に基づいて測位を行い、測位結果に基づいて得られた時刻情報に基づいて、内部時刻情報を修正する測位受信処理を実行する。
[近距離無線通信制御部]
近距離無線通信制御部643は、近距離無線通信モジュール150を起動して、電子時計1の近くのスマートフォン等の携帯情報端末とBluetooth LEによる近距離無線通信を行い、この近距離無線通信により時刻情報を取得して、内部時刻情報を修正する。
[受信判定部]
受信判定部644は、時刻情報の受信および内部時刻情報の修正が成功したか否かを判定する機能を備えている。例えば、測時受信処理時には、衛星信号受信制御部642は、受信した衛星信号から取得した時刻情報(Zカウント)と、RTC66の時刻データとを比較する。これらの差が大きい場合は、誤修正防止のために次のサブフレームのZカウントを取得して両者のZカウントを比較したり、捕捉した衛星が複数あれば、複数の衛星から取得した各Zカウントを比較したりして、取得した時刻データの整合が取れたかを判定する。測時受信処理では、時刻データの整合が取れたと判定した場合に、時刻修正を行う。測位受信処理や近距離無線通信制御部643による処理においても同様に時刻データの整合判定を行い、整合が取れている場合に時刻修正を行う。
[本実施形態の動作]
次に、図14〜図17を参照し、本実施形態の動作を説明する。
[制御部による全体制御]
本実施形態において、電圧検出回路74は、電圧検出制御部630の制御によって一定間隔、例えば60秒間隔で起動され、二次電池130の電池電圧を検出する。そして、制御部61は、この電圧検出回路74を介して検出される二次電池130の電池残量(蓄電量)を所定値と比較する。
本実施形態において制御部61は、図14に示す処理を所定時間間隔で実行する。まず、制御部61の電圧検出制御部630は、電圧検出回路74によって最後に検出された二次電池130の電池電圧(蓄電量)が予め設定された所定値以上であるかを判定する(ステップS101)。
ここで、電圧検出制御部630は、二次電池130の電池電圧と比較する所定値として、GPS衛星信号の受信処理を行っても制御部61がシステムダウンしない電圧を設定する。なお、所定値は、通常、測位受信処理を行っても制御部61がシステムダウンしない電圧に設定する。例えば、前記所定値は3.6Vであり、この値は、二次電池130の放電特性に基づいて設定すればよい。
電池電圧が所定値以上であり、ステップS101の判断結果が「Yes」である場合、制御部61の受信モード選択部641は、所定操作C(例えばボタン363の操作)が行われたか否かを判断する(ステップS1011)。この判断結果が「Yes」である場合、受信モード選択部641は、測位受信制御部6422を起動する(ステップS1012)。これにより図17に示す測位受信処理が実行されることとなる。
電池電圧が所定値以上であり、かつ、所定操作Cが行われなかった場合には、ステップS1011の判断結果が「No」となってステップS102に進む。また、電池電圧が所定値未満であり、ステップS101の判断結果が「NO」である場合にも、ステップS101からステップS102に進む。
次にステップS102に進むと、制御部61の受信モード選択部641は、自動受信条件が充足されているか否かを判断する。ここで、自動受信条件とは、例えば毎日決まった時刻に側時受信を自動的に行う場合における当該時刻の到来や、電子時計1が屋外に出て太陽電池パネル80が発電を開始した場合等、自動受信を行うための条件である。ステップS102の判断結果が「Yes」である場合、受信モード選択部641は、測時受信制御部6421を起動する(ステップS1021)。これにより図16に示す測時受信処理が実行されることとなる。
自動受信条件が充足されておらず、ステップS102の判断結果が「No」となる場合、受信モード選択部641は、所定操作A(例えばボタン361の操作)が行われたか否かを判断する(ステップS103)。この判断結果が「Yes」である場合も、受信モード選択部641は、測時受信制御部6421を起動する(ステップS1021)。
自動受信条件が充足されず、かつ、所定操作Aも行われず、ステップ103の判断結果が「No」となる場合、受信モード選択部641は、所定操作B(例えばボタン362の操作)が行われたか否かを判断する(ステップS104)。この判断結果が「Yes」である場合、受信モード選択部641は、近距離無線通信制御部643を起動する(ステップS1041)。これにより図15に示す近距離無線通信処理が実行されることとなる。このように近距離無線通信処理が実行される典型例として、電子時計1を装着したユーザーが屋内に所在する場合等、GPSの衛星信号の受信が困難な状況において時刻情報を取得する必要がある場合が挙げられる。
自動受信条件が充足されず、所定操作Aも行われず、所定操作Bも行われない場合、ステップS104の判断結果は「No」となる。この場合、制御部61は、通常運針を継続する(ステップS1090)。
制御部61は、以上の処理を所定時間間隔で繰り返し実行する。
[近距離無線通信処理]
図15に示す近距離無線通信処理が起動されると、表示制御部620は、近距離無線通信中であることを指針27で指示する(ステップS201)。次に近距離無線通信制御部643は、近距離無線通信モジュール150により近隣の携帯情報端末Rとの間にBluetooth LEのリンクを確立する処理を開始する(ステップS202)。次に近距離無線通信制御部643は、Bluetooth LEのリンクが確立したか否かを判断する(ステップS211)。この判断結果が「No」である場合、近距離無線通信制御部643は、所定のタイムアウト時間が経過したか否かを判断する(ステップS240)。この判断結果が「No」である場合、近距離無線通信制御部643は、ステップS211の判断を繰り返す。
Bluetooth LEのリンクが確立することなく、タイムアウト時間が経過すると、ステップS240の判断結果が「Yes」となる。この場合、近距離無線通信制御部643は、通信を終了する(ステップS231)。これにより制御部61は、運針を通常運針に戻す(ステップS232)。そして、制御部61の処理は、図14のステップS101に戻る。
タイムアウト時間が経過する前にBluetooth LEのリンクが確立すると、ステップS211の判断結果が「Yes」となり、近距離無線通信制御部643は、近距離無線通信モジュール150により近隣の携帯情報端末Rから時刻データを取得する(ステップS212)。次に受信判定部644は、携帯情報端末Rから取得した時刻データの整合性があるか否かを判断する(ステップS213)。具体的には、受信判定部644は、取得した時刻データを制御部61のRTC66の時刻データと比較し、その差が所定値以内であるか否かで整合がとれているかを確認する。
ステップS213の判断結果が「No」である場合、近距離無線通信制御部643は、通信を終了する(ステップS231)。これにより制御部61は、運針を通常運針に戻す(ステップS232)。そして、制御部61の処理は、図14のステップS101に戻る。
一方、ステップS213の判断結果が「Yes」である場合、時刻情報修正部610は、携帯情報端末Rから取得した時刻データにより制御部61のRTC66の時刻データを修正する(ステップS214)。
次に近距離無線通信制御部643は、携帯情報端末Rからデータ更新指示受け取ったか否かを判断する(ステップS221)。本実施形態において、ユーザーは、電子時計1のフラッシュメモリー54の内蔵データの書き換えを希望する場合、携帯情報端末Rにインストールされたデータ書き換え用のアプリケーションプログラムを起動し、携帯情報端末Rから電子時計1にデータ更新指示を送信させ、携帯情報端末Rに事前にダウンロードされたローカルタイム情報等のデータを電子時計1に対して送信させる。ステップS221では、この携帯情報端末Rからのデータ更新指示が受信されたか否かを判断する。このステップS221の判断結果が「No」である場合、受信判定部644は、携帯情報端末Rから通信終了指示が受信されたか否かを判断する(ステップS224)。このステップS224の判断結果が「No」である場合、受信判定部644は、ステップS221の判断を繰り返す。
携帯情報端末Rからデータ更新指示が受信され、ステップS221の判断結果が「Yes」になると、近距離無線通信制御部643は、近距離無線通信モジュール150により携帯情報端末Rからローカルタイム情報等のデータを受信し(ステップS222)、受信したデータにより、GPS受信モジュール50のフラッシュメモリー54内のデータを書き換える(ステップS223)。そして、受信判定部644は、携帯情報端末Rから通信終了指示が受信されたか否かを判断する(ステップS224)。
そして、携帯情報端末Rから通信終了指示が受信されると、ステップS224の判断結果が「Yes」となる。これにより制御部61は、運針を通常運針に戻す(ステップS232)。そして、制御部61の処理は、図14のステップS101に戻る。近距離無線通信処理の実行時のピーク電流は5mAであり、側時受信処理のピーク電流と同程度である。しかし、近距離無線通信処理は、測時受信処理よりも通信速度が速いので通信時間が数10msecでよく、現地時刻を取得する機能としては、側時受信処理よりも消費電力が少ない。また、近距離無線通信処理では、時刻情報以外に、携帯情報端末Rのアプリケーションを利用して、タイムゾーン情報、サマータイム情報の更新、アシストデータの取得も可能である。
[測時受信処理]
次に、図16に示す測時受信処理について説明する。測時受信処理は、制御部61の測時受信制御部6421がGPS受信モジュール50を制御して実行する。測時受信制御部6421は、測時受信処理を開始すると、まず、指針27で「1」を指示して測時受信モード中であることを表示し、GPS受信モジュール50を起動して時刻受信を開始する(ステップS301)。
次に測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50により衛星サーチを開始する(ステップS302)。そして、測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50が衛星を捕捉できたか否かを判断する(ステップS311)。この判断結果が「No」である場合、測時受信制御部6421は、測時受信開始からの経過時間が、衛星捕捉用の所定のタイムアウト時間(例えば、15秒)になったか否かを判断する(ステップS351)。
タイムアウトとなることによりステップS351の判断結果が「Yes」となった場合、測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50による受信を終了する(ステップS342)。これにより制御部61は、指針24を電池残量表示として通常運針に戻す(ステップS334)。なお、GPS衛星信号の周波数は、約1.5GHzと高周波であり、モーターノイズの影響を受けないため、本実施形態では、衛星信号の受信中も、指針21〜23の運針を継続させているが、運針を停止させてもよい。
一方、ステップS311からステップS351に進んだ際にタイムアウトとなっておらず、ステップS351の判断結果が「No」となった場合、測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50による衛星サーチ処理(ステップS302)を継続する。
ステップS302からステップS311に進んだ際、衛星を捕捉できたことが確認され、ステップS311の判断結果が「Yes」となった場合、測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50が捕捉できたGPS衛星Sに関する衛星データをフラッシュメモリー54に格納する(ステップS312)。
このフラッシュメモリー54には、過去の受信時に捕捉した衛星データが、受信時間帯を示す情報とともに記憶されている。そして、フラッシュメモリー54に記憶された衛星データの時間帯と同じ時間帯(例えば1時間単位)にGPS受信モジュール50がGPS衛星Sを捕捉した場合、測時受信制御部6421は、ステップS312において、新たに捕捉した衛星データにより、フラッシュメモリー54内の同じ時間帯の衛星データを更新する。
フラッシュメモリー54に記憶された衛星データは、ステップS302の衛星サーチ時に利用される。すなわち、一般的に位置情報衛星(例えば、GPS衛星)は、略12時間で地球を一周しており、地球も自転をしていることから、同じ場所で同じ時間(例えば、24時間後)に位置情報衛星を探索すれば、過去(例えば、前回)に捕捉した位置情報衛星と同一の位置情報衛星を捕捉できる可能性が高い。このため、ステップS302の衛星サーチ時に、フラッシュメモリー54に同じ時間帯で捕捉でした衛星データが存在する場合は、その衛星のサーチを優先させることで、短時間でGPS衛星Sを捕捉できる確率が向上する。したがって、測時受信制御部6421は、ステップS302の衛星サーチ時に、フラッシュメモリー54に記憶された衛星データを参照し、同じ時間帯の衛星データが記憶されている場合は、その衛星のサーチを優先して行い、衛星データが記憶されていない場合は、予め決められた順番でGPS衛星Sのサーチを行う。
衛星データのフラッシュメモリー54への格納(ステップS312)が完了すると、測時受信制御部6421は、GPS受信モジュール50により捕捉した衛星から時刻データ(Zカウント)が取得できたか否かを判断する(ステップS321)。なお、複数の衛星を捕捉できている場合には、信号強度(SNR)が高い衛星信号から時刻データを取得してもよいし、複数の衛星からそれぞれ時刻データを取得し、時刻データの整合性を確認して時刻データの取得成功を判断してもよい。
ステップS321の判断結果が「No」となった場合、測時受信制御部6421は、その処理がステップS312からステップS321に進んだ時刻からの経過時間が所定のタイムアウト時間(例えば60秒)に到達したか否かを判断する(ステップS341)。このステップS341の判断結果が「No」である場合、測時受信制御部6421は、ステップS321の処理を繰り返す。
GPS衛星信号では、Zカウントは6秒間隔で受信できるため、ステップS341のタイムアウト時間が60秒であれば、タイムアウトになるまでにZカウントを最大で10回受信することができる。
経過時間がタイムアウト時間以上となり、ステップS343の判断結果が「Yes」になると、GPS受信モジュール50は、受信処理を終了する(ステップS342)。これにより通常運針に戻る(ステップ334)。
一方、ステップS321に進んだ際に、その時点において時刻データが取得できていると、ステップS321の判断結果が「Yes」となり、測時受信制御部6421は、取得した時刻データ(Zカウント)の整合性を確認する(ステップS322)。具体的には、測時受信制御部6421は、最初のZカウントを取得した時点では、そのZカウントを制御部61のRTC66の時刻データと比較し、その差が所定値以内であるか否かで整合がとれているかを確認する(ステップS322)。このステップS322において、比較した時刻の差があまりにも大きい場合(例えば、5秒以上の差がある場合)には、整合が取れていないと判定する。
そして、ステップS322において、データ整合性がとれていない判定された場合(「No」と判定された場合)、測時受信制御部6421は、ステップS341、S321、S322の処理を繰り返す。したがって、取得したZカウントが内部時刻と整合していない場合には、測時受信制御部6421は、次の6秒後のサブフレームのZカウントを取得することになる。
一方、測時受信制御部6421が複数のZカウントを取得し、それら複数のZカウント同士で整合が取れている場合、つまり6秒間隔のデータとなっている場合には、取得したZカウント(時刻データ)の整合が取れている(ステップS322で「Yes})と判定する。
測時受信制御部6421は、ステップS322において「Yes」と判断した場合、受信を終了する(ステップS331)。次に時刻情報修正部610は、取得した時刻データ(Zカウント)に基づいて時刻情報を修正する(ステップS332)。時刻情報修正部610が時刻情報を修正すると、表示制御部620は、修正した時刻情報に基づいて、駆動回路62を介して指針21〜23の表示を修正し、指針24も電池残量表示に戻して、通常運針に戻る(ステップS334)。
以上により、測時受信処理が終了する。この測時受信処理が終了すると、制御部61は、図14のステップS101に戻って処理を継続する。測時受信処理では、5〜15秒程度の受信時間で時刻情報を取得することができ、1つの衛星だけを捕捉することができればよいので、省電力であり、かつ、受信感度も優れている。
[測位受信処理]
次に、測位受信処理について、図17を参照して説明する。
測位受信処理が開始されると、表示制御部620は、測位受信中であることを指針27で指示する(ステップS501)。すなわち、表示制御部620は、測位受信処理中は、第2サブダイヤル13に表示された「4+」の記号を指針27で指示する。また、測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50に制御信号を出力して測位受信処理を開始する(以上、ステップS501)。
測位受信開始が指示されると、測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50により衛星サーチ処理を行う(ステップS511)。この衛星サーチ処理において、GPS受信モジュール50における衛星信号の受信レベルが予め設定された所定レベル以上の場合に、測位受信制御部6422は、そのGPS衛星Sを捕捉できたものと判断する。そして、測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50により測位を行うために必要な所定数(少なくとも3個、通常は4個)以上の衛星信号を捕捉できたかを判断する(ステップS512)。
ステップS512の判断結果が「No」である場合、測位受信制御部6422は、衛星サーチ処理用のタイムアウト時間が経過したかを判断する(ステップS561)。この衛星サーチ処理用のタイムアウト時間は、例えば15秒である。
ステップS512およびS561の判断結果がいずれも「No」である場合、測位受信制御部6422は、ステップS511の衛星サーチ処理を継続する。
そして、測位受信制御部6422は、タイムアウト時間が経過し、ステップS561の判断結果が「Yes」になると、測位受信処理を終了し(ステップS552)、制御部61は通常運針に戻す(ステップS540)。この場合、電子時計1はGPS衛星Sを捕捉できない環境に配置されていると考えられ、受信処理を継続して二次電池130の電力を消費することを避ける必要があるからである。
測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50による衛星捕捉が成功し、ステップS512の判断結果が「Yes」になると、捕捉した衛星信号から衛星軌道データ(エフェメリス)を取得できたかを判断する(ステップS521)。
ステップS521の判断結果が「Yes」になると、測位受信制御部6422は、取得した衛星軌道データに基づいて測位計算を行い、測位計算を完了したかを判断する(ステップS522)。
測位受信制御部6422は、ステップS521の判断結果が「No」である場合またはステップS521の判断結果が「Yes」であり、かつ、ステップS522の判断結果が「No」である場合、測位計算用のタイムアウト時間を経過したかを判断する(ステップS551)。この測位計算用のタイムアウト時間は、例えば120秒である。
測位受信制御部6422は、測位計算用のタイムアウト時間が経過し、ステップS551の判断結果が「Yes」になると、GPS受信モジュール50による受信処理を終了する(ステップS552)。これにより制御部61は通常運針処理に戻す(ステップS540)。
一方、測位計算用のタイムアウト時間が経過せず、ステップS551の判断結果が「No」である場合、測位受信制御部6422は、ステップS521に戻り処理を継続する。
測位計算用のタイムアウト時間が経過する前に、衛星軌道データが取得され、測位計算が完了すると、ステップS522の判断結果が「Yes」となり、測位受信制御部6422は、GPS受信モジュール50による受信処理を終了する(ステップS531)。そして、測位受信制御部6422は、測位計算によって算出された測位情報に対応する時差情報を、フラッシュメモリー54に記憶された時差データベースから読み出し、制御部61に出力する(ステップS532)。
制御部61の時刻情報修正部610は、この時差情報を用いて時刻情報を修正し、表示制御部620は修正された時刻を指針21〜23で表示する(ステップS533)。その後、制御部61は、通常運針処理を行う(ステップS540)。
このようにして測位受信処理が終了する。この測位受信処理が終了すると、制御部61は、図14のステップS101に戻って処理を継続する。測位受信処理は、30秒程度の受信時間が必要となり、最もエネルギーを必要とするので、上述したように電池残量が多いときのみ実行されるようになっている。この測位受信処理は、携帯情報端末Rとの近距離無線通信を必要としないので、携帯電話の電波が届かない海や山の上等、携帯情報端末Rを使用できない環境においても実行可能である。
以上が本実施形態の動作である。
[第1実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、近距離無線通信アンテナ80A(太陽電池パネル80のステンレス板)の厚み中心を平面アンテナ40の厚み中心よりも文字板11側近くに位置させたので、近距離無線通信の通信性能を高め、衛星信号の受信および近距離無線通信の両方を電子時計において適切に行うことが可能になる。また、本実施形態によれば、平面視において指針を駆動するモーターを避けた領域に平面アンテナ40を設けたので、モーターおよび平面アンテナ40を含むムーブメント2を薄型化し、電子時計1を小型化することができる。また、本実施形態によれば、太陽電池パネル80に平面アンテナ40と平面的に重なる領域に切欠部810を形成したので、平面アンテナ40の受信動作に対する太陽電池パネル80の影響を少なくし、微弱な位置情報衛星信号を平面アンテナ40により受信することが可能になる。また、本実施形態によれば、平面視において平面アンテナ40と重ならない領域に第1の耐磁板91を設けたので、平面アンテナ40の受信動作に対する第1の耐磁板91の影響を少なくし、微弱な位置情報衛星信号を平面アンテナ40により受信することが可能になる。また、本実施形態によれば、文字板11の法線と平面アンテナ40の中心とを含む平面の両側に近距離無線通信モジュール150とGPS受信モジュール50とを配置したので、両モジュールを十分に引き離し、両モジュールの動作の干渉を防止することができる。
<第2実施形態>
図18はこの発明の第2実施形態である電子時計1Aを12時位置と6時位置とを通過する平面により切断した断面図、図19は同電子時計1Aを12時位置および時計中心(具体的には指針軸11x)を通過する平面と時計中心および4時位置を通過する平面により切断した断面図である。また、図20は同電子時計1Aのムーブメント2Aの分解斜視図である。なお、これらの図において、上記第1実施形態において示された部位に対応した部位には共通の符号を使用し、その説明を省略する。
上記第1実施形態では、1枚の回路基板720を使用したが、本実施形態では、図18〜図20に示すように、2枚の回路基板720Bおよび720Gを使用する。ここで、回路基板720Bおよび720Gは、地板125と回路押え板725’との間に挟まれ、回路基板720Bは回路基板720Gよりも文字板11側に位置している。そして、回路基板720Bの文字板11側の面に近距離無線通信モジュール150および近距離無線通信アンテナ160が配置されている。ここで、近距離無線通信アンテナ160は、コイルを内蔵したチップアンテナである。上記第1実施形態では、太陽電池パネル80を近距離無線通信用アンテナとして使用したが、本実施形態では、その代りに近距離無線通信アンテナ160が使用される。回路基板720Gの文字板11側の面にはGPS受信モジュール50とGPS受信用の平面アンテナ40が配置されている。
回路基板720Bには、その下側の回路基板720Gに配置された平面アンテナ40を収容可能な大きさおよび形状を有する切欠部721Bが設けられている。平面アンテナ40はこの切欠部721B内に収容される。これにより回路基板720Gを回路基板720Bに接近させ、ムーブメント2Aを薄型化することができる。
回路基板720Gには、その下側の回路押え板725’の中心から約半分の領域に載った二次電池130を収容可能な大きさおよび形状を有する円状の切欠部721Gが設けられている。二次電池130はこの切欠部721G内に収容される。これにより回路押え板725’を回路基板720Gに接近させ、ムーブメント2Aを薄型化することができる。
図21は電子時計1Aのムーブメント2Aの平面図である。地板125には、5つのモーターが設けられている。ステップモーター1401は、秒針駆動用のモーターであり、第1サブダイヤル12および第2サブダイヤル13の間に配置されている。ステップモーター1402は、分針駆動用のモーターであり、平面視で指針軸11xに対して略10時方向の位置に配置されている。ステップモーター1403は、時針駆動用のモーターであり、平面視で指針軸11xに対して略2時方向の位置に配置されている。ステップモーター1404は、カレンダー車駆動用のモーターであり、平面視で指針軸11xに対して略5時方向の位置に配置されている。ステップモーター1405は、デュアルタイム表示のための指針駆動用モーターであり、平面視で指針軸11xに対して略6時方向の位置に配置されている。
図21に示すように、各ステップモーター141〜145は、平面アンテナ40および近距離無線通信アンテナ160と、外装ケース30内で互いに平面的に重ならない位置、すなわち、ムーブメント2の平面視で互いに重ならない位置に配置されている。また、第1の耐磁板91は、各ステップモーター141〜145と重なり、かつ、平面アンテナ40および近距離無線通信アンテナ160と重ならない領域を占めている。第1の耐磁板91がステップモーター141〜145と重なるのは、外部磁界を遮蔽してステップモーターの誤動作を防止するためである。また、第1の耐磁板91が平面アンテナ40および近距離無線通信アンテナ160と重ならないのは、各アンテナを利用した通信の妨げにならないようにするためである。
二次電池130は、リチウムイオン電池である。GPS受信時には、この二次電池130により10mA以上の電流を流す必要がある。このため、数十mAhの容量の二次電池130が必要となる。そこで、本実施形態では、直径が9mm程度、厚みが4mm程度の二次電池130が用いられる。この二次電池130は、径が小さいのでムーブメント径の小型化に有利である。
カレンダー窓15は文字板11の4時位置にある。太陽電池パネル80では、平面視においてカレンダー窓15と重なる領域がくり抜いてある。そして、近距離無線通信アンテナ160は、このカレンダー窓15と重なる位置に配置されている。したがって、本実施形態では、カレンダー窓15および太陽電池パネル80のくり抜き領域を近距離無線通信の電波が通過可能であり、近距離無線通信性能が確保されている。
本実施形態では、カレンダー窓15が近距離無線通信の電波の通過経路となるため、近距離無線通信の性能を確保するために、カレンダー窓15の開口面積を大きくすることが好ましい。
図22(a)〜(c)は、本実施形態におけるカレンダー窓の例を示す平面図である。図22(a)に示すカレンダー窓15は、日付を示す数字とともに、時刻表示を行っている都市名と経線上においてその都市の前後の都市名を示す文字を表示可能な大きさになっている。図22(b)に示す例では、日付を示す数字とともに、曜日を示す文字を表示可能な大きさとなっている。図22(c)に示す例では、カレンダー窓15を、Bluetooth通信を実行中である旨の表示(文字「BT」の表示)、電子メールを受信した旨の表示等、メッセージ通知機能に利用している。なお、これ以外に、電話の着信通知の表示にカレンダー窓15を利用してもよい。
このようにカレンダー窓15の開口面積を大きくすると、電波が通りやすくなるため、近距離無線通信品質が向上する。さらに表示が見やすくなるためユーザーインターフェースも向上する。
図23は回路基板720Bを示す斜視図である。ムーブメント2Aを薄型化するため、図21のステップモーター1401〜1405のモーターコイル部を収容するための孔2401、切欠部2402、孔2403〜2405が回路基板720Bに設けられている。また、回路基板720Bにおいて、平面アンテナ40と重なる部分には切欠部721Bが設けられている。従って、文字板11の法線方向に垂直な側面視において第1の回路基板である回路基板720Bと平面アンテナ40とが重なり、文字板11の法線方向から見た平面視において回路基板720Bと平面アンテナ40とが重ならない。
回路基板720Bには、制御表示モジュール60(より正確には制御表示モジュール60から水晶発振器63を除いたモジュール)、水晶発振器63、電源供給モジュール70(より正確には電源供給モジュール70から第1レギュレーター72および第2レギュレーター73を除いたモジュール)、近距離無線通信モジュール150および近距離無線通信アンテナ160が配置される。近距離無線通信アンテナ160は、コイルを内蔵したチップアンテナと回路配線パターンとからなる。本実施形態では、近距離無線通信アンテナ160をムーブメント2A上部の回路基板720Bに配置することで、金属ケースに収納されていても近距離無線通信のアンテナ性能を高めることができる。近距離無線通信アンテナ160のチップは、回路基板720Bの外周縁近傍に配置することが好ましい。また、回路基板720Bにおいて、近距離無線通信アンテナ160のチップから5mm以内のエリアには、近距離無線通信アンテナ160のチップに至るアンテナ配線を除き、GNDパターンや他の部品を配置しないことが好ましい。
図24は回路基板720Gを示す斜視図である。回路基板720Gには、二次電池130を収容する円形の切欠部721Gが設けられている。本実施形態において、二次電池130は16mmや9mm径の小型電池(第1実施形態より厚みは厚い)を使うことで、平面アンテナ40から離すことができ、薄型化する時計機種には有利である。
回路基板720Gには、平面アンテナ40、GPS受信モジュール50(正確にはGPS受信モジュール50からTCXO53、フラッシュメモリー54を除いたモジュール)、TCXO53、フラッシュメモリー54、第1レギュレーター72および第2レギュレーター73が配置されている。第1レギュレーター72および第2レギュレーター73は、スイッチングノイズを発生するため、近距離無線通信アンテナ160および平面アンテナ40からなるべく離して配置することが望ましい。また、回路基板720Gには3時位置にコネクター99が設けられており、回路基板720Gはこのコネクター99を介して回路基板720Bと電気的に接続されている。
平面アンテナ40では、底面のGND電極43を囲む4辺のうち金属ケースから最も離れた辺の内側に、GND電極43から電気的に分離され、GPS受信モジュール50に電気的に接続された給電部42Qが設けられている。そして、この給電部42Qが平面アンテナ40の上面のアンテナ電極42と対向している。本実施形態において、GPS受信モジュール50は、この給電部42Qおよびアンテナ電極42間の電磁結合を介してアンテナ電極42と電気的に接続される。電磁結合では、給電ピンを使わないので、ムーブメント2Aの厚みを薄くすることができる。また、平面アンテナ40をリフローで回路基板720Gに表面実装できるので実装コストも安い。平面アンテナ40において、金属ケースと最も離れた辺に給電部42Qを設けることは、最も金属ケースの影響を低減することができ、より大きなアンテナ利得を確保できる。また、GNDの役割を果たす回路基板720Gの中央に給電部42Qを設けているので、放射パターンが点対称となり、円偏波特性がよくなる。また、GNDの役割をなす回路基板720Gは、切欠部721Gを有するが、その部分には二次電池130が収容され、二次電池130がGNDの役割を果たす。このため、平面アンテナ40の性能が低減することはなく、二次電池130の近傍に給電部42Qを配置することは好都合である。
図19には、文字板11の法線方向における平面アンテナ40の厚み中心を通過する破線40xと、近距離無線通信アンテナ160の厚み中心を通過する破線160xが示されている。図19に示すように、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様、近距離無線通信アンテナ160の厚み中心は、平面アンテナ40の厚み中心よりも文字板11側に近い位置にある。したがって、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、位置情報衛星信号の受信と近距離無線通信の両方を適切に行うことができる。
本実施形態の1つの特徴として、GPS受信モジュール50と、平面アンテナ40と、近距離無線通信モジュール150と、近距離無線通信アンテナ160の平面的なレイアウトがある。図23および図24において、直線720Yは、文字板11の中心を通過する法線と平面アンテナ40の中心とを含む平面が回路基板720Bまたは720Gと交差する直線を示している。また、直線720Yは、文字板11の中心を通過する法線を含む平面であって、上記直線720Yを含む平面と直交する平面が回路基板720Bまたは720Gと交差する直線を示している。本実施形態では、GPS受信モジュール50と近距離無線通信モジュール150との間に、文字板11の中心を通過する法線と平面アンテナ40の中心とを含む平面が位置する。これはGPS受信モジュール50と近距離無線通信モジュール150とを互いに離れた位置に配置し、両者の干渉を防止するためである。また、本実施形態では、直線720Xの両側、すなわち、文字板11の中心を通過する法線を含む平面であって、上記直線720Yを含む平面と直交する平面の両側に近距離無線通信アンテナ160と平面アンテナ40とを配置し、両アンテナを引き離すことにより、両アンテナ間の相互干渉を防止している。
以上が本実施形態の詳細である。
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、2枚の回路基板720Bおよび720Gを使用するので、上記第1実施形態よりも複雑な回路を配置することが可能であり、電子時計の多機能化を図ることができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明には他の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態において、電子時計は、時刻情報を得るために、GPS衛星信号を受信した。しかし、時刻情報を得るために、電子時計が他の信号を受信するようにしてもよい。例えば時刻情報を得るために、GPS以外にガリレオ、グロナス、SBAS(Satellite-Based Augmentation System)、準天頂衛星(みちびき)の信号を利用してもよい。これらの信号はGNSS(Compass Navigation Satellite System)と総称される。
(2)上記各実施形態において、Bluetoothの通知機能は携帯情報端末と定期的に通信を行って同期している必要があり、エネルギーを消費する。そこで、電子時計において、Bluetoothの通知機能は、時刻データの通信のみに使用するようにしてもよい。この態様によれば、Bluetoothによる通信頻度が減るため、電子時計のエネルギー消費を大幅に減らすことができる。
(3)上記各実施形態では、平面視において、平面アンテナ40と重なる太陽電池パネル800の領域に切欠部810を設けたが(図4参照)、このような切欠部を設ける代わりに、図25および図26に示す太陽電池パネル80Bを使用してもよい。図25は太陽電池パネル80Bの平面図、図26は同太陽電池パネル80Bの断面図である。この態様では、太陽電池パネル80Bにおいて、平面アンテナ40と重なる平面アンテナ領域810Aの表面電極82および裏面電極84のみが取り除かれている。また、太陽電池パネル80Bでは、ステンレス鋼からなる裏面保護材86の代わりに、樹脂からなる裏面保護材86aが使用されている。この態様によれば、樹脂からなる裏面保護材86aが使用されており、平面アンテナ領域810Aは、表面電極82および裏面電極84がないため、GPS衛星信号を通過させる。したがって、太陽電池パネル80Bに妨げられることなく、平面アンテナ40によるGPS衛星信号の受信を行うことができる。また、この態様では、太陽電池パネル80Bに切欠部を設けず、平面アンテナ領域810A内の表面電極82および裏面電極84を取り除いているだけであるので、文字板11を平面視した場合の外観において平面アンテナ領域810Aが不連続に見えるのを抑制することができる。
(4)上記各実施形態では、近距離無線通信の例としてBluetoothによる通信を挙げたが、近距離無線通信は、2.4GHz/5GHz帯を使用するWi-Fiでもよい。
S…GPS衛星、R…携帯情報端末、1,1A…電子時計、30…外装ケース、11…文字板、16〜19…貫通孔、12〜14…サブダイヤル、38…リュウズ、361〜364…ボタン、11x,12x,13x,14x…指針軸、80,80B…太陽電池パネル、831〜834…貫通孔、91,92…耐磁板、15…カレンダー窓、20…カレンダー車、125…地板、40…平面アンテナ、720,720B,720G…回路基板、130…二次電池、725…回路押え板、60…制御表示モジュール、61…制御部、610…時刻情報修正部、620…表示制御部、630…電圧検出制御部、640…受信制御部、641…受信モード選択部、642…衛星信号受信制御部、6421…測時受信制御部、6422…測位受信制御部、643…近距離無線通信制御部、644…受信判定部、62…駆動回路、63…水晶発振器、66…RTC、67…ROM、68…記憶部、59…SAWフィルター、50…GPS受信モジュール、51…RF部、511…PLL、512…VCO、513…LNA、514…ミキサー、515…IFアンプ、516…IFフィルター、517…ADC、52…ベースバンド部、521…DSP、522…CPU、523…RTC、524…SRAM、53…TCXO、54…フラッシュメモリー、80A…近距離無線通信アンテナ、150…近距離無線通信モジュール、1500…RF部、1511…LNA、1512,1524…BPF、1513,1523…ミキサー、1514,1522…IFアンプ、1515…ADC、1501…PLL、1502…VCO、1521…ADC、1525…PA、1600…ベースバンド部、1610…復調部、1620…変調部、1700…Bluetooth LEコントローラー部、1701…水晶発振器、70…電源供給モジュール、71…充電制御回路、72…第1レギュレーター、73…第2レギュレーター、74…電圧検出回路。

Claims (8)

  1. 平板状の時刻表示部と、
    導電性のケースと、
    前記導電性のケースに収納された近距離無線通信を行う近距離無線通信アンテナおよび近距離無線通信部と、
    前記導電性のケースに収納された位置情報衛星信号を受信する平面アンテナおよび衛星信号受信部と、を有し、
    前記時刻表示部の法線方向に沿った平面視において、前記近距離無線通信アンテナおよび前記平面アンテナが前記時刻表示部と重なり、
    前記近距離無線通信の周波数は前記位置情報衛星信号の周波数よりも高く、
    前記時刻表示部の法線方向における前記近距離無線通信アンテナの厚み中心は前記平面アンテナの厚み中心より前記時刻表示部側に位置する
    ことを特徴とする電子時計。
  2. 前記時刻表示部は、指針により時刻表示を行うものであり、前記平面視において前記指針を駆動するモーターが前記平面アンテナと重ならないことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
  3. 前記衛星信号受信部に電力を供給する太陽電池を備え、前記平面視において前記平面アンテナと重ならない領域に前記太陽電池の電極層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の電子時計。
  4. 前記平面視において前記平面アンテナと重ならない領域に耐磁板を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子時計。
  5. 前記近距離無線通信部と前記衛星信号受信部と前記平面アンテナが同一の回路基板に配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子時計。
  6. 前記近距離無線通信アンテナが配置された第1の回路基板と、前記平面アンテナが配置された第2の回路基板とを備え、
    前記第1の回路基板が前記第2の回路基板より前記時刻表示部側に近く配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子時計。
  7. 前記時刻表示部の前記法線方向に垂直な側面視において前記第1の回路基板と前記平面アンテナとが重なり、前記平面視において前記第1の回路基板と前記平面アンテナとが重ならないこと特徴とする請求項6に記載の電子時計。
  8. 前記衛星信号受信部と前記近距離無線通信部との間に、前記時刻表示部の中心を通過する前記法線と前記平面アンテナの中心とを含む平面が位置することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子時計。
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