JP2019123909A - 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法 - Google Patents

無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019123909A
JP2019123909A JP2018005340A JP2018005340A JP2019123909A JP 2019123909 A JP2019123909 A JP 2019123909A JP 2018005340 A JP2018005340 A JP 2018005340A JP 2018005340 A JP2018005340 A JP 2018005340A JP 2019123909 A JP2019123909 A JP 2019123909A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
primer layer
electroless plating
layer
amino group
metal nanoparticles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018005340A
Other languages
English (en)
Inventor
伊東 正浩
Masahiro Ito
正浩 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
EEJA Ltd
Original Assignee
Electroplating Engineers of Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Electroplating Engineers of Japan Ltd filed Critical Electroplating Engineers of Japan Ltd
Priority to JP2018005340A priority Critical patent/JP2019123909A/ja
Publication of JP2019123909A publication Critical patent/JP2019123909A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

【課題】プライマー層上に単分散貴金属ナノ粒子を均に分散させた触媒金属層を有する無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、プライマー層上に単分散貴金属ナノ粒子を均一に分散させる無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法を提供する。【解決手段】絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層とが積層された無電解メッキ用被メッキ構造体において、当該触媒金属層は粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子からなり、当該プライマー層はアミノ基を有し、当該触媒金属層は単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させた水溶液により当該プライマー層上に形成され、かつ、当該触媒金属層と当該プライマー層とがプライマー層上のアミノ基を介して接合されている。【選択図】図2

Description

本発明は、プライマー層を用いた無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法に関する。
絶縁性基材上への無電解メッキ方法としては、これまで以下のような方法が知られている。たとえば、プリント回路基板などに使用されるガラスエポキシ樹脂基板や透明導電性のポリイミドフィルムやPETフィルムなどの絶縁性基板上に精密なパターンを形成する際には、絶縁性基板表面にプライマー層を塗布または積層したのち、無電解メッキ反応の反応開始点となるPdなどの触媒核をプライマー層上に形成し、これを無電解の銅メッキ液や金メッキ液や銀メッキ液などに接触させて、基板上にメッキ層を形成する。さらに、フォト・エッチングプロセスにより、所望のパターンを描いたポジ・ネガレジストをこのメッキ層上に形成後、不要な部分を薬液によりエッチング除去し、希望する回路パターンを形成後、電気メッキ法などを用いて膜厚を増加させる方法が知られている。
例えば、特開昭62−142785公報の特許請求の範囲には「ポリアリーレンスルフィドもしくはポリアリーレンスルフィドを主要樹脂成分とする組成物からなる成形物の化学メッキに際して、あらかじめメッキ不用部分に0.1〜800nmの光を照射したのち、化学メッキすることを特徴とする、選択的化学メッキ法。」が示されている。
また、特開2015−57457号公報の特許請求の範囲では「表面の一部分にめっきが析出可能に改質された樹脂製品を製造する方法であって、前記一部分に対して異なる方法で2回以上の改質処理を行う改質工程を含むことを特徴とする方法。」であって、「前記改質工程は、前記一部分に紫外線を照射することで表面を改質する照射工程と、前記一部分を含む領域に対する酸化処理を行うことで表面を改質する酸化工程と、を含むことを特徴とする」発明が示されている。
また、特開平7−140675号公報(後述する「特許文献1」)の請求項2には「半導体基板上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布工程と、前記レジスト膜に対して所定形状のマスクを用いてパターン露光を行なう露光工程と、前記レジスト膜の表面部のうち露光されなかった部分に対してシリル化処理を行なうシリル化工程と、前記レジスト膜に対してオゾン雰囲気中で放射線を全面照射して該レジスト膜における表面部がシリル化されていない部分を選択的に除去することによってレジストパターンを形成する放射線照射工程とを備えていることを特徴とするパターン形成方法。」が開示されている。
特許文献1の請求項7には「前記レジスト塗布工程におけるレジストは、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤と光酸発生剤とからなり、露光された光酸発生剤から発生する酸により前記アルカリ可溶性樹脂と前記架橋剤とが反応して架橋が起きることによってアルカル不溶となるタイプの化学増幅ネガ型レジストであること」が示され、同請求項10には「前記活性化工程における活性化処理剤は、塩化第一すず及び塩化パラジウムのうちの少なくとも1つを含むこと」が示され、同請求項12には「前記放射線照射工程における放射線は、エキシマレーザ光、電子線又はX線であること」が示されている。
また、特開2005−228990号公報(後述する「特許文献2」)の請求項1には「絶縁性材料からなる基材の表面に導電性材料からなる配線パターンが形成された回路基板用部材の製造方法において、上記絶縁性材料が高分子材料であり、上記基材の配線パターンを形成しようとする部分に紫外光を選択的に照射し、その照射部分を帯電する工程と、上記照射部分の帯電極性とは反対極性に帯電した金属触媒粒子を含有した液を、上記紫外光を照射した基材に塗布する工程と、上記液から取り出した上記基材の上記照射部分に対して、上記導電性材料の無電解めっきを行う工程とを有することを特徴とする回路基板用部材の製造方法。」が開示されている。
そして、特許文献2の明細書0033段落には、「エキシマレーザーが照射された部分の帯電極性と反対極性に帯電した金属触媒粒子を含有した液に浸漬させる方法おいては、エキシマレーザーが照射されたポリイミドフィルムの基材2を塩化すず(II)を含有する塩化水素水溶液や塩化パラジウム水溶液に浸漬させる。これらの水溶液には、負に帯電した金属触媒粒子としてのパラジウムコロイドが形成されている。」と記載されている。
また、特開2010−84196号公報(後述する「特許文献3」)の請求項1には「(a)基板上に、側鎖にシアノ基を有するユニットを含むポリマーを塗布してプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、(b)該プライマー層表面に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを塗布してポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、前記(b)ポリマー層形成工程の後に、さらに、パターン状にエネルギーを付与する工程と、その後、現像する工程と、(c)該ポリマー層に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、(d)無電解メッキを行い、ポリマー層上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有する金属膜形成方法」が示され、請求項3には「前記(b)ポリマー層形成工程の後に、さらに、パターン状にエネルギーを付与する工程と、その後、現像する工程とを有する」ことが記載されている。
ここで、側鎖にシアノ基を有するユニットを含むポリマーは、重合性基、好ましくは、ラジカル重合性基を有するために、エネルギー付与により硬化させることにより、架橋構造を有する強固な、メッキ触媒等の受容性に優れたポリマー層を形成し、そこに無電解メッキ触媒が効率的に吸着するとされる(特許文献3の0016段落)。
特開平7−140675号公報 特開2005−228990号公報 特開2010−84196号公報
上記の先行技術を組み合わせると、特許文献3のポリマー層に無電解メッキ触媒の前駆体を付与する触媒付与工程において、特許文献1の塩化第一スズおよび塩化パラジウムを含む活性化処理剤によって、特許文献2の負に帯電したスズ(Sn)が取り囲んだ金属触媒粒子としてのパラジウムコロイドが形成される。
ところが、このパラジウムコロイドがポリイミドフィルムやプライマー層に吸着されてパラジウム(Pd)金属になると、この金属に直接、次の負に帯電したパラジウムコロイドが吸着される。すなわち、従来のパラジウム(Pd)・スズ(Sn)コロイドとプライマーとの吸着原理からすると、図1に示すように、パラジウム(Pd)金属微粒子の凝集体が形成されてしまう。従来の無電解メッキではメッキ厚が1.0μmを超える場合がほとんどであったので、以下の極薄の無電解メッキを施した場合の課題は生じなかった。
しかし近年、無電解メッキにおける金属材料削減が求められ、また、デバイスの薄膜化さらには薄膜化による軽量化・フレキシブル性向上が求められているが、従来の無電解メッキではこれらの要求に応えることは難しかった。
すなわち、このような凝集体層に極薄の無電解メッキを施すと、パラジウム(Pd)触媒金属層の不揃いの凹凸形態がそのまま回路表面の凹凸形状になって現れてしまうというメッキ被膜特有の課題があり、メッキ厚が0.5μm以下の極薄層では被メッキ物の表面形態がそのままメッキ表面の形状となって現れてしまう。また、基材を表面粗化せずに平滑性を保ったまま上記のような凝集体層に無電解メッキを施すと、凝集体の崩壊によりメッキ膜の剥離が発生してしまい、高い密着性を得る事ができない。メッキ厚が0.5μmを超える場合や基材表面粗化を行う場合には、上記のような課題はなかった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、プライマー層上に単分散貴金属ナノ粒子を均一に分散させた触媒金属層を有する無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、プライマー層上に貴金属ナノ粒子を均一に分散させる無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法を提供することを目的とする。ここで、単分散粒子とは、サイズが極めて良く揃った粒子をいう。通常の単分散粒子はサイズ分布の標準偏差を平均サイズで割った変動係数にして0.1以下程度のものをいうが、本発明における触媒金属層における単分散貴金属ナノ粒子は0.3以下のものをいう。数値が大きくなると凝集体が形成されやすくなるが、本発明では貴金属ナノ粒子の凝集体が形成されなければよいからである。
本発明の無電解メッキ用被メッキ構造体は、絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層とが積層された無電解メッキ用被メッキ構造体において、当該触媒金属層は粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子からなり、当該プライマー層はアミノ基を有し、当該触媒金属層は、分子量200以下の糖アルコール水溶液中に粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させた水溶液により当該プライマー層上に形成され、かつ、当該触媒金属層と当該プライマー層とがプライマー層上のアミノ基を介して接合されていることを特徴とする。
また、本発明の電気回路の構造体は、絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層と、無電解メッキ層とが積層された電気回路の構造体において、当該絶縁性基材の一部に導体回路が形成され、当該絶縁性基材上に当該プライマー層が部分的に構成されており、当該プライマー層はアミノ基を有し、当該触媒金属層は粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子からなり、分子量200以下の糖アルコール水溶液中に当該単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させた水溶液により当該プライマー層上に形成され、当該触媒金属層と当該プライマー層とがプライマー層上のアミノ基を介して接合され、かつ、当該無電解メッキ層が当該導体回路および当該触媒金属層と接続されていることを特徴とする。
また、本発明の無電解メッキの前処理方法は、絶縁性基材のプライマー層に単分散貴金属ナノ粒子群からなる触媒金属層を形成する無電解メッキの前処理方法において、光照射または熱照射によってプライマー層上にアミノ基を発現させる発現工程と、分子量200以下の糖アルコール水溶液中で当該アミノ基に単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させる吸着工程と、当該プライマー層上の不要な貴金属ナノ粒子群を洗い流す洗浄工程とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の無電解メッキ方法は、導体回路が形成された絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層と、無電解メッキ層とが積層された積層体に電気回路を形成する無電解メッキ方法において、光照射または熱照射によって当該プライマー層にアミノ基を発現させる発現工程と、発現させたアミノ基の一部を光照射によって失活させる回路面の形成工程と、分子量200以下の糖アルコール水溶液中で単分散貴金属ナノ粒子群をアミノ基の残部に均一に分散させる吸着工程と、当該プライマー層上の不要な貴金属ナノ粒子群を洗い流す洗浄工程と、当該プライマー層上の貴金属ナノ粒子群および当該絶縁性基材の導体回路を無電解メッキする無電解メッキ工程とを備えていることを特徴とする。
前記本発明の無電解メッキ用被メッキ構造体において、被メッキ構造体に貴金属ナノ粒子を用いるのは、貴金属元素がプライマー層上のアミノ基と化合物をつくりやすいという親和性によるものである。ここで、貴金属とは、周期表IB族(11族)の金(Au)、銀(Ag)および銅(Cu)、並びに、周期表VIII族(8〜10族)の白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)およびイリジウム(Ir)をいう。
また、貴金属ナノ粒子の粒径を2〜100nmとしたのは、プライマー層上のアミノ基との吸着力を考慮したものである。すなわち、粒径が2nm未満では、貴金属ナノ粒子が凝集しやすく、貴金属ナノ粒子をアミノ基にうまく吸着させることができない。他方、粒径が100nmを超えても、貴金属ナノ粒子が大きくなりすぎ、貴金属ナノ粒子をアミノ基にうまく吸着させることができない。よって、貴金属ナノ粒子の粒径を2〜100nmとした。好ましくは3〜80nmの範囲、より好ましくは5〜50nmの範囲である。
前記本発明の無電解メッキ用被メッキ構造体において、プライマー組成物は、プライマー層形成時にアミノ基を有するように公知の化合物を組合せたもので、たとえば、ベース樹脂中に光酸発生剤(PAG)およびメラミン架橋剤またはアミン系架橋剤を含有する。
ベース樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などから選ぶことができる。エポキシ樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
アミノ基を発現させる架橋剤は、上記ベース樹脂の分子内及び分子間を架橋し、架橋反応によってアミノ基を生成してプライマーを不溶化するものであればいずれのものでも構わない。メラミン系架橋剤、アミン系架橋剤、グアナミン系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤などを用いることができる。メラミン系架橋剤としては、ヘキサメトキシメチルメラミン・ヘキサメトキシエチルメラミン(HMM)、ジメトキシメチルメラミン、トリメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、などのようなメトキシアルキルメラミン類がある。また、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレアなどのようなアルコキシメチルグリコールウリル類がある。好適な架橋剤はメラミン系架橋剤である。
光酸発生剤は、スルホニウム塩、ヨードニウム塩およびジアゾニウム塩のようなオニウム塩、ニトロベンジルエステル、ジアゾメタン、トリアジンなどの化合物を単独または複数組み合わせて用いる。
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネート(スルホネートアニオン)との塩であり、スルホニウムカチオンとして、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられ、スルホネート(スルホネートアニオン)としては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネート(スルホネートアニオン)との塩であり、ヨードニウムカチオンとして、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンが挙げられ、スルホネート(スルホネートアニオン)としては、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等が挙げられる。
さらに、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−メタンスルホニル−2−メチル−4−メチルチオプロピオフェノン、2,4−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタ−3−オン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、2−(シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、1−シクロヘキシルスルホニル−1シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、シクロヘキシル2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)アセテート、tert−ブチル2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニルアセテート、イソプロピル−2−ジアゾ−2−メタンスルホニルアセテート、シクロヘキシル2−ジアゾ−2−ベンゼンスルホニルアセテート、tert−ブチル2−ジアゾ−2−(p−トルエンスルホニル)アセテート、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,4−ジニトロベンジルp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4−メトキシフェニル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4ジメトキシフェニル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが知られている。
中でも好ましく用いられる光酸発生剤は、スルホニウム塩、トリアジンである。光酸発生剤は、プライマーの総質量に対して、ポリマー固体質量比で、好ましくは0.001〜20質量%である。0.1〜9.0質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%が特に好ましい。
本発明に係るプライマー組成物には、光酸発生剤と併せて増感剤を用いることができる。増感剤の例には、9−メチルアントラセン、アントラセンメタノール、アセナフチレン、チオキサントン、メチル−2−ナフチルケトン、4−アセチルビフェニル、1,2−ベンゾフルオレンがある。
本発明に係るプライマーに好適な溶剤としては、ケトン類、エーテル類、エステル類、および芳香族炭化水素、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸2−メトキシ−1−プロピレン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、酢酸2−エトキシエチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、酢酸1,2−ジメトキシエタンエチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリドン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエンなどが挙げられる。
前記本発明の無電解メッキ用被メッキ構造体において、プライマー層上のアミノ基とは、プライマー層形成時に発現するアミノ基をいい、プライマー層上に外部から付加されたアミノ基をいうのではない。プライマー層形成時に発現するアミノ基は活性が高く、粒径のそろった貴金属ナノ粒子と強固な吸着力が得られるので、被メッキ構造体に無電解メッキを施した場合、プライマー層とメッキ層の界面ではがれることはない。ここで、アミノ基とは、アンモニア、第一級アミンまたは第二級アミンから水素を除去した1価の官能基(−NH、−NHR、−NRR’)をいう。なお、R、R’は炭化水素基である。
前記本発明の電気回路の構造体において、絶縁性基材の一部に導体回路が形成されたものは、銅張積層板やフレキシブル回路基板やガラス基板などで広く使用されている。本発明の電気回路の構造体は、プライマー層上の触媒金属層に形成される無電解メッキ層とこれら既存の導体回路とが接続し、電気回路の構造体を形成するものである。プライマー層上のアミノ基に吸着した貴金属ナノ粒子からなる触媒金属層上に形成される無電解メッキ層を介して電気回路が形成されているので強固な回路を構成することができる。
前記本発明の無電解メッキの前処理方法において、光照射または熱照射によってプライマー層上にアミノ基を発現させる発現工程は、プリント回路基板におけるポジ・ネガ型フォトレジストフィルムの光酸発生剤または光塩基発生剤による架橋反応と同等の原理による。本発明においては、波長300nm以上の光照射または100℃以上の熱処理で重縮合反応により架橋すると同時にプライマー層上にアミノ基を発現させる架橋剤であるメラミン系架橋剤またはアミン系架橋剤を、プライマー樹脂に含有させることが好ましい。
また、波長300nm以上の光照射または100℃以上の熱処理を行わなかった部分は、架橋反応が進行していないため、溶剤で洗い流す事ができる。これにより、絶縁性基材上に部分的にプライマー層を形成する事ができ、これに無電解メッキを施すことにより、絶縁性基材上に形成されている導体回路と無電解メッキ層を接続する事が可能となる。
また、前記本発明の吸着工程を分子量200以下の糖アルコール水溶液中で行うのは、プライマー層上に貴金属ナノ粒子群を吸着させるとともに、個々の貴金属ナノ粒子を離ればなれに存在させるためである。本発明の吸着工程は次のように理解することができる。
図2の原理図で示すように、糖アルコール水溶液中では糖アルコール分子(9)が正の電荷と負の電荷を両側にもつ鎖状体として存在し、正の電荷の側で貴金属ナノ粒子(10’)を取り囲み、外側に負の電荷を向けている。貴金属ナノ粒子は活性が高いほど好ましい。特に好ましくは、糖アルコール水溶液中で貴金属ナノ粒子群を還元し析出させることである。貴金属ナノ粒子群を分級すると粒径のそろった所定粒径の貴金属ナノ粒子群を得ることができる。糖アルコールの濃度は、使用する貴金属元素の種類や粒径や個数などに応じて適宜定めることができる。糖アルコールの分子量が200以下であるので、鎖状体の長さは短く、鎖状体同士が絡み合うことはない。
貴金属ナノ粒子を取り囲む鎖状体の一部はプライマー層(3)上の正に帯電したアミノ基(5)に引き寄せられる。ここで、鎖状体とアミノ基との距離間隔が接近してくると、貴金属ナノ粒子とアミノ基との吸引力が強くなって貴金属ナノ粒子が直接アミノ基に吸着する。アミノ基と貴金属ナノ粒子との接着力が非常に強いことから、アミノ基に吸引される鎖状体の糖アルコール分子は、アミノ基と貴金属ナノ粒子とのあいだに存在しないと考えられる。
他方、貴金属ナノ粒子の一部が直接アミノ基に吸着した後も、依然鎖状体の糖アルコール分子群が貴金属ナノ粒子を取り囲んでいる。このため吸着した貴金属ナノ粒子は糖アルコールにより負に帯電した表面を有しており、クーロン力(静電気力)によって吸着した貴金属ナノ粒子同士は互いに反発し一定の距離を保つ。また、この吸着した貴金属ナノ粒子に対して糖アルコール水溶液中のコロイド状貴金属ナノ粒子群も負に帯電した表面を有しているので、従来のように貴金属ナノ粒子同士が凝集することもなく、短い鎖状体の糖アルコール分子同士が絡み合うこともない。このようにして、プライマー層上のアミノ基に粒径のそろった貴金属ナノ粒子群を自己集合化させ、均一に分散させることができる。
図面でもって要約すると、図2が吸着原理を説明するための概念図である。貴金属ナノ粒子(10)を取り囲む鎖状の糖アルコール分子(9)がプライマー層(3)上のアミノ基(5)に吸引される。そして、貴金属ナノ粒子(10)とアミノ基(5)との距離がある程度近くなると、鎖状の糖アルコール分子(9)よりもアミノ基(5)の方が貴金属ナノ粒子(10)との吸着力が強くなって、貴金属ナノ粒子(10)とアミノ基(5)が直接吸着する。また、貴金属ナノ粒子(10)と貴金属ナノ粒子(10’)、(10’’)の相互間ではクーロン力が働き、その静電反発力により金貴金属ナノ粒子(10)と貴金属ナノ粒子(10’)、(10’’)の相互間には一定の距離が保たれる。このようにして、図2に示すように、貴金属ナノ粒子群がプライマー層(3)上に平面的に整列される。
ここで、分子量200以下の糖アルコールとしては、グリセリン(C)、エリトリトール(C10)、キシリトール(C12)、ソルビトール(C14)、マンニトール(C14)、などがある。
また、前記の洗浄工程を行うと、プライマー層上の不要な貴金属ナノ粒子群を洗い流すことができる。不要な貴金属ナノ粒子群は、プライマー層上のアミノ基と吸着することなく、プライマー層上に載っているだけなので簡単に洗い流すことができる。通常、洗浄工程を行った後、引き続き無電解メッキが行われ、必要に応じて電解メッキが行われる。場合によっては乾燥工程を中間に挟むことができる。プライマー層の種類にもよるが、この乾燥工程にあわせてアミノ基に吸着した貴金属ナノ粒子を固定することができる。
また、前記の無電解メッキ方法における無電解メッキ工程は、プライマー層上の貴金属ナノ粒子群に無電解メッキをしてプライマー層上に回路形成すると同時に、絶縁性基材の導体回路に無電解メッキをしてプライマー層上の回路と絶縁性基材の導体回路とで一つの電気回路を形成するためである。費用対効果の観点から、無電解メッキ層のメッキ厚は0.05μm以上1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
本発明の無電解メッキ用被メッキ構造体によると、プライマー層に均一に分散した貴金属微粒子群によってプライマー層と触媒金属層間との接合力が強力な無電解メッキ用被メッキ構造体を提供することができる。また、本発明の電気回路の構造体によると、無電解メッキ層が極薄の電気回路を備えた構造体を提供することができる。また、本発明の無電解メッキの前処理方法によると、粒径のそろった貴金属ナノ粒子群を自己集合化させることができるので、貴金属ナノ粒子群が均一に分散した平面的な触媒金属層を形成する方法を提供することができる。また、本発明の無電解メッキ方法によると、プライマー層上の極薄の無電解メッキ層によってプライマー層上の回路と絶縁性基材上の導体回路とを接続した連結回路を形成する方法を提供することができる。
従来のパラジウム(Pd)・スズ(Sn)コロイドとプライマーとの吸着原理を説明するための概念図である。 本発明のプライマーのアミノ基と貴金属ナノ粒子との吸着原理を説明するための概念図である。 本発明の実施例に係る無電解メッキ方法のフローチャートである。 本発明の実施例に係る層構成の形成を表す模式図である。 本発明の実施例1に係る金(Au)ナノ粒子群の分布を示す走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の好適な実施例について述べる。
図3は、本発明の実施例に係る無電解メッキ方法の基本的なフローチャートであり、A プライマー層の形成工程、B アミノ基の発現工程、C 貴金属ナノ粒子の吸着工程、D 未吸着貴金属ナノ粒子の洗浄工程およびE 無電解メッキ工程からなる。
(実施例1)
まず、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム・四水和物を金(Au)換算濃度で0.1g/Lおよびキシリトール1.0g/Lを90℃の水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)に溶解し、クエン酸三ナトリウム・二水和物で還元して金(Au)コロイド溶液を得た。金(Au)ナノ粒子の平均粒径は20nmであり、標準偏差を平均粒径で割った変動係数は0.26であった。(測定は大塚電子株式会社製、ゼータ電位測定システム ELSZ−2で行った。)この液体を金(Au)ナノ粒子含有溶液とした。
以降、図4の実施例に係る層構成を表す模式図に沿って説明する。
絶縁性基材(1)としてガラス基板(コーニング社製 EAGLE−XG)上に、真空蒸着法でクロム(膜厚:5nm)/金(膜厚:200nm)の金属膜を形成した。メタルマスクを使用し、部分的な金属膜を形成し、表面に導体回路(2)をもったガラス基板を得た。
〔A プライマー層の形成工程〕
下記の化合物を混合攪拌し、プライマー層塗布液(a)を調製した。この塗布液(a)を乾燥後膜厚0.2μmになるように、バーコート法により絶縁性基材(1)上に塗布し、100℃にて10分間乾燥し、プライマー層(3)を形成した。
<プライマー層塗布液(a)>
ベース樹脂:Poly(Bisphenol A−co−epichlorohydrin), glycidyl end−capped(シグマアルドリッチ社製)…80質量部
メラミン系架橋剤:メチル化メラミン樹脂(株式会社三和ケミカル製、ニカラック MW−390)…20質量部
光酸発生剤:トリアジン系の光酸発生剤(株式会社三和ケミカル製、TFE−トリアジン)
溶剤:メチルエチルケトン
〔B アミノ基の発現工程〕
絶縁性基材(1)上の導体回路(2)上を露光マスク(4)で遮蔽したまま、紫外線(j線、波長313nm)により50mJ/cmの光量でプライマー層(3)を露光した。次いで、100℃で5分間加熱(ポストベーク)した後、メチルエチルケトンで洗浄をして、露光マスク(4)下のプライマー層を除去して導体回路(2)を露呈するとともに、プライマー層(3)上にアミノ基(5)を発現させた。プライマー表面のアミノ基の発現については飛行時間型二次イオン質量分析法(株式会社日立ハイテクサイエンス製 TOF.SIMS5)にて確認を行った。なお架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン・ヘキサメトキシエチルメラミン(HMM)、ジメトキシメチルメラミン、トリメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレアを用いた場合でも同様にアミノ基の発現が確認されている。
〔C 貴金属ナノ粒子の吸着工程〕
次に、プライマー層(3)上に回路パターンを描いたフォトマスク(6)を置き、中心波長254nmのUV露光機(ウシオ電機株式会社製)を用い、500mJ/cmの光量で照射し、遮蔽していないプライマー層(3)上のアミノ基(5)を失活させた。次いで、絶縁性基材(1)を先に準備した金(Au)ナノ粒子含有溶液中に10分間浸漬した。
〔D 未吸着貴金属ナノ粒子の洗浄工程〕
その後、浸漬した絶縁性基材(1)を水洗した。これにより、吸着していない金(Au)ナノ粒子は糖アルコールとともに洗い流され、金(Au)ナノ粒子群(7)はプライマー層(3)上で平面的に整列される。
このときの基板表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 SU8020)で観察した結果を図5に示す。直径20nmの金(Au)ナノ粒子が凝集することなく平面的に独立して整列している事が分かる。
〔E 無電解メッキ工程〕
その後、65℃に保温された無電解金メッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製、PRECIOUSFAB ACG3000WX)に上記の絶縁性基材(1)を浸漬し、10分間、金(Au)メッキ被膜(8)を析出させた。析出被膜の厚さは0.1μmである。
〔実施例1の効果〕
本発明の実施例1で形成されたプライマー表面の表面粗さはRa=9.8nmであり、その上に形成された無電解メッキ回路の表面粗さはRa=15.2nmであった。すなわち、本発明の実施例1では、きわめて平滑な平面が得られ、貴金属ナノ粒子群の凝集反応が生じていない。このことは、従来のパラジウム(Pd)・スズ(Sn)コロイドとプライマーとの吸着原理を説明するための図1の概念図と比較すると、本発明の吸着原理を説明するための図2に相当する実施例1の効果はより明白である。また、ピールテストによっても無電解メッキ回路の剥離は生じなかった。
(実施例2)
まず、塩化パラジウムをパラジウム(Pd)換算濃度で0.1g/Lおよびグリセリン50g/Lを90℃の塩酸水溶液(pH=3)に溶解し、次亜リン酸ナトリウムで還元してパラジウム(Pd)コロイド溶液を得た。パラジウム(Pd)ナノ粒子の平均粒径は30nmであり、標準偏差を平均粒径で割った変動係数は0.17であった。(測定は大塚電子株式会社製、ゼータ電位測定システム ELSZ−2で行った。)この液体をパラジウム(Pd)ナノ粒子含有溶液とした。
絶縁性基材(1)としてポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン500H)上に、真空蒸着法でクロム(膜厚:5nm)/金(膜厚:200nm)の金属膜を形成した。メタルマスクを使用して部分的な金属膜を形成し、表面に導体回路(2)をもったポリイミド基板を得た。
〔A プライマー層の形成工程〕
次いで、下記の化合物を混合攪拌し、プライマー層塗布液(b)を調製した。この塗布液(b)をスピンコート法(500rpm10秒→3000rpm30秒)により上記の絶縁性基材(1)上に塗布し、110℃にて20分間乾燥し、プライマー層(3)を形成した。
<プライマー層塗布液(b)>
ベース樹脂:Poly(Bisphenol A−co−epichlorohydrin),glycidyl end−capped(シグマアルドリッチ社製)…70質量部
アミン系架橋剤:アミノエチル化アクリル樹脂(株式会社日本触媒製、NK−350)…30質量部
光酸発生剤:Diphenyl−4−methylphenylsulfonium trifluoromethanesulfonate
溶剤:シクロヘキサノン
〔B アミノ基の発現工程〕〜〔D 洗浄工程〕
先に準備したパラジウム(Pd)ナノ粒子含有溶液を用いた以外は、実施例1の〔B アミノ基の発現工程〕、〔C 貴金属ナノ粒子の吸着工程〕および〔D 洗浄工程〕とそれぞれ同様である。
〔E 無電解メッキ工程〕
その後、80℃に保温された無電解ニッケル(Ni)メッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製、MICROFAB ELN500)に上記の絶縁性基材(1)を浸漬し、3分間、ニッケル(Ni)メッキ被膜(8)を析出させた。析出被膜の厚さは0.3μm である。
〔実施例2の効果〕
本発明の実施例2で形成されたプライマー表面の表面粗さはRa=32.8nmであり、その上に形成された無電解メッキ回路の表面粗さはRa=55.2nmであった。本発明の実施例2でも、実施例1と同様のきわめて平滑な平面が得られ、貴金属ナノ粒子群の凝集反応が生じていない。また、ピールテストを行ったところ析出被膜の剥離は生じなかった。
(実施例3)
まず、ヘキサヒドロキソ白金(IV)を白金(Pt)換算濃度で0.1g/Lおよびマンニトール1.5g/Lを95℃の水酸化ナトリウム水溶液(pH=12)に溶解し、ヒドラジンで還元して白金(Pt)コロイド溶液を得た。白金(Pt)ナノ粒子の平均粒径は3nmであり、標準偏差を平均粒径で割った変動係数は0.29であった。(測定は大塚電子株式会社製、ゼータ電位測定システム ELSZ−2で行った。)この液体を白金(Pt)ナノ粒子含有溶液とした。
〔A プライマー層の形成工程〕
絶縁性基材(1)として、ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)を用いた。次いで、下記の化合物のプライマー液(c)を混合攪拌し、塗布液を調製した。この塗布液(c)を乾燥厚さ0.1μmになるように、バーコート法により上記の絶縁性基材(1)上に塗布し、80℃にて30分間乾燥し、プライマー層(3)を形成した。
<プライマー層塗布液(c)>
ベース樹脂:熱可塑性飽和ポリエステル樹脂…90質量部
メラミン系架橋剤:2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン…10質量部
光酸発生剤:トリアジン系の光酸発生剤(株式会社三和ケミカル製、MP−トリアジン)
溶剤:トルエン
〔B アミノ基の発現工程〕
絶縁性基材(1)上の一部を露光マスク(4)で遮蔽したまま、紫外線(j線、波長313nm)により50mJ/cmの光量でプライマー層(3)を露光した。次いで、100℃で5分間加熱(ポストベーク)した後、メチルエチルケトンで洗浄をして、露光マスク(4)下のプライマー層を除去し、プライマー層(3)上にアミノ基(5)を発現させた。
〔C 貴金属ナノ粒子の吸着工程〕
次に、プライマー層(3)上に回路パターンを描いたフォトマスク(6)を置き、中心波長254nmのUV露光機(ウシオ電機株式会社製)を用い、500mJ/cmの光量で照射し、遮蔽していないプライマー層(3)上のアミノ基(5)を失活させた。次いで、絶縁性基材(1)を先に準備した白金(Pt)ナノ粒子含有溶液中に30分間浸漬した。
〔D 未吸着貴金属ナノ粒子の洗浄工程〕
その後、浸漬した絶縁性基材(1)を水洗した。
〔E 無電解・電解メッキ工程〕
その後、60℃に保温された無電解白金(Pt)メッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製、LECTROLESS Pt100)に上記の絶縁性基材(1)を浸漬し、2分間、白金(Pt)メッキ被膜(8)を析出させた。析出被膜の厚さは0.04μm である。
〔実施例3の効果〕
本発明の実施例3で形成されたプライマー表面の表面粗さはRa=10.2nmであり、その上に形成された無電解メッキ回路の表面粗さはRa=13.9nmであった。本発明の実施例3でも、実施例1と同様のきわめて平滑な平面が得られ、貴金属ナノ粒子群の凝集反応が生じていない。またピールテストを行ったところ析出被膜の剥離は生じなかった。
(比較例)
比較として従来のパラジウム(Pd)・スズ(Sn)コロイドを用いた。
〔A プライマー層の形成工程〕
絶縁性基材(1)として、ガラス基板(コーニング社製 EAGLE−XG)を用いた。実施例1と同様の化合物を混合攪拌し、プライマー層塗布液(a)を調製した。この塗布液(a)を乾燥厚さ0.2μmになるように、バーコート法により上記の絶縁性基材(1)上に塗布し、100℃にて10分間乾燥し、プライマー層(3)を形成した。
〔B アミノ基の発現工程〕
絶縁性基材(1)上の一部を露光マスク(4)で遮蔽したまま、紫外線(j線、波長313nm)により50mJ/cmの光量でプライマー層(3)を露光した。次いで、100℃で5分間加熱(ポストベーク)した後、メチルエチルケトンで洗浄をして、露光マスク(4)下のプライマー層を除去し、プライマー層(3)上にアミノ基(5)を発現させた。
〔C 貴金属ナノ粒子の吸着工程〕
次に、プライマー層(3)上に回路パターンを描いたフォトマスク(6)を置き、中心波長254nmのUV露光機(ウシオ電機株式会社製)を用い、500mJ/cmの光量で照射し、遮蔽していないプライマー層(3)上のアミノ基(5)を失活させた。次いで、絶縁性基材(1)を0.1g/L塩化スズ(II)二水和物水溶液に1分間浸漬し、次いでパラジウム(Pd)換算濃度で0.1g/Lの塩化パラジウム水溶液に1分間浸漬した。
〔D 未吸着貴金属ナノ粒子の洗浄工程〕
その後、浸漬した絶縁性基材(1)を水洗した。
〔E 無電解・電解メッキ工程〕
その後、80℃に保温された無電解ニッケル(Ni)メッキ液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製、MICROFAB ELN500)に上記の絶縁性基材(1)を浸漬し、3分間、ニッケル(Ni)メッキ被膜(8)を析出させた。析出被膜の厚さは0.3μmである。
〔比較例の結果〕
比較例3で形成されたプライマー表面の表面粗さはRa=9.8nmであり、その上に形成された無電解メッキ回路の表面粗さはRa=260nmであった。部分的に膨れや未析出部が発生しており、平滑な平面が得られているとは言えない。またピールテストを行ったところ大部分が剥離してしまった。
以上のように、本発明によれば、析出被膜の厚さが0.5μm以下であっても、密着力があり、きわめて平滑なめっき膜が得られるので、絶縁性基材の種類の関係なくメッキ配線が可能になり、諸々の機能部品、電気製品、電子部品が低コスト、高性能、低環境負荷で提供されることが可能となった。
1 絶縁性基材
2 導体回路
3 プライマー層
4 露光マスク
5 アミノ基
6 フォトマスク
7 貴金属ナノ粒子
8 めっき皮膜
9 糖アルコール分子
10、10’、10’’ 貴金属ナノ粒子

Claims (4)

  1. 絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層とが積層された無電解メッキ用被メッキ構造体において、
    1)当該触媒金属層は粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子からなり、
    2)当該プライマー層はアミノ基を有し、
    3)当該触媒金属層は、分子量200以下の糖アルコール水溶液中に粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させた水溶液により当該プライマー層上に形成され、かつ、
    4)当該触媒金属層と当該プライマー層とがプライマー層上のアミノ基を介して接合されている
    ことを特徴とする無電解メッキ用被メッキ構造体。
  2. 絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層と、無電解メッキ層とが積層された電気回路の構造体において、
    1)当該絶縁性基材の一部に導体回路が形成され、
    2)当該絶縁性基材上に当該プライマー層が部分的に構成されており、
    3)当該プライマー層はアミノ基を有し、
    4)当該触媒金属層は粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子からなり、分子量200以下の糖アルコール水溶液中に当該単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させた水溶液により当該プライマー層上に形成され、
    5)当該触媒金属層と当該プライマー層とがプライマー層上のアミノ基を介して接合され、かつ、
    6)当該無電解メッキ層が当該導体回路および当該触媒金属層と接続されている
    ことを特徴とする電気回路の構造体。
  3. 絶縁性基材のプライマー層に単分散貴金属ナノ粒子群からなる触媒金属層を形成する無電解メッキの前処理方法において、
    1)部分的な光照射または熱照射による架橋反応によってプライマー層上にアミノ基を発現させる発現工程と、
    2)架橋反応が起きていない部分を溶剤で洗い流す現像工程と、
    3)分子量200以下の糖アルコール水溶液中で当該アミノ基に粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子群を均一に分散させる吸着工程と、
    4)当該プライマー層上の不要な貴金属ナノ粒子群を洗い流す洗浄工程
    を備えていることを特徴とする無電解メッキの前処理方法。
  4. 導体回路が形成された絶縁性基材と、プライマー層と、触媒金属層と、無電解メッキ層とが積層された積層体に電気回路を形成する無電解メッキ方法において、
    1)光照射または熱照射よる架橋反応によって当該プライマー層上にアミノ基を発現させる発現工程と、
    2)発現させたアミノ基の一部を光照射によって失活させる回路面の形成工程と、
    3)分子量200以下の糖アルコール水溶液中で粒径2〜100nmの単分散貴金属ナノ粒子群をアミノ基の残部に均一に分散させる吸着工程と、
    4)当該プライマー層上の不要な貴金属ナノ粒子群を洗い流す洗浄工程と、
    5)当該プライマー層上の貴金属ナノ粒子群および当該絶縁性基材の導体回路を無電解メッキする無電解メッキ工程と
    を備えていることを特徴とする無電解メッキ方法。
JP2018005340A 2018-01-17 2018-01-17 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法 Pending JP2019123909A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018005340A JP2019123909A (ja) 2018-01-17 2018-01-17 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018005340A JP2019123909A (ja) 2018-01-17 2018-01-17 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019123909A true JP2019123909A (ja) 2019-07-25

Family

ID=67398017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018005340A Pending JP2019123909A (ja) 2018-01-17 2018-01-17 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019123909A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022097487A1 (ja) * 2020-11-05 2022-05-12 Dic株式会社 金属皮膜形成方法
WO2023167254A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 三井化学株式会社 無電解めっき用プライマー組成物、積層体及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022097487A1 (ja) * 2020-11-05 2022-05-12 Dic株式会社 金属皮膜形成方法
WO2023167254A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 三井化学株式会社 無電解めっき用プライマー組成物、積層体及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6835889B2 (en) Passive element component and substrate with built-in passive element
US7968449B2 (en) Method for manufacturing printed wiring board
US6709806B2 (en) Method of forming composite member
US6899999B2 (en) Method of manufacturing composite member, photosensitive composition, porous base material, insulating body and composite member
JPH07166372A (ja) 選択的金属化法
US20050215721A1 (en) Pattern forming method, arranged fine particle pattern forming method, conductive pattern forming method, and conductive pattern material
JP2008103622A (ja) プリント配線板作製用積層体及びそれを用いたプリント配線板の作製方法
TW200806128A (en) Method of forming metal pattern, metal pattern, and printed circuit board
WO2013141275A1 (ja) 透明導電積層体及びタッチパネル
JPH07240568A (ja) 回路基板およびその製造方法
JP2010185128A (ja) めっき用感光性樹脂組成物、積層体、それを用いた表面金属膜材料の作製方法、表面金属膜材料、金属パターン材料の作製方法、金属パターン材料、及び配線基板
JP2019123909A (ja) 無電解メッキ用被メッキ構造体および電気回路の構造体、並びに、無電解メッキの前処理方法および無電解メッキ方法
JP2008108791A (ja) 多層プリント配線基板及び多層プリント配線基板の作製方法
JP2001085358A (ja) 基板上の銅配線形成方法及び銅配線の形成された基板
JP2000073176A (ja) シリルハイドライド機能性樹脂上への非電解金属析出法
JP2014143221A (ja) 回路基板の製造方法、並びに、その製造方法で得られる回路基板
JP2002285342A (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物および多孔質基材
JP5075157B2 (ja) 配線基材の製造方法及び該製造方法により得られた配線基材
KR101238966B1 (ko) 회로 기판의 제조 방법, 및 상기 제조 방법에 의해 얻어진 회로 기판
JP2012214895A (ja) パターン状金属膜を有する積層体の製造方法、被めっき層形成用組成物
US20150318077A1 (en) Composition, laminate, method of manufacturing laminate, transistor, and method of manufacturing transistor
WO2012133032A1 (ja) パターン状金属膜を有する積層体の製造方法、被めっき層形成用組成物
JP3813839B2 (ja) フレキシブル配線基板
WO2013024767A1 (ja) 配線パターンの製造方法及びめっき用部材
JP2012234013A (ja) 金属パターン材料及びその製造方法