JP2019122294A - アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、以下に例示する一態様により、本願発明における課題を解決することができる。
〔1〕 アルコール飲料であって、
緑茶及び/又は緑茶成分と、
オクタナールとを含んでなり、
前記オクタナールの含有量が純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下であることを特徴とする、アルコール飲料。
〔2〕 前記緑茶及び/又は緑茶成分が、緑茶抽出物又は緑茶成分抽出物である、〔1〕に記載のアルコール飲料。
〔3〕 前記緑茶及び/又は緑茶成分として、前記緑茶及び/又は緑茶成分を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、〔1〕に記載のアルコール飲料。
〔4〕 前記オクタナールが、柑橘類抽出物又は和柑橘類抽出物である、請求項〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のアルコール飲料。
〔5〕 前記オクタナールとして、柑橘類又は和柑橘類を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、〔1〕〜〔3〕の何れか一項に記載のアルコール飲料。
〔6〕 前記和柑橘類が、温州ミカン、伊予柑、夏ミカン、八朔、柚子、臭橙(カボス)、シークワサー、すだち、ダイダイ、日向夏、伊予柑、ぽんかん、デコポン(不知火)、清見、たんかん、夏みかん、甘夏、マイヤーレモン、げんこう、せとか、はるみ、たんかん(桶柑)、マーコット、アンコール、セミノール、晩白柚(ばんぺいゆ)、文旦(ブンタン)、カラ(カラマンダリン)、天草、スイートスプリング、はるか、南津海 (なつみ)、はれひめ、まりひめ、黄金柑、河内晩柑(美生柑)、紅まどんな、ひめのつき、甘平、麗紅、クレメンタイン、カクテルフルーツ、及びミネオラからなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、〔4〕又は〔5〕に記載のアルコール飲料。
〔7〕 前記和柑橘類が甘夏及び/又は臭橙(カボス)である、〔4〕又は〔5〕に記載のアルコール飲料。
〔8〕 アルコール度数が10度以上である、〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載のアルコール飲料。
〔9〕 前記アルコール飲料が蒸留酒である、〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載のアルコール飲料。
〔10〕 前記アルコール飲料がスピリッツ又は焼酎である、〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載のアルコール飲料。
〔11〕 前記スピリッツがジンである、〔10〕に記載のアルコール飲料。
〔12〕 〔1〕〜〔11〕の何れか一項に記載のアルコール飲料を製造する方法であって、
食用エタノールと、緑茶及び/又は緑茶成分と、オクタナールとを用意し、
前記食用エタノールに、前記緑茶及び/又は緑茶成分と、前記オクタナールとを混合し、
前記オクタナールの含有量を純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下としてなることを含んでなる、アルコール飲料の製造方法。
〔13〕 前記緑茶及び/又は緑茶成分が、緑茶抽出物又は緑茶成分抽出物である、〔12〕に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔14〕 前記緑茶及び/又は緑茶成分として、前記緑茶及び/又は緑茶成分を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、〔12〕又は〔13〕に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔15〕 前記オクタナールが、柑橘類抽出物又は和柑橘類抽出物である、〔12〕〜〔14〕の何れか一項に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔16〕 前記オクタナールとして、柑橘類又は和柑橘類を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、〔12〕〜〔15〕の何れか一項に記載のアルコール飲料の製造方法。
〔17〕 緑茶又は緑茶成分由来の青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法であって、
アルコール飲料に、
緑茶及び/又は緑茶成分と、
オクタナールとを含有させ、
前記オクタナールの含有量を、純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下としてなることを特徴とする、青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法。
〔18〕 前記アルコール飲料が〔2〕〜〔11〕の何れか一項に記載されたものである、〔17〕に記載の青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法。
(オクタナール)
「オクタナール(Octanal:C8H16O)」は、下記化学式(1)で表される鎖状有機化合物であり、アルデヒドの一種である。無色又は淡黄色の可燃性の液体であり、柑橘類の果実香を有する。1−ヘプテンのヒドロホルミル化、または1−オクタノールの酸化により得られる。オクタナールは、柑橘類、特に、和柑橘類の精油等に多く存在し、これらの精油を減圧分留し、精製工程等を経て得ることができる。
「緑茶」は、茶樹(Camellia sinensis (L.) Kuntze)の葉(主)、茎(茶葉茎等)を加工したものであり、採取した茶葉茎等を加熱処理して発酵を停止させたものである。本発明にあっては、緑茶には、弱、半又は後等の発酵の名称に拘わらず、発酵させた茶(例えば、紅茶、ウーロン茶等)は含まれない。また、緑茶は、加熱処理(蒸す又は加熱)によって、蒸製緑茶と、釜炒製緑茶に大別されるものであるが、例えば、煎茶、深蒸し茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、抹茶、茎茶、粉茶、ぐり茶、番茶、ほうじ茶、龍井茶、黄山毛峰茶等が含まれる。
「緑茶成分」は、緑茶の主要成分を意味し、食品の安全性が確保された、緑茶抽出物、緑茶成分抽出物、化学合成されたものであってよい。抽出は、食品衛生法によって許容される方法で行われたものを使用する。緑茶抽出物は、例えば、緑茶を水、飲用アルコール等で抽出されたものが主として用いられる。
「緑茶成分」としては、カテキン類〔渋味成分:(エピカテキン、カテキン)、(エピガロカテキン、ガロカテキン)、(エピカテキンガレート、カテキンガレート)、(エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート)〕、カフェイン(苦味成分)、テアニン(アミノ酸:甘味・旨味成分)、その他のアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、セリン、γ−アミノ酪酸(GABA))、ビタミン類(ビタミンC、ビタミンB2、葉酸、Β−カロテン、ビタミンE)、サポニン、フッ素、ミネラル(カリウム、カルシウム、リン、マンガンなど)、クロロフィル、有機酸、ポリフェノール、その他緑茶由来の香気成分が挙げられ、緑茶に含まれるものである。本発明にあっては、「緑茶成分」には、上記に例示した一種又は二種以上の混合物、或いは、これらの成分を有意量包含した植物又は当該植物の抽出物、化学合成物或いは化学的抽出物等が包含される。抽出は、食品衛生法によって許容される方法で行われたものを使用する。緑茶成分抽出物は、緑茶成分を水、飲用アルコール等で抽出されたものが主として用いられる。
「アルコール飲料」は、酒税法で「アルコール分一度以上の飲料」と定義されており、食品衛生法でも食品として扱われ、当該法律の適用を受けるものである。「アルコール飲料」としては、醸造酒、蒸留酒、その他の酒類、又はこれらの一種又は二種以上の混合酒が含まれる。なお、酒税法に定義されている通り、「アルコール分」とは、温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう。「アルコール度数」とは、アルコール飲料に対するエタノールの体積濃度を百分率(%)で表した割合である。また、「エキス分」とは、温度十五度の時において原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作った酒であり、基本的に、アルコール度数が高いアルコール飲料である。酒税法では、蒸留酒類として、次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。):イ)連続式蒸留しようちゆう、ロ)単式蒸留しようちゆう、ハ)ウイスキー、ニ)ブランデー、ホ)原料用アルコール、ヘ)スピリッツと定義されている。蒸留酒には、蒸留したアルコールに加水をしたもの、或いは、木製の樽等で熟成したもの等も含まれる。
「ジン」は、穀類(大麦、ライ麦、ジャガイモ等)を原料とし、麦芽及び酵素剤を利用して、糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツに、ジュニパーベリー(杜松の実)などの草根木皮を浸すなどして、香りをつけ、再度蒸溜した無色透明の酒をいい、草根木皮の香気成分固有の香味及び風味を有する酒(スピリッツ)である。
「ウォッカ」は、穀類(ライ麦、グレーン、甜菜、フルーツ、ジャガイモ、トウモロコシ、小麦、大麦等)を原料として、糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した酒(スピリッツ)をいい、スピリッツの中でも最もクセのない香味及び風味を有し、まろやかな爽快感を特徴とするものである。
「ラム」はサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられる酒(スピリッツ)である。
醸造酒は、原料を酵母によりアルコール発酵のみで作られ、蒸留等を行わず製造される酒類の総称である。酒税法では、醸造酒類として、イ)清酒、ロ)果実酒、ハ)その他の醸造酒と定義されている。そのほかに、酒税法では発泡性酒類として分類されているが、ビール及び発泡酒等もまた醸造によって作られる醸造酒である。醸造酒には、糖類をそのまま発酵させて酒類を得る単発酵酒〔例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒等〕と、でんぷんを糖化し、その糖類を発酵させて酒類を得る複発酵酒〔例えば、ビール(単行複発酵酒)、日本酒(並行複発酵酒)〕とがある。醸造酒は、酵母によるアルコール発酵のみによるものであることから、アルコール度数は高くとも約22%程度である。
「純アルコール換算」とは、アルコール飲料(1L)に含まれる特定成分(mg)の濃度(mg/L=ppm)を、このアルコール飲料のアルコール度数割合(v/v)で割って、アルコール度数100(v/v%)当たりの数値に換算したものをいう。
例えば、特定のアルコール飲料〔アルコール度数(v/v%)が50度(%)〕に、特定の香気成分が50ppmで含まれていた場合、特定の香気成分の含有量は、純アルコール換算で、〔50ppm÷(50度÷100)〕=100ppmとなる。
本発明にあっては、オクタナールの含有量は、本明細書において特にことわりがない限り、基本的に、純アルコール換算のppm、即ち、mg/L(質量/体積)にて表す。
(オクタナール)
アルコール飲料は、オクタナールを含んでなる。オクタナールを特定量で含有することにより、緑茶又は緑茶成分由来の特有の青臭い又は生臭い香味及び風味をマスキングし、或いは消臭するといった効果を発揮させることが可能となる。また、オクタナールの添加により、緑茶又は緑茶成分由来の後味の悪さを高い次元において抑制し、かつ、清涼感、さっぱり感、スッキリ感等いった、新たな後味性を有意に達成させることが可能となる。さらに、オクタナールを含有することにより、アルコール由来の苦味及び刺激味を低減させ、濃厚さ、甘さ及び厚みを付与することができる。その結果、緑茶本来の風味、香味、旨味、後味を味わえる緑茶(成分)含有アルコール飲料を提供することができ、かつ、アルコール由来の苦味及び刺激味を抑制することにより、アルコール飲料を飲み易くすることが可能となる。
アルコール飲料中、オクタナールの含有量の下限値は、純アルコール換算で0.005ppm以上であり、好ましくは、0.01ppm以上であり、より好ましくは、0.013ppm以上である。また、本発明にあっては、アルコール飲料中、オクタナールの含有量の上限値は、純アルコール換算で、アルコール飲料に含有可能な最大値であり、0.50ppm以下であり、より好ましくは0.25ppm以下であり、より好ましくは0.05ppm以下である。
和柑橘類は、様々なものが使用できるが、日本原産種又は在来種である、温州ミカン、伊予柑、夏ミカン、八朔、柚子、臭橙(カボス)、シークワサー、すだち、ダイダイ、日向夏、伊予柑、ぽんかん、デコポン(不知火)、清見、たんかん、夏みかん、甘夏、マイヤーレモン、げんこう、せとか、はるみ、たんかん(桶柑)、マーコット、アンコール、セミノール、晩白柚(ばんぺいゆ)、文旦(ブンタン)、カラ(カラマンダリン)、天草、スイートスプリング、はるか、南津海 (なつみ)、はれひめ、まりひめ、黄金柑、河内晩柑(美生柑)、紅まどんな、ひめのつき、甘平、麗紅、クレメンタイン、カクテルフルーツ、及びミネオラからなる群から選択される一種又は二種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも、好ましくは、甘夏及び/又はカボスを使用する。
また、和柑橘類は、その果皮、果実(果汁)、新芽、葉、茎又は棘を使用することができ、好ましくは、果皮、果実(果汁)を用いることができる。
和柑橘類は、日本国内の様々な生産者、農業協同組合等から入手可能である。
本発明にあっては、必須成分として「緑茶及び/又は緑茶成分」を包含するものである。「緑茶及び/又は緑茶成分」はそれ自体であってよいが、好ましくは「緑茶又は緑茶成分」からの抽出物(液体、固体、粉体であってよい)、即ち、緑茶抽出物又は緑茶成分抽出物を使用する。本発明にあっては、抽出物は、水又は食用アルコール等によって抽出したものであってよい。好ましくは、緑茶及び/又は緑茶成分を有意量含有した植物を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を使用する。抽出物、浸漬酒、又は蒸留酒を使用することにより、緑茶自体の風味、香味及び旨味等を有意に発揮させることができ、また、製造容易性と、消費者の飲みやすさに合致させることが可能となる。
本発明によるアルコール飲料は、好ましくは、アルコール度数が10度(%)以上、より好ましくは下限値が30度(%)以上であり、上限値が約100度(%)以下であり、より好ましくは60℃度(%)以下である。アルコール度数が上記範囲内にあることにより、特定含有量のオクタナールを添加することによる効果をより発揮させることが可能となる。
アルコール飲料は、任意成分として、色素、香料、甘味料、酸味料、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、食物繊維、安定化剤、乳化剤を含有することが可能である。これらは、厚生労働省、消費者庁等において定められたガイドライン及び関連法規(食品衛生法等)に規定されたものを用いる。
アルコール飲料は、食用エタノールに、緑茶及び/又は緑茶成分と、特定含有量のオクタナールを必須成分として包含するものである。アルコール飲料は、好ましくは、醸造酒、蒸留酒及びこれらの混合酒の一種、或いはこれらの二種以上の混合酒としてもよい。より好ましくは、一種又は二種以上の醸造酒と、一種又は二種以上の蒸留酒との混合酒であり、最も好ましいものは、一種又は二種以上の蒸留酒である。本発明にあっては、アルコール飲料は、蒸留酒、特に好ましくはスピリッツまたは焼酎である。
「蒸留酒」は、酒税法上、連続式蒸留しようちゆう、単式蒸留しようちゆう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツに含まれるものが挙げられ、好ましくは、連続式蒸留しようちゆう、単式蒸留しようちゆう、ブランデー、又はスピリッツである。「蒸留酒」としては、一般に、ジン、ウォッカ、スピリタス、焼酎、ソジュ、白酒、メスカル、テキーラ、ウイスキー、ブランデー(アルマニャック、カルヴァドス、グラッパ、コニャック、シンガニ、ピスコ等)、カシャッサ、ピンガ、ラム酒、アラック、コルン、キルシュヴァッサー等が挙げられ、好ましくは、ジン、ウォッカ、スピリタス、焼酎、ソジュ、白酒、メスカル、テキーラ、ブランデー、アラックが挙げられ、より好ましくは、ジン、ウォッカ、スピリタス、焼酎であり、最も好ましくはジン又は焼酎が挙げられる。
「浸漬酒」は、飲用アルコール(例えば、蒸留酒、醸造酒)に、果実(例えば、柑橘類)、植物(例えば、茶葉)、動物等を浸漬し、果実等の香味、風味、旨味等の成分を抽出した酒である。そして、この浸漬酒を蒸留することにより、よりこれらの成分を残存させ維持させた蒸留酒を得ることができる。
「醸造酒」は、清酒、果実酒、又はその他の醸造酒であり、例えば、ワイン(ブドウ酒)、シードル(リンゴ酒)、馬乳酒、ビール、日本酒が挙げられ、好ましくは、高濃度のワイン、シードル、日本酒が使用される。
本発明の一の態様は、アルコール飲料を製造する方法であって、
食用エタノールと、緑茶及び/又は緑茶成分と、オクタナールとを用意し、
前記食用エタノールに、緑茶及び/又は緑茶成分と、前記オクタナールを混合し(好ましくは、常温、大気圧下)、
前記オクタナールの含有量を純アルコール換算で0.005ppm以上0.0050ppm以下としてなることを含んでなる、アルコール飲料の製造方法を提案する。
本発明にあっては、アルコール飲料において、緑茶又は緑茶成分由来の青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法であって、
アルコール飲料に、
緑茶及び/又は緑茶成分と、
オクタナールとを含有させ、
前記オクタナールの含有量を、純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下としてなることを特徴とする、青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法が提案される。
別の好ましい態様によれば、アルコール飲料を容器に詰めた容器詰アルコール飲料を提案することができる。容器詰アルコール飲料とすることにより、緑茶(緑茶成分)由来の特有の青臭い又は生臭い香味及び風味をマスキングし、或いは消臭するといった効果を発揮させることが可能となる。また、オクタナールの添加により、緑茶(緑茶成分)由来の後味の悪さを高い次元において抑制し、かつ、清涼感、さっぱり、スッキリ等いった新たな後味性を有意に達成させることが可能となり、並びに、アルコール飲料の提供利便性、流通利便性、保存性、品質劣化防止を図ることが可能となる。
アルコール5%となるように純水で希釈したものを試料とした。試料を吸着させたSPMEファイバー(SPELCO社製 PDMS/DVB 65μm 1cm 57327−U 24gauge StableFlex Pink)をGC−MS(Agilent社製)にかけ、内部標準法により定量を行った。
〔GC条件〕
GC条件は以下のとおりであった。
カラム:DB−5(30m*0.25mmI.D.*0.50μmF.T:J&W社)
オーブン温度:40℃(2min)→10℃/min→140℃(0min)→7℃/min→250℃(3min)→12℃/min→300℃(5min)
注入口温度:250℃
注入モード:スプリットレス
カラム流量:1.1ml/min
注入時間:1min
パージ時間:1min
トランスファーライン温度:250℃
(評価)
下記の通り、アルコール飲料を調製し、お茶らしさ及び後味性について、下記評価基準によって評価した。「お茶らしさ」とは、緑茶本来の風味、香味、を有していることをいい、「後味性」とは、後口に青臭さ、生臭さを有しておらず飲みやすいことをいう。
(官能評価手法)
本出願人会社内の品質管理試験を通った食品官能評価能力のある10名(20歳から65歳までの男女)のパネルにより、実施例及び比較例のアルコール飲料を以下の基準で評価し、その平均値を得て、その結果を、下記表2に記載した。
(評価基準)
お茶らしさ及び後味性みの評価基準は以下の通りで行った。
「お茶らしさ」の評価基準は、それぞれ、対照例(1〜3)を3点としたうえで、お茶らしさが良い(即ち、緑茶本来の風味、香味を良く有していること)を5点とし、お茶らしさが悪い(即ち、緑茶本来の風味香味が少ないこと)を1点として、5段階評価で評価した。
「後味性」の評価基準は、対照例を3点としたうえで、後味性が良い(即ち、後口の青臭さ、生臭さが残存しなかったこと)を5点とし、後味性が悪い(即ち、後口の青臭さ、生臭さが残存したこと)を1点として、5段階評価で評価した。
評価点 1:良い。
評価点 2:やや良い。
評価点 3:対照例(1〜3)と同等であった。
評価点 4:やや悪い。
評価点 5:悪い。
(茶葉蒸留酒)
以下の通り、原料用アルコール(95.3%)に加水した45%アルコールに、原料茶葉1〜3(40kg/kL)を1昼夜浸漬し、常圧蒸留して、茶葉原酒(アルコール度65%)を得た後に、加水して、茶葉蒸留酒(スピリッツ:アルコール度47.2%)を得た。このようにして、緑茶蒸留酒(原料緑葉1)、玉露蒸留酒(原料緑葉2)、煎茶蒸留酒(原料緑葉3)を調製した。それぞれの茶葉蒸留酒の組成は同じであった。原料、茶葉蒸留酒(スピリッツ)の組成は以下の〔表1〕の通りであった。なお、オクタナール又は和柑橘類蒸留酒を配合していない茶葉蒸留酒(スピリッツ)はそれぞれ、対照例1〜3とした。また、かぶせ茶、深蒸し茶、釜炒り茶、玉露、煎茶は、それぞれ、静岡県産のものであり、三井農林株式会社から入手した。
(調製1)
緑茶蒸留酒(原料緑葉1)に、オクタナール(香料)の添加量を可変して添加した後に、加水してアルコール度12%とした緑茶アルコール飲料を調製し、下記表2の通り、実施例及び比較例とした。
表2の通り、本発明(実施例)による緑茶アルコール飲料は、対照例1及び比較例と比較して、お茶らしさ及び後味性において優れたものであったことが理解された。即ち、オクタナールの含有量が0.005ppm以上0.05ppm以下とされてなることにより、後味性が明らかに優位に発揮され、お茶らしさも十分に有していることが理解された。
(調製2)
緑茶蒸留酒(原料緑葉1)の代わりに玉露蒸留酒(原料緑葉2)とした以外は、(緑茶アルコール飲料の調製)と同様にして、玉露アルコール飲料(実施例)を調製し、評価した結果を、下記表3に記載した。
下記表3の通り、本発明(実施例)による玉露アルコール飲料は、対照例2と比較して、お茶らしさ及び後味性において優れたものであったことが理解された。
(調製3)
緑茶蒸留酒(原料緑葉1)の代わりに煎茶蒸留酒(原料緑葉3)とした以外は、(緑茶アルコール飲料の調製)と同様にして、煎茶アルコール飲料(実施例)を調製し、評価した結果を、下記表4に記載した。
下記表4の通り、本発明(実施例)による煎茶アルコール飲料は、対照例3と比較して、お茶らしさ及び後味性において優れたものであったことが理解された。
(調製4)
下記表5の組成の通り、オクタナール(香料)の代わりに、和柑橘類蒸留酒を配合した以外は、(緑茶アルコール飲料の調製)と同様にして、和柑橘類蒸留酒配合緑茶アルコール飲料を調製し、評価した結果を、下記表6に記載した。また、和柑橘類蒸留酒は、主原料としての甘夏をアルコールに浸漬し、この浸漬酒を蒸留して得た蒸留酒を用いた。
下記表6の通り、本発明(実施例)による和柑橘類蒸留酒配合煎茶アルコール飲料は、対照例1と比較して、お茶らしさ及び後味性において優れたものであったことが理解された。
実施例は、対照例(比較例を含む)との対比において、特定量のオクタナール及び/又は特定量のデカナールを、緑茶アルコール飲料に含有させることで、緑茶アルコール飲料に、緑茶又は緑茶成分由来の特有の青臭い又は生臭い香味及び風味をマスキング的(又は消臭的)な効果を発揮させ、かつ、清涼感、さっぱり、スッキリ等いった優れた後味性を有意に達成させることが可能となる。また、アルコール由来の苦味及び刺激味を低減させ、甘さ及び厚みを付与することが可能となり、緑茶アルコール飲料を飲み易くすることが明らかに理解された。
Claims (18)
- アルコール飲料であって、
緑茶及び/又は緑茶成分と、
オクタナールとを含んでなり、
前記オクタナールの含有量が純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下であることを特徴とする、アルコール飲料。 - 前記緑茶及び/又は緑茶成分が、緑茶抽出物又は緑茶成分抽出物である、請求項1に記載のアルコール飲料。
- 前記緑茶及び/又は緑茶成分として、前記緑茶及び/又は緑茶成分を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、請求項1に記載のアルコール飲料。
- 前記オクタナールが、柑橘類抽出物又は和柑橘類抽出物である、請求項1〜3の何れか一項に記載のアルコール飲料。
- 前記オクタナールとして、柑橘類又は和柑橘類を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、請求項1〜3の何れか一項に記載のアルコール飲料。
- 前記和柑橘類が、温州ミカン、伊予柑、夏ミカン、八朔、柚子、臭橙(カボス)、シークワサー、すだち、ダイダイ、日向夏、伊予柑、ぽんかん、デコポン(不知火)、清見、たんかん、夏みかん、甘夏、マイヤーレモン、げんこう、せとか、はるみ、たんかん(桶柑)、マーコット、アンコール、セミノール、晩白柚(ばんぺいゆ)、文旦(ブンタン)、カラ(カラマンダリン)、天草、スイートスプリング、はるか、南津海 (なつみ)、はれひめ、まりひめ、黄金柑、河内晩柑(美生柑)、紅まどんな、ひめのつき、甘平、麗紅、クレメンタイン、カクテルフルーツ、及びミネオラからなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である、請求項4又は5に記載のアルコール飲料。
- 前記和柑橘類が甘夏及び/又は臭橙(カボス)である、請求項4〜6の何れか一項に記載のアルコール飲料。
- アルコール度が10度以上である、請求項1〜7の何れか一項に記載のアルコール飲料。
- 前記アルコール飲料が蒸留酒である、請求項1〜8の何れか一項に記載のアルコール飲料。
- 前記蒸留酒がスピリッツ又は焼酎である、請求項9に記載のアルコール飲料。
- 前記スピリッツがジンである、請求項10に記載のアルコール飲料。
- 請求項1〜11の何れか一項に記載のアルコール飲料を製造する方法であって、
食用エタノールと、緑茶及び/又は緑茶成分と、オクタナールとを用意し、
前記食用エタノールに、前記緑茶及び/又は緑茶成分と、前記オクタナールとを混合し、
前記オクタナールの含有量を純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下としてなることを含んでなる、アルコール飲料の製造方法。 - 前記緑茶及び/又は緑茶成分が、緑茶抽出物又は緑茶成分抽出物である、請求項12に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 前記緑茶及び/又は緑茶成分として、前記緑茶及び/又は緑茶成分を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、請求項12又は13に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 前記オクタナールが、柑橘類抽出物又は和柑橘類抽出物である、請求項12〜14の何れか一項に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 前記オクタナールとして、柑橘類又は和柑橘類を浸漬した浸漬酒又は前記浸漬酒の蒸留酒を含んでなる、請求項12〜15の何れか一項に記載のアルコール飲料の製造方法。
- 緑茶又は緑茶成分由来の青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法であって、
アルコール飲料に、
緑茶及び/又は緑茶成分と、
オクタナールとを含有させ、
前記オクタナールの含有量を、純アルコール換算で0.005ppm以上0.050ppm以下としてなることを特徴とする、青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法。 - 前記アルコール飲料が請求項2〜11の何れか一項に記載されたものである、請求項17に記載の青臭さ又は生臭さを低減し又は消滅させる方法。
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JP2015084751A (ja) * | 2013-11-01 | 2015-05-07 | サントリーホールディングス株式会社 | 柑橘類果実の浸漬酒 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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橋永文男: "キンカンとポンカン果実の成熟及び貯蔵中の揮発性成分とエセホン処理の影響", 鹿兒島大學農學部學術報告,1990年3月, [検索日2021年12月13日], JPN6021050978, pages 43 - 48, ISSN: 0004666252 * |
Cited By (1)
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CN114854523A (zh) * | 2022-06-15 | 2022-08-05 | 福建基茶生物科技有限公司 | 一种乌龙茶酒的制备方法 |
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