JP2019120789A - 光学素子および光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い波長域において高い回折効率を有するとともに、少なくとも2つの電気活性化状態を有する光学素子を提供する。【解決手段】第1の状態と第2の状態とに切り替え可能な光学素子(100)であって、第1の材料(110)で構成される第1の光学要素と、第2の材料(120)で構成される第2の光学要素とを有し、第1の光学要素および第2の光学要素の少なくとも一方は、凹凸形状の光学面を有し、第1の状態において、設計回折次数をmi、第1の材料の屈折率をni1、第2の材料の屈折率をni2、第2の状態において、設計回折次数をmj、第1の材料の屈折率をnj1、第2の材料の屈折率をnj2とするとき、所定の条件を満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、可変焦点機能を有する液晶回折レンズに関する。
特許文献1には、老眼用パワー部を可変パワーとし、無限遠などの遠方を見る際はパワーを付加させことなく読書距離などの至近を見る際にのみパワーを付加する電気活性素子(液晶回折レンズ)を用いた眼鏡が開示されている。
特開2013−137544号公報
しかしながら、特許文献1に開示された液晶回折レンズは、電気活性化状態において回折面を挟んで低屈折率かつ低分散な液晶材料と高屈折率かつ高分散な基板とを組み合わせて用いられているため、広い波長域において高い回折効率を実現することが困難である。また、特許文献1に開示された液晶回折レンズは、電気不活性化状態と1つの電気活性化状態の2つのパワーの状態しか取ることができない。
そこで本発明は、広い波長域において高い回折効率を有するとともに、少なくとも二つの電気活性化状態を有する光学素子および光学機器を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての光学素子は、第1の状態と第2の状態とに切り替え可能な光学素子であって、第1の材料で構成される第1の光学要素と、第2の材料で構成される第2の光学要素とを有し、前記第1の光学要素および前記第2の光学要素の少なくとも一方は、凹凸形状の光学面を有し、前記第1の状態において、設計回折次数をm、前記第1の材料の屈折率をni1、前記第2の材料の屈折率をni2とし、前記第2の状態において、設計回折次数をm、前記第1の材料の屈折率をnj1、前記第2の材料の屈折率をnj2とするとき、所定の条件を満足する。
本発明の他の側面としての光学機器は、前記光学素子と、前記光学素子を前記第1の状態または前記第2の状態に設定可能な制御部とを有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
本発明によれば、広い波長域において高い回折効率を有するとともに、少なくとも2つの電気活性化状態を有する光学素子および光学機器を提供することができる。
本実施形態における光学素子の構成図である。 本実施形態における光学素子を構成する材料の屈折率およびアッベ数である。 本実施形態における光学素子の回折効率である。 本実施形態における第1の変形例としての光学素子の構成図である。 本実施形態における第1の変形例としての光学素子を構成する材料の屈折率およびアッベ数である。 本実施形態における第1の変形例としての光学素子の回折効率である。 本実施形態における第2の変形例としての光学素子の構成図である。 本実施形態における第3の変形例としての光学素子の構成図である。 比較例としての光学素子の構成図である。 比較例としての光学素子を構成する材料の屈折率およびアッベ数である。 比較例としての光学素子の回折効率である。 本実施形態における光学機器の概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図9乃至図11を参照して、比較例としての光学素子(液晶回折レンズまたは電気活性レンズ)について説明する。図9は、比較例としての液晶回折レンズ500の構成図(断面図)である。液晶回折レンズ500は、略平坦な表面を有する基板510、レリーフ面((凹凸形状の光学面))を有する基板520、および、基板510と基板520との間に設けられた液晶材料530を備えて構成される。レリーフ面とは、高さ(深さ)が光の波長程度の微細なレリーフ形状(起伏形状または凹凸形状)を有する面である。液晶材料530に面する2つの基板510、520の表面は、光学的に透明な単一の電極540、550でそれぞれ被覆されている。図10は、比較例としての液晶回折レンズを構成する材料(基板520、液晶材料530)の屈折率およびアッベ数である。図10に示されるように、基板520の屈折率およびアッベ数と、電気不活性化状態での液晶材料530の屈折率およびアッベ数とをそれぞれ略一致させ、電気活性化状態にて液晶材料530の屈折率を変化させることによりパワーを発生させる。しかしながら、このような構成の液晶回折レンズでは、電気活性化状態において回折面を挟んで低屈折率・低分散な液晶材料と高屈折率・高分散な基板との組み合わせとなり、広い波長域において高い回折効率を得ることは困難である。なお本実施形態において、回折効率は、入射光束に対する各回折方向へ伝播する光束の割合として定義される。
図11は、比較例としての光学素子(液晶回折レンズ500)の回折効率である。設計波長である550nmにおいて、設計次数である1次光の回折効率は高いが、設計波長から離れた波長では回折効率が低下し、特に短波長域では大きく低下してしまう。そして、設計次数で回折効率が低下した分の光は、他の回折次数の光となる。設計次数以外の光はフレア光となり、コントラストを低下させる。このため、読書時などに液晶回折レンズ500を用いると、不要回折光(0次光や2次光)によるフレアが顕著となり、文字の視認性が低下して好ましくない。
また、液晶回折レンズ500では、電気不活性化状態と電気活性化状態の2つのパワーの状態しか取ることができない。一般的に、60歳代での眼の屈折力の調節幅は1D程度となるため、読書距離(30cm程度)の近点に焦点を合わせるためには2Dの付加パワーが必要となる。一方、文字が小さく読書距離では上手く視認できない場合などでは、読書距離よりもさらに近い距離(20cm程度)にて対象を見る必要があり、このとき必要になる付加パワーは3Dとなる。このような使用用途では、液晶回折レンズは異なるパワーの複数の電気活性化状態を有することが好ましい。
本実施形態の光学素子(液晶回折レンズまたは電気活性レンズ)は、少なくとも2つの電気活性化状態を有し、それぞれの電気活性化状態にて異なる光学的状態となる。ここで、光学的状態とは、電気活性レンズの光学的パワー(焦点距離)を意味し、電気活性レンズは、電気不活性化状態(第3の状態)と少なくとも2つの電気活性化状態(第1の状態および第2の状態)にて、それぞれ異なるパワーを有する。代表的な例としては、電気不活性化状態において実質的にパワーを有しておらず、第1の電気活性化状態において第1のパワー(例えば+2D)を有し、第2の電気活性化状態において第2のパワー(例えば+3D)を有する。このような電気活性レンズを老眼鏡(光学機器)に用いることにより、無限遠などの遠方を見る際は老眼用パワー部にパワーを付加させず、読書距離などの至近を見る際にのみ老眼用パワー部にパワーを付加することが可能となる。
次に、図1乃至図3を参照して、本実施形態における光学素子(電気活性レンズ)について説明する。本実施形態の光学素子は、可変焦点機能を有する液晶回折レンズである。図1は、本実施形態における光学素子(電気活性レンズ100)の構成図(断面図)である。
電気活性レンズ100は、第1の光学要素と第2の光学要素とを有する。第1の光学要素は、第1の屈折率(第1の材料の屈折率)および第1のアッベ数(第1の材料のアッベ数)を有する第1の電気活性材料110(第1の材料、液晶材料)で構成される。第2の光学要素は、第2の屈折率(第2の材料の屈折率)および第2のアッベ数(第2の材料のアッベ数)を有する第2の電気活性材料120(第2の材料、液晶材料)で構成される。本実施形態において、第1の電気活性材料110と第2の電気活性材料120は、互いに異なる光学的性質(屈折率やアッベ数など)を有する。
第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120のそれぞれの少なくとも一方の面はレリーフ面(凹凸形状を有する光学面)である。また電気活性レンズ100は、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120を保持するため、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120を挟むように設けられた一対の基板130、140を有する。基板130、140はそれぞれ、第1の電気活性材料110または第2の電気活性材料120の一方側に設けられている。すなわち基板130、140は、第1の光学要素および第2の光学要素の少なくとも一方に隣接している(または近傍に配置されている)。基板130は、第1の電気活性材料110に近接する面が第1の電気活性材料110側へ向けて凸形状となるように構成されている。基板140は、第2の電気活性材料120に近接する面が第2の電気活性材料120側へ向けて凸形状となるように構成されている。
また電気活性レンズ100は、第1の電気活性材料110または第2の電気活性材料120に近接して設けられた光学的に透明な電極150、160、170を有する。光学的に透明な電極150、160、170は、例えばITOから構成される。電極160、170はそれぞれ、セグメント化された電極である。電極150、160、170のそれぞれ面のうち対応する電気活性材料に接する面に配向膜を設けてもよく、この構成により電気活性材料の配向を制御することができる。電極150、160、170は、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120のそれぞれに所定の電圧を印加し、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120のそれぞれの屈折率およびアッベ数を所望の値に変化させる。このように第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120のそれぞれは、印加される電圧に応じて、電気不活性化状態(第3の状態)と電気活性化状態(第1の状態と第2の状態)とで変化する。
第1の電気活性化状態において、垂直入射(図1中の上下方向の入射)に対する光の回折効率を最大にするには、レリーフ形状の山と溝の光路長差を波長の整数倍とすればよい。このとき、以下の式(1)が成立する。
{n12(λ0)−n11(λ0)}d=m1λ0 … (1)
式(1)において、λ0は設計波長、dはレリーフ形状の高さ、n11(λ)、n12(λ)はそれぞれ第1の電気活性化状態における波長λに関する第1の屈折率および第2の屈折率、m1は第1の電気活性化状態における設計回折次数である。同様に、第2の電気活性化状態において、垂直入射に対する光の回折効率を最大にするための条件は、以下の式(2)のように表される。
{n22(λ0)−n21(λ0)}d=m2λ0 … (2)
式(2)において、n21(λ)およびn22(λ)はそれぞれ第2の電気活性化状態における波長λに関する第1の屈折率および第2の屈折率、m2は第2の電気活性化状態における設計回折次数である。式(1)および式(2)より、第1の電気活性化状態と第2の電気活性化状態のそれぞれにおいて回折効率を最大にするには、以下の式(3)を満足する必要がある。
m2/m1={n22(λ0)−n21(λ0)}/{n12(λ0)−n11(λ0)} … (3)
電気活性化状態を変更して電気活性レンズ100のパワーを変更する際に、それぞれの電気活性化状態にて回折効率を最大にするには、設計回折次数の比および電気活性材料間の屈折率差の比を保ったまま、第1の屈折率および第2の屈折率を変更する必要がある。このため、第1の電気活性化状態における設計回折次数をmi、第1の屈折率をni1、第2の屈折率をni2、第2の電気活性化状態における設計回折次数をmj、第1の屈折率をnj1、第2の屈折率をnj2とするとき、以下の式(4)を満足する。
|mj/mi−(nj2−nj1)/(ni2−ni1)|≦0.1 … (4)
式(4)において、設計回折次数mi、mjは、mi≠0、mj≠0である。式(4)の上限値を上回ると、設計波長λ0における光の回折効率が低下し、電気活性化状態での視認性が劣化するため好ましくない。好ましくは、以下の式(4’)を満足することにより、それぞれの電気活性化状態において、視認性の高い電気活性レンズを実現することができる。
|mj/mi−(nj2−nj1)/(ni2−ni1)|≦0.05 … (4’)
式(4)および式(4’)において、第1の屈折率ni1、nj1、および、第2の屈折率ni2、nj2はそれぞれ、d線に対する値である。例えば、第1の電気活性化状態において、式(1)が成立しない他の波長λにおけるm1次の回折効率η1は、以下の式(5)のように表される。
η1(λ)=[sin{π(φ1(λ)−m1)}/{π(φ1(λ)−m1)}] … (5)
式(5)において、φ1(λ)={n12(λ)−n11(λ)}d/λである。全ての波長の光に対して式(1)を満足する場合、回折効率の波長依存性は解消される。設計次数をm1=1とし、d、C、F線のそれぞれに関して式(1)を満足する場合、以下の式(6)が導出される。
{n12(λd)−n11(λd)}/[{n12(λF)−n12(λC)}−{n11(λF)−n11(λC)}]=λd/(λF−λC) … (6)
式(6)において、λd、λC、λFはそれぞれd、C、F線の波長である。式(6)より、広い波長域において高い回折効率を実現するには、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせで構成する必要があることが分かる。このため電気活性レンズ100において、好ましくは、電気活性化状態での第1の屈折率ni1および第2の屈折率ni2は、以下の式(7)を満足する。
ni1<ni2 … (7)
また好ましくは、電気活性化状態での第1のアッベ数νi1および第2のアッベ数νi2は、以下の式(8)を満足する。
νi1<νi2 … (8)
式(7)において、第1の屈折率ni1および第2の屈折率ni2はそれぞれ、d線に対する値である。式(8)において、第1のアッベ数νi1および第2のアッベ数νi2はそれぞれ、d線を基準波長としたアッベ数である。
図2は、電気活性レンズ100を構成する材料(第1の電気活性材料110、第2の電気活性材料120)の屈折率およびアッベ数である。図2において、実線は第1の電気活性材料110に対応し、破線は第2の電気活性材料120に対応している。電気不活性化状態において第1の電気活性材料110の屈折率およびアッベ数と第2の電気活性材料120の屈折率およびアッベ数とをそれぞれ略一致させ、電気活性化状態においてそれぞれの屈折率を変化させることによりパワーを発生させる。
電気活性レンズ100において、第1の電気活性材料110は、電気不活性化状態(第3の状態)と第1の電気活性化状態(第1の状態)と第2の電気活性化状態(第2の状態)との間で第1の屈折率および第1のアッベ数が変化する。同様に、第2の電気活性材料120は、電気不活性化状態と第1の電気活性化状態と第2の電気活性化状態との間で第2の屈折率および第2のアッベ数が変化する。本実施形態において、電気不活性化状態から第1の電気活性化状態へ変化すると、第1の電気活性化状態における第1の電気活性材料110の第1の屈折率n11および第1のアッベ数ν11はそれぞれn11=1.515、ν11=33.94となるように変化する。同様に、第1の電気活性化状態における第2の電気活性材料120の第2の屈折率n12および第2のアッベ数ν12はそれぞれn12=1.525、ν12=35.30となるように変化する。また、第1の電気活性化状態から第2の電気活性化状態へ変化すると、第2の電気活性化状態における第1の電気活性材料110の第1の屈折率n21および第1のアッベ数ν21はそれぞれn21=1.485、ν21=36.73となるように変化する。同様に、第2の電気活性化状態における第2の電気活性材料120の第2の屈折率n22および第2のアッベ数ν22はそれぞれn22=1.505、ν22=38.44となるように変化する。このような構成により、第1および第2の電気活性化状態のそれぞれにおいて、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせとなり、広い波長域において高い回折効率を実現することが可能となる。
図3は、電気活性化状態における電気活性レンズ100の回折効率である。図3(A)は第1の電気活性化状態における回折効率、図3(B)は第2の電気活性化状態における回折効率をそれぞれ示している。図3(A)、(B)のそれぞれにおいて、横軸は波長(μm)、縦軸は回折効率をそれぞれ示している。第1の電気活性化状態における設計回折次数m1は1次であり、第2の電気活性化状態における設計回折次数m2は2次である。
図3(A)から明らかなように、比較例としての液晶回折レンズ500の回折効率(図11)と比較して、第1の電気活性化状態における短波長および長波長での1次光の回折効率が向上しており、特に短波長側において回折効率は大きく改善している。これにより、不要回折光(0次光や2次光)によるフレアを低減させることができ、視認性を高めることが可能となる。図3(B)から明らかなように、第2の電気活性化状態において、設計波長(550nm)付近での回折効率を高く維持でき、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせにより、設計波長以外での回折効率の低下を抑制することが可能となる。
電気活性レンズ100において、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120は、以下の式(9)を満足することが好ましい。
Δni1/Δνi1<Δni2/Δνi2 … (9)
式(9)において、Δni1、Δνi1はそれぞれ、電気不活性化状態から電気活性化状態へ変化したときの第1の屈折率および第1のアッベ数の変化量である。Δni2、Δνi2はそれぞれ、電気不活性化状態から電気活性化状態へ変化したときの第2の屈折率および第2のアッベ数の変化量である。
屈折率の変化量Δn(変化量Δni1、変化量Δni2)とアッベ数の変化量Δν(変化量Δνi1、変化量Δνi2)との比Δn/Δνは、電気活性材料の屈折率およびアッベ数のn−ν図上での変化曲線の傾きを表す。本実施形態において、第1の電気活性材料110として、変化曲線の傾きが第1の電気活性化状態にてΔn11/Δν11=−0.014となり、第2の電気活性化状態にてΔn21/Δν21=−0.012となる材料を用いる。また、第2の電気活性材料120として、変化曲線の傾きが第1の電気活性化状態にてΔn12/Δν12=−0.008となり、第2の電気活性化状態にてΔn22/Δν22=−0.007となる材料を用いる。このような構成により、それぞれの電気活性化状態にて、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせとなり、広い波長域において高い回折効率を実現することが可能となる。
電気活性レンズ100において、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120はそれぞれ、0.08以上の複屈折率を有することが好ましい。液晶などの一軸性光学材料は、常光屈折率noおよび異常光屈折率neを有し、複屈折率は両者の差分ne−noと定義される。本実施形態においては、第1の電気活性材料110として常光屈折率noおよび異常光屈折率neがそれぞれ、no=1.485、ne=1.605となる材料を用いる。また第2の電気活性材料120として、常光屈折率noおよび異常光屈折率neがそれぞれ、no=1.492、ne=1.598となる材料を用いる。この場合、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120の複屈折率はそれぞれ、0.120、0.106となる。このように、複屈折率が0.08以上の電気活性材料を用いることにより、電気不活性化状態から電気活性化状態への変化に伴う屈折率の変化のダイナミックレンジを広くすることができ、電気活性化状態における屈折率を容易に制御することが可能となる。
電気活性レンズ100において、電気活性化状態における第1の屈折率ni1および第2の屈折率ni2は、以下の式(10)を満足することが好ましい。
0.006≦(ni2−ni1)≦0.060 … (10)
電気活性化状態において、垂直入射での光の回折効率を最大にするには、レリーフ面の山と溝の光路長差(レリーフ形状の高さd)を波長λの整数倍とする必要がある。ヒトの視覚システムは、可視光スペクトルの全ての波長の光に対して一様に応答しない。ヒトの視覚システムは、可視光スペクトルの中央付近で大きい応答を示すが、両端部の赤や青の波長に対しては、その応答は小さくなる。明順応条件での応答ピークは550nm付近にあるため、設計波長を550nmとすることが一般的である。設計波長を550nm、設計回折次数を1次とする場合、式(1)または式(2)より、(ni2−ni1)=550nm/dが得られる。
このため、式(10)の上限値を上回ると、レリーフ形状の高さdが小さくなり過ぎ、レリーフ形状の加工が困難となるため、好ましくない。レリーフ形状は、機械加工、型による転写、または、エッチングを含む多数の技術を用いて成形することが可能であるが、理想的にはレリーフ形状の高さが10〜100μmとなることが好ましい。一方、式(10)の下限値を下回ると、屈折率の差が小さくなり過ぎ、回折によるパワーの付加が困難となるため、好ましくない。
電気活性レンズ100において、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120は、以下の式(11)を満足することが好ましい。
(Δni1/Δνi1)/(Δni2/Δνi2)≧1.5 … (11)
屈折率の変化量Δnおよびアッベ数の変化量Δνの比Δn/Δνは、電気活性材料の屈折率およびアッベ数のn−ν図上での変化曲線の傾きを表す。式(11)の下限値を下回ると、第1の電気活性材料110と第2の電気活性材料120との変化曲線の傾きが互いに近い値となる。この場合、電気活性化状態において電気活性材料間の屈折率の差を確保しつつ、効果的に高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせを実現することが困難となり、好ましくない。
電気活性レンズ100は、第1の電気活性材料110と第2の電気活性材料120を保持するため、2つの電気活性材料が間に位置するように設けられた一対の基板130、140を有する。電気活性化状態での軸上色収差を補正するため、電気活性レンズ100において、基板130、140のそれぞれの電気活性材料側の面は、電気活性材料側へ向けて凸形状となっていることが好ましい。
ここで、電気活性レンズ100を構成する第1の電気活性材料110、第2の電気活性材料120、レリーフ面、および、基板130、140を薄肉単レンズとして考え、色消し条件について説明する。第1の電気活性材料110の薄肉単レンズのパワーをφ1、第2の電気活性材料120の薄肉単レンズのパワーをφ2とする。また、第1の電気活性材料110に近接した基板130のパワーをφ1’、第2の電気活性材料120に近接した基板140のパワーをφ2’とする。このとき、色消し条件は、以下の式(12)、(13)のように表される。
φ1’+φ1+φDO+φ2+φ2’=φ … (12)
φ1’/ν0+φ1/ν1+φDO/νDO+φ2/ν2+φ2’/ν0=0 … (13)
式(12)において、φは電気活性レンズ100のパワー、φDOはレリーフ面のパワーである。式(13)において、ν0は基板130、140のアッベ数であり、νDO=λd/(λF−λC)=−3.453である。電気活性材料とその電気活性材料に近接した基板とは曲率面を共有している(共通の曲率を有する)ため、電気活性材料の薄肉単レンズのパワーは、基板の薄肉単レンズのパワーを用いて、以下の式(14)、(15)のように表される。
φ1=−(n1−1)/(n0−1)φ1’ … (14)
φ2=−(n2−1)/(n0−1)φ2’ … (15)
式(14)、(15)において、n0は基板130、140の屈折率、n1は第1の電気活性材料110の屈折率、n2は第2の電気活性材料120の屈折率である。式(14)、(15)を色消し条件に関する式(12)、(13)に代入することで、レリーフ面のパワーφDOの値に対応する色消し条件を満たす基板のパワーφ1’、φ2’を求めることができる。また、以下の曲率半径とパワーに関する以下の式(16)、(17)とに基づいて、基板のパワーに対応する曲率半径を求めることが可能である。
φ1’=−(n0−1)/r1 … (16)
φ2’=(n0−1)/r2 … (17)
式(16)、(17)において、r1は第1の電気活性材料110と基板130との間の面の曲率半径、r2は第2の電気活性材料120と基板140との間の面の曲率半径である。電気活性レンズ100の基板130、140として、屈折率n0およびアッベ数ν0がそれぞれn0=1.545、ν0=30.00なる材料を用いる。このため、電気活性化状態において、n1<n2<n0、ν0<ν1<ν2なる条件を満足する。このような構成において、電気活性レンズのパワーをφ=2D、レリーフ面のパワーを0.6Dとすると、r1<0、r2>0となり、電気活性材料に近接した基板の電気活性材料側の面が電気活性材料側に向けて凸形状となる。このような構成により、電気活性化状態において、軸上色収差が良好に補正された視認性の高い電気活性レンズを提供することが可能となる。
電気活性レンズ100において、電気活性化状態における全系のパワーφiとレリーフ面のパワーφiDOは、以下の式(18)を満足することが好ましい。
0.2≦φiDO/φi≦0.4 … (18)
式(18)の上限値を上回ると、電気活性レンズ100の色消し条件を満足するには、基板130の第1の電気活性材料110側の面が基板130側へ向けて凸形状となる(すなわち第1の電気活性材料110に対して凹形状となる)。このため、基板140の第2の電気活性材料120側の面の曲率半径が小さくなる。その結果、第2の電気活性材料120の周辺部の厚みが増してしまい、好ましくない。一方、式(18)の下限値を下回ると、電気活性レンズ100の色消し条件を満足するには、基板140の第2の電気活性材料120側の面が基板140側へ向けて凸形状となる(すなわち第2の電気活性材料120に対して凹形状となる)。このため、基板130の第1の電気活性材料110側の面の曲率半径が小さくなる。その結果、第1の電気活性材料110の周辺部の厚みが増してしまい、好ましくない。
電気活性レンズ100は、第1の電気活性材料110または第2の電気活性材料120に近接したセグメント化された透明電極(電極160、170)を有することが好ましい。電気活性化状態において軸上色収差を補正するため、基板の電気活性材料側の面に曲率を持たせる必要がある。これにより、基板とレリーフ面との間に位置する電気活性材料は、中心部と周辺部にて厚さが異なる。このため、各電気活性材料に近接したそれぞれの透明電極をセグメント化し、セグメントごとに異なる電圧を印加することにより、各電気活性材料に印加される電場強度が場所によらず一定になるようにする。このような構成により、径方向に厚さの異なる電気活性材料に対しても、電気活性化状態にて、電気活性材料の屈折率およびアッベ数を所望の値に変化させることが可能となる。
故障や電力消費により、電気活性材料に電圧を印加することができない場合、電気活性レンズの使用者に及ぼす影響を避けなければならない。通常の老眼鏡は、無限遠などの遠点に焦点が合うように使用者の視力を矯正した上で、読書距離などの近点に焦点を移した際の調節力の不足分を老眼用パワー部に付加している。このため、電気活性材料に電圧が印加されていない電気不活性化状態においては、電気活性レンズにパワーを与えず、電気活性材料に電圧が印加されている電気活性化状態において、電気活性レンズにパワーが付加される構成を採用することが好ましい。このような構成により、故障などで電気活性材料に電圧を印加することができない状況でも、電気活性レンズが遠点に焦点が合った状態に初期化され、使用者に及ぼす影響を回避することが可能となる。
このような構成を実現するため、電気活性レンズ100において、好ましくは、電気不活性化状態における第1の屈折率n1と第2の屈折率n2との差は、電気活性化状態における第1の屈折率n1と第2の屈折率n2との差よりも小さい。より好ましくは、電気不活性化状態での第1の屈折率n1および第2の屈折率n2は互いに略等しい値である。このような構成により、電気不活性化状態において、電気活性レンズに屈折力が生じず、遠点に正しく焦点を合わせることが可能となる。
また電気活性レンズ100において、好ましくは、電気不活性化状態における第1のアッベ数ν1と第2のアッベ数ν2との差は、電気活性化状態における第1のアッベ数ν1と第2のアッベ数ν2との差よりも小さい。より好ましくは、電気不活性化状態での第1のアッベ数ν1および第2のアッベ数ν2は互いに略等しい値である。このような構成により、電気不活性化状態において、設計波長の光だけでなく他の波長の光に対しても屈折力が生じず、色収差を低減した電気活性レンズを提供することが可能となる。
電気活性レンズ100は、軸上色収差を補正するため、基板と電気活性材料との間の面が曲率を有する面(曲面、凸形状面)である。このため好ましくは、電気不活性化状態における第1の屈折率および第2の屈折率のそれぞれと、基板の屈折率との差は、電気活性化状態における第1の屈折率および第2の屈折率のそれぞれと、基板の屈折率との差よりも小さい。より好ましくは、電気不活性化状態における第1の屈折率および第2の屈折率はそれぞれ、基板の屈折率に略等しい値である。このような構成により、電気不活性化状態において、電気活性レンズに屈折力が生じず、遠点に正しく焦点を合わせることが可能となる。
また好ましくは、電気不活性化状態における第1のアッベ数および第2のアッベ数のそれぞれと、基板のアッベ数との差は、電気活性化状態における第1のアッベ数および第2のアッベ数のそれぞれと、基板のアッベ数との差よりも小さい。より好ましくは、電気不活性化状態における第1のアッベ数および第2のアッベ数はそれぞれ、基板のアッベ数に略等しい値である。このような構成により、電気不活性化状態において、設計波長の光だけでなく他の波長の光に対しても屈折力が生じず、色収差を低減した電気活性レンズを提供することが可能となる。
電気活性レンズ100において、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120はそれぞれ、コレステリック液晶、またはカイラルツイスト剤が添加されたネマチック液晶であることが好ましい。コレステリック液晶は、ネマチック液晶と同様に、光学的に一軸性であり複屈折性を有する。ただし、コレステリック液晶に関しては、液晶分子のディレクタが液晶材料の厚さ方向に渡って螺旋状に回転する。液晶分子のディレクタが360°回転するまでの回転軸に沿った長さをツイストピッチと呼ぶ。ツイストピッチに相当する波長を有し、液晶分子のディレクタに垂直に伝播する光波に対して、コレステリック液晶は平均屈折率nave=(no+ne)/2を有する。十分に強い電圧が印加された場合、液晶分子のディレクタは印加された電場と平行になる。このため、電場方向に伝播する光波に対して、コレステリック液晶は常光屈折率noを有する。したがって、コレステリック液晶は、印加された電場強度に従って液晶分子の配向を変化させ、ディレクタの回転軸に沿って伝播する光波に対して平均屈折率naveと常光屈折率noとの間の屈折率値を有する。
また、ネマチック液晶にカイラルツイスト剤を添加することにより、コレステリック液晶と同等の特性を得ることが可能である。カイラルツイスト剤を添加したネマチック液晶は、元のネマチック液晶と同じ常光屈折率noおよび異常光屈折率neを有し、添加するカイラルツイスト剤のヘリカルツイスト力によりツイストピッチを所望の値に調整することが可能である。コレステリック液晶やカイラルツイスト剤を添加したネマチック液晶の平均屈折率naveは、入射光波の偏光状態に依存しない一定値となるため、コレステリック液晶やカイラルツイスト剤を添加したネマチック液晶は偏光不感受性を有する。このため、第1の電気活性材料110または第2の電気活性材料120として、コレステリック液晶、またはカイラルツイスト剤を添加したネマチック液晶を用いることにより、ランダムに偏光された光波に対して一様に収束力を付加することが可能となる。
次に、図4乃至図6を参照して、本実施形態における変形例としての光学素子(電気活性レンズまたは液晶回折レンズ)について説明する。図4は、第1の変形例としての光学素子(電気活性レンズ200)の構成図(断面図)である。
電気活性レンズ200は、第1の屈折率および第1のアッベ数を有する第1の電気活性材料210(第1の材料)と、第2の屈折率および第2のアッベ数を有する第2の電気活性材料220(第2の材料)とを有する。また電気活性レンズ200は、第1の電気活性材料210および第2の電気活性材料220を保持するため、第1の電気活性材料210および第2の電気活性材料220を挟むように設けられた一対の基板230、240を有する。また電気活性レンズ200は、第1の電気活性材料210と第2の電気活性材料220との間に設けられた基板250を有する。基板250の両面はレリーフ面である。また、第1の電気活性材料210および第2の電気活性材料220のそれぞれの面のうち基板250に近接する面は、レリーフ面である。基板230は、第1の電気活性材料210に近接する面が第1の電気活性材料210側へ向けて凸形状となっている。基板240は、第2の電気活性材料220に近接する面が第2の電気活性材料220側へ向けて凸形状となっている。電気活性レンズ200は、基板250の両面をレリーフ面とすることにより、レリーフ面を容易に成形することができる。
電気活性レンズ200は、電気活性材料に近接した光学的に透明な電極260、270、280、290を有する。光学的に透明な電極260、270、280、290はそれぞれ、例えばITOから構成される。電極280、290は、セグメント化された電極である。電極260、270、280、290のそれぞれ面のうち対応する電気活性材料に接する面に配向膜を設けてもよく、この構成により電気活性材料の配向を制御することができる。電極260、270、280、290は、第1の電気活性材料210および第2の電気活性材料220のそれぞれに所定の電圧を印加し、第1の電気活性材料210および第2の電気活性材料220のそれぞれの屈折率およびアッベ数を所望の値に変化させる。
図5は、電気活性レンズ200を構成する材料(第1の電気活性材料210、第2の電気活性材料220)の屈折率およびアッベ数である。図5において、実線は第1の電気活性材料210に対応し、破線は第2の電気活性材料220に対応している。図5中の点線は、式(6)を満足する電気活性材料の組み合わせの一例を示している。電気不活性化状態において第1の電気活性材料210の屈折率およびアッベ数と第2の電気活性材料220の屈折率およびアッベ数とをそれぞれ略一致させ、電気活性化状態においてそれぞれの屈折率を変化させることによりパワーを発生させる。
電気活性レンズ200において、第1の電気活性材料210として、no=1.510、ne=1.804の液晶材料を用い、第2の電気活性材料220として、no=1.528、ne=1.786の液晶材料を用いる。また、電気不活性化状態から第1の電気活性化状態へ変化すると、第1の電気活性化状態における第1の電気活性材料210の第1の屈折率n11および第1のアッベ数ν11がそれぞれn11=1.610、ν11=17.69となるように変化する。同様に、第1の電気活性化状態における第2の電気活性材料220の第2の屈折率n12および第2のアッベ数ν12はそれぞれn12=1.620、ν12=18.56となるように変化する。このとき、変化曲線の傾きは、Δn11/Δν11=−0.043、Δn12/Δν12=−0.022である。
また、第1の電気活性化状態から第2の電気活性化状態へ変化すると、第2の電気活性化状態における第1の電気活性材料210の第1の屈折率n21および第1のアッベ数ν21はそれぞれn21=1.560、ν21=19.37となるように変化する。同様に、第2の電気活性化状態における第2の電気活性材料220の第2の屈折率n22および第2のアッベ数ν22はそれぞれn22=1.580、ν22=21.23となるように変化する。このとき、変化曲線の傾きは、Δn21/Δν21=−0.035、Δn22/Δν22=−0.018である。
第2の電気活性化状態から第3の電気活性化状態(第4の状態)へ変化すると、第3の電気活性化状態における第1の電気活性材料210の第1の屈折率n31および第1のアッベ数ν31はそれぞれn31=1.510、ν31=22.00となるように変化する。同様に、第3の電気活性化状態(第4の状態)における第2の電気活性材料220の第2の屈折率n32および第2のアッベ数ν32はそれぞれn32=1.540、ν32=25.62となるように変化する。このとき、変化曲線の傾きは、Δn31/Δν31=−0.027、Δn32/Δν32=−0.013である。このような構成により、それぞれの電気活性化状態において、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせとなり、広い波長域において高い回折効率を実現することが可能となる。
図6は、電気活性化状態における電気活性レンズ200の回折効率である。図6(A)は第1の電気活性化状態における回折効率、図6(B)は第2の電気活性化状態における回折効率、図6(C)は第3の電気活性化状態における回折効率をそれぞれ示している。図6(A)、(B)、(C)のそれぞれにおいて、横軸は波長(μm)、縦軸は回折効率をそれぞれ示している。第1の電気活性化状態における設計回折次数m1は1次、第2の電気活性化状態における設計回折次数m2は2次、第3の電気活性化状態における設計回折次数m3は3次である。
図6(A)から明らかなように、式(6)を満足する組み合わせに近い構成を採用すると、比較例としての液晶回折レンズ500の回折効率(図11)と比較して、第1の電気活性化状態における短波長および長波長での1次光の回折効率が向上する。特に、短波長側において回折効率は大きく改善する。これにより、不要回折光(0次光や2次光)によるフレアを低減させることができ、視認性を高めることが可能となる。また、図6(B)、(C)から明らかなように、第2および第3の電気活性化状態において、設計波長(550nm)付近での回折効率を高く維持できる。また、高屈折率・低分散材料と低屈折率・高分散材料との組み合わせにより、設計波長以外での回折効率の低下を抑制することが可能となる。
次に、図7を参照して、本実施形態における第2の変形例としての光学素子(電気活性レンズまたは液晶回折レンズ)について説明する。図7は、第2の変形例としての光学素子(電気活性レンズ300)の構成図(断面図)である。
電気活性レンズ300は、第1の屈折率および第1のアッベ数を有する第1の電気活性材料310(第1の材料)と、第2の屈折率および第2のアッベ数を有する第2の電気活性材料320(第2の材料)とを有する。また電気活性レンズ300は、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320を保持するため、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320を挟むように設けられた一対の基板330、340を有する。また電気活性レンズ300は、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320を保持するため、第1の電気活性材料310と第2の電気活性材料320との間に設けられた基板350を有する。電気活性レンズ300において、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320のそれぞれの面のうち基板350に近接した面は、レリーフ面である。基板350は、第1の電気活性材料310に近接する面が第1の電気活性材料310側へ向けて凸形状となっている。基板340は、第2の電気活性材料320に近接する面が第2の電気活性材料320側へ向けて凸形状となっている。電気活性レンズ300は、基板330、350の電気活性材料側の面をレリーフ面とすることにより、レリーフ面を容易に成形することができる。
また電気活性レンズ300は、第1の電気活性材料310または第2の電気活性材料320に近接して設けられた光学的に透明な電極360、370、380、390を有する。光学的に透明な電極360、370、380、390は、例えばITOから構成される。電極380、390は、セグメント化された電極である。電極360、370、380、390のそれぞれ面のうち対応する電気活性材料に接する面に配向膜を設けてもよく、この構成により電気活性材料の配向を制御することができる。電極360、370、380、390は、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320のそれぞれに所定の電圧を印加し、第1の電気活性材料310および第2の電気活性材料320のそれぞれの屈折率およびアッベ数を所望の値に変化させる。
電気活性レンズ300は、基板330、350のそれぞれの一方の面をレリーフ面とすることにより、レリーフ面を容易に成形することができる。電気活性レンズ300において、電気活性化状態での垂直入射の光の回折効率を最大にするための条件は、以下の式(19)のように表される。
{n11(λ0)−nsub(λ0)}d1+{n12(λ0)−nsub(λ0)}d2=m1λ0 … (19)
式(19)において、d1は基板330に近接したレリーフ形状の高さ、d2は基板350に近接したレリーフ形状の高さ、nsub(λ0)は設計波長λ0での基板330、350の屈折率である。レリーフ形状の高さd1、d2をd1=−d、d2=dとすると、式(19)は、以下の式(19’)のように書き換えられる。
{n12(λ0)−n11(λ0)}d=m1λ0 … (19’)
このように、式(19’)は式(1)と一致し、レリーフ面の成形性を考慮してレリーフ面を設ける面を移動させても、同様の効果が得られる。
次に、図8を参照して、本実施形態における第3の変形例としての光学素子(電気活性レンズまたは液晶回折レンズ)について説明する。図8は、第3の変形例としての光学素子(電気活性レンズ400)の構成図(断面図)である。
電気活性レンズ400は、第1の屈折率および第1のアッベ数を有する第1の電気活性材料410(第1の材料)と、第2の屈折率および第2のアッベ数を有する第2の電気活性材料420(第2の材料)とを有する。また電気活性レンズ400は、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420を保持するため、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420を挟むように設けられた一対の基板430、440を有する。また電気活性レンズ400は、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420を保持するため、第1の電気活性材料410と第2の電気活性材料420との間に設けられた基板450を有する。電気活性レンズ400において、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420のそれぞれの面のうち基板450に近接した面は、レリーフ面である。基板430は、第1の電気活性材料410に近接する面が第1の電気活性材料410側へ向けて凸形状となっている。基板450は、第2の電気活性材料420に近接する面が第2の電気活性材料420側へ向けて凸形状となっている。電気活性レンズ400は、基板440、450の電気活性材料側の面をレリーフ面とすることにより、レリーフ面を容易に成形することができる。
また電気活性レンズ400は、第1の電気活性材料410または第2の電気活性材料420に近接して設けられた光学的に透明な電極460、470、480、490を有する。光学的に透明な電極460、470、480、490は、例えばITOから構成される。電極480、490は、セグメント化された電極である。電極460、470、480、490のそれぞれ面のうち対応する電気活性材料に接する面に配向膜を設けてもよく、この構成により電気活性材料の配向を制御することができる。電極460、470、480、490は、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420のそれぞれに所定の電圧を印加し、第1の電気活性材料410および第2の電気活性材料420のそれぞれの屈折率およびアッベ数を所望の値に変化させる。
次に、図12を参照して、本実施形態における光学素子(電気活性レンズ)を備えた光学機器について説明する。図12は、光学機器(眼鏡10)の概略図である。図12に示されるように、眼鏡10のレンズとして、電気活性レンズ100(または、電気活性レンズ200、300、400)を用いる。制御部20は、第1の電気活性材料110および第2の電気活性材料120のそれぞれに印加する電圧を制御し、電気活性レンズ100を電気不活性化状態(第3の状態)または電気活性化状態(第1の状態、第2の状態、または、第4の状態)に設定可能である。
本実施形態によれば、広い波長域において高い回折効率を有するとともに、少なくとも2つの電気活性化状態を有する光学素子および光学機器を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば本発明の光学素子(電気活性レンズ)は、老視矯正用の眼鏡だけでなく、双眼鏡やヘッドマウントディスプレイなど種々の光学機器へ適用することができる。
100 電気活性レンズ(レンズ)
110 第1の電気活性材料(第1の材料)
120 第2の電気活性材料(第2の材料)

Claims (20)

  1. 第1の状態と第2の状態とに切り替え可能な光学素子であって、
    第1の材料で構成される第1の光学要素と、
    第2の材料で構成される第2の光学要素とを有し、
    前記第1の光学要素および前記第2の光学要素の少なくとも一方は、凹凸形状の光学面を有し、
    前記第1の状態において、設計回折次数をm、前記第1の材料の屈折率をni1、前記第2の材料の屈折率をni2とし、前記第2の状態において、設計回折次数をm、前記第1の材料の屈折率をnj1、前記第2の材料の屈折率をnj2とするとき、
    |mmi−(nj2−nj1)/(ni2−ni1)|≦0.1
    なる条件を満足することを特徴とする光学素子。
  2. 前記第1の状態は、第1の電気活性化状態であり、
    前記第2の状態は、第2の電気活性化状態であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第1の状態において、前記第1の材料の屈折率をni1、前記第2の材料の屈折率をni2とするとき、
    ni1<ni2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記第1の状態において、前記第1の材料のアッベ数をνi1、前記第2の材料のアッベ数をνi2とするとき、
    νi1<νi2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記第1の材料および前記第2の材料はそれぞれ、0.08以上の複屈折率を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. 前記第1の材料の屈折率ni1および前記第2の材料の屈折率ni2は、
    0.006≦(ni2−ni1)≦0.060
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 前記光学素子は、更に、電気不活性化状態である第3の状態に切り替え可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。
  8. 前記第1の材料は、前記第1の状態と前記第2の状態と前記第3の状態とで前記第1の材料の屈折率および前記第1の材料のアッベ数が変化し、
    前記第2の材料は、前記第1の状態と前記第2の状態と前記第3の状態とで前記第2の材料の屈折率および前記第2の材料のアッベ数が変化することを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 前記第1の材料および前記第2の材料のそれぞれは、印加される電圧に応じて、前記第1の状態と前記第2の状態と前記第3の状態とで変化する電気活性材料であることを特徴とする請求項7または8に記載の光学素子。
  10. 前記第3の状態から前記第1の状態へ変化したときの前記第1の材料の屈折率の変化量および前記第1の材料のアッベ数の変化量をそれぞれΔni1、Δνi1、前記第3の状態から前記第1の状態へ変化したときの前記第2の材料の屈折率の変化量および前記第2の材料のアッベ数の変化量をそれぞれΔni2、Δνi2とするとき、
    Δni1/Δνi1<Δni2/Δνi2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 前記変化量Δni1、Δνi1、Δni2、Δνi2は、
    (Δni1/Δνi1)/(Δni2/Δνi2)≧1.5
    なる条件を満足することを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記第3の状態における前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率との差は、前記第1の状態における前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率との差よりも小さいことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の光学素子。
  13. 前記第3の状態における前記第1の材料のアッベ数と前記第2の材料のアッベ数との差は、前記第1の状態における前記第1の材料のアッベ数と前記第2の材料のアッベ数との差よりも小さいことを特徴とする請求項7乃至12のいずれか1項に記載の光学素子。
  14. 前記第1の材料および前記第2の材料の少なくとも一方に隣接した基板を更に含み、
    前記基板は、前記第1の材料または前記第2の材料に向かって凸形状であり、
    前記第1の状態において、前記光学素子のパワーをφi、前記凹凸形状の光学面のパワーをφiDOとするとき、
    0.2≦φiDO/φi≦0.4
    なる条件を満足することを特徴とする請求項7乃至13のいずれか1項に記載の光学素子。
  15. 前記第1の材料または前記第2の材料に隣接した、セグメント化された透明電極を更に有することを特徴とする請求項14に記載の光学素子。
  16. 前記第3の状態における前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率のそれぞれと、前記基板の屈折率との差は、前記第1の状態における前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率のそれぞれと、前記基板の前記屈折率との差よりも小さいことを特徴とする請求項14または15に記載の光学素子。
  17. 前記第3の状態における前記第1の材料のアッベ数および前記第2の材料のアッベ数ν2のそれぞれと、前記基板のアッベ数との差は、前記第1の状態における前記第1の材料のアッベ数および前記第2の材料のアッベ数のそれぞれと、前記基板の前記アッベ数との差よりも小さいことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の光学素子。
  18. 前記第1の材料および前記第2の材料はそれぞれ、コレステリック液晶、またはカイラルツイスト剤が添加されたネマチック液晶であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光学素子。
  19. 前記光学素子は、可変焦点機能を有する液晶回折レンズであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光学素子。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光学素子と、
    前記光学素子を前記第1の状態または前記第2の状態に設定可能な制御部と、を有することを特徴とする光学機器。
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