JP2019119956A - 繊維不織布シート - Google Patents

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【課題】肌触りが良好であって、デザイン性を向上しながら、拭き取り後においても凹状ラインの明瞭性が低下するのを抑えることができる繊維不織布シートを提供する。【解決手段】繊維不織布シートであるワイプスシート10は、厚さ方向Zと、第1方向X及び第1方向Xに交差する第2方向Yと、厚さ方向Zに対向する第1面11及び第2面12を有し、構成繊維を交絡することによって形成されたものである。繊維不織布シート10は、第1面11において第2面12側へ凹となる、繊維交絡によって形成された凹状ライン18を有している。繊維不織布シート10は、繊維密度が小さい低密度領域51と、低密度領域51よりも繊維密度が大きい高密度領域52とを有している。凹状ライン18は、幅方向の中央に位置する低密度領域51と、低密度領域の両側に位置する高密度領域52とを有している。高密度領域52の親水性繊維の量が、低密度領域51の親水性繊維の量よりも多い。【選択図】図3

Description

この発明は、繊維を交絡することによって形成された繊維不織布シートに関する。
従来、構成繊維を交絡することにより形成された繊維不織布シートは公知である。例えば、特許文献1には、パルプ繊維と熱融着繊維とを含み、繊維の交絡によって形成された繊維ウエブの製造工程において、加熱加圧下でエンボス(デボス)加工することによって形成された凹凸模様を備えた繊維不織布シートが開示されている。
特開2007−8145号公報(2007−8145A)
特許文献1に開示の繊維不織布シートは、加熱加圧下でエンボス加工されることによって賦形された凹凸模様を有するから、デザイン性に優れるとともに、液体を吸収した後であっても、凹凸模様の形状を維持することができる。
しかしながら、加熱加圧された凹状部分において熱融着繊維が熱融着されることによって硬くなり一部がフィルム化しているため、シートにおいて最も硬化した部分となり、繊維不織布シートの柔軟性が損なわれて肌触りが悪くなるとともに、拭き取り時にシートの変形に対応することができずに破れやすくなる。特に、かかる繊維不織布シートを身体に付着した排泄物を拭き取るためのワイプスシートとして使用した場合には、硬化した凹状部分が乳幼児等の被使用者の肌に当たって不快感を与えるとともに、一部が破れて母親等の使用者の指先が排泄物で汚れるおそれがあった。
また、インドネシア等の東南アジアの国々では、ワイプスシートを使用する前に、使用者がシートの両側をそれぞれ手で掴んだ後、シートを引っ張って、繊維交絡を解くことによってシートの面積を拡げて使用することがある。かかる場合において、エンボス加工によって凹凸模様が形成されたシートを引っ張ったときには、凹状部分の一部が破断してしまうおそれがある。
そこで、本発明の課題は、肌触りが良好であって、デザイン性を向上しながら、拭き取り後においても凹状ラインの明瞭性が低下するのを抑えることができる繊維不織布シートを提供することにある。
本発明は、厚さ方向と、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向と、前記厚さ方向に対向する第1面及び第2面を有し、構成繊維を交絡することによって形成された繊維不織布シートに関する。
本発明に係る繊維不織布シートは、前記第1面において前記第2面側へ凹となる、繊維交絡によって形成された凹状ラインを有し、繊維密度が小さい低密度領域と、前記低密度領域よりも繊維密度が大きい高密度領域とを有し、前記凹状ラインは、幅方向の中央に位置する前記低密度領域と、前記低密度領域の両側に位置する前記高密度領域とを有し、前記高密度領域の親水性繊維の量が、前記低密度領域の親水性繊維の量よりも多いことを特徴とする。
繊維不織布シートは、前記第1面を形成する第1繊維層と、前記第2面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する親水性繊維を含む中間繊維層とを有し、前記第1方向へ引張力を付与することによって、前記凹状ラインにおいて繊維交絡が解かれて前記第1面の表面に前記中間繊維層の前記親水性繊維が露出される。このため、繊維不織布シートをウエット状態で用いるとき、引張力を付与する前において、パルブ繊維が外部に露出されないため、パルプ繊維に吸収された薬液が揮発するのを抑えることができる。加えて、引張力を付与した後においては、中間繊維層の親水性繊維が第1面の表面に露出するため、中間繊維層で保持していた薬液も第1面の表面に露出し、異物を拭き取るのが容易になる。
繊維不織布シートの前記高密度領域は、前記第2面から突出する突出部を有する。このため、第1面の表面には、凹状ラインがある一方、第2面の表面には突出部がある。よって、はがれやすい異物を拭き取るときには、第1面を使用し、異物を凹状ラインに収容しながら拭き取ることができる一方、固着している異物を拭き取るときには第2面を使用し、異物を掻き取りながら拭き取ることができる。
繊維不織布シートにおける前記第1繊維層が主として疎水性繊維から構成されている。このため、繊維不織布シートをウエット状態で用いるとき、引張力を付与する前において、パルブ繊維が疎水性の第1繊維層に囲まれて外部に露出されないため、パルプ繊維に吸収された薬液が揮発するのを抑えることができる。
繊維不織布シートにおける前記第1繊維層の表面には撥水処理が施されている。このため、繊維不織布シートをウエット状態で用いるとき、引張力を付与する前において、パルブ繊維は撥水処理が施された第1繊維層に囲まれて外部に露出されないため、パルプ繊維に吸収された薬液が揮発するのを抑えることができる。
繊維不織布シートは、ドライ状態またはウエット状態で使用するワイプス用である。これによって、上述した作用・効果を有するワイプス用のシートを提供できる。
本発明に係る繊維不織布は、第1面において第2面側へ凹となる、繊維交絡によって形成された凹状ラインを有するため、肌触りが良好でありながらデザイン性を向上することができる。しかも、凹状ラインは、幅方向の中央に位置する低密度領域と、低密度領域の両側に位置する前記高密度領域とを有するため、拭き取り時、高密度領域の外側に異物を溜め、凹部に異物が入るのを抑えることができ、これによって、拭き取り後においても凹状ラインの明瞭性が低下するのを抑えることができる。加えて、高密度領域の親水性繊維の量が、低密度領域の親水性繊維の量よりも多い。このため、ドライ状態で使用したときには、異物に含まれていた水分を高密度領域で吸収することができる一方、ウエット状態で使用したときには、高密度領域で含んでいた水によって異物を拭き取ることができる。
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
本発明に係る繊維不織布シートの一例として示す、ワイプスシートの斜視図。 ワイプスシートの平面図。 (a)図2のIII(a)−III(a)に沿う断面図。(b)図2のIII(a)−III(a)に沿う断面図。 ワイプスシートを拭き取りに使用した後の断面図。 使用者が、ワイプスシートの両側を把持して第1方向へ引っ張った状態を示す説明図。 (a)第1方向へ引っ張った後のワイプスシートの平面図。(b)図5のVI(b)−VI(b)に沿う断面図。 (a)図3(b)のVII(a)で囲んだ領域の拡大図。(b)図6のVII(b)で囲んだ領域の拡大図。 引張試験の測定を示す説明図。 ワイプスシートの製造装置の一部における、水流噴射工程の斜視図。 (a)サクションドラムにおいて、水流が噴射される前の線状凸部上の繊維ウエブの拡大図。(b)サクションドラムにおいて、水流が噴射された後の線上凸部上の繊維ウエブの拡大図。
図1〜図3を参照すると、本発明の繊維不織布シートの一例として示すワイプスシート(拭き取りシート)10は、構成繊維を交絡することによって形成された嵩高かつ柔軟なシートであって、互いに交差(直交)する第1方向Xと第2方向Yと、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ交差(直交)する厚さ方向Zと、厚さ方向Zにおいて互いに対向する第1面11及び第2面12とを有する。本明細書において、第1面11を第1拭き取り面、第2面12を第2拭き取り面ともいう。
ワイプスシート10は、略矩形状であって、第2方向Yにおいて互いに対向して第1方向Xへ延びる第1端縁10a及び第2端縁10bと、第1方向Xにおいて互いに対向して第2方向Yへ延びる第1側縁10c及び第2側縁10dとからなる外周縁を有する。
ワイプスシート10は、ドライ状態又はウエット状態で使用するものであって、例えば、使い捨てお尻拭きシート、使い捨て清掃用シート、使い捨ておしぼり等に用いることができる。また、本発明に係る繊維不織布シートは、ワイプス用に限らず、生理用ナプキン、使い捨ておむつ及び母乳パッド等の衛生用品の肌対向面側に配置される表面シート等を構成するシート材料として好適に用いることができる。
ワイプスシート10をウエットワイプスとして使用する場合には、それに含浸させる薬剤として、例えば、界面活性剤、保湿剤、肌に清涼感を与えるためのエタノール等の清涼感付与剤、エモリエント剤、PH調整剤、香料、酸化防止剤、キレート剤、植物エキス、褐色防止剤、消炎剤、皮膚賦活剤、収斂剤などを1種または2種以上含めたものを使用することができる。
図3を参照すると、ワイプスシート10は、第1面11側を形成する第1繊維層21と、第2面12側を形成する第2繊維層22と、第1繊維層21と第2繊維層22との間に位置する中間繊維層(第3繊維層)23とを含む。第1繊維層21、第2繊維層22及び中間繊維層23は、それらを構成する繊維どうしが三次元的に互いに交絡されて複合化された多層構造を有する。
第1繊維層21及び第2繊維層22には、親水性繊維と合成繊維との混合繊維ウエブを用いることができる。親水性繊維の材料としては、吸水繊維が好ましく、さらに好ましくは、レーヨン繊維等の再生繊維、コットン繊維等を用いることができる。合成繊維としては、ポリエステル系繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のほか、ポリオレフィン系繊維、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)の各繊維およびこれらを用いた芯鞘型の複合繊維を用いることができる。複合繊維の鞘部分を形成する材料には、芯部分を形成する材料に比べて溶融温度の低いものが使用される。
かかる芯鞘型の複合繊維としては、例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエチレンとポリエステル、ポリプロピレンとポリエステルの組み合わせ等がある。「合成繊維」とは、その繊維自体の材料が疎水性を有するものであって、その材料を親水化剤で処理したものも含まれる。その材料からなる繊維の親水化処理としては、繊維表面に親水化剤(油剤)を付着したもの、又はその繊維内に親水化剤(油剤)を含有させたものが挙げられる。
本実施形態において、第1繊維層21及び第2繊維層22には、好ましくは、レーヨン繊維とPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維とを20:80〜50:50の割合(質量%)で混同した繊維ウエブから形成されている。このように、熱可塑性樹脂繊維であるPET繊維のほかに、再生繊維であるレーヨン繊維を混合することによって、図柄域40を形成する凹状ライン18の繊維量が少なくても一定量の液の馴染み易さ確保することができる。PET繊維は、合成繊維の中で最も生産量が多いポリエステル系繊維の一種であって、強度性、耐熱性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性等に優れ、ワイプスシートのシート材料として好適である。
第1繊維層21及び第2繊維層22は主として疎水性の繊維から構成されていることから疎水性層といえ、中間繊維層23は、主として親水性繊維から構成されていることから、親水性層といえる。
中間繊維層23は、レーヨン、コットン、パルプ等の親水性繊維、好ましくは、パルプ繊維から形成され、使用されるパルプ繊維は一般的に使用される広葉樹及び針葉樹の木材繊維のほかに、木材パルプ繊維以外の植物繊維や合成繊維(好ましくは、親水化処理されたもの)などを組み合わせることができる。パルプ繊維は、繊維が短く、単位面積当たりの繊維本数が多くなって、中間繊維層23の白色度が比較的に高くなって、図柄域40の視認性を高めることができる。また、パルプ繊維の他に、マニラ麻、楮、三椏、リンターパルプを混合してもよい。
ワイプスシート10の厚さ寸法D1は約0.3〜1.0mm、質量は約40〜60g/m、見掛け密度は0.03〜0.09g/cmである。ワイプスシート10の厚さ寸法D1の測定には、厚さ測定器(PEACOCK社製、測定面φ44mm、測定圧3g/cm)を使用した。
第1繊維層21及び第2繊維層22に使用されるレーヨン繊維及びPET繊維の繊度は1.5〜2.5dtex、また、レーヨン繊維及びPET繊維の繊維長は、20〜50mm、好ましくは、35〜45mmである。中間繊維層23に使用されるパルプ繊維の繊維長は、1〜10mm、好ましくは、2〜5mmである。ワイプスシート10の第1及び第2面を形成する第1及び第2繊維層21,22の構成繊維の平均繊度、平均繊維長を中間繊維層23の構成繊維よりも大きくすることによって、地合い(繊維のムラ)が良好となって、図柄域40を構成する凹状ライン18の繊維量の差を抑えて、所要の視認性及び形状安定性を確保することができる。
図2及び図3を参照すると、ワイプスシート10は、第1面11において第2面12の側へ凹となる凹状ライン18から形成された図柄域40を有する。凹状ライン18は、構成繊維の交絡によって形成されており、有底の底部18aと、図3(b)に示す凹状ライン18の横断面において、底部18aを壁のように囲む両側部18bとを有する。
図3(b)を参照すると、ワイプスシート10は、凹状ライン18の底部18aに位置する低密度領域51と、低密度領域51の少なくとも両側に位置する低密度領域51よりも繊維密度が大きい高密度領域52と、低密度領域51よりも繊維密度が大きく、かつ、高密度領域52よりも繊維密度の小さい中密度領域53とを有する。すなわち、凹状ライン18の底部18aにおいて最も繊維密度が低く、底部18aの外周縁を囲むように、少なくとも両側に位置する部分には最も繊維密度の高い高密度領域52が位置している。
ワイプスシート10は、このような繊維密度差を有し、低密度領域51からなる凹状ライン18の底部18aを囲むように高密度領域52が位置して密度差によるコントラストが形成されている。外観においても繊維の疎密によって凹状ライン18(の底部18a)の外周縁を縁取りするように高密度領域52が色濃く視認されて、より凹状ライン18の輪郭がはっきりと視認されうる。
また、高密度領域52は、第2面12側において中密度領域53よりも外方へ突出した突出部分54を有している。このように、高密度領域52が第2面12側において外方へ突出した立体形状を有していることから、使用者が、凹状ライン18が形成されていない第2面12側から視た場合であっても、凹状ライン18の輪郭を把握することができる。したがって、高密度領域52と低密度領域51とによる密度差による色の濃淡によるコントラストと相俟って、第1面11のみならず第2面12からも凹状ライン18の輪郭をよりはっきりと視認させることができる。
ワイプスシート10をウエット状態で使用する場合には、第1繊維層21と第2繊維層22との間に介在された中間繊維層23に吸水性の大きなパルプ繊維が位置することによって、使用前において、パルプ繊維が外部に露出されず、パルプ繊維に吸収された薬液が揮発することを抑えることができる。
ワイプスシート10の凹状ライン18の底部18a、すなわち、低密度領域51に位置するパルプ繊維の含有率(重量%)は、高密度領域52及び中密度領域53のパルプ繊維の含有率(重量%)よりも小さくなっている。低密度領域51のパルプ繊維の含有率が比較的に小さいことから、比較的に保液性が低いといえるが、凹状ライン18の底部18aは直接的に被拭き取り面に接触する部分ではないので高い保液性を要さず、むしろ他の領域52,53に比べてドライな状態であることによって引張強度が向上して、より破れ難くなっている。また、高密度領域52の親水性繊維の量が、低密度領域51の親水性繊維の量よりも多いため、ドライ状態で使用したときには、異物に含まれていた水分を高密度領域52で吸収することができる一方、ウエット状態で使用したときには、高密度領域52で含んでいた水によって異物を拭き取ることができる。
<パルプ繊維の繊維密度の測定方法>
カミソリ等の切断具でワイプスシート10の一部をカットしてサンプルとし、サンプルのシート切断面を市販の走査電子顕微鏡(例えば、(株)キーエンス社製のリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800(商品名))を用いて拡大観察した。ワイプスシート10は、図柄域40の凹状ライン18と交差するように、第2方向Y(製造工程における機械方向MD)と直交する第1方向Xへ延びるカットラインに沿ってカットした。また、シート切断面に現れる繊維が20〜70本程度計測できるように、70〜300倍に拡大して観察し、低密度領域51,高密度領域52及び中密度領域53の各領域において、一定面積(約0.5mm)当たりにおけるパルプ繊維の断面数を数えた。
次に、測定値を1.0mm当たりのパルプ繊維の断面数に換算した値を繊維密度とした。ワイプスシート10のカットラインの位置を変えて複数のサンプルを得て、各サンプルについて同様の測定を3回行い、その平均を各領域のパルプ繊維の繊維密度とした。
図柄域40は、互いに異なるデザインからなる第1図柄部41と第2図柄部42とを有する。第1図柄部41は、凹状ライン18から形成された、略円形状の外形線41Aと、外形線41Aに囲まれた略星形状の図柄41Bとを有する。第2図柄部42は、略楕円形状の外形線42Aと、外形線42Aに囲まれた、複数の文字が第2方向Yに並ぶ複数列に配置されてなる図柄42Bとを有する。第1図柄部41と第2図柄部42とは、第1方向Xの略中央において並んで位置している。
図柄域40は、さらに、第1図柄部41及び第2図柄部42が切断され、それらの一部である第3図柄部43とハート形の比較的に小さな第4図柄部44とをさらに有する。第1図柄部41及び第2図柄部42は、第1面11において比較的に大きな面積を有し、それ単独で完全なデザイン性を発揮して使用者に印象付けることができるものであるから主たる図柄(主図柄)であるといえる。一方、第3図柄部43は不完全であってそれ単独で任意のデザイン性を発揮するものではなく、また、第4図柄部44は比較的に小さくそれ単独では使用者に印象付けるようなデザイン性を発揮するものとはいえないので、第3図柄部43及び第4図柄部44は、副次的な図柄(副図柄)であるといえる。第3図柄部43及び第4図柄部44は、第1図柄部41及び第2図柄部42を囲むように外側に位置している。これによって、ワイプスシート10のデザイン性を向上することができる。
第1図柄部41及び第2図柄部42は、独立かつ閉鎖した外形線41A,42Aを有し、外形線41A,42Aはワイプスシート10の外周縁(第1端縁10a、第2端縁10b、第1側縁10c及び第2側縁10dによって画成される外周縁)から離れて位置している。ここで、第1図柄部41及び第2図柄部42の外形線41A,42Aが独立しているとは、織生地の地模様のように布地の外周縁まで延びてその外形状全体を把握することのできない連続模様ではなく、ワイプスシート10の外周縁から離れて位置し、完全に独立したデザイン性を有するものを意味する。したがって、例えば、第3図柄部43のように、外形線43Aがシート外周縁にまで到達して全体的なデザインを把握することができないものは、独立した外形線には該当しない。
また、第1図柄部41及び第2図柄部42の外形線41A,42Aが閉鎖しているとは、外形線41A,42Aが図柄41B,42Bを囲むように連続的又は非連続的に延びていることを意味する。外形線41A,42Aは、図柄41B,42Bを囲んだ態様を有する限りにおいては、円形、楕円形、三角形、多角形等の各種公知の形状を有していてもよい。
第1図柄部41の図柄41B及び第2図柄部42の図柄42Bは、一見して使用者に認識されるようなデザイン性を有するものであることが好ましく、図示例のほかに、アニメや漫画のキャラクター、企業の宣伝用のロゴや各種公知の意匠デザイン、文字、図形、記号並びにそれらの組み合わせによるメッセージ性のあるデザイン等を含む。文字には、アルファベット文字、平仮名文字、カタカナ文字、漢字及び諸外国語の文字(例えば、インドネシア語の文字)等を含む。第4図柄部44は、一見して使用者に認識されるようなデザイン性を有するものである必要はなく、図示例のほかに、スター(星)形状、バブルを模した円環形状等であってもよい。
ワイプスシート10において、第1図柄部41及び第2図柄部42は立体的な形状を有する主たるデザイン領域であるとともに、排泄物や粉塵等の異物を拭き取るための拭き取り領域ともいえる。すなわち、ワイプスシート10を使用するときには、第1面11を拭き取り面として、身体やテーブル等の被拭き取り面に付着した汚れを凹状ライン18の両側部18bの第1面11側の端縁(エッジ)18cを利用して汚れを掻き取るように効果的に拭き取ることができる。例えば、図4に示すように、第1面11を使用して拭き取りを行うと、高密度領域52は厚さ方向の収縮が小さい一方、高密度領域52の外側における中密度領域53は厚さ方向の収縮が大きい。よって、拭き取りの際、高密度領域52の外側に位置する中密度領域53の第1面11に凹部48ができる。よって、異物の拭き取りの際、低密度領域51の両側に位置する高密度領域52の外側に異物を溜め、凹状ライン18の内部に異物が入るのを抑えることができ、これによって、拭き取りの後においても凹状ラインの明瞭性が低下するのを抑えることができる。
使用者が第1図柄部41又は第2図柄部42を指で押さえて被拭き取り面に付着した汚れを効率的に拭き取るためには、第1図柄部41及び第2図柄部42は所要の大きさを有することが好ましく、例えば、ワイプスシート10の表面積の少なくとも10%以上の面積を有することが好ましい。一方、第4図柄部44は、比較的に小さな面積を有するものであるから、主たる拭き取り域として機能するものではない。
通常、ワイプスシートには、嵩高性及び肌触り性を考慮して、水流交絡処理によって形成されたスパンレース繊維不織布が好適に使用され、そのデザイン性や拭き取り性を向上させるために、シート表面に繊維交絡によってシート表面から全体的に隆起した立体的な図柄を付与し、幾何学模様やレース模様等の凹凸模様を付与することは知られている。
ワイプスシートにシート表面から隆起した立体的な図柄を付与した場合には、印刷による図柄に比べてよりデザイン性が向上するとともに、隆起した外周縁部によって汚れを拭き取ることができる。しかしながら、図柄自体が隆起状を有することから、拭き取り時に被拭き取り面に摺接され、摩擦によって図柄部の形態が崩れてしまうおそれがある。
一方、ワイプスシートに連続した凹凸模様を付した場合には、図柄として完全に独立したものではないことから、使用者に対して強くそのデザインを印象付けることができない。また、製造時に流体によって機械方向へ連続して付与されるものであるから、完全に独立した態様を有することによって初めてその意匠性を発揮しうるもの、例えば、キャラクターや文字、記号等の高いデザイン性やメッセージ性を有するものを採用することはできない。
さらに、ワイプスシートに熱エンボス(デボス)処理を施すことによって、複数の凹状ラインからなる図柄部を形成する場合もあるが、かかる場合には、熱エンボス加工によって構成繊維が熱溶着されて凹状ライン内が比較的に硬くなってしまい、スパンレース不織布本来の柔軟性や風合いが損なわれる。また、乳幼児のお尻拭きシートして使用した場合には、エンボス加工された部分が肌に当たって不快感や刺激を与えるおそれがあるとともに、破れやすくなる。
本実施形態に係るワイプスシート10においては、図柄域40を形成する凹状ライン18が、構成繊維の交絡によって形成されたものであることから、熱エンボス処理によって形成される場合に比べて不織布全体として柔軟であって良好な肌触りを有し、スパンレース不織布独特の柔軟性を維持することができる。また、第1図柄部41及び第2図柄部42が、独立した外形線41A,42Aを有することから、完全に独立した態様を有するデザインを採用することができ、シート外周縁まで延びる単なる連続模様に比べて、デザイン性に優れて美的外観を向上させることができる。
図柄域40自体が隆起する場合には、光が乱射してその外形輪郭がぼやけるおそれがあるが、それが凹状ライン18によって形成されていることから、使用者に対してその外形輪郭をより鮮明に把握させることができる。また、拭き取り時には凹状ライン18以外の部分が被拭き取り面に直接摺接されるので、摩擦によって凹状ライン18の形状が崩れて図柄域40が大きく変形されることはない。
第1図柄部41及び第2図柄部42においては、外形線41A,42Aが閉鎖状であって、外形線41A,42Aに囲まれるように図柄41B,42Bが配置されている。図柄41B,42Bが外形線41A,42Aに囲まれていることによって、使用者が引っ張ったり揉み解したりしてワイプスシート10を変形させた場合であっても、外形線41A,42Aを起点として変形するので、図柄41B,42Bはその形状を維持することができる。また、拭き取り時において被拭き取り面を比較的に強く擦って外形線41A,42Aの形状が崩れるとしても、それらに囲まれた図柄41B,42Bの形状が崩れるのを抑制することができる。
第1図柄部41と第2図柄部42とは、互いにデザインが異なるとともに、凹状ライン18の総面積が互いに異なっている。これによって、異物の収容容量が異なる図柄部41,42が存在するため、使用者が汚れの量に応じた図柄部41,42を選択することができる。
また、主たる拭き取り域である第1図柄部41及び第2図柄部42の周辺には、第3図柄部43及び第4図柄部44が位置している。したがって、ワイプスシート10が揉み解されたときには、第3図柄部43及び第4図柄部44が起点となって変形し、中心に位置する第1図柄部41及び第2図柄部42の変形を抑制しうるといえる。
第1図柄部41及び第2図柄部42は、拭き取り性及び美観の観点から、曲状の凹状ライン18を有することが好ましい。本実施形態においても、外形線41A,42Aが曲状であって、図柄41B,42Bも曲状部分を有している。このように、第1図柄部41及び第2図柄部42が曲状の凹状ライン18を有することによって、柔軟で肌当たりの良い印象を与えることができるとともに、被拭き取り面の形状に合わせて変形し易く、例えば、被拭き取り面の幅狭かつ曲状の溝に沿って図柄部41,42を変形して汚れを拭き取ることができる。
使用者は、第1面11側に凹状ライン18からなる図柄域40が位置することによって、第1面11が拭き取り面であると容易に認識することができる。また第1図柄41B及び第2図柄42Bに、音符等の記号及び文字であって第1面11側から視ると記載内容が正しく、第2面12側から視ると記載内容が間違うような記号及び文字を使用すれば、より一層、第1面11が正規の拭き取り面であると容易に認識することができる。したがって、図柄域40は、使用者に対して第1面11を拭き取り面として使用するように誘導する機能も有するといえる。
既述のとおり、図柄域40のうちの第1図柄部41及び第2図柄部42が拭き取り域として機能しうるが、第3図柄部43及び第4図柄部44についても凹状ライン18から形成されていることから、一定程度の拭き取り性を有する。したがって、使用者は、拭き取り時において汚れの大小に応じて、第1〜第4図柄部41〜44のうちの最適なものを適宜選択して使用することができる。
第1図柄部41及び第2図柄部42において、外形線41A,42Aを形成する凹状ライン18(第1ライン(外側図柄部))は、図柄41B,42Bを形成する凹状ライン18(第2ライン(内側図柄部))よりも全体として幅広になっている。すなわち、外形線41A,42Aを形成する第1ラインの延存方向に対する幅寸法が、図柄41B,42Bを形成する第2ラインの延存方向に対する幅寸法よりも大きい。これによって、ワイプスシート10のデザイン性を向上することができる。外形線41A,42Aが比較的に幅広であることによって、使用者の注意を惹きつけて、それに囲まれた図柄41B,42Bをより引き立てることができる。また、拭き取りの際に外形線41A,42Aによって大まかに汚れを拭き取った後に、その内部に位置する比較的に幅狭であって密に集合した図柄41B,42Bによってしつこい汚れを掻き取ることができる。
ワイプスシート10においては、第2方向Yの任意に選択した箇所における第1方向Xに、複数の図柄部41〜44のうち少なくともいずれかの図柄部41〜44が存在している。使用者は、例えば、図柄部41〜44が存在しない箇所に指が当たっている状態であれば、指を第1方向Xへ移動させれば、いずれかの図柄部41〜44が存在する箇所があるため、固着している汚れがあれば、指が当たっている箇所を容易に変更することができる。このワイプスシート10においては、第1方向Xの任意に選択した箇所における第2方向Yに、複数の図柄部41〜44のうち少なくともいずれかの図柄部41〜44が存在している。このため、指があたる箇所の変更が一層、容易である。
図柄域40は、デザインの異なる複数の第1〜第4図柄部41〜44を有することによって、ワイプスシート10の第1方向Xの寸法を2等分する第1仮想線Pと、第2方向Yの寸法を2等分する第2仮想線Qとに関して非対称のデザインを有する。したがって、使用者に対して、ワイプスシート10の縦方向及び幅方向を認識させることができる。このように、ワイプスシート10の縦横を認識することができる限りにおいて、図柄域40は、第1仮想線Pと第2仮想線Qとのいずれか一方に関して非対称であればよい。
ワイプスシート10においては、第2方向Yが製造工程における機械方向、第1方向Xが機械方向に交差する方向にそれぞれ対応しており、構成繊維は、主として第2方向Yへ配向されている。したがって、拭き取り方向は繊維配向する方向であってシート強度が第1方向Xよりも高い第2方向Yに沿うことが好ましく、図柄域40を非対称に配置することによって、第2方向Yが拭き取り方向(縦方向)であると認識させることができる。また、第2図柄部42の図柄42Bのように、第2方向Yが縦方向となるように意匠要素を配置することによって、第2方向Yへ拭き取るように誘導させることもできる。かかる場合には、第2図柄部42は、その第1方向Xの寸法を2等分する仮想線(図示せず)に対して非対称であるといえる。
再び、図2を参照すると、図柄域40を形成する凹状ライン18は、第1方向Xへ延びる第2部分82と、第2方向Yへ延びる第1部分81とを有する。第2部分82における繊維配向は第2方向Yである。このため、第2方向Yを拭き取り方向とした場合には所要の引張強度を発揮し、拭き取りの後においても凹状ライン18の凹形状が崩れることはない。一方、第1部分81においては、単位面積当たりにおいて、第2部分82に比べて第2方向Yへ配向された繊維数が少なくなっている。このため、第2方向Yを拭き取り方向とした場合、第1部分81の引張強度は、第2部分82の引張強度よりも小さい。よって、第1部分81は、第2部分82と比較すると、拭き取りの後において凹状ライン18の凹形状がやや崩れることとなる。このため、第1図柄部41及び第2図柄部42は、第1方向Xへ延びる第2部分82及び第2方向Yへ延びる第1部分81によって、拭き取りの後における変化態様が異なる。なお、本実施形態では、第1部分81と第2部分82とがつながって第1〜第4図柄部41〜44を形成している例をしめしたが、第1部分81と第2部分82とはつながっていなくてもよい。
ここで、繊維配向とは、ワイプスシート10の平面視において、繊維が流れている方向(繊維が長く延びている方向)であって、「第2部分82の繊維配向が第2方向である」とは、第2部分82を構成する繊維の総重量のうち、100%が第2方向に繊維配向されているもののほかに、50%以上が第2方向Yに対して−45°〜+45°の範囲で繊維配向性を有するものを含む。かかる繊維配向は、この種の分野において公知の方法、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法によって測定することができる。また、簡易的な方法として、後記の引張試験機を使用して第2部分82の第1方向Xと第2方向Yとにおける引張強度比(第1方向X/第2方向Y)から繊維配向を測定してもよい。
第1部分81は、それが直線状である場合には、第1仮想線Pに沿って延びる部分であり、第2部分は、それが直線状である場合には、第2仮想線Qに沿って延びる部分である。一方、例えば、第1図柄部41及び第2図柄部42の外形線41A,42Aのように曲状を有する場合には、第1部分81は、第1方向Xへ凸となる部分であって、第2部分82は、第2方向Yへ凸曲した部分である。
例えば、第1図柄部41及び第2図柄部42の図柄41B,42Bとして第2方向Yを上下とするキャラクターデザイン等を採用する場合には、その上下部分(例えば、頭部と胴体)の外形輪郭や上下の寸法バランスが崩れることはなく、拭き取り後や、例えば、第2方向Yへ摩擦抵抗が生じるように包装パッケージから取り出した場合においても、そのデザイン形状を維持することができる。
凹状ライン18の第1部分81においても、繊維の配向する方向である第2方向Yを拭き取り方向とした場合には、その形状が崩れ難く、その幅寸法が狭くなる傾向がある。一方、第1方向Xを拭き取り方向とした場合であって、凹状ライン18に繊維の配向する方向と交差する方向である第1方向Xへ引っ張る力が作用したときには、第1部分81の幅寸法が拡がる。したがって、図柄41B,42Bとして第2方向Yを上下とするキャラクターデザインを採用する場合には、拭き取り後や第1方向X或いは 第2方向Yへ摩擦抵抗が生じるように包装パッケージから取り出した場合には、その幅寸法が拡げられるような態様となるが、その外観イメージは維持されて、むしろ乳幼児の好む丸みのあるようなキャラクターデザインへと変化させることができる。
図示していないが、第1及び第2図柄部41,42の図柄41B,42Bとして、図形デザインと文字との観念的な組み合わせからなるものを採用してもよい。例えば、キャラクターが両手にハート状のプラカードを持った図形デザインにおいて、プラカード内に「大好き!/I LOVE YOU!」等の文字を配置することによって、図形デザインと文字とが互いに対応して共通の観念を想起させることから、意匠性が向上して使用者の購買意欲を惹起することができるとともに、被使用者である乳幼児の興味を引きつけることができる。
また、例えば、笑顔のキャラクターデザインとともに、「おはよう」「ごちそうさま」等の使用者である母親と、被使用者である乳幼児とが交わす日常会話の一部からなる文字との組み合わせからなるデザインを採用することもできる。このように、乳幼児が未だに覚えていない又は覚えたばかりの単語を図柄41B,42Bに採用し、使用時において親子で復唱することによって該単語を乳幼児の記憶に定着させることができる。このように、図柄域40は、ワイプスシート10を通じて親子間で会話が生まれて良好なコミュニケーションを図ることのできるツールの一つとしての機能を備えることもできる。
以上のように、ワイプスシート10は、視認性が高く独自性に優れたデザインを有するものであることから、従来のワイプスシートとは異なり、図柄部分がシームレスに形成された高級なハンカチーフのような美的外観を有する。したがって、他製品との差別化を実現することによって、使用者が比較的に女性の若年層であっても、躊躇することなく、むしろ積極的にワイプスシートを外出時に携帯して使用することができる。また、図柄域40として企業のロゴデザインを採用した場合には、使用者に対して効果的にブランドを認知させることができ、優れた宣伝広告機能を発揮しうる。したがって、ワイプスシート10は、ワイプスとしての基本的機能と消費者の購入意欲を惹起するような情緒的な価値との両方を併せ持つものといえる。
第1面11側において、凹状ライン18を除いた箇所は平坦である一方、凹状ライン18が存在する部分には、低密度領域51の凹部と、その両側部に位置する高密度領域52とが存在する。このため、第1面11側で拭き取りをする場合には、高密度領域52の外側に異物を溜めながら拭き取りをすることができる。
第2面12側において、第1面11側に凹状ライン18が存在する箇所を除いた反対側の部分は平坦である一方、第1面11側に凹状ライン18が存在する箇所の反対側には、突出部分54が存在する。突出部分54は、凹状ライン18の縁に沿って2条存在し、凹状ライン18の延在方向に沿って延びている。このため、第2面12側で拭き取りをする場合には、突出部分54で異物を掻き取りながら拭き取りをすることができる。
よって、このワイプスシート10では、拭き取り機能が異なる第1面11と第2面12とを有しているため、様々なよごれ(異物)に対応することができる。
図示していないが、ワイプスシート10を使用する場合には、第2拭き取り面である第2面12を内側にして2つに折り曲げて使用する場合がある。かかる使用態様においては、折り重ねられた部分の第2面12どうしが互いに接触し、拭き取り操作をしている間に接触部分がズレて、拭き取り面に対して十分に力が作用しないおそれがある。ワイプスシート10では、第2面12側に位置する高密度領域52の突出部分54が対向面に引っ掛かってそれらの折り重ねられた部分の摺動を妨げるストッパーとして機能し、拭き取り操作中におけるかかるシートどうしのズレを抑制し、拭き取り面に対して十分に力を伝えて拭き取りを行うことができる。
本実施形態においては、1枚のワイプスシート10において、独立かつ閉鎖した外形線41A,42Aを有する図柄部41,42が複数存在しているが、デザイン性及び拭き取り性を考慮して、少なくとも1つの図柄部41,42が存在していればよい。また、ワイプスシート10ごとに異なるデザインの図柄域40を有することによって、使用者が複数のワイプスシート10が収容された容器から取り出すときに、次々に異なるデザインを有するものが引き出されることになるので、使用者は楽しみながらポップアップすることができる。
図5を参照すると、使用者が、ワイプスシート10を使用する前に、第1方向Xにおける両側をそれぞれ手8,9で掴んで引っ張って、繊維どうしの絡合を解すことによってワイプスシート10の横幅を拡げて使用することがある。特に、インドネシア等の東南アジア諸国においては、ワイプスシート10に限らず、ウエットティッシュやキッチンシートを使用する場合であっても、シートを引き延ばすように引っ張って、シート強度を確かめるとともに、シート面積を拡げて利用することがある。ワイプスシート10は、全体として繊維配向が第2方向Yであるため、第1方向Xへ引っ張ったときには、第1方向Xにおける寸法(幅寸法)W1が大きくなる一方、第2方向Yへ引っ張ったときには、第2方向Yにおける寸法(長さ寸法)は、わずかにその寸法が大きくなるが、その変化量は、第1方向Xに比べてわずかである。
図6(a)を参照すると、ワイプスシート10が第1方向Xへ引っ張られることによって、図柄域40のみならずそれ以外の領域においても繊維の絡合が解けて、ワイプスシート10全体の第1方向Xにおける寸法(幅寸法)W1が大きくなる。具体的には、第1方向Xの引張力F1,F2が作用することによって、ワイプスシート10の幅寸法W2は、引っ張られる前の幅寸法W1の1.1〜1.5倍の大きさを有する。
図6(b)を参照すると、図柄域40を形成する凹状ライン18は、繊維の交絡によって形成されており柔軟かつ変形容易であるから、引張力F1,F2が作用することによって、繊維の絡合が解かれて凹状ライン18全体において第1方向Xにおける線幅が拡げられ、第1〜第4図柄部41〜44は、その外形寸法が大きくなる。具体的には、ワイプスシート10が、ウエット状態において、第1方向Xへ30%伸長された状態における第1部分81の幅寸法W4は、引っ張られる前の第1部分81の幅寸法W3の1.5〜2.5倍である。
このように、第1方向Xへ引っ張ることによって、凹状ライン18の幅寸法W3が拡げられて幅寸法W4となって寸法が大きくなるので、拭き取り面積が大きくなり、拭き取り性がより向上する。また、従来のワイプスシートのように、凹状ラインがエンボス加工によって賦形された場合には繊維が硬化して一部フィルム化することによって引張力F1,F2が作用したときに肉薄の底部18aが伸長されずに破断するおそれがあるが、凹状ライン18は繊維の交絡によって賦形されて伸長性を有することから、第1方向Xへ引っ張ったときに底部18aにおいて繊維の絡合が解れながら次第に幅寸法W3が拡げられ、底部18aの一部が破断するのを抑制することができる。
「第1方向Xに引っ張る力」は、図示例のように、使用者がワイプスシート10の第1方向Xにおける両側を把持して相反する方向へ引っ張り合うことによって生じる力F1,F2のほかに、ワイプスシート10の一方側部を固定した状態で、他方側部を一方側部と離間する方向へ引っ張る場合を含む。
また、凹状ライン18の幅寸法W3が拡げられることによって、第1〜第4図柄部41〜44の輪郭がよりはっきりと表れて視認性が向上する。図示していないが、例えば、ワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張られる前においては凹状ライン18の幅寸法W3が比較的に小さくその外形が視認し難い場合や全体外形が幅狭な印象を与える歪なデザインである場合において、ワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張ることによって幅寸法W4となり、その外形がはっきりとして視認され易くなり、幅狭で歪な印象を与えていたデザインが拡げられて、均整のとれた形状に変化させることができる。
第2部分82は第2方向Yへ繊維配向されているのに対し、第1部分81においては、第1方向Xと第2方向Yとの繊維が配向されていることから、ワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張ったときに、第2部分82の第2方向Yにおける幅寸法に比べてその第1方向Xにおける幅寸法が大きくなるといえる。第1部分81の第1方向Xにおける幅寸法が拡げられることによって各図柄部41〜44の外形がより明瞭になるとともに、第1部分81はその形状が保持されるので、各図柄部41−44の全体形状の均整が大きく乱れることはない。また、図柄41B,42Bが、第2方向Yが上下であるキャラクターデザイン等である場合には、乳幼児等が好むような、その横幅が拡がって丸みのある形状に変化させることができる。
図7(a)を参照すると、ワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張る前の状態において、中間繊維層23に位置するパルプ繊維28は、疎水性の第1面11の外部に露出されていない。ワイプスシート10がウエットな状態において、パルプ繊維28は、薬剤を吸収保持する吸収層を構成するものであるから、このように、疎水性層に囲まれて外部に露出しないことによって、外気に曝されることはなく、乾燥を防いで薬剤の揮発を抑制することができる。
図7(b)を参照すると、ワイプスシート10を第1方向Xへ少なくとも5%引張した後の状態において、凹状ライン18の底部18aを構成する繊維の絡合が解かれて中間繊維層23に位置するパルプ繊維28の一部が、第1繊維層21を構成する繊維の繊維間隙の間を通過して第1面11から外部に露出されている。このように、使用時に、使用者がワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張って拡げることによって、凹状ライン18が幅広となり、かつ、パルプ繊維28が外部に露出されるので、底部18aが被拭き取り面に接触したときに、パルプ繊維28に吸収された薬剤によって衛生的に拭き取ることができる。
このように、使用する際に、凹状ライン18において、疎水性である第1面11の表面をパルプ繊維及び他の親水性繊維を第1面11の表面に露出させ、第1面11を疎水性面から親水性面へと変えることによって、凹状ライン18における拭き取り性が向上する。
なお、使用前におけるパルプ繊維28の乾燥を防止するために、第1面11を形成する第1繊維層21の表面にシリコン等の撥水剤を塗布して撥水処理を施してもよい。
第1面11の表面が撥水性を有する場合には、平滑性が向上するので、収容容器からウエット状態のワイプスシート10をポップアップする際に、次のワイプスシート10が一緒に引き出される(ズル)を抑制することができる。また、ワイプスシート10の第1面11に凹状ライン18が形成されていることによって、積層状態で互いに当接するワイプスシート10どうしの対向面の接触面積が減少するので、よりズルを抑制して引き出し易くなる。
ワイプスシート10は、ウエット状態において、第1方向Xへ引っ張ったときの5%伸長時の引張強度が0.05〜1.0N/25mm、好ましくは、0.15〜0.5N/25mmである。第1方向Xにおける引張強度が0.05N/25mm未満の場合には、引張強度が低すぎて、製造工程において機械方向へ搬送されたときに底部18aの一部が破断したり、使用時に第1方向Xへ引っ張ったときに底部18aが伸び過ぎてシート形状が崩れてしまったり、一部が破断したりするおそれがある。第1方向Xにおける引張強度が1.0N/25mmを超える場合には、引張強度が高くなり過ぎて、使用者が使用前に軽く引っ張る程度の力では、底部18aが伸び難くなり凹状ライン18の幅寸法W4が拡がらなくなる。
また、ウエット状態において、ワイプスシート10を第1方向Xへ引っ張ったときの最大伸度は、2.0〜3.0倍、第2方向Yへ引っ張ったときの最大伸度は、1.2〜1.8倍である。ここで、ワイプスシート10の最大伸度とは、測定前の幅寸法W1の大きさを1.0倍としたものであって、例えば、ワイプスシート10の幅寸法W1が100mmであって引っ張って破断したときの幅寸法W2が200mmとなった場合には、最大伸度は2.0倍となる。
<最大引張強度、最大伸度及び引張時の凹状ラインの幅寸法の測定方法>
図8を参照すると、ワイプスシート10に薬剤を含浸(保水率250%)させた後に、ワイプスシート10を第1方向Xの中央に第2図柄部42が位置するように切断具でカットして、第1方向の長さ寸法150mm×第2方向Yの長さ寸法25mmの短冊状の試験片93とした。試験片93の第2図柄部42を形成する凹状ライン18のうち、第1部分81の両対向縁(両側部18b)の一部には、それらに沿って赤ペンで目印T1,T2を付し、測定する前に目印T1,T2間の離間距離R1を定規で測定した。
次に、引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ、型式AGS−1kNG)を使用して、固定チャック91と可動チャック92との間に第1方向Xが縦方向となるように試験片93を配置し、チャック間距離L1が100mm、引張速度が120m/minの条件下で最大引張強度及び最大伸度を測定した。第2方向Yにおける最大伸度についても、試験片93をその第2方向Yが試験機の縦方向(上下方向)となるように配置して同様の方法で測定した。
可動チャック92を固定チャック91と離間する方向へ移動させて、チャック間距離L1が105mm(伸度5%)時における最大引張強度(N/25mm)を求めた。また、チャック間距離L1を拡げて試験片が破断したときの引張強度を最大引張強度、伸度を最大伸度(倍)とした。さらに、チャック間距離L1が130mm(伸度30%)時の第1部分81の目印T1,T2の離間距離R2を定規で測定し、離間距離比(R2/R1)によって、第1部分81の最大伸度(倍)を算出した。なお、ワイプスシートがドライ状態においても、同様の測定方法によって、第1方向X及び第2方向Yの最大伸度、最大引張強度を求めることができる。
<ワイプスシートの製造方法>
本発明に係るワイプスシート10は、この種の分野において通常使用されるワイプス用の繊維不織布シートと同様の製造装置、例えば、繊維ウエブ形成部、繊維ウエブに水を含ませる水供給部、繊維を交絡して再配列するための水流噴射部(工程)、脱水部(脱水機)、乾燥部(乾燥機)を含む製造装置を使用することができる。ワイプスシート10の製造装置、製造工程の一部について、以下に説明する。
まず、ワイプスシート10の基材として、各種公知の製法によって製造された繊維集合体を積層してなる繊維ウエブを形成する。繊維ウエブは、例えば、カード法で形成された繊維集合体、エアレイド法で形成された繊維集合体、湿式法で形成された繊維集合体、スパンボンド法、メルトブローン法で形成された繊維集合体等を積層して形成することができる。本実施形態においては、繊維ウエブは、ワイプスシート10の第1及び第2繊維層21,22に対応したカード法で形成された繊維集合体間に中間繊維層23に対応したエアレイド法で形成された繊維集合体を介在させて積層した複層構造を有する。
繊維ウエブは、繊維交絡及び図柄域40を形成する凹状ライン18に対応した凹状部分を賦形するための水流噴射(ウォータージェット)工程の前に、予め水を含ませておくことが好ましい。水流噴射工程において繊維を交絡する前に繊維ウエブに水を含ませておくことによって、繊維間隙が水で埋められて、繊維密度が高くなる。それによって、水流噴射工程において、水流によって繊維が飛散して繊維ウエブの繊維密度が不均一になり、繊維ウエブの地合いが乱れるのを抑制することができる。このように、事前に水を含ませる場合には、繊維間隙を水で埋めることが目的なので、繊維が移動する程の水圧を要さず、スプレーによって水を吹き掛けてもよい。
図9は、繊維ウエブ101に図柄域40の凹状ライン18に対応した凹状部分122を形成する水流噴射工程100の斜視図である。水流噴射工程100は、機械方向MDへ搬送された繊維ウエブを外周面に保持するサクションドラム106と、サクションドラム106の外周面上に位置する繊維ウエブに水流を噴射するノズルプレート107とを含む。繊維ウエブ101は、サクションドラム106の外周面上においてノズルプレート107と対向する第1面101aと、その反対側に位置するサクションドラム106の外周面と対向する第2面101bとを有する。
サクションドラム106は、線状凸部120を有する賦形支持体106aを備える。賦形支持体106aの外周面は複数の吸引管121を有するメッシュ状であって、賦形支持体106aを軸線K1周りに回転させながら、繊維ウエブ101を賦形支持体106aに吸引して外周面に保持させつつ、下流側搬送手段(図示せず)を介して脱水機(図示せず)へ搬送する。ノズルプレート107は、サクションドラム106の外周面に保持された繊維ウエブ101の第1面101a側へ向かって水を噴射して、繊維どうしを交絡させるとともに賦形支持体106aの外周面に位置する線状凸部120に押し付けることによって、繊維ウエブ101の第2面101b側には凹凸パターンが付与される。線状凸部120は、賦形支持体106aの外周面と一体又は別体に形成されている。
図示していないが、脱水機の搬送ベルトによってさらに機械方向MDへ搬送された繊維ウエブ101は、ドライ状態で使用するワイプスシートとして使用される場合には乾燥機に搬送され、一方、ウエット状態で使用するワイプスシート10して使用される場合には、乾燥機を経て又は経ずに、薬剤や香料を含む液体を含浸するための液供給手段へ搬送される。繊維ウエブはそれらの工程を経た後に、切断手段によって適当な大きさにカットされる。なお、乾燥機においては、繊維ウエブ101を構成する熱融着性繊維の一部が熱融着して、シート強度が向上する。
ノズルプレート107においては、サクションドラム106の賦形支持体106aの外周面に保持された繊維ウエブ101の第1面101aに対して交差方向CDに並ぶ複数のノズルが水を噴射する。繊維ウエブ101は、サクションドラム106の上流に位置するサクションドラム(図示せず)において予備的に繊維交絡がされて繊維どうしが弱い力で交絡されて全体として平坦状であるところ、外周面の吸引管121から吸引されながらノズルプレート107から噴射された水流によって繊維ウエブ101を賦形支持体106aの外周面に位置する線状凸部120に押し当てられる。
図10(a)は、サクションドラム106において、水流が噴射される前の線状凸部120上の繊維ウエブ101の拡大図、図10(b)は、サクションドラムにおいて、流体が噴射された後の線状凸部120上の繊維ウエブ101の拡大図である。
図10(a),(b)を参照すると、線状凸部120においては繊維が吸引されていないことから、線状凸部120上に位置していた繊維が周辺に移動するように再配列されて線状凸部120に対応する繊維ウエブ101の第2面101b側には、第1面101a側へ凹となる凹状部分122が形成される。
線状凸部120は、ワイプスシート10の第1、第2及び第4図柄部41,42,44に対応した異なるデザインを有する第1、第2及び第3線状凸部120a,120b,120cを有する。線状凸部120は、賦形支持体106aの外周面から突出した部分であるから、図示した態様のほかに、キャラクターや企業ロゴ等の様々なデザインを採用して繊維ウエブ101に賦形することができる。
線状凸部120は、賦形支持体106aの外周全体に配置されており、製造されたすべてのワイプスシート10にも少なくとも1つの独立かつ閉鎖したデザインを有する図柄部が配置されるようなパターンを有している。また、線状凸部120の高さは、賦形するデザインに応じてその延在方向において線幅及び高さが変化するように設計されている。
繊維ウエブ101のうちの線状凸部120上に位置する肉薄部分(凹状部分122の底部)124では、水流によって周辺に繊維が移動し、かつ、吸引管121によって吸引されていないことから、周辺域に比べて繊維密度が低くなっている。
一方、肉薄部分124を囲むようにその外周縁に位置する第1部分131には線状凸部120上から移動した繊維が溜まって比較的に繊維密度が高くなっている。また、第1部分131からさらに外方に延びる第2部分132においては、肉薄部分124よりも繊維密度が高く、かつ、第1部分131よりも繊維密度が低くなっている。
また、繊維ウエブ101の中間繊維層に位置するパルプ繊維は、上下層に位置する熱融着繊維に比して繊維長が短く、繊維集合体において繊維どうしの絡合が弱いことから水流によって移動しやすくなっている。したがって、線状凸部120上に位置する肉薄部分124からなる低密度領域においては、パルプ繊維が周辺に飛ばされるように移動してパルプ繊維の質量が第1及び第2部分131,132に比べて低くなっている。
かかる水流噴射工程によって繊維ウエブ101に繊維の絡合によって形成されたデザイン模様を賦形することができ、繊維ウエブ101の凹状部分122、第1部分131及び第2部分132が、それぞれ、ワイプスシート10の凹状ライン18(低密度領域51),高密度領域52及び中密度領域53に相当する。
従来、スパンレース繊維不織布の製造工程においては、サクションドラムの賦形支持体に形成された凹状部分に繊維を押し込むようにして凹状パターンを賦形する方法がある。かかる製法においては、凹状部分において繊維が吸引されるので、繊維が存在しないか、若しくは、凹状部分の延在方向へ延びる大きな開孔が形成される。したがって、例えば、本実施形態に係る図柄域40のような繊維ウエブに独立かつ閉鎖した図柄を賦すために、凹状部分を独立かつ閉鎖した形状に形成した場合には、凹状部分にその延在方向へ連続する開孔が形成され、製造工程中に凹状部分に囲まれた部分が抜け落ちるおそれがある。
本製造方法によれば、サクションドラム106の賦形支持体106aの外周面に配置された線状凸部120によって繊維が再配向されて繊維ウエブ101の第2面101b側に凹状部分122が賦形されることから、線状凸部120に位置する肉薄部分124にはその延在方向へ比較的に大きな開孔が形成されることなく、製造工程中において線状凸部120に囲まれた部分が抜け落ちることはない。このように、水流に向かって凸となる線状凸部120によって繊維ウエブ101を賦形することによって、繊維の交絡のみによって独立かつ閉鎖的な様々なデザイン、例えば、キャラクター、文字、図形、記号、それらの組み合わせ等を様々なサイズで採用することができる。
ワイプスシート10の製造方法の一例として、水流交絡によるスパンレース製法を例示したが、流体処理による繊維交絡によって凹状ライン18を形成することができる限りにおいて、水のほかに、空気、水蒸気等の流体による製法を採用することもできる。
本明細書においては、ワイプスシート10としての技術的効果について重点的に述べたが、本発明に係る繊維不織布シートは、ワイプス用に限らず、生理用ナプキンや使い捨ておむつ、母乳パッド等の衛生用品の構成材料としても使用しうる。特に、図柄域40の第1図柄部41及び第2図柄部42が、繊維の交絡による凹状ライン18によって形成された独立かつ閉鎖した外形線41A,42Aを有することから、全体として柔軟なデザイン性に優れたものであって、衛生用品のうちの肌に接するシート材料として好適に用いることができる。
ワイプスシート10を構成する各構成部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている、「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いている。
10 繊維不織布シート(ワイプスシート)
11 第1面
12 第2面
18 凹状ライン
21 第1繊維層
22 第2繊維層
23 中間繊維層
51 低密度領域
52 高密度領域
54 突出部
81 第1部分
82 第2部分
X 第1方向
Y 第2方向
Z 厚さ方向

Claims (6)

  1. 厚さ方向と、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向と、前記厚さ方向に対向する第1面及び第2面を有し、構成繊維を交絡することによって形成された繊維不織布シートにおいて、
    前記第1面において前記第2面側へ凹となる、繊維交絡によって形成された凹状ラインを有し、
    繊維密度が小さい低密度領域と、前記低密度領域よりも繊維密度が大きい高密度領域とを有し、
    前記凹状ラインは、幅方向の中央に位置する前記低密度領域と、前記低密度領域の両側に位置する前記高密度領域とを有し、
    前記高密度領域の親水性繊維の量が、前記低密度領域の親水性繊維の量よりも多いことを特徴とする繊維不織布シート。
  2. 前記高密度領域は、前記第2面から突出する突出部を有する請求項1に記載の繊維不織布シート。
  3. 前記第1面を形成する第1繊維層と、前記第2面を形成する第2繊維層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層との間に位置する親水性繊維を含む中間繊維層とを有し、
    前記第1方向へ引張力を付与することによって、前記凹状ラインにおいて繊維交絡が解かれて前記第1面の表面に前記中間繊維層の前記親水性繊維が露出される請求項1又は2に記載の繊維不織布シート。
  4. 前記第1繊維層が主として疎水性繊維から構成されている請求項3に記載の繊維不織布シート。
  5. 前記第1繊維層の表面には撥水処理が施されている請求項3又は4に記載の繊維不織布シート。
  6. ドライ状態またはウエット状態で使用するワイプス用である請求項1〜5のいずれかに記載の繊維不織布シート。
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