JP2019118294A - プローブを用いた核酸検出用プライマーセット - Google Patents

プローブを用いた核酸検出用プライマーセット Download PDF

Info

Publication number
JP2019118294A
JP2019118294A JP2017254811A JP2017254811A JP2019118294A JP 2019118294 A JP2019118294 A JP 2019118294A JP 2017254811 A JP2017254811 A JP 2017254811A JP 2017254811 A JP2017254811 A JP 2017254811A JP 2019118294 A JP2019118294 A JP 2019118294A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sequence
primer
target
complementary
hybridizes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017254811A
Other languages
English (en)
Inventor
関口 暁
Akira Sekiguchi
暁 関口
忠一 安
Chuichi Yasu
忠一 安
美智子 磯部
Michiko Isobe
美智子 磯部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dnaform KK
Original Assignee
Dnaform KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dnaform KK filed Critical Dnaform KK
Priority to JP2017254811A priority Critical patent/JP2019118294A/ja
Publication of JP2019118294A publication Critical patent/JP2019118294A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】複雑なプライマー設計や、プライマー比率の調整を行うことなく、プローブが目的の配列にハイブリダイズできる増幅産物を生成する、新たなPCR用プライマーセットの提供。【解決手段】標的配列の標的部位よりも3’側の配列にハイブリダイズする第1プライマーと、標的配列の相補配列の標的部位よりも3’側の配列にハイブリダイズする第2プライマーとを含み、第1プライマーは、3’側の配列が、標的配列における標的部位よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列が、標的配列における配列の3’側の配列に非相補的であり、且つ、第1プライマーからの伸長鎖において、標的部位の相補部位よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である、PCR用プライマーセット。【選択図】図1

Description

本発明は、プライマーセットに関する。
医療等の様々な分野において、遺伝子における一塩基多型(SNP)、挿入、欠失、およびメチル化等によるDNA修飾等についての分析が利用されている。前記分析方法としては、融解曲線解析が知られている。具体的には、まず、鋳型におけるSNPの標的部位を含む領域を、PCRにより増幅させる。そして、得られた増幅産物に対して、前記標的部位(例えば、変異型)にパーフェクトマッチするプローブをハイブリダイズさせ、昇温による、前記プローブの解離を検出することによって、前記標的部位が変異型か否かが分析される。
前記PCRは、通常、鋳型のアンチセンス鎖にアニーリングして伸長するフォワード(F)プライマーと、鋳型のセンス鎖にアニーリングして伸長するリバース(R)プライマーとが、使用される。一方、前記プローブは、前記アンチセンス鎖のターゲット配列にハイブリダイズするプローブと、前記センス鎖のターゲット配列にハイブリダイズするプローブのうち、一方のみが使用される。前記PCRにおいては、使用される2本のプライマーに挟まれた鋳型配列が、センス鎖とアンチセンス鎖との二本鎖状態で増幅される。このため、前記方法による検出においては、前記二本鎖のPCR増幅産物を1本鎖にほどいた上で、前記プローブを、前記1本鎖のターゲット配列にハイブリダイズさせる必要がある。しかしながら、二本鎖のPCR増幅産物は、一般に、前記プローブの配列よりも長いため、自由エネルギー上、安定である場合が多い。このため、化学平衡論の観点から、前記プローブが前記ターゲット配列にハイブリダイズできる割合は、前記PCR増幅産物の全体に対して非常に小さい。
そこで、このような問題を解消する方法として、前記Fプライマーと前記Rプライマーとの比率を変え、一方のプライマーからの増幅産物を、他方のプライマーからの増幅産物よりも多く生成させる方法である、「非対称PCR法」が報告されている。前記非対称PCR法においては、例えば、前記センス鎖にハイブリダイズするプローブを使用する場合には、前記Fプライマーの比率を高くする。これによって、前記センス鎖の増幅産物が、前記アンチセンス鎖の増幅産物よりも多くなり、前記プローブが、前記アンチセンス鎖と比較して化学平衡論的に不利な場合でも、余剰となった前記センス鎖にハイブリダイズできる。
GyllenstenおよびErlich, "Generation of Single-Stranded DNA by the polymerase chain reaction and its application to direct sequencing of the HLA-DQA Locus" Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:7652-7656 (1988) J. Aquiles Sanchez, Kenneth E. Pierce, John E. Rice, and Lawrence J. Wangh, "Linear-After-The-Exponential (LATE)-PCR: An advanced method of asymmetric PCR and its uses in quantitative real-time analysis" PNAS 2004 101 (7) 1933-1938
米国特許第5,066,584号公報 特許第4355211号公報
しかしながら、前記非対称PCR法によって一方の増幅産物を効率的に増やすには、単にプライマーの濃度比率を変えるだけではなく、プライマー配列の再設計、アニーリング温度等の処理条件の最適化も必要であり、開発は容易ではない。また、センス鎖およびアンチセンス鎖の一方の鋳型配列について、効率的な増幅に成功したとしても、その増幅産物が2次構造を形成し、前記プローブのハイブリダイズが困難となる場合や、増幅産物同士がプライミングを起こして伸長し、二本鎖を再形成する場合も起こり得る。このため、これらの複雑な制約を満たす、検出用試薬の開発には多大な時間を要する。また、試薬を使用するユーザ側においても、ターゲット毎に違う濃度調整を行う必要がある等の不便が生じている。
そこで、本発明は、例えば、複雑なプライマー設計や、プライマー比率の調整を行うことなく、前記プローブが目的の配列にハイブリダイズできる増幅産物を生成する、新たなPCR用プライマーセットを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のPCR用プライマーセットは、
標的配列(X’)に対する第1プライマーと、標的配列(X’)に相補な標的相補配列(X)に対する第2プライマーとを含み、
前記第1プライマーは、
標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズするプライマーであり、
前記第2プライマーは、
標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズするプライマーであり、
下記条件(1)および条件(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
条件(1)
前記第1プライマーは、
3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、
5’側の配列が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第1プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S’)の相補部位(S)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。

条件(2)
前記第2プライマーは、
3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
5’側の配列が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第2プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S)の相補部位(S’)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。
本発明の核酸増幅方法は、標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、前記本発明のプライマーセットにより、PCRを行うことを特徴とする。
本発明の変異の分析方法は、標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、前記本発明の核酸増幅方法により、核酸増幅を行う増幅工程と、前記増幅工程により得られた増幅産物と、プローブとを用いて、前記標的配列における標的部位の変異の有無を分析する分析工程とを含み、前記プローブは、前記標的配列における前記標的部位を含む領域にハイブリダイズするプローブであることを特徴とする。
本発明のプライマーセットにより得られる増幅産物は、後述するように、自己アニーリングによりステムループ構造を形成する。しかしながら、ステムループ構造の中でも、一本鎖の状態であるループ領域に、前記標的配列における標的部位が位置するように、前記プライマーセットは設計されている。このため、前記ステムループ構造のループ領域に、前記プローブが効率良くハイブリダイズできる。また、前記ステムループ構造を構成するように、前記プライマーセットを設計することによって、例えば、得られる増幅産物が、意図しない2次構造を形成したり、前記増幅産物同士がプライミングをして、再び伸長反応を起こすといった反応を抑制できる。さらに、得られる増幅産物は、前記ループ領域以外、すなわちステム領域は二本鎖の状態であるため、前記プローブのハイブリダイズも抑制される。したがって、本発明によれば、前記プローブの非特異的なハイブリダイズを抑制し、前記プローブを用いた分析の精度を向上することができる。
図1は、本発明のプライマーセットの一例を用いた核酸増幅反応の作用機序を模式的に示した図である。 図2は、本発明のプライマーセットの他の例を用いた核酸増幅反応の作用機序を模式的に示した図である。 図3は、本発明のプライマーセットの他の例を用いた核酸増幅反応の作用機序を模式的に示した図である。 図4は、本発明のプライマーセットの他の例を用いた核酸増幅反応の作用機序を模式的に示した図である。 図5は、本発明の実施例1における蛍光強度を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例2における蛍光強度を示すグラフである。
本発明において、前記標的配列と前記標的相補配列は、互いに相補的な関係にある配列である。前記標的配列と前記標的相補配列は、例えば、センス鎖とアンチセンス鎖との関係であり、前記標的配列および前記標的相補配列は、例えば、いずれがセンス鎖でもアンチセンス鎖でもよい。本発明の実施形態においては、便宜上、前記第1プライマーを、センス鎖の伸長用プライマー(Fプライマーともいう)とし、前記第1プライマーがハイブリダイズする前記標的配列を、アンチセンス鎖とし、前記第2プライマーを、アンチセンス鎖の伸長用プライマー(Rプライマーともいう)とし、前記第2プライマーがハイブリダイズする前記標的相補配列を、センス鎖、として説明する。なお、これは例示であって、本発明は、これには制限されない。
本発明において「プライマーまたはプローブがハイブリダイズする」とは、例えば、プライマーの一部またはプローブの一部が、ストリンジェントな条件下で標的配列にハイブリダイズし、前記標的配列以外の核酸分子にはハイブリダイズしないことを意味する。ストリンジェントな条件は、例えば、プライマーまたはプローブとその相補鎖との二重鎖の融解温度Tm(℃)およびハイブリダイゼーション溶液の塩濃度等に依存して決定でき、例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照できる。ハイブリダイズするプライマーおよびプローブの配列は、例えば、市販のプライマー構築ソフト、例えば、Primer3(Whitehead Institute for Biomedical Research社製)等を用いて設計できる。
<PCR用プライマーセット>
本発明のPCR用プライマーセット(以下、プライマーセットともいう)は、前述のように、標的配列(X’)に対する第1プライマーと、標的配列(X’)に相補な標的相補配列(X)に対する第2プライマーとを含み、
前記第1プライマーは、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズするプライマーであり、
前記第2プライマーは、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズするプライマーであり、
下記条件(1)および条件(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とする。
条件(1)
前記第1プライマーは、
3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、
5’側の配列が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第1プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S’)の相補部位(S)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。
条件(2)
前記第2プライマーは、
3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
5’側の配列が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第2プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S)の相補部位(S’)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。
本発明のプライマーセットは、例えば、前記条件(1)のみを満たしてもよいし、前記条件(2)のみを満たしてもよいし、前記条件(1)および前記条件(2)の両方を満たしてもよい。前記条件(1)を満たす第1プライマーおよび前記条件(2)を満たす第2プライマーの少なくとも一方を用いてPCRを行うことにより、前述のような、ステムループ構造をとる増幅産物を得ることができる。
本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。
(実施形態1)
本発明の第1のプライマーセットは、前記条件(1)および前記条件(2)の両方を満たすプライマーセットである。図1に、前記第1のプライマーセットを用いてPCRを行った場合における、増幅の作用機序を、模式的に示す。
図1(a)に示すように、第1プライマーは、3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列(C)が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的な配列である。第2プライマーは、3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列(C)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的である。そして、第1プライマーの配列(C)と、第2プライマーの配列(C)とは、同じ配列である。
この第1のプライマーセットを用いてPCRを行うと、まず、図1(a)に示すように、第1プライマーは、その配列(A)が、標的配列(X’)の配列(Ac)にハイブリダイズし、第2プライマーは、その配列(B)が、標的相補配列(X)の配列(Bc)にハイブリダイズする。そして、図1(b)に示すように、第1プライマーおよび第2プライマーから、それぞれ、伸長鎖が形成される。第1プライマーの伸長鎖(P1E1)は、その5’側に、第1プライマーの5’末端に由来する配列(C)を有し、他方、第2プライマーの伸長鎖(P2E1)も、その5’末端に、第2プライマーの5’末端に由来する配列(C)を有する。
さらに、伸長鎖(P2E1)が、新たな鋳型となって、第1プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P1E2)が形成され、伸長鎖(P1E1)が、新たな鋳型となって、第2プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P2E2)が形成される。ここで、図1(c)に示すように、第1プライマーによる伸長鎖(P1E2)は、5’末端に、第1プライマーに由来する配列(C)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P2E1)の配列(C)に対する相補配列(Cc)を有する。また、第2プライマーによる伸長鎖(P2E2)も、5’末端に、第2プライマーに由来する配列(C)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P1E1)の配列(C)に対する相補配列(Cc)を有する。
そして、図1(d)に示すように、第1プライマーから得られた伸長鎖(P1E2)と、第2プライマーから得られた伸長鎖(P2E2)とは、それぞれ、配列(C)と配列(Cc)とがハイブリダイズして、ステムループ構造を形成する。第2プライマー伸長鎖(P2E2)の前記ステムループ構造において、標的部位(S’)は、ループ領域に位置する。このため、第2プライマー伸長鎖(P2E2)に対して、標的部位(S’)を含む領域にハイブリダイズするプローブを使用すれば、前記ループ領域に、前記プローブを特異的にハイブリダイズできる。前記ステムループ構造におけるステム領域は、二本鎖であるため、仮に、この領域に、前述のような前記プライマー、前記プローブ、もしくは得られる増幅産物と相補的な配列が存在しても、これらのハイブリダイズは阻害される。また、第1プライマー伸長鎖(P1E2)も、一本鎖のループ領域を有するが、その配列は、前記プローブと同じ配列となるため、前記プローブはハイブリダイズしない。
なお、第1プライマー伸長鎖(P1E2)および第2プライマー伸長鎖(P2E2)は、互いにハイブリダイズした二本鎖構造の図1(c)の状態と、それぞれが分子内アニーリングしたステムループ構造の図1(d)の状態とを取り得るが、構造の安定性から、平衡は、図1(c)に傾いていると考えられる。しかしながら、前記伸長鎖のうち大部分が、図1(c)の状態をとっていても、二本鎖である限り、前記プローブはハイブリダイズできない。これに対して、少量(例えば、20%程度)であっても、図1(d)の状態であれば、前記プローブはハイブリダイズできる。このため、前記伸長鎖について、ステムループ構造の量にかかわらず、特異的なプローブのハイブリダイズによって、標的部位の分析が可能となる。
融解曲線解析によって前記標的部位の変異の有無を解析する場合、後述するような蛍光を発するプローブを使用し、反応溶液の温度を上昇させながら、前記プローブからの蛍光強度を測定する方法が一般的に行われる。この場合、温度上昇の変化の範囲は、特に制限されず、例えば、30℃から95℃の間で測定が行われる。そして、この温度上昇の間に、前記標的部位にハイブリダイズした前記プローブが、前記標的部位から解離する。このため、前記ステムループ構造におけるステム配列(C)は、前記プローブの融解温度以上の温度でステムを形成するように設計することが望ましい。一方、PCRにおける伸長反応は、典型的な例として、72℃で行われる。このため、前記ステム配列(C)は、例えば、この温度以下でステムを形成するように設計しておけば、前記ステム構造による伸長反応の阻害を、十分に回避できる。
本実施形態における第1プライマーおよび第2プライマーの大きさは、特に制限されない。第1プライマーと第2プライマーは、それぞれ、同じ長さでも異なる長さでもよい。
第1プライマーは、全長が、例えば、10〜100塩基長、19〜80塩基長、38〜60塩基長、配列(A)が、例えば、5〜50塩基長、12〜40塩基長、18〜30塩基長、配列(C)が、例えば、5〜50塩基長、7〜40塩基長、20〜30塩基長である。配列(A)と配列(C)の長さの比は、例えば、1:0.6〜1.7である。
第2プライマーは、全長が、例えば、10〜100塩基長、19〜80塩基長、38〜60塩基長、配列(B)が、例えば、5〜50塩基長、12〜40塩基長、18〜30塩基長、配列(C)が、例えば、5〜50塩基長、7〜40塩基長、20〜30塩基長である。配列(B)と配列(C)の長さの比は、例えば、1:0.6〜1.7である。
第1プライマーおよび第2プライマーの設計において、配列(Ac)と配列(B)との間の領域(D’)の長さ、および、配列(Bc)と配列(A)との間の領域(D)の長さは、例えば、15〜50塩基長である。領域(D’)における標的部位(S’)の位置、および領域(D)における標的部位(S)の位置は、特に制限されず、例えば、第1プライマーおよび第2プライマーのハイブリダイズ領域(Ac)および配列(B)、ならびにこれらの相補配列(A)および配列(Bc)から、5塩基以上離れた位置である。
標的配列(X’)においては、例えば、配列(Ac)、配列(B)、およびそれらに挟まれる標的部位(S’)を含む領域(D’)が、前記ステムループ構造におけるループ領域の長さとなる。同様に、標的相補配列(X)においては、例えば、配列(Bc)、配列(A)、およびそれらに挟まれる標的部位(S)を含む領域(D)が、前記ステムループ構造におけるループ領域の長さとなる。前記ループ領域の長さは、特に制限されず、例えば、プローブがハイブリダイズするのに十分な長さであればよい。前記ループ領域の長さは、具体的には、例えば、50塩基長以下、15〜50塩基長である。前記ループ領域の長さが、50塩基以下であれば、例えば、前記ステムループ構造の形成効率の観点から、好ましい。また、第1プライマーおよび第2プライマーの配列(C)の長さが、例えば、前記ステムループ構造におけるステム領域の長さとなる。前記ステム領域の長さは、例えば、前記配列(C)の長さである。前記ステム領域の長さは、例えば、前記融解温度条件を満たすように設計できる。
(実施形態2)
本発明の第2のプライマーセットは、前記条件(2)を満たすプライマーセットである。図2に、前記第2のプライマーセットを用いてPCRを行った場合における、増幅の作用機序を、模式的に示す。
図2(a)に示すように、第1プライマーは、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列(A)からなる。第2プライマーは、3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列(A)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的である。そして、前記第1プライマーの配列(A)と、前記第2プライマーの配列(A)とが、同じ配列である。
この第2のプライマーセットを用いてPCRを行うと、まず、図2(a)に示すように、第1プライマーは、その配列(A)が、標的配列(X’)の配列(Ac)にハイブリダイズし、第2プライマーは、その配列(B)が、標的相補配列(X)の配列(Bc)にハイブリダイズする。そして、図2(b)に示すように、第1プライマーおよび第2プライマーから、それぞれ、伸長鎖が形成される。第1プライマーの伸長鎖(P1E1)は、その5’側に、第1プライマーの5’末端に由来する配列(A)を有し、他方、第2プライマーの伸長鎖(P2E1)も、その5’末端に、第2プライマーの5’末端に由来する配列(A)を有する。
さらに、伸長鎖(P2E1)が、新たな鋳型となって、第1プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P1E2)が形成され、伸長鎖(P1E1)が、新たな鋳型となって、第2プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P2E2)が形成される。ここで、図2(c)に示すように、第1プライマーによる伸長鎖(P1E2)は、5’末端に、第1プライマーに由来する配列(A)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P2E1)の配列(A)に対する相補配列(Ac)を有する。また、第2プライマーによる伸長鎖(P2E2)も、5’末端に、第2プライマーに由来する配列(A)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P1E1)の配列(A)に対する相補配列(Ac)を有する。
そして、図2(d)に示すように、第1プライマーから得られた伸長鎖(P1E2)と、第2プライマーから得られた伸長鎖(P2E2)とは、それぞれ、配列(A)と配列(Ac)とがハイブリダイズして、ステムループ構造を形成する。第2プライマー伸長鎖(P2E2)の前記ステムループ構造において、標的部位(S’)は、ループ領域に位置する。このため、第2プライマー伸長鎖(P2E2)に対して、標的部位(S’)を含む領域にハイブリダイズするプローブを使用すれば、前記ループ領域に、前記プローブを特異的にハイブリダイズできる。前記ステムループ構造におけるステム領域は、二本鎖であるため、仮に、この領域に前記プライマー、プローブ、もしくは増幅産物と相補的な配列が存在しても、これらのハイブリダイズは阻害される。また、第1プライマー伸長鎖(P1E2)も、一本鎖のループ領域を有するが、その配列は、前記プローブと同じ配列となるため、前記プローブはハイブリダイズしない。
本実施形態における第1プライマーおよび第2プライマーの大きさは、特に制限されない。第2プライマーは、例えば、実施形態1を援用できる。
第1プライマーは、全長、すなわち配列(A)が、例えば、5〜50塩基長、12〜40塩基長、18〜30塩基長である。
(実施形態3)
本発明の第3のプライマーセットは、前記条件(2)を満たすプライマーセットである。図3に、前記第3のプライマーセットを用いてPCRを行った場合における、増幅の作用機序を、模式的に示す。
図3(a)に示すように、第1プライマーは、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列(A)からなる。第2プライマーは、3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列(C)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、標的配列(X’)における配列(Ac)の5’側配列(Cc)の相補配列(C)である。
この第3のプライマーセットを用いてPCRを行うと、まず、図3(a)に示すように、第1プライマーは、その配列(A)が、標的配列(X’)の配列(Ac)にハイブリダイズし、第2プライマーは、その配列(B)が、標的相補配列(X)の配列(Bc)にハイブリダイズする。そして、図3(b)に示すように、第1プライマーおよび第2プライマーから、それぞれ、伸長鎖が形成される。第1プライマーの伸長鎖(P1E1)は、その5’側に、第1プライマーの5’末端に由来する配列(A)と、配列(Ac)の5’側の配列(Cc)に対する相補配列(C)を有する。他方、第2プライマーの伸長鎖(P2E1)は、その5’末端に、第2プライマーの5’末端に由来する配列(C)と配列(B)とを有する。
さらに、伸長鎖(P2E1)が、新たな鋳型となって、第1プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P1E2)が形成され、伸長鎖(P1E1)が、新たな鋳型となって、第2プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P2E2)が形成される。ここで、図3(c)に示すように、第1プライマーによる伸長鎖(P1E2)は、5’末端に、配列(A)と配列(C)とを有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P2E1)に対する相補配列(Cc)および相補配列(Bc)を有する。また、第2プライマーによる伸長鎖(P2E2)は、5’末端に、配列(C)および配列(B)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P1E1)に対する相補配列(Ac)および相補配列(Cc)を有する。
そして、図3(d)に示すように、第1プライマーから得られた伸長鎖(P1E2)と、第2プライマーから得られた伸長鎖(P2E2)とは、それぞれ、配列(C)と配列(Cc)とがハイブリダイズして、ステムループ構造を形成する。第2プライマー伸長鎖(P2E2)の前記ステムループ構造において、標的部位(S’)は、ループ領域に位置する。このため、第2プライマー伸長鎖(P2E2)に対して、標的部位(S’)を含む領域にハイブリダイズするプローブを使用すれば、前記ループ領域に、前記プローブを特異的にハイブリダイズできる。前記ステムループ構造におけるステム領域は、二本鎖であるため、仮に、この領域に前記プライマー、プローブ、もしくは増幅産物と相補的な配列が存在しても、これらのハイブリダイズは阻害される。また、第1プライマー伸長鎖(P1E2)も、一本鎖のループ領域を有するが、その配列は、前記プローブと同じ配列となるため、前記プローブはハイブリダイズしない。
さらに、本実施形態の第3のプライマーセットによると、図3(d)に示すように、第1プライマー伸長鎖(P1E2)は、その5’末端に、一本鎖の配列(A)を有している。本実施形態によれば、第1プライマー伸長鎖(P1E2)は、5’側の配列(A)が一本鎖であるため、例えば、これを鋳型として、配列(Cc)から伸長が起きる場合がある。この伸長により、第1プライマー伸長鎖(P1E2)における配列(A)は、二本鎖を形成することになるため、さらに、前記プライマー、プローブ、もしくは増幅産物による非特異的なハイブリダイズを抑制することができる。
第1プライマーにおいて、配列(A)の長さは、例えば、18〜30塩基長である。
(実施形態4)
本発明の第4のプライマーセットは、前記条件(1)を満たすプライマーセットである。図4に、前記第4のプライマーセットを用いてPCRを行った場合における、増幅の作用機序を、模式的に示す。なお、実施形態4は、前記実施形態3におけるプローブの標的部位を(S’)に代えて(S)に変更したものである。
図4(a)に示すように、第1プライマーは、3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、5’側の配列(C)が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的な配列であり、且つ、標的相補配列(X)における配列(Bc)の5’側配列(Cc)の相補配列である。第2プライマーは、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B)からなる。
この第4のプライマーセットを用いてPCRを行うと、まず、図4(a)に示すように、第1プライマーは、その配列(A)が、標的配列(X’)の配列(Ac)にハイブリダイズし、第2プライマーは、その配列(B)が、標的相補配列(X)の配列(Bc)にハイブリダイズする。そして、図4(b)に示すように、第1プライマーおよび第2プライマーから、それぞれ、伸長鎖が形成される。第1プライマーの伸長鎖(P1E1)は、その5’側に、第1プライマーの5’末端に由来する配列(C)を有し、他方、第2プライマーの伸長鎖(P2E1)も、その5’末端に、第2プライマーの5’末端に由来する配列(B)と、配列(Cc)に対する相補配列(C)を有する。
さらに、伸長鎖(P2E1)が、新たな鋳型となって、第1プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P1E2)が形成され、伸長鎖(P1E1)が、新たな鋳型となって、第2プライマーがハイブリダイズし、さらに伸長鎖(P2E2)が形成される。ここで、図4(c)に示すように、第1プライマーによる伸長鎖(P1E2)は、5’末端に、配列(C)および配列(A)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P2E1)に対する相補配列(Bc)および相補配列(Cc)を有する。また、第2プライマーによる伸長鎖(P2E2)も、5’末端に、配列(B)および配列(C)を有するとともに、3’末端に、伸長鎖(P1E1)に対する相補配列(Cc)および相補配列(Ac)を有する。
そして、図4(d)に示すように、第1プライマーから得られた伸長鎖(P1E2)と、第2プライマーから得られた伸長鎖(P2E2)とは、それぞれ、配列(C)と配列(Cc)とがハイブリダイズして、ステムループ構造を形成する。第2プライマー伸長鎖(P2E2)の前記ステムループ構造において、標的部位(S’)は、ループ領域に位置する。このため、第2プライマー伸長鎖(P2E2)に対して、標的部位(S’)を含む領域にハイブリダイズするプローブを使用すれば、前記ループ領域に、前記プローブを特異的にハイブリダイズできる。前記ステムループ構造におけるステム領域は、二本鎖であるため、仮に、この領域に前記プライマー、プローブ、もしくは増幅産物と相補的な配列が存在しても、これらのハイブリダイズは阻害される。また、第1プライマー伸長鎖(P1E2)も、一本鎖のループ領域を有するが、その配列は、前記プローブと同じ配列となるため、前記プローブはハイブリダイズしない。
さらに、本実施形態の第4のプライマーセットによると、図4(d)に示すように、第2プライマー伸長鎖(P2E2)は、その5’末端に、一本鎖の配列(B)を有している。第2プライマー伸長鎖(P2E2)のループ領域に前記プローブをハイブリダイズさせる場合、そのステムループ構造は、より安定であることが好ましい。本実施形態によれば、第2プライマー伸長鎖(P2E2)は、5’側の配列(B)が一本鎖であるため、例えば、これを鋳型として、配列(Cc)から伸長が起きる場合がある。この伸長により、第2プライマー伸長鎖(P2E2)における配列(B)は、二本鎖を形成することになるため、さらに、構造が安定化する。
第2プライマーにおいて、配列(B)の長さは、例えば、18〜30塩基長である。
本発明によるプライマーセットに含まれるプライマーは、デオキシヌクレオチドおよび/またはリボヌクレオチドにより構成される。本発明において、「リボヌクレオチド」(単に「N」ということもある)とは、リボヌクレオチド三リン酸をいい、例えば、ATP,UTP,CTP,GTP等がある。さらに、リボヌクレオチドにはこれらの誘導体が含まれ、例えば、α位のリン酸基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたリボヌクレオチド(α−チオ−リボヌクレオチド)等がある。
また、前記プライマーには、未修飾デオキシヌクレオチドおよび/または修飾デオキシヌクレオチドで構成されたオリゴヌクレオチドプライマー、および未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドで構成されたオリゴヌクレオチドプライマー、未修飾デオキシヌクレオチドおよび/または修飾デオキシヌクレオチドおよび未修飾リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドを含有するキメラオリゴヌクレオチドプライマー等も含まれる。
本発明によるプライマーセットに含まれるプライマーは、オリゴヌクレオチドの合成に用いることのできる任意の方法、例えば、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等により合成できる。前記プライマーは、例えば、ABI社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いてホスホアミダイト法により合成すれば、容易に取得することができる。
<核酸増幅方法>
本発明の核酸増幅方法は、前述のように、標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、前記本発明のプライマーセットにより、PCRを行うことを特徴とする。本発明の核酸増幅方法は、前記本発明のプライマーセットを使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、何ら制限されない。
<変異検出方法>
本発明の変異検出方法は、前述のように、標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、前記本発明の核酸増幅方法により、核酸増幅を行う増幅工程と、前記増幅工程により得られた増幅産物と、プローブとを用いて、前記標的配列における標的部位の変異の有無を分析する分析工程とを含み、前記プローブは、前記標的配列における前記標的部位を含む領域にハイブリダイズするプローブであることを特徴とする。本発明の変異検出方法は、前記本発明のプライマーセットを用いた核酸増幅を利用することが特徴であって、その他の工程および条件等は、何ら制限されない。
前記分析工程の方法は、特に制限されず、例えば、融解曲線解析があげられる。前記融解曲線解析は、例えば、まず、PCRによって得られた増幅産物と前記プローブとを含む反応液を加熱して、二本鎖を解離させ、つぎに、プローブがハイブリダイズする温度にまで降温させ、さらに、温度の上昇(例えば、30℃〜95℃)に伴う、前記プローブの解離を検出する方法である。本発明のプライマーセットを用いて得られた増幅産物は、その一部が、例えば、前記プローブがハイブリダイズする温度条件において、前述のようにステムループ構造をとり、そのループ領域に、前記プローブがハイブリダイズする。
本発明において、前記プローブの種類は、何ら制限されず、本発明のプライマーセットを用いて得られた増幅産物に対して、前記標的部位を含む領域にハイブリダイズ可能なプローブであればよい。
前記プローブは、例えば、シグナル発生物質が結合した標識化プローブ(フルオロジェニックプローブともいう)があげられる。前記シグナル物質は、例えば、前記増幅産物へのハイブリダイズによって、シグナルを発するものでもよいし、前記増幅産物からの解離によって、シグナルを発するものでもよい。前記標識化プローブの種類は、特に制限されず、例えば、いわゆるEProbe(登録商標)、Taqman(登録商標)等が使用できる。これらは蛍光を発することから、本発明のプライマーセットは、これらのプローブと組合せて使用する場合、蛍光プローブ用プライマーセットということもできる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
実施形態1のプライマーセットを用いてPCRを行い、標的配列の検出を行った。
(1)鋳型
鋳型は、市販の人工合成遺伝子(野生型配列、ユーロフィンジェノミクス株式会社製)を使用した。また、コントロールは、前記鋳型に代えて、ヌクレアーゼフリー水使用した。
(2)プライマーセット
実施例1のプライマーセットとして、下記FプライマーおよびRプライマーを使用した。前記Fプライマーおよび前記Rプライマーについて、図1(a)における配列(C)を、下記配列において下線部で示した。
実施例1 プライマーセット
Fプライマー(配列番号1)
5'-CGAATGTCTCCGTGGTGGACTGTCACTGTTCCTCCTTTTGTTTTCCTTTC-3'
Rプライマー(配列番号2)
5'-CGAATGTCTCCGTGGTGGACAAAGCCAGCTACCAAACTGTATACAGCAT-3'
また、比較例1のプライマーセットとして、下記FプライマーおよびRプライマーを使用した。比較例1のFプライマーとRプライマーは、実施例1のプライマーセットにおける下線部の配列を有さない以外は、同じ配列である。
比較例1 プライマーセット
Fプライマー(配列番号3)
5'-TGTCACTGTTCCTCCTTTTGTTTTCCTTTC-3'
Rプライマー(配列番号4)
5'-AAAGCCAGCTACCAAACTGTATACAGCAT-3'
(3)PCR反応および融解曲線解析
下記組成の反応液を調製して、PCRおよび融解曲線解析を行った。PCRおよび融解曲線解析は、LightCycler(登録商標)480(Roche社製)を使用し、添付のプロトコルに従って行った。前記プローブは、標的配列と結合して二本鎖を形成すると、蛍光を発するEprobe(登録商標)を使用した。前記Eprobeは、下記配列において、小文字で示したチミン塩基に2つの蛍光色素が結合している。前記反応液において、緩衝液は、E−Taq 2xPCR Mix(株式会社ダナフォーム製)を使用した。
(反応液の組成)
終濃度
Fプライマー 0.5mol/L
Rプライマー 0.5mol/L
プローブ 0.4mol/L
E−Taq 2xPCR Mix 1x
ヌクレアーゼフリー水 残部
プローブ(配列番号5)
5'-AATTTGGGtGACATTGC-3'
これらの結果を、図5に示す。図5において、(A)は、PCRの最終サイクルにおける蛍光強度を示すグラフであり、(B)は、融解曲線の初期蛍光強度を示すグラフである。図5(A)および(B)において、左のバーが、比較例1のプライマーセットを使用した結果であり、右のバーが、実施例1のプライマーセットを使用した結果である。
図5(A)および(B)に示すように、実施例1のプライマーセットを用いた結果、比較例1のプライマーセットを用いた場合と比較して、極めて高い蛍光強度が得られた。実施例1のプライマーセットおよび比較例1のプライマーセットは、いずれも、鋳型に対するハイブリダイズする領域が同じであり、また、融解曲線において使用しているプローブも同じものであり。これに対して、図5に示すように、実施例1においては、蛍光強度が著しく向上していることから、実施例1のプライマーセットによれば、前記プローブが特異的にハイブリダイズできる増幅産物が、より効率よく得られたと言える。
[実施例2]
実施形態4のプライマーセットを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、標的配列の検出を行った。
実施例2のプライマーセットとして、下記FプライマーおよびRプライマーを使用した。前記Fプライマーについて、図4(a)における配列(C)を、下記配列において下線部で示した。
実施例2 プライマーセット
Fプライマー(配列番号6)
5'-AGCTACCAAACTGTATACAGCATGTGTCACTGTTCCTCCTTTTGTTTTCCTTTC-3'
Rプライマー(配列番号7)
5'-AGCTCTTGTCATTTGCCTTTACTATCC-3'
また、比較例2のプライマーセットとして、下記FプライマーおよびRプライマー1を使用した。比較例2のFプライマーとRプライマーは、実施例2のプライマーセットにおける下線部の配列を有さない以外は、同じ配列である。
比較例2 プライマーセット
Fプライマー(配列番号8)
5'-TGTCACTGTTCCTCCTTTTGTTTTCCTTTC-3'
Rプライマー(配列番号9)
5'-AGCTCTTGTCATTTGCCTTTACTATCC-3'
これらの結果を図6に示す。図6において、(A)は、PCRの最終サイクルにおける蛍光強度を示すグラフであり、(B)は、融解曲線の初期蛍光強度を示すグラフである。図6(A)および(B)において、左のバーが、比較例2のプライマーセットを使用した結果であり、右のバーが、実施例2のプライマーセットを使用した結果である。
図6(A)および(B)に示すように、実施例2のプライマーセットを用いた結果、比較例2のプライマーセットを用いた場合と比較して、極めて高い蛍光強度が得られた。実施例2のプライマーセットおよび比較例2のプライマーセットは、いずれも、鋳型に対するハイブリダイズする領域が同じであり、また、融解曲線において使用しているプローブも同じものである。これに対して、図6に示すように、実施例2においては、蛍光強度が著しく向上していることから、実施例2のプライマーセットによれば、前記プローブが特異的にハイブリダイズできる増幅産物が、より効率よく得られたと言える。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
本発明のプライマーセットにより得られる増幅産物は、自己アニーリングによりステムループ構造を形成する。そして、ステムループ構造の中でも、一本鎖の状態であるループ領域に、前記標的配列が位置するように、前記プライマーセットは設計されている。このため、前記ステムループ構造のループ領域に、前記プローブが効率良くハイブリダイズできる。また、前記ステムループ構造をとることによって、ループ領域以外、すなわちステム領域は二本鎖の状態であるため、前記プライマー、プローブ、もしくは増幅産物によるハイブリダイズも抑制される。したがって、本発明によれば、前記プローブの非特異的なハイブリダイズを抑制し、前記プローブを用いた分析の精度を向上することができる。

Claims (7)

  1. 標的配列(X’)に対する第1プライマーと、標的配列(X’)に相補な標的相補配列(X)に対する第2プライマーとを含み、
    前記第1プライマーは、
    標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズするプライマーであり、
    前記第2プライマーは、
    標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズするプライマーであり、
    下記条件(1)および条件(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とするPCR用プライマーセット。

    条件(1)
    前記第1プライマーは、
    3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第1プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S’)の相補部位(S)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。

    条件(2)
    前記第2プライマーは、
    3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、前記第2プライマーからの伸長鎖において、標的部位(S)の相補部位(S’)よりも3’側の配列にハイブリダイズする配列である。
  2. 前記第1プライマーは、
    3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列(C)が、標的配列(X’)における配列(Ac)の3’側の配列に非相補的であり、
    前記第2プライマーは、
    3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列(C)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、
    前記第1プライマーの配列(C)と、前記第2プライマーの配列(C)とが、同じ配列である、請求項1記載のPCR用プライマーセット。
  3. 前記第1プライマーは、
    標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列(A)からなり、
    前記第2プライマーは、
    3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列(A)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、
    前記第1プライマーの配列(A)と、前記第2プライマーの配列(A)とが、同じ配列である、請求項1記載のPCR用プライマーセット。
  4. 前記第1プライマーは、
    標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列(A)からなり、
    前記第2プライマーは、
    3’側の配列(B)が、標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列(C)が、標的相補配列(X)における配列(Bc)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、標的配列(X’)における配列(Ac)の5’側配列(Cc)の相補配列(C)である、または、
    前記第1プライマーは、
    3’側の配列(A)が、標的配列(X’)における標的部位(S’)よりも3’側の配列(Ac)にハイブリダイズする配列であり、
    5’側の配列(C)が、標的配列(X’)における前記配列(Ac)の3’側の配列に非相補的であり、且つ、標的相補配列(X)における配列(Bc)の5’側配列(Cc)の相補配列であり、
    前記第2プライマーは、
    標的相補配列(X)における標的部位(S)よりも3’側の配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B)からなる、請求項1記載のPCR用プライマーセット。
  5. 標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプライマーセットにより、PCRを行うことを特徴とする核酸増幅方法。
  6. 標的配列と、前記標的配列に相補的な標的相補配列とを含む鋳型の存在下、請求項5記載の核酸増幅方法により、核酸増幅を行う増幅工程と、
    前記増幅工程により得られた増幅産物と、プローブとを用いて、前記標的配列における標的部位の変異の有無を分析する分析工程とを含み、
    前記プローブは、前記標的配列における前記標的部位を含む領域にハイブリダイズするプローブであることを特徴とする変異の分析方法。
  7. 前記分析工程が、融解曲線解析による分析である、請求項6記載の分析方法。

JP2017254811A 2017-12-28 2017-12-28 プローブを用いた核酸検出用プライマーセット Pending JP2019118294A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254811A JP2019118294A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 プローブを用いた核酸検出用プライマーセット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017254811A JP2019118294A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 プローブを用いた核酸検出用プライマーセット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019118294A true JP2019118294A (ja) 2019-07-22

Family

ID=67306648

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017254811A Pending JP2019118294A (ja) 2017-12-28 2017-12-28 プローブを用いた核酸検出用プライマーセット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019118294A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023248310A1 (ja) * 2022-06-20 2023-12-28 株式会社日立ハイテク プライマー、dna検出方法およびdna検出キット

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6350580B1 (en) * 2000-10-11 2002-02-26 Stratagene Methods for detection of a target nucleic acid using a probe comprising secondary structure
WO2007083766A1 (ja) * 2006-01-20 2007-07-26 Olympus Corporation 分子内プローブによる核酸配列の検出方法
JP2010505438A (ja) * 2006-10-09 2010-02-25 オキシテック・リミテッド 核酸配列を増幅および検出する方法
JP2013074824A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Toyobo Co Ltd Mdr1遺伝子の多型を検出するためのプローブ
JP2016077208A (ja) * 2014-10-16 2016-05-16 東洋紡株式会社 Kras遺伝子変異の検出方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6350580B1 (en) * 2000-10-11 2002-02-26 Stratagene Methods for detection of a target nucleic acid using a probe comprising secondary structure
WO2007083766A1 (ja) * 2006-01-20 2007-07-26 Olympus Corporation 分子内プローブによる核酸配列の検出方法
JP2010505438A (ja) * 2006-10-09 2010-02-25 オキシテック・リミテッド 核酸配列を増幅および検出する方法
JP2013074824A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Toyobo Co Ltd Mdr1遺伝子の多型を検出するためのプローブ
JP2016077208A (ja) * 2014-10-16 2016-05-16 東洋紡株式会社 Kras遺伝子変異の検出方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023248310A1 (ja) * 2022-06-20 2023-12-28 株式会社日立ハイテク プライマー、dna検出方法およびdna検出キット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210388430A1 (en) Compositions of toehold primer duplexes and methods of use
CA2734514C (en) Self-avoiding molecular recognition systems in dna amplification
US11203780B2 (en) Process for the enzymatic synthesis and amplification of nucleic acids
JP5886755B2 (ja) 核酸の対立遺伝子特異的増幅
JP5871448B2 (ja) オリゴヌクレオチド
Ryazantsev et al. Design of molecular beacons: 3′ couple quenchers improve fluorogenic properties of a probe in real-time PCR assay
CN114555829A (zh) 检测稀有序列变体的测定方法和试剂盒
JP2013150631A (ja) オリゴヌクレオチドプローブおよびそれを用いる標識方法
JP2019118294A (ja) プローブを用いた核酸検出用プライマーセット
WO2009119331A1 (ja) サイトケラチン7のmRNAの検出用プライマを含む試薬
JP5831093B2 (ja) C型慢性肝炎に対する治療効果を予測するためのプローブ
US20210189479A1 (en) Method for selective amplification of nucleic acids and kit for performing the same
JP5618227B2 (ja) 核酸の増幅方法および遺伝子変異の検出方法
JP6972291B1 (ja) 核酸増幅方法、核酸増幅方法用プライマーセット、プローブ、及びキット
US11072825B2 (en) Method for indicating the progress of amplification of nucleic acids and kit for performing the same
WO2004022743A1 (ja) 多型配列部位を有する核酸の識別方法
Whitcombe 6 Using Scorpion Primers

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180125

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190925

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190926

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220201