図1(a)は、実施例1に係るコイル部品の上面図、図1(b)は、下面図、図1(c)及び図1(d)は、側面図である。図1(c)は、図1(a)をA方向から見た側面図、図1(d)は、図1(a)をB方向から見た側面図である。図2(a)から図2(c)は、実施例1に係るコイル部品の内部透視側面図である。図2(a)は、図1(a)をA方向から見た内部透視側面図、図2(b)は、図1(a)をB方向から見た内部透視側面図、図2(c)は、図1(a)をC方向から見た内部透視側面図である。図3(a)及び図3(b)は、コイル及び端子部の斜視図である。なお、図1(a)から図1(d)、図2(a)から図2(c)、並びに図3(a)及び図3(b)では、図の明瞭化のために、金属部材にハッチングを付している。図1(a)から図1(d)、図2(a)から図2(c)、並びに図3(a)及び図3(b)のように、実施例1のコイル部品100は、素体部10と、コイル40と、引出線44a及び44bと、引出線44aの先端部分46aを含む端子部70a及び引出線44bの先端部分46bを含む端子部70bと、を備える。
素体部10は、磁性材料を含んで形成され、透磁率が互いに異なる磁性体部12と磁性体部14とで構成されている。例えば、磁性体部12の透磁率は、磁性体部14の透磁率よりも高くなっている。磁性体部12は、巻軸16と、巻軸16の軸方向の一端に設けられた鍔部18と、を含む。巻軸16は、例えば円柱形状をしていて、鍔部18は、例えば巻軸16の軸方向に厚みを有する円盤形状をしている。
磁性体部12は、例えばフェライト材料、磁性金属材料、又は磁性金属粒子を含有する樹脂で形成されている。例えば、磁性体部12は、Ni−Zn系又はMn−Zn系のフェライト、Fe−Si−Cr系、Fe−Si−Al系、又はFe−Si−Cr−Al系などの軟磁性合金、Fe又はNiなどの磁性金属、アモルファス磁性金属、ナノ結晶磁性金属、或いは磁性金属粒子を含有する樹脂で形成されている。磁性体部12が軟磁性合金、磁性金属、アモルファス磁性金属、又はナノ結晶磁性金属で形成されている場合、これらの粒子に絶縁処理が施されていてもよい。
磁性体部14は、例えば磁性金属粒子を含有する樹脂で形成されているが、フェライト材料又は磁性金属材料で形成されていてもよい。
素体部10は、例えば四角錐台の形状をしている。素体部10の上面20は、一辺の長さが例えば3.8mm程度で、角部が丸みを帯びた四角形の形状をしている。素体部10の下面22は、一辺の長さが例えば4.1mm程度で、角部が丸みを帯びた四角形の形状をしている。素体部10の高さ(上面20と下面22の間の長さ)は、例えば3.0mm程度である。下面22は回路基板に実装される実装面であり、上面20は下面22とは反対側の面である。下面22と上面20とに接続する面が側面24a〜24dである。
コイル40は、磁性体部12の巻軸16の周囲に導線が巻回されて形成されている。この導線の両端側がコイル40から引き出されて1対の引出線44a及び44bとなっている。導線は、例えば金属線の表面が絶縁被膜で被覆されている。金属線の材料として、例えば銅、銅合金、銀、又はパラジウムなどが挙げられる。絶縁被膜の材料として、例えばポリエステルイミド又はポリアミドなどが挙げられる。コイル40は、例えば断面形状が矩形状の平角線からなる導線がエッジワイズ巻きで巻回されているが、この場合に限られる訳ではない。導線は、円形状の丸線などである場合でもよいし、コイル40は、アルファ巻きなどの他の巻き方で巻回されている場合でもよい。
コイル40は、素体部10に内蔵されていて、素体部10の外部には露出していない。引出線44a及び44bは、素体部10の内部でコイル40から素体部10の下面22に向かって引き出され、素体部10の下面22近傍で下面22に平行となるように折り曲げられている。このため、引出線44aの先端から所定の長さの先端部分46a及び引出線44bの先端から所定の長さの先端部分46bは、素体部10の下面22に平行となって下面22に沿って延びている。引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22で素体部10に埋め込まれることにより素体部10に固定されている。なお、先端部分46a及び46bが素体部10に埋め込まれるとは、先端部分46a及び46bの全てが素体部10に完全に埋め込まれている場合に限られず、一部が素体部10から露出又は突出して素体部10に埋め込まれている場合も含む。平行とは、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bと素体部10の下面22とが完全に平行な場合だけではない。製造誤差程度に平行からずれている場合、例えば素体部10の下面22に対して引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bが10°以下で傾いている略平行の場合も含む。
引出線44aのうちのコイル40と先端部分46aとの間の中継部分48aは、素体部10の下面22に垂直となって、コイル40の巻き終わりの位置から素体部10の下面22に向かって引き出されている。引出線44bのうちのコイル40と先端部分46bとの間の中継部分48bは、コイル40の巻き終わりの位置から素体部10の下面22に向かって折り返して曲げられている。なお、図2(c)では、引出線44bの中継部分48bは、短いために素体部10の下面22に垂直となってコイル40から引き出されている部分をほとんど有さないが、長い場合は素体部10の下面22に垂直となってコイル40から引き出されている場合が好ましい。なお、垂直とは、引出線44aの中継部分48a及び引出線44bの中継部分48bが素体部10の下面22に対して90°になっている場合だけではない。製造誤差程度に90°からずれている場合、例えば素体部10の下面22に対して80°〜100°になっている略垂直の場合も含む。
引出線44aの中継部分48a及び引出線44bの中継部分48bは、素体部10に埋め込まれている。なお、中継部分48a及び48bが素体部10に埋め込まれるとは、中継部分48a及び48bの全てが素体部10に完全に埋め込まれている場合に限られず、一部が素体部10から露出又は突出して素体部10に埋め込まれている場合も含む。引出線44aは、先端部分46a及び中継部分48aが素体部10に埋め込まれていることから、素体部10の外部には引き出されていない。同様に、引出線44bは、先端部分46b及び中継部分48bが素体部10に埋め込まれていることから、素体部10の外部には引き出されていない。
端子部70aは、引出線44aの先端部分46aと素体部10の下面22に埋め込まれた板状の金属部材72aとを含んで構成されている。金属部材72aは、素体部10の下面22で素体部10に固定されている引出線44aの先端部分46aに、素体部10の下面22で接合されている。例えば、金属部材72aは、引出線44aの先端部分46aの素体部10の下面22側の側面に接合されている。引出線44aと金属部材72aの接合は、一般的に知られている金属間の接合方法、例えば半田接合、レーザ溶接、圧着、又は超音波接合などを用いることができる。金属部材72aは、素体部10の下面22において、引出線44aの先端部分46aよりも素体部10の外側に位置していて、引出線44aの先端部分46aと素体部10の下面22に交差する方向(例えば垂直方向)で重なる位置に開口74を有する。この開口74によって、金属部材72aには、引出線44aの先端部分46aを底面に有する凹部が形成されている。コイル部品100を回路基板に半田によって実装する際、半田が金属部材72aの表面を濡れ広がるとともに開口74に埋め込まれることから、引出線44aの先端部分46aのうちの金属部材72aの開口74に位置する部分47aと、金属部材72aと、は端子として機能する。開口74の形状は自由であり、金属部材72aと引出線44aの先端部分46aのうちの金属部材72aの開口74に位置する部分47aとが同時に端子と機能する形状であれば、必ずしも穴形状として周囲を金属部材72aに囲まれていなくてもよい。例えば素体部10の下面22側から見た金属部材72aに凹みが形成され、この凹みによって開口74が形成されていてもよい。
同様に、端子部70bは、引出線44bの先端部分46bと素体部10の下面22に埋め込まれた板状の金属部材72bとを含んで構成されている。金属部材72bは、素体部10の下面22で素体部10に固定されている引出線44bの先端部分46bに、素体部10の下面22で接合されている。例えば、金属部材72bは、引出線44bの先端部分46bの素体部10の下面22側の側面に接合されている。引出線44bと金属部材72bの接合は、一般的に知られている金属間の接合方法、例えば半田接合、レーザ溶接、圧着、又は超音波接合などを用いることができる。金属部材72bは、素体部10の下面22において、引出線44bの先端部分46bよりも素体部10の外側に位置していて、引出線44bの先端部分46bと素体部10の下面22に交差する方向(例えば垂直方向)で重なる位置に開口76を有する。この開口76によって、金属部材72bには、引出線44bの先端部分46bを底面に有する凹部が形成されている。コイル部品100を回路基板に半田によって実装する際、半田が金属部材72bの表面を濡れ広がるとともに開口76に埋め込まれることから、引出線44bの先端部分46bのうちの金属部材72bの開口76に位置する部分47bと、金属部材72bと、は端子として機能する。開口76の形状は自由であり、金属部材72bと引出線44bの先端部分46bのうちの金属部材72bの開口76に位置する部分47bとが同時に端子と機能する形状であれば、必ずしも穴形状として周囲を金属部材72bに囲まれていなくてもよい。例えば素体部10の下面22側から見た金属部材72bに凹みが形成され、この凹みによって開口76が形成されていてもよい。
金属部材72aは、素体部10の下面22に埋め込まれているとともに、素体部10の側面24b側に折り曲げられている。金属部材72bは、素体部10の下面22に埋め込まれているとともに、素体部10の側面24d側に折り曲げられている。なお、金属部材72a及び72bが素体部10に埋め込まれているとは、金属部材72a及び72bの底面が素体部10の下面22から露出して埋め込まれている状態を含む。この状態を満たせば、金属部材72a及び72bの底面以外の全てが素体部10に埋め込まれていてもよいし、一部のみが素体部10に埋め込まれていてもよい。金属部材72a及び72bの底面と素体部10の下面22とは、例えば同一面となっている。素体部10の下面22のうちの金属部材72a及び72bの間に位置する部分には凹み26が形成されている。金属部材72aの素体部10の側面24b側に折り曲げられた部分及び金属部材72bの素体部10の側面24d側に折り曲げられた部分は、素体部10に埋め込まれずに、素体部10の外部に配置されている。
金属部材72a及び72bは、高い電気伝導率と高い機械的剛性を有する材料で形成されている場合が好ましく、例えば厚さが0.02mm〜0.2mm程度の銅板又は銅合金板などで形成されている。引出線44aの先端部分46aのうちの金属部材72aの開口74に位置する部分47a、引出線44bの先端部分46bのうちの金属部材72bの開口76に位置する部分47b、並びに金属部材72a及び72bは、表面にニッケル及び/又は錫などのめっき又はスパッタリングなどによる層が設けられていてもよい。
引出線44aの先端部分46aと金属部材72aのうちの素体部10の下面22に位置する部分とは素体部10に埋め込まれていることから、引出線44aと金属部材72aとの接合部分は素体部10に埋め込まれている。同様に、引出線44bの先端部分46bと金属部材72bのうちの素体部10の下面22に位置する部分とは素体部10に埋め込まれていることから、引出線44bと金属部材72bとの接合部分は素体部10に埋め込まれている。
次に、実施例1のコイル部品100の製造方法について説明する。まず、平角線からなる導線をエッジワイズ方式で巻回してコイル40を形成するとともに、コイル40から直線状の略平行な2本の引出線44a及び44bを適切な長さで引き出す。次いで、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bの絶縁被膜を剥離する。絶縁被膜は、例えばレーザ光を照射することで剥離できるが、カッター又は化学薬剤によって剥離してもよい。
次いで、引出線44a及び44bを折り曲げるフォーミング加工を行う。フォーミング加工によって、引出線44a及び44bは、コイル40から折り曲げられた中継部分48a及び48bと、中継部分48a及び48bから折り曲げられた先端部分46a及び46bと、を有するようになる。
次いで、引出線44aの先端部分46aに平板状で開口74を有する金属部材72aを接合させ、引出線44bの先端部分46bに平板状で開口76を有する金属部材72bを接合させる。金属部材72a及び72bの接合は、例えば半田接合、レーザ溶接、圧着、又は超音波接合などによって行うことができる。上述したように、引出線44aの先端部分46aのうちの金属部材72aの開口74に位置する部分47aと、金属部材72aと、は端子として機能する。引出線44bの先端部分46bのうちの金属部材72bの開口76に位置する部分47bと、金属部材72bと、は端子として機能する。したがって、引出線44aの先端部分46aと金属部材72aとを含んで構成される端子部70aと、引出線44bの先端部分46bと金属部材72bとを含んで構成される端子部70bと、が形成される。
次いで、巻軸16と鍔部18とを有する磁性体部12を、コイル40の空芯部に巻軸16が挿入されるようにコイル40に搭載する。この際、鍔部18がコイル40に対して金属部材72a及び72bとは反対側に位置するようにする。
次いで、磁性体部12が搭載されたコイル40を金型内に配置する。そして、金型内に磁性金属粒子を含有する液状の樹脂をディスペンサなどによって注入して所定の圧力で充填する。次いで、金型内に充填した液状の樹脂を所定の乾燥条件で乾燥させた後、所定の硬化条件で硬化させて、磁性体部14を形成する。このように、磁性体部14を形成する前に引出線44a及び44bに金属部材72a及び72bを接合しているため、引出線44a及び44bと金属部材72a及び72bとは磁性体部12及び14からなる素体部10に埋め込まれる。また、適切な形をした金型及び剥離シートなどの副資材を用いることで、金属部材72aの開口74及び金属部材72bの開口76に液状の樹脂が充填されずに済む。なお、実施例1では、金属部材72a及び72bはそれぞれ、1枚の金属板で形成されている場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。金属部材72a及び72bは、複数の金属板が組み合わされて形成されていてもよい。この場合、金属部材72aを形成する複数の金属板のうちの1つの金属板に開口74の一部が設けられ、他の金属板に開口74の他の一部が設けられていてもよい。同様に、金属部材72bを形成する複数の金属板のうちの1つの金属板に開口76の一部が設けられ、他の金属板に開口76の他の一部が設けられていてもよい。
次いで、コイル40を内蔵する素体部10を金型から取出し、金属部材72a及び72bを素体部10の側面24a〜24d側に折り曲げる。以上により、実施例1のコイル部品100が形成される。
実施例1のコイル部品100の効果を説明するにあたり、比較例のコイル部品について説明する。図4は、比較例1に係るコイル部品の内部透視側面図である。図4のように、比較例1のコイル部品800では、引出線94aは素体部10の側面24cから素体部10の外部に引き出され、引出線94bは素体部10の側面24aから素体部10の外部に引き出されている。引出線94aには、素体部10と引出線94aとの間に位置するように板状の金属部材92aが接合され、引出線94bには、素体部10と引出線94bとの間に位置するように板状の金属部材92bが接合されている。引出線94a及び金属部材92aは、素体部10の外部で側面24cから下面22に沿って延在するように折曲加工され、端子部90aとなる。引出線94b及び金属部材92bは、素体部10の外部で側面24aから下面22に沿って延在するように折曲加工され、端子部90bとなる。端子部90a及び90bは、素体部10に固定されていない。端子部90a及び90bが素体部10に固定されていないのは、固定に使用する接着剤の耐熱性を考慮する必要をなくすとともに、素体部10と金属部材92a及び92bと接着剤からなる3層の熱膨張係数の違いによる影響を考慮したものである。実施例1においても、素体部10と金属部材72a及び72bとの熱膨張係数の違いによる影響を考慮することが好ましいが、この場合、比較例1では3層構造となるに対し、実施例1では2層構造となるために熱膨張係数の違いによる影響を抑えることができる。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
図5は、比較例1に係るコイル部品で生じる課題を説明するための図である。図5のように、比較例1のコイル部品800の端子部90a及び90bが回路基板80の電極82に実装用半田84で接合されることで、コイル部品800が回路基板80に実装されている。この場合に、端子部90a及び90bは、素体部10の下面22側で回路基板80に接合され且つ素体部10の下面22で素体部10に固定されていない。このため、コイル部品800は、回路基板80に対して、引出線94a及び94bの素体部10から引き出された部位96a及び96bを支点として吊られた状態となる。よって、コイル部品800に振動が加わると、引出線94a及び94bの素体部10から引き出された部位96a及び96bに大きな力が加わるようになる。部位96a及び96bに大きな力が加わることで、部位96a及び96bで断線が生じることがある。例えば、コイル部品800が自動車又は産業機器などに用いられる場合、コイル部品800は振動し易いため、引出線94a及び94bの素体部10から引き出された部位96a及び96bに大きな力が加わって断線が生じることがある。さらに、コイル部品800は、回路基板80に対して引出線94a及び94bの素体部10から引き出された部位96a及び96bを支点として吊られた状態であるため、振動に対して一定の共振周波数を有する。自動車用途などで求められる耐振動試験では、様々な振動周波数での試験が実施され、試験時には高調波成分も含まれる。このため、コイル部品800では、振動試験時に共振が生じることがあり、このときに引出線94a及び94bの素体部10から引き出された部位96a及び96b付近には、更に大きな力が加わって断線が生じることがある。
一方、実施例1によれば、図2(a)から図2(c)のように、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22で素体部10に固定されている。そして、金属部材72aは、素体部10の下面22で引出線44aの先端部分46aに接合し且つ引出線44aの先端部分46aに重なる位置に開口74を有する。同様に、金属部材72bは、素体部10の下面22で引出線44bの先端部分46bに接合し且つ引出線44bの先端部分46bに重なる位置に開口76を有する。これにより、引出線44aの先端部分46aと金属部材72aとを含む端子部70aが形成され、引出線44bの先端部分46bと金属部材72bとを含む端子部70bが形成されている。
このように、端子部70aを構成する引出線44aの先端部分46a及び端子部70bを構成する引出線44bの先端部分46bは素体部10に固定されている。このため、端子部70a及び70bが回路基板の電極に接合された状態でコイル部品100に振動が加わった場合でも、コイル部品100は回路基板に対して引出線44a及び44bによって吊られた状態ではないため、引出線44a及び44bに大きな力が加わる部位が生じることを抑制できる。また、コイル部品100を半田によって回路基板に実装する際、この半田が金属部材72aの開口74及び金属部材72bの開口76に埋め込まれ、引出線44a及び44bが半田に直接接合するようになる。このため、引出線44a及び44bと回路基板の電極との接続信頼性が向上するとともに、素体部10に固定されている引出線44a及び44bの先端部分46a及び46bに半田が直接接合することで耐振性を向上させることができる。以上のことから、実施例1によれば、振動に対する信頼性を効果的に向上させることができる。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22で素体部10に埋め込まれることで、素体部10の下面22で素体部10に固定される。これにより、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bが素体部10に確実に固定されるため、振動に対する信頼性を更に向上させることができる。なお、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22で素体部10に埋め込まれることで、素体部10に固定される場合に限られる訳ではない。引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22で素体部10の外部に設けられ、且つ、素体部10の下面22に接着剤などによって素体部10に固定されている場合でもよい。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22に沿って延びている。これにより、引出線44aの先端部分46aのうちの開口74に位置する部分47aの面積及び引出線44bの先端部分46bのうちの開口76に位置する部分47bの面積を大きくすることができる。よって、コイル部品100を回路基板に実装するときに用いる半田の引出線44a及び44bへの接合面積を大きくできるため、振動に対する信頼性を更に向上させることができる。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aの先端部分46aは、素体部10の下面22側に位置する側部のみが金属部材72aに接合される。同様に、好適には、引出線44bの先端部分46bは、素体部10の下面22側に位置する側部のみが金属部材72bに接合される。すなわち、引出線44aの先端部分46aは金属部材72aに一方向でのみ接合され、引出線44bの先端部分46bは金属部材72bに一方向でのみ接合される。これにより、引出線44aと金属部材72aの接合に必要なスペース及び引出線44bと金属部材72bの接合に必要なスペースを小さくすることができ、コイル部品100を小型化することができる。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aを構成する先端部分46aと中継部分48aは共に素体部10に埋め込まれる。同様に、好適には、引出線44bを構成する先端部分46bと中継部分48bは共に素体部10に埋め込まれる。これにより、引出線44a及び44bが素体部10の外部に引き出される場合に比べて、振動に対する信頼性を更に向上させることができる。また、引出線44a及び44bが素体部10の外部に引き出される場合に比べて、コイル部品100を小型化することができる。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aの中継部分48aは、素体部10の下面22に垂直となってコイル40から素体部10の下面22に向かって引き出される。これにより、コイル部品100を小型化することができる。なお、引出線44bの中継部分48bが長い場合には、中継部分48bは、中継部分48aと同様に、素体部10の下面22に垂直となってコイル40から素体部10の下面22に向かって引き出されることが好ましい。
図2(a)から図2(c)のように、好適には、引出線44aの中継部分48aは、コイル40の巻き終わりの位置から素体部10の下面22に向かって素体部10の下面22に垂直となって引き出される。これにより、引出線44aの長さを短くできるため、電気抵抗を低く抑えることができる。また、引出線44aが素体部10の側面側に向かって引き出された部分を有する場合に比べて、振動に対する信頼性を向上させることができる。なお、引出線44bの中継部分48bが長い場合には、中継部分48bは、中継部分48aと同様に、コイル40の巻き終わりの位置から素体部10の下面22に向かって素体部10の下面22に垂直となって引き出されることが好ましい。
素体部10を上面20側から内部を透視して見た場合に、好適には、コイル40並びに引出線44a及び44bは金属部材72a及び72bよりも外側に飛び出さずに、金属部材72a及び72bの内側に位置する。これにより、コイル部品100を小型化することができる。
図1(a)から図1(d)及び図2(a)から図2(c)のように、好適には、金属部材72a及び72bのうちの素体部10の下面22に位置する部分は、素体部10に埋め込まれる。これにより、振動に対する信頼性を更に向上させることができる。振動に対する信頼性を向上させる点から、金属部材72a及び72bのうちの素体部10の下面22に位置する部分の底面を除く全てが素体部10に埋め込まれている場合が好ましく、例えば金属部材72a及び72bが底面にめっき層を有する場合は、底面のめっき層以外の全ての部分が素体部10の内部に埋め込まれている場合が好ましい。
図1(a)から図1(d)及び図2(a)から図2(c)のように、好適には、金属部材72aは、素体部10の下面22から側面24bに延在し、素体部10の側面24bにおいては素体部10の外部に配置されている。同様に、好適には、金属部材72bは、素体部10の下面22から側面24dに延在し、素体部10の側面24dにおいては素体部10の外部に配置されている。これにより、コイル部品100を回路基板に実装した際に、金属部材72aの素体部10の側面24bに折り曲げられた部分及び金属部材72bの素体部10の側面24dに折り曲げられた部分に半田フィレットを形成することができる。
実施例1では、素体部10は磁性体部12と磁性体部14とで構成されている場合を例に示したが、これに限られる訳ではない。図6(a)及び図6(b)は、実施例1の変形例1に係るコイル部品の内部透視側面図である。なお、図6(a)及び図6(b)では、図の明瞭化のために、金属部材にハッチングを付している。図6(a)及び図6(b)のように、素体部10は、磁性体部12を有さずに、実施例1で磁性体部12が設けられていた部分にも磁性体部14が設けられ、磁性体部14のみで構成されていてもよい。しかしながら、磁性体部14よりも透磁率の高い磁性体部12を用いることでインダクタンスなどの電気特性を向上させることができるため、素体部10は磁性体部12と磁性体部14とで構成されることが好ましい。
実施例1では、磁性体部12は、巻軸16と巻軸16の一端に設けられた鍔部18とで構成されたT字型形状をしている場合を例に示したが、巻軸16と巻軸16の両端に設けられた鍔部18とで構成されたI字型形状をしている場合でもよい。しかしながら、磁性体部12がI字型形状をしている場合、引出線44a及び44bは磁性体部12の鍔部18よりも外側に位置するように引き出されるため、電気特性を向上させる効果が低下してしまう。したがって、磁性体部12はT字型形状をしていて、鍔部18がコイル40に対して引出線44a及び44bが引き出された側とは反対側に位置することが好ましい。また、電気特性の向上の点から、T字型形状をした磁性体部12の鍔部18は、素体部10の上面20に露出していることが好ましい。
図10(a)は、実施例5に係るコイル部品の下面図、図10(b)は、図10(a)のA−A間の断面図、図10(c)は、図10(b)のB−B間の断面図である。なお、図10(a)では、図の明瞭化のために、金属部材72a及び72bにハッチングを付している。図10(a)から図10(c)のように、実施例5のコイル部品500では、素体部10aは、巻軸16と巻軸16の軸方向の両端に設けられた1対の鍔部18a及び18bとを含むドラムコア11であり、更には鍔部18a及び18bの間に設けられた樹脂部19を含んで構成されてもよい。巻軸16は、例えば円柱形状をしている。鍔部18a及び18bは、例えば巻軸16の軸方向に厚みを有する直方体形状をしている。巻軸16の底面の直径は例えば0.8mm程度、高さは例えば0.42mm程度である。鍔部18a及び18bの厚さは例えば0.18mm程度であり、ドラムコア11の高さHは0.86mm程度である。鍔部18a及び18bの主面の長手方向の長さL1は2.0mm程度、短手方向の長さL2は例えば1.2mm程度である。なお、上述の寸法に限らず、鍔部18a及び18bの主面の長手方向の長さ(L1)に対するドラムコア11の高さ(H)の割合(H/L1)は1より小さくなっている(H/L1<1)。
ドラムコア11は、磁性材料を含んで形成され、フェライト材料、磁性金属材料、又は磁性材料を含有する樹脂で形成されている。例えば、Ni−Zn系又はMn−Zn系のフェライト材料、Fe−Si−Cr系、Fe−Si−Al系、又はFe−Si−Cr−Al系などの軟磁性合金材料、Fe又はNiなどの磁性金属材料、アモルファス磁性金属材料、ナノ結晶磁性金属材料、或いはいずれかの磁性材料を含有する樹脂で形成されている。ドラムコア11が結晶磁性金属材料で形成される場合、これらの粒子表面に絶縁処理が施されていてもよい。樹脂部19は、ドラムコア11の鍔部18a及び18bの端で、鍔部18a及び18bの互いに対向する面を繋ぐように設けることができる。樹脂部19は、磁性材料を含んで形成され、例えばフェライト材料を含有するエポキシ樹脂などで形成することができる。
コイル40は、巻軸16の周囲に導線が巻回されて形成される。ドラムコア11の周囲には樹脂部19が設けられていてもよい。言い換えると、樹脂部19は、導線が巻軸16の周囲に巻回されることで形成されたコイル40の外周を囲んで、少なくとも一部は導線が巻回する方向に全周にわたって設けられている。したがって、コイル40は、素体部10aに内蔵されている。また、ドラムコア11の周囲に、樹脂部19が設けられていない場合でも、ドラムコア11の鍔部18a及び18bの間に完全に囲まれた領域に、コイル40は設けられているので、コイル40はドラムコア11よりなる素体部10aに内蔵されている。このように素体部10aに内蔵されているとは、完全に周囲が素体部10aに囲まれている様態と、一部が素体部10aに囲まれていなくても、大部分が素体部10aに囲まれている様態との両方の様態である。この導線の両端部がコイル40から引き出されて引出線44a及び44bとなっている。導線は、例えば断面形状が円形状の丸線であるが、断面形状が矩形状の平角線など、その他の場合でもよい。
引出線44a及び44bは、鍔部18bの巻軸16とは反対側の面であるドラムコア11の下面21に向かって引き出され、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、ドラムコア11の下面21に沿って延びている。なお、ドラムコア11の下面21が素体部10aの下面となる。ドラムコア11の下面21には窪み23が形成されていて、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、窪み23内をドラムコア11の下面21に沿って延びている。窪み23には半田75及び77が埋め込まれている。したがって、引出線44aの先端部分46aは、窪み23に埋め込まれた半田75によってドラムコア11の下面21に固定されている。引出線44bの先端部分46bは、窪み23に埋め込まれた半田77によってドラムコア11の下面21に固定されている。半田75は引出線44aの先端部分46aの周りを覆い、半田77は引出線44bの先端部分46bの周りを覆っている。
金属部材72a及び72bは、ドラムコア11の下面21に設けられている。金属部材72a及び72bは、ドラムコア11の下面21に埋め込まれずに、ドラムコア11の下面21上に設けられている。金属部材72aは半田75に接合し、金属部材72bは半田77に接合している。したがって、端子部70aは、引出線44aの先端部分46aと半田75と金属部材72aとで構成されている。端子部70bは、引出線44bの先端部分46bと半田77と金属部材72bとで構成されている。金属部材72aに形成された開口74からは半田75が露出し、金属部材72bに形成された開口76からは半田77が露出している。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例5のように、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、ドラムコア11の下面21に半田75及び77を介して固定されていてもよい。この場合でも、振動に対する信頼性を向上させることができる。
図10(b)のように、素体部10aは、巻軸16と1対の鍔部18a及び18bとを含むドラムコア11と、鍔部18a及び18bの間に設けられた樹脂部19と、を含んで構成されていてもよい。コイル40は、導線が巻軸16に巻回されて形成され、ドラムコア11と樹脂部19とで囲まれていてもよい。また、素体部は、巻軸16と1対の鍔部18a及び18bとを含むドラムコア11よりなる場合でもよい。また、ドラムコア11を構成する鍔部18a及び18bの主面の長手方向の長さL1に対するドラムコア11の高さHの割合H/L1は、1より小さい(H/L1<1)ことが好ましく、0.8より小さいことがより好ましく、0.6より小さいことが更に好ましく、0.4より小さいことがより更に好ましい。この場合、ドラムコア11が低背形状となるため、振動に対する信頼性が向上する。
また、端子部70aが引出線44aの先端部分46aと半田75と金属部材72aとで構成されることで、例えば金属部材72aが設けられてなく、端子部70aが引出線44aの先端部分46aと半田75とで構成される場合に比べて、半田75の平滑性を向上させることができる。端子部70bについても同様である。これにより、回路基板へのコイル部品500の実装を容易に行うことが可能となる。
図11(a)は、実施例5の変形例1に係るコイル部品の下面図、図11(b)は、図11(a)のA−A間の断面図、図11(c)は、図11(b)のB−B間の断面図である。なお、図11(a)では、図の明瞭化のために、金属部材72a及び72bにハッチングを付している。図11(a)から図11(c)のように、実施例5の変形例1のコイル部品510では、引出線44aの先端部分46aは、導線の直径方向における少なくとも一部が半田75から突出していて、金属部材72aの開口74に露出している。同様に、引出線44bの先端部分46bは、導線の直径方向における少なくとも一部が半田77から突出していて、金属部材72bの開口76に露出している。その他の構成は、実施例5と同じであるため説明を省略する。
実施例5の変形例1によれば、引出線44aの先端部分46a及び引出線44bの先端部分46bは、金属部材72aの開口74及び金属部材72bの開口76に露出している。これにより、コイル部品510を回路基板に実装する際に用いられる実装用半田が引出線44a及び44bに直接接合するようになる。このため、引出線44a及び44bと回路基板の電極との接続信頼性を向上させることができる。
図12(a)は、実施例5の変形例2に係るコイル部品の下面図、図12(b)は、図12(a)のA−A間の断面図、図12(c)は、図12(b)のB−B間の断面図である。なお、図12(a)では、図の明瞭化のために、金属部材72a及び72bにハッチングを付している。図12(a)から図12(c)のように、実施例5の変形例2のコイル部品520では、金属部材72a及び72bは、ドラムコア11の下面21に埋め込まれ、底面がドラムコア11の下面21と略同一面となっている。その他の構成は、実施例5と同じであるため説明を省略する。
実施例5の変形例2によれば、金属部材72a及び72bは、底面がドラムコア11の下面21(すなわち、素体部10aの下面)と略同一面となってドラムコア11の下面21(すなわち、素体部10aの下面)に埋め込まれているため、振動に対する信頼性を更に向上させることができる。また、素体部10aの下面と金属部材72a及び72bの底面とが略同一面であることで、コイル部品520を回路基板に良好な安定性で実装することができる。なお、略同一面とは、完全な同一面となっている場合に限られず、製造誤差程度の段差が形成されている場合も含むものである。