特許文献1の構成では、第1タイミング信号が第3絶縁素子158を介して制御装置128に送信され、第2タイミング信号が第4絶縁素子160を介して制御装置128に送信される。各信号は、絶縁素子を介して送信されるため、各信号には絶縁素子の特性に応じた遅延が生じる。このように、制御装置128が複数のタイミング信号に基づいてデッドタイムを補正する制御を行う場合、各信号の遅延にばらつきが生じるため、正確にデッドタイムを補正することが難しい。本明細書では、精度良くデッドタイムを補正することができる技術を提供する。
本明細書が開示する昇降圧コンバータ回路は、高電位入力配線と、高電位出力配線と、低電位配線と、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、制御装置と、第1信号配線と、第2信号配線と、第1駆動回路と、第2駆動回路と、第1センサと、第2センサと、第3センサと、第3信号配線、を有する。前記高電位入力配線は、リアクトルを介して直流電源の正極に接続される。前記低電位配線は、前記直流電源の負極に接続される。前記第1スイッチング素子は、前記高電位出力配線と前記高電位入力配線の間に接続される。前記第2スイッチング素子は、前記高電位入力配線と前記低電位配線の間に接続される。前記第1ダイオードは、カソードが前記高電位出力配線に接続されており、アノードが前記高電位入力配線に接続されている。前記第2ダイオードは、カソードが前記高電位入力配線に接続されており、アノードが前記低電位配線に接続されている。前記制御装置は、前記第1スイッチング素子を制御する第1信号と、前記第2スイッチング素子を制御する第2信号を出力する。前記第1信号配線は、前記第1信号を第1絶縁素子を介して送信する。前記第2信号配線は、前記第2信号を第2絶縁素子を介して送信する。前記第1駆動回路は、前記第1信号配線から前記第1信号を受信し、受信した前記第1信号に基づいて前記第1スイッチング素子のゲートの電位を制御する。前記第2駆動回路は、前記第2信号配線から前記第2信号を受信し、受信した前記第2信号に基づいて前記第2スイッチング素子のゲートの電位を制御する。前記第1センサは、前記第1スイッチング素子のゲートの電位が第1基準値を超える第1タイミングを検出する。前記第2センサは、前記第2スイッチング素子のゲートの電位が第2基準値を超える第2タイミングを検出する。前記第3センサは、前記高電位入力配線の電位と第3基準値との大小関係が反転する第3タイミングを検出する。前記第3信号配線は、前記第1タイミング、前記第2タイミング及び前記第3タイミングを示す信号を、第3絶縁素子を介して前記制御装置に送信する。前記第1信号は、前記第1スイッチング素子をオンさせる第1オン電位と前記第1スイッチング素子をオフさせる第1オフ電位の間で繰り返し変化する信号である。前記第2信号は、前記第2スイッチング素子をオンさせる第2オン電位と前記第2スイッチング素子をオフさせる第2オフ電位の間で繰り返し変化する信号である。前記制御装置は、昇圧動作において、第1昇圧モードの後に第2昇圧モードを実施する。前記第1昇圧モードでは、前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後第1デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力する。前記制御装置が、前記第3タイミングと前記第1タイミングの間の時間である第1オフセット時間を算出する。前記制御装置が、前記第1デッドタイムから前記第1オフセット時間を減算して第1補正デッドタイムを算出する。前記第2昇圧モードでは、前記制御装置が、前記第2オフ電位を出力し、その後前記第1補正デッドタイムが経過した後に、前記第1オン電位を出力する。前記制御装置は、降圧動作において、第1降圧モードの後に第2降圧モードを実施する。前記第1降圧モードでは、前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後第2デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力する。前記制御装置が、前記第3タイミングと前記第2タイミングの間の時間である第2オフセット時間を算出する。前記制御装置が、前記第2デッドタイムから前記第2オフセット時間を減算して第2補正デッドタイムを算出する。前記第2降圧モードでは、前記制御装置が、前記第1オフ電位を出力し、その後前記第2補正デッドタイムが経過した後に、前記第2オン電位を出力する。前記制御装置は、ゼロクロス動作において、前記第1補正デッドタイム及び前記第2補正デッドタイムによるデッドタイムの補正をしない。
本明細書が開示する昇降圧コンバータ回路の一例の構成を図6に示す。図6に示すように、コンバータ200は、高電位入力配線212と、高電位出力配線214と、低電位配線216と、第1スイッチング素子220と、第2スイッチング素子222と、第1ダイオード224と、第2ダイオード226と、制御装置228と、第1信号配線230と、第2信号配線232と、第1駆動回路234と、第2駆動回路236と、第1センサ237と、第2センサ238と、第3センサ240と、第3信号配線246、を有している。
上記のコンバータ200が昇圧動作を実行する場合、制御装置228は、第1昇圧モードと第2昇圧モードを実施する。図7は、第1昇圧モードにおける各値の変化を示す図であり、図8は、第2昇圧モードにおける各値の変化を示す図である。参照符号S1は、第1信号の値を示している。参照符号Vg1は、第1スイッチング素子220のゲート電位を示している。参照符号Vxは、高電位入力配線212の電位を示している。参照符号S2は、第2信号の値を示している。参照符号Vg2は、第2スイッチング素子222のゲート電位を示している。
まず、第1昇圧モードについて説明する。図7のタイミングT41においては、制御装置228が、第1信号S1として第1オフ電位Voff1を送信し、第2信号S2として第2オン電位Von2を送信している。このため、第1スイッチング素子220はオフしており、第2スイッチング素子222はオンしている。したがって、コンバータ200には、図6において矢印で示す電流I1が流れている。
その後、タイミングT42において、制御装置228が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。第2信号S2は第2絶縁素子256を介して第2駆動回路236に送信される。このため、タイミングT42からわずかに遅延したタイミングT43において、第2スイッチング素子222のゲート電位Vg2が下降し始める。その後、タイミングT44において、第2スイッチング素子222がオフすると、リアクトル250に電流I1が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線212の電位Vxが上昇する。そして、タイミングT45において、高電位入力配線212の電位Vxが高電位出力配線214の電位よりも高くなる。すると、第1ダイオード224が導通する。このため、図6の矢印に示す電流I2が流れる。このとき、第3センサ240は、高電位入力配線212の電位Vxが高電位出力配線214の電位を超えたこと(すなわち、高電位入力配線212の電位Vxと高電位出力配線214の電位の大小関係が反転したこと)を検出し、タイミングT45を第3タイミングであると判断する。
第1昇圧モードでは、制御装置228が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)第1デッドタイムΔt1が経過したタイミングT46において、制御装置228が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。第1信号S1は第1絶縁素子254を介して第1駆動回路234に送信される。このため、タイミングT46からわずかに遅延したタイミングT47において、第1スイッチング素子220のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子220がオンする。これにより、電流I2が、第1ダイオード224と第1スイッチング素子220に分岐して流れる。このとき、第1センサ237は、第1スイッチング素子220のゲート電位Vg1が第1基準値を超えたことを検出し、タイミングT47を第1タイミングであると判断する。
第1タイミング及び第3タイミングを示す信号は、第3信号配線246によって、第3絶縁素子258を介して制御装置228に送信されるため、当該信号からわずかに遅延して、当該信号と同じ波形を有する遅延信号が制御装置228に送信される。第1昇圧モードでは、制御装置228が、第3タイミング(タイミングT45)と第1タイミング(タイミングT47)の間の時間を第1オフセット時間Δt2として算出し、第1デッドタイムΔt1から第1オフセット時間Δt2を減算して、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。
次に、第2昇圧モードについて説明する。図8のタイミングT´41、T´42、T´43は、図7のタイミングT41、T42、T43と同様である。第2昇圧モードでは、制御装置228は、第2オフ電位Voff2を出力してから第1補正デッドタイムΔt3(第1昇圧モードで算出した第1補正デッドタイムΔt3)が経過したタイミングT´44において、第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。また、略同じタイミングで第2スイッチング素子222がオフすると、高電位入力配線212の電位が上昇し始める。そして、タイミングT´45において、高電位入力配線212の電位が高電位出力配線214の電位よりも高くなる。また、タイミングT45´と略同じタイミングで第1スイッチング素子220のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子20がオンする。
上記のように、コンバータ200では、制御装置228は、第1昇圧モードにおいて、第1タイミングと第3タイミングの時間差から第1オフセット時間Δt2を算出する。そして、予め設定された第1デッドタイムΔt1と第1オフセット時間Δt2に基づいて、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。そして、制御装置228は、第2昇圧モードにおいて、第1補正デッドタイムΔt3を用いて第1スイッチング素子220のスイッチングを制御する。これにより、高電位入力配線212の電位が高電位出力配線214の電位を超えるタイミングと、第1スイッチング素子220がオンするタイミングの時間差を低減することができる。この結果、第2スイッチング素子222がオフしたタイミングT´44から短時間で、第1スイッチング素子220のオン動作を開始することができる。このため、第1スイッチング素子220がオンする期間を長くすることができ、第1ダイオード224で生じる損失を低減することができる。
また、上記のコンバータ200では、昇圧動作時に、デッドタイムを補正するために制御装置228へ送信される信号が第3信号配線246によって送信される信号のみである。すなわち、デッドタイムを補正するための単一の信号が制御装置228へ送信される。複数の信号が制御装置228に送信されないため、信号の遅延にばらつきが生じることがない。したがって、精度良くデッドタイムを補正することができる。
上記のコンバータ200が降圧動作を実行する場合、制御装置228は、第1降圧モードと第2降圧モードを実施する。図9は、第1降圧モードにおける各値の変化を示す図であり、図10は、第2降圧モードにおける各値の変化を示す図である。
まず、第1降圧モードについて説明する。図9のタイミングT51においては、制御装置228が、第1信号S1として第1オン電位Von1を送信し、第2信号S2として第2オフ電位Voff2を送信している。このため、第1スイッチング素子220はオンしており、第2スイッチング素子222はオフしている。したがって、コンバータ200には、図6において矢印で示す電流I3が流れている。
その後、タイミングT52において、制御装置228が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。第1信号S1は第1絶縁素子254を介して第1駆動回路234に送信される。このため、タイミングT52からわずかに遅延したタイミングT53において、第1スイッチング素子220のゲート電位Vg1が下降し始める。その後、タイミングT54において、第1スイッチング素子220がオフすると、リアクトル250に電流I2が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線212の電位Vxが下降する。そして、タイミングT55において、高電位入力配線212の電位Vxが低電位配線216の電位よりも低くなる。すると、第2ダイオード226が導通する。このため、図6の矢印に示す電流I4が流れる。このとき、第3センサ240は、高電位入力配線212の電位Vxが低電位配線216の電位を下回ったこと(すなわち、高電位入力配線212の電位Vxと低電位配線216の電位の大小関係が反転したこと)を検出し、タイミングT55を第3タイミングであると判断する。
第1降圧モードでは、制御装置228が第1オフ電位Voff1の出力を開始してから(第1信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化してから)、第2デッドタイムΔt4が経過したタイミングT56において、制御装置228が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。第2信号S2は第2絶縁素子256を介して第2駆動回路236に送信される。このため、タイミングT56からわずかに遅延したタイミングT57において、第2スイッチング素子222のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子222がオンする。これにより、電流I4が、第2ダイオード226と第2スイッチング素子222に分岐して流れる。このとき、第2センサ238は、第2スイッチング素子222のゲート電位Vg2が第2基準値を超えたことを検出し、タイミングT57を第2タイミングであると判断する。
第2タイミング及び第3タイミングを示す信号は、第3信号配線246によって、第3絶縁素子258を介して制御装置228に送信されるため、当該信号からわずかに遅延して、当該信号と同じ波形を有する遅延信号が制御装置228に送信される。第1降圧モードでは、制御装置228が、第3タイミング(タイミングT55)と第2タイミング(タイミングT57)の間の時間を第2オフセット時間Δt5として算出し、第2デッドタイムΔt4から第2オフセット時間Δt5を減算して、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。
次に、第2降圧モードについて説明する。図10のタイミングT´51、T´52、T´53は、図9のタイミングT51、T52、T53と同様である。第2降圧モードでは、制御装置228は、第1オフ電位Voff1を出力してから、第2補正デッドタイムΔt6(第1降圧モードで算出した第2補正デッドタイムΔt6)が経過したタイミングT´54において、第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。また、略同じタイミングで第1スイッチング素子220がオフすると、高電位入力配線212の電位が下降し始める。そして、タイミングT´55において、高電位入力配線212の電位が低電位配線216の電位よりも低くなる。また、タイミングT´55と略同じタイミングで第2スイッチング素子222のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子222がオンする。
上記のように、コンバータ200では、制御装置228は、第1降圧モードにおいて、第2タイミングと第3タイミングの時間差から第2オフセット時間Δt5を算出する。そして、予め設定された第2デッドタイムΔt4と第2オフセット時間Δt5に基づいて、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。そして、制御装置228は、第2降圧モードにおいて、第2補正デッドタイムΔt6を用いて第2スイッチング素子222のスイッチングを制御する。これにより、高電位入力配線212の電位が低電位配線216の電位を下回るタイミングと、第2スイッチング素子222がオンするタイミングの時間差を低減することができる。この結果、第1スイッチング素子220がオフしたタイミングT´54から短時間で、第2スイッチング素子222のオン動作を開始することができる。このため、第2スイッチング素子222がオンする期間を長くすることができ、第2ダイオード226で生じる損失を低減することができる。
また、上記のコンバータ200では、降圧動作時に、デッドタイムを補正するために制御装置228へ送信される信号が第3信号配線246によって送信される信号のみである。すなわち、デッドタイムを補正するための単一の信号が制御装置228へ送信される。複数の信号が制御装置228に送信されないため、信号の遅延にばらつきが生じることがない。したがって、精度良くデッドタイムを補正することができる。
また、上記のコンバータ200では、制御装置228は、ゼロクロス動作において、第1補正デッドタイムΔt3及び第2補正デッドタイムΔt6によるデッドタイムの補正をしない。ゼロクロス動作においては、電流の向きが複雑に変化するので、デッドタイムの補正を行わない。また、ゼロクロス動作においては、回路に流れる電流の絶対値が小さいので、デッドタイムの補正を行わなくても、第1ダイオード224及び第2ダイオード226で生じる損失は小さい。
図1は、実施形態に係る昇降圧コンバータ10(以下、コンバータ10という。)の回路図を示している。コンバータ10は、車両に搭載されている。コンバータ10は、高電位入力配線12と、高電位出力配線14と、低電位配線16を有している。高電位入力配線12は、リアクトル50を介して直流電源52(例えば、バッテリ)の正極に接続されている。低電位配線16は、直流電源52の負極に接続されている。コンバータ10は、直流電源52の印加電圧(すなわち、高電位入力配線12と低電位配線16の間の電圧)を昇圧し、昇圧した電圧を高電位出力配線14と低電位配線16の間に印加する。図示していないが、高電位出力配線14と低電位配線16の間には、負荷(例えば、インバータや走行用モータ)が接続されている。したがって、昇圧された電圧が、負荷に供給される。また、コンバータ10は、負荷から供給された電圧(高電位出力配線14と低電位配線16の間に印加された電圧)を降圧し、降圧した電圧を直流電源52に供給する。
コンバータ10は、第1スイッチング素子20、第2スイッチング素子22、第1ダイオード24、第2ダイオード26、制御装置28、第1信号配線30、第2信号配線32、第1駆動回路34、第2駆動回路36、電流センサ53、入力側平滑化コンデンサ90、及び、出力側平滑化コンデンサ92を有している。
入力側平滑化コンデンサ90は、直流電源52の正極と負極の間に接続されている。
第1スイッチング素子20及び第2スイッチング素子22は、nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチング素子20のドレインは、高電位出力配線14に接続されている。第1スイッチング素子20のソースは、高電位入力配線12に接続されている。第2スイッチング素子22のドレインは、高電位入力配線12に接続されている。第2スイッチング素子22のソースは、低電位配線16に接続されている。すなわち、第1スイッチング素子20と第2スイッチング素子22は、高電位出力配線14と低電位配線16の間に直列に接続されている。
第1ダイオード24のカソードは、高電位出力配線14に接続されている。第1ダイオード24のアノードは、高電位入力配線12に接続されている。すなわち、第1ダイオード24は、第1スイッチング素子20に対して並列に接続されている。第2ダイオード26のカソードは、高電位入力配線12に接続されている。第2ダイオード26のアノードは、低電位配線16に接続されている。すなわち、第2ダイオード26は、第2スイッチング素子22に対して並列に接続されている。
出力側平滑化コンデンサ92は、高電位出力配線14と低電位配線16の間に接続されている。
制御装置28は、第1スイッチング素子20を制御する第1信号S1と、第2スイッチング素子22を制御する第2信号S2を出力する。第1信号S1は、第1スイッチング素子20をオンさせる第1オン電位Von1と、第1スイッチング素子20をオフさせる第1オフ電位Voff1の間で繰り返し変化する信号である。第2信号S2は、第2スイッチング素子22をオンさせる第2オン電位Von2と、第2スイッチング素子22をオフさせる第2オフ電位Voff2の間で繰り返し変化する信号である。
電流センサ53は、リアクトル50に流れる電流を検出する。電流センサ53は、検出した電流値を制御装置28へ送信する。制御装置28は、受信した電流値に基づいて、コンバータ10が、後述する昇圧動作、降圧動作及びゼロクロス動作のいずれの動作を実施しているのかを判断する。
第1駆動回路34は、第1信号配線30によって制御装置28に接続されている。第1信号配線30には、第1フォトカプラ54が介装されている。第1信号配線30は、第1フォトカプラ54を介して第1信号S1を第1駆動回路34に送信する。また、第1駆動回路34は、第1スイッチング素子20のゲートに接続されている。第1駆動回路34は、制御装置28から送信される第1信号S1を受信し、受信した第1信号S1に基づいて、第1スイッチング素子20のゲートの充放電を行う。
第2駆動回路36は、第2信号配線32によって制御装置28に接続されている。第2信号配線32には、第2フォトカプラ56が介装されている。第2信号配線32は、第2フォトカプラ56を介して第2信号S2を第2駆動回路36に送信する。また、第2駆動回路36は、第2スイッチング素子22のゲートに接続されている。第2駆動回路36は、制御装置28から送信される第2信号S2を受信し、受信した第2信号S2に基づいて、第2スイッチング素子22のゲートの充放電を行う。
また、コンバータ10は、第1コンパレータ60、第2コンパレータ62、第3コンパレータ64、第4コンパレータ66、第1XOR回路68、第2XOR回路70、第1AND回路72、及び、第2AND回路74を有している。
各コンパレータ60〜66は、それぞれ反転入力端子(−)と非反転入力端子(+)と出力端子を有している。各コンパレータ60〜66は、非反転入力端子(+)の電位が反転入力端子(−)の電位以下の場合は出力端子に出力する信号をLOWに制御し、非反転入力端子(+)の電位が反転入力端子(−)の電位よりも高い場合は出力端子に出力する信号をHIGHに制御する。
第1コンパレータ60の反転入力端子(−)には、第1スイッチング素子20のドレイン電位(すなわち、高電位出力配線14の電位)が入力される。第1コンパレータ60の非反転入力端子(+)には、第1スイッチング素子20のソース電位(すなわち、高電位入力配線12の電位)が入力される。第1コンパレータ60は、反転入力端子(−)の電位と非反転入力端子(+)の電位に基づいて、出力端子に信号Fx1を出力する。
第2コンパレータ62の反転入力端子(−)には、第1スイッチング素子20のソース電位が入力される。第2コンパレータ62の非反転入力端子(+)には、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が入力される。第2コンパレータ62は、反転入力端子(−)の電位と非反転入力端子(+)の電位に基づいて、出力端子に信号Fg1を出力する。
第3コンパレータ64の反転入力端子(−)には、第2スイッチング素子22のドレイン電位(すなわち、高電位入力配線12の電位)が入力される。第3コンパレータ64の非反転入力端子(+)には、第2スイッチング素子22のソース電位(すなわち、低電位配線16の電位)が入力される。第3コンパレータ64は、反転入力端子(−)の電位と非反転入力端子(+)の電位に基づいて、出力端子に信号Fx2を出力する。
第4コンパレータ66の反転入力端子(−)には、第2スイッチング素子22のソース電位が入力される。第4コンパレータ66の非反転入力端子(+)には、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が入力される。第1コンパレータ60は、反転入力端子(−)の電位と非反転入力端子(+)の電位に基づいて、出力端子に信号Fg2を出力する。
第1XOR回路68及び第2XOR回路70は、それぞれ2つの入力端子と1つの出力端子を有している。各XOR回路68、70は、各入力端子に入力された信号の排他的論理和を出力端子に出力する。各XOR回路68、70が出力する信号は、LOWまたはHIGHに制御される。
第1XOR回路68の各入力端子には、第1コンパレータ60から出力される信号Fx1及び第2コンパレータ62から出力される信号Fg1がそれぞれ入力される。第1XOR回路68は、入力された信号Fx1及び信号Fg1に基づいて、これらの排他的論理和である信号Ft1を出力端子に出力する。
第2XOR回路70の各入力端子には、第3コンパレータ64から出力される信号Fx2及び第4コンパレータ66から出力される信号Fg2がそれぞれ入力される。第2XOR回路70は、入力された信号Fx2及び信号Fg2に基づいて、これらの排他的論理和である信号Ft2を出力端子に出力する。
第1AND回路72及び第2AND回路74は、それぞれ2つの入力端子と1つの出力端子を有している。各AND回路72、74は、各入力端子に入力された信号の論理積を出力端子に出力する。各AND回路72、74が出力する信号は、LOWまたはHIGHに制御される。
第1AND回路72の各入力端子には、第1コンパレータ60から出力される信号Fx1及び第1XOR回路68から出力される信号Ft1がそれぞれ入力される。第1AND回路72は、入力された信号Fx1及び信号Ft1に基づいて、これらの論理積である信号Fd1を出力端子に出力する。
第1AND回路72から出力された信号Fd1は、第1伝達配線46に出力される。第1伝達配線46は、制御装置28に接続されている。第1伝達配線46は、第3フォトカプラ58を介して制御装置28に信号Fd1を送信する。
第2AND回路74の各入力端子には、第3コンパレータ64から出力される信号Fx2及び第2XOR回路70から出力される信号Ft2がそれぞれ入力される。第2AND回路74は、入力された信号Fx2及び信号Ft2に基づいて、これらの論理積である信号Fd2を出力端子に出力する。
第2AND回路74から出力された信号Fd2は、第2伝達配線47に出力される。第2伝達配線47は、制御装置28に接続されている。第2伝達配線47は、第4フォトカプラ59を介して制御装置28に信号Fd2を送信する。
次に、コンバータ10の動作について説明する。まず、コンバータ10の昇圧動作について説明する。昇圧動作では、直流電源52の電圧が昇圧され、昇圧された電圧が高電位出力配線14に出力される。昇圧動作では、リアクトル50に順方向(直流電源52から高電位入力配線12に向かう方向)に電流が流れる。コンバータ10が昇圧動作を実行する場合、制御装置28は、第1昇圧モードと、第1昇圧モードの後に実施される第2昇圧モードとを実施する。第1昇圧モードは、予め設定されたデッドタイムをから補正後のデッドタイムを算出するモードであり、第2昇圧モードは、算出した補正後のデッドタイムに一致するように第1スイッチング素子20を制御するモードである。なお、昇圧動作では、信号Fd2は制御装置28が行う制御に用いられない。したがって、昇圧動作に関する以下の説明では、信号Fd2と信号Fd2を生成する回路(すなわち、コンパレータ64、66、第2XOR回路70及び第2AND回路74)についての説明を省略する。
まず、第1昇圧モードについて説明する。図2は、第1昇圧モードにおける各値の変化示す図である。参照符号D1は、第1AND回路72から出力された信号Fd1が第3フォトカプラ58を通過した後の信号の値を示している。
図2のタイミングT1においては、制御装置28が、第1信号S1として第1オフ電位Voff1を送信し、第2信号S2として第2オン電位Von2を送信している。このため、第1スイッチング素子20はオフしており、第2スイッチング素子22はオンしている。したがって、コンバータ10には、図1において矢印で示す電流I1が流れている。この状態においては、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも低いため、第1コンパレータ60は信号Fx1をLOWに維持している。また、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が電位Vxよりも低いため、第2コンパレータ62は信号Fg1をLOWに維持している。このため、信号Ft1、Fd1が共にLOWに維持されている。
その後、タイミングT2において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。第2信号S2は第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングT2からわずかに遅延したタイミングT3において、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が下降し始める。その後、タイミングT4において、第2スイッチング素子22がオフすると、リアクトル50に電流I1が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線12の電位Vxが上昇する。そして、タイミングT5において、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも高くなる。すると、第1ダイオード24が導通する。このため、図1の矢印に示す電流I2が流れ、出力側平滑化コンデンサ92が充電される。これによって、高電位出力配線14に高電位が出力される。また、タイミングT5では、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも高くなるため、第1コンパレータ60は、信号Fx1をLOWからHIGHに上昇させる。また、第2コンパレータ62は、信号Fg1をLOWに維持している。このため、信号Fx1と信号Fg1の排他的論理和を出力する第1XOR回路68は、信号Ft1をLOWからHIGHに上昇させる。また、信号Fx1と信号Ft1の論理積を出力する第1AND回路72は、信号Fd1をLOWからHIGHに上昇させる。
第1昇圧モードでは、制御装置28が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)第1デッドタイムΔt1が経過したタイミングT6において、制御装置28が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。第1信号S1は第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングT6からわずかに遅延したタイミングT7において、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子20がオンする。これにより、電流I2が、第1ダイオード24と第1スイッチング素子20に分岐して流れる。また、タイミングT7では、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が高電位入力配線12の電位Vxよりも高くなる。このため、タイミングT7において、第2コンパレータ62は、信号Fg1をLOWからHIGHに上昇させる。すると、第1コンパレータ60が出力する信号Fx1はHIGHを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をHIGHからLOWに下降させる。また、信号Fx1と信号Ft1の論理積を出力する第1AND回路72は、信号Fd1をHIGHからLOWに下降させる。
制御装置28が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)所定の期間Δt11が経過したタイミングT8において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に下降させる。第1信号S1は、第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングT8からわずかに遅延したタイミングT9において、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が下降し始める。その後、タイミングT10において、第1スイッチング素子20がオフする。すると、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が高電位入力配線12の電位Vxよりも低くなる。このため、タイミングT10において、第2コンパレータ62は、信号Fg1をHIGHからLOWに下降させる。すると、第1コンパレータ60が出力する信号Fx1はHIGHを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をLOWからHIGHに上昇させる。したがって、第1AND回路72は、信号Fd1をLOWからHIGHに上昇させる。タイミングT10以降は、リアクトル50の起電力によって第1ダイオード24に電流I2が流れ、高電位入力配線12の電位Vxは高電位を維持する。
第1昇圧モードでは、制御装置28が第1オフ電位Voff1の出力を開始してから(第1信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化してから)、第3デッドタイムΔt7が経過したタイミングT11において、制御装置28が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。タイミングT11からわずかに遅延したタイミングT12において、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子22がオンする。これにより、図1に示す電流I1が流れる。また、タイミングT12では、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも低くなる。このため、タイミングT12において、第1コンパレータ60は、信号Fx1をHIGHからLOWに下降させる。すると、第2コンパレータ62が出力する信号Fg1はLOWを維持しているので、第1XOR回路68は、信号Ft1をHIGHからLOWに下降させる。したがって、第1AND回路72は、信号Fd1をHIGHからLOWに下降させる。
第1AND回路72から出力される信号Fd1は、第3フォトカプラ58を介して制御装置28に送信されるため、信号Fd1と同じ波形を有する信号D1(図2参照)が、信号Fd1からわずかに遅延して制御装置28に送信される。第1昇圧モードでは、制御装置28が、タイミングT5とタイミングT7の間の時間を第1オフセット時間Δt2として算出し、第1デッドタイムΔt1から第1オフセット時間Δt2を減算して、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。また、制御装置28が、タイミングT10とタイミングT12の間の時間を第3オフセット時間Δt8として算出する。
次に、第2昇圧モードについて説明する。図3は、第2昇圧モードにおける各値の変化示す図である。図3のタイミングT´1、T´2、T´3は、図2のタイミングT1、T2、T3と同様である。第2昇圧モードでは、制御装置28は、第2オフ電位Voff2を出力してから第1昇圧モードで算出した第1補正デッドタイムΔt3が経過したタイミングT´4において、第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。また、略同じタイミングで第2スイッチング素子22がオフすると、高電位入力配線12の電位Vxが上昇し始める。そして、T´5において、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも高くなる。また、タイミングT´5と略同じタイミングで第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子20がオンする。これにより、電流I2が第1ダイオード24と第1スイッチング素子20に分岐して流れる。
第2昇圧モードでは、制御装置28が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)、期間Δt11に第3オフセット時間Δt8を加算した期間が経過したタイミングT´6(すなわち、制御装置28は、第1昇圧モードにおいて第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させたタイミングから第3オフセット時間Δt8だけ遅延させたタイミング)において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。タイミングT´6からわずかに遅延したタイミングT´7において、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が下降し始める。また、略同じタイミング(詳細には、タイミングT´2から、期間Δt11に第3デッドタイムΔt7を加算した期間が経過したタイミング)で第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。その後、タイミングT´8において、第1スイッチング素子20がオフする。これにより、第1ダイオード24と第1スイッチング素子20に分岐して流れていた電流I2が第1ダイオード24のみに流れる。同様に、タイミングT´8と略同じタイミングで第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子22がオンする。すると、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位よりも低くなる。このため、タイミングT´8において、第1コンパレータ60は、信号Fx1をHIGHからLOWに下降させる。また、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が電位Vxよりも低くなるので、第2コンパレータ62は、信号Fg1をHIGHからLOWに下降させる。また、タイミングT´8以降は、第2スイッチング素子22がオンすることにより、図1に示す電流I1が再び流れる。
上記のように、コンバータ10は、第1昇圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位を超えるタイミングT5と、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が高電位入力配線12の電位Vxを超えるタイミングT7と、の間の時間差から第1オフセット時間Δt2を算出する。そして、予め設定された第1デッドタイムΔt1と第1オフセット時間Δt2に基づいて、第1補正デッドタイムΔt3を算出する。そして、第2昇圧モードにおいて、第1補正デッドタイムΔt3を用いて第1スイッチング素子20のオン動作を制御する。これにより、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位を超えるタイミングと、第1スイッチング素子20がオンするタイミングとの時間差を低減することができる。この結果、第2スイッチング素子22がオフしたタイミングT´4から短時間で、第1スイッチング素子20のオン動作を開始することができる。また、コンバータ10は、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が高電位入力配線12の電位Vxを下回るタイミングT10と、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位を下回るタイミングT12と、の間の時間を第3オフセット時間Δt8として算出する。そして、第2昇圧モードにおいて、第3オフセット時間Δt8を用いて第1スイッチング素子20のオフ動作を制御する。これにより、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が高電位入力配線12の電位Vxを下回るタイミングと、高電位入力配線12の電位Vxが高電位出力配線14の電位を下回るタイミングとの時間差を低減することができる。この結果、第1スイッチング素子20がオフしたタイミングT´8から短時間で、第2スイッチング素子22のオン動作を開始することができる。
上記のように、本実施例のコンバータ10によれば、第1スイッチング素子20と第2スイッチング素子22を同時にオンさせないという規則の中で、第1スイッチング素子20がオンする期間を長くすることができる。これによって、第1ダイオード24で生じる損失を低減することができる。
また、本実施例のコンバータ10では、昇圧動作時に、デッドタイムを補正するために制御装置28へ送信される信号が信号D1のみである。このため、信号の遅延時間のばらつきによるデッドタイムの補正精度の低下が生じない。すなわち、デッドタイムを補正するために複数の信号を制御装置28へ送信すると、フォトカプラで生じる信号遅延が信号毎に異なるので、デッドタイムを正確に補正することができない。これに対し、本実施形態では、デッドタイムを補正するために信号D1のみが用いられるので、精度良くデッドタイムを補正することができる。
続いて、コンバータ10の降圧動作について説明する。降圧動作では、高電位出力配線14の電圧が降圧され、降圧された電圧が直流電源52に出力される。降圧動作では、リアクトル50に逆方向(高電位入力配線12から直流電源52に向かう方向)に電流が流れる。コンバータ10が降圧動作を実行する場合、制御装置28は、第1降圧モードと、第1降圧モードの後に実施される第2降圧モードとを実施する。第1降圧モードは、予め設定されたデッドタイムをから補正後のデッドタイムを算出するモードであり、第2降圧モードは、算出した補正後のデッドタイムに一致するように第2スイッチング素子22を制御するモードである。なお、降圧動作では、信号Fd1は制御装置28が行う制御に用いられない。したがって、降圧動作に関する以下の説明では、信号Fd1と信号Fd1を生成する回路(すなわち、コンパレータ60、62、第1XOR回路68及び第1AND回路72)についての説明を省略する。
まず、第1降圧モードについて説明する。図4は、第1降圧モードにおける各値の変化示す図である。参照符号D2は、第2AND回路74から出力された信号Fd2が第4フォトカプラ59を通過した後の信号の値を示している。
図4のタイミングT21においては、制御装置28が、第1信号S1として第1オン電位Von1を送信し、第2信号S2として第2オフ電位Voff2を送信している。このため、第1スイッチング素子20はオンしており、第2スイッチング素子22はオフしている。したがって、コンバータ10には、図1において矢印で示す電流I3が流れている。この状態においては、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも高いため、第3コンパレータ64は信号Fx2をLOWに維持している。また、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が低電位配線16の電位よりも低いため、第4コンパレータ66は信号Fg2をLOWに維持している。このため、信号Ft2、Fd2が共にLOWに維持されている。
その後、タイミングT22において、制御装置28が第1信号S1を第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化させる。第1信号S1は第1フォトカプラ54を介して第1駆動回路34に送信される。このため、タイミングT22からわずかに遅延したタイミングT23において、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が下降し始める。その後、タイミングT24において、第1スイッチング素子20がオフすると、リアクトル50に電流I3が流れる方向に起電力が生じ、高電位入力配線12の電位Vxが下降する。そして、タイミングT25において、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも低くなる。すると、第2ダイオード26が導通する。このため、図1の矢印に示す電流I4が流れる。また、タイミングT25では、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも低くなるため、第3コンパレータ64は、信号Fx2をLOWからHIGHに上昇させる。また、第4コンパレータ66は、信号Fg2をLOWに維持している。このため、信号Fx2と信号Fg2の排他的論理和を出力する第2XOR回路70は、信号Ft2をLOWからHIGHに上昇させる。また、信号Fx2と信号Ft2の論理積を出力する第2AND回路74は、信号Fd2をLOWからHIGHに上昇させる。
第1降圧モードでは、制御装置28が第1オフ電位Voff1の出力を開始してから(第1信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化してから)第2デッドタイムΔt4が経過したタイミングT26において、制御装置28が第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。第2信号S2は第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングT26からわずかに遅延したタイミングT27において、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子22がオンする。これにより、電流I4が、第2ダイオード26と第2スイッチング素子22に分岐して流れる。また、タイミングT27では、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が高電位入力配線12の電位Vxよりも高くなる。このため、タイミングT27において、第4コンパレータ66は、信号Fg2をLOWからHIGHに上昇させる。すると、第3コンパレータ64が出力する信号Fx2はHIGHを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をHIGHからLOWに下降させる。また、信号Fx2と信号Ft2の論理積を出力する第2AND回路74は、信号Fd2をHIGHからLOWに下降させる。
制御装置28が第1オフ電位Voff1の出力を開始してから(第1信号S1が第1オン電位Von1から第1オフ電位Voff1に変化してから)所定の期間Δt12が経過したタイミングT28において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に下降させる。第2信号S2は、第2フォトカプラ56を介して第2駆動回路36に送信される。このため、タイミングT28からわずかに遅延したタイミングT29において、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が下降し始める。その後、タイミングT30において、第2スイッチング素子22がオフする。すると、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が高電位入力配線12の電位Vxよりも低くなる。このため、タイミングT30において、第4コンパレータ66は、信号Fg2をHIGHからLOWに下降させる。すると、第3コンパレータ64が出力する信号Fx2はHIGHを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をLOWからHIGHに上昇させる。したがって、第2AND回路74は、信号Fd2をLOWからHIGHに上昇させる。タイミングT30以降は、リアクトル50の起電力によって第2ダイオード26に電流I4が流れ、高電位入力配線12の電位Vxは低電位を維持する。
第1降圧モードでは、制御装置28が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)、第4デッドタイムΔt9が経過したタイミングT31において、制御装置28が第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。タイミングT31からわずかに遅延したタイミングT32において、第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子20がオンする。これにより、図1に示す電流I3が流れる。また、タイミングT32では、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも高くなる。このため、タイミングT32において、第3コンパレータ64は、信号Fx2をHIGHからLOWに下降させる。すると、第4コンパレータ66が出力する信号Fg2はLOWを維持しているので、第2XOR回路70は、信号Ft2をHIGHからLOWに下降させる。したがって、第2AND回路74は、信号Fd2をHIGHからLOWに下降させる。
第2AND回路74から出力される信号Fd2は、第4フォトカプラ59を介して制御装置28に送信されるため、信号Fd2と同じ波形を有する信号D2(図4参照)が、信号Fd2からわずかに遅延して制御装置28に送信される。第1降圧モードでは、制御装置28が、タイミングT25とタイミングT27の間の時間を第2オフセット時間Δt5として算出し、第2デッドタイムΔt4から第2オフセット時間Δt5を減算して、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。また、制御装置28が、タイミングT30とタイミングT32の間の時間を第4オフセット時間Δt10として算出する。
次に、第2降圧モードについて説明する。図5は、第2降圧モードにおける各値の変化示す図である。図5のタイミングT´21、T´22、T´23は、図4のタイミングT21、T22、T23と同様である。第2降圧モードでは、制御装置28は、第1オフ電位Voff1を出力してから第1降圧モードで算出した第2補正デッドタイムΔt6が経過したタイミングT´24において、第2信号S2を第2オフ電位Voff2から第2オン電位Von2に変化させる。また、略同じタイミングで第1スイッチング素子20がオフすると、高電位入力配線12の電位Vxが下降し始める。そして、タイミングT´25において、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも低くなる。また、タイミングT´25と略同じタイミングで第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が上昇し始めて、第2スイッチング素子22がオンする。これにより、電流I4が第2ダイオード26と第2スイッチング素子22に分岐して流れる。
第2降圧モードでは、制御装置28が第2オフ電位Voff2の出力を開始してから(第2信号S2が第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化してから)、期間Δt12に第4オフセット時間Δt10を加算した期間が経過したタイミングT´26(すなわち、第1降圧モードにおいて第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させたタイミングから第4オフセット時間Δt10だけ遅延させたタイミング)において、制御装置28が第2信号S2を第2オン電位Von2から第2オフ電位Voff2に変化させる。タイミングT´26からわずかに遅延したタイミングT´27において、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が下降し始める。また、略同じタイミング(詳細には、タイミングT´22から期間Δ13に第4デッドタイムΔt9を加算した期間が経過したタイミング)で第1信号S1を第1オフ電位Voff1から第1オン電位Von1に変化させる。その後、タイミングT´28において、第2スイッチング素子22がオフする。これにより、第2ダイオード26と第2スイッチング素子22に分岐して流れていた電流I4が第2ダイオード26のみに流れる。同様に、タイミングT´28と略同じタイミングで第1スイッチング素子20のゲート電位Vg1が上昇し始めて、第1スイッチング素子20がオンする。すると、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位よりも高くなる。このため、タイミングT´28において、第3コンパレータ64は、信号Fx2をHIGHからLOWに下降させる。また、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が電位Vxよりも低くなるので、第4コンパレータ66は、信号Fg2をHIGHからLOWに下降させる。また、タイミングT´28以降は、第1スイッチング素子20がオンすることにより、図1に示す電流I3が再び流れる。
上記のように、コンバータ10は、第1降圧モードにおいて、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位を下回るタイミングT25と、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が高電位入力配線12の電位Vxを超えるタイミングT27と、の間の時間差から第2オフセット時間Δt5を算出する。そして、予め設定された第2デッドタイムΔt4と第2オフセット時間Δt5に基づいて、第2補正デッドタイムΔt6を算出する。そして、第2降圧モードにおいて、第2補正デッドタイムΔt6を用いて第2スイッチング素子22のオン動作を制御する。これにより、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位を下回るタイミングと、第2スイッチング素子22がオンするタイミングとの時間差を低減することができる。この結果、第1スイッチング素子20がオフしたタイミングT´24から短時間で、第2スイッチング素子22のオン動作を開始することができる。また、コンバータ10は、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が高電位入力配線12の電位Vxを下回るタイミングT30と、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位を超えるタイミングT32と、の間の時間を第4オフセット時間Δt10として算出する。そして、第2降圧モードにおいて、第4オフセット時間Δt10を用いて第2スイッチング素子22のオフ動作を制御する。これにより、第2スイッチング素子22のゲート電位Vg2が高電位入力配線12の電位Vxを下回るタイミングと、高電位入力配線12の電位Vxが低電位配線16の電位を超えるタイミングとの時間差を低減することができる。この結果、第2スイッチング素子22がオフしたタイミングT´28から短時間で、第1スイッチング素子20のオン動作を開始することができる。
上記のように、本実施例のコンバータ10によれば、第1スイッチング素子20と第2スイッチング素子22を同時にオンさせないという規則の中で、第2スイッチング素子22がオンする期間を長くすることができる。これによって、第2ダイオード26で生じる損失を低減することができる。
また、本実施例のコンバータ10では、降圧動作時に、デッドタイムを補正するために制御装置28へ送信される信号が信号D2のみである。このため、信号の遅延時間のばらつきによるデッドタイムの補正精度の低下が生じない。すなわち、デッドタイムを補正するために複数の信号を制御装置28へ送信すると、フォトカプラで生じる信号遅延が信号毎に異なるので、デッドタイムを正確に補正することができない。これに対し、本実施形態では、デッドタイムを補正するために信号D2のみが用いられるので、精度良くデッドタイムを補正することができる。
続いて、コンバータ10のゼロクロス動作について説明する。ゼロクロス動作では、高電位出力配線14の電圧と直流電源52の電圧が略等しい状態における動作である。ゼロクロス動作では、信号S1、S2が変化する周期中において、リアクトルに流れる電流が順方向と逆方向の間で変化する。制御装置28は、電流センサ53で検出される電流値からゼロクロス動作であることを検出すると、デッドタイムの補正を行わない。すなわち、制御装置28は、ゼロクロス動作において、第1補正デッドタイムΔt3、第3オフセット時間Δt8、第2補正デッドタイムΔt6、及び、第4オフセット時間Δt10によるデッドタイムの補正をしない。ゼロクロス動作においては、電流の向きが複雑に変化するので、デッドタイムの補正を行わない。また、ゼロクロス動作においては、回路に流れる電流の絶対値が小さいので、デッドタイムの補正を行わなくても、第1ダイオード24及び第2ダイオード26で生じる損失は小さい。
(対応関係)
第1フォトカプラ54が、第1絶縁素子の一例である。第2フォトカプラ56が、第2絶縁素子の一例である。第3フォトカプラ58及び第4フォトカプラ59が、第3絶縁素子の一例である。第1伝達配線46及び第2伝達配線47が、第3信号配線の一例である。第2コンパレータ62が、第1センサの一例である。高電位入力配線12の電位Vxが、第1基準値の一例である。図2のタイミングT7及び図3のタイミングT´5が、第1タイミングの一例である。第4コンパレータ66が、第2センサの一例である。低電位配線16の電位が、第2基準値の一例である。図4のタイミングT27及び図5のタイミングT´25が、第2タイミングの一例である。第1コンパレータ60及び第3コンパレータ64が、第3センサの一例である。高電位出力配線14の電位及び低電位配線16の電位が、第3基準値の一例である。図2のタイミングT5、図3のタイミングT´5、図4のタイミングT25及び図5のタイミングT´25が、第3タイミングの一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。