以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
図1は、本実施形態のプロジェクター500を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態のプロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ(光変調装置)330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投射光学系350と、を備えている。
光源装置200から射出された光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。平行化レンズ305は、光源装置200からの光を平行化する。
照明光学系310は、光源装置200から射出される光の照度を、液晶ライトバルブ330R,330G,330B上において均一化するように調整する。さらに、照明光学系310は、光源装置200から射出される光の偏光方向を一方向に揃える。その理由は、光源装置200から射出される光を液晶ライトバルブ330R,330G,330Bで有効に利用するためである。
照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色光に対応付けられた液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより、画像信号に応じてそれぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R,330G,330Bは、後述する液晶パネル560R,560G,560Bと、偏光板(図示せず)と、を備えている。偏光板は、液晶パネル560R,560G,560Bのそれぞれの光入射側および光射出側に配置される。
変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340により合成される。合成光は投射光学系350に入射する。投射光学系350は、入射光をスクリーン700(図3参照)に投射する。これにより、スクリーン700上に画像が表示される。なお、平行化レンズ305、照明光学系310、色分離光学系320、クロスダイクロイックプリズム340、投射光学系350の各々の構成としては、周知の構成を採用することができる。
図2は、光源装置200の構成を示す断面図である。光源装置200は、光源ユニット210と、放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)10と、を備えている。図2には、光源ユニット210の断面図が示されている。光源ユニット210は、主反射鏡112と、放電灯90と、副反射鏡113と、を備えている。
放電灯点灯装置10は、放電灯90に駆動電流Iを供給して放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から放出された光を照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、放電灯90の光軸AXと平行である。
放電灯90の形状は、照射方向Dに沿って延びる棒状である。放電灯90の一方の端部を第1端部90e1とし、放電灯90の他方の端部を第2端部90e2とする。放電灯90の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90の中央部は球状に膨らんでおり、その内部は放電空間91である。放電空間91には、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
放電空間91には、第1電極92および第2電極93の先端が突出している。第1電極92は、放電空間91の第1端部90e1側に配置されている。第2電極93は、放電空間91の第2端部90e2側に配置されている。第1電極92および第2電極93の形状は、光軸AXに沿って延びる棒状である。放電空間91には、第1電極92および第2電極93の電極先端部が、所定距離だけ離れて対向するように配置されている。第1電極92および第2電極93の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
放電灯90の第1端部90e1に、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材534により電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2に、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材544により電気的に接続されている。第1端子536および第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。導電性部材534,544の材料としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
第1端子536および第2端子546は、放電灯点灯装置10に接続されている。放電灯点灯装置10は、第1端子536および第2端子546に、放電灯90を駆動するための駆動電流Iを供給する。その結果、第1電極92および第2電極93の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
主反射鏡112は、固定部材114により、放電灯90の第1端部90e1に固定されている。主反射鏡112は、放電光のうち、照射方向Dと反対側に向かって進む光を照射方向Dに向かって反射する。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電光を照射方向Dに向かって反射できる範囲内において、特に限定されず、例えば、回転楕円形状であっても、回転放物線形状であってもよい。例えば、主反射鏡112の反射面の形状を回転放物線形状とした場合、主反射鏡112は、放電光を光軸AXに略平行な光に変換することができる。これにより、平行化レンズ305を省略することができる。
副反射鏡113は、固定部材522により、放電灯90の第2端部90e2側に固定されている。副反射鏡113の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間91の第2端部90e2側の部分を囲む球面形状である。副反射鏡113は、放電光のうち、主反射鏡112が配置された側と反対側に向かって進む光を主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間91から放射される光の利用効率を高めることができる。
固定部材114,522の材料は、放電灯90からの発熱に耐え得る耐熱材料である範囲内において、特に限定されず、例えば、無機接着剤である。主反射鏡112および副反射鏡113と放電灯90との配置を固定する方法としては、主反射鏡112および副反射鏡113を放電灯90に固定する方法に限らず、任意の方法を採用できる。例えば、放電灯90と主反射鏡112とを、独立にプロジェクター500の筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡113についても同様である。
以下、プロジェクター500の回路構成について説明する。
図3は、本実施形態のプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、図1に示した光学系の他、画像信号変換部510と、直流電源装置80と、液晶パネル560R,560G,560Bと、画像処理装置570と、CPU(Central Processing Unit)580と、を備えている。
画像信号変換部510は、外部から入力された画像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号512R,512G,512Bを生成し、画像処理装置570に供給する。
画像処理装置570は、3つの画像信号512R,512G,512Bに対してそれぞれ画像処理を行う。画像処理装置570は、液晶パネル560R,560G,560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R,572G,572Bを液晶パネル560R,560G,560Bに供給する。
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換する。直流電源装置80は、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある画像信号変換部510、画像処理装置570およびトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
放電灯点灯装置10は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生し、絶縁破壊を生じさせて放電路を形成する。以後、放電灯点灯装置10は、放電灯90が放電を維持するための駆動電流Iを供給する。
液晶パネル560R,560G,560Bは、前述した液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにそれぞれ備えられている。液晶パネル560R,560G,560Bは、それぞれ駆動信号572R,572G,572Bに基づいて、前述した光学系を介して各液晶パネル560R,560G,560Bに入射される色光の透過率(輝度)を変調する。
CPU580は、プロジェクター500の点灯開始から消灯に至るまでの各種の動作を制御する。例えば、図3の例では、通信信号582を介して点灯命令や消灯命令を放電灯点灯装置10に出力する。CPU580は、放電灯点灯装置10から通信信号584を介して放電灯90の点灯情報を受け取る。
以下、放電灯点灯装置10の構成について説明する。
図4は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、図4に示すように、電力制御回路20と、極性反転回路30と、制御部40と、動作検出部60と、イグナイター回路70と、を備えている。
電力制御回路20は、放電灯90に供給する駆動電力Wdを生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源装置80からの電圧を入力とし、入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23およびコンデンサー24を含んで構成される。スイッチ素子21は、例えば、トランジスターで構成される。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源装置80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子およびコイル23の一端に接続されている。
コイル23の他端にコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子および直流電源装置80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には、後述する制御部40から電流制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電流制御信号には、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
極性反転回路30は、電力制御回路20から入力される直流電流Idを所定のタイミングで極性反転させる。これにより、極性反転回路30は、制御された時間だけ継続する直流である駆動電流I、もしくは、任意の周波数を持つ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。本実施形態において、極性反転回路30は、インバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34を含んでいる。極性反転回路30は、直列接続された第1のスイッチ素子31および第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34と、が互いに並列接続された構成を有する。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力される。この極性反転制御信号に基づいて、第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34のON/OFF動作が制御される。
極性反転回路30においては、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33と、を交互にON/OFFさせる動作が繰り返される。これにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性が交互に反転する。極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点、および第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ同一極性状態を継続する直流である駆動電流I、もしくは制御された周波数をもつ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。
すなわち、極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がOFFであり、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がOFFのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONであるように制御される。したがって、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONのときには、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせた部分が放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、放電灯90を駆動する駆動電流Iを放電灯90に供給する。
制御部40は、放電灯駆動部230を制御する。図4の例では、制御部40は、電力制御回路20および極性反転回路30を制御することにより、駆動電流Iが同一極性を継続する保持時間、駆動電流Iの電流値(駆動電力Wdの電力値)、周波数等のパラメーターを制御する。制御部40は、極性反転回路30に対して、駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。
本実施形態において制御部40は、例えば、交流駆動と、直流駆動と、を実行可能である。交流駆動は、放電灯90に交流電流が供給される駆動である。直流駆動は、放電灯90に直流電流が供給される駆動である。各放電灯駆動によって放電灯90に供給される駆動電流Iの駆動電流波形については、後段において詳述する。
制御部40の構成は、特に限定されない。本実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42、および極性反転回路コントローラー43を含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部または全てを半導体集積回路で構成してもよい。
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20および極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、動作検出部60が検出したランプ電圧(電極間電圧)Vlaおよび駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
本実施形態においては、システムコントローラー41には、記憶部44が接続されている。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20および極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、駆動電流Iの複数の駆動パターンDWが格納されている。より具体的には、記憶部44には、例えば、各駆動パターンDWを構成する各駆動に関する、駆動が実行される時間の長さ、駆動電流Iの電流値、周波数、周期数、極性、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されている。駆動電流Iの各駆動パターンDWは、上述した交流駆動と直流駆動とのうち少なくとも一方を含んでいる。駆動パターンDWの詳細については、後段において詳述する。
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電流制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
制御部40は、機械学習を行う。制御部40は、機械学習に基づいて、記憶部44に格納された複数の駆動パターンDWのうちいずれか1つの駆動パターンDWを選択し、選択された駆動パターンDWを実行する。機械学習の詳細については、後段において詳述する。
制御部40は、専用回路を用いて実現され、上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることができる。これに対して、制御部40は、例えば、CPUが記憶部44に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。
図5は、制御部40の他の構成例について説明するための図である。図5に示すように、制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電流制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成されてもよい。
図4に示した例では、制御部40は、放電灯点灯装置10の一部として構成されている。これに対して、制御部40の機能の一部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
動作検出部60は、本実施形態においては、放電灯90のランプ電圧Vlaを検出して制御部40にランプ電圧情報を出力する電圧検出部を含む。また、動作検出部60は、駆動電流Iを検出して制御部40に駆動電流情報を出力する電流検出部などを含んでいてもよい。本実施形態においては、動作検出部60は、第1の抵抗61、第2の抵抗62および第3の抵抗63を含んで構成されている。
本実施形態において、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61および第2の抵抗62で分圧した電圧によりランプ電圧Vlaを検出する。また、本実施形態において、電流検出部は、放電灯90に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作する。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を、放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
図6Aおよび図6Bには、第1電極92および第2電極93の先端部分が示されている。第1電極92および第2電極93の先端にはそれぞれ突起552p,562pが形成されている。図6Aは、第1電極92が陽極として動作し、第2電極93が陰極として動作する第1極性状態を示している。第1極性状態では、放電により、第2電極93(陰極)から第1電極92(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93)からは電子が放出される。陰極(第2電極93)から放出された電子は陽極(第1電極92)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、陽極(第1電極92)の先端(突起552p)の温度が上昇する。
図6Bは、第1電極92が陰極として動作し、第2電極93が陽極として動作する第2極性状態を示している。第2極性状態では、第1極性状態とは逆に、第1電極92から第2電極93へ電子が移動する。その結果、第2電極93の先端(突起562p)の温度が上昇する。
このように、放電灯90に駆動電流Iが供給されることで、電子が衝突する陽極の温度は上昇する。一方、電子を放出する陰極は、陽極に向けて電子を放出している間、温度は低下する。
第1電極92と第2電極93との電極間距離は、突起552p,562pの劣化とともに大きくなる。突起552p,562pが損耗するためである。電極間距離が大きくなると、第1電極92と第2電極93との間の抵抗が大きくなるため、ランプ電圧Vlaが大きくなる。したがって、ランプ電圧Vlaを参照することによって、電極間距離の変化、すなわち、放電灯90の劣化度合いを検出することができる。
なお、第1電極92と第2電極93とは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して第1電極92についてのみ説明する場合がある。また、第1電極92の先端の突起552pと第2電極93の先端の突起562pとは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して突起552pについてのみ説明する場合がある。
以下、本実施形態の制御部40による放電灯駆動部230の制御について説明する。本実施形態において制御部40は、交流駆動および直流駆動うち少なくとも1つの駆動によって放電灯駆動部230を制御する。
本実施形態において制御部40は、後述の1つ以上の駆動を組み合わせた駆動パターンDWを複数実行可能である。本実施形態において各駆動パターンDWは、駆動パターンDWを構成する各駆動における駆動パラメーターのうち少なくとも1つが互いに異なる駆動電流波形を有する。
以下、各駆動について説明する。図7は、交流駆動において放電灯90に供給される駆動電流波形の一例を示す図である。図8Aおよび図8Bは、直流駆動において放電灯90に供給される駆動電流波形の一例を示す図である。図7、図8Aおよび図8Bにおいて、縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。駆動電流Iは、第1極性状態である場合を正とし、第2極性状態となる場合を負として示している。
図7に示す交流駆動において放電灯90に供給される駆動電流Iは、例えば、電流値Imと電流値−Imとの間で極性が複数回反転される矩形波交流電流である。図7に示す交流電流において、周期C1の長さは、一定である。図7に示す交流電流のデューティー比は、0.5(50%)である。
図8Aに示す直流駆動において放電灯90に供給される駆動電流Iは、一定の電流値Imを有する第1極性の直流電流である。図8Bに示す直流駆動において放電灯90に供給される駆動電流Iは、一定の電流値−Imを有する第2極性の直流電流である。
図9は、本実施形態において、放電灯90に供給される駆動電流Iの駆動パターンDWの一例を示す図である。図9において縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。
図9に示される駆動パターンDWは、交流駆動および直流駆動から構成される。より具体的には、図9の駆動パターンDWは、第1交流駆動AC1、第1直流駆動DC1、第2交流駆動AC2、および第2直流駆動DC2から構成される。そして、この駆動パターンDWは、各交流駆動および各直流駆動に関して複数の駆動パラメーターを有する。例えば、第1交流駆動AC1は、駆動パラメーターとして、交流駆動の実行時間の長さta1および交流電流の第1周波数f1を有する。第1直流駆動DC1は、駆動パラメーターとして、直流駆動の実行時間の長さtd1および第1極性を有する。第2交流駆動AC2は、駆動パラメーターとして、交流駆動の実行時間の長さta2および交流電流の第2周波数f2を有する。第2直流駆動DC2は、駆動パラメーターとして、直流駆動の実行時間の長さtd2および第2極性を有する。
なお、図9の駆動パターンDWの場合、第1交流駆動AC1の実行時間の長さta1および第2交流駆動AC2の実行時間の長さta2は、同じとしており、また、第1交流駆動AC1の実行時間の長さta1および第2交流駆動AC2の実行時間の長さta2も、同じとしている。さらに、図9の駆動パターンDWの場合、第1交流駆動AC1における交流電流の第1周波数f1および第2交流駆動AC2における交流電流の第2周波数f2は、同じとしている。
第1周波数f1および第2周波数f2は、例えば、100Hz以上、1kHz以下である。第1交流駆動AC1の実行時間の長さta1および第2交流駆動AC2の実行時間の長さta2は、例えば、10ms(ミリ秒)以上、10s(秒)以下である。第1直流駆動DC1の実行時間の長さtd1および第2直流駆動DC2の実行時間の長さtd2は、例えば、10ms(ミリ秒)以上、40ms(ミリ秒)以下である。
複数の駆動パターンDWは、例えば、上記各駆動における各駆動パラメーターの数値範囲のうちから選択された複数の数値が適宜組み合わされて構成される。例えば、組み合わせとして用いる各駆動における駆動パラメーターの種類の合計は、2種類以上、6種類以下が好ましく、駆動パラメーターの種類ごとに用意する数値は、2つ以上、6つ以下が好ましい。これらを組み合わせて複数の駆動パターンDWを構成することで、好ましい数の駆動パターンDWが得られる。
例えば、前述の図9に示される駆動パターンDWで説明された駆動パラメーターは、交流駆動の実行時間の長さ、交流駆動における交流電流の周波数、直流駆動の実行時間の長さ、および直流駆動の極性であり、この場合、各駆動における駆動パラメーターの種類の合計は、4種類である。
複数の駆動パターンDWは、上述した複数の駆動パラメーターのうちの少なくとも1つの駆動パラメーターの値が互いに異なる。駆動パターンDWの数は、例えば、3パターン以上、150パターン以下である。好ましくは、駆動パターンDWの数は、10パターン以上、100パターン以下である。より好ましくは、駆動パターンDW数は、20パターン以上、30パターン以下である。このように駆動パターンDWの数を設定することで、放電灯90の寿命をより向上できる。
次に、本実施形態の制御部40による各駆動パターンDWの切り換えについて説明する。制御部40は、機械学習に基づいて、駆動パターンDWを切り換える。本実施形態において制御部40は、ランプ電圧Vlaの変化に基づいて駆動パターンDWの評価を行い、この駆動パターンDWの評価に基づいて、駆動パターンDWの選択を行う。
本実施形態においては、複数の駆動パターンDWの初期評価が行われる初期学習期間と、初期学習期間の後に設けられる定常学習期間と、が設けられる。図10は、初期学習期間における制御部40の制御手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明においては、駆動パターンDWは、N個設けられ、各駆動パターンDWには、それぞれ1番〜N番までの番号が振られているとする。
図10に示すように、制御部40は、初期学習期間を開始した(ステップS11)後、1番〜N番までの駆動パターンDWのうちから、初期学習期間において選択していない駆動パターンDWを選択する(ステップS12)。制御部40は、例えば、選択していない駆動パターンDWをランダムで選択する。初期学習期間を開始した直後においては、いずれの駆動パターンDWも選択していないため、制御部40は、1番〜N番までの駆動パターンDWのうちから1つの駆動パターンDWを選択する。次に、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90のランプ電圧Vla1を検出し(ステップS13)、制御部40は、検出されたランプ電圧Vla1を記憶部44に記憶する。そして、制御部40は、選択された駆動パターンDWを実行する(ステップS14)。
駆動パターンDWの実行を開始した後、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWの実行が開始されてから初期学習時間が経過したか否かを判断する(ステップS15)。初期学習時間の長さは、例えば、10min(分)以上、120min(分)以下である。現在選択されている駆動パターンDWの実行が開始されてから初期学習時間が経過していない場合(ステップS15:NO)、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWを実行し続ける。
一方、現在選択されている駆動パターンDWの実行が開始されてから初期学習時間が経過した場合(ステップS15:YES)、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90のランプ電圧Vla2を検出し(ステップS16)、制御部40は、検出されたランプ電圧Vla2を記憶部44に記憶する。そして、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWを評価する(ステップS17)。
本実施形態において駆動パターンDWの評価は、ランプ電圧Vlaの変化に基づいて行われる。具体的には、制御部40は、選択された駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2の値と、選択された駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vla1に対する、駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2の差と、に基づいて、駆動パターンDWを評価する。以下の説明においては、駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vla1に対する、駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2の差を、第1変動電圧値と呼ぶ。
ここで、ランプ電圧Vlaには、目標数値範囲が設定されている。制御部40は、可能な限りランプ電圧Vlaを目標数値範囲に維持できるように、各駆動パターンDWの選択・実行を行う。目標数値範囲は、例えば、60V以上、65V未満である。駆動パターンDWの評価が比較的高くなる場合は、例えば、1つの駆動パターンDWを実行したことでランプ電圧Vla(1つの駆動パターンDWが初期学習時間実行された後のランプ電圧Vla2)が目標数値範囲内となった場合、1つの駆動パターンDWを実行したことでランプ電圧Vlaが目標数値範囲に近づいた場合、および1つの駆動パターンDWを実行する前後でランプ電圧Vlaを目標数値範囲内に維持できた場合等である。また、駆動パターンDWの評価が比較的低い場合は、例えば、1つの駆動パターンDWを実行したことでランプ電圧Vlaが目標数値範囲から外れた場合、および1つの駆動パターンDWを実行したことでランプ電圧Vlaが目標数値範囲から遠ざかった場合等である。
一例として、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2が目標数値範囲よりも大きい場合、かつ、第1変動電圧値が負の値である場合、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的高い。また、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2が目標数値範囲よりも大きい場合、かつ、第1変動電圧値が正の値である場合、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的低い。一方、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2が目標数値範囲よりも小さい場合、かつ、第1変動電圧値が負の値である場合、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的低い。また、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2が目標数値範囲よりも小さい場合、かつ、第1変動電圧値が正の値である場合、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的高い。さらに、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行した後のランプ電圧Vla2が目標数値範囲内である場合には、第1変動電圧値の絶対値が小さいほど、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的高く、一方で、第1変動電圧値の絶対値が大きいほど、選択された1つの駆動パターンDWの評価は比較的低い。
なお、第1変動電圧値が負の値であるとは、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行したことでランプ電圧Vlaが低下したことを意味する。第1変動電圧値が正の値であるとは、1つの駆動パターンDWを初期学習時間実行したことでランプ電圧Vlaが上昇したことを意味する。
選択されている駆動パターンDWを評価した後、制御部40は、初期学習期間において1番〜N番までの駆動パターンDWを全て実行したか否かを判断する(ステップS18)。1番〜N番までの駆動パターンDWのうちで初期学習期間において実行していない駆動パターンDWがある場合(ステップS18:NO)、制御部40は、別の駆動パターンDWを選択して実行し、評価する(ステップS12〜S17)。一方で、初期学習期間において1番〜N番までのNパターンの駆動パターンDWを全て実行した場合(ステップS18:YES)、制御部40は、初期学習期間を終了して、定常学習期間に移行する(ステップS19)。初期学習期間の長さは、例えば、10h(時間)未満である。
本実施形態において、選択された駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vla1として、ステップS12において複数の駆動パターンDWのうちから選択していない駆動パターンDWを選択した後に、動作検出部60の電圧検出部によって放電灯90のランプ電圧Vlaを検出することとしたが、これに限られない。選択されたX番目の駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vla1は、例えば、選択されたX番目の駆動パターンDWの1つ前に選択された(X−1)番目の駆動パターンDWが初期学習時間実行された後に検出されたランプ電圧Vla2としてもよい。このように制御することで、ステップS13におけるランプ電圧Vla1の検出が不要となり、初期評価の処理をより簡略化できる。
図11は、定常学習期間における制御部40の制御手順の一例を示すフローチャートである。図11では、定常学習期間における1サイクルを示している。定常学習期間において制御部40は、図11に示すような1サイクルを繰り返し実行する。図11に示すように、制御部40は、定常学習期間を開始した(ステップS21)後、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から、定常学習期間において選択されていない駆動パターンDWと比較的評価の高い駆動パターンDWとのうち一方の駆動パターンDWを選択する(ステップS22〜S24)。なお、制御部40は、例えば、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から駆動パターンDWをランダムで選択する。
より具体的には、例えば、制御部40は、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から、定常学習期間において選択されていない駆動パターンDWと比較的評価の高い駆動パターンDWとのうち前者(定常学習期間において選択されていない駆動パターンDW)を選択するか否かを判断し(ステップS22)、比較的評価の高い駆動パターンDWを選択する場合(ステップS22:NO)、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から比較的評価の高い駆動パターンDWを選択する(ステップS23)。制御部40は、例えば、1番〜N番までの駆動パターンDWのうち、評価が最も高い駆動パターンDW、すなわち、ランプ電圧Vlaをランプ電圧Vlaの目標数値範囲に最も近付ける駆動パターンDWを選択する。そして、制御部40は、ステップS23において選択された駆動パターンDWを実行する(ステップS26)。
一方で、制御部40は、定常学習期間において選択されていない駆動パターンDWである前者を選択する場合(ステップS22:YES)、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から定常学習期間において選択されていない駆動パターンDWを選択する(ステップS24)。そして、定常学習期間において選択されていない駆動パターンDWが選択された場合、制御部40は、選択された駆動パターンDWが実行条件を満たすか否かを判断する(ステップS25)。実行条件は、例えば、選択された駆動パターンDWが前回選択され実行された際に、後述するステップS28において他の駆動パターンDWへ切り換えられていないことを含む。
ステップS24において選択された駆動パターンDWが実行条件を満たす場合(ステップS25:YES)、ステップS26に移行し、制御部40は、選択された駆動パターンDWを実行する。一方、選択された駆動パターンDWが実行条件を満たさない場合(ステップS25:NO)、ステップS22に移行し、制御部40は、1番〜N番までの駆動パターンDWの中から他の駆動パターンDWを選択し、上述したのと同様の判断を行う。
次に、選択された駆動パターンDWの実行を開始した後、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWの実行を開始してから定常学習時間が経過したか否かを判断する(ステップS27)。ステップS27において判断する定常学習時間は、例えば、初期学習期間におけるステップS15で判断する初期学習時間と同じである。すなわち、定常学習時間の長さは、例えば、10min(分)以上、120min(分)以下である。現在選択されている駆動パターンDWの実行が開始されてから定常学習時間が経過していない場合(ステップS27:NO)、制御部40は、現在の駆動パターンDWが切換条件(第1所定条件)を満たすか否かを判断する(ステップS28)。
切換条件は、例えば、第1切換条件と、第2切換条件とのいずれか1つを満たすことを含む。第1切換条件は、現在の駆動パターンDWの実行中に、定常学習時間内で検出されたランプ電圧Vlaの変化(変動電圧値)の絶対値が第1所定値以上となり、かつ、検出されたランプ電圧Vlaが目標数値範囲から外れることである。第2切換条件は、現在の駆動パターンDWの実行が開始してから経過した時間が第1時間以下の場合に、ランプ電圧Vlaの変化の絶対値が第2所定値以上となることを含む。第1時間は、定常学習時間よりも小さく、例えば、5min(分)である。第2所定値は、第1所定値よりも小さい。第1所定値は、例えば、5Vである。第2所定値は、例えば、3Vである。
すなわち、第1時間以下においてはランプ電圧Vlaの変化の絶対値が第1所定値よりも小さい第2所定値以上となった場合でも切換条件(第2切換条件)を満たすこととし、第1時間を超えた場合においてはランプ電圧Vlaの変化が第2所定値よりも大きい第1所定値以上とならなければ切換条件(第1切換条件)を満たさないこととする。このような関係とすることで、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWの実行時間とランプ電圧Vlaとに基づいて、現在選択されている駆動パターンDWの切換を段階的に判断する。
現在選択されている駆動パターンDWが切換条件を満たす場合(ステップS28:YES)、制御部40は、現在の放電灯90の状態においては、現在選択されている駆動パターンDWが放電灯90の寿命を向上させるために好ましくない駆動パターンDWであると判断する。そして、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWの評価を下げる。
その後、制御部40は、上述したのと同様にして、ステップS22〜ステップS26を実行し、次の駆動パターンDWの選択・実行を行う。このように、制御部40は、駆動パターンDW実行時において、ランプ電圧Vlaの変化が切換条件を満たす場合、現在選択されている駆動パターンDWから他の駆動パターンDWに切り換える。
一方で、現在の駆動パターンDWが切換条件を満たさない場合(ステップS28:NO)、制御部40は、定常学習時間が経過するまで現在選択されている駆動パターンDWを実行する。そして、現在の駆動パターンDWの実行を開始してから定常学習時間が経過した場合(ステップS27:YES)、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90のランプ電圧Vlaを検出し(ステップS29)、制御部40は、検出されたランプ電圧Vlaを記憶部44に記憶する。その後、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWを評価する(ステップS30)。
ステップS30における駆動パターンDWの評価は、例えば、初期学習期間のステップS17における駆動パターンDWの評価と同様である。すなわち、制御部40は、選択された駆動パターンDWを定常学習時間実行した後のランプ電圧Vlaの値と、選択された駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vlaに対する駆動パターンDWを定常学習時間実行した後のランプ電圧Vlaの差と、に基づいて、駆動パターンDWを評価する。以下の説明においては、駆動パターンDWを実行する前のランプ電圧Vlaに対する駆動パターンDWを定常学習時間実行した後のランプ電圧Vlaの差を、第2変動電圧値と呼ぶ。
ステップS30において制御部40は、定常学習期間において選択された駆動パターンDWの再評価を行う。すなわち、制御部40は、各駆動パターンDWに対し、初期学習期間において行われた評価、および現時点よりも前の定常学習期間において行われた評価を更新する。
続いて、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWが連続実行条件(第2所定条件)を満たすか否か判断する(ステップS31)。連続実行条件は、第1連続実行条件と、第2連続実行条件と、第3連続実行条件とのいずれか1つを満たすことを含む。第1連続実行条件、第2連続実行条件、および第3連続実行条件の各々は、連続実行回数が所定回数以下であることを含む。連続実行回数に関する所定回数は、例えば、2回以上、15回以下である。
そして、第1連続実行条件は、選択された駆動パターンDWを定常学習時間実行した後のランプ電圧Vlaが目標数値範囲よりも大きく、かつ、第2変動電圧値が負の値であることである。第2連続実行条件は、選択された駆動パターンDWの実行前後でランプ電圧Vlaが目標数値範囲内に含まれていることである。第3連続実行条件は、選択された駆動パターンDWを定常学習時間実行した後のランプ電圧Vlaが目標数値範囲よりも小さく、かつ、第2変動電圧値が正の値であることである。
現在の駆動パターンDWが連続実行条件を満たす場合(ステップS31:YES)、制御部40は、現在の放電灯90の状態においては、現在選択されている駆動パターンDWが放電灯90の寿命を向上させるために好ましい駆動パターンDWであると判断する。そして、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWを、次に実行する駆動パターンDWとして再び選択する(ステップS32)。そして、ステップS26へ移行し、制御部40は、今回実行する駆動パターンDWとして選択された前回の駆動パターンDWを連続して実行する。
以上に説明したように、本実施形態において制御部40は、選択された1つの駆動パターンDWを定常学習時間実行した前後のランプ電圧Vlaの変化が連続実行条件を満たす場合、同じ駆動パターンDWを複数回連続して実行する。
一方で、現在の駆動パターンDWが連続実行条件を満たさない場合(ステップS31:NO)、制御部40は、ステップS22〜S26において駆動パターンDWの選択および実行を所定回数実行したか否かを判断する(ステップS33)。
駆動パターンDWの選択および実行を所定回数実行していない場合(ステップS33:NO)、ステップS22へ移行して、再び駆動パターンDWの選択を行う。1サイクルの定常学習期間における駆動パターンDWの選択および実行に関する所定回数は、例えば、駆動パターンDWの個数Nよりも大きい。
駆動パターンDWの選択および実行を所定回数実行した場合(ステップS33:YES)、制御部40は、定常学習期間の1サイクルを終了する(ステップS34)。制御部40は、以上のような1サイクルを繰り返して、定常学習期間を実行し続ける。次の1サイクルは、駆動パターンDWの選択および実行の回数がリセットされること以外は、定常学習期間の前回のサイクルから各パラメーターを引き継いだ状態で実行される。
以上のようにして、制御部40は、初期学習期間と定常学習期間とによって機械学習を行い、実行する駆動パターンDWを選択する。初期学習期間は、例えば、プロジェクター500が初めて点灯された後に1回のみ行われる。定常学習期間は、例えば、初期学習期間が終了した後、プロジェクター500が点灯している間、常時設けられる。例えば、プロジェクター500の電源がOFFにされた後、再びONにされた際には、制御部40は、前回電源がOFFにされた際に実行していた期間を、中断されたところから再開する。
制御部40は、上述したようにして、機械学習に基づいて駆動パターンDWを切り換えつつ、放電灯90の照度に関する照度情報に基づいて、放電灯90の照度が目標照度となるように放電灯90に供給される駆動電力Wdを調整する。本実施形態において照度情報は、ランプ電圧Vlaを含む。すなわち、本実施形態において制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、放電灯90の照度が目標照度となるように駆動電力Wdを調整する。
以下の説明においては、目標照度を目標照度維持率LrTに置き換えて説明する場合がある。目標照度維持率LrTは、目標とする照度維持率Lrであり、照度維持率Lrは、初めて点灯した際の放電灯90の照度に対する現在の放電灯90の照度の割合である。
本実施形態において制御部40は、ランプ電圧Vlaに応じて目標照度維持率LrTを変化させる。図12は、本実施形態におけるランプ電圧Vlaに対する目標照度維持率LrTの変化を示すグラフである。図12において、縦軸は目標照度維持率LrT[%]を示しており、横軸はランプ電圧Vlaを示している。図13は、本実施形態におけるランプ電圧Vlaに対する駆動電力Wdの変化を示すグラフである。図13において、縦軸は駆動電力Wdを示しており、横軸はランプ電圧Vlaを示している。
制御部40は、図12に示すように、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合、目標照度維持率LrTを一定の値に維持する。図12では、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合、目標照度維持率LrTを100%に維持する。目標照度維持率LrTが一定に維持されるため、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合、ランプ電圧Vlaによらず放電灯90の照度(照度維持率Lr)が一定に維持されるように駆動電力Wdを調整する。具体的には、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合に、放電灯90に電流値が一定となる駆動電流Iを供給する定電流制御CCCを実行することで、放電灯90の照度を一定に維持する。定電流制御CCCにおいて制御部40は、ランプ電圧Vlaが増加するのに伴って、駆動電力Wdを増加させる。図13に示すように、定電流制御CCCにおいて駆動電力Wdは、ランプ電圧Vlaの変化に対して線形に変化する。
なお、本実施形態において、駆動電流Iの電流値が一定であるとは、電流値が所定電流範囲に維持されることを含む。所定電流範囲は、例えば、基準となる電流値に対して±10%の電流値の範囲である。また、本実施形態において、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合にランプ電圧Vlaによらず放電灯90の照度が一定に維持されるとは、所定電圧値VlaP以下の範囲でランプ電圧Vlaの値が変化した際に、結果的に放電灯90の照度が一定に維持されればよく、放電灯90の照度を一定に維持するために制御部40がランプ電圧Vlaの値の変化に基づいた制御を行ってもよい。すなわち、本実施形態において、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合にランプ電圧Vlaによらず放電灯90の照度が一定に維持されるとは、制御部40がランプ電圧Vlaの値の変化に基づいて駆動電力Wdを調整した結果として、ランプ電圧Vlaの値によらず放電灯90の照度が一定に維持されることを含む。具体的に、本実施形態では、制御部40が定電流制御CCCにおいてランプ電圧Vlaの増加に伴う駆動電力Wdの増加を実行しており、その結果、放電灯90の照度がランプ電圧Vlaの値によらず一定に維持されている。
所定電圧値VlaPは、例えば、放電灯90の初期におけるランプ電圧Vlaの値である。所定電圧値VlaPは、例えば、放電灯90を初めて点灯させた際において放電灯90の点灯が安定したときのランプ電圧Vlaの値である。制御部40は、放電灯90を初めて点灯させた際において放電灯90の点灯が安定したときに、ランプ電圧Vlaの値を動作検出部60の電圧検出部によって検出し、その検出された値を所定電圧値VlaPとして記憶部44に格納する。所定電圧値VlaPは、例えば、65V以上、70V以下である。
一方、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、放電灯90の照度に関する照度情報に基づいて、放電灯90に供給される駆動電力Wdを調整する。具体的には、制御部40は、図12および図13に示すように、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加量に対する駆動電力Wdの変化量を変化させることで、ランプ電圧Vlaの増加に応じて目標照度維持率LrTを低下させる。目標照度維持率LrTが低下するため、放電灯90の照度維持率Lrが目標照度維持率LrTに維持され続ける場合、放電灯90の照度は低下する。すなわち、結果的に制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加に応じて放電灯90の照度を低下させる。
ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、ランプ電圧Vlaが1V増加するのに対して減少する目標照度維持率LrTの変化量は、1%以上、3%以下程度である。本実施形態では、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、目標照度維持率LrTは、ランプ電圧Vlaに対して線形に変化する。これにより、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、ランプ電圧Vlaが1V増加するのに対して減少する目標照度維持率LrTの変化量は、一定である。このように目標照度維持率LrTが変化するため、放電灯90の照度維持率Lrが目標照度維持率LrTに維持され続ける場合、ランプ電圧Vlaが1V増加するごとに、一定の変化量で放電灯90の照度が低下する。すなわち、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加量に対して所定の変化量で放電灯90の照度を低下させる。
ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、制御部40は、放電灯90が寿命を迎えるまで、ランプ電圧Vlaの増加に応じて目標照度維持率LrTを低下させる。放電灯90の寿命は、例えば、照度維持率Lrが限界値Lrminに到達するまでの累積点灯時間に相当する。限界値Lrminは、放電灯90の使用に耐える限界の照度維持率Lrの値である。限界値Lrminは、例えば、50%以上、90%以下である。目標照度維持率LrTは、100%から限界値Lrminまで、ランプ電圧Vlaの増加に応じて線形に低下する。目標照度維持率LrTが限界値Lrminとなるときのランプ電圧Vlaは、限界電圧値VlaZである。限界電圧値VlaZは、放電灯90が寿命を迎えるまでの間におけるランプ電圧Vlaの最大値である。
以上のようにしてランプ電圧Vlaの増加に応じて放電灯90の照度(目標照度維持率LrT)を低下させる場合、駆動電力Wdは、図13に示すように、例えば、ランプ電圧Vlaの変化に対して曲線的に変化する。具体的に、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合におけるランプ電圧Vlaの増加量に対する駆動電力Wdの変化量は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合におけるランプ電圧Vlaの増加量に対する駆動電力Wdの変化量(定電流制御CCCにおけるランプ電圧Vlaの増加量に対する駆動電力Wdの変化量)よりも小さい。さらに、ランプ電圧Vlaに対する駆動電力Wdの変化の傾き(変化量)は、ランプ電圧Vlaが大きくなるほど小さくなる。
なお、本実施形態において、所定電圧値VlaPは、定電流制御CCCにおいて駆動電力Wdが放電灯90の定格電力に到達する前のランプ電圧Vlaの値であることが好ましい。すなわち、制御部40は、定電流制御CCCにおいてランプ電圧Vlaの増加に伴って駆動電力Wdが増加して放電灯90の定格電力に到達する前に、定電流制御CCCを終了して、ランプ電圧Vlaの増加量に対する駆動電力Wdの変化量を小さくする。
また、本実施形態において放電灯90の照度維持率Lrは、図12に示す目標照度維持率LrTと同様に変化するものとする。
上述した制御を行う制御部40を備える放電灯点灯装置10は、放電灯駆動方法としても表現できる。すなわち、本実施形態の放電灯駆動方法の一つの態様は、第1電極92および第2電極93を有する放電灯90に駆動電流Iを供給して、放電灯90を駆動する放電灯駆動方法であって、機械学習に基づいて、駆動電流Iの複数の駆動パターンDWのうちいずれか1つの駆動パターンDWを選択し、選択された駆動パターンDWを実行し、放電灯90のランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、放電灯90の照度に関する照度情報に基づいて、放電灯90に供給される駆動電力Wdを調整することを特徴とする。
例えば、従来においては、ランプ電圧Vlaの値と駆動電力Wdの値とに対応した駆動パターンDWが予め設定されていたため、ランプ電圧Vlaおよび駆動電力Wdが同じ値である場合には、実行される駆動パターンDWは、予め設定された1つの駆動パターンDWであった。
これに対して、本実施形態では、機械学習によって駆動パターンDWが選択されるため、例えば、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり駆動電力Wdが所定の電力値である場合、少なくとも1つの駆動パラメーターが互いに異なる複数の駆動パターンDWが実行される。すなわち、例えば、制御部40、放電灯90に供給される駆動電力Wdが所定の電力帯であり、かつ、放電灯90のランプ電圧Vlaが所定の電圧値である場合に、少なくとも3つの駆動パターンDWを実行する。この少なくとも3つの駆動パターンDWは、1つの駆動パターンDWを構成する駆動における複数の駆動パラメーターのうちの少なくとも1つの駆動パラメーターの値が互いに異なる駆動パターンDWである。すなわち、ランプ電圧Vlaを一定とし、かつ、駆動電力Wdの電力帯を一定として放電灯90に供給される駆動電流Iの駆動パターンDWを検出する場合、少なくとも3つ以上の異なる駆動パターンDWを検出可能である。なお、所定の電力帯とは、例えば、幅が10W以内程度の駆動電力Wdの数値範囲である。
また、上述したように機械学習によって駆動パターンDWの選択・実行を行うと、放電灯90のランプ電圧Vlaが所定の電圧値である場合、放電灯90の累積点灯時間あるいは放電灯90の個体が異なることで、選択・実行される駆動パターンDWが異なる。すなわち、制御部40は、放電灯90のランプ電圧Vlaが所定の電圧値である場合、放電灯90の累積点灯時間および放電灯90の個体のうちの少なくとも一方に応じて、少なくとも2つの駆動パターンDW、例えば第1駆動パターンおよび第2駆動パターンを実行する。
第1駆動パターンと第2駆動パターンとは、複数の駆動パターンDWのうちの任意の2つの駆動パターンDWである。第1駆動パターンと第2駆動パターンとは、各駆動パターンを構成する駆動における複数の駆動パラメーターのうち少なくとも1つの駆動パラメーターの値が互いに異なる。なお、累積点灯時間は、放電灯90が点灯された時間の総計である。すなわち、累積点灯時間は、放電灯90が初めて点灯したときから積算された放電灯90の点灯時間である。
具体的には、例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり、かつ、累積点灯時間が第1累積点灯時間である場合、第1駆動パターンを実行し、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり、かつ、累積点灯時間が第1累積点灯時間とは異なる第2累積点灯時間である場合、第2駆動パターンを実行する。すなわち、ランプ電圧Vlaを一定として放電灯90に供給される駆動電流Iの駆動パターンDWを検出する場合、放電灯90の累積点灯時間が変わると、異なる駆動パターンDWを少なくとも2つ以上検出可能である。
また、例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり、かつ、放電灯90が第1個体である場合、第1駆動パターンを実行し、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり、かつ、放電灯90が第1個体とは異なる第2個体である場合、第2駆動パターンを実行する。すなわち、ランプ電圧Vlaを一定として放電灯90に供給される駆動電流Iの駆動パターンDWを検出する場合、放電灯90の個体が変わると、異なる駆動パターンDWを少なくとも2つ以上検出することが可能である。
なお、複数の駆動パラメーターのうち少なくとも1つの駆動パラメーターの値が互いに異なるとは、例えば2つの駆動パターンDWの間で、各駆動パターンDWを構成する駆動が異なる場合を含む。より具体的には、例えば、第1駆動パターンが直流駆動で構成され、第2駆動パターンが直流駆動および交流駆動で構成され、かつ、第1駆動パターンにおける交流駆動に関する各駆動パラメーターと第2駆動パターンにおける交流駆動に関する各パラメーターとが同じである場合も、第1駆動パターンと第2駆動パターンとは、少なくとも1つの駆動パラメーターの値が互いに異なる駆動パターンDWとする。この場合、第2駆動パターンには直流駆動が含まれないため、第2駆動パターンにおける直流駆動に関する駆動パラメーターをゼロとみなす。これにより、この場合において第1駆動パターンと第2駆動パターンとは、直流駆動に関する駆動パラメーターが互いに異なる。
本実施形態によれば、上述したようにして、制御部40は、機械学習に基づいて、複数の駆動パターンDWのうちからいずれか1つの駆動パターンDWを選択して、選択した駆動パターンDWを実行する。そのため、放電灯90に個体差がある場合であっても、機械学習を行うことで、放電灯90の個体差に応じて、好適な駆動パターンDWを選択することができる。したがって、本実施形態によれば、放電灯90の個体差によらず、放電灯90の寿命を向上させることができる。
また、放電灯90に供給される駆動電力Wdが変化すると、第1電極92の突起552pの溶融度合い、および成長度合いが変化する。そのため、従来では、放電灯90に供給される駆動電力Wdごとに、ランプ電圧Vlaに応じて、放電灯90に供給される駆動電流Iの好適な駆動パターンDWを決め、記憶部44に格納しておく必要があった。したがって、全ての駆動電力Wdごとにランプ電圧Vlaに応じた駆動パターンDWを設定しておくことは困難であり、予め決められた複数種類の駆動電力Wdにしか、放電灯90に供給される駆動電力Wdを変更できない仕様となっていた。
これに対して、本実施形態によれば、機械学習に基づいて駆動パターンDWが選択されるため、駆動電力Wdを変化させた場合であっても、駆動電力Wdの変化に応じて、好適な駆動パターンDWを選択することができる。これにより、放電灯90に供給される駆動電力Wdを容易に多段階で変化させることが可能となる。したがって、例えば、使用者が、駆動電力Wdを任意に変化させて、プロジェクター500から投射される映像の輝度を自由に変更することが可能となる。そのため、例えば、駆動電力Wdを比較的小さくして、プロジェクター500の消費電力を好適に抑えつつ、放電灯90の寿命を向上させることも可能となる。
また、駆動電力Wdを任意に変更することが可能となるため、放電灯90の寿命を向上させる際に変化させる駆動パターンDWの駆動パラメーターの一つとして、駆動電力Wdを用いることも可能となる。これにより、放電灯90の寿命をより向上させることができる。例えば、プロジェクター500の筐体には、駆動電力Wdを変化させるための操作部を設けてもよい。
また、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaの変化に基づいて駆動パターンDWの選択を行う。そのため、ランプ電圧Vlaを検出することで、駆動パターンDWの選択を行うことができ、機械学習を好適かつ容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、制御部40は、選択された駆動パターンDWの実行時において、検出されたランプ電圧Vlaの変化が切換条件を満たす場合、選択された駆動パターンDWから他の駆動パターンDWに切り換える。そのため、選択された駆動パターンDWが、そのときの放電灯90の状態に対して寿命を向上させるのに好ましくない駆動パターンDWである場合に、駆動パターンDWを他の好適な駆動パターンDWへ切り換えられる。したがって、放電灯90の寿命が低下することを抑制できる。
また、上述したように、切換条件を満たした駆動パターンDWは、評価を下げられ、かつ、ステップS24において次に当該切換条件を満たした駆動パターンDWが選択され、ステップS25において当該切換条件を満たした駆動パターンDWが実行条件を満たすか判断される際に、実行条件を満たさないと判断される。すなわち、制御部40は、所定期間の間、当該切換条件を満たした駆動パターンDWを実行しない。そのため、本実施形態によれば、放電灯90の寿命を低下させる可能性が高い駆動パターンDWが実行されることを抑制でき、放電灯90の寿命をより向上させることができる。
上述したように制御部40は、選択された駆動パターンDWの実行を開始してから定常学習時間が経過した場合に、次の駆動パターンDWを選択するため、駆動パターンDWの実行時間の長さは基本的には、定常学習時間の長さと同じになる。しかし、定常学習期間において選択された駆動パターンDWは、放電灯90の状態によって、定常学習時間が経過する前に途中で他の駆動パターンDWへ切り換えられることがあるため、同じ駆動パターンDWであっても、1つの駆動パターンDWの実行を開始してから次の駆動パターンDWに切り換えられるまでの、選択された1つの駆動パターンDWの実行時間が変化する場合がある。
すなわち、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、複数の駆動パターンDWのうちの所定の駆動パターンDWが実行される実行時間の長さを変化させる。そのため、ランプ電圧Vlaの変化に応じて、適宜駆動パターンDWを切り換えることができ、放電灯90の寿命をより向上できる。
また、複数の駆動パターンDWのうちの所定の駆動パターンDWが実行される実行時間の長さは、上述したようにして変化するため、放電灯90の累積点灯時間に応じて変化する。また、複数の駆動パターンDWのうちの所定の駆動パターンが実行される実行時間の長さは、上述したようにして変化するため、放電灯90の個体に応じて変化する。選択された駆動パターンDWが途中で他の駆動パターンDWへ切り換えられた場合、当該選択された駆動パターンDWの実行時間は、定常学習時間よりも短い。
また、例えば、評価が最も高い駆動パターンDW、すなわち、放電灯90のランプ電圧Vlaを目標数値範囲に最も近付ける駆動パターンDWであっても、常に同じ駆動パターンDWを実行する場合には、第1電極92の突起552pが成長しにくくなる場合があり、放電灯90の寿命を十分に向上させにくくなる場合がある。また、例えば、放電灯90の第1電極92の突起552pの溶融度合いおよび成長度合いは、放電灯90の劣化、すなわち累積点灯時間の増加に伴って変化する。そのため、ある時点において放電灯90の寿命を向上させるために好適な駆動パターンDWであっても、別の時点において放電灯90の寿命を向上させるために不適な駆動パターンDWとなることがある。
これに対して、本実施形態によれば、制御部40は、定常学習期間の1サイクルにおいて、N個の駆動パターンDWの中から選択されていない駆動パターンDWおよび比較的評価の高い駆動パターンDWのうち一方を選択・実行する。そのため、1サイクル内において、評価の最も高い駆動パターンDWを含む比較的評価の高い駆動パターンDWと、それ以外の駆動パターンDWと、の両方が実行される。すなわち、本実施形態の制御部40は、一定の期間内において、複数の駆動パターンDWのうち評価の最も高い駆動パターンDWを含む比較的評価の高い駆動パターンDW(以下、高評価駆動パターンDWmと呼ぶ)と、複数の駆動パターンDWのうち高評価駆動パターンDWmよりも評価の低い駆動パターンDW(以下、他の駆動パターンDWeと呼ぶ)と、の両方を実行する。これにより、評価の高い高評価駆動パターンDWmの間に、高評価駆動パターンDWmよりも評価が低い他の駆動パターンDWeを実行することができ、第1電極92に対して加えられる熱負荷の刺激を大きく変動させやすい。したがって、突起552pを成長させやすく、放電灯90の寿命をより向上させやすい。
また、本実施形態によれば、制御部40は、選択された駆動パターンDWが実行された前後のランプ電圧Vlaの変化が連続実行条件を満たす場合、当該選択された駆動パターンDWを複数回、連続して実行する。ここで、本実施形態は、ランプ電圧Vlaが所定の電圧値であり駆動電力Wdが所定の電力値である場合、少なくとも1つの駆動パラメーターが互いに異なる複数の駆動パターンDWが実行される構成である。すなわち、本実施形態は、1つの条件下で2つ以上の駆動パターンDWのうち1つが選択され実行されるというランダム性を有する一方で、選択された駆動パターンDWが連続実行条件を満たした場合には、1つの同じ駆動パターンが連続して実行されることになる特性も有する。そのため、放電灯90の寿命を向上させるのに好適な駆動パターンDWを複数回、連続して実行することができ、放電灯90の寿命をより向上させやすい。また、本実施形態において連続実行条件は、連続実行回数が所定回数以下であることを含む。そのため、放電灯90の状態が大きく変化しない程度の実行時間で、好適な駆動パターンDWを複数回、連続して実行することができる。したがって、放電灯90の寿命をより向上させやすい。
また、本実施形態によれば、制御部40は、ステップS25で示したように実行条件を満たすか否かの判断を行い、実行条件を満たさない場合には、その駆動パターンDWを実行しない。これにより、評価が比較的低い駆動パターンDWが実行されにくい。したがって、放電灯90の寿命をより向上させやすい。
以上のような機械学習に基づいて駆動パターンDWが選択・実行されるため、本実施形態においては、ランプ電圧Vlaによらず、各駆動パターンDWが実行される確率は互いに異なる。すなわち、放電灯90のランプ電圧Vlaが所定の電圧値である場合、第1駆動パターンが実行される確率と、第2駆動パターンが実行される確率と、は互いに異なる。
また、少なくとも第1駆動パターンおよび第2駆動パターンがそれぞれ1回以上実行される実行期間において、実行期間の長さに対する第1駆動パターンが実行される実行時間の割合と、実行期間の長さに対する第2駆動パターンが実行される実行時間の割合と、は互いに異なる。実行期間とは、例えば、定常学習期間の1サイクルに相当する。
また、少なくとも第1駆動パターンおよび第2駆動パターンがそれぞれ1回以上実行される実行期間、すなわち例えば定常学習期間の1サイクルにおいて、第1駆動パターンが実行される回数と、前記第2駆動パターンが実行される回数と、は互いに異なる。第1駆動パターンを、評価の最も高い駆動パターンDWを含む高評価駆動パターンDWmとし、第2駆動パターンを、他の駆動パターンDWeのうちの1つの駆動パターンDWとする場合、第1駆動パターンが実行される回数は、第2駆動パターンが実行される回数よりも多い。
また、例えば、選択される複数の駆動パターンDWの個数(N)が少なすぎると、放電灯90の状態に応じた好適な駆動パターンDWが含まれていない場合がある。一方、駆動パターンDWの個数が多すぎると、初期学習期間に時間が掛かり、好適な駆動パターンDWを選択するまでに時間が掛かる。また、定常学習期間において好適な駆動パターンDW以外の実行する割合が大きくなる。
これに対して、駆動パターンDWの個数を10パターン以上、100パターン以下とすれば、放電灯90の状態に応じた好適な駆動パターンDWを選択しやすく、初期学習期間の時間も短くできる。また、定常学習期間において好適な駆動パターンDWの割合を大きくできるため、より放電灯90の寿命を向上できる。また、駆動パターンDWの個数を20パターン以上、30パターン以下とすれば、これらの効果をより高く得られる。
また、例えば、駆動電力Wdを一定に維持し続ける場合、放電灯90の累積点灯時間が増加するのに従って、照度維持率Lrは低下する。これは、以下の理由による。累積点灯時間が増加すると、ランプ電圧Vlaが増加する。そのため、駆動電力Wdが一定の場合、放電灯90に供給される駆動電流Iが減少する。これにより、アーク放電によるプラズマ密度が低下し、放電灯90の照度が低下する。したがって、累積点灯時間が増加するのに従って、照度維持率Lrが低下する。そのため、放電灯90の初期の照度維持率Lrが維持される期間が短く、放電灯90の照度維持率Lrが比較的低い状態で使用する期間が比較的長くなりやすい。また、放電灯90を使用する使用者に、放電灯90の使用を継続することに伴って、放電灯90の照度(明るさ)が低下することを認識させてしまう。これにより、使用者の快適性を十分に向上できない場合があった。具体的には、本実施形態のように放電灯90がプロジェクター500に搭載される場合、プロジェクター500から投射される画像の輝度が比較的低い状態で使用する期間が長くなりやすい。
これに対して、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、放電灯90の照度に関する照度情報に基づいて、放電灯90に供給される駆動電力Wdを調整する。そのため、ランプ電圧Vlaが増加した場合に、駆動電力Wdを増加させることで、放電灯90の照度が低下することを抑制できる。これにより、放電灯90の照度維持率Lrが比較的高い状態で使用される期間を長くしやすく、使用者の快適性を向上できる。
また、駆動電力Wdを一定に維持し続ける場合において、ランプ電圧Vlaが増加すると、放電灯90に供給される駆動電流Iが減少するため、第1電極92および第2電極93に加えられる熱負荷が低下し、突起552p,562pが成長しにくくなる場合がある。これに対して、本実施形態によれば、放電灯90の照度に応じて駆動電力Wdを調整できるため、駆動電流Iの値を維持でき、第1電極92および第2電極93に加えられる熱負荷が低下することを抑制できる。したがって、第1電極92および第2電極93に十分な熱負荷を加えやすく、突起552p,562pを成長させやすい。その結果、放電灯90の寿命を向上させることができる。また、上述したように、このようにランプ電圧Vlaの変動に基づいて駆動電力Wdを変化させても、機械学習を用いることで、放電灯90の寿命が低下することを抑制できる。
また、例えば、駆動電力Wdを調整して放電灯90の照度を初期の照度に維持し続ける場合、すなわち放電灯90の目標照度維持率LrTを100%に維持し続ける場合、ランプ電圧Vlaが増加するほど駆動電力Wdが大きくなり続け、放電灯90への負荷が過大になる場合がある。そのため、放電灯90の寿命が低下する場合があった。
これに対して、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加に応じて目標照度維持率LrTを低下させる。そのため、結果として、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加に応じて放電灯90の照度を低下させる。これにより、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、放電灯90に供給される駆動電力Wdは、照度維持率Lrを所定電圧値VlaP以下の場合と同じ目標照度維持率LrT(例えば、100%)に調整する場合に比べて、小さくなる。
例えば、図13において二点鎖線で示す直線は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きくなる場合において、定電流制御CCCを行った場合の駆動電力Wdの変化を示す。図13において実線で示すように、本実施形態によれば、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きくなる場合において、定電流制御CCCを行うよりも、駆動電力Wdの値を小さくできる。
以上のように、本実施形態によれば、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合に駆動電力Wdを小さくできるため、放電灯90への負荷が過大になりにくく、放電灯90の寿命が低下することを抑制できる。その結果、比較的長期間、放電灯90の照度を比較的大きい値に維持できる放電灯90が実現される。
また、ランプ電圧Vlaの増加量に対する放電灯90の照度の減少量を十分に小さくすることで、放電灯90の照度の変化を使用者に気づかせにくい。これにより、使用者の快適性が低下することを抑制できる。具体的には、ランプ電圧Vlaが1V増加した場合の放電灯90の照度維持率Lrの減少量を3%以下とすることで、放電灯90の照度の変化を好適に使用者に気づかせにくい。
また、駆動電力Wdの値が小さくなって放電灯90への負荷が小さくなることで、第1電極92および第2電極93の突起552p,562pが成長しやすくなり、ランプ電圧Vlaが低下しやすい。その結果、ランプ電圧Vlaは、所定電圧値VlaPを超えた後に再び所定電圧値VlaP以下となる挙動を繰り返し、所定電圧値VlaPの近傍に維持される。これにより、ランプ電圧Vlaが増加することを抑制でき、駆動電力Wdを比較的小さく抑えた上で、放電灯90の照度を維持できる。したがって、放電灯90の寿命を向上できる。
また、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加量に対して所定の変化量で目標照度維持率LrTを低下させる。そのため、結果として、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合、ランプ電圧Vlaの増加量に対して所定の変化量で放電灯90の照度を低下させる。これにより、ランプ電圧Vlaが増加し続ける場合に、一定の度合いで放電灯90の照度を徐々に低下させることができる。したがって、使用者がより放電灯90の照度の変化に気づきにくく、使用者の快適性が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合、ランプ電圧Vlaによらず放電灯90の照度が一定に維持されるように駆動電力Wdを調整する。そのため、使用者の快適性をより向上できる。また、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合には、駆動電力Wdの値が比較的小さい範囲で、放電灯90の照度を維持できる。これにより、放電灯90への負荷を比較的小さくしつつ、放電灯90の照度を維持できる。したがって、放電灯90の寿命が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、機械学習を用いて、ランプ電圧Vlaを好適な値、例えば所定電圧値VlaPの近傍の値に維持しやすいため、照度維持率Lrがほぼ100%に維持されている期間を長くすることができ、使用者の快適性をより向上できる。
また、本実施形態によれば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合、放電灯90に電流値が一定となる駆動電流Iを供給する。これにより、放電灯90の照度を一定に維持することができる。
なお、本実施形態においては、下記の構成および方法を採用することもできる。
制御部40は、機械学習に基づいて駆動パターンDWを選択・実行するならば、機械学習の方法は、特に限定されない。上述した駆動パターンDWの評価方法は、特に限定されない。初期学習時間と定常学習時間は、互いに異なってもよい。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第3所定値以上低下した場合、駆動パターンDWを前回実行された駆動パターンDWに切り換えてもよい。より具体的には、例えば、選択された1つの駆動パターンDWが実行されている際に、制御部40は、定常学習時間内に検出されたランプ電圧Vlaに基づき、ランプ電圧Vlaが第3所定値以上低下しているか否かを判断し、ランプ電圧Vlaが第3所定値以上低下している場合には、前回実行した駆動パターンDWに切り換える。この構成によれば、例えば、突起552pが移動してランプ電圧Vlaが急激に低下した場合に、突起552pが移動する前の駆動パターンDWに切り換えることができる。これにより、突起552pの位置を移動する前の位置に修正しやすい。また、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第3所定値以上低下した場合、駆動パターンDWを前回実行された駆動パターンDWとは異なる駆動パターンDWに切り換えてもよい。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、定常学習時間の長さを変化させてもよい。例えば、放電灯90が劣化すると、駆動パターンDWによるランプ電圧Vlaの変化が発生するまでの時間が長くなる場合がある。この場合、駆動パターンDWの実行時間が短いと、駆動パターンDWを適正に評価できない場合がある。これに対して、ランプ電圧Vlaに基づいて、定常学習時間の長さを変化させることで、放電灯90が劣化した場合に定常学習時間を長くして、駆動パターンDWの実行時間を長くすることができる。したがって、駆動パターンDWを適正に評価しやすく、結果として放電灯90の寿命を向上できる。
また、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、駆動パターンDWの個数を変化させてもよいし、駆動パターンDWの各駆動における駆動パラメーターの種類を変化させてもよい。これらの場合、制御部40は、ランプ電圧Vlaに基づいて、複数の駆動パターンDWにおいて互いに異なる駆動パラメーターの種類の数を変化させてもよい。例えば、制御部40は、ランプ電圧Vlaが第1電圧よりも大きい場合に、複数の駆動パターンDWにおいて互いに異なる駆動パラメーターの種類の数を多くしてもよい。この構成によれば、放電灯90が劣化した場合に、第1電極92に加えられる熱負荷の変化による刺激を大きくしやすく、放電灯90の寿命をより向上させることができる。
また、制御部40は、直前までのランプ電圧Vlaの変化に基づいて、駆動パターンDWを選択してもよい。また、制御部40は、定常学習期間の1サイクルにおいて必ず1回ずつ以上、全ての駆動パターンDWが実行されるようにしてもよい。また、制御部40は、予め設定された複数の駆動パターンDW以外の駆動パターンDWを定常学習期間中に作り出してもよい。この場合、制御部40は、予め設定されている各駆動パターンDWの評価値に基づいて、駆動パラメーターを組み合わせて新たな駆動パターンDWを作ってもよい。
また、制御部40は、初期学習期間でのステップS15において、定常学習期間でのステップS28のように、現在選択されている駆動パターンDWが切換条件を満たすか否かを判断してもよい。例えば、現在選択されている駆動パターンDWが切換条件を満たす場合、制御部40は、現在選択されている駆動パターンDWの評価を下げ、現在選択されている駆動パターンDWから他の駆動パターンDWへ切り換えてもよい。一方で、現在選択されている駆動パターンDWが切換条件を満たさない場合、制御部40は、初期学習時間が経過するまで現在選択されている駆動パターンDWを実行してもよい。なお、この場合の切換条件は、ステップS28における切換条件と同じでもよいし、異なっていてもよい。
また、駆動パターンDWの駆動電流波形は、特に限定されない。例えば、駆動パターンDWの駆動電流波形は、図14A、図14Bおよび図15に示す駆動電流波形を含んでもよい。図14A、図14Bおよび図15は、交流駆動において放電灯90に供給される駆動電流波形の他の一例を示す図である。図14A、図14Bおよび図15において、縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。駆動電流Iは、第1極性状態である場合を正とし、第2極性状態となる場合を負として示している。
図14Aおよび図14Bに示す交流駆動は、デューティー比が0.5(50%)よりも小さい片寄駆動である。図14Aおよび図14Bに示す片寄駆動において放電灯90に供給される駆動電流Iは、例えば、電流値Imと電流値−Imとの間で極性が複数回反転される矩形波交流電流である。
図14Aに示す片寄駆動において、周期C2の長さは、一定である。周期C2においては、第1極性状態となる第1極性期間C21と、第2極性状態となる第2極性期間C22と、が設けられる。第1極性期間C21の長さは、第2極性期間C22の長さよりも小さい。すなわち、図14Aに示す片寄駆動は、駆動パラメーターとして、周期数、周期C2の長さ、デューティー比、第1極性期間C21の長さ、および第2極性期間C22の長さを有する。
図14Bに示す片寄駆動において、周期の長さは、変化する。図14Bの例では、第1周期C3と、第2周期C4と、第3周期C5と、が設けられる。第1周期C3の長さは、第2周期C4の長さよりも大きい。第3周期C5の長さは、第1周期C3の長さよりも大きい。
第1周期C3においては、第1極性状態となる第1極性期間C31と、第2極性状態となる第2極性期間C32と、が設けられる。第2極性期間C32の長さは、第1極性期間C31の長さよりも小さい。第2周期C4においては、第1極性状態となる第1極性期間C41と、第2極性状態となる第2極性期間C42と、が設けられる。第2極性期間C42の長さは、第1極性期間C41の長さよりも小さい。第3周期C5においては、第1極性状態となる第1極性期間C51と、第2極性状態となる第2極性期間C52と、が設けられる。第2極性期間C52の長さは、第1極性期間C51の長さよりも小さい。
第1極性期間C31の長さは、第1極性期間C51の長さよりも大きい。第1極性期間C41の長さは、第1極性期間C31の長さよりも大きい。第2極性期間C32の長さと第2極性期間C42の長さと第2極性期間C52の長さとは、互いに同じである。第1極性期間C31,C41,C51の長さは、例えば、5.0ms(ミリ秒)以上、20ms(ミリ秒)以下である。第2極性期間C32,C42,C52の長さは、0.5ms(ミリ秒)よりも小さい。
すなわち、図14Bに示す片寄駆動は、駆動パラメーターとして、図14Aの片寄駆動と同様に、周期数、各周期の長さ、各デューティー比、各第1極性期間の長さ、および各第2極性期間の長さを有する。
図15に示す交流駆動は、各極性状態において駆動電流Iの絶対値が大きくなる跳上駆動である。図15に示す跳上駆動において放電灯90に供給される駆動電流Iは、例えば、電流値がIm1,Im2,−Im1,−Im2の間で変化する矩形波交流電流である。Im2および−Im2の絶対値は、Im1および−Im1の絶対値よりも大きい。図15に示す跳上駆動において、周期C6の長さは、一定である。図15に示す交流電流のデューティー比は、0.5(50%)である。
周期C6においては、第1極性状態となる第1極性期間C61と、第2極性状態となる第2極性期間C62と、が設けられる。第1極性期間C61の長さと第2極性期間C62の長さとは、互いに同じである。第1極性期間C61は、低電流期間C61aと、高電流期間C61bと、を含む。低電流期間C61aは、駆動電流Iが電流値Im1となる期間である。高電流期間C61bは、駆動電流Iが電流値Im2となる期間である。高電流期間C61bの長さは、低電流期間C61aの長さよりも小さい。
第2極性期間C62は、低電流期間C62aと、高電流期間C62bと、を含む。低電流期間C62aは、駆動電流Iが電流値−Im1となる期間である。高電流期間C62bは、駆動電流Iが電流値−Im2となる期間である。高電流期間C62bの長さは、低電流期間C62aの長さよりも小さい。低電流期間C61aの長さと低電流期間C62aの長さとは、互いに同じである。高電流期間C61bの長さと高電流期間C62bの長さとは、互いに同じである。
すなわち、図15に示す跳上駆動は、駆動パラメーターとして、周期数、周期C6の長さ、電流値Im1および−Im1の絶対値、電流値Im2および−Im2の絶対値、第1極性期間C61の長さ、第2極性期間C62の長さ、第1極性期間C61における低電流期間C61aの長さおよび高電流期間C61bの長さ、第2極性期間C62における低電流期間C62aの長さおよび高電流期間C62bの長さ、第1極性期間C61における低電流期間C61aまたは高電流期間C61bの割合、第2極性期間C62における低電流期間C62aまたは高電流期間C62bの割合、電流値Im1および−Im1の絶対値に対する電流値Im2および−Im2の絶対値の割合等を有する。
なお、上記の説明においては、図14A、図14Bおよび図15に示す駆動を交流駆動の一例として説明したが、これに限られない。例えば、図14A、図14Bおよび図15に示す駆動を、直流駆動の一例としてみなしてもよい。この場合、直流駆動の極性、および直流駆動の実行時間の長さが適宜変化することで、各図に示す駆動電流波形が作られる。
また、放電灯点灯装置10は、放電灯90から射出される光の照度を計測する照度センサーを備え、放電灯90の照度に関する照度情報は、照度センサーによって計測された値を含んでもよい。この場合、制御部40は、照度センサーによって計測された値が目標とする照度となるように、駆動電力Wdを調整する。この構成によれば、より直接的に放電灯90の照度を計測できるため、より精度よく放電灯90の照度を目標値に調整することができる。
また、本実施形態の制御部40における駆動電力Wdの調整は、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合に、放電灯90の照度に関する照度情報に基づいて調整されるならば、特に限定されない。制御部40は、例えば、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaP以下の場合に、駆動電力Wdを一定に維持してもよい。また、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、ランプ電圧Vlaの増加量に対する放電灯90の照度の減少量は、ランプ電圧Vlaに応じて変化してもよい。また、例えば、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合において、放電灯90の照度(目標照度維持率LrT)は、ランプ電圧Vlaの所定の範囲ごとに、段階的に変化してもよい。
また、所定電圧値VlaPは、特に限定されず、初期におけるランプ電圧Vlaでなくてもよい。また、所定電圧値VlaPを初期におけるランプ電圧Vlaとする場合において、所定電圧値VlaPは、例えば、放電灯90の個体差によらず予め設定された値であってもよい。
また、目標照度維持率LrTの変化と照度維持率Lrの変化とは、一致しなくてもよい。例えば、目標照度維持率LrTが100%に維持されている場合に、照度維持率Lrは100%の近傍で変動してもよい。
また、放電灯90の照度に関する照度情報は、放電灯90の照度に関する事項であれば、特に限定されない。照度情報は、例えば、放電灯90の温度を含んでもよい。この場合、放電灯点灯装置10は、放電灯90の温度を計測する温度センサーを備えてもよい。
また、上記実施形態において、透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、上記実施形態において、3つの液晶パネル560R,560G,560B(液晶ライトバルブ330R,330G,330B)を用いたプロジェクター500の例を挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクター、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
実施例1,2と比較例とを比べて本発明の有用性について確認した。実施例1,2および比較例において、複数の駆動パターンDWは、図9に示される駆動電流波形を有する駆動パターンDWに基づくものとした。また、複数の駆動パターンDWにおける交流駆動および直流駆動の各駆動パラメーターは、第1周波数f1および第2周波数f2と、交流駆動の実行時間の長さta1,ta2と、直流駆動の実行時間の長さtd1,td2と、の3種類とした。さらに、駆動パラメーターの種類ごとの数値として、第1周波数f1および第2周波数f2を、200Hz、300Hz、400Hzのうちから選び、交流駆動の実行時間の長さta1,ta2を、0.1ms(ミリ秒)、0.2ms(ミリ秒)、0.5ms(ミリ秒)のうちから選び、直流駆動の実行時間の長さtd1,td2を、10ms(ミリ秒)、20ms(ミリ秒)、30ms(ミリ秒)のうちから選ぶものとした。そして、複数の駆動パターンDWの個数は、前述の3種類の駆動パラメーターとその各数値とをそれぞれ組み合わせた全27パターンを用意した。
実施例1,2および比較例において、上述した実施形態の機械学習を用いて、27パターンの駆動パターンDWを適宜選択・実行させた。放電灯は、定格230Wの高圧水銀ランプとした。放電灯に200Wの駆動電力Wdが供給される場合における初期のランプ電圧Vlaは65Vであった。機械学習においては、ランプ電圧Vlaの目標数値範囲を60V以上、65V以下とした。また、実施例1,2および比較例においては、放電灯の照度維持率Lrが目標照度維持率LrTとなるように駆動電力Wdを調整した。実施例1,2および比較例において駆動電力Wdは、定格電力(230W)を上限とした。
実施例1,2においては、ランプ電圧Vlaが65V(所定電圧値VlaP)以下の場合、目標照度維持率LrTを100%に維持した。また、実施例1,2においては、ランプ電圧Vlaが65V(所定電圧値VlaP)よりも大きい場合に、ランプ電圧Vlaの増加に応じて目標照度維持率LrTを低下させ、放電灯の照度を低下させた。実施例1における目標照度維持率LrTの減少量は、ランプ電圧Vlaが1V増加するのに対して1%とした。実施例2における目標照度維持率LrTの減少量は、ランプ電圧Vlaが1V増加するのに対して3%とした。
比較例においては、ランプ電圧Vlaによらず、目標照度維持率LrTを100%に維持した。
実施例1,2および比較例ともに、2h(時間)の点灯と、15min(分)の消灯と、を交互に繰り返させて、累積点灯時間が500h(時間)経過するごとに放電灯の照度の計測を行った。計測した照度から照度維持率Lrを算出し、算出した照度維持率Lrが90%未満となった場合に、前回計測を行ったときの累積点灯時間を寿命の値として得た。なお、初めて点灯された際に放電灯に供給される駆動電力Wdは、実施例1,2および比較例ともに200Wとした。
以上の計測・算出を、実施例1,2および比較例ともに、10本の放電灯について行い、それぞれ得られた寿命の平均値を比較した。その結果、比較例では、寿命が1500h(時間)だったのに対して、実施例1では、寿命が6000h(時間)であり、実施例2では、寿命が5000h(時間)であった。したがって、ランプ電圧Vlaが所定電圧値VlaPよりも大きい場合に、ランプ電圧Vlaの増加に応じて放電灯90の照度を低下させることで、放電灯の寿命を効果的に向上できることが確かめられた。以上により、本発明の有用性を確認できた。